(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パターン画像は、当該パターン画像内における前記第1の表示領域に対応する部分と、当該パターン画像内における前記第2の表示領域に対応する部分とに同一のパターンを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
前記携帯端末装置は、動作モードとして、前記表示制御部による表示処理、前記変換部による変換処理、および、前記実行部による実行処理を実行しない第1の動作モードと、前記表示制御部による表示処理、前記変換部による変換処理、および、前記実行部による実行処理を実行する第2の動作モードとを有し、
前記携帯端末装置は、ボタンをさらに備え、
前記制御部は、前記ボタンに対する操作を受けたことに基づいて、前記携帯端末装置の動作モードを、前記第1の動作モードおよび前記第2の動作モードのいずれか一方から他方の動作モードに設定するための設定部をさらに含む、請求項3に記載の携帯端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
なお、以下では、携帯端末装置の一例として機能するスマートフォンの詳細について説明するが、携帯端末装置は、スマートフォンに限定されるものではない。たとえば、携帯端末装置は、タブレット端末、デジタルカメラ、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、その他の携帯可能な電子機器も含み得る。また、以下で説明される各実施の形態は、選択的に組み合わされてもよい。
【0012】
<関連技術>
まず、以下の各実施の形態の理解を容易にするために、
図1を参照して、関連技術に従うスマートフォン50の概要について説明する。
図1は、ユーザがスマートフォン50を操作している様子を示した図である。
【0013】
ユーザは、スマートフォン50を片手で操作する際には、通常、スマートフォン50を把持している側の手の指(たとえば、親指)でタッチパネル4を操作する場合が多い。この場合、タッチパネル4の表示画面が大きいと、親指が画面の端まで届かないことがある。たとえば、
図1(B)に示されるように、ユーザが左手でスマートフォン50を操作する場合には、左手の親指から離れた位置にある表示領域41には親指が届かない。このため、ユーザは、表示領域41に対しては、スマートフォン50を把持している左手とは反対の右手で操作する必要がある。つまり、ユーザは、タッチパネル4を片手で操作することができない。このような操作性の悪さは、タッチパネル4の表示画面のサイズが大きくなるほど顕著になる。以下で説明する各実施の形態は、タッチパネル4の表示画面のサイズが大きい場合であっても、片手での操作を実現することができる。
【0014】
<第1の実施の形態>
[座標系]
図2を参照して、第1の実施の形態に従うスマートフォン100を基準とした座標系について定義する。
図2は、スマートフォン100を基準とする座標系を示す図である。
【0015】
図2に示されるように、スマートフォン100を基準として、X軸、Y軸、およびZ軸を定義する。X軸は、スマートフォン100の側面に直交する軸である。Y軸は、スマートフォン100の側面に対して平行な軸である。Z軸は、タッチパネル4の表示画面に直交する軸である。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する。
【0016】
[概要]
図3を参照して、第1の実施の形態に従うスマートフォン100の概要について説明する。
図3は、ユーザがスマートフォン100を操作している様子を示している図である。
【0017】
図3(A)に示されるように、タッチパネル4には、スマートフォン100の機能に関連付けられたオブジェクトAおよびオブジェクトBが表示されている。オブジェクトAおよびオブジェクトBは、たとえば、アイコン、ボタン、その他のGUI(Graphical User Interface)の部品などを含む。
【0018】
スマートフォン100は、動作モードとして、通常モードと片手操作モードとを有する。たとえば、
図3(B)に示されるように、ユーザは、スマートフォン100の傾きを変えることにより通常モードおよび片手操作モードの間で動作モードを切り替えることができる。スマートフォン100の動作モードが片手操作モードである場合には、ユーザは、スマートフォン100を把持している手の指(たとえば、親指)から届かない位置に表示されているオブジェクトであっても選択することできるようになる。
【0019】
より具体的には、スマートフォン100の動作モードが通常モードから片手操作モードになると、スマートフォン100は、タッチパネル4の表示領域を、Y軸を中心(基準軸)に2つの領域に分割する。以下では、説明を簡単にするために、タッチパネル4の表示画面の左半分を「左表示領域」とも称し、タッチパネル4の表示画面の右半分を「右表示領域」とも称する。
【0020】
たとえば、ユーザがタッチパネル4の左表示領域のいずれかの位置をタッチしたときには、スマートフォン100は、実際のタッチ位置に対応する右表示領域の位置(以下、「疑似タッチ位置」ともいう。)がタッチされたものとして動作する。一例として、タッチパネル4の領域43がタッチされた場合には、スマートフォン100は、領域43に対応する領域45がタッチされたものとして動作する。すなわち、
図3(C)に示されるように、スマートフォン100は、オブジェクトBが選択されたものとして動作する。このように、スマートフォン100が、タッチ位置を疑似タッチ位置に変換して、疑似タッチ位置におけるタッチ処理を実行することで、ユーザは、スマートフォン100を把持した手から届かない位置に表示されているオブジェクトであっても選択できるようになる。これにより、スマートフォン100は、片手でのタッチパネル4の操作を実現する。
【0021】
また、スマートフォン100は、左表示領域内における任意の点の位置と右表示領域内における任意の点の位置との対応関係を示すパターン画像30を、タッチパネル4に表示される画像に重ねて表示する。ユーザは、タッチパネル4に表示されたパターン画像30を目印にすることで、左表示領域内の任意の点の位置と、右表示領域内の任意の点の位置との対応関係を一見して認識できるようになる。
【0022】
一方、スマートフォン100の動作モードが通常モードである場合には、スマートフォン100は、タッチ位置を疑似タッチ位置に変換せずに、実際のタッチ位置におけるタッチ操作に応じた処理を実行する。たとえば、タッチパネル4の領域43がタッチされた場合には、スマートフォン100は、領域45ではなく、領域43におけるタッチ操作に応じた処理を実行する。
【0023】
なお、
