特許第6408196号(P6408196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408196
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】車両用ドアミラーのハウジング取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20181004BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20181004BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B60R1/06 D
   F16B5/07 J
   F16B5/10 F
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-219765(P2012-219765)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2014-69782(P2014-69782A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月16日
【審判番号】不服2017-13078(P2017-13078/J1)
【審判請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田垣 宏亨
(72)【発明者】
【氏名】西本 貞治
【合議体】
【審判長】 中川 真一
【審判官】 出口 昌哉
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−173572(JP,A)
【文献】 実開昭58−130866(JP,U)
【文献】 実開昭63−50788(JP,U)
【文献】 特開2012−66794(JP,A)
【文献】 特開2006−290184(JP,A)
【文献】 特開2002−225631(JP,A)
【文献】 特表平6−507229(JP,A)
【文献】 特開2002−347518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06
F16B 5/07
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方確認用のミラーが取り付けられるバイザーと、当該バイザーを覆うためのハウジングとを備えた車両用ドアミラーのハウジング取付構造において、
上記ハウジングの本体部は、上記車両用ドアミラーの側面に回り込むように湾曲形成された湾曲壁部を有し、
上記バイザーの縁部には、上記ハウジングへ向かって突出する係合爪が形成され、
上記ハウジングの湾曲壁部の縁部には、上記係合爪に対応する部位に、上記係合爪の突出方向と交差する方向に延出する延出板部と、該延出板部を補強する補強部とが形成され、該延出板部には、上記係合爪が挿入される係合孔が形成され、
上記延出板部における上記係合孔の周縁部の上記バイザー側の面には、上記バイザー側へ向けて突出する突起が形成され、該突起は突出方向基端側へ行くほど上記係合孔に接近するように形成された傾斜面を有し、
上記補強部は、上記ハウジングの上記湾曲壁部内面から突出して上記延出板部における上記突起が形成された面とは反対側の面に連なるリブであり、
上記ハウジングと上記バイザーとの一方を他方に接近する方向に移動させて上記ハウジングを上記バイザーに取り付けた状態で、上記係合爪が上記係合孔に挿入されて該係合孔の周縁部に係合することを特徴とする車両用ドアミラーのハウジング取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方確認用のミラーが取り付けられるバイザーと、当該バイザーを覆うハウジングとを備えた車両用ドアミラーのハウジング取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用ドアミラーでは、ミラーが取り付けられるバイザーに、例えば電動格納ユニット等が組み付けられており、さらに、そのユニットをミラーとは反対側から覆うためのハウジングがバイザーとは別体に構成されて該バイザーに取り付けられている。
【0003】
