特許第6408258号(P6408258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408258
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】野球用またはソフトボール用捕球具
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20181004BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A63B71/14 F
   A63B69/00 505E
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-117913(P2014-117913)
(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2015-229070(P2015-229070A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則史
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】黒田 重樹
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−226169(JP,A)
【文献】 特開2005−177058(JP,A)
【文献】 特開昭51−127843(JP,A)
【文献】 実開昭53−008372(JP,U)
【文献】 米国特許第05678245(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/14
A63B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の孔が形成された捕球面側の革部材と、
前記革部材の内側に配置され、第2の孔が形成された芯材と、
前記革部材と前記芯材とを固定する紐革とを備え、
使用者の手が挿入される手挿入部をさらに備え、
前記革部材は使用者の人差指が挿入される指部を含み、
前記紐革が前記第1および第2の孔に通され、前記芯材の端部を前記指部と前記手挿入部とを結ぶ方向で周回することにより前記革部材と前記芯材とが固定され、
前記芯材は、中央よりも前記端部において硬度が高く、
前記第2の孔の周囲の前記芯材の少なくとも一部は、変形量が前記芯材の中央の最も柔らかい部分の90%以下である、野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項2】
記芯材は前記指部より使用者の手首側に配置され、
前記第2の孔は、前記芯材の前記中央より前記指部側に形成された、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項3】
前記紐革は、前記指部の延在方向に沿って延びるように前記芯材の端部を周回する、請求項2に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項4】
前記革部材は前記捕球面側に設けられるポケット部を含み、
前記芯材は前記ポケット部の周囲に配置され、
前記第2の孔は、前記芯材の前記中央より前記ポケット部側に形成された、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項5】
前記紐革は、前記芯材から前記ポケット部に向かう方向に沿って延びるように前記芯材の端部を周回する、請求項4に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項6】
前記第2の孔の少なくとも一部は、前記芯材の外周端から13mm以内の領域に形成された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項7】
前記第2の孔は前記芯材の前記端部に沿うように複数形成され、
前記複数の第2の孔のうち互いに隣り合う1対の前記第2の孔の間のピッチは7mm以上30mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【請求項8】
前記芯材の前記端部または前記第2の孔の周囲の少なくとも一部は熱融着部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用捕球具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は野球用またはソフトボール用捕球具に関し、特に捕球面側の革部材の内側に芯材を有する野球用またはソフトボール用捕球具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野球用またはソフトボール用捕球具において、従来より、捕球面側の革部材のいわゆるポケット部における革部材のたるみを調整する要請がある。ここでポケット部とは、使用者の人差し指を挿入するための指部の付根部の近傍に相当する。
【0003】
