(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部は、前記板部材の前記吸着部材と対向する面に設けられた、前記露出部の前記内側端部を挟持する複数の挟持体よりなることを特徴とする請求項6に記載の吸着ローター。
回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、被吸着物質を含むガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備える吸着ローターの製法であって、
前記脱落防止部材を、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置する工程と、
前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を形成する工程と、を含むことを特徴とする吸着ローターの製法。
回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材及び該複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材により囲まれる空間に収容され、被吸着物質を含むガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれと固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備えるローター素子の製法であって、
前記脱落防止部材を、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置する工程と、
前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を形成する工程と、を含むことを特徴とするローター素子の製法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術においては、スポークとハニカム体とはコーキング材を介して接着されている。しかしながら、VOCの吸着時や脱着時に吸着ローターを通過するガスは高温であるため、継続的な使用によってスポークとハニカム体との接着が剥がれる虞があった。スポークとハニカム体の接着が剥がれると、吸着ローターの回転時にハニカム体の脱落が生じ得る。
【0006】
そこで、ハニカム体の脱落を防止するために、ハニカム体の端面(ガスが通過する面)の縁部とスポークとを金具等で固定することも考えられる。しかしながら、ハニカム体の端面はガスの流路となっているため、風圧の影響で金具がハニカム体を座屈させ、ハニカム体を損傷してしまうことがあった。
【0007】
このように、ハニカム体(吸着部材)を損傷させずに、ハニカム体の吸着ローターからの脱落を防止することが課題となっている。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着部材の損傷を低減しつつ、吸着部材の脱落を防止できる吸着ローター、ローター素子、吸着ローターの製法及びローター素子の製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、本発明に係る吸着ローターによれば、被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され
、前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を有することにより解決される。
【0010】
上記の吸着ローターによれば、吸着部材と板部材との両方に固定される脱落防止部材を設けたことにより、板部材からの吸着部材の脱落を防止できる。
また、上記の吸着ローターによれば、吸着部材においてガスが通過する面に脱落防止部材が取り付けられていないため、風圧により脱落防止部材が吸着部材を座屈させることがない。
すなわち、上記の吸着ローターによれば、吸着部材の損傷を低減しつつ、吸着部材の脱落を防止することができる。
また、上記の吸着ローターによれば、脱落防止部材が外部に露出しない位置に設けられているため、吸着ローターの意匠性も良好になる。
【0011】
また、上記の
課題は、本発明に係る吸着ローターに
よれば、
被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され、前記脱落防止部材は、前記吸着部材
の内部に埋設した埋設部と、前記吸着部材から露出した露出部と、を有し、前記埋設部が前記吸着部材に固定され、前記露出部が前記板部材に固定される
ことにより解決される。
こうすることで、脱落防止部材の一部を吸着部材に埋設して取り付けたことで、脱落防止部材の吸着部材への取り付けを強固にできる。
【0012】
また、上記の
課題は、本発明に係る吸着ローターに
よれば、
被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され、前記脱落防止部材は、前記吸着部材に埋設した埋設部と、前記吸着部材から露出した露出部と、を有し、前記埋設部が前記吸着部材に固定され、前記露出部が前記板部材に固定され、前記板部材と前記脱落防止部材はそれぞれ金属製であり、前記外縁部材に近い側の前記露出部の外側端部と、前記板部材の前記端部とを溶接したこと
により解決される。
こうすることで、脱落防止部材を板部材に固定するための溶接箇所を少なくすることができる。これにより、溶接作業の負担を軽減することができる。
