(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408204
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】自立パウチ
(51)【国際特許分類】
B65D 30/22 20060101AFI20181004BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
B65D30/22 F
B65D30/16 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-156608(P2013-156608)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-24855(P2015-24855A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
(72)【発明者】
【氏名】柳内 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5104073(JP,B2)
【文献】
特許第4846791(JP,B2)
【文献】
米国特許第06569283(US,B1)
【文献】
特許第4771785(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/22
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に挟まれた底フィルムとを有し、周縁部がシールされており、シールされた前記周縁部に囲まれた部分が収納部であり、前記底フィルムが前記収納部の下方底面である自立パウチであって、
前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムの側端の周縁部においてシールされた領域である側縁部の内部には、上下方向に所定の長さにわたってシールされていない領域である未シール領域と、
前記未シール領域の上端近傍に、前記第1の側面フィルムと前記第2の側面フィルムとの少なくとも一方を貫通して形成された開口部とを備え
前記未シール領域は、
前記開口部から所定距離離れた位置に先端面が配置されたエアノズルのエア吹き出し孔から吹き出される空気を、前記開口部を介して内部に取り込み、内圧が上昇して、前記第1の側面フィルムと前記第2の側面フィルムのうち、前記エアノズルに近い方が前記エアノズルに向かって膨らんだ際に、前記エアノズルの先端面に前記開口部の近傍が密着することができる程度に、前記開口部の中心から前記エアノズルの半径より大きい所定の半径内において、シールされていないエア封入口部を含み、
前記開口部は、長さが、前記エアノズルのエア吹き出し孔の直径より長く、前記エアノズルの直径より短い切り込みを含む、自立パウチ。
【請求項2】
前記切り込みは、前記第1の側面フィルムまたは/および前記第2の側面フィルムを貫通する、請求項1に記載の自立パウチ。
【請求項3】
前記切り込みは、直線形状である、請求項1に記載の自立パウチ。
【請求項4】
前記開口部は、長さが、前記エアノズルのエア吹き出し孔の直径より長く、前記エアノズルの直径より短い複数の直線形状の切り込みであり、前記複数の切り込みは、各々が互いに交差する、請求項1に記載の自立パウチ。
【請求項5】
第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に挟まれた底フィルムとを有し、周縁部がシールされており、シールされた前記周縁部に囲まれた部分が収納部であり、前記底フィルムが前記収納部の下方底面である自立パウチであって、
前記第1の側面フィルムおよび前記第2の側面フィルムの側端の周縁部においてシールされた領域である側縁部の内部には、上下方向に所定の長さにわたってシールされていない領域である未シール領域と、
前記未シール領域の上端近傍に、前記第1の側面フィルムと前記第2の側面フィルムとの少なくとも一方を貫通して形成された開口部とを備え
前記未シール領域は、
前記開口部から所定距離離れた位置に先端面が配置されたエアノズルのエア吹き出し孔から吹き出される空気を、前記開口部を介して内部に取り込み、内圧が上昇して、前記第1の側面フィルムと前記第2の側面フィルムのうち、前記エアノズルに近い方が前記エアノズルに向かって膨らんだ際に、前記エアノズルの先端面に前記開口部の近傍が密着することができる程度に、前記開口部の中心から前記エアノズルの半径より大きい所定の半径内において、シールされていないエア封入口部を含み、
前記開口部は、直径が、前記エアノズルのエア吹き出し孔の直径より長く、前記エアノズルの直径より短い、円弧形状の切り込みまたは孔である、自立パウチ。
【請求項6】
前記未シール領域は、前記エア封入口部の下方近傍に、左右方向の長さが他の部分より短いくびれ部を更に含む、請求項1または5に記載の自立パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
液体、粘体、粉体、個体等の内容物を包装するための包装袋として、フィルムを重ね合わせてその周縁部をシールして形成したパウチが知られている。
【0003】