たとえば特開2012−192207号公報(特許文献1)には、捕球面側の革部材を構成する受球面部材と手掌部材との間に挟まれるように芯材が設置されてもよい旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−192207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の芯材は紐材により革部材に固定されるが、当該紐材の張力を調整することにより、ポケット部における革部材のたるみを調整することが考えられる。
【0006】
特許文献1においては、明示されてはいないものの芯材に形成された孔および捕球面側の革部材に形成された孔を通る紐材により、芯材が革部材に固定されていると考えられる。特許文献1においては紐材は、使用者の人差指を挿入するための指部の延在方向に交差する方向に延びるように、芯材と革部材とを固定している。また当該紐材は、芯材のたとえば中央に形成された複数の孔のそれぞれを通るように、芯材と革部材とを固定しているものと思われる。この場合、紐材との張力を高めてもポケット部の革部材を人差指側から手首側へと引っ張りそのたるみを調整することは困難である。これは芯材が一般的にフェルトなどやわらかい材料で形成されるのでその中央の孔に通されている紐材の張力を増しても芯材の変形量が増すため革部材を引っ張ることが困難となるためである。
【0007】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、紐材の張力を利用して、革部材のたるみを容易に調整することが可能な野球用またはソフトボール用捕球具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る野球用またはソフトボール用捕球具は、第1の孔が形成された捕球面側の革部材と、革部材の内側に配置され、第2の孔が形成された芯材と、革部材と芯材とを固定する紐革とを備えている。使用者の手が挿入される手挿入部をさらに備えている。革部材は使用者の人差指が挿入される指部を含む。紐革が第1および第2の孔に通され、芯材の端部を指部と手挿入部とを結ぶ方向で周回することにより革部材と芯材とが固定される。芯材は、中央よりも端部において硬度が高い。第2の孔の周囲の芯材の少なくとも一部は、変形量が芯材の中央の最も柔らかい部分の90%以下である。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、紐革が芯材の中央よりも硬度が高い端部を断面方向で周回することにより、革部材と芯材とが固定される。すなわち紐材の張力による芯材の変形量がより少なくなる。このため紐革の張力により革部材を十分に引っ張り、革部材のたるみを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の捕球具の、使用者の手掌側に配置される捕球面革を含む領域の構成を示す概略図である。
図2】実施の形態1の捕球具の、使用者の手甲側に配置される捕球面革を含む領域の構成を示す概略図である。
図3】実施の形態1の芯材の構成を示す概略図である。
図4図3のIV−IV線に沿う概略断面図と、芯材の人差指袋に対する位置関係とを示す概略図である。
図5】実施の形態1において孔部に紐革が通されることにより、革部材と芯材とが固定される態様を示す概略断面図である。
図6】実施の形態1における芯材の変形量の測定点を示す概略図である。
図7】芯材の変形量の測定に用いる治具の態様を示す概略図である。
図8】芯材の変形量の測定に用いる治具を図7と異なる方向から見た態様を示す概略図である。
図9】実施の形態2の捕球具の、使用者の手掌側に配置される捕球面革を含む領域の構成を示す概略図である。
図10】実施の形態2の捕球具の、使用者の手甲側に配置される捕球面革を含む領域の構成を示す概略図である。
図11】実施の形態2の芯材の構成を示す概略図である。
図12】実施の形態3の捕球具の、使用者の手掌側に配置される捕球面革を含む領域の構成を示す概略図である。
図13図12に示す捕球具の分解斜視図である。
図14図13に示す中敷き部材の平面図である。
図15図14のXV−XV線に沿う概略断面図である。
図16図14のXVI−XVI線に沿う概略断面図である。
図17図12のXVII−XVII線に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1および図2を参照して、本実施の形態の野球用またはソフトボール用捕球具としてのグローブ10は、手を挿入する使用者の手掌側に配置される手掌側配置革10pと、使用者の手甲側に配置される手甲革10bとを有している。すなわち使用者の手は、手掌側配置革10pと手甲革10bとの間に挿入される。
【0012】
手掌側配置革10pは、使用者が捕球する側の面(使用者の受ける球が接触する捕球面)を含む捕球面革10p1と、捕球面革10p1に対向して配置され、挿入された使用者の手掌部が接触する手掌革10p2とを含む。手掌革10p2は図2においてその大部分が手甲革10bに覆われるため露出している部分が少ないが、手甲革10bには使用者の手首よりやや指側の手甲部を露出可能とする開口部11が形成されており、図2においては開口部11を介して手掌革10p2の一部が露出している。