図3に示される例においては、スマートフォン100が、左表示領域に対するタッチ位置を、対応する右表示領域上の位置に変換する例について説明したが、スマートフォン100は、右表示領域に対するタッチ位置を、対応する左表示領域上の位置に変換するように構成されてもよい。
【0024】
また、
図3に示される例においては、左表示領域および右表示領域の2つの画面にタッチパネル4の画面を分割する例について説明したが、表示画面の分割の態様はこれに限定されない。たとえば、スマートフォン100は、以下で説明する第2の実施の形態に従うスマートフォン100Aのように表示画面を上半分と下半分とに分割してもよい。他にも、スマートフォン100は、以下で説明する第3の実施の形態に従うスマートフォン100Bのように、3つ以上の領域に表示画面を分割してもよい。他にも、スマートフォン100は、必ずしも表示画面を対称に分割する必要はなく、異なる形状に表示画面を分割してもよい。
【0025】
[ハードウェア構成]
図4および
図5を参照して、第1の実施の形態に従うスマートフォン100のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、スマートフォン100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図5は、スマートフォン100の外観を模式的に示した図である。
図4に示されるように、スマートフォン100は、ROM(Read Only Memory)1と、CPU(Central Processing Unit)2と、RAM(Random Access Memory)3と、タッチパネル4と、加速度センサ5と、ボタン6と、カメラ7と、ジャイロセンサ8と、圧力センサ10と、ネットワークインタフェース(I/F)11と、記憶装置20とを備える。
【0026】
ROM1は、オペレーティングシステム(OS:Operating System)、スマートフォン100の起動時に実行される初期プログラム(ブートプログラム)などを格納する。CPU2は、ROM1や記憶装置20などに格納された、オペレーティングシステムやスマートフォン100の制御プログラムなどの各種プログラムを実行することで、スマートフォン100の動作を制御する。RAM3は、CPU2でプログラムを実行するためのワーキングメモリとして機能し、プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0027】
タッチパネル4は、モニタ4Aと、タッチセンサ4Bとを含む。タッチセンサ4Bは、モニタ4Aに重ねられて設けられる。これにより、タッチパネル4は、ユーザがモニタ4Aに対してタッチした位置(すなわち、タッチ位置)を検出することができる。タッチ位置は、たとえば、タッチパネル4上の座標として検出される。タッチパネル4は、たとえば、抵抗膜方式、静電容量方式、その他のタッチパネル4に対する接触を検出することが可能な方式で実現される。
【0028】
加速度センサ5は、スマートフォン100の加速度を検出し、スマートフォン100の傾きを検出する。より具体的には、加速度センサ5は、重力加速度を検出することにより、重力がスマートフォン100のどの方向にかかっているかを検出する。加速度センサ5は、検出した重力加速度の方向を基準として、スマートフォン100の傾きを検出する。加速度センサ5は、検出したスマートフォン100の傾きをCPU2に出力する。
【0029】
ボタン6は、バックキー6Aと、ホームキー6Bと、メニューキー6Cと、電源キー6Dとを含む。
図5に示されるように、バックキー6A、ホームキー6B、メニューキー6Cは、たとえば、スマートフォン100の表示面と同一の面に設けられる。電源キー6Dは、たとえば、スマートフォン100の側面に設けられる。
【0030】
カメラ7は、レンズと、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)その他の撮像素子と、オートフォーカス機構とを含む。カメラ7は、ユーザ操作に応じて、視野に含まれる被写体を撮影し、入力画像を生成する。生成した入力画像は、CPU2に出力される。
【0031】
ジャイロセンサ8は、X軸、Y軸、およびZ軸の各軸回りのスマートフォン100の角速度を検出することにより、スマートフォン100の傾きを検出する。ジャイロセンサ8は、検出したスマートフォン100の傾きをCPU2に出力する。
【0032】
圧力センサ10は、スマートフォン100の側面に外部からかけられた圧力を検出する。
図5に示されるように、圧力センサ10は、たとえば、スマートフォン100の左側面および右側面のそれぞれに設けられる。
【0033】
ネットワークI/F11は、アンテナ11Aを介して、他の通信機器との間でデータを送受信する。他の通信機器は、たとえば、スマートフォン、パソコン、サーバ装置、その他通信機能を有する携帯端末装置などである。スマートフォン100は、アンテナ11Aを介して、本実施の形態に従う各種の処理を実現するためのプログラムをダウンロードできるように構成されてもよい。
【0034】
記憶装置20は、たとえば、eMMC(Embedded MultiMediaCard)などの記憶媒体を含む。eMMCは、NANDフラッシュメモリと、制御回路とを含む。記憶装置20は、本実施の形態に従う各種の処理を実現するためのプログラムなどを格納する。また、記憶装置20は、オペレーティングシステムなどのプログラムを格納していてもよい。
【0035】
[機能構成]
図6を参照して、スマートフォン100の機能構成の一例について説明する。
図6は、スマートフォン100の機能構成を示すブロック図である。CPU2は、設定部210と、表示制御部220と、位置検出部230と、変換部240と、実行部250とを含む。
【0036】
設定部210は、加速度センサ5およびジャイロセンサ8の少なくとも一方が出力したスマートフォン100の傾きに応じて、動作モードを通常モードか片手操作モードに設定する。一例として、設定部210は、自端末のY軸(
図2参照)回りの傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合に、動作モードを片手操作モードに設定する。また、設定部210は、自端末のY軸回りの傾きが予め定められた角度よりも小さくなった場合に、動作モードを通常モードに設定する。
【0037】
表示制御部220は、左表示領域内における任意の点の位置と右表示領域内における任意の点の位置との対応関係を示すパターン画像を、タッチパネルに表示される画像に重ねて表示する。パターン画像の詳細については後述する。
【0038】
位置検出部230は、タッチパネルに対するタッチ位置を検出する。タッチ位置は、たとえば、タッチパネルの左下の位置を原点とした座標情報として検出される。位置検出部230は、検出したタッチ位置を変換部240に出力する。
【0039】