このような構成の車両用ドアミラーとしては、例えば特許文献1に開示されているものがあり、特許文献1では、ハウジングをバイザーに対して着脱可能に取り付けることができるようになっている。すなわち、バイザーの縁部には、ハウジング側へ延出する板状のフック片が形成され、このフック片の先端側には板厚方向に貫通する開口部が形成されている。一方、ハウジングの縁部には、フック片に対応する部位に、フック片の延出方向と直交する方向にハウジングの内方へ向けて突出する突起が形成されている。
【0004】
ハウジングをバイザーに取り付ける際には、ハウジングをバイザーに接近させていき、ハウジングの突起をバイザーのフック片の先端側に当接させながらフック片をバイザーの内方へ弾性変形させていき、フック片の開口部に突起が達した瞬間にフック片の形状が復元して突起が開口部に入り込み、これにより、突起とフック片とが係合してハウジングの縁部がバイザーに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−347518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば電動格納ユニット等が故障することがあり、その場合にはユニットの交換、修理を行うためにハウジングをバイザーから取り外す必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、走行時の振動等によってハウジングがバイザーから不意に外れないようにハウジングを強固に固定しておく必要があることから、突起におけるフック片の開口部周縁との接触部分は、ハウジングの取り外し方向と直交する方向に延びる係合面で構成されており、突起が開口部から容易に抜けないようになっている。
【0008】
このため、バイザーに一旦取り付けたハウジングを取り外そうとして外力を加えた際に、突起がフック片の開口部から抜けにくく、開口部周縁に対して取り外し方向に強い引っ張り力が作用することになる。このとき、フック片は単純な板状であるため、突起からの引っ張り力を受けた開口部周縁が破損してしまう場合がある。
【0009】
フック片が破損してしまうとバイザーを再利用することができず、ひいては、車両用ドアミラーの修理費用の高騰を招く結果となる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハウジングをバイザーに着脱可能に取り付ける場合に、走行時等にハウジングが不意に脱落しないようにしながら、交換や修理時には両者の破損を招くことなくハウジングをバイザーから取り外すことができるようにして部品の再利用を可能にし、もって、車両用ドアミラーの修理費用の低廉化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用ドアミラーのハウジング取付構造では、取り外し時に破損しにくい爪嵌合構造を採用した。
【0012】
第1の発明は、後方確認用のミラーが取り付けられるバイザーと、当該バイザーを覆うためのハウジングとを備えた車両用ドアミラーのハウジング取付構造において、
上記ハウジングの本体部は、上記車両用ドアミラーの側面に回り込むように湾曲形成された湾曲壁部を有し、
上記バイザーの縁部には、上記ハウジングへ向かって突出する係合爪が形成され、
上記ハウジングの湾曲壁部の縁部には、上記係合爪に対応する部位に、上記係合爪の突出方向と交差する方向に延出する延出板部と、該延出板部を補強する補強部とが形成され、該延出板部には、上記係合爪が挿入される係合孔が形成され、
上記延出板部における上記係合孔の周縁部の上記バイザー側の面には、上記バイザー側へ向けて突出する突起が形成され、該突起は突出方向基端側へ行くほど上記係合孔に接近するように形成された傾斜面を有し、
上記補強部は、上記ハウジングの上記湾曲壁部内面から突出して上記延出板部における上記突起が形成された面とは反対側の面に連なるリブであり、
上記ハウジングと上記バイザーとの一方を他方に接近する方向に移動させて上記ハウジングを上記バイザーに取り付けた状態で、上記係合爪が上記係合孔に挿入されて該係合孔の周縁部に係合することを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、ハウジングをバイザーに取り付ける際、例えばハウジングをバイザーに接近させていくと、係合爪の先端側が延出板部の係合孔に挿入されて係合爪が延出板部の係合孔周縁部に係合する。この係合状態で例えば車両走行時の振動によってハウジングがバイザーから離れる方向に力が作用したとしても、係合爪に対して延出板部が交差する方向に延出しているので、両者の係合状態が維持されてハウジングの不意の脱落が防止される。