図10に特許文献1が開示する自立性のパウチ900の平面図を示す。パウチ900は、第1の側面フィルム901と第2の側面フィルム902との間に2つ折りにした底フィルム903を折り目側から挿入し、互いに接するフィルム間の周縁部をシールすることによって製造される。また、第1の側面フィルム901と第2の側面フィルム902との間に内容物を取り出すためのスパウト904が挟まれてシールされ取り付けられる。各フィルムの周縁部を除く領域が、内容物を収納する収納部905を構成する。各フィルムがシールされた領域の内部には、高さ方向に所定の長さにわたってシールされていない未シール領域906が設けられており、未シール領域906の上端に、第1の側面フィルム901または/および第2の側面フィルムを貫通するように形成されたエア封入口部908を介して、未シール領域906にエアが注入されてエア層907が形成されている。底フィルム903を広げて第1の側面フィルム901と第2の側面フィルム902とを底部において筒形状とすることにより、パウチ900は自立させることが可能である。
【0004】
エア層907によって、第1の側面フィルム901および第2の側面フィルム902はエア層907およびその近傍において、折れ曲がりにくくなっている。このため、パウチ900を自立させる際、パウチ900全体の形も崩れにくく自立性が保たれやすくなっている。また、パウチ900を運搬したり内容物を取り出したりする際には、エア層907近傍が取っ手として機能するため、この部分をつかむことによって、パウチ900が持ちやすくなっている。
【0005】
図11は、未シール領域906にエアを注入する方法の一例を示す概略図である。なお、
図11に示す矢印はエアの流れを示している。未シール領域906へのエアの注入は、一方の側面フィルム側からエアノズル909をあてがい、他方側にエアノズル909の受け部材911をあてがった状態で、エアノズル909のエア吹き出し孔910からエアを吹き出し、エア封入口部908を介して未シール領域906にエアを注入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−123931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
未シール領域906にエアを注入する際、エアノズル909をエア封入口部908が設けられた第1の側面フィルム901または/および第2の側面フィルムに密着させているため、エアノズル909の先端により、未シール領域906内のエア流路が狭窄されてしまい、良好なエアの封入結果が得られなかった。
【0008】
また、未シール領域906内のエア流路を確保しつつ未シール領域906にエアを注入する方法として、
図12に示すように先端部を一部面取りしたエアノズル909を用いる方法や、
図13に示すように一部に凹部を設けた受け部材911を用いる方法が考えられる。なお、
図12および13に示す矢印はエアの流れを示している。しかしながら、先端部を一部面取りしたエアノズル909を用いた場合、この面取りした部分と第1の側面フィルム901との間に隙間ができ、
図12において破線の矢印で示すように、エアが漏れてしまう。また、一部に凹部を設けた受け部材911を用いた場合、第1の側面フィルム901および第2の側面フィルム902が、この凹部に逃げてしまい、エアノズル909と第1の側面フィルム901との間に隙間ができ、
図13において破線の矢印で示すように、エアが漏れてしまう。このように、エアが漏れてしまうと、未シール領域906に注入するのに要するエア量が増えたり、エアを注入するのに要する時間が長くなったり、規定圧に到達する時間がばらつき未シール領域906内部に注入されたエア圧がばらつく課題があった。
【0009】
また、
図14に示すように、エア吹き出し孔910と吸着孔912とを備えた2重管構造のエアノズル909を用いる方法がある。なお、
図14に示す矢印はエアの流れを示している。この方法では、吸着孔912からエアを吸い込むことによって、エアノズル909をあてがう側の側面フィルムをエアノズル909に吸着させて、エア吹き出し孔910よりエアを注入している。この方法は、エア封入口部908を第1の側面フィルム901および第2の側面フィルム902両面に設けたパウチ900は用いることができない。第1の側面フィルム901または第2の側面フィルム902の片面にのみエア封入口部908を設けたパウチ900は、パウチ900形状に全周打ち抜きの工程とは別にエア封入口部908を形成する工程が必要となり、製袋工程は複雑となる。また、2重管構造のエアノズル909は構造が複雑であるためコストが高くなり、さらに、エアを封入する加工時間が長くなるという課題があった。
【0010】
それ故に、本発明の目的は、単管エアノズルを用いた簡便な機構でエアを封入してエア層を形成することができるパウチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の側面フィルムと、第2の側面フィルムと、これらの間に挟まれた底フィルムとを
有し、周縁部
がシール
されており、シールされた前記周縁部に囲まれた部分が収納部
であり、底フィルムが収納部の下方底面となる自立パウチであって、第1の側面フィルムおよび第2の側面フィルムの側端の周縁部においてシールされた領域である側縁部の内部には、上下方向に所定の長さにわたってシールされていない領域である未シール領域と、未シール領域の上端近傍に、第1の側面フィルムと第2の側面フィルムとの少なくとも一方を貫通して形成された開口部とを備え未シール領域は、開口部から所定距離離れた位置に先端面が配置されたエアノズルのエア吹き出し孔から吹き出される空気を、開口部を介して内部に取り込み、内圧が上昇して