変換部240は、位置検出部230によって検出された左表示領域および右表示領域のいずれか一方の表示領域に対するタッチ位置を、後述のパターン画像を基準にして、対応する他方の表示領域上の位置(すなわち、疑似タッチ位置)に変換する。変換部240は、疑似タッチ位置を実行部250に出力する。なお、変換部240の処理の詳細については後述する。
【0040】
実行部250は、疑似タッチ位置に基づいて、タッチパネルに対するタッチ操作に応じた命令を実行する。より具体的には、オブジェクトが表示されている領域に疑似タッチ位置が含まれる場合に、実行部250は、当該オブジェクトに関連付けられている機能を実行するための命令信号を出力する。
【0041】
なお、CPU2は、スマートフォン100の動作モードが片手操作モードの場合には、表示制御部220による表示処理、変換部240よる変換処理、および、実行部250による実行処理を実行する。CPU2は、スマートフォン100の動作モードが通常モードである場合には、表示制御部220による表示処理、変換部240による変換処理、および、実行部250による実行処理を実行しない。すなわち、表示制御部220は、パターン画像をタッチパネルに表示しない。また、変換部240は、タッチ位置を疑似タッチ位置に変換せずに、実行部250は、疑似タッチ位置ではなく、実際のタッチ位置に基づいたタッチ処理を実行する。
【0042】
[動作モード]
以下、設定部210によるスマートフォン100の動作モードの設定方法の詳細について説明する。スマートフォン100は、動作モードとして、通常モードと片手操作モードとを有する。片手操作モードは、左手のみでスマートフォン100を操作することが可能な左手操作モードと、右手のみでスマートフォン100を操作することが可能な右手操作モードとを含む。
【0043】
ユーザは、スマートフォン100の傾きを変えることで、動作モードを通常モード、左手操作モード、および右手操作モードのうちのいずれかに設定することができる。スマートフォン100の傾きは、たとえば、加速度センサ5(
図4参照)によって検出される。より具体的には、スマートフォン100は、加速度センサ5から出力される、X軸、Y軸、Z軸の各軸方向の自端末の加速度を常時監視する。スマートフォン100は、検出した加速度の変化から、自端末の傾きの変化や変化量(回転量)を検出する。あるいは、スマートフォン100は、ジャイロセンサ8(
図4参照)を用いて、X軸、Y軸、Z軸の各軸回りの角速度を監視することにより、自端末の傾きの変化と変化量とを検出してもよい。
【0044】
一例として、設定部210は、Y軸を中心とした反時計回りの回転を検出した場合には、動作モードを左手操作モードに設定する。また、スマートフォン100は、Y軸を中心とした時計回りの回転を検出した場合には、動作モードを右手操作モードに設定する。
【0045】
ある局面において、設定部210は、ユーザがボタン6を押下したことに基づいて、通常モードと片手操作モードとの間で動作モードを切り替えるように構成されてもよい。一例として、ユーザがバックキー6Aおよびホームキー6Bを同時に押下した場合には、設定部210、通常モードと左手操作モードとの間で動作モードを切り替える。ユーザがホームキー6Bおよびメニューキー6Cを同時に押下した場合には、設定部210は、通常モードと右手操作モードとの間で動作モードを切り替える。
【0046】
他の局面において、設定部210は、ユーザのスマートフォン100を握る力に応じて、通常モードと片手操作モードとの間で動作モードを切り替えるように構成されてもよい。たとえば、ユーザが左側面に設けられた圧力センサ10に予め定められた圧力よりも大きい圧力をかけた場合には、スマートフォン100は、通常モードと左手操作モードとの間で動作モードを切り替える。ユーザが右側面に設けられた圧力センサ10に予め定められた圧力よりも大きい圧力をかけた場合には、スマートフォン100は、通常モードと右手操作モードとの間で動作モードを切り替える。
【0047】
[タッチ位置の変換処理]
図7を参照して、変換部240がタッチ位置を疑似タッチ位置に変換する処理についてさらに詳細に説明する。
図7(A)〜
図7(C)は、変換部240が実行する処理の概略を示した概念図である。以下では、
図7(A)に示されるように、タッチパネル4の横の長さをLx(たとえば、横方向のドット数)、タッチパネルの縦の長さをLy(たとえば、縦方向のドット数)、タッチパネルの左下を原点(0,0)と定義して、変換部240の処理について説明する。
【0048】
変換部240は、動作モードが、左手操作モードか右手操作モードかによって異なる方法でタッチ位置を疑似タッチ位置に変換する。たとえば、スマートフォン100の動作モードが左手操作モードである場合には、変換部240は、
図7(B)に示されるように、左表示領域に対するタッチ位置61を、対応する右表示領域内の疑似タッチ位置63に変換する。より具体的には、ユーザが左表示領域内の点(x,y)をタッチしたときには、変換部240は、以下の式(1)に基づいて、疑似タッチ位置(X,Y)を算出する。
【0049】
(X,Y)=(x+Lx/2,y)(ただし、0≦x<Lx/2)・・・(1)
スマートフォン100は、算出した疑似タッチ位置(X,Y)に対するタッチ操作が行なわれたものとして動作する。これにより、ユーザは、左手の親指が届かない位置に表示されているオブジェクトであっても、左手で選択できるようになる。
【0050】
また、スマートフォン100は、右表示領域に対するタッチ操作については、タッチ位置65を変換することなく、実際のタッチ位置におけるタッチ操作に応じた処理を実行する。ユーザは、左表示領域へのタッチ操作については、動作モードを片手操作モードから通常モードに切り替えることにより行なう。
【0051】
一方、スマートフォン100の動作モードが右手操作モードである場合には、
図7(C)に示されるように、変換部240は、右表示領域に対するタッチ位置71を、対応する左表示領域内の疑似タッチ位置73に変換する。より具体的には、右表示領域内の点(x,y)がユーザによってタッチされたときには、変換部240は、以下の式(2)に基づいて、疑似タッチ位置(X,Y)を算出する。
【0052】
(X,Y)=(x−Lx/2,y)(ただし、Lx/2≦x<Lx)・・・(2)
スマートフォン100は、算出した疑似タッチ位置(X,Y)に対するタッチ操作が行なわれたものとして動作する。これにより、ユーザは、右手の親指が届かない位置に表示されているオブジェクトであっても、右手で選択できるようになる。
【0053】
なお、スマートフォン100の動作モードが右手操作モードである場合には、
図7(C)に示されるように、スマートフォン100は、左表示領域に対するタッチ操作については、タッチ位置75を変換することなく、実際のタッチ位置に基づいたタッチ処理を実行する。ユーザは、右表示領域へのタッチ操作については、動作モードを片手操作モードから通常モードに切り替えることにより行なう。
