(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されている燃料電池システムにおいては、リサイクル流路48にはオリフィス部材50によって改質器4に戻される改質燃料ガスの流量が調整されているが、オリフィス部材50の流路孔が異物によって閉塞するおそれがある。オリフィス部材50の流路孔が異物により閉塞した場合には、リサイクル流路48に改質燃料ガスが流れなくなり、脱硫器22は改質燃料ガスの水素が混合されないことによって脱硫機能が低下するおそれがあった。さらに、脱硫器22で脱硫機能が低下すると、燃料電池セルスタック6が改質燃料ガスに含まれる硫黄成分によって劣化するおそれもあった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、燃料電池システムにおいて硫黄成分による改質部の劣化や燃料電池の故障を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る燃料電池システムの発明は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、改質用原料と改質水とから燃料を生成して燃料電池に供給する改質部と、改質用原料に含まれる硫黄成分を除去して改質部に供給する脱硫器と、改質部から燃料電池に燃料を供給する燃料供給管と脱硫器に改質用原料を供給する改質用原料供給管とを接続し、燃料の一部をリサイクル燃料として脱硫器に戻すリサイクル燃料管と、リサイクル燃料管に設けられ、リサイクル燃料の吐出流量を調整可能であり、リサイクル燃料管にリサイクル燃料を流通させるポンプと
、リサイクル燃料の流量と相関を有する値を検出するセンサと、センサにより検出し
たリサイクル燃料の流量と相関を有する値が目標値となるようにポンプの吐出流量であるポンプ吐出流量を制御する制御装置と、を備え
、センサは、リサイクル燃料管に設けられ、リサイクル燃料管を流れるリサイクル燃料の温度を検出する温度センサであり、制御装置は、温度センサにより検出したリサイクル燃料の温度が目標値となるようにポンプ吐出流量を制御する。
【0007】
これによれば、リサイクル燃料管が閉塞したとしても、ポンプの駆動によってリサイクル燃料を積極的に流通(送出)させることが可能となる。よって、リサイクル燃料をリサイクル燃料管に確実に流通させることができる。その結果、燃料電池システムにおいて硫黄成分による改質部の劣化や燃料電池の故障を抑制することができる。
ま
た、センサは、リサイクル燃料管に設けられ、リサイクル燃料管を流れるリサイクル燃料の温度を検出する温度センサであり、制御装置は、温度センサにより検出したリサイクル燃料の温度が目標値となるようにポンプ吐出流量を制御す
る。
【0008】
また
請求項2に係る発明は、請求項
1において、ポンプの駆動に関する情報に基づいて、リサイクル燃料管を通過するリサイクル燃料の通過状態を検出する検出部をさらに備えている。
これによれば、ポンプの駆動力によってリサイクル燃料を送出する構成であっても、リサイクル燃料管が閉塞する場合があるが、この場合でも検出部によってリサイクル燃料管の閉塞などの異常を早期かつ確実に検知する。よって、リサイクル燃料管の異常を検知した場合には、脱硫器、改質部や燃料電池を劣化させないような対処(燃料電池システムの停止)をすることが可能となる。
【0009】
また
請求項3に係る発明は、請求項1
または請求項2において、ポンプの上流のリサイクル燃料管に設けられ、冷媒とリサイクル燃料とが熱交換する熱交換器をさらに備えている。
これによれば、熱交換器における熱交換によってリサイクル燃料が降温されるとともにリサイクル燃料中の水蒸気が減少、除却されるため、熱交換器の下流に設置されるポンプは、耐熱性・耐水蒸気性は低くてもよい。また、ポンプにリサイクル燃料中の水蒸気や凝縮した水が流入することによる故障も防ぐことが可能である。よって、一般的に安価かつ信頼性がポンプを使用することができ、燃料電池システムの低コスト化を図ることができる。
【0010】
また
請求項4に係る発明は、請求項1乃至
請求項3の何れか一項において、ポンプは、リサイクル燃料中の露点温度以上の温度であるリサイクル燃料が流通可能なポンプである。
これによれば、リサイクル燃料中の水蒸気が凝縮することがないため、凝縮水によるポンプ故障を防止することが可能となる。また、改質部から流出する改質ガスは比較的高温であるため、耐熱性の高いポンプ(高温用ポンプ)を使用することにより、従来のように、リサイクル燃料管に熱交換器を設けなくても、リサイクル燃料を流通させることができる。よって、燃料電池システムの低コスト化を図りつつ、リサイクル燃料を確実に流通させることができる。
【0011】
また
請求項5に係る発明は、請求項1乃至
