【実施例】
【0030】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0031】
試験区分1(ポリオレフィン系合成繊維処理剤の調製)
・ポリオレフィン系合成繊維処理剤(実施例1)の調製
ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル(A−1)の35.0g、炭素数30のポリエチレン(B−1)5.0g、及びオクチルリン酸エステルカリウム塩(C−1)10.0gを混合し、950.0gの水を加え、撹拌して水性分散液とし、実施例1のポリオレフィン系合成繊維用処理剤の5.0%水性液を得た。
【0032】
・ポリオレフィン系合成繊維処理剤(実施例2〜14及び比較例1〜13)の調製
実施例1のポリオレフィン系合成繊維処理剤の調製と同様に、実施例2〜14及び比較例1〜13の処理剤を調製した。表1において、ポリオキシアルキレン誘導体の種類、脂肪族アルコールの炭素数、エチレンオキサイド(以下、EOという)又はプロピレンオキサイド(以下、POという)の付加モル数を示す。表2において、各例の処理剤で使用したポリオキシアルキレン誘導体、ポリエチレン、アニオン界面活性剤、及びその他成分の種類、並びに処理剤中における各成分の含有比率(%)を示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
表1及び2において、
A−1:ポリオキシエチレン(10モル)トリアコンチルエーテル、
A−2:ポリオキシエチレン(80モル)トリアコンチルエーテル、
A−3:ポリオキシエチレン(80モル)ペンタコンチルエーテル、
A−4:ポリオキシエチレン(40モル)ポリオキシプロピレン(40モル)ペンタコンチルエーテル、
A−5:ポリオキシエチレン(40モル)テトラコンチルエーテル、
ra−1:ポリオキシエチレン(10モル)ドコシルエーテル、
ra−2:ポリオキシエチレン(10モル)ペンタヘキサコンチルエーテル、
ra−3:ポリオキシエチレン(3モル)トリアコンチルエーテル、
ra−4:ポリオキシエチレン(120モル)トリアコンチルエーテル、
ra−5:ポリオキシエチレン(60モル)ポリオキシプロピレン(60モル)トリアコンチルエーテル、
ra−6:ポリオキシエチレン(10モル)オクチルエーテル、
B−1:炭素数30のポリエチレン、
B−2:炭素数50のポリエチレン、
rb−1:炭素数6のポリエチレン、
rb−2:炭素数150のポリエチレン、
C−1:オクチルリン酸エステルカリウム塩、
C−2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、
C−3:ドデシル硫酸ナトリウム塩、
C−4:オクタン酸カリウム塩、
D−1:ポリオキシアルキレン変性シリコーン(POEO含量50%、PO/EO=50/50、分子量5,000)、
を示す。
【0035】
試験区分2(ポリオレフィン系合成繊維処理剤の付着と評価)
ポリオレフィン系合成繊維として、鞘部がポリエチレンであり、芯部がポリエステルであり、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリオレフィン系複合繊維を使用した。試験区分1で調製した各例のポリオレフィン系合成繊維用処理剤の水性液を、ポリオレフィン系複合繊維に、付着量(溶媒を除く)が0.35質量%となるようスプレー給油法で付着させ、80℃の熱風乾燥機で1時間乾燥して、処理済みポリオレフィン系合成繊維処理綿を得た。
【0036】
・原綿評価項目としてカード通過性の評価
前記の処理済みポリオレフィン系合成繊維処理綿20gを、20℃で65%RHの恒温室内で24時間調湿した後、ローラーカード(カード機)に供した。投入量に対して排出された量の割合を算出し、下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0037】
・カード通過性の評価基準
◎:排出量が85%以上。
○:排出量が60%以上且つ85%未満。
×:排出量が60%未満。
【0038】
試験区分3(ポリオレフィン系合成繊維不織布の作成と評価)
・耐久親水性の評価
試験区分2で得た処理済みポリオレフィン系合成繊維処理綿100gを、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した後、ローラーカード(カード機)に供して、目付け20g/m