【0054】
以上のようにして、スマートフォン100を把持している手の親指に近い一方の表示領域がタッチされたときには、スマートフォン100は、実際のタッチ位置ではなく、対応する他の表示領域内の位置がタッチされたものとして動作する。これにより、ユーザは、右手のみでも左手のみでもタッチパネル4を操作することができるようになる。
【0055】
[パターン画像]
図8を参照して、表示制御部220によってタッチパネルに表示されるパターン画像について説明する。
図8は、パターン画像の一例を示した図である。上述のように、スマートフォン100の動作モードが片手操作モードである場合には、変換部240によってタッチ位置が疑似タッチ位置に変換される。これにより、実際のタッチ位置とは異なる位置におけるタッチ処理が実行されるため、ユーザは、意図するようにスマートフォン100が動作していないと感じる可能性がある。そこで、スマートフォン100の動作モードが片手操作モードであることをユーザに明示するために、表示制御部220は、タッチパネルに表示されている画像に重ねてパターン画像を表示する。
【0056】
好ましくは、パターン画像は、タッチした位置と疑似タッチ位置との対応関係をユーザが理解しやすいように、左表示領域に対応する部分と、右表示領域に対応する部分とに同一のパターンを有する。たとえば、
図8(A)に示されるようなパターン画像30が挙げられる。パターン画像30は、左表示領域に対応する部分と右表示領域に対応する部分とで同じ記号の羅列を有する。これにより、ユーザは、左表示領域内の位置とそれに対応する右表示領域内の位置とを一見して理解することができる。
【0057】
図8(B)には、パターン画像30がタッチパネル4に表示されている様子が示されている。たとえば、スマートフォン100の動作モードが左手操作モードである場合において、ユーザが左表示領域内の「Start」ボタンに重ねて表示されている記号「⇒」をタッチしたときには、スマートフォン100は、右表示領域の記号「⇒」が表示されている部分がタッチされたものとして動作する。すなわち、スマートフォン100は、「Start」ボタンではなく、「Reset」ボタンがタッチされたものとして動作する。
【0058】
なお、パターン画像は、左表示領域内の任意の点の位置と、右表示領域内の任意の点の位置との対応関係をユーザが理解できるものであればいずれであってもよい。たとえば、パターン画像は、左表示領域に対応する部分と、右表示領域に対応する部分とに同一の画像を有するものであってもよい。他にも、パターン画像は、左表示領域および右表示領域のそれぞれで、色が異なるものであってもよい。他にも、パターン画像は、それぞれの領域で、透過度合いが異なるものであってもよい。他にも、パターン画像は、それぞれの領域で、記号や模様の大きさや形を変えたものであってもよい。他にも、パターン画像は、それぞれの領域において、同一の模様、同一の絵柄、または同一の文字列などを有してもよい。
【0059】
また、ユーザが、タッチパネル上において選択できるオブジェクトと選択できないオブジェクトとを見分けられるように、表示制御部220は、選択できるオブジェクトが表示されている領域の表示を濃くして、選択できないオブジェクトが表示されている領域の表示を薄くしてもよい。たとえば、スマートフォン100の動作モードが左手操作モードである場合には、ユーザが、左表示領域にタッチしたとしても、タッチ位置が変換されるため、ユーザは、左表示領域に表示されたオブジェクトを選択できない。これを明示するために、
図8(C)に示されるように、表示制御部220は、左表示領域の表示を薄くし、右表示領域の表示を濃くする。すなわち、表示制御部220は、左表示領域に表示されている操作画面の透過度を高くし、右表示領域に表示されている操作画面の透過度を低くする。これにより、ユーザは、左表示領域に表示されているオブジェクトを選択できないことを直感的に理解できる。同様に、スマートフォン100の動作モードが右手操作モードである場合には、タッチパネルの右表示領域の透過度を高くする。
【0060】
なお、表示制御部220は、表示領域の濃淡を、上記とは逆にしてもよい。すなわち、タッチ位置が変換される領域をユーザが直感的に理解できるように、表示制御部220は、タッチ位置が変換される領域の表示を濃くして、タッチ位置が変換されない領域の表示を薄くしてもよい。この場合、スマートフォン100の動作モードが左手操作モードであるときには、表示制御部220は、左表示領域の表示を濃くし、右表示領域の表示を薄くする。
【0061】
(パターン画像の変形例1)
図9を参照して、パターン画像の変形例について説明する。
図9は、変形例に従うパターン画像30Aを示した図である。パターン画像は、任意のアプリケーションの画面に特化したものでもよい。たとえば、
図9(B)に示されるように、表示制御部220は、オブジェクトが表示されているタッチパネル4上の領域にのみパターン画像30Aを表示する。これにより、パターン画像を表示する領域を減らすことができるため、タッチパネルの視認性を向上させることができる。
【0062】
なお、
図9(A)に示されるように、変形例に従うパターン画像30Aは、アプリケーションの画面ごとに用意されてもよい。また、表示制御部220は、アプリケーションごとにオブジェクトの配置位置を算出して、算出したオブジェクトの配置位置に応じて記号などのパターンの配置を決定することで、パターン画像30Aを自動的に作成してもよい。
【0063】
[パターン画像の表示方法]
以下では、タッチパネルに表示されている画像にパターン画像を重ねて表示する方法について説明する。表示制御部220は、タッチパネルに表示されている画像とパターン画像とを合成することで、表示画像にパターン画像を重ねる。一例として、表示制御部220は、αブレンディングにより合成画像を生成する。より具体的には、パターン画像内の座標(x,y)における画素値をf
1(x,y)とし、タッチパネルに表示される画像内の座標(x,y)における画素値をf
2(x,y)とした場合には、表示制御部220は、以下の式(3)を用いて合成画像g(x,y)を生成する。
【0064】
g(x,y)=α・f
1(x,y)+(1−α)・f
2(x,y) (ただし、0≦α≦1)・・・(3)
他にも、表示制御部220がパターン画像を表示する方法として、表示制御部220は、SHARP(登録商標)製の携帯電話やスマートフォンに搭載されているベールビュー機能を流用してもよい。ベールビュー機能とは、周囲からののぞき見を防止するために、フィルタ画像(カラー画像も可)を表示中の画面に重ねて表示するものである。より具体的には、ベールビュー機能は、ユーザが正面から画面を見た場合には、フィルタ画像を目立たないようにすることで画面を見易くなるが、ユーザが正面以外(上下左右)の方向から画面を見た場合には、フィルタ画像を目立たせることで画面を見づらくするものである。たとえば、Softbank(登録商標)の302SHなどのSHARP製のスマートフォンには、フィルタ画像として