請求項4の何れか一項において、ポンプは、気体および液体の両方を吐出可能なポンプである。
これによれば、燃料電池システムの起動(暖機)運転中など、リサイクル燃料中の水蒸気が凝縮する可能性がある場合、リサイクル燃料を確実に流通させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一実施形態)
以下、本発明による燃料電池システムの第一実施形態について説明する。
図1に示すように、燃料電池システムは、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、および制御装置15を備えている。
【0014】
燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水およびカソードエアが供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端が水タンク14に接続されて改質水が供給される水供給管11bの他端が接続されている。水供給管11bは、改質水ポンプ11b1が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。
【0015】
改質用原料供給管11aに関して詳述する。改質用原料供給管11aには、上流から順番に遮断弁11a1、圧力センサ11a3、流量センサ11a2、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6が設けられている。遮断弁11a1、流量センサ11a2、圧力センサ11a3、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6は、筐体10a内に収納されている。
【0016】
遮断弁11a1は改質用原料供給管11aを制御装置15の指令によって開閉自在に遮断する弁(2連弁)である。流量センサ11a2は、燃料電池34に供給されている燃料(改質用原料)の流量すなわち単位時間あたりの流量を検出するものであり、その検出結果を制御装置15に送信している。圧力センサ11a3は、燃料電池34に供給されている燃料(改質用原料)の圧力(特に圧力センサ11a3の設置場所の圧力)を検出するものであり、その検出結果を制御装置15に送信している。
【0017】
圧力調整装置11a4は、入力した燃料を所定の圧力に調整して出力する。例えば、圧力調整装置11a4は、入力した燃料を大気圧にて出力するゼロガバナで構成されている。原料ポンプ11a5は、燃料電池34に燃料(改質用原料)を供給する原料供給装置であり、制御装置15からの制御指令値にしたがって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料ポンプ11a5は、改質用原料を吸入し改質部33に圧送する圧送装置である。
【0018】
脱硫器11a6は、改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去して改質部33に供給するものである。脱硫器11a6内には、触媒および超高次脱硫剤が収容されている。触媒においては、硫黄化合物と水素とが反応して硫化水素が発生する。例えば、触媒は、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系である。超高次脱硫剤としては、例えば銅−亜鉛系脱硫剤、銅−亜鉛−アルミニウム系脱硫剤などを用いることができる。超高次脱硫剤は、触媒にて硫黄化合物から変換された硫化水素を取り込んで除去する。このような超高次脱硫剤は、200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態で優れた脱硫作用を発揮する。したがって、脱硫器11a6は、内部が200〜300℃(例えば250〜300℃)の高温状態となる箇所に配置されている。例えば、脱硫器11a6は、ケーシング31内(断熱材層内)、またはケーシング31外面に配置されている。
【0019】
燃料電池システムは、脱硫剤として超高次脱硫剤を用いることに関連して、改質部33にて改質された改質ガスの一部が改質用原料供給管11aに戻されるように構成されている。具体的には、改質ガスを戻すためのリサイクルガス管39(リサイクル燃料管に相当する)が設けられている。リサイクルガス管39の一端が改質ガス供給管(燃料供給管)38に接続され、リサイクルガス管39の他端が改質用原料供給管11aの脱硫器11a6の上流位置に接続されている。すなわち、リサイクルガス管39の他端は、原料ポンプ11a5の配設部位と脱硫器11a6の配設部位との間の部位に接続されている。なお、リサイクルガス管39の他端は、原料ポンプ11a5の配設部位と圧力調整装置11a4の配設部位との間の部位に接続されるようにしてもよい。