【0014】
一方、修理時等のようにハウジングをバイザーから取り外す場合には、係合爪が延出板部の係合孔の周縁部に係合した状態で係合孔から抜く方向に引っ張り力が作用することになる。このとき延出板部が補強部によって補強されているので、延出板部が破損することはなく、係合爪や延出板部の弾性変形を伴いながら係合爪が延出板部から抜けてハウジングがバイザーから外れる。よって、ハウジング及びバイザーの両者が破損することはないので再利用が可能になる。
【0015】
また、ハウジングをバイザーから取り外す際、力のかかり方により、万が一、延出部が破損した場合、延出板部をハウジングに設けているので、高価なバイザーは再利用することが可能である。
【0016】
また、延出板部とハウジングの本体部とをリブによって繋ぐことで延出板部の補強効果が十分に得られるようになる。
【0017】
また、車両用ドアミラーのデザイン上、ドアミラーの側面に回り込むように湾曲形成された湾曲壁部を有する場合がある。この場合、湾曲壁部の内面に係合爪等を形成するのは、成形型の構造上、困難な場合があるが、湾曲壁部の縁部であれば、延出板部及び補強部を容易に形成することが可能になる。よって、湾曲壁部を有する場合に、湾曲壁部の縁部に延出板部及び補強部を形成することで、型構造の複雑化を招くことはない。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、係合爪の突出方向と交差する方向に延出する延出板部を形成し、この延出板部に形成した係合孔の周縁部に係合爪を係合させるようにしたので、走行時等にハウジングが不意に脱落するのを防止できる。しかも、修理時等にハウジングを取り外す際には、延出板部が補強部によって補強されているので、バイザー及びハウジングの破損を招くことなく部品を再利用することができ、もって、修理費用の低廉化を図ることができる。
【0019】
また、係合爪をバイザーに形成し、延出板部をハウジングに形成したので、万が一、延出部が破損した場合に、高価なバイザーは再利用して安価なハウジングを交換すればよく、修理費用が高騰するのを回避できる。
【0020】
また、補強部がハウジングの本体部内面から突出して延出板部に連なるリブであるので、延出板部の補強効果を十分に得ることができ、破損を未然に防止することができる。
【0021】
また、車両用ドアミラーのデザイン上の要求からハウジングに湾曲壁部を形成する場合に、湾曲壁部の縁部に延出板部及び補強部を形成することで、型構造の複雑化を招くことはなく、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る車両用ドアミラーを前方から見た斜視図である。
図2】車両用ドアミラーの分解斜視図である。
図3図1におけるIII−III線断面図である。
図4図3のB部拡大図である。
図5】ハウジングをバイザーに取り付ける前の図4相当図である。
図6】ハウジングの背面図である。
図7図6のVII−VII線断面図である。
図8】ハウジングを下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るハウジング取付構造が適用された車両用ドアミラー1を示す斜視図である。図1の車両用ドアミラー1は、自動車の右側のフロントドアA(図1に仮想線で一部のみ示す)に固定され、運転者の後方確認のために用いられるものである。尚、図示しないが、自動車の右側のドアミラーは左側のドアミラーと左右対称構造であるだけなので、右側のドアミラーと同様に本発明を適用することができる。
【0025】
この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0026】
車両用ドアミラー1は、後方確認用のミラー2(図2に示す)と、ミラー2が取り付けられるバイザー3と、バイザー3を覆うハウジング4と、バイザー3をフロントドアAに固定するためのベース5とを備えている。
【0027】
ベース5は、フロントドアAのサッシュ前端部に締結固定されており、左側(車両外側)へ突出している。
【0028】
バイザー3は、樹脂材を成形してなるものであり、上下方向の寸法よりも左右方向の寸法が長い形状となっている。バイザー3の後面には、図3に示すようにミラー2を収容するためのミラー収容凹部10が前側へ窪むように形成されている。ミラー収容凹部10内には、図示しないが、ミラー2の他に、ミラー2が両面テープによって貼り付けられるミラーホルダと、ミラー2の角度を調整する角度調整ユニットも収容される。角度調整ユニットはミラー収容凹部10に固定される。