【0013】
また、上記の吸着ローターにおいて、前記外縁部材には、前記脱落防止部材の前記外側端部と、前記板部材の前記端部とを露出させる穴が形成されることとしてもよい。
こうすることで、外縁部材の外から脱落防止部材と板部材とを溶接することができる。これにより、吸着ローターの組立の作業性を向上できる。
また、外縁部材に形成された穴から脱落防止部材と板部材の接合状態を確認できる。
【0014】
また、上記の
課題は、本発明に係る吸着ローターに
よれば、
被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され、前記脱落防止部材は、前記吸着部材に埋設した埋設部と、前記吸着部材から露出した露出部と、を有し、前記埋設部が前記吸着部材に固定され、前記露出部が前記板部材に固定され、前記露出部は、前記回転軸の近傍から前記外縁部材に向けて延出した平板であり、前記埋設部は、前記露出部から前記吸着部材に向けて略垂直に延出する一又は複数の延出部を有すること
により解決される。
こうすることで、脱落防止部材を吸着部材に対して強固に固定することができる。
【0015】
また、上記の
課題は、本発明に係る吸着ローターに
よれば、
被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され、前記脱落防止部材は、前記吸着部材に埋設した埋設部と、前記吸着部材から露出した露出部と、を有し、前記埋設部が前記吸着部材に固定され、前記露出部が前記板部材に固定され、前記板部材は、前記回転軸に近い側の前記露出部の内側端部を保持する保持部を有すること
により解決される。
こうすることで、脱落防止部材の位置ずれを防止できる。これにより、吸着部材が脱落しにくくなる。
【0016】
また、上記の吸着ローターにおいて、前記保持部は、前記板部材の前記吸着部材と対向する面に設けられた、前記露出部の前記内側端部を挟持する二つの金属ブロックよりなることとしてもよい。
こうすることで、脱落防止部材が取り付けられた吸着部材を、板部材に取り付ける際のガイドとして保持部を機能させることができる。これにより、上記の吸着ローターによれば、吸着部材をスポークに対して正しい位置に取り付けやすくなる。
【0017】
また、上記の
課題は、本発明に係る吸着ローターに
よれば、
被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターであって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され、前記ガスの流路に対して前記脱落防止部材を挟み込む位置において前記吸着部材に取り付けられた、前記脱落防止部材の固定を補強する補強部材を備えること
により解決される。
こうすることで、脱落防止部材の位置ずれを防止することができる。
【0018】
また、上記課題は、本発明に係るローター素子によれば、被吸着物質を含有するガスの流路中に設けられ、回転軸周りに回転しながら前記ガスを通過させる吸着ローターに備えられるローター素子であって、前記回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材とにより囲まれる空間に収容され、前記ガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれと固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備え、前記脱落防止部材は、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置され
、前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を有することにより解決される。
【0019】
また、本発明に係る吸着ローターの製法は、回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材と、前記複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材と、前記複数の板部材と前記外縁部材により囲まれる空間に収容され、被吸着物質を含むガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれに固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備える吸着ローターの製法であって、前記脱落防止部材を、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置する工程
と、前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を形成する工程と、を含む。
【0020】
また、本発明に係るローター素子の製法は、回転軸の周囲から放射状に延出する複数の板部材及び該複数の板部材の端部を連結する筒状の外縁部材により囲まれる空間に収容され、被吸着物質を含むガスが通過する際に前記被吸着物質を吸着する吸着部材と、前記板部材と前記吸着部材のそれぞれと固定され、前記板部材からの前記吸着部材の脱落を防止する脱落防止部材と、を備えるローター素子の製法であって、前記脱落防止部材を、前記吸着部材と前記板部材との間であって、且つ前記ガスが前記吸着部材に流入する面と流出する面よりも内側に配置する工程