【0020】
リサイクルガス管39には、リサイクルガスポンプ39a(特許請求の範囲に記載のポンプに相当する)が設けられている。リサイクルガスポンプ39aは、リサイクルガスの吐出流量を調整可能であり、リサイクルガス管39にリサイクルガスを流通させるものである。リサイクルガスポンプ39aは、制御装置15からの制御指令値にしたがって改質ガス供給管38からのリサイクルガス供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。リサイクルガスポンプ39aは、リサイクルガスを吸入し改質用原料供給管11aひいては脱硫器11a6に圧送する圧送装置である。
【0021】
なお、リサイクルガスポンプ39aは、リサイクルガス中の露点温度以上の温度(例えば100℃以上)であるリサイクルガスが流通可能なポンプであることが望ましい。さらに、リサイクルガスポンプ39aは、150℃以上であるリサイクルガスが流通可能なポンプであることがより望ましい。また、リサイクルガスポンプ39aは、気体および液体の両方を吐出可能なポンプであることが望ましい。
【0022】
このように、水素が含まれている改質ガス(リサイクルガス)がリサイクルされることにより、改質ガス中の水素が改質用原料に混合されて改質用原料供給管11aを通して脱硫器11a6内の超高次脱硫剤に送給される。その結果、改質用原料中の硫黄化合物が水素と反応して硫化水素が発生し、その硫化水素が超高次脱硫剤によって除去される。
【0023】
また、リサイクルガス管39には、温度センサ39bが設けられている。温度センサ39bは、リサイクルガス管39を流れるリサイクルガスの温度を検出して、その検出結果を制御装置15に送信するようになっている。また、リサイクルガス管39には、温度センサ39bに代えてまたは温度センサ39bとともに流量センサ39cを設けるようにしてもよい。流量センサ39cは、リサイクルガス管39を流れるリサイクルガスの流量を検出して、その検出結果を制御装置15に送信するようになっている。
【0024】
さらに、リサイクルガスポンプ39aには、リサイクルガスポンプ39aの回転数(または駆動用モータの回転数)を検出する回転数センサ39a1が設けられている。回転数センサ39a1は、リサイクルガスポンプ39aの回転数を検出して、その検出結果を制御装置15に送信するようになっている。また、リサイクルガスポンプ39aには、リサイクルガスポンプ39a自体の温度(以下ポンプ温度という場合もある)を検出する温度センサ39a2を設けるようにしてもよい。温度センサ39a2は、ポンプ温度を検出して、その検出結果を制御装置15に送信するようになっている。
【0025】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。具体的には、貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配設されている。熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。
【0026】
熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0027】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0028】
さらに、インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。また、インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。なお、制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システムの運転を制御する。
【0029】
燃料電池モジュール11(30)は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
【0030】
蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0031】
蒸発部32には、一端(下端)が水タンク14に接続された水供給管11bの他端が接続されている。また、蒸発部32には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aが接続されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。
【0032】
改質部33は、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0033】
燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部33は省略することができる。