【0013】
手掌側配置革10p(捕球面革10p1および手掌革10p2)および手甲革10bはたとえば、合成皮革、天然皮革、人工皮革、その他これらと類似する特性の材質から形成されている。また後述する本実施の形態のグローブ10を構成する部材の多くは基本的に上記と同様の材質から形成されている。
【0014】
手掌側配置革10p(捕球面革10p1および手掌革10p2)と手甲革10bとはともに、使用者の指を受け入れ可能な指袋を構成している。具体的には、捕球面革10p1、手掌革10p2、手甲革10bのそれぞれは、使用者の親指を受け入れ可能な親指袋f1と、使用者の人差指を受け入れ可能な人差指袋f2(指部)と、使用者の中指を受け入れ可能な中指袋f3と、使用者の薬指を受け入れ可能な薬指袋f4と、使用者の小指を受け入れ可能な小指袋f5とを構成している。手掌側配置革10pにおいて各指袋f1〜f5を構成する部分と、手甲革10bにおいて各指袋f1〜f5を構成する部分とがその外周部の一部において一般公知の方法により互いに縫着されることにより、手掌側配置革10pの各指袋f1〜f5を構成する部分と、手甲革10bの各指袋f1〜f5を構成する部分との間に使用者の各指を挿入可能な領域が形成されている。
【0015】
親指袋f1と人差指袋f2との間にはウエブ部5が設けられており、ウエブ部5は手掌側ウエブ部5pと手甲側ウエブ部5bとを有している。手掌側ウエブ部5pは捕球面革10p1と同様に使用者が捕球する側の面を含み、手甲側ウエブ部5bは手甲革10bと同一方向を向くように配置される。
【0016】
ウエブ部5には紐革6が配置され、この紐革6により手掌側ウエブ部5pと手甲側ウエブ部5bとが互いに接続される。ウエブ部5の紐革6は指袋f2の先端部すなわち使用者の人差指の先端を覆う部分に隣接する部分であるウエブ接続部1(ウエブ部5の外周部の一部)において手掌側ウエブ部5pと手甲側ウエブ部5bとの間を巻回している。また紐革6はウエブ部5の中央に形成された開口部内にも多数、互いに絡み合うように配置されている。
【0017】
なお紐革6としては一般公知の革材料からなるもののほかに、麻紐の撚糸など、伸びのない紐状材料を用いることができる。
【0018】
なお上記のウエブ部5における紐革6と同様の紐革6により、たとえば指袋f2〜f5が互いに結合されている。また手掌側配置革10pと手甲革10bとの外周部のうち、手挿入接続部2に隣接する手首隣接接続部3,4(手挿入接続部2の延びる方向に対して角度を有する方向に延びる接続部)においては、紐革6が外縁部7の外周部を巻回することにより手掌側配置革10p(具体的には捕球面革10p1および手掌革10p2)と手甲革10bとが接続されている。
【0019】
またグローブ10は、これを着用する使用者の手が挿入される手挿入部12を有している。この手挿入部12は、手掌側配置革10pと手甲革10bとに挟まれた領域に手を挿入可能に開口した部分である。言い換えれば手挿入部12は、手掌側配置革10pと手甲革10bとのそれぞれの外周端同士が接続されることにより形成される、使用者の手を収納する領域の出入り口に相当する。手挿入部12は手掌側配置革10pと手甲革10bとの外周端に形成されるが、手挿入部12においては出入り口としての開口を形成するため手掌側配置革10pと手甲革10bとは直接接続されない。
【0020】
手掌側配置革10pは上記のように捕球面革10p1と手掌革10p2とを有しており、捕球面革10p1の捕球面において球が捕球される。つまり、手掌側配置革10pは捕球面側の革部材として配置される。
【0021】
捕球面革10p1と手掌革10p2とはたとえば外縁部7において互いに接続され、一体の手掌側配置革10pとして形成されている。手掌側配置革10pの内部には芯材20が配置されている。芯材20は捕球面革10p1と手掌革10p2との間に挟まれるように配置されている。
【0022】
芯材20は、フェルトなどの素材で形成された板状の部材である。図1図3を参照して、芯材20は、手掌側配置革10pの親指袋f1から、手首隣接接続部3,4に隣接する領域を湾曲するように通り、小指袋f5に達するように湾曲した形状を有している。図1および図2を参照して、芯材20は、その湾曲する部分のうち外側を向くように(外側に凸形状となるように)湾曲する部分が手挿入部12側に、その湾曲する部分のうち内側を向くように(内側に凹形状となるように)湾曲する部分が人差指袋f2側に、配置される。
【0023】
芯材20には、複数の孔部21(第2の孔)が形成されている。孔部21は、芯材20を平面視したときの上側の平面から下側の平面まで芯材20内を貫通するように形成されている。孔部21は平面視においてたとえば円形の平面形状を有している。ただし孔部21の平面形状はこれに限らず任意である。
【0024】
芯材20の材料は任意であり、たとえば白羊毛4H、黒羊毛6S、ニードル4H、黒羊毛8S、ニードル7M、パットン7S、パットン5Hからなる群から選択される少なくとも1種により形成されている。また芯材20は複数のシート状部材を重ねて外周部を固定してもよい。この場合、上記の各種材料のうち異なる2つ以上の種類の材料の複数の板状の部材同士が重ねられ固定されることにより芯材20が形成される。固定方法は融着など任意である。
