特許第6408251号(P6408251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408251
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】潜り込み防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/56 20060101AFI20181004BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B60R19/56
   F16B41/00 F
   F16B41/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-106270(P2014-106270)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-221601(P2015-221601A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176707
【氏名又は名称】三菱アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】田坂 直樹
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−248785(JP,A)
【文献】 特開2003−74530(JP,A)
【文献】 特開2010−223363(JP,A)
【文献】 特開2001−263314(JP,A)
【文献】 特開2006−2887(JP,A)
【文献】 特開2011−127741(JP,A)
【文献】 実開昭60−40816(JP,U)
【文献】 特開2011−43233(JP,A)
【文献】 米国特許第5409323(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0163218(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/56
F16B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の幅方向に沿って配置される中空形状のフレーム部材と、前記フレーム部材を車両側のステーに固定するために該フレーム部材に取り付けられるボルトと、前記ボルトの軸部に取り付けられ該ボルトの頭部との間に前記フレーム部材の後壁を挟むことにより前記ボルトを前記フレーム部材に固定するカラーとを有し、
前記フレーム部材には、前記後壁に前記ボルトの軸部を挿入して取り付けるための取付孔が設けられており、
前記カラーは、前記ボルトの軸部を挿入可能な内径を有するとともに前記取付孔の内部に進入可能な外径を有する円筒部と、前記円筒部において前記軸部の先端側に形成され前記取付孔よりも大きい外径を有するフランジ部とを有し、
前記円筒部の内周面には、半径方向内方に突出して前記ボルトの軸部の雄ねじのねじ谷と噛み合う突起部が設けられ、
前記突起部は、その基端側から先端側にかけて前記フランジ部側に向けて突出して設けられており、
前記カラーには、前記フランジ部から前記円筒部の一部にかけて軸方向に切欠いたスリットが設けられていることを特徴とする潜り込み防止装置。
【請求項2】
前記フレーム部材には、前記取付孔の端部に前記フランジ部を収納する座ぐり穴部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の潜り込み防止装置。
【請求項3】
前記カラーは、絶縁性を有する樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の潜り込み防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両同士が衝突した際の潜り込みを防止するために車両に配置される潜り込み防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なトラック等の車高の高い車両には、車高の低い乗用車等が衝突した際の潜り込みを防止するために、車両前後の下方位置に車両用バンパーが設けられている。そして、車両用バンパーは、軽量化のために角筒状に形成されたフレーム部材により形成され、ボルト及びナット等の締結部材を用いて車両側のステーに固定される。
この際、フレーム部材に予めボルトを取り付けておき、このボルトの頭部と車両側のステーとの間にフレーム部材の側壁を挟んだ状態でナットを締結することにより、フレーム部材をステーに固定することが行われている。