【0034】
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。燃料電池34は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する。
【0035】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0036】
燃焼部36は、燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間に設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて改質部33を加熱する。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37が発生している。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼排ガスが発生している。
【0037】
さらに燃料電池システムは、制御装置15を備えている。制御装置15には上述した流量センサ11a2、圧力センサ11a3、温度センサ39b、遮断弁11a1、各ポンプ11a5,11b1,22a,39a、カソードエアブロワ11c1が接続されている(
図2参照)。制御装置15はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(何れも図示省略)を備えている。CPUは燃料電池システムの運転に必要な各種プログラムを実施している。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMはプログラムを記憶するものである。
【0038】
次に上述した燃料電池システムの作動について説明する。燃料電池システムの運転中(暖機運転中、発電運転中)において、制御装置15は、リサイクルガスポンプ39aを駆動させて、改質部33からの改質ガスの一部をリサイクルガスとしてリサイクルガス管39を介して改質用原料供給管11aに戻している。
【0039】
このとき、制御装置15は、リサイクルガスの流量が目標流量となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行っている。目標流量は、発電負荷(外部電力負荷16cの総電力量(但し、燃料電池34の最大出力量(例えば700W)を超えない範囲))に応じて決定される発電出力量に応じた改質用原料の供給量に所定比率を乗算して得た値に設定されている。制御装置15は、目標流量に応じた制御指令値(例えばデューティ比)をリサイクルガスポンプ39aに出力する。
【0040】
リサイクルガスポンプ39aの制御は、フィードバック制御でもフィードフォワード制御でもよい。いずれの場合も、例えば、リサイクルガス管39を流れるリサイクルガスの温度(リサイクルガス温度)、リサイクルガス管39を流れるリサイクルガスの流量(リサイクルガス流量)、リサイクルガスポンプ39aの回転数を制御対象とすればよい。
【0041】
リサイクルガス温度を制御対象とする場合、リサイクルガス流量とリサイクルガス温度とは相関があるため、制御装置15は、目標流量に応じた目標温度となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行うようにすればよい。なお、リサイクルガス流量とリサイクルガス温度との相関は、リサイクルガス流量が多くなるほどリサイクルガス温度は高くなる関係である。具体的には、制御装置15は、温度センサ39bによって検出した温度が目標温度となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行う。
【0042】
また、リサイクルガス流量を制御対象とする場合、制御装置15は、目標流量となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行うようにすればよい。具体的には、制御装置15は、流量センサ39cによって検出した流量が目標流量となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行う。
【0043】
また、リサイクルガスポンプ39aの回転数を制御対象とする場合、制御装置15は、目標流量に応じた目標回転数となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行うようにすればよい。なお、リサイクルガス流量とリサイクルガスポンプ39aの回転数との相関は、リサイクルガスポンプ39aの回転数が大きくなるほどリサイクルガス流量が多くなる関係である。具体的には、制御装置15は、回転数センサ39a1によって検出した回転数が目標回転数となるように、リサイクルガスポンプ39aの制御を行う。