、第1の側面フィルムと第2の側面フィルムのうち、エアノズルに近い方が前記エアノズルに向かって膨らんだ際に、エアノズルの先端面に開口部の近傍が密着することができる程度に、開口部の中心からエアノズルの半径より大きい所定の半径内において、シールされていないエア封入口部を含み、開口部は、長さが、エアノズルのエア吹き出し孔の直径より長く、エアノズルの直径より短い切り込みを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単管エアノズルを用いた簡便な機構でエアを封入することができるパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパウチの平面図
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るエア封入口部を示す部分拡大図
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るパウチのエア注入方法を示す図
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るパウチのエア注入方法を示す図
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るパウチのエア層をクランプした状態の断面を示す図
【
図7A】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図7B】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図7C】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図7D】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図7E】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図7F】本発明の第1の実施形態に係るパウチの開口部の他の形状を示す図
【
図8A】本発明の第1の実施形態に係るパウチのくびれ部の他の形状を示す図
【
図8B】本発明の第1の実施形態に係るパウチのくびれ部の他の形状を示す図
【
図8C】本発明の第1の実施形態に係るパウチのくびれ部の他の形状を示す図
【
図9】本発明の第1の実施形態に係るパウチのエア注入方法の他の一例を示す図
【
図12】従来のパウチのエア注入方法の他の一例を示す図
【
図13】従来のパウチのエア注入方法の他の一例を示す図
【
図14】従来のパウチのエア注入方法の他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1に本実施形態に係るパウチ100の平面図を示す。また、
図2に、
図1に示すA−A´線に沿ったパウチ100の断面図を示す。パウチ100は、第1の側面フィルム101と、第2の側面フィルム102と、これらの間に2つ折りにした底フィルム103とを重ね合わせて形成される。これらのフィルムの互いに接するフィルム間の周縁部をシールすることで、収納部105が形成される。底フィルム103を広げ、第1の側面フィルム101と第2の側面フィルム102とを底フィルム103がシールされた側である底部において筒形状とすることにより、底フィルム103を底面としてパウチ100を自立させることが可能である。
【0015】
自立した状態のパウチ100における鉛直方向を上下方向と呼び、水平方向を左右方向と呼ぶことにする。第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102の周縁部のシールされた領域のうち、左右方向の端部である側縁部108には、上下方向に所定の長さにわたって、シールされていない領域である未シール領域106が設けられている。未シール領域106には、エアが注入されてエア層107が形成され、
図2に示すように、未シール領域106において第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102は筒形状に膨らんでいる。第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102には、内容物を取り出すためのスパウト104がこれらのフィルムに挟まれてシールされている。スパウト104は、なくてもよい。
【0016】
パウチ100においては、エア層107によって、第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102はエア層107とその近傍において、折れ曲がりにくくなっている。このため、パウチ100を自立させる際、パウチ100全体の形も崩れにくく自立性が保たれやすくなっている。また、パウチ100を運搬したり内容物を取り出したりする際には、エア層107の周囲の第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102が取っ手として機能するため、この部分をつかむことによって、パウチ100は持ちやすくなっている。パウチ100は、形状が崩れにくく、安定的に保持できるため、内容物が少量であっても、取り出す際に取り出し口の位置を安定させ、意図した位置に内容物を移動することができる。
【0017】
図3にエア封入口部111の図を示す。