【0003】
例えば特許文献1に提案されている構造体においては、被取付部材(フレーム部材)に設けられた孔を介してスタッドボルトを被取付部材に取り付けることとしている。このスタッドボルトは、孔より大きい頭部と孔に挿入される軸部とを備えるボルトと、このボルトの軸部に嵌合するクリップとを有している。そして、ボルトの軸部には、先端側から基端側へのクリップの挿通を一旦阻止するが、圧入により基端部側に乗り越えることを可能とする突出部が形成されている。このボルトの軸部を被取付部材の孔に挿入した状態でクリップを軸部の先端側から突出部に圧入することで、クリップが突出部を乗り越えて、ボルトの頭部とクリップとの間で被取付部材を挟み込んで取り付けることができるようになっている。
【0004】
このように、特許文献1に記載されるスタッドボルトを備えた構造体においては、ボルトの突出部を乗り越えるようにクリップを圧入するだけでスタッドボルトを被取付部材に取り付けることができ、取り付け作業性に優れたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011‐43233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に提案されるスタッドボルトでは、ボルトに設けられた突出部の形成位置によりクリップの挿入位置を決定し、これらボルトの頭部とクリップとの間で被取付部材を挟み込むことにより、被取付部材にボルトを取り付ける構造とされている。このため、被取付部材の板厚によって突出部の位置を変更した専用のボルトを使用する必要があり、汎用性が悪いものとなっている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でフレーム部材にボルトを固定することができ、取り付け作業性に優れた潜り込み防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の潜り込み防止装置は、車両の幅方向に沿って配置される中空形状のフレーム部材と、前記フレーム部材を車両側のステーに固定するために該フレーム部材に取り付けられるボルトと、前記ボルトの軸部に取り付けられ該ボルトの頭部との間に前記フレーム部
材の後壁を挟むことにより前記ボルトを前記フレーム部材に固定するカラーとを有し、前記フレーム部材には、前記後壁に前記ボルトの軸部を挿入して取り付けるための取付孔が設けられており、前記カラーは、前記ボルトの軸部を挿入可能な内径を有するとともに前記取付孔の内部に進入可能な外径を有する円筒部と、前記円筒部において前記軸部の先端側に形成され前記取付孔よりも大きい外径を有するフランジ部とを有し、前記円筒部の内周面には、半径方向内方に突出して前記ボルトの軸部の雄ねじのねじ谷と噛み合う突起部が設けられ、前記突起部は、その基端側から先端側にかけて前記フランジ部側に向けて突出して設けられており、前記カラーには、前記フランジ部から前記円筒部の一部にかけて軸方向に切欠いたスリットが設けられていることを特徴とする。
【0009】
ボルトの軸部をフレーム部材の取付孔に挿入した状態で、この取付孔とボルトの軸部との隙間にカラーの円筒部を軸部の先端側から基端側に向けて押し込むと、カラーの円筒部の内周面に設けられた突起部とボルトの軸部の雄ねじのねじ谷とがいずれかの位置で噛み合うことにより、カラーがボルトの軸部に係止されるので、ボルトをフレーム部材に固定することができる。
このカラーの押し込み方向への移動の際には、カラーの突起部が雄ねじのねじ山と接触しても、その突起部がフランジ部側に向けて突出して設けられていることから、ねじ山との接触が大きな抵抗となることがなく、突起部はねじ山を容易に乗り越えながら移動する。そして、ボルトの頭部とカラーのフランジ部との間にフレーム部材の後壁を挟むことにより、ボルトをフレーム部材に固定することができる。
また、カラーの押し込み方向とは逆方向への移動については、フランジ部側に向けて突出した突起部が雄ねじのねじ山と鉤状に噛み合う状態となることから、押し込み時とは異なり突起部と雄ねじのねじ山との接触が大きな抵抗となってカラーの移動が制限される。したがって、カラーが不用意にボルトの軸部から外れることが防止され、ボルトのフレーム部材への固定状態が良好に維持されるようになっている。
また、本発明の潜り込み防止装置においては、カラーの突起部をボルトの雄ねじに噛み合わせることにより、カラーをボルトの軸部に係止して、フレーム部材にボルトを固定することとしているので、ボルト側にカラーを係止するための形状を設ける等、特殊なボルトを用いることなく、一般的なボルトを使用することができる。
