(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408210
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】防音ドアの遮音構造
(51)【国際特許分類】
E06B 5/20 20060101AFI20181004BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
E06B5/20
E06B7/22 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-222293(P2013-222293)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83747(P2015-83747A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 豊明
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭64−009439(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3020396(JP,U)
【文献】
特開2009−052280(JP,A)
【文献】
特開平09−184377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/20
E06B 7/22
E04B 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネルの左側又は右側を回転軸として開閉される前記ドアパネルをドア枠に対して閉じたときに前記ドア枠と前記ドアパネルとの間に形成される隙間からの音漏れを防止する防音ドアの遮音構造であって、
前記ドアパネルの開閉方向に沿った前記ドアパネルの面である前記ドアパネルの端面のうち、下方の端面に沿って設けられ、該下方の端面から突出した弾性部材であって、前記下方の端面に設けられた取付孔に挿入可能な基体部と、該基体部を前記取付孔に挿入したとき、前記下方の端面から突出する突出部とを有する形状に形成され、前記突出部自体が弾性変形可能に構成された前記弾性部材と、
前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに前記ドアパネルの前記弾性部材が設けられた前記下方の端面に対向する前記ドア枠の表面上に形成された窪部であって、前記弾性部材の長手方向に沿って長尺状に形成されるとともに前記突出部の少なくとも一部が嵌る深さに形成され、前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに前記突出部が嵌る窪部と
を備え、
前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じる際に、前記突出部は、前記弾性部材の長手方向のうち前記回転軸に近い方から順に前記ドア枠との間で押圧されて弾性変形し、前記突出部の少なくとも一部が前記窪部に嵌り、
前記窪部が設けられた前記ドア枠の表面は、前記ドアパネルが閉じる方向側に向かうほど、前記弾性部材が設けられた前記下方の端面に近づく傾斜面と、前記傾斜面と連続する水平面と、を有することを特徴とする防音ドアの遮音構造。
【請求項2】
請求項1に記載の遮音構造において、
前記弾性部材は、
前記ドアパネルの前記下方の端面に対し、前記下方の端面の幅方向に複数列並べて設けられ、
前記窪部は、
前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに、前記各弾性部材に対向する位置に設けられていることを特徴とする防音ドアの遮音構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音ドアの遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
防音ドアは、ドア枠と、このドア枠で囲まれた空間を閉じるドアパネルとを備え、このドアパネルをドア枠に回動可能に取り付け、このドアパネルをドア枠に対して回動することによって、ドア枠で囲まれた空間をドアパネルで開閉する構造となっている。
【0003】
また、防音ドアは、ドア枠の内側表面上に戸当が突設されており、ドアパネルを閉じるとき、ドアパネルを戸当に当てて閉じる構造となっている。
さらに、防音ドアは、その遮音性を確保するため、ドアパネルとドア枠との間にできる隙間からの音漏れを防止する工夫がされている。
【0004】
具体的には、戸当のドアパネルが当たる部分にマグネットパッキン(パッキン本体にマグネットが収容されたもの)を設置し、ドアパネルの戸当が当たる部分に鉄板を設置している。
【0005】
このようにすると、ドアパネルを閉じたとき、戸当側のマグネットパッキンとドアパネル側の鉄板とが密着するので、ドアパネルとドア枠との間にできる隙間から音が漏れることが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−2167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、戸当は、ドア枠の内側表面上から突設されているため使用上不便であることがあり、特に、ドア枠の上下左右の辺うち、下辺部分のドア枠から突設されている戸当は、出入りの際に躓く原因となっていた。
