(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具に搭載された第1送受信ユニットと、医療施設の床や通路に設置された第2送受信ユニットとの間で所定の波長の光による双方向の情報伝達を行い、
所定の第1情報が前記第1送受信ユニットから前記第2送受信ユニットへ送信され、所定の第2情報が前記第2送受信ユニットから前記第1送受信ユニットへ送信され、
前記第1情報は、前記第1送受信ユニットを一意に特定するID情報と、前記第1送受信ユニットと双方向通信が可能な音声入出力機能部から入力された前記視覚障害者の音声情報とを少なくとも含み、前記第2情報は、前記第2送受信ユニットと双方向通信が可能な管理装置から入力された緊急情報を少なくとも含み、
前記第1送受信ユニットは、前記ID情報を一定間隔で周期的に前記第2送受信ユニットへ送信し、前記音声情報を受信した場合、前記ID情報の送信を停止し、前記音声情報を前記第2送受信ユニットへ送信し、送信終了後、前記ID情報の送信を再開する
ことを特徴とする視覚障害者支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の案内システムは、ICタグからの電波が医療機器に影響を与える虞があるため、病院等の医療施設に適用することは困難である。
【0005】
また、昨今、特に医療施設において、視覚障害者に対して様々な支援サービスを提供することが要望されている。しかしながら、特許文献1の案内システムにおいて情報の流れは一方向(誘導ブロックから案内用杖)であるため、仮に医療施設に適用できたとしても、特許文献1のシステムによって提供されるサービスは、せいぜい視覚障害者を目的地まで案内する案内サービスぐらいである。従って、特許文献1の案内システムは、上記要望に応えることはできない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、病院等の医療施設において、視覚障害者に対して様々な支援サービスを提供することが可能視な覚障害者支援システム、視覚障害者支援方法、および送受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の視覚障害者支援システムは、視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具に搭載され、所定の波長の光による双方向の情報伝達が可能な第1送受信ユニットと、医療施設の床や通路に設置され、前記第1送受信ユニットとの間で前記情報伝達が可能な第2送受信ユニットと、を備える。
【0008】
本発明の視覚障害者支援方法は、視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具に搭載された第1送受信ユニットと、医療施設の床や通路に設置された第2送受信ユニットとの間で所定の波長の光による双方向の情報伝達を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の送受信機は、視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具に搭載され、所定の波長の光による双方向の情報伝達が可能である。
【0010】
本発明の第2の送受信機は、医療施設の床や通路に設置され、所定の波長の光による双方向の情報伝達が可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、病院等の医療施設において、視覚障害者に対して様々な支援サービスを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[構成の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る視覚障害者支援システム10の構成例を示すブロック図である。視覚障害者支援システム10は、第1送受信ユニット12と、第2送受信ユニット14と、管理装置16と、携帯端末18と、を備える。
【0014】
第1送受信ユニット12は、視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具(たとえば、杖)に搭載される。第1送受信ユニット12は、
図2に示されるように、第1光送受信部30と第1近距離無線通信部32とを備える。
【0015】
第1光送受信部30は、第2送受信ユニット14(具体的には、第2光送受信部40)との間で、所定の波長の光による双方向の情報伝達が可能である。所定の波長の光は、たとえば、可視光、赤外線、あるいは紫外線である。
【0016】
第1近距離無線通信部32は、携帯端末18(具体的には、第2近距離無線通信部50)との間で、特定の周波数の電波による双方向の情報伝達が可能である。近距離無線の例としては、たとえば、Bluetooth(登録商標)を挙げることができる。この場合、医療機器への接続を目的としたHDP(Health Device Profile)タイプのBluetoothであるとより好適である。
【0017】
第2送受信ユニット14は、医療施設の床や通路に設置される。たとえば、第2送受信ユニット14は、床や通路に埋設された視覚障害者誘導用ブロック(通称:誘導ブロックあるいは点字ブロック)に埋設されても良い。第2送受信ユニット14は、
図3に示されるように、通常、通路に沿って複数設けられる。
【0018】
第2送受信ユニット14は、
図4に示されるように、第2光送受信部40を備える。第2光送受信部40は、第1光送受信部30との間で上記情報伝達(すなわち、所定の波長の光による双方向の情報伝達)が可能である。また、第2送受信ユニット14は、管理装置16との間で双方向の情報伝達(無線、有線のいずれであって良い)が可能である。また、第2送受信ユニット14は、自己の位置情報をメモリ(