と、前記脱落防止部材と前記吸着部材とを接着する接着層を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、吸着部材の損傷を低減しつつ、吸着部材の脱落を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る吸着ローター1について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0024】
まず、
図1乃至
図7の各図の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る吸着ローター1の斜視図である。
図2は、吸着ローター1の一部構成に係る分解斜視図である。
図3は、ローター素子10の分解斜視図である。
図4は、スポーク3へのローター素子10の取り付けを説明する図である。
図5は、スポーク3にローター素子10を取り付けた状態を示す図である。
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図7は、リム4に形成された穴6の近傍の拡大図である。
【0025】
本実施形態に係る吸着ローター1は、例えば被吸着物質としてVOCを含有するガスの流路に設けられ、ガスが吸着ローター1の内部を通過する際にVOCを吸着する装置である。
すなわち、
図1に示されるように、吸着ローター1の流入面Faには、被吸着物質Pを含有する入力ガスGaが流入する。そして、吸着ローター1を通過する際に被吸着物質Pが吸着される。こうして、流出面Fbからは、被吸着物質Pが除去された出力ガスGbが排出されるようになっている。以下、吸着ローター1の構成について説明する。
【0026】
図1に示されるように、吸着ローター1は、フレーム部材として、中心部に設けられたハブ2と、ハブ2から放射状に延出したスポーク3と、スポーク3の端部を連結する筒状のリム4とを有する。
【0027】
図1及び
図2に示されるように、ハブ2の中心部には軸穴2Aが形成されており、軸穴2Aに軸部材5が挿通される。こうして、吸着ローター1は、軸部材5を回転軸として回転可能であり、軸部材5周りに回転しながらガスを通過させるようになっている。
なお、
図2においては、吸着ローター1のフレーム部材からローター素子10と、軸部材5を取り外した状態を示している。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、スポーク3とリム4により囲まれる各空間(本実施形態では8つの空間)には、端面が略扇型状のローター素子10が各々収容される。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、ローター素子10は被吸着物質Pを吸着する吸着部材11、脱落防止部材12及び補強部材13を備える。脱落防止部材12及び補強部材13は、吸着部材11の側面11C(スポーク3と対向する面)に設けられる。
【0030】
吸着部材11は、ハニカム構造の吸着素子であり、軸部材5に沿った方向にガスの流路が形成されている。吸着部材11は、例えば無機繊維ペーパーをコルゲート加工したハニカム構造体に、活性炭や疎水性ゼオライト等の吸着材を担持させたものである。
なお、
図3に示されるように、吸着部材11において略扇型状の端面11Aとその裏面の端面11Bがガスの通過面となる。
【0031】
図3に示されるように、脱落防止部材12は、断面が略U字状で、凡そ内側端部11Eから外側端部11Fまで延出した金属部材(例えば鋼板)である。
具体的には、
図3及び
図6に示されるように、脱落防止部材12は、吸着部材11の側面11Cに沿った平板状の露出部12Aと、露出部12Aから吸着部材11側に延出した埋設部12Bとを備える。
【0032】
脱落防止部材12の吸着部材11への取り付けは、例えば以下のように行われる。すなわち、脱落防止部材12の吸着部材11に対向する面側にはコーキング材14Aを塗布した状態で、埋設部12Bを、吸着部材11の側面11Cに形成された切れ込み11Dに挿通する。
なお、切れ込み11Dは、側面11Cの略中央部分(具体的には
図3に示す略扇型状の吸着部材11における径方向及び周方向に直交する厚み方向の略中央部)に形成されており、これにより、脱落防止部材12は側面11Cの略中央部分に取り付けられることとなる。
また、脱落防止部材12の外側端部12Dは、吸着部材11の外側端部11Fと略同じ位置となるように取り付けられる。
【0033】
また、
図3に示されるように、補強部材13は、断面がL字状の金属部材である。具体的には、
図3及び
図6に示されるように、補強部材13は、吸着部材11の側面11Cに沿った平板状の露出部13Aと、露出部13Aから吸着部材11側に延出した埋設部13Bとを備える。
【0034】
補強部材13の吸着部材11への取り付けは、例えば以下のように行われる。すなわち、補強部材13の吸着部材11に対向する面側には、シリコーン等のコーキング材14Aからなる接着層を形成した状態で、埋設部13Bを埋設部12Bに隣接する位置に差し込む。埋設部13Bの差込位置は、例えば切れ込み11Dとしてもよいし、切れ込み11Dの隣接位置に別途形成した切れ込みであってもよい。
なお、補強部材13は、脱落防止部材12の両側に取り付けられる。このように、脱落防止部材12の両側に補強部材13を取り付けることにより、脱落防止部材12の位置ずれや撓みが抑制される。
なお、
図3に示される側面11Cとは反対側の側面も同様の構成とする。