2のカードウェブを作製した。得られたカードウェブを140℃で10秒の熱風処理を行い、耐久親水性評価の試料とした。この試料を10cm×10cmの小片に裁断し、20℃で60%RHの恒温室内にて24時間調湿した。重ねた5枚の濾紙の上に調湿された不織布を置き、さらにその上の中央に両端が開放された内径1cmの円筒を垂直に立て、この円筒に0.9%生理食塩水10mlを注入し、不織布に食塩水が完全に吸収されるまでの時間を測定した。その後、不織布を取り出し、40℃で90分間送風乾燥した。同様の操作を合計3回繰り返し、3回目の時間から下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0039】
・耐久親水性の評価基準
◎:生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒未満。
○:生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が5秒以上且つ8秒未満。
×:生理食塩水が完全に吸収されるまでに要する時間が8秒以上。
【0040】
・濡れ戻り防止性の評価
前記の耐久親水性評価の試料を10cm×10cmの小片に裁断し、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した。市販されている紙おむつの最外部の不織布素材から10cm×10cmの不織布片を切除し、その切除部に前記の調湿された10cm×10cmの小片を取り付けて、濡れ戻り防止性評価試料とした。取り付けた小片が上向きになるように濡れ戻り防止性評価試料を水平に置き、該小片の中央に両端が開放された内径6cmの円筒を垂直に立て、この円筒に水80mlを注入し、5分間静置して、紙おむつ内部に水を吸収させた。次に取り付けた小片上に10cm×10cmの濾紙を15枚重ねて載せ、更にその上に10cm×10cmで5.0kgの錘板を載せて、2分間荷重した後、15枚重ねた濾紙の総質量を測量し、その質量の増加率を算出して、下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0041】
・濡れ戻り防止性の評価基準
◎:質量増加率が1%未満。
○:質量増加率が1%以上且つ2%未満。
×:質量増加率が2%以上。
【0042】
・初期親水性の評価
前記の耐久親水性評価の試料を、20℃で65%RHの恒温室内にて24時間調湿した後、水平板上に置き、ビューレットを用いて10mmの高さから0.5mlの水滴を滴下させ、その水滴が完全に試料中に吸収されてしまうまでに要する時間(透水までに要する時間)を測定し、下記の評価基準で評価した。結果を表2に示す。
【0043】
・初期親水性の評価基準
◎:透水までに要する時間が0.5秒未満。
○:透水までに要する時間が0.5秒以上且つ2.0秒未満。
×:透水までに要する時間が2.0秒以上。
【0044】
表2に示されるように、直鎖状炭化水素化合物を含有しない比較例1,2,12,13は、各実施例に対して、特に濡れ戻り防止性の評価が劣ることが確認される。また、ポリオキシアルキレン誘導体を含有しない比較例3は、各実施例に対して、特に、カード通過性、耐久親水性、及び濡れ戻り防止性の評価が劣ることが確認される。また、ポリオキシアルキレン誘導体を構成する脂肪族アルコールの炭素数が24未満である比較例4,9は、各実施例に対して、特にカード通過性及び耐久親水性の評価が劣ることが確認される。また、ポリオキシアルキレン誘導体を構成する脂肪族アルコールの炭素数が65である比較例5は、各実施例に対して、特に耐久親水性、濡れ戻り防止性、及び初期親水性の評価が劣ることが確認される。また、ポリオキシアルキレン誘導体を構成するアルキレンオキサイドの付加モル数が3である比較例6は、各実施例に対して、特に耐久親水性、濡れ戻り防止性、及び初期親水性の評価が劣ることが確認される。また、ポリオキシアルキレン誘導体を構成するアルキレンオキサイドの付加モル数の合計が120である比較例7,8は、各実施例に対して、特に耐久親水性の評価が劣ることが確認される。ポリエチレンの炭素数が6である比較例10は、各実施例に対して、特にカード通過性の評価が劣ることが確認される。ポリエチレンの炭素数が150である比較例11は、各実施例に対して、特に耐久親水性、濡れ戻り防止性、及び初期親水性の評価が劣ることが確認される。
【0045】
以上の表2の結果からも明らかなように、本発明によれば、優れたカード通過性を付与し、同時に得られるカードウェブに優れた初期親水性、耐久親水性、及び濡れ戻り防止性を付与することができるという効果がある。