【0044】
次に、上述した第一実施形態の燃料電池システムの作動(リサイクルガス管39の異常検知)について説明する。制御装置15は、燃料電池システムの運転中(暖機運転中、発電運転中)において、
図3に示すフローチャートを実行している。制御装置15は、ステップS102において、流量センサ11a2によって検出された改質用原料の流量F1を取得する。
【0045】
リサイクルガスポンプ39aが上述したように目標流量となるように制御をされているときには、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過する。リサイクルガスは、改質部33で改質された高温(約600℃)の改質ガスの一部である。このため、リサイクルガス管39が正常であれば、
図4に示すように、リサイクルガスの温度T1は適正温度の範囲Ta〜Tb(Taは適正温度の下限温度であり、Tbは適正温度の上限温度である)に含まれる。所定リサイクルガス比率としようとすると、改質量原料流量に伴いリサイクルガス流量も変更となる。リサイクルガス絶対流量が変化することで適正温度の範囲Ta〜Tb値も変化するため、
図4に示すリサイクルガスの適正温度の範囲Ta〜Tbは、改質用原料の流量F1に応じて変動する。
【0046】
制御装置15は、ステップS104において、ステップS102にて取得した改質用原料の流量F1に応じたリサイクルガスの適正温度の範囲Ta〜Tbを決定する。制御装置15は、ステップS106において、温度センサ39bによって検出されたリサイクルガスの検出温度T1を取得する。制御装置15は、ステップS108において、ステップS106にて取得したリサイクルガスの検出温度T1がステップS104にて決定した適正温度の範囲Ta〜Tbに含まれるか、適正温度の範囲Ta〜Tbより低い(下限温度Taより低い)か、適正温度の範囲Ta〜Tbより高い(上限温度Tbより高い)かを判定する。
【0047】
なお、このステップS108の処理は、温度センサ39bによって検出されたリサイクルガスの検出温度に基づいて、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過状態を検出する処理(検出部)である。リサイクルガスの温度は、リサイクルガスポンプ39aの駆動に関する情報である。
【0048】
リサイクルガス管39が正常であれば、リサイクルガス管39には改質用原料の流量F1に応じたリサイクルガスが通過し、リサイクルガスの温度は適正温度の範囲Ta〜Tbに含まれる。この場合には、制御装置15は、ステップS108にて範囲内に含まれていると判定し、プログラムをステップS110に進めて一旦終了させる。
【0049】
一方、リサイクルガス管39が閉塞される異常が発生したときには、リサイクルガスがリサイクルガス管39を通過しないようになる。リサイクルガス管39が閉塞されると、温度センサ39bによる検出温度が適正温度の範囲Ta〜Tbより低くなる。この場合には、制御装置15は、ステップS108にてリサイクルガスの検出温度T1が適正温度の範囲Ta〜Tbより低いと判定してステップS112に進める。制御装置15は、ステップS112において、リサイクルガス管39が閉塞された状態による異常状態であると判定し、プログラムをステップS110に進めて終了させる。
【0050】
また、リサイクルガス管39からリサイクルガスが漏出する異常が発生したときには、リサイクルガス管39に異常が発生していないときより多量のリサイクルガスが通過する。リサイクルガス管39を多量のリサイクルガスが通過すると、温度センサ39bによる検出温度が高くなる。この場合には、制御装置15は、ステップS108にてリサイクルガスの検出温度T1が適正温度の範囲Ta〜Tbより高いと判定してステップS114に進める。制御装置15は、ステップS114において、リサイクルガス管39からりサイクルガスが漏出している異常状態であると判定し、プログラムをステップS110に進めて終了させる。
【0051】
また、制御装置15は、リサイクルガス管39が異常である旨を検知した場合、燃料電池システムの停止運転を実行するようにしてもよい。なお、制御装置15は、停止運転を実行する際にまたは前に、リサイクルガス管39が異常である旨を報知するようにしてもよい。
【0052】
なお、上述したように、ステップS108の処理(検出部)は、温度センサ39bによって検出されたリサイクルガスの検出温度に基づいて、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過状態を検出したが、リサイクルガスポンプ39aの駆動に関する、他の情報に基づいて、リサイクルガスの通過状態を検出するようにしてもよい。他の情報としては、リサイクルガス流量やリサイクルガスポンプ39aの回転数が挙げられる。