【0035】
次に、
図4乃至
図6を参照しながら、ローター素子10のスポーク3への取り付けについて説明する。
【0036】
図4には、ハブ2、スポーク3の一部を抽出して示している。ここで、
図4に示されるように、スポーク3においてローター素子10を取り付ける取付面3Aにおいて、ハブ2との連結部分には、保持部7が形成されている。
【0037】
保持部7は、内側端部12Cを挟持する複数の挟持体からなり、例えば上記の挟持体は金属製(例えば鋼板)のブロックである。本実施形態では、スポーク3の取付面3Aに対して2つの挟持体が取り付けられる。なお、2つの挟持体は、両者の間に脱落防止部材12を差し込み可能な程度離間させて設けられる。また、保持部7は、例えば溶接によりスポーク3の取付面3Aに取り付けることとしてよい。上記の溶接の方法は特に限定されるものではなく、例えばアーク溶接、レーザー溶接等を用いることができる。
【0038】
ハブ2から延出する二つのスポーク3の間にローター素子10を取り付ける工程は、例えば以下の通りである。すなわち、取付面3Aに、シリコーン等のコーキング材14Bからなる接着層を形成した状態で、ローター素子10をハブ2から延出する二つのスポーク3の間に取り付ける。ここで、脱落防止部材12の内側端部12Cが二つの保持部7の間で挟持されるように、ローター素子10をスポーク3に押し込む。
そして、各スポーク3の間にローター素子10を取り付けることで、吸着ローター1が製造される。
【0039】
上記の工程により、脱落防止部材12を、吸着部材11とスポーク3との間であって、且つガスが吸着部材11に流入、流出する面である端面11Aと端面11Bよりも内側に配置したローター素子10、及びかかるローター素子10を備える吸着ローター1が製造される。
【0040】
図5には、ローター素子10をスポーク3に取り付けた状態を示している。ローター素子10の側面11Cと取付面3Aとは、コーキング材14Bを介して接着している。これにより、ローター素子10とスポーク3との間の隙間がコーキング材14Bにより充填された状態で、ローター素子10がスポーク3に対して固定される。
このように、ローター素子10と取付面3Aとの間の隙間がコーキング材14Bにより埋められているため、吸着ローター1に流入したガスが吸着部材11を通過するように担保できる。
【0041】
また、ローター素子10に設けられた脱落防止部材12の内側端部12Cが、スポーク3に設けられた二つの保持部7に挟持された状態で、脱落防止部材12の外側端部12Dがスポーク3に溶接される。
これにより、脱落防止部材12の両端がスポーク3に固定されることとなる。その結果、ローター素子10とスポーク3との取り付けがより強固なものとなり、スポーク3からのローター素子10の脱落が防止される。
【0042】
なお、
図1、
図7に示すように、リム4において、スポーク3と、脱落防止部材12の外側端部12Dが当接する位置に穴6を形成しておくこととしてよい。そして、穴6から露出したスポーク3と外側端部12Dとをリム4の外部から溶接するようにしてよい。
なお、
図7に示される溶接部15は、脱落防止部材12の外側端部12Dとスポーク3の溶接痕を示している。上記の溶接の方法は特に限定されるものではなく、例えばアーク溶接、レーザー溶接等を用いることができる。
【0043】
ここで
図8及び
図9を参照しながら、ローター素子10のスポーク3への取り付けの他の例について説明する。
図8は、スポークへのローター素子の取り付けの他の例を説明する図である。また、
図9は、スポークにローター素子を取り付けた状態における
図8のIX-IX断面図である。
以下説明する例においては、スポーク3に対し脱落防止部材12を事前に取り付け、その後に、脱落防止部材12が取り付けられたスポーク3に対して吸着部材11を取り付けることとする。
【0044】
図8に示すように、スポーク3の後端であって、脱落防止部材12と対向する部分には貫通孔21を形成する。また、脱落防止部材12についても、貫通孔21と対向する部分に貫通孔を形成する。
【0045】
そして、
図9に示されるように、スポーク3を挟み二つの脱落防止部材12を対向して配置する。ここで、脱落防止部材12の内側端部12Cは、保持部7により挟持される状態とする。
そして、スポーク3を挟み対向した配置された脱落防止部材12に対し、貫通孔21にワッシャー24を介してボルト22を挿通した状態で、ボルト22の端部をナット23で締める。これにより、スポーク3に脱落防止部材12を固定する。
【0046】
次に、脱落防止部材12を取り付けたスポーク3の取付面3Aに、シリコーン等のコーキング材からなる接着層を形成する。そして、補強部材13を取り付けた吸着部材11を、脱落防止部材12が取り付けられたスポーク3に対して押し込み、吸着部材11の切れ込み11Dに、脱落防止部材12の埋設部12Bが挿通されるようにする。このようにして、ローター素子10をスポーク3に取り付けることができる。
そして、各スポーク3の間にローター素子10を取り付けることで、吸着ローター1が製造される。
【0047】
上記の工程により、脱落防止部材12を、吸着部材11とスポーク3との間であって、且つガスが吸着部材11に流入、流出する面である端面11Aと端面11Bよりも内側に配置したローター素子10、及びかかるローター素子10を備える吸着ローター1が製造される。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る吸着ローター1によれば、吸着部材11とスポーク3との両方に固定される脱落防止部材12を設けたことにより、スポーク3からの吸着部材11の脱落を防止できる。