図3を用いてエア封入口部111の形状を説明する。パウチ100には、未シール領域106にエアを注入するために、第1の側面フィルム101と第2の側面フィルム102との少なくとも一方を貫通する十字形状の切り込みである開口部110を有するエア封入口部111が形成されている。エア封入口部111は、未シール領域106の上端近傍に設けられ、開口部110は、第1の側面フィルム101と第2の側面フィルム102との少なくとも一方を貫通して左右方向および上下方向に延び、互いに交差する2つの切り込みによって形成される。しかしながら、パウチ100の製袋機の工程において、打ち抜きによってパウチ100の全周トリミングを行う際に、同じ打ち抜き工程作業において開口部110を形成できるようにするため、第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102の両側を貫通して開口部110は形成されることが、好ましい。本実施形態では、一例として、第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102の両面に開口部110を設けている。
【0018】
また、エア封入口部111は、開口部110を中心としたエアノズルの半径より大きい所定の半径内において、シールされていない。エア封入口部を上述のような形状とすることにより、エア封入口部111に、エア封入口部111から所定の距離だけ離れた位置に先端面を配置したエアノズルからエアを注入すると、エア封入口部111の内圧が上昇し、エア封入口部111が、風船状に膨らむ。このとき、エアノズルの先端面のエア吹き出し孔の周囲にわたって、開口部110近傍が密着する。上述した所定の半径範囲は、エアノズルの先端面と開口部110近傍との密着を得ることができるように、エアノズルと開口部110との距離やエアノズルのエア吹き出し孔の直径に応じて、適宜設定すればよい。
【0019】
また、開口部110の切り込みの長さは、エア封入口部111が、風船状に膨らんだときに、開口部110が十分に開口するよう、エアノズルのエア吹き出し孔の直径より長く、エアノズルの先端面と開口部110との隙間からエアの漏れを抑制するため、エアノズルの直径より短い範囲で設定するとよい。
【0020】
また、パウチ100には、エア封入口部111の下端側に、所定の範囲にわたって上下方向に延びるくびれ部109が設けられている。くびれ部109の左右方向の長さは、エア封入口部111にエアを注入した際、未シール領域106に流れるエアの流量を十分に確保できる範囲で、可能な限り短くすることが好ましい。
【0021】
パウチ100は、第1の側面フィルム101と第2の側面フィルム102との間に2つ折りにした底フィルム103を折り目側から挿入し、まず底部側の周縁部と両側縁部とを未シール領域106を形成するようにシールし、打ち抜きによってパウチ100の全周トリミングを行い、打ち抜き工程と同時に第1の側面フィルム101と第2の側面フィルム102とを貫通して開口部110を形成して製造する。その後、エア封入口部111にエアを注入して、未シール領域106にエア層107を形成する。
図4および
図5を参照して、エア封入口部111にエアを注入する手順を説明する。なお、
図4および
図5に示す矢印はエアの流れを示している。
図4に示すように、一例として、第1の側面フィルム101に設けた開口部110から、先端面が所定距離離れた位置にエアノズル113を配置し、第2の側面フィルム102側にエアノズル113の受け部材115をあてがう。その後、円環状の平坦な面であるエアノズル113の先端面の中央部にあるエア吹き出し孔114からエアを吹き出す。このとき、開口部110の近傍はエアブローによって振動しながら、開口部110を介してエア封入口部111内部にエアを取り込み始める。その後、
図5に示すように、エア封入口部111の内部にエアが取り込まれていくと、エア封入口部111の内圧が上昇し、エア封入口部111が風船状に膨らみ、開口部110の近傍がエアノズル113の先端面のエア吹き出し孔114の周囲に密着する。開口部110の近傍がエアノズル113の先端面のエア吹き出し孔114の周囲に密着することにより、エア吹き出し孔114と未シール領域106とが閉鎖された空間となり、エアノズル113とエア封入口部111との間からエアが漏れ出すことを防止することができ、かつ、エア封入口部111内部のエア流路を狭窄することなく、エアを未シール領域106に注入することができる。なお、エアノズル113と開口部110との距離は、ある一定の範囲において大きければ大きいほど、エア封入口部111内部のエア流路を広く確保することができるため、より短時間で未シール領域106にエアを注入することができる。また、エア封入口部111を上述のような形状で設けることにより、パウチ100の材質の伸縮性によらず、エア封入口部111にエアを好適に注入することができる。例えば、パウチ100が伸縮性の低い材質からなっている場合においても、エア封入口部111は十分に膨らむことができ、未シール領域106にエアを好適に注入することができるので、パウチ100の材質として伸縮性の低い材質を好適に用いることができる。
【0022】
また、エアノズル113のエア吹き出し孔114の直径を大きくすればするほど、エアノズル113に対する開口部110の位置の誤差を吸収することができ、エア封入口部111にエアを注入する際の不良品の発生率を低減することができる。また、この際も、エアノズル113の先端面と対向する位置においても十分に膨らむようにエア封入口部111の半径範囲を大きくすることが好ましい。
【0023】