【0025】
複数の孔部21のそれぞれは、芯材20の端部、より具体的には芯材20の外周端22を構成する曲線部に沿うように、互いに間隔をあけて複数並ぶように形成されることが好ましい。複数の孔部21のうち互いに隣り合う1対の孔部21の間のピッチP(図3参照)は7mm以上30mm以下であることが好ましく、その中でも9mm以上20mm以下であることがより好ましい。また孔部21のそれぞれの直径は2mm以上12mm以下であることが好ましく、その中でも3.5mm以上6mm以下であることがより好ましい。
【0026】
図3および図4を参照して、複数の孔部21のそれぞれは、特に芯材20の外周端22のうち、芯材20の中央Cよりも、芯材20が手掌側配置革10pの内部に配置されたときの人差指袋f2側に形成される。ここで中央Cは、芯材20の平面視における幅方向、すなわち人差指袋f2と手挿入部12とを結ぶ方向に関する中央部を示している。
【0027】
再度図1および図2を参照して、手掌側配置革10pには、捕球面革10p1、手掌革10p2ともに、複数の孔部H1,H2(第1の孔)が形成されている。孔部H1および孔部H2は、いずれも捕球面革10p1から手掌革10p2まで手掌側配置革10p内を貫通するように形成されている。孔部H1および孔部H2はいずれも、手掌側配置革10p内の芯材20の外周端22(図3参照)を構成する曲線部に沿うように、互いに間隔をあけて複数並ぶように形成されることが好ましい。
【0028】
また個々の孔部H1と個々の孔部H2とは、これらの1対の孔部H1,H2を結ぶことによる線分が芯材20の外周端22(図3参照)を構成する曲線部に交差する方向に延びるように形成されることが好ましい。言い換えれば個々の孔部H1と個々の孔部H2とは、これらを結ぶ線分が、手掌側配置革10p内の芯材20の人差指袋f2側の外周端22を跨ぐように(人差指袋f2側の外周端22と交差するように)形成されることが好ましい。
【0029】
芯材20と手掌側配置革10pとは、紐革6により互いに固定されている。具体的には、図1図2および図5を参照して、捕球面革10p1と、これに平面的に重ねられた手掌革10p2とのそれぞれの孔部H1と芯材20の孔部21とが平面的にほぼ重なる位置に配置される。このとき孔部21は、捕球面革10p1の孔部H1と手掌革10p2の孔部H1とに挟まれる位置に配置される。同様に捕球面革10p1と手掌革10p2とのそれぞれの孔部H2が平面的にほぼ重なっている。
【0030】
この状態で、捕球面革10p1の孔部H1から、孔部21を通って手掌革10p2の孔部H1に達するように、紐革6が各孔部を貫通する。この紐革6は、手掌革10p2の外側(すなわち手掌革10p2の、使用者の掌に触れる面)を通って人差指袋f2側に延び、たとえば芯材20の外周端22に沿って1つずれた位置に形成されている手掌革10p2の孔部H2から、捕球面革10p1の孔部H2に達するように各孔部H2内を貫通する。そして紐革6は捕球面革10p1の外側を通って手挿入部12側に延び、捕球面革10p1の上述した孔部H1とは外周端22に沿って1つずれた位置に形成された孔部H1に達して一巡する。
【0031】
このようにして紐革6は、芯材20の特に人差指袋f2側の端部を断面方向(人差指袋f2と手挿入部12とを結ぶ方向)で周回することにより、芯材20の端部を固定する。これにより芯材20は捕球面革10p1および手掌革10p2の双方に固定される。孔部H1,H2の外側に出た紐革6は、人差指袋f2と手挿入部12とを結ぶ方向に沿って、すなわち人差指袋f2の延在方向に沿って延びるように、芯材20の端部(特に人差指袋f2側の外周端22の近傍)を周回する。
【0032】
芯材20は、平面視における中央Cよりも端部において硬度が高い。すなわち図4を再度参照して、芯材20は、点Bよりも点Aにおける硬度が高くなっている。芯材20の硬度を高くする方法としては、たとえば芯材20の端部、または孔部21の周囲の少なくとも一部に縫着または熱融着を施し予め芯材20を圧縮しておく方法がある。あるいは芯材20の硬度を高くする方法として、樹脂含浸または革に硬度を高くする材料を添着する方法などがある。以上の方法により、芯材20の厚み方向に関する変形量を、たとえば芯材20の中央のもっとも柔らかい部分の同変形量の90%以下とすることができる。次に図6図8を用いて、このことについて詳細に説明する。
【0033】
図6を参照して、本実施の形態の芯材20の中央C上の点P1、および中央Cにほぼ垂直な直線上で、中央Cから人差指袋f2側の外周端22に近づくように、外周端22からそれぞれ20mm、15mm、10mm、5mm離れた各点P2、P3、P4、P5を考える。
【0034】