このように、本発明の潜り込み防止装置においては、一般的なボルトを用いた簡単な構成でフレーム部材にボルトが固定されているとともに、ボルトのフレーム部材への固定状態を良好に維持することができることから、ステーへの取り付け作業性に優れたものとなっている。
【0010】
また、カラーのフランジ部が形成された部分は、その他の円筒部よりも剛性が高くなっているが、フランジ部から円筒部の一部にかけて軸方向に切欠いたスリットを設けることで、剛性を若干低くすることができる。したがって、カラーをボルトの軸部に押し込む際の抵抗を緩和させることができ、カラーをボルトの軸部に容易に装着することができる。
【0011】
本発明の潜り込み防止装置において、前記フレーム部材には、前記取付孔の端部に前記フランジ部を収納する座ぐり穴部が設けられているとよい。
カラーのフランジ部を収納する座ぐり穴部を設けておくことで、潜り込み防止装置をステーに取り付ける際にフランジ部が邪魔になることを回避できる。
【0012】
本発明の潜り込み防止装置において、前記カラーは、絶縁性を有する樹脂により形成されているとよい。
例えば、アルミニウム材により形成されるフレーム部材と、スチール材により形成されるボルト及びナットとの電位差の異なる金属の間に、絶縁性を有する樹脂により形成されるカラーを介在させることで、電離作用によるフレーム部材の腐食を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一般的なボルトを用いた簡単な構成でフレーム部材にボルトを固定することができ、さらにボルトのフレーム部材への固定状態を良好に維持することができ、潜り込み防止装置のステー等への取り付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の潜り込み防止装置を示す斜視図である。
図2図1に示す潜り込み防止装置のフレーム部材の断面図であり、ボルトをカラーによりフレーム部材に固定した状態を示す。
図3図2に示すカラーを説明する図であり、(a)が斜視図、(b)が断面図である。
図4】フレーム部材へのボルトの固定を説明する図である。
図5】本発明の第2実施形態の潜り込み防止装置のカラーの斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態の潜り込み防止装置のカラーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の潜り込み防止装置の実施形態について説明する。
図1及び図2は、第1実施形態の潜り込み防止装置100を示している。この潜り込み防止装置100は、図1に示すように、車両(図示略)の前方部又は後方部の下方位置において車両の幅方向に延びる角筒状のフレーム部材10により構成され、車両のステー21に固定された状態で使用される。そして、図1に荷重Fで示すように、車両がフレーム部材10の前壁(正面)12に衝突して負荷が加えられた際に、車両の潜り込みを防止するものである。
【0016】
この潜り込み防止装置100には、図2に示すように、フレーム部材10を車両側のステー21に固定するために用いるボルト30が、フレーム部材10に取り付けられている。そして、ステー21の取付板部22に設けられた貫通孔23に、ボルト30の軸部32を挿入し、取付板部22を介して軸部32をナット40で締付けることにより、フレーム部材10を、車両に固定できるようになっている。
【0017】
フレーム部材10は、アルミニウム合金の押出成形等によって角筒状(中空状)に形成されており、取り付けられる車両の幅寸法と同程度の長さに形成されている。そして、フレーム部材10の後壁11には、ボルト30の軸部32を挿入して取り付けるための取付孔16が設けられている。また、図2及び図3に示すように、ステー21側に配置される取付孔16の端部には、座ぐり穴部17が設けられており、後述するカラー50のフランジ部52を収納することができるようになっている。また、後壁11には、座ぐり穴部17の形成面とは反対側の内面に凸条部18が設けられており、フレーム部材10をステー21に固定する際のボルト30とナット40との締結時に、凸条部18がボルト30の頭部31と接触することにより、ボルト30の空回りを防止できるようになっている。
【0018】
なお、本実施形態のフレーム部材10においては、図1に示すように、両端部が車両側に向いて曲がった状態になるように、長さ方向の途中に曲げ部15が設けられている。この曲げ部15は、曲げ加工などによって成形することができる。一般的には、車両の後方に設置する潜り込み装置は、直材のままのフレーム部材が用いられ、前方に設置する潜り込み防止装置においては、曲げ部を有するフレーム部材が用いられることが多い。