また、所定の圧力までエア封入口部111の内圧が上昇した時点で、エアの封入を停止する。また、エア圧が所定の圧力まで上昇しない場合、エアノズル113に対する開口部110の位置の大きな誤差などの不良と判定することができる。
【0024】
次に、未シール領域106にエア層107を形成した後、エア層107からエアが抜けるのを防ぐため、エア層107内に内圧がかかった状態のまま、くびれ部109をクランプで挟み込み、エア流路を遮断する。ここで、エアによって内圧がかかっているとき、エア層107の左右方向に切断した際の断面形状は
図2に示すように真円に近い形状となる。また、エア流路の周縁部のシール部分は、流路が立体的に膨らむことにより、膨らむ前より接近し合う形状となる。
図6に、このような状態で、エア層107をクランプで挟み込んで、エア流路を遮断した状態の断面を示す。
図6に示すように、エア層107は、両端にフィルムが折り重なって隙間ができた状態でクランプを挟み込むため、エア流路の遮断を十分に行うことができない。これに対して、エア封入口部111とエア層107との間のエア流路を狭窄しているくびれ部109は、ドーム状に膨らむエア封入口部111とエア層107とが端部となり、くびれ部109の左右方向に切断した際の断面形状が真円よりつぶれた形状となっている。そのため、くびれ部109をクランプで挟み込むことにより、両端にフィルムが折り重なることなく、エア流路を好適に遮断することができる。あるいは、くびれ部109の左右方向に切断した際の断面形状が真円に近い形状であっても、直径が小さいので、両端にフィルムが折り重なりにくくなっている。また、くびれ部109を設ける代わりに、パウチ100を保持するグリッパーで、エア層107の側縁部を部分的に挟みこむことで、エア流路を狭窄していてもよい。
【0025】
次に、パウチ100は、エア流路を遮断するため、くびれ部109をクランプで挟み込んだままエア封入口部111のシール処理工程を行う機械に搬送され、エア封入口部111がシールされる。ここで、パウチ100において、エア封入口部111とくびれ部とエア層107とは、上下方向に略1列に並んで設けられているため、パウチ100に対して
左右方向に、くびれ部109をクランプで挟むことができる。そのため、エア封入口部111のシール工程において、クランプとクランプ上方の熱源との干渉を防止しやすい。
【0026】
なお、上記実施形態では、開口部110は十字形状の切り込みであるとしたが、これに限定されるものではない。開口部110の切り込みとしては、例えば、
図7Aに示すような左右方向に延びる1つの直線形状の切り込みや、
図7Bに示すような上下方向に延びる1つの直線形状の切り込みや、
図7Cに示すような右上方向および左上方向に延びる2つの直線形状の切り込みや、
図7Dに示すような各々が互いに重なりあう3つ直線形状の切り込みや、
図7Eに示すような円弧形状の切り込みであってもよい。また、開口部110は、切り込みではなく、
図7Fに示すような中空丸型の孔でもよい。
【0027】
また、上記の実施形態において、くびれ部109は、所定の範囲にわたって上下方向に延びる形状とする代わりに、
図8Aおよび8Bに示すように、エア封入口部111とエア層107との間の所定の箇所を狭窄する形状としてもよい。狭窄した所定箇所の左右方向の長さもくびれ部109と同様、エア封入口部111にエアを注入した際、未シール領域106に流れるエアの流量を十分に確保できる範囲で、可能な限り短くすることが好ましい。また、上記の実施形態では、エア封入口部111とエア層107とは上下方向につながっているが、
図8Cに示すように、エア封入口部111とエア層とは左右方向につながれていてもよく、エア封入口部111とエア層107との間の所定の箇所を狭窄する形状としてもよい。また、
図8Cに示すように、エア封入口部111とエア層とが左右方向につながれている場合、パウチ100に対して上下方向に、狭窄した所定の箇所をクランプで挟むことができる。そのため、クランプとクランプの左方向にある熱源との干渉を防止しやすい。
【0028】
また、上記では、第1の側面フィルム101または第2の側面フィルム102に設けられた開口部110側にのみエアノズル113を配置したエア注入方法を示した。しかしながら、エア封入口部111が、第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102の両面に設けられている場合、
図9に示すように、受け部材115を用いる代わりに、第2の側面フィルム102に設けた開口部110から所定の距離離れた位置にエアノズル113を配置し、第1の側面フィルム101および第2の側面フィルム102の両面に設けたぞれぞれの開口部110にエアを注入してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、自立パウチ等に有用であり、とくに、エア注入効率、製袋工程の作業効率等の向上に有用である。
【符号の説明】
【0030】
100 パウチ
101 第1の側面フィルム
102 第2の側面フィルム
103 底フィルム
104 スパウト
105 収納部
106 未シール領域
107 エア層
108 側縁部
109 くびれ部
110 開口部
111 エア封入口部
113 エアノズル
114 エア吹き出し孔
115 受け部材
900 パウチ
901 第1の側面フィルム
902 第2の側面フィルム
903 底フィルム
904 スパウト
905 収納部
906 未シール領域
907 エア層
908 エア封入口部
909 エアノズル
910 エア吹き出し孔
911 受け部材
912 吸着孔