【文献】
玉生洋一,Adobe Illustrator CC パーフェクトマスター ,日本,株式会社秀和システム,2013年11月 6日,第1版,第109、112、113ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施例>
図1は、この発明の一実施例である情報処理装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図1を参照して、この発明の第1実施例である情報処理装置10はCPU12を含む。CPU12には、バス30を介してRAM14、タッチパネル制御回路16および描画制御回路18が接続される。また、タッチパネル制御回路16にはタッチパネル20が接続され、描画制御回路18にはディスプレイ22が接続される。
【0025】
この第1実施例では、情報処理装置10が電子黒板に適用される場合について説明するが、電子黒板のみならず、タブレット端末、スマートフォン、PCなどの各種の情報機器ないし電子機器に適用され、手書き入力に応じて、手書きの文字、図形、記号等がディスプレイ22に描画(表示)される。
【0026】
また、この第1実施例では、入力手段の一例として、タッチパネル20が用いられる場合について説明するが、タッチパネル20以外の入力手段として、たとえばコンピュータマウス、タッチパッド、ペンタブレットなどのポインティングデバイスを用いてもよい。また、情報処理装置10には、他の入力手段として、操作パネルのようなハードウェアキーが設けられたり、ハードウェアのキーボードが接続されたりすることがある。
【0027】
図1に戻って、CPU12は、情報処理装置10の全体的な制御を司る。RAM14は、CPU12のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0028】
タッチパネル制御回路16は、タッチパネル20に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル20のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU12に出力する。
【0029】
タッチパネル20は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル20としては、静電容量方式のタッチパネルがディスプレイ22の表示面上に設けられる。
【0030】
描画制御回路18は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU12の指示の下、GPUは、RAM14に記憶された手書き入力データ332および画像生成データ334(
図6参照)を用いてディスプレイ22に画面(後述するタッチ画面100)を表示するための画面データをVRAMに生成し、生成した画面をディスプレイ22に表示する。ディスプレイ22としては、たとえばLCDやEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0031】
このような構成の情報処理装置10では、手書き入力モードにおいて、ユーザがタッチパネル20を利用して文字、図形、記号など(以下、「文字等」ということがある。)を手書き入力(タッチ入力)すると、タッチパネル制御回路16は、そのタッチ入力を検出してタッチ位置に対応するタッチ座標データをCPU12に出力する。CPU12は、タッチパネル制御回路16から出力されたタッチ座標データに基づいてディスプレイ22に手書きの文字等を描画(表示)する。つまり、CPU12の指示の下、描画制御回路18において手書きの文字等がVRAM上に描画され、VRAM上に描画された手書きの文字等を含む画像に対応する画像データがディスプレイ22に出力される。したがって、ユーザが手書きした文字等を含む画像がディスプレイ22に表示される。以下、この明細書においては、ユーザが文字を手書きすることを前提とし、手書き文字を含む画像を「手書き画像」と呼ぶことにする。
【0032】
図2(A)は、手書きが開始される前のタッチ画面100(初期画面)の一例を示す図解図である。つまり、
図2(A)は、描画アプリケーションを実行し、手書き入力モードを開始した当初のタッチ画面100を示す。また、
図2(B)はタッチ画面100の他の例を示す図解図である。
【0033】
たとえば、手書き入力モードでは、
図2(A)および(B)に示すように、タッチ画面100がディスプレイ22に表示される。なお、上述したように、ディスプレイ22の表示面上にはタッチパネル20が設けられる(
図3〜