また、フレーム部材10の材料には、例えば6000系合金又は7000系合金のアルミニウムを使用することができる。
【0019】
そして、ボルト30は、図2及び図3に示すように、フレーム部材10の取付孔16に軸部32を挿入した状態で、その軸部32にカラー50を取り付けることにより、ボルト30の頭部31とカラー50のフランジ部52との間にフレーム部材10の後壁11を挟み込んだ状態でフレーム部材10に固定される。
【0020】
ボルト30は、例えば高張力鋼等のスチール材からなる一般的な六角ボルトが使用される。また、ボルト30には、クロームメッキ等の絶縁のための処理が施されており、アルミニウム合金製のフレーム部材10と直接接触しないようになっている。
なお、ボルト30の頭部31は、凸条部18と接触することにより空回りを防止できる形状であれば良い。このため、頭部31の形状を四角形状や楕円等の種々の形状とするボルトを用いることも可能である。
【0021】
カラー50は、図3に示すように、ボルト30の軸部32を挿入可能な内径D1を有するとともにフレーム部材10の取付孔16の内部に挿入可能な外径D2を有する円筒部51と、その円筒部51においてボルト30の軸部32の先端側に形成されフレーム部材10の取付孔16の直径よりも大きい外径D3を有するフランジ部52とを有した形状とされる。この円筒部51の内周面には、半径方向内方に突出してボルト30の軸部32の雄ねじのねじ谷と噛み合う爪状の突起部53が例えば1〜4箇所に設けられており、突起部53は、その基端側から先端側にかけてフランジ部52側に向けて突出して設けられている。なお、突起部53の設置数はこれに限定されるものではなく、4箇所以上に設ける構成とすることもできる。また、各突起部53を、円筒部51の内周面の周方向に均等配置する必要はなく、その高さ位置を揃えたり、異ならせたりすることも限定されない。
【0022】
また、カラー50には、フランジ部52から円筒部51の一部にかけて軸方向(X軸方向)に切欠いたスリット54が設けられている。カラー50のフランジ部52が形成された部分は、その他の円筒部51よりも剛性が高くなっているが、フランジ部52から円筒部51の一部にかけて軸方向に切欠いたスリット54を設けることにより剛性を低下させることができ、カラー50をボルト30の軸部32に押し込む際の抵抗を緩和させることができる。
【0023】
なお、カラー50は、絶縁性を有する樹脂により形成されており、本実施形態ではポリプロピレンにより形成されている。このように、アルミニウム材により形成されるフレーム部材10と、スチール材により形成されるボルト30及びナット40との電位差の異なる金属の間に、絶縁性を有する樹脂により形成されるカラー50を介在させることで、電離作用によるフレーム部材10の腐食を低減することができる。
【0024】
そして、ボルト30のフレーム部材10への取り付けは、次のように行うことができる。
まず、図4(a)に示すように、ボルト30の軸部32をフレーム部材10の取付孔16に挿入し、その状態で軸部32の先端側からカラー50を押し込む。そして、図4(b)に示すように、カラー50を軸部32の基端側に向けてさらに押し込むと、フレーム部材10の取付孔16とボルト30の軸部32との隙間にカラー50の円筒部51が押し込まれる。この際、カラー50の円筒部51の内周面に設けられた突起部53とボルト30の軸部32の雄ねじのねじ谷とがいずれかの位置で噛み合うことにより、カラー50がボルト30の軸部32に係止され、ボルト30の頭部31とカラー50のフランジ部52との間にフレーム部材10の後壁11を挟み込んで、ボルト30をフレーム部材10に固定することができる。
なお、図示はしていないが、カラー50をボルト30の軸部32に押し込む際には、ボルト30がフレーム部材10の内側に動くことがないように、フレーム部材10の内側に中子を予め挿入させておく。
【0025】
このカラー50の押し込み方向への移動の際には、カラー50の突起部53がボルト30の雄ねじのねじ山と接触しても、その突起部53がフランジ部52側に向けて突出して設けられていることから、ねじ山との接触が大きな抵抗となることがなく、突起部53はねじ山を容易に乗り越えながら移動する。
【0026】