図10(A)〜
図10(C)に示されるようなフィルタ画像が搭載されている。
【0065】
表示制御部220は、ベールビュー機能の特徴を利用して、フィルタ画像の代わりにパターン画像を表示する。ベールビュー機能が実行されている間に、ユーザがスマートフォンを傾けるか、ユーザが斜め方向からスマートフォンの画面を見ると、ユーザは、パターン画像(フィルタ画像)を視認できるようになる。このため、スマートフォンの傾きに応じて動作モードを片手操作モードに設定する第1の実施の形態に従うスマートフォン100や、以下で説明する第4の実施の形態に従うスマートフォン100Cに対して、ベールビュー機能を流用することは特に有効である。
【0066】
[動作例]
以下では、
図11を参照して、スマートフォン100の動作例について説明する。
図11は、ユーザの操作に伴う表示画面の変化の概略を示した概念図である。一例として、ユーザが左手でスマートフォン100を操作する例を挙げてスマートフォン100の動作を説明する。
【0067】
図11(A)には、スマートフォン100が、タッチパネル4の画面を消灯(すなわち、パネルセーブ)している様子が示されている。この状態において、ユーザが電源キー6D(
図5参照)などを押下することにより、
図11(B)に示されるように、スマートフォン100は、画面表示を点灯して、スマートフォン100の使用を開始できる状態(初期状態)にする。同時に、スマートフォン100は、動作モードを通常モードに設定する。ユーザは、スマートフォン100の使用を開始するときには、自端末の表示画面を正面から見ている可能性が高いので、この時点において、スマートフォン100は、動作モードを通常モードに設定することが適切であると考えられる。次に、ユーザが何らかのアプリケーションを起動させたとする。
図11(B)には、ユーザがストップウォッチのアプリケーションを起動させた例が示されている。
【0068】
次に、
図11(C)に示されるように、ユーザが、スマートフォン100を回転したとする。このとき、スマートフォン100が、予め定められた角度(たとえば、45度)よりも大きい筐体の傾きの変化(向きの変化)を検出すると、スマートフォン100は、動作モードを通常モードから片手操作モード(左手操作モードまたは右手操作モード)に切り替える。たとえば、スマートフォン100は、Y軸に対する反時計回りの回転(
図11(C)の矢印方向)を検出した場合には、動作モードを通常モードから左手操作モードに切り替える。また、スマートフォン100は、Y軸に対する時計回りの回転(
図11(C)の矢印方向の反対方向)を検出した場合には、動作モードを通常モードから右手操作モードに切り替える。
図11(C)には、ユーザが動作モードを左手操作モードに設定した場合の例が示される。
【0069】
また、スマートフォン100は、動作モードを通常モードから片手操作モードに切り替える際に、パターン画像をタッチパネル4の表示画面に重ねて表示する。このとき、パターン画像は、表示画面に透過して表示される。この状態において、ユーザが左表示領域内の位置81をタッチした場合には、スマートフォン100は、位置81に対応する疑似タッチ位置83におけるタッチ操作を実行する。すなわち、スマートフォン100は、疑似タッチ位置83に表示されている「Lap」ボタンに関連付けられている処理を実行する。その結果、ラップタイム85がタッチパネル4に表示される。
【0070】
次に、
図11(D)に示されるように、ユーザが、反時計回りに回転させたスマートフォン100を時計回りに回転させて自端末の傾きを回転前の状態に戻したとする。スマートフォン100は、一定の角度よりも大きいY軸に対する時計回りの回転角を検出した場合には、スマートフォン100は、動作モードを左手操作モードから通常モードに切り替える。同時に、スマートフォン100は、パターン画像の表示を消去して、アプリケーションによる元の画面のみを表示する。
【0071】
以上のような手順により、ユーザは、「Lap」ボタンや、「Reset」ボタンのように、左手の親指からは届かない位置に表示されているオブジェクトを、右手を使ったり、左手で筐体を握る位置を変えたりすることなく操作することができる。
【0072】
[制御構造]
図12を参照して、スマートフォン100の制御構造について説明する。
図12は、スマートフォン100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図12の処理は、CPU2がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部又は全部が、回路素子その他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0073】
ステップS510において、CPU2は、ユーザがスマートフォン100の操作を開始できる状態(初期状態)であるか否かを判断する。一例として、CPU2は、スマートフォン100がパネルセーブモードでない場合には、初期状態であると判断する。CPU2は、スマートフォン100が初期状態であると判断した場合には(ステップS510においてYES)、制御をステップS512に切り替える。そうでない場合には(ステップS510においてNO)、CPU2は、再びステップS510の処理を実行する。
【0074】
ステップS512において、CPU2は、設定部210として、スマートフォン100の動作モードを通常モードに設定する。ステップS514において、CPU2は、加速度センサ5およびジャイロセンサ8の少なくとも一方からの出力に応じて、筐体の傾きが変化したか否かを判断する。CPU2は、筐体の傾きが変化したと判断した場合には(ステップS514においてYES)、制御をステップS516に切り替える。そうでない場合には(ステップS514においてNO)、CPU2は、制御をステップS520に切り替える。
【0075】
ステップS516において、CPU2は、ステップS514で検出した傾きの変化が、一定の角度よりも大きいY軸回りの回転であるか否かを判断する。CPU2は、検出した傾きの変化が、一定の角度よりも大きいY軸回りの回転であると判断した場合には(ステップS516においてYES)、制御をステップS530に切り替える。そうでない場合には(ステップS516においてNO)、CPU2は、制御をステップS520に切り替える。
【0076】