【0029】
バイザー3におけるミラー収容凹部10の周囲には、前側へ屈曲して延びる周壁部11が形成されている。周壁部11の前端部はバイザー3の周縁部となっている。図2に示すように、周壁部11の内面には、複数のリブ12,12,…がバイザー3の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。
【0030】
バイザー3の下部は、ミラー収容凹部10よりも前方へ延出している。バイザー3の下部の左端部には、電動格納ユニット13が設けられている。この電動格納ユニット13は、バイザー3を、上下方向に延びる回動軸(図示せず)によりベース5に対して回動可能に支持し、内蔵する電動モータ(図示せず)によってバイザー3を回動軸周りに回動させて通常使用状態(図1に示す状態)と格納状態(ドアミラーの右端が後方に移動した状態)とに切り替えることができるように構成されている。
【0031】
バイザー3の下部には、下部パネル14が設けられている。下部パネル14は、バイザー3の左端から右端に亘って連続しており、ドアミラー1の底壁を構成するものである。下部パネル14の周縁部は、全体が上方へ湾曲している。この下部パネル14の周縁部に、ハウジング4の下縁部が合致するようになっている。
【0032】
バイザー3には、ハウジング4に設けられた第1〜第3嵌合片31〜33(図6に示す)がそれぞれ嵌合する第1〜第3嵌合孔21〜23が形成されている。第1及び第2嵌合孔21,22は、バイザー3の上側において左右方向に間隔をあけて配置されている。第3嵌合孔23は、バイザー3の下側に位置しており、バイザー3の左右方向中央部よりも左側に偏位している。第1〜第3嵌合孔21〜23は、前方に開口している。
【0033】
バイザー3の周縁部の左側には、上側係合爪24と下側係合爪25とが互いに上下方向に間隔をあけて形成されている。上側係合爪24と下側係合爪25とは同じものなので、以下、下側係合爪25について詳細に説明する。
【0034】
図3図5に示すように、下側係合爪25は、バイザー3の内面から前側へ向かって突出し、上下方向に延びる板状をなしている。この下側係合爪25は左右方向に弾性変形するようになっている。図4に示すように、下側係合爪25の基端部には、溝部25aが形成されている。これにより、下側係合爪25を形成したことによるバイザー3表面(意匠面)へのヒケの発生を抑制している。
【0035】
下側係合爪25の先端側(前端側)には、バイザー3の内方(右側)へ突出する凸部25bが形成されている。凸部25bにおける下側係合爪25の基端側の面25cは、下側係合爪25の突出方向と交差する直交方向に平坦に延びており、後述するハウジング4の延出板部35に当接する当接面とされている。凸部25bにおける下側係合爪25先端側の面25dは、下側係合爪25の先端に近づくほど(前側へ行くほど)凸部25bの突出高さが低くなるように(左側に位置するように)傾斜する傾斜面とされている。
【0036】
図1に示すように、ハウジング4は、バイザー3の前側において下部パネル14よりも上側の領域を覆うためのものであり、樹脂材を一体成形してなる。ハウジング4は全体として前側へ大きく膨出するように滑らかに湾曲している。図6に示すように、ハウジング4の内面には、バイザー3の第1〜第3嵌合孔21〜23に対応する部位に、第1〜第3嵌合片31〜33がそれぞれ形成されている。第1〜第3嵌合片31〜33が第1〜第3嵌合孔21〜23に挿入されて嵌合することにより、ハウジング4がバイザー3に取り付けられる。
【0037】
また、図7に示すように、ハウジング4の左側は、車両用ドアミラー1の左側面に回り込むように湾曲形成された湾曲壁部36を有している。湾曲壁部36は、その先端側(後側)に行くほど右側に位置するように形成されており、従って、湾曲壁部36の先端部36aは、湾曲壁部36の基端側(前側)よりも右側に位置することになる。
【0038】
また、ハウジング4の周縁部の端面には、バイザー3の周縁部が嵌合する嵌合溝4aが形成されている。バイザー3の周縁部が嵌合溝4aに嵌合した状態で、バイザー3の周縁部とハウジング4の周縁部とが一体化して内外方向に位置ずれするのが抑制される。
【0039】
図6図8に示すように、ハウジング4の周縁部には、上記バイザー3の上側係合爪24及び下側係合爪25に対応する部位に、それぞれ、上側延出板部(延出部)34及び下側延出板部(延出部)35が形成されている。上側延出板部34と下側延出板部35とは同じものなので、以下、下側延出板部35について詳細に説明する。