【0008】
そこで本発明は、戸当を設けることによって生じる使用上の不便さを解消可能な防音ドアの遮音構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
防音ドアの遮音構造は、
ドア枠に対してドアパネルを閉じたときに前記ドア枠と前記ドアパネルとの間に形成される隙間からの音漏れを防止する防音ドアの遮音構造であって、
前記ドアパネルの側面に沿って設けられ、該側面から突出した弾性部材と、
前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに前記ドアパネルの前記弾性部材が設けられた前記側面に対向する前記ドア枠の表面上に形成された窪部であって、前記弾性部材の長手方向に沿って長尺状に形成されるとともに前記弾性部材の少なくとも一部が嵌る深さに形成され、前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに前記弾性部材が嵌る窪部と
を備えることを特徴とする。
【0010】
この防音ドアの遮音構造によると、ドア枠とドアパネルとの間にできる隙間を弾性部材が窪部に嵌ることによって塞いでいるので、ドア枠に戸当を設けなくても、ドア枠とドアパネルとの間に形成される隙間からの音漏れを防止することができる。
【0011】
したがって、本発明の防音ドアの遮音構造を用いると、戸当を設けることによって生じる使用上の不便さ、例えば、出入りの際に戸当に躓くことなど、を解消することができる。
【0012】
尚、通常、ドアパネルは上下左右の4つの側面を有するが、弾性部材は、それら4つの側面の全てに設置してもよいし、1、2、又は3つの側面に設置してもよい。窪部もドア枠の上下左右の4つの辺のうちすべての辺に設けてもよいし1、2、又は3つの辺に設けてもよい。
【0013】
上記構成において、
前記窪部が設けられた前記ドア枠の表面は、前記ドアパネルが閉じる方向側に向かうほど、前記弾性部材が設けられた前記側面に近づくテーパがつけられてい
てもよい。
【0014】
このようにすると、ドアパネルの側面に弾性部材を設けても、弾性部材がドア枠に引っ掛かることなく、テーパがつけられたドア枠の表面上に弾性部材がスムーズに載るので、ドアをスムーズに開閉することができる。
【0015】
上記構成において、
前記弾性部材は、
前記ドアパネルの前記側面に対し、前記側面の幅方向に複数列並べて設けられ、
前記窪部は、
前記ドアパネルを前記ドア枠に対して閉じたときに、前記各弾性部材に対向する位置に設けられてい
てもよい。
【0016】
このようにすると、一つの弾性部材を用いた場合に比べ確実に遮音することができる。
上記構成において、
前記弾性部材は、
前記ドアパネルの前記側面に設けられた挿入孔に挿入可能な挿入部と、
該挿入部を前記挿入孔に挿入したとき、前記ドアパネルの前記側面から突出する突出部と
を有する形状に形成されてい
てもよい。
【0017】
このようにすると、ドアパネルに挿入孔を形成し、その挿入孔に弾性部材の挿入部を挿入するだけの簡単な作業で、弾性部材をドアパネルに取り付けることができる。
また、このようにすると弾性部材の挿入部を挿入孔に挿入するだけの簡単な作業で、弾性部材、より具体的には弾性部材の突出部が、ドアパネルの側面から突出した状態となるように弾性部材をドアパネルに取り付けることができる。
【0018】
上記構成において、
前記弾性部材は、前記ドアパネルの下方側面に設けられ、
前記窪部は、前記ドアパネルが前記ドア枠に対して閉じられたとき、前記ドアパネルの下方側面に対向する前記ドア枠の表面上に形成されてい
てもよい。
【0019】
戸当を設けることによって使用上不便になることととしては、ドア枠の下辺に戸当を設けると使用者が躓くことがあったが、本発明のように構成すると、ドア枠の下辺に戸当を設ける必要がなくなるので、使用者が戸当に躓く危険性をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】防音ドアの上方斜視図である(閉じた状態)。
【
図2】防音ドアの上方斜視図である(開いた状態)。
【
図4】防音ドアを構成するドア枠3を
図1のA−A’断面で切断した断面図であって、そのドア枠3に対して閉じたドアパネル5をA−A’断面と同じ断面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本実施形態の防音ドア1は、
図1に示すように、長方形状に板材が組まれたドア枠3と、ドア枠3に対し回動可能に取り付けられた長方形状のドアパネル5とを備えている。
【0022】
そして、ドアパネル5は、ドア枠3の左側の板材に対して蝶番50を介して回動可能に取り付けられている。
ドアパネル5は、右辺側の長手方向中央付近に、ドアノブ52を備えている。
【0023】
ドア枠3を構成する板材のうち上方及び左右の板材には、
図2に示すように、ドアパネル5をドア枠3に対して閉じたときにドアパネル5の縁部が当たるドア当30が設けられている。
【0024】
このドア当30は、ドア枠3の内側表面上から突設されており、左方の板材の下端から上端、上方の板材の左端から右端、右方の板材の上端から下端まで、各板材の長手方向に沿って連続して設けられている。
【0025】
また、ドア当30の前方側(ドアパネル5がドア枠3に対して開く方向側)の側面には、マグネットを内蔵する弾性部材からなるマグネットパッキン32が取り付けられている。