図7および図8を参照して、治具30は芯材20の図6に示す点P1〜P5に押し当てることによる芯材20の厚み方向(図6の紙面に垂直な方向)における変形量を測定するためのものである。治具30の先端部31はたとえば直径4.5mmの円形の平面形状を有しており、先端部31を芯材20の表面に接触させた状態で芯材20の厚み方向下向きに300Nの力を加えて芯材20を圧縮させる。このとき治具30を50mm/minの速度で芯材20の厚み方向下向きに移動させ、芯材20を厚み方向に圧縮するように変形させる。芯材20の材質を変更させながらその芯材20の変形量(単位はmm)を測定した結果が以下の表1のとおりである。なお初期荷重を0.5Nとしたときの治具30の位置を原点として変形量を測定した。
【0035】
なお表1に示すように、芯材20は、表側(捕球面革10p1側)と裏側(手掌革10p2側)とで異なる材質により形成され、それらがたとえば縫合により貼り合わされた構成を有していてもよい。芯材材質の欄の上段には芯材20の捕球面革10p1側の材質を、各項目の下段には芯材20の手掌革10p2側の材質を示している。
【0036】
【表1】
【0037】
表1を参照して、芯材20の中央C上の点P1から離れ、外周端22に近づくにつれて(点P5に向かうにつれて)、芯材20の押圧による変形量が減少していることがわかる。このことから外周端22に近づくにつれて、すなわち中央Cよりも端部において、芯材20の硬度が高くなっていることがわかる。
【0038】
上記と同様の測定を、図6の芯材20において、中央Cの延在方向に関して図6に示す各点P1〜P5と互いに間隔をあけた位置において行ない、それぞれの変形量の測定結果を平均したものが以下の表2に示される。なお表2においては、中央C上の点P1における変形量を100%として各点P2〜P5における変形量の平均値(単位は%)を相対的に示している。
【0039】
【表2】
【0040】
表2を参照して、芯材20が点P1の90%を越えて変形すれば、当該点における芯材20の変形量は大きく、紐革6を通したときに芯材20をたわまないように固定することが困難となる。この観点から考察すれば、芯材20の材質にかかわらず、外周端22から15mm未満の位置において変形量を小さくすることができるといえる。
【0041】
本実施の形態において、紐革6を通すための孔部21の周囲における芯材20は、その少なくとも一部が、変形量が芯材20の中央Cの最も柔らかい部分の90%以下の領域となっている。表2の結果を考慮すれば、具体的には、図3において複数の孔部21のそれぞれの少なくとも一部は、芯材20の外周端22から15mm未満、より好ましくは13mm未満の領域に形成されることが好ましい。言い換えれば、芯材20の特に中央Cより人差指袋f2(指部)側における外周端22と、孔部21のうち最も人差指袋f2側に近い部分との最短距離D(図3参照)は13mm未満であることが好ましい。なおその中でも、図3において複数の孔部21のそれぞれの少なくとも一部は、芯材20の外周端22から10mm以内の領域に形成されることがより好ましい。
【0042】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態においては、芯材20と手掌側配置革10pとを固定するために芯材20に形成される孔部21の少なくとも一部が、芯材20の変形量が中央Cの最も柔らかい部分に対して90%以下である中央Cよりも人差指袋f2側の領域、より具体的には芯材20の外周端22から13mm以内の領域を含むように形成される。また紐革6は、孔部21および孔部H1,H2に通され、芯材20の端部(外周端22を含む)を断面方向で、人差指袋f2の延在方向に沿って延びるように周回することにより、芯材20を手掌側配置革10pに固定している。
【0043】
すなわち当該孔部21の近傍における芯材20の硬度は、たとえば芯材20の中央Cの硬度に比べて高く、変形量が少ない。孔部21および孔部H1,H2を通す紐革6の張力による芯材20の変形量が少なくなるため、紐革6の張力により手掌側配置革10pを十分に引っ張ることができ、手掌側配置革10pのたるみを抑制することができる。以上の効果は、互いに隣り合う孔部21の間のピッチP(図3参照)が7mm以上30mm以下であり、芯材20の端部が熱融着部であることにより、いっそう高められる。
【0044】
(実施の形態2)
図9図11を参照して、本実施の形態のグローブ10は基本的に実施の形態1のグローブ10と同様の構成を有している。しかし本実施の形態においては、芯材20が、第1の芯材20Aと第2の芯材20Bとの2つに分離されている。この点において、芯材20が一体である実施の形態1と異なっている。
【0045】
第1の芯材20A,20Bの材質は、基本的に実施の形態1の芯材20と同様である。第1の芯材20Aは第2の芯材20Bよりもその延在方向に関する長さが長く、全体の表面積が大きくなっている。この場合、第1の芯材20Aは手掌側配置革10pの親指袋f1側に、第2の芯材20Bは手掌側配置革10pの小指袋f5側に配置されることが好ましい。
【0046】
本実施の形態においては、第1の芯材20A,第2の芯材20Bのそれぞれに、複数の孔部21が形成されている。これらの孔部21は、実施の形態1と同様に、芯材20の中央Cよりも人差指袋f2側における硬度の高い領域に、外周端22を構成する曲線部に沿うように互いに間隔をあけて形成されている。
【0047】
なお、これ以外の本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0048】