ステップS520において、CPU2は、ユーザのタッチ操作に基づいて生じたタッチイベントを検出したか否かを判断する。CPU2が、タッチイベントを検出した場合には(ステップS520においてYES)、CPU2は、位置検出部230として、タッチパネル内のタッチ位置(座標)を検出し、制御をステップS522に切り替える。CPU2は、タッチイベントを検出しない場合には(ステップS520においてNO)、制御をステップS514に戻す。
【0077】
ステップS522において、CPU2は、タッチイベントをタッチ位置とともに上位層のアプリケーションに通知する。ステップS524において、上位のアプリケーションは、タッチ位置に応じた処理を実行する。
【0078】
ステップS530において、CPU2は、Y軸回りの回転方向を記憶する。たとえば、CPU2は、回転方向が時計回りであるか反時計回りであるかを判断し、ROM1、RAM3、記憶装置20などに回転方向を記憶する。
【0079】
ステップS532において、CPU2は、設定部210として、スマートフォン100の動作モードを片手操作モード(右手操作モードまたは左手操作モード)に設定する。たとえば、CPU2は、スマートフォン100の回転方向が反時計回りである場合には、動作モードを左手操作モードに設定する。CPU2は、スマートフォン100の回転方向が時計回りである場合には、動作モードを右手操作モードに設定する。ステップS534において、CPU2は、表示制御部220として、タッチパネルに表示されている画像に重ねてパターン画像を表示する。
【0080】
ステップS536において、CPU2は、加速度センサ5およびジャイロセンサ8の少なくとも一方からの出力に基づいて、筐体の傾きが変化したか否かを判断する。一例として、CPU2は、筐体の傾きが変化したと判断した場合には(ステップS536においてYES)、制御をステップS538に切り替える。そうでない場合には(ステップS536においてNO)、CPU2は、制御をステップS560に切り替える。
【0081】
ステップS538において、CPU2は、ステップS536で検出した傾きの変化が、一定の角度よりも大きいY軸回りの回転であるか否かを判断する。CPU2は、検出した傾きの変化が、一定の角度よりも大きいY軸回りの回転であると判断した場合には(ステップS538においてYES)、制御をステップS540に切り替える。そうでない場合には(ステップS538においてNO)、CPU2は、制御をステップS560に切り替える。
【0082】
ステップS540において、CPU2は、ステップS538で検出した回転方向が、ステップS530で記憶した回転方向に対して逆向きであるか否かを判断する。CPU2は、ステップS538で検出した回転方向が逆向きであると判断した場合には(ステップS540においてYES)、制御をステップS550に切り替える。そうでない場合には(ステップS540においてNO)、CPU2は、制御をステップS560に切り替える。
【0083】
ステップS550において、CPU2は、表示制御部220として、パターン画像の表示を消去する。ステップS560において、CPU2は、ユーザのタッチ操作に基づいて生じたタッチイベントを検出したか否かを判断する。CPU2が、タッチイベントを検出した場合には(ステップS560においてYES)、CPU2は、位置検出部230として、タッチパネル内のタッチ位置(座標)を検出するとともに、制御をステップS562に切り替える。CPU2は、タッチイベントを検出しない場合には(ステップS560においてNO)、制御をステップS536に戻す。
【0084】
ステップS562において、CPU2は、ユーザがスマートフォン100を把持している手に近い方の表示領域に対するタッチ操作であるか否かを判断する。たとえば、スマートフォン100の動作モードが左手操作モードである場合において、CPU2が左表示領域に対するタッチ操作を検出したときには(ステップS562においてYES)、CPU2は、制御をステップS564に切り替える。同動作モードにおいて、CPU2が右表示領域に対するタッチ操作を検出したときには(ステップS562においてNO)、CPU2は、制御をステップS566に切り替える。
【0085】
同様に、スマートフォン100の動作モードが右手操作モードである場合において、CPU2が右表示領域に対するタッチ操作を検出したときには(ステップS562においてYES)、CPU2は、制御をステップS564に切り替える。同動作モードにおいて、CPU2が左表示領域に対するタッチ操作を検出したときには(ステップS562においてNO)、CPU2は、制御をステップS566に切り替える。
【0086】
ステップS564において、CPU2は、変換部240として、タッチ位置を疑似タッチ位置に変換する。ステップS566において、CPU2は、タッチ位置または疑似タッチ位置と、タッチイベントとを上位層のアプリケーションに通知する。ステップS524において、上位のアプリケーションは、タッチ位置に応じた処理を実行する。
【0087】
[小括]
以上のようにして、本実施の形態に従うスマートフォン100は、動作モードが片手操作モードである場合には、タッチ位置を疑似タッチ位置に変換して、疑似タッチ位置に基づいたタッチ処理を実行する。これにより、ユーザは、スマートフォン100を把持している一方の手から離れた位置に表示されているオブジェクトを、他方の手を用いたり、自端末を把持している手の位置を変えたりすることなく、選択できるようになる。したがって、スマートフォン100を把持している手の指(たとえば、親指)が画面の端まで届かないような場合であっても、ユーザは、画面全域を片手で操作することができる。この効果は、5インチを超えるような表示画面が大きいスマートフォンに対して特に顕著に表れる。
【0088】
また、ユーザは、スマートフォン100の傾きを変えるという簡単な操作で、スマートフォン100の動作モードを通常モードまたは片手操作モードに設定することができる。これにより、ユーザは、実際のタッチ位置におけるタッチ操作を行なうか、疑似タッチ位置におけるタッチ操作を行なうかを容易に選択できるようになる。
【0089】
さらに、スマートフォン100は、パターン画像を表示画面に重ねて表示することで、ボタンなどのオブジェクトの画面レイアウトを変えることなく、片手での操作を実現することができる。このため、スマートフォン100は、オブジェクトが重ならないようにオブジェクトの表示位置を計算するなどの複雑な処理を行なう必要がない。したがって、スマートフォン100は、画面レイアウトを変える場合に比べて計算量を削減することができる。この効果は、特に、オブジェクトの数が多くなるほど顕著に表れる。
【0090】
<第2の実施の形態>
[概要]
以下、
図13を参照して、第2の実施の形態に従うスマートフォン100Aの概要について説明する。