また、カラー50のフランジ部52が形成された部分は、その他の円筒部51よりも剛性が高くなっているが、前述したように、カラー50のフランジ部52から円筒部51の一部にかけて切欠かれたスリット54により、その部分の剛性が若干低く設けられている。このため、カラー50をボルト30の軸部32に押し込む際に、突起部53が雄ねじのねじ山と接触して半径方向外方に押されて抵抗が大きくなっても、スリット54が広がり円筒部61及びフランジ部52の内周面を拡径するように半径方向外方へ移動させることができ、突起部53がねじ山を乗り越える際の抵抗を緩和させることができる。したがって、カラー50をボルト30の軸部32に押し込む際の抵抗が緩和され、カラー50をボルト30の軸部32に容易に装着することができる。
【0027】
なお、フレーム部材10の取付孔16とボルト30の軸部32との隙間にカラー50の円筒部51が押し込まれることにより、円筒部51及びフランジ部52の半径方向外方への移動が拘束され、突起部53と雄ねじのねじ谷との噛み合い状態を良好に維持することができる。
【0028】
一方、カラー50の押し込み方向とは逆方向への移動については、フランジ部52側に向けて突出した突起部53がボルト30の雄ねじのねじ山と鉤状に噛み合う状態となることから、押し込み時とは異なり突起部53と雄ねじのねじ山との接触が大きな抵抗となってカラー50の移動が制限される。したがって、カラー50が不用意にボルト30の軸部32から外れることが防止され、ボルト30のフレーム部材10への固定状態を良好に維持することができる。
【0029】
そして、フレーム部材10にボルト30が固定された潜り込み防止装置100は、このボルト30の頭部31と車両側のステー21との間にフレーム部材10の後壁11を挟んだ状態でナット40を締結することにより、ステー21に固定される。具体的には、ステー21の取付板部22に設けられた貫通孔23に、ボルト30の軸部32を挿入し、取付板部22を介して軸部32をナット40で締付けることにより、フレーム部材10を車両に固定することができる。
【0030】
このように、本実施形態の潜り込み防止装置100においては、カラー50の突起部53をボルト30の雄ねじに噛み合わせることにより、カラー50をボルト30の軸部32に係止して、フレーム部材10にボルト30を固定することとしているので、ボルト30側にカラー50を係止するための形状を設ける等、特殊なボルトを用いることなく、一般的なボルトを使用した簡単な構成でフレーム部材10にボルト30を固定することができ、さらにボルト30のフレーム部材10への固定状態を良好に維持することができることから、潜り込み防止装置100のステー21への取り付け作業性を向上させることができる。
【0031】
また、フレーム部材10には、カラー50のフランジ部52を収納する座ぐり穴部17を設けているので、潜り込み防止装置100をステー21に取り付ける際にカラー50のフランジ部52が邪魔になることを回避できる。そして、カラー50は、潜り込み防止装置100(フレーム部材10)とステー21とを固定する際にボルト30をフレーム部材10に取り付けておくことができれば良いため、ボルト30とナット40による締結後においては、カラー50が経年劣化等により脱落・破損してもボルト30及びナット40の締結状態に影響することはない。したがって、潜り込み防止装置100のステー21への固定状態を良好に維持することができる。
【0032】
また、上記第1実施形態のカラー50では、爪状の突起部53を二箇所に設けていたが、突起部53の形状はこれに限定されるものではない。
例えば、図5に示す第2実施形態のカラー60のように、円筒部51の内周面の周方向に連続した帯状の突起部63を軸方向に多段にして形成したり、図6に示す第3実施形態のカラー70のように、突起部73の高さを異ならせて形成したりすることもできる。
また、フレーム部材の取付孔を長穴で形成した場合には、図6に示す第3実施形態のカラー70のように、フランジ部72を円筒部の端部の周辺だけではなく、取付孔の形状に合わせて偏芯させた形状として設ける等して、種々の形状に対応させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、フレーム部材は、アルミニウム合金だけでなく、スチール等の他の材料を使用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 フレーム部材
11 後壁
12 前壁
15 曲げ部
16 取付孔
17 座ぐり穴部
18 凸条部
21 ステー
22 取付板部
23 貫通孔
30 ボルト
31 頭部
32 軸部
40 ナット
50,60,70 カラー
51 円筒部
52,72 フランジ部
53,63,73 突起部
54 スリット
100 潜り込み防止装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6