芯材20は、実施の形態1のように一体型であってもよいが、本実施の形態のように分離型であってもよい。いずれの場合も手掌側配置革10pに対するたわみの抑制という観点においては同様の作用効果を奏する。
【0049】
(実施の形態3)
図12を参照して、本実施の形態の野球用またはソフトボール用捕球具としてのミット100は、たとえばソフトボール用のキャッチャーミットまたは野球用のキャッチャーミットに適用される。
【0050】
図12および図13を参照して、ミット100は、外革102と、図13に示す中敷き部材103とを含む。外革102は、捕球面革104と、捕球面革104に縫着された手掌革105と、手掌革105に縫着された手甲革106とを含む。捕球面革104、手掌革105および手甲革106は、たとえば、天然皮革、合成皮革、その他これらと同材質の材質から形成されている。捕球面革104は、図12に示すポケット部108(図12の丸い点線で囲まれた領域)が形成される受球面107を有する。ポケット部108は、使用者が繰り返しボールを捕球することで、捕球面革104の一部が窪むように凹むことで形成される、捕球面革104および手掌革105の比較的中心の領域である。手掌革105および手甲革106は、互いに逢着されることで、使用者の手首が挿入される手首挿入口109と、使用者の親指を受け入れる親指用袋110と、使用者の人差し指、中指、薬指および小指を受け入れる指用袋111とが形成される。
【0051】
図14図16を参照して、中敷き部材103は、受球面107と反対側に位置する捕球面革104の背面を覆うように配置される土台芯112と、土台芯112上に形成された、芯材としての第1指芯113および同じく芯材としての第2指芯114とを含む。なお土台芯112は第1指芯113および第2指芯114と一体ではあるが、ここでは土台芯112は芯材からは除外するものとする。
【0052】
土台芯112は、平坦面状に形成されている。第1指芯113および第2指芯114は、土台芯112の表面のうち、受球面107側に位置する主表面上に互いに間隔をあけて設けられている。土台芯112は、フェルトなどから形成されている。第1指芯113および第2指芯114は、実施の形態1の芯材20と同様にフェルトなどの素材で形成された板状の部材である。
【0053】
第1指芯113は、土台芯112の外周縁部に沿って延びており、手首挿入口109上から親指用袋110上を通るように形成されている。第2指芯114は、土台芯112の外周縁部に沿って延びており、手首挿入口109から指用袋111上を通るように形成されている。第1指芯113は親指用袋110側に配置されるため、指用袋111側に配置される第2指芯114よりも厚く形成されている。また第2指芯114の厚みは使用者の手の幅方向に関する外側に向けて段階的に大きくなる形状であってもよい。図16においては第2指芯114が段階的に厚みが大きくなる形状を一例として示すに過ぎず、第2指芯114はたとえば第1指芯113のように段階的に厚みが大きくならない形状を有していてもよい。
【0054】
芯材としての第1指芯113および第2指芯114には、複数の孔部98(第2の孔)が形成されている。この孔部98は実施の形態1の複数の孔部21と同様の態様を有しているためここでは詳細な説明を省略する。また複数の孔部98のそれぞれは実施の形態1の複数の孔部21と同様に、複数の孔部98のうち互いに隣り合う1対の孔部98の間のピッチP(図14参照)は7mm以上30mm以下であることが好ましく、その中でも9mm以上20mm以下であることがより好ましい。
【0055】
第1指芯113に形成される複数の孔部98のそれぞれは、第1指芯113の平面視における幅方向(細い方向)の中央部(中央C)よりも、第1指芯113が手掌側配置革の内部に配置されたときの当該幅方向に関する内側に配置される。同様に、第2指芯114に形成される複数の孔部98のそれぞれは、第2指芯114の平面視における幅方向(細い方向)の中央部(中央C)よりも、第2指芯114が手掌側配置革の内側に配置されたときの当該幅方向に関する内側に配置される。すなわちこれらの複数の孔部98は、ポケット部108の周囲に配置された第1指芯113および第2指芯114において、第1指芯113および第2指芯114の中央よりもポケット部108側に形成される。
【0056】
また土台芯112にも、おおむね第1指芯113および第2指芯114の平面視における幅方向(細い方向)の内側の外周端99に関して、第1指芯113および第2指芯114の孔部98と対向する位置に、複数の孔部98(第2の孔)が形成されている。
【0057】
第1指芯113および第2指芯114は、平面視における中央Cよりも端部において硬度が高い。すなわち図15および図16を再度参照して、第1指芯113および第2指芯114は、点Bよりも点Aにおける硬度が高くなっている。
【0058】