図13は、ユーザがスマートフォン100Aを操作している様子を示している図である。第2の実施の形態に従うスマートフォン100Aは、タッチパネルの表示画面を、左右ではなく上下に分割する点で、第1の実施の形態に従うスマートフォン100とは異なる。ハードウェア構成などのその他の点については第1の実施の形態に従うスマートフォン100と同じであるので、それらの説明は繰り返さない。
【0091】
図13に示されるように、ユーザは、スマートフォン100Aの下側を把持する場合が多い。このため、スマートフォン100Aを把持している手の指(たとえば、親指)がタッチパネル4の上側まで届かない場合がある。また、タッチパネル4の表示画面が、ユーザの手に対して縦方向に長い場合には、スマートフォン100Aを把持している手の指(たとえば、親指)が画面全域に届かない可能性もある。
【0092】
図13に示される例においては、ユーザは、表示領域44にタッチしようとする場合、スマートフォン100Aを把持している左手とは反対の右手を用いるか、スマートフォン100を把持する手の位置を変える必要がある。
【0093】
そこで、スマートフォン100Aは、タッチパネル4の下半分の表示領域(以下、「下表示領域」ともいう。)に対するタッチ操作を、タッチパネル4の上半分の表示領域(以下、「上表示領域」ともいう。)に対するタッチ操作として実行する。これにより、ユーザは、ユーザの指が届かない上表示領域に表示されたオブジェクトを、両手を用いることなしに選択できるようになる。
【0094】
[動作モード]
図14を参照して、スマートフォン100Aの動作モードについて説明する。
図14は、スマートフォン100Aが実行する処理の概略を示した概念図である。
【0095】
スマートフォン100Aは、動作モードとして、通常モードと片手操作モードとを有する。片手操作モードは、タッチパネル4の上半分に表示されているオブジェクトをユーザが選択することができる上部操作モードを含む。設定部210(
図6参照)は、加速度センサ5およびジャイロセンサ8の少なくとも一方から受けたスマートフォン100Aの傾き角に応じて、動作モードを通常モードまたは上部操作モードに設定する。一例として、設定部210、スマートフォン100AのX軸回りの傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合に、動作モードを上部操作モードに設定する。また、設定部210は、スマートフォン100AのX軸回りの傾きが予め定められた角度よりも小さくなった場合に、動作モードを通常モードに設定する。
【0096】
[タッチ位置の変換処理]
スマートフォン100Aの動作モードが上部操作モードである場合において、ユーザがタッチパネル4の下表示領域のいずれかの位置をタッチしたときには、スマートフォン100Aは、実際のタッチ位置に対応する上表示領域の位置(すなわち、疑似タッチ位置)に変換する。たとえば、スマートフォン100Aの動作モードが上部操作モードである場合には、14(B)に示されるように、変換部240は、下表示領域に対するタッチ位置87を、対応する右表示領域内の疑似タッチ位置89に変換する。
【0097】
より具体的には、タッチパネル4の横の長さをLx(たとえば、横方向のドット数)、タッチパネルの縦の長さをLy(たとえば、縦方向のドット数)、タッチパネルの左下を原点(0,0)とした定義した場合において、下表示領域内の点(x,y)がユーザによってタッチされたときには、変換部240は、以下の式(4)に基づいて、疑似タッチ位置(X,Y)を算出する。
【0098】
(X,Y)=(x,y+Ly/2)(ただし、0≦y<Ly/2)・・・(4)
スマートフォン100Aは、算出した疑似タッチ位置(X,Y)に対するタッチ操作が行なわれたものとして動作する。これにより、ユーザは、指が届きにくい上部表示領域に表示されているオブジェクトであっても、両手を使わずに選択できるようになる。
【0099】
[小括]
以上のようにして、本実施の形態に従うスマートフォン100Aは、動作モードが上部操作モードである場合には、下表示領域に対するタッチ位置を上表示領域における疑似タッチ位置に変換し、疑似タッチ位置に基づいたタッチ処理を実行する。これにより、ユーザは、スマートフォン100Aを把持している手から離れた上表示領域に表示されているオブジェクトを、両手を用いることなく選択できるようになる。これにより、スマートフォン100Aの操作性をさらに向上させることが可能になる。
【0100】
<第3の実施の形態>
[概要]
以下、
図15を参照して、第3の実施の形態に従うスマートフォン100Bの概要について説明する。
図15は、スマートフォン100Bが実行する処理の概略を示した概念図である。第3の実施の形態に従うスマートフォン100Bは、タッチパネルの表示画面を上下左右に分割する点で、第1の実施の形態に従うスマートフォン100とは異なる。ハードウェア構成などのその他の点については第1の実施の形態に従うスマートフォン100と同じであるので、それらの説明は繰り返さない。
【0101】
[動作モード]
スマートフォン100Bは、動作モードとして、通常モードと片手操作モードとを有する。片手操作モードは、タッチパネル4の左上の表示領域に表示されているオブジェクトをユーザが選択することができる左上操作モードと、タッチパネル4の右上の表示領域に表示されているオブジェクトをユーザが選択することができる右上操作モードとを含む。
【0102】
設定部210(
図6参照)は、加速度センサ5およびジャイロセンサ8の少なくとも一方から受けたスマートフォン100Bの傾き角に応じて、動作モードを通常モードか片手操作モードに設定する。
【0103】
一例として、設定部210は、スマートフォン100BのX軸回りの傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合で、かつ、スマートフォン100BのY軸の時計回り方向の傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合に、動作モードを右上操作モードに設定する。また、設定部210は、スマートフォン100BのX軸回りの傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合で、かつ、スマートフォン100BのY軸の反時計回り方向の傾きが予め定められた角度よりも大きくなった場合に、動作モードを左上操作モードに設定する。
【0104】
[タッチ位置の変換処理]
スマートフォン100Bの動作モードが右上操作モードである場合には、スマートフォン100Bは、タッチパネル4の左下表示領域に対するタッチ操作を、タッチパネル4の右上表示領域に対するタッチ操作として実行する。たとえば、
図15(B)に示されるように、スマートフォン100Bは、左下表示領域に対するタッチ位置91を、対応する右上表示領域内の疑似タッチ位置93に変換して、疑似タッチ位置93におけるタッチ操作に応じた処理を実行する。
【0105】