また、吸着ローター1によれば、吸着部材11においてガスが通過する端面11A、端面11Bに脱落防止部材12が取り付けられていないため、ガスの風圧により脱落防止部材12が吸着部材11を座屈させることがない。
すなわち、吸着ローター1によれば、吸着部材11の損傷を低減しつつ、吸着部材11の脱落を防止することができる。
また、吸着ローター1によれば、脱落防止部材12が外部に露出しない位置に設けられているため、吸着ローターの意匠性も良好になる。
【0049】
また、吸着ローター1によれば、脱落防止部材12の一部が吸着部材11に埋設して取り付けることで、脱落防止部材12の吸着部材11に対する取り付けを強固にできる。
【0050】
また、吸着ローター1によれば、脱落防止部材12をスポーク3に固定するための溶接箇所は、脱落防止部材12の外側端部12Dだけで良いため、溶接箇所を少なくすることができる。これにより、脱落防止部材12をスポーク3に取り付ける際の溶接作業の負担を軽減することができる。
【0051】
また、吸着ローター1によれば、リム4には、脱落防止部材12の外側端部12Dと、スポーク3の端部とを露出させる穴6が形成されていることで、リム4の外側から脱落防止部材12とスポーク3とを溶接できる。これにより、吸着ローターの組立の作業性が向上する。
また、リム4に形成された穴6から、脱落防止部材12とスポーク3の接合状態の確認が可能となる。
【0052】
また、吸着ローター1によれば、脱落防止部材12を断面が略U字状の金属部材により構成し、両端部を
吸着部材11に埋設するようにしたことで、脱落防止部材12を吸着部材11に対して強固に固定できる。
【0053】
また、吸着ローター1によれば、スポーク3に、ハブ2に近い側の脱落防止部材12(露出部12A)の内側端部12Cを保持する保持部7を設けたことで、脱落防止部材12の位置ずれを防止できる。これにより、脱落防止部材12がスポーク3から脱落しにくくなる。
ここで、保持部7がローター素子10をスポーク3に取り付ける際のガイドとして機能することで、ローター素子10をスポーク3に対して正しい位置に取り付けやすくなる。
【0054】
また、吸着ローター1によれば、ガスの流路に対して脱落防止部材12を挟み込む位置において吸着部材11に取り付けられた、補強部材13を備えることで、脱落防止部材12の位置ずれを防止することができる。
【0055】
また、吸着ローター1によれば、ローター素子10とスポーク3とはコーキング材を用いた接合と、溶接による接合との二種の接合を用いることで、ローター素子10とスポーク3との接合の冗長性を高めることができる。これにより、ローター素子10がスポーク3から脱落しにくくなる。
【0056】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態では吸着ローター1をVOC処理装置に適用した例について説明したが、吸着ローター1を除湿装置や脱臭装置等に適用してもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、脱落防止部材12の外側端部12Dとスポーク3とを溶接により接合することとしたが、両者をボルトやナット等を用いて機械的に接合してもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、脱落防止部材12に対して補強部材13を2つ設けた例について説明したが、補強部材13の数は1又は3以上であってもよい。
【0059】
また、補強部材13の配置も
図3等に示したものに限定されない。例えば、
図3に示すローター素子10に関し、脱落防止部材12の上下に配置された補強部材13の左右の位置を互いにずらしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態では、脱落防止部材12が露出部12Aと埋設部12Bとを有して構成されることとしたが、脱落防止部材12は埋設部12Bのみで構成されてもよい。この場合、埋設部12Bの一端部がスポーク3に固定され、他端部が吸着部材11に埋設され得る。
【0061】
また、上記の実施形態では、脱落防止部材12の埋設部12Bは2つ(2条)で構成されることとしたが、埋設部12Bは1又は3つ(条)以上で構成されてもよい。
また、上記の実施形態では、保持部7を2つの挟持体から構成することとしたが、3つ以上の挟持体から構成してもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、ローター素子10のスポーク3への取り付けの一例として
図8及び
図9のようにスポーク3に脱落防止部材12を先に取付けた上で、その脱落防止部材12に対して吸着部材11(ローター素子10)を取付けることとしたがこれに限られない。例えば、吸着部材11に脱落防止部材12を先に取付けた上で、その脱落防止部材12をスポーク3に取付けるようにしてもよい。この場合、一の脱落防止部材12をスポーク3に取付けるに際し、まず吸着部材11のうち脱落防止部材12が取付けられている部位の一部を切り欠いて、ボルトの頭部又はボルトのネジ部先端側に螺合するナットのいずれか一方を設置するスペースを吸着部材11に設ける。その上で、当該スペースにボルトの頭部又はナットを配置して脱落防止部材12とスポーク3をボルトとナットで固定する。