実施の形態1と同様に、第1指芯113および第2指芯114の硬度を高くする方法としては、たとえば第1指芯113および第2指芯114の端部の少なくとも一部に縫着または熱融着を施し予め指芯113,114を圧縮しておく方法がある。あるいは指芯113,114の硬度を高くする方法として、樹脂含浸または革に硬度を高くする材料を添着する方法などがある。以上の方法により、指芯113,114の厚み方向に関する変形量を、たとえば指芯113,114の中央のもっとも柔らかい部分の同変形量の90%以下とすることができる。
【0059】
つまり本実施の形態において、第1指芯113および第2指芯114における紐革115aを通すための孔部98は、その少なくとも一部が、変形量が第1指芯113および第2指芯114の中央Cの最も柔らかい部分の90%以下の領域に形成される。表2の結果を考慮すれば、具体的には、図14において複数の孔部98のそれぞれの少なくとも一部は、第1指芯113および第2指芯114の外周端22から15mm未満、より好ましくは13mm未満の領域に形成されることが好ましい。言い換えれば、第1指芯113および第2指芯114の特に中央Cより内側(第1指芯113と第2指芯114とが互いに対向する側)における外周端99と、孔部98のうち上記内側の外周端99に近い部分との最短距離D(図14参照)は13mm未満であることが好ましい。なおその中でも、図14において複数の孔部98のそれぞれの少なくとも一部は、第1指芯113および第2指芯114の内側の外周端99から10mm以内の領域に形成されることがより好ましい。
【0060】
第1指芯113および第2指芯114と、捕球面革104および手掌革105とは、紐革115aにより互いに固定されている。
【0061】
ここで第1指芯113について具体的に説明する。図12および図17を参照して、捕球面革104と、これに平面的に重ねられた手掌革105とのそれぞれの孔部H1(第1の孔)と第1指芯113および土台芯112の孔部98とが、平面的にほぼ重なる位置に配置される。このとき孔部98は、捕球面革104の孔部H1と手掌革105の孔部H1とに挟まれる位置に配置される。同様に捕球面革104および手掌革105のそれぞれの孔部H2(第1の孔)が第1指芯113の孔部98と平面的にほぼ重なっている。
【0062】
この状態で、捕球面革104の孔部H1から、孔部98を通って手掌革105の孔部H1に達するように、紐革115aが各孔部を貫通する。この紐革115aは、手掌革105の外側(すなわち手掌革105の、使用者の掌に触れる面)を通って使用者の手の幅方向に関する内側に延び、たとえば第1指芯113の外周端99に沿って1つずれた位置に形成されている手掌革105の孔部H2から、捕球面革104の孔部H2に達するように各孔部H2および土台芯112の孔部98内を貫通する。そして紐革115aは捕球面革104の外側を通って使用者の手の幅方向に関する外側に延び、捕球面革104の上述した孔部H1とは外周端99に沿って1つずれた位置に形成された孔部H1に達して一巡する。
【0063】
なお、第2指芯114についても基本的に上記の第1指芯113と同様である。
このようにして紐革115aは、第1指芯113および第2指芯114の特に使用者の手の幅方向に関する内側を断面方向(第1指芯113または第2指芯114からポケット部108に向かう方向すなわち使用者の手の幅方向)に沿って延びるように周回することにより、第1指芯113および第2指芯114の端部を固定する。これにより第1指芯113および第2指芯114は捕球面革104および手掌革105の双方に固定される。孔部H1,H2の外側に出た紐革115aは、使用者の手の幅方向に沿って延びるように、第1指芯113および第2指芯114の端部(特に使用者の手の幅方向の内側の外周端99の近傍)を周回する。
【0064】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のミット100は、グローブ10と同様に、第1指芯113および第2指芯114と捕球面革104などとを固定するために、第1指芯113および第2指芯114、ならびに土台芯112に形成される孔部98の少なくとも一部が、中央Cよりもポケット部108側の、指芯113,114の外周端99から13mm以内の領域を含むように形成される。また当該外周端99を周回するように紐革115aが第1指芯113および第2指芯114を固定している。これにより、孔部98の近傍における第1指芯113および第2指芯114の硬度は、中央Cの硬度に比べて高く変形量が少なくなるため、紐革115aの張力により捕球面革104などを十分に引っ張ることができ、捕球面革104などのたるみを抑制することができる。以上の効果は、互いに隣り合う孔部98の間のピッチP(図14参照)が7mm以上30mm以下であり、第1指芯113および第2指芯114の端部が熱融着部であることにより、いっそう高められる。
【0065】
上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本願発明の特徴的な構成を以下に列挙する。
【0066】