より具体的には、タッチパネル4の横の長さをLx(たとえば、横方向のドット数)、タッチパネルの縦の長さをLy(たとえば、縦方向のドット数)、タッチパネルの左下を原点(0,0)とした定義した場合において、左下表示領域内の点(x,y)がユーザによってタッチされたときには、変換部240は、以下の式(5)に基づいて、疑似タッチ位置(X,Y)を算出する。
【0106】
(X,Y)=(x+Lx/2,y+Ly/2)(ただし、0≦x<Lx/2,0≦y<Ly/2)・・・(5)
一方、スマートフォン100Bの動作モードが、左上操作モードである場合には、スマートフォン100Bは、タッチパネル4の右下表示領域に対するタッチ操作を、タッチパネル4の左上表示領域に対するタッチ操作として実行する。たとえば、
図15(C)に示されるように、スマートフォン100Bは、右下表示領域に対するタッチ位置95を、対応する左上表示領域内の疑似タッチ位置97に変換して、疑似タッチ位置97におけるタッチ処理を実行する。
【0107】
より具体的には、右下表示領域内の点(x,y)がユーザによってタッチされたときには、変換部240は、以下の式(6)に基づいて、疑似タッチ位置(X,Y)を算出する。
【0108】
(X,Y)=(x−Lx/2,y+Ly/2)(ただし、Lx/2≦x<Lx,0≦y<Ly/2)・・・(6)
スマートフォン100Bは、算出した疑似タッチ位置(X,Y)に対するタッチ操作が行なわれたものとして動作する。
【0109】
[パターン画像]
スマートフォン100Bがタッチパネル4に表示するパターン画像は、左上表示領域内における任意の点の位置と、左下表示領域内における任意の点の位置と、右上表示領域内における任意の点の位置と、右下表示領域内における任意の点の位置との対応関係を示すものが望ましい。たとえば、
図8(A)に示されるパターン画像30は、左上表示領域に対応する部分と、左下表示領域に対応する部分と、右上表示領域内に対応する部分と、右下表示領域に対応する部分とに同じ記号の羅列を有する。このようなパターン画像がタッチパネルに表示されている画像に重ねて表示されることで、ユーザは、上下左右の表示領域内の位置関係を容易に認識することが可能になる。
【0110】
[小括]
このように、左手操作モード、右手操作モード、および上部操作モードが組み合わせられることで、ユーザは、より小域のタッチ操作で、タッチパネル全域のタッチ操作を行なうことが可能になる。
【0111】
<第4の実施の形態>
[概要]
以下、第4の実施の形態に従うスマートフォン100Cの概要について説明する。第4の実施の形態に従うスマートフォン100Cは、動作モードの設定方法において、第1の実施の形態に従うスマートフォン100とは異なる。ハードウェア構成などのその他の点については第1の実施の形態に従うスマートフォン100と同じであるので、それらの説明は繰り返さない。
【0112】
図16を参照して、スマートフォン100Cの動作モードの設定方法について説明する。
図16は、カメラ7(
図4参照)から得られた入力画像40を示す図である。スマートフォン100Cは、入力画像40内のユーザの顔の位置に応じて、動作モードを通常モードか片手操作モードに設定する。
【0113】
たとえば、
図16(A)に示されるように、ユーザ42の顔が入力画像40に全て含まれる場合には、スマートフォン100Cは、動作モードを通常モードに設定する。
図16(B)に示されるように、ユーザがスマートフォン100Cの表示画面を左側から覗いている場合には、入力画像40にはユーザ42の顔の右部分のみが含まれる。この場合には、スマートフォン100Cは、動作モードを左手操作モードに設定する。
図16(C)に示されるように、ユーザがスマートフォン100Cの表示画面を右側から覗いている場合には、入力画像40にはユーザ42の顔の左部分のみが含まれる。この場合には、スマートフォン100Cは、動作モードを右手操作モードに設定する。
【0114】
[機能構成]
図17を参照して、スマートフォン100Cの機能構成の一例について説明する。
図17は、スマートフォン100Cの機能構成を示すブロック図である。CPU2は、設定部210と、表示制御部220と、位置検出部230と、変換部240と、実行部250と、顔検出部260とを含む。表示制御部220と、位置検出部230と、変換部240と、実行部250とについては、
図6に示される機能構成と同じであるので説明を繰り返さない。
【0115】
スマートフォン100Cは、ユーザを含む入力画像を取得する。入力画像は、たとえば、スマートフォン100Cに設けられたカメラ7(
図5参照)から取得されてもよいし、外部カメラから取得されてもよい。また、入力画像は、外部の記憶装置から取得されてもよいし、アンテナ11A(
図4参照)を介して外部装置から取得されてもよい。
【0116】
顔検出部260は、取得した入力画像からユーザの顔を検出する。入力画像から顔を検出するための手法として、たとえば、テンプレートマッチングなどの画像処理技術が用いられる。テンプレートマッチングとは、記憶装置20などに予め登録された顔画像を基準として、入力画像から顔画像を探索することにより入力画像内の顔の位置を取得する手法である。顔の位置は、一例として、入力画像中の座標値として検出される。顔検出部260は、検出した顔の位置を設定部210に出力する。
【0117】
設定部210は、ユーザの顔の全てが入力画像に含まれる場合には、スマートフォン100Cの動作モードを通常モードに設定する。また、設定部210は、検出されたユーザの顔の一部のみが入力画像に含まれる場合には、スマートフォン100Cの動作モードを片手操作モードに設定する。すなわち、設定部210は、検出されたユーザの顔が入力画像からはみ出ている場合には、スマートフォン100Cの動作モードを片手操作モードに設定する。
【0118】
なお、上記では、入力画像内の顔の位置に応じて動作モードを設定する例について説明したが、スマートフォン100Cは、カメラ7に対するユーザの視線に応じて動作モードを設定するように構成されてもよい。たとえば、スマートフォン100Cは、検出した顔に含まれるユーザの瞳孔の位置からユーザの視線を検出する。視線がタッチパネルの表示面に直交する場合には、スマートフォン100Cは、動作モードを通常モードに設定する。視線がタッチパネルの表示面に対して斜めを向いている場合には、スマートフォン100Cは、動作モードを片手動作モードに設定する。
【0119】
[小括]
以上のようにして、本実施の形態に従うスマートフォン100Cは、入力画像内のユーザの顔の位置に応じて動作モードを通常モードか片手操作モードに設定する。ユーザは、スマートフォン100Cに対して顔の位置を変えるという簡単な動作で、所望の動作モードに設定することが可能になる。
【0120】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。