【0053】
すなわち、制御対象がリサイクルガス流量である場合、制御装置15は、流量センサ39cによって検出した流量(検出流量)と、上述した目標流量を基準として設定された適正流量の範囲とを比較することにより、リサイクルガスの通過状態を検出すればよい。また、制御対象がリサイクルガスポンプ39aの回転数である場合、制御装置15は、回転数センサ39a1によって検出した回転数(検出回転数)と、上述した目標回転数を基準として設定された適正回転数の範囲とを比較することにより、リサイクルガスの通過状態を検出すればよい。
いずれの場合もフィードバック制御の場合には、制御装置15は、制御指令値(例えばデューティ比)が判定値より大きくなった場合(または目標値(例えば目標流量、目標回転数)と検出値(例えば検出流量、検出回転数)との差が大きくなった場合)に、リサイクルガス管39が閉塞してリサイクルガスが流れていないと判断するようにしてもよい。制御指令値は、上述した他の情報の一つである。
【0054】
具体的には、例えば、フィードバック制御(ポンプ39aのDUTY制御)をしている中で所定DUTY(所定制御指令値)以上(例えば90%)になった場合、すなわち、リサイクルガス管39の閉塞を検知することができる。閉塞した場合、リサイクルガス温度が低下し目標温度となるようにフィードバック制御でDUTY(制御指令値)を上昇させるが、DUTY100%になっても目標温度まで上昇させることができない。この場合、閉塞を検知することができる。
さらに、フィードバック制御をしている中で所定DUTY以下(例えば10%)となった場合、すなわち、リサイクルガス管39から漏れがありポンプ39aを駆動しなくても多量のリサイクルガスが流れる場合を検知することができる。この場合、フィードバック制御でDUTYを低減させるがDUTY=0%としても(ポンプ停止しても)、目標温度まで低減できない。この場合、リサイクルガス管39からの漏れを検知することができる。
【0055】
また、制御装置15は、温度センサ39a2によって検出したポンプ温度に基づいて、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過状態を検出するようにしてもよい。
この場合、リサイクルガス管39が閉塞していないとき、リサイクルガスポンプ39aの負荷は変動があっても正常範囲内でありポンプ温度は正常範囲内である。すなわち、ポンプ温度が正常範囲内であれば、リサイクルガスの通過状態は正常状態である。これに対して、リサイクルガス管39が閉塞したとき、リサイクルガスポンプ39aの負荷は大きくなりポンプ温度が正常範囲外に上昇する。すなわち、ポンプ温度が正常範囲を超えていれば、リサイクルガスの通過状態は異常状態である。
このように、ポンプ温度に基づいて、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過状態を検出することができる。
【0056】
上述した説明から明らかなように、第一実施形態に係る燃料電池システムは、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、改質用原料と改質水とから燃料を生成して燃料電池34に供給する改質部33と、改質用原料に含まれる硫黄成分を除去して改質部33に供給する脱硫器11a6と、改質部33から燃料電池34に燃料を供給する改質ガス供給管38(燃料供給管)と脱硫器11a6に改質用原料を供給する改質用原料供給管11aとを接続し、燃料の一部をリサイクルガスとして脱硫器11a6に戻すリサイクルガス管39と、リサイクルガス管39に設けられ、リサイクルガスの吐出流量を調整可能であり、リサイクルガス管39にリサイクルガスを流通させるリサイクルガスポンプ39a(ポンプ)と、を備えている。
【0057】
これによれば、リサイクルガス管39が閉塞したとしても、リサイクルガスポンプ39aの駆動によってリサイクルガスを積極的に流通(送出)させることが可能となる。よって、リサイクルガスをリサイクルガス管39に確実に流通させることができる。その結果、燃料電池システムにおいて硫黄成分による改質部33の劣化や燃料電池34の故障を抑制することができる。
【0058】
また、リサイクルガスポンプ39aの駆動に関する情報に基づいて、リサイクルガス管39を通過するリサイクルガスの通過状態を検出する制御装置15(検出部:ステップS108)をさらに備えている。