(1)この発明に従った野球用またはソフトボール用捕球具10,100は、第1の孔H1,H2が形成された捕球面側の革部材10p,104と、革部材10p,104の内側に配置され、第2の孔21,98が形成された芯材20,113,114と、革部材10p,104と芯材20,113,114とを固定する紐革6,115aとを備えている。紐革6,115aが第1および第2の孔H1,H2,21,98に通され、芯材20,113,114の端部を断面方向で周回することにより革部材10p,104と芯材20,113,114とが固定される。芯材20,113,114は、中央Cよりも端部において硬度が高い。第2の孔21,98の周囲の芯材の少なくとも一部は、変形量が芯材20,113,114の中央Cの最も柔らかい部分の90%以下である。
【0067】
第2の孔21,98の周囲の芯材20,113,114の少なくとも一部が、芯材20,113,114の中央Cの最も柔らかい部分よりも硬度が高い領域に形成されるため、紐革6,115aの張力を高めても芯材20,113,114の過剰な変形を防止できるので、紐革6,115aの張力により革部材10p,104を十分に引っ張ることができ、革部材10p,104のたるみを抑制することができる。
【0068】
(2)上記(1)の野球用またはソフトボール用捕球具10において、革部材10pは使用者の人差指が挿入される指部f2を含み、芯材20は指部f2より使用者の手首側に配置され、第2の孔21は、芯材20の中央Cより指部f2側に形成されている。
【0069】
第2の孔21の少なくとも一部が、芯材20の中央Cの最も柔らかい部分よりも硬度が高い領域に形成されるため、紐革6の張力により指部f2と芯材20の位置する部分との間の領域(ポケット部)の革部材10pを十分に引っ張ることができ、革部材10pのたるみを抑制することができる。
【0070】
(3)上記(2)の野球用またはソフトボール用捕球具10において、紐革6は、指部f2の延在方向に沿って延びるように芯材20の端部を周回する。
【0071】
この場合紐革6はポケット部から手首部に向かう方向に延びるように配置されるので、紐革6の張力を高めることでポケット部の革部材10pを直接的に引っ張ることができる。
【0072】
(4)上記(1)の野球用またはソフトボール用捕球具100において、革部材104は捕球面側に設けられるポケット部108を含んでいる。芯材113,114はポケット部108の周囲に配置されている。第2の孔98は、芯材113,114の中央Cよりポケット部108側に形成されている。
【0073】
第2の孔98の少なくとも一部が、芯材113,114の中央Cの最も柔らかい部分よりも硬度が高い領域に形成されるため、紐革115aの張力により革部材104の内側の領域(ポケット部)の革部材104を十分に引っ張ることができ、革部材104のたるみを抑制することができる。
【0074】
(5)上記(4)の野球用またはソフトボール用捕球具100において、紐革115aは、芯材113,114からポケット部108に向かう方向に沿って延びるように芯材113,114の端部を周回する。
【0075】
この場合紐革115aはポケット部から捕球具100の外周に向かう方向に延びるように配置されるので、紐革115aの張力を高めることでポケット部の革部材104を直接的に引っ張ることができる。
【0076】
(6)上記(1)〜(5)の野球用またはソフトボール用捕球具10,100において、第2の孔21,98の少なくとも一部は、芯材20,113,114の外周端22,99から13mm以内の領域に形成されている。
【0077】
第2の孔21,98の少なくとも一部が、芯材20,113,114の中央Cよりも硬度が高い領域に形成されるため、紐革6,115aの張力により革部材10p,104を十分に引っ張ることができ、革部材10p,104のたるみを抑制することができる。
【0078】
(7)上記(1)〜(6)の野球用またはソフトボール用捕球具10,100において、第2の孔21,98は芯材20,113,114の端部に沿うように複数形成され、複数の第2の孔21,98のうち互いに隣り合う1対の第2の孔21,98の間のピッチは7mm以上30mm以下である。
【0079】
このようにすれば、芯材20,113,114を革部材10p,104に対して十分な張力で固定させることができる。
【0080】
(8)上記(1)〜(7)の野球用またはソフトボール用捕球具10,100において、芯材20,113,114の端部または第2の孔21,98の周囲の少なくとも一部は熱融着部である。
【0081】
このようにすれば、芯材20,113,114を革部材10p,104に対して十分な張力で固定させることができる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
1 ウエブ接続部、2 手挿入接続部、3,4 手首隣接接続部、5 ウエブ部、5b 手甲側ウエブ部、5p 手掌側ウエブ部、6 紐革、10 グローブ、10b 手甲革、10p 手掌側配置革、10p1,104 捕球面革、10p2 手掌革、11 開口部、12 手挿入部、20 芯材、21,H1,H2 孔部、22 外周端、30 治具、31 先端部、100 ミット、102 外革、112 土台芯、113 第1指芯、114 第2指芯、f1 親指袋、f2 人差指袋、f3 中指袋、f4 薬指袋、f5 小指袋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17