【0026】
そして、ドアパネル5には、このドアパネル5をドア枠3に対して閉じたときに、ドア当30が当たる位置であって、ドアパネル5の後方側(ドアパネル5がドア枠3に対して閉じる方向側)の面の左右及び上方の辺に沿って、鉄板54が貼り付けられている。
【0027】
次に、ドアパネル5は、上下左右に4つの側面(厚みをなす面)を有するが、このうち、下方側面5aには、
図3に示すように、この下方側面5aの幅方向に2列に並べて2つのゴム部材7が取り付けられている。
【0028】
この側面5aには、
図4に示すように、これらゴム部材7を取り付けるための2つの取付孔5bが、下方側面5aの長手方向に沿って左端から右端まで形成されている。これら取付孔5bは、一方が、側面5aの後方側端部に設けられ、他方が、下方側面5aの幅方向中央から前方側端部寄りに設けられている。
【0029】
ゴム部材7は、この取付孔5bに挿入される基体部70と、ドアパネル5に取り付けられたとき側面5aから突出する突出部72とを有している。
基体部70は、ゴム部材7の長手方向に沿った両側側面に複数のヒダ70aを備えている。そのため基体部70を取付孔5bに挿入するとヒダ70aが曲がり、その復元力によって取付孔5b内でヒダ70aが突っ張って基体部70が取付孔5b内で固定される。このようにしてゴム部材7は、ドアパネル5の下方側面5aに取り付けられる。
【0030】
尚、下方側面5aに設けられた取付孔5bのうち、後方側端部に設けられた取付孔5bは、下方側面5aの後方側端部の角部を削り、後方側に向かって開口する部分を鉄板56で覆って形成される。また、この鉄板56は左右の端部が折り曲げられ、ドアパネル5の左右の側面の一部を覆っている。(
図2,3参照)
突出部72は、ゴム部材7の長手方向に垂直な断面が円形状となる中空形状に形成されている。
【0031】
窪部34は、ドアパネル5をドア枠3に対して閉じたときにドアパネル5のゴム部材7が設けられた下方側面5aに対向するドア枠3の表面上に形成されている。
この窪部34は、ドアパネル5が閉じたときに、ドアパネル5の下方側面5aに取り付けられたゴム部材7の長手方向に沿って長尺上に形成されるとともにゴム部材7の先端が嵌る深さに形成され、ドアパネル5をドア枠3に対して閉じたときにゴム部材7の突出部72の先端が嵌る大きさに形成されている。
【0032】
また、この窪部34が設けられたドア枠3の表面であって、ドアパネル5をドア枠3に対して閉じたときに下方側面5aに対向する部分は、ドアパネル5が閉じる方向側に向かうほど、ゴム部材7が設けられた下方側面5aに近づくテーパがつけられている。
(本実施形態の特徴的な作用効果)
このように形成された防音ドア1では、ドアパネル5の下方側面5aから下方に向かってゴム部材7が突出することとなるが、この下方側面5aが対向するドア枠3の表面はテーパがつけられているので、ドアパネル5をドア枠3に閉じるとき、ゴム部材7がドア枠3の表面上にスムーズに載る。
【0033】
そして、さらにドアパネル5をドア枠3に対して閉じると、ゴム部材7はドア枠3のテーパがつけられた部分に載ると弾性変形しながら後方側に向かって移動し、ドアパネル5がドア当30に当たってドア枠3に対して閉じられると、各ゴム部材7の先端が窪部34に嵌り、ドアパネルの下方側面5aとドア枠3の下方の板材との間にできる隙間を閉じる。
【0034】
また、本実施形態では、ドアパネル5の上方側面、及び右方側面、左方側面とドア枠3との間にできる隙間は、マグネットパッキン32が磁力によって弾性変形して鉄板54に磁着することによって閉じられる。
【0035】
そのため、本実施形態の防音ドア1は、この防音ドア1が取り付けられた防音室内で発生する音が外部に漏れないように遮音することができる。
また、本実施形態の防音ドア1は、複数のゴム部材7が窪部34に嵌る構造を採用しているので、確実に遮音することができる。
【0036】
また、本実施形態の防音ドア1は、ゴム部材7を取付孔5b内に挿入するだけで、ドアパネル5に取り付けることができるので、簡単に組み立てることができる。
さらに、本実施形態の防音ドア1は、ドア枠3の下辺上に戸当を設けていないので、使用者が戸当に躓く危険性をなくすことができる。
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0037】
(1)上記実施形態で説明した防音パネルはあくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
(2)上記実施形態では、ゴム部材7をドアパネル5の下方側面にのみ取り付けた構造の防音ドア1を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばこのゴム部材7をドアパネル5の全体に取り付けてもよい。
【0038】
(3)上記実施形態では、ドア枠3にテーパをつけたが、テーパは必ずしも必要なものではない。テーパは製品によってはなくてもよい。
(4)上記実施形態のようにゴム部材7と窪部34の数は2組に限るものではない。1組でもよいし3組以上でもよい。
【符号の説明】
【0039】
1… 防音ドア 3… ドア枠 5… ドアパネル 5a… 側面 5b… 取付孔
7… ゴム部材(弾性部材) 30… ドア当 32… マグネットパッキン
34… 窪部 50… 蝶番 52… ドアノブ 54… 鉄板 56… 鉄板
70… 基体部 70a… ヒダ 72… 突出部