【0040】
本実施形態では、上側延出板部34と下側延出板部35を湾曲壁部36の内面ではなく、湾曲壁部36の先端部36aに形成していることが特徴となっている。すなわち、仮に、湾曲壁部36の内面に上側延出板部34と下側延出板部35を形成するのは、成形型の構造上、困難な場合が多いが、この実施形態のように湾曲壁部36の先端部36aに形成するのであれば、上側延出板部34と下側延出板部35を容易に形成することが可能になる。
【0041】
図4図5に示すように、下側延出板部35は、下側係合爪25の突出方向と交差する方向(本実施形態では直交する方向)に右側(ハウジング4の内側)へ延出しており、上下方向に延びている。下側延出板部35は上下方向に長い略矩形状である。下側延出板部35には、下側係合爪25が挿入される係合孔35aが形成されている。この係合孔35aは、下側係合爪25の断面形状に対応して上下方向に長い形状となっている。係合孔35aの大きさは、下側係合爪25の凸部25bが通過可能な大きさである。この係合孔35aの形成により、下側延出板部35は、略矩形の枠状を呈することになる。
【0042】
下側延出板部35の後面には、一対の突起35b,35bが上下方向に間隔をあけて形成されている。
【0043】
また、図8に示すように、ハウジング4の湾曲壁部36の先端部36aには、上側延出板部34及び下側延出板部35の形成部位に、一対の上側リブ44,44及び下側リブ45,45が形成されている。下側リブ45,45は、ハウジング4の本体部内面、具体的には湾曲壁部36内面から突出して下側延出板部35の突起35bが形成された面と反対側(前面)に連なっている。下側リブ45,45は、平面視で略三角形とされている。下側リブ45,45は、上下方向に間隔をあけて配置されている。下側リブ45,45の間隔は、係合孔35aの上下寸法よりも若干広めに設定されており、下側リブ45,45が係合孔35aの開口部分にかからないようにしている。
【0044】
下側リブ45,45によって下側延出板部35の上下両側がハウジング4の本体部の内面に支えられることになるので、下側延出板部35の補強効果を十分に得ることができる。
【0045】
次に、上記のように構成された車両用ドアミラー1の製造要領について説明する。電動格納ユニット13等をバイザー3に組み付けた後、ハウジング4をバイザー3に取り付ける。このとき、まず、図2に示すように、ハウジング4をバイザー3の前方に配置する。そして、ハウジング4またはバイザー3を相手側に近づけていく。この実施形態では、バイザー3を固定しておき、ハウジング4をバイザー3に近づけていく場合について説明するが、その逆の取付方法も可能である。
【0046】
図5に示すように、バイザー3の下側係合爪25をハウジング4の下側延出板部35の係合孔35aに対向させた後、ハウジング4を図5中に矢印Yで示すように後方へ移動させていく。このとき、上側係合爪24も上側延出板部34の係合孔に対向させておく。
【0047】
ハウジング4の下側延出板部35がバイザー3の下側係合爪25の先端に近接して、下側係合爪25の先端が下側延出板部35の係合孔35aに入っていく。すると、下側係合爪25の傾斜面25dが下側延出板部35の係合孔35aの周縁部に摺接し始め、このことで、下側係合爪25が左側へ弾性変形する。ハウジング4をさらに後側へ移動させると、下側係合爪25の凸部25bが下側延出板部35の係合孔35aを通過する。下側係合爪25の凸部25bが下側延出板部35の係合孔35aを通過した瞬間、下側係合爪25の形状が復元し、図4に示すように凸部25bが下側延出板部35の係合孔35a周縁部に前側から係合する。この係合状態では、下側係合爪25の当接面25cが、下側延出板部35の前面に当接することになる。上側係合爪24も同様にして上側延出板部34に係合する。また、ハウジング4の第1〜第3嵌合片31〜33がそれぞれバイザー3の第1〜第3嵌合孔21〜23に挿入されて嵌合する。
【0048】
また、バイザー3の周縁部がハウジング4の嵌合溝4aに嵌合することで、バイザー3の周縁部とハウジング4の周縁部とが一体化する。
【0049】