図4において不図示)に記憶している。
【0019】
たとえば、第2送受信ユニット14は、第2光送受信部40を介して第1送受信ユニット12から受信した「ID情報(第1送受信ユニット12を一意に特定する情報)」および「自己の位置情報」を、管理装置16へ送信する。この場合、管理装置16において、ID情報および位置情報に基づいて視覚障害者の位置が把握される。また、第2送受信ユニット14は、第2光送受信部40を介して第1送受信ユニット12から受信した視覚障害者の「音声情報」を、管理装置16へ送信する。
【0020】
また、第2送受信ユニット14は、管理装置16から受信した「緊急情報」を、第2光送受信部40を介して、第1送受信ユニット12へ送信する。
【0021】
管理装置16は、視覚障害者支援システム10全体を管理する。管理装置16は、第2送受信ユニット14との間で双方向の通信が可能である。この場合の通信は、無線通信および有線通信のいずれであってもよい。
【0022】
携帯端末18は、第1送受信ユニット12(具体的には、第1近距離無線通信部32)との間で、Bluetoothによる双方向の近距離無線通信を行う。携帯端末18は、
図5に示されるように、第2近距離無線通信部50と、音声入出力機能部52と、を備える。第2近距離無線通信部50は、第1送受信ユニット12の第1近距離無線通信部32との間で、双方向の近距離無線通信を行う。
音声入出力機能部52は、音声入力機能(たとえば、マイク)と音声出力機能(たとえば、スピーカやイヤホン)とを備える。音声入力機能は、視覚障害者が発した音声を電気的な処理が可能な「音声情報」に変換する。音声情報は、第2近距離無線通信部50を経由して第1送受信ユニット12へと送信される。一方、音声出力機能は、第2近距離無線通信部50を経由して第1送受信ユニット12から受信した所定の信号(たとえば、「緊急情報」)を音声に変換して出力する。
【0023】
なお、携帯端末18の例としては、たとえば、携帯電話、スマートフォン、イヤホンマイク等を挙げることができる。
【0024】
以上説明したように、視覚障害者支援システム10において、視覚障害者によって入力された情報(たとえば、音声情報)は、携帯端末18、第1送受信ユニット12、第2送受信ユニット14を経由して、最終的には、管理装置16へと伝達される。一方、管理装置16からの情報(たとえば、緊急情報)は、上記とは逆に、第2送受信ユニット14、第1送受信ユニット12、携帯端末18を経由して視覚障害者へと伝達される。すなわち、視覚障害者支援システム10において、視覚障害者と管理装置16の間での双方向の情報伝達が可能である。
[動作の説明]
まず、以下で説明する動作に先立って、視覚障害者を一意に識別するID情報が、第1送受信ユニット12のメモリと管理装置16に予め記憶されているものとする。
【0025】
図6は、管理装置16の動作例を説明するためのフローチャートである。管理装置16は、第2送受信ユニット14から何らかの情報を受信したか否かを判定する(ステップS10)。何らかの情報を受信した場合(ステップS10においてYes)、管理装置16は、受信した情報が、第1送受信ユニット12(視覚障害者)のID情報と第2送受信ユニット14の位置情報であるか否か判定する(ステップS11)。
【0026】
受信した情報が、ID情報および位置情報である場合(ステップS11においてYes)、管理装置16は、ID情報および位置情報を保存する(ステップS12)。管理装置16は、事前に初期設定で記憶しているID情報と保存したID情報と位置情報とに基づいて視覚障害者の位置を算出し、算出した位置をディスプレイに表示する(ステップS13)。ここで、ディスプレイには医療施設内の地図が表示されており、オペレータは、視覚障害者の位置を直感的に把握することができる。ステップS13の処理終了後、ステップS10の処理が再度実行される。
【0027】
一方、受信した情報が、ID情報および位置情報でない場合(ステップS11においてNo)、管理装置16は、受信した情報は、音声情報であると判断する。管理装置16は、受信した音声情報の音声出力および録音を実行する(ステップS14)。ステップS14の処理終了後、ステップS10の処理が再度実行される。
【0028】
また、受信情報が無い場合(ステップS10においてNo)、管理装置16は、オペレータによる入力イベント(たとえば、緊急情報の入力)の有無を判定する(ステップS15)。入力イベントが検出されない場合(ステップS15においてNo)、ステップS10の処理が再度実行される。
【0029】
一方、入力イベントが検出された場合(ステップS15においてYes)、管理装置16は、緊急情報を、第2送受信ユニット14へ送信(たとえば、ブロードキャスト)する(ステップS16)。ステップS16の処理終了後、ステップS10の処理が再度実行される。
【0030】
図7は、第1送受信ユニット12の動作例を説明するためのフローチャートである。第1送受信ユニット12は、第1送受信ユニット12を一意に特定するID情報を、一定間隔で周期的に、第2送受信ユニット14へ送信する(ステップS20)。
【0031】
第1送受信ユニット12は、第2送受信ユニット14または携帯端末18から何らかの情報を受信したか否かを判定する(ステップS21)。情報を何も受信していない場合(ステップS21においてNo)、ステップS21の処理が繰り返し実行される。何らかの情報を受信した場合(ステップS21においてYes)、第1送受信ユニット12は、受信した情報が携帯端末18から送信された視覚障害者の「音声情報」であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0032】