これによれば、リサイクルガスポンプ39aの駆動力によってリサイクルガスを送出する構成であっても、リサイクルガス管39が閉塞する場合があるが、この場合でも制御装置15(検出部)によってリサイクルガス管39の閉塞などの異常を早期かつ確実に検知する。よって、リサイクルガス管39の異常を検知した場合には、脱硫器11a6、改質部33や燃料電池34を劣化させないような対処(燃料電池システムの停止)をすることが可能となる。また、燃料電池システムにおいて、改質部33にて改質された燃料の一部を脱硫器11a6に戻すリサイクルガス管39の異常を確実に検出し、ひいては、硫黄成分による改質部33の劣化や燃料電池34の故障を抑制することができる。
【0059】
また、リサイクルガスポンプ39aは、リサイクルガス中の露点温度以上の温度(例えば100℃以上)であるリサイクルガスが流通可能なポンプである。
これによれば、リサイクルガス中の水蒸気が凝縮することがないため、凝縮水によるポンプ故障を防止することが可能となる。また、改質部33から流出する改質ガスは比較的高温であるため、耐熱性の高いポンプ(高温用ポンプ)を使用することにより、従来のように、リサイクルガス管39に熱交換器39dを設けなくても、リサイクルガスを流通させることができる。よって、燃料電池システムの低コスト化を図りつつ、リサイクルガスを確実に流通させることができる。
【0060】
また、リサイクルガスポンプ39aは、気体および液体の両方を吐出可能なポンプである。
これによれば、燃料電池システムの起動(暖機)運転中など、リサイクルガス中の水蒸気が凝縮する可能性がある場合、リサイクルガスを確実に流通させることができる。
【0061】
(第二実施形態)
第二実施形態の燃料電池システムは、
図5に示すように、圧力調整装置11a4を削除するとともに逆止弁11a7を設けている点で、上述した第一実施形態の燃料電池システムと異なる。逆止弁11a7は、原料ポンプ11a5とリサイクルガス管39との合流点との間に設けるのが望ましい。逆止弁11a7は、原料ポンプ11a5から脱硫器11a6への流れは許容するが、その反対向きの流れは規制するものである。
【0062】
このように構成された本第二実施形態の燃料電池システムにおいても、上述した第一実施形態による作用・効果と同一の作用・効果を得ることができる。さらに、圧力調整装置11a4を削除することによって、燃料電池システムの低コスト化・省スペース化(小型化)を図ることができる。
【0063】
(第三実施形態)
第三実施形態の燃料電池システムは、
図6に示すように、リサイクルガス管39に熱交換器39dが設けられている点で、上述した第一実施形態の燃料電池システムと異なる。熱交換器39dは、冷媒とリサイクルガスとが熱交換するものである。熱交換器39dは、リサイクルガス管39のリサイクルガスポンプ39aより上流側に設けられている。リサイクルガスと熱交換する冷媒には改質部33に供給する改質水が用いられ、熱交換器39dには改質部33に改質水を供給する水供給管11bの一部が収容されている。リサイクルガスの熱は水供給管11bを通過する改質水と熱交換される。
【0064】
水供給管11bには熱交換器39dより上流側と下流側とに温度センサ11b2,11b3が設けられ、温度センサ11b2,11b3の検出温度は制御装置15に送信されている。上流側の温度センサ11b2は熱交換器39dを通過する前の改質水の温度を検出するものであり、下流側の温度センサ11b3は熱交換器39dを通過した後の改質水の温度を検出するものである。
【0065】
第三実施形態においては、制御装置15は、上述したステップS104の処理に代えて、ステップS102にて取得した改質用原料の流量F1に応じた改質水の熱交換器39dを通過する前後の温度の差ΔTの適正温度差の範囲ΔTa〜ΔTbを決定する。
なお、上述した第三実施形態においては、冷媒として改質水を用いたが、これに代えて、カソードエア、排熱回収水(貯湯水)など、燃料電池システムに用いられている流体を用いるようにしてもよい。
【0066】
このように、本第三実施形態に係る燃料電池システムは、リサイクルガスポンプ39aの上流のリサイクルガス管39に設けられ、冷媒とリサイクルガスとが熱交換する熱交換器39dをさらに備えている。
これによれば、熱交換器39dにおける熱交換によってリサイクルガスが降温されるとともにリサイクルガス中の水蒸気が減少、除却されるため、熱交換器39dの下流に設置されるリサイクルガスポンプ39aは、耐熱性・耐水蒸気性は低くてもよい。また、リサイクルガスポンプ39aにリサイクルガス中の水蒸気や凝縮した水が流入することによる故障も防ぐことが可能である。よって、一般的に安価かつ信頼性がリサイクルガスポンプ39aを使用することができ、燃料電池システムの低コスト化を図ることができる。
【0067】
また、上述した実施形態の燃料電池システムの燃料電池34は固体酸化物形燃料電池(SOFC)であるが、本発明はこれに限られるものでなく、燃料電池として固体高分子形燃料電池(PEFC)にも適用されるものである。