上記のようにしてハウジング4がバイザー3に取り付けられる。ハウジング4がバイザー3に取り付けられた状態で、例えば車両走行時の加振力により、ハウジング4がバイザー3から離脱する方向に力が作用することがある。この場合、下側係合爪25を下側延出板部35の係合孔35aから抜く方向に引っ張り力が作用することになるが、この実施形態では、下側係合爪25の当接面25cと、下側延出板部35の前面とが引っ張り力の作用する方向と直交する方向に延びているので、走行時に作用する程度の引っ張り力では下側係合爪25が下側延出板部35の係合孔35aから抜けることはない。
【0050】
一方、車両用ドアミラー1の電動格納ユニット13等が故障した場合には、ハウジング4をバイザー3から取り外す必要がある。この場合は、作業者がハウジング4を前側に強く引っ張る。このときの力は、下側係合爪25を下側延出板部35の係合孔35aから抜く方向に引っ張り力として作用することになるが、走行時に想定している力よりも大きな力なので、下側係合爪25や下側延出板部35が弾性変形し、下側係合爪25の凸部25bが下側延出板部35の係合孔35aから抜ける。このとき、下側係合爪25は引っ張り力を受ける方向に延びているので、破損しにくくなっている。一方、下側延出板部35は引っ張り力と直交する方向に延びているので、下側延出板部35のうち、特に基端部近傍には屈曲方向の力が作用することなる。このとき、下側延出板部35は下側リブ45,45によってハウジング4の本体部につながっていて補強されているので、下側延出板部35の破損を抑制できる。
【0051】
以上説明したように、この実施形態にかかる車両用ドアミラーのハウジング取付構造によれば、バイザー3の縁部にハウジング4へ向かって突出する上側係合爪24及び下側係合爪25を形成し、ハウジング4の縁部に、上側係合爪24及び下側係合爪25の突出方向と交差する方向に延出する上側延出板部34及び下側延出板部35を形成し、この延出部34,35に形成した係合孔35aの周縁部に係合爪24,25を係合させるようにしたので、走行時等にハウジング4が不意に脱落するのを防止できる。しかも、修理時にハウジング4を取り外す際には、上側延出板部34及び下側延出板部35が上側リブ44及び下側リブ45によって補強されているので、バイザー3及びハウジング4の破損を招くことなく、これら部品を再利用することができ、もって、修理費用の低廉化を図ることができる。
【0052】
また、上側係合爪24及び下側係合爪25をバイザー3に形成し、上側延出板部34及び下側延出板部35をハウジング4に形成したので、力のかかり方等によって、万が一、延出部34,35が破損した場合に、ハウジング4よりは高価なバイザー3を再利用することができ、修理費用が高騰するのを回避できる。
【0053】
また、ハウジング4の本体部内面から突出して上側延出板部34及び下側延出板部35に連なる上側リブ44及び下側リブ45によって上側延出板部34及び下側延出板部35を補強するようにしたので、上側延出板部34及び下側延出板部35の補強効果を十分に得ることができ、破損を未然に防止することができる。
【0054】
また、車両用ドアミラー1のデザイン上の要求からハウジング4に湾曲壁部36を形成する場合に、湾曲壁部36の縁部に上側延出板部34及び下側延出板部35を形成することで、型構造の複雑化を招くことはなく、その結果、低コスト化を図ることができる。
【0055】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の色々な形で実施することができる。
【0056】
例えば、バイザー3における係合爪の形成位置は、バイザー3の縁部であればよいので、上記した位置に限られるものではなく、バイザー3の上側や下側、右側であってもよい。係合爪の個数も任意に設定できる。
【0057】
また、ハウジング4における延出板部の形成位置は、ハウジング4の縁部であればよいので、係合爪と同様に上記した位置に限られるものではない。延出板部の個数も任意に設定できる。
【0058】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明に係る車両用ドアミラーのハウジング取付構造は、例えば、自動車に配設されるドアミラーに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用ドアミラー
2 ミラー
3 バイザー
4 ハウジング
5 ベース
24 上側係合爪
25 下側係合爪
25b 凸部
34 上側延出板部(延出部)
35 下側延出板部(延出部)
35a 係合孔
44 上側リブ(補強部)
45 下側リブ(補強部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8