受信した情報が「音声情報」である場合(ステップS22においてYes)、第1送受信ユニット12は、ID情報の発信を停止する(ステップS23)。第1送受信ユニット12は、第1光送受信部30を介して、音声情報を第2送受信ユニット14へ送信する(ステップS24)。送信終了後、第1送受信ユニット12は、ID情報の発信を再開する(ステップS25)。その後、ステップS21の処理(情報受信確認)が再度実行される。
【0033】
一方、受信した情報が第2送受信ユニット14から送信された「緊急情報」である場合(ステップS22においてNo)、第1送受信ユニット12は、第1近距離無線通信部32を介して、緊急情報を携帯端末18へ送信する(ステップS26)。その後、ステップS21の処理(情報受信確認)が再度実行される。
【0034】
図8は、第2送受信ユニット14の動作例を説明するためのフローチャートである。第2送受信ユニット14は、第1送受信ユニット12または管理装置16から何らかの情報を受信したか否かを判定する(ステップS40)。情報を何も受信していない場合(ステップS40においてNo)、ステップS40の処理が繰り返し実行される。
【0035】
何らかの情報を受信した場合(ステップS40においてYes)、第2送受信ユニット14は、受信情報が第1送受信ユニット12から送信された音声情報であるか否かを判定する(ステップS41)。受信情報が音声情報である場合(ステップS41においてYes)、第2送受信ユニット14は、取得した音声情報を管理装置16へ送信する(ステップS42)。
【0036】
受信情報が音声情報でない場合(ステップS41においてNo)、第2送受信ユニット14は、受信した情報が第1送受信ユニット12から送信されたID情報であるか否かを判定する(ステップS43)。受信情報がID情報である場合(ステップS43においてYes)、第2送受信ユニット14は、取得したID情報と第2送受信ユニット14自身の位置情報とを、管理装置16へ送信する(ステップS44)。
【0037】
受信情報がID情報でない場合(ステップS43においてNo)、第2送受信ユニット14は、受信情報は管理装置16から送信された緊急情報であると判断し、緊急情報を第1送受信ユニット12に送信する(ステップS45)。
【0038】
ステップS42、43、45の処理終了後、ステップS40の処理が再度実行される。
【0039】
なお、以上の説明では省略されているが、当然のことながら、第2送受信ユニット14は、自己の位置情報を第1送受信ユニットへ送信することもできる。
[効果の説明]
以上説明した実施形態において、視覚障害者の歩行を補助するための歩行補助具に搭載された第1送受信ユニット12と、医療施設の床や通路に設置された第2送受信ユニット14との間で双方向の情報伝達が行われる。
【0040】
従って、たとえば、視覚障害者によって入力された「音声情報」を管理装置16へと伝達させることができる。音声情報を、たとえば、救援要請(“助けてください”等)とした場合、ナースコールボタンが付近にない場所において視覚障害者が体調を崩した場合でも、迅速な対応が可能となる。もちろん、音声情報は、救援要請に限定されない。音声情報は、たとえば、緊急時においては、生存確認や避難経路要求についての音声情報とすることができ、あるいは、平時においては、医療施設への要望や質問についての音声情報とすることができる。
【0041】
また、管理装置16からの「緊急情報」を視覚障害者へと伝達させることができる。緊急情報を、たとえば、避難命令とした場合、視覚障害者が館内放送を聞き取りづらい場所にいた場合であっても、視覚障害者に対して確実に避難命令を伝えることができる。もちろん、緊急情報は、避難命令に限定されない。
【0042】
さらに、双方向の情報伝達が可能となることにより、緊急情報の通知サービスと案内サービスとを融合した「緊急時の誘導サービス」を提供することも可能となる。
【0043】
すなわち、第1送受信ユニット12と第2送受信ユニット14との間で双方向の情報伝達が行われることにより、案内サービスをはじめとした様々な支援サービスを提供することができる。
【0044】
さらに、双方向の情報伝達は、所定の波長の光(可視光、赤外線、または紫外線)を用いた通信によって遂行されるので、医療機器を誤動作させる心配もない。
【0045】
以上を纏めると、本実施形態によれば、病院等の医療施設において、誘導のみに限定されることなく、視覚障害者に対して様々な支援サービスを提供することが可能となる。
【0046】
なお、以上説明した実施形態では、歩行補助具(第1送受信ユニット12)と携帯端末18とを別体とする場合を例に挙げたが、第1送受信ユニット12が携帯端末18の機能(少なくとも
図5に示される機能)を包含する構成であってもよい。このようにすることにより、装置構成を簡素化させることができる。さらに、携帯端末18の紛失や盗難に関係なく上記支援サービスを継続的に受けることが可能となる。
【0047】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の記載に限定されない。上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者にとって自明である。従って、そのような変更又は改良を加えた形態もまた本発明の技術的範囲に含まれることは説明するまでもない。また、以上説明した実施形態において使用される、数値や各構成の名称等は例示的なものであり適宜変更可能である。