図5についても同じ)。以下、タッチ画面100が表示される場合について同様である。タッチ画面100の左端部には、それぞれ所定の機能を発揮するボタン(機能ボタン)や描画の属性を設定するためのボタン(属性ボタン)の画像が表示される。この第1実施例では、ペンボタン102および消しゴムボタン104が表示される。ペンボタン102は、線を手書きする機能を実行する(モードを設定する)ためのボタンである。消しゴムボタン104は、手書きの線を消す機能を実行する(モードを設定する)ためのボタンである。
【0034】
図示は省略するが、タッチ画面100には、線種、線色、線幅(太さ)を選択するための属性ボタンや上記以外の機能(新規ページを開く、保存、元に戻すなど)を選択するためのボタンなども表示される。
【0035】
たとえば、ユーザは、専用のペン120でタッチパネル20を操作する。ただし、ユーザは、手指で操作することもできる。タッチパネル20を用いた操作(入力)としては、タップ(短押し)、スライド(ドラッグ)、フリック、ロングタッチ(長押し)などがあり、この第1実施例では、これらを「タッチ入力」または単に「入力」のように総称する。また、タッチパネル20をタッチしていない状態からタッチしている状態に変化することをタッチオン(ペンダウン)と言い、タッチパネル20をタッチしている状態からタッチしていない状態に変化することをタッチオフ(ペンアップ)と言う。継続的なタッチ入力つまりスライドやフリックによる入力に対しては、タッチパネル20は、現在のタッチ位置に対応するタッチ座標データを所定周期よりも短い周期で出力する。たとえば、所定周期は、1〜数フレームであり、1フレームは1/30秒または1/60秒である。
【0036】
一般的な電子黒板では、ユーザが文字、図形または記号などを手書きすると、手書きの入力についての軌跡に従う線がタッチ画面100に表示(描画)される。つまり、ユーザが手書きした文字、図形または記号など(以下、これらをまとめて「手書き画像」ということがある。)がタッチ画面100に表示される。
図2(B)には、文字を手書きする途中のタッチ画面100が表示される。
【0037】
図3(A)は誤った文字が手書きされたタッチ画面100の一例を示し、
図3(B)は誤って手書きされた文字の一部が消去された場合のタッチ画面100の一例を示す。ただし、
図3(A)は、
図2(B)のタッチ画面100において、ユーザが続けて文字を手書きした場合のタッチ画面100の一例である。
【0038】
図3(A)からも分かるように、文字等を手書きする場合には、誤って書いてしまうことがある。
図3(A)に示す例では、漢字で「青」の文字を書いた際に、「月」の部分において、横棒が一本多く手書きされている。かかる場合には、ユーザが消しゴムボタン104をタッチすることにより、消しゴム機能が実行され、ペン120でタッチしている位置に消しゴムカーソル110が表示される。そして、
図3(B)に示すように、ペン120でタッチ画面100上をなぞると、ペン120(タッチ位置)の移動に従って消しゴムカーソル110が移動され、消しゴムカーソル110(ペン120)が移動された部分の線が消去される。
【0039】
また、図示は省略するが、元に戻す機能のボタンをタッチすると、直前に書いた線を消去することができる。場合によって、任意の点をタッチすることにより、当該点を含む線を選択的に消去することもできる。
【0040】
図3(B)に示したように、従来の消しゴム機能では、ペン120が移動された部分の線がすべて消去されるため、線が重なっている場合、残しておきたい線まで消してしまうことがある。
【0041】
また、元に戻す機能では、直前に書いた線や選択した線を消去することも可能であるが、元に戻す機能のボタンをタッチしたり、任意の点をタッチしたりすると、該当する線がすぐに消去されてしまうため、必要な線を誤って消去してしまうことがある。
【0042】
このような不都合を回避するために、第1実施例では、不要な線だけを正確に消去できるようにしてある。以下、具体的に説明する。
【0043】
図4(A)は線を消去するための消去モードを選択する場合のタッチ画面100の一例を示し、
図4(B)は消去する線が選択された場合のタッチ画面100の一例を示す。また、
図5は選択された線が消去された場合のタッチ画面100の一例を示す。
【0044】
第1実施例では、消しゴムボタン104がタッチされると、
図4(A)に示すように、線を消去するための消去モードを選択するためのメニュー(消去モード選択メニュー)200が消しゴムボタン104の近傍にプルダウン表示される。
【0045】
この第1実施例では、消去モードとしては、標準モードと選択モードがある。標準モードは、上述した従来の消しゴム機能により線を消去する消去モードである。選択モードは、ユーザが選択した線を消去する消去モードである。
【0046】
消去モード選択メニュー200で、標準モードが選択された場合には、
図3(A)および
図3(B)を用いて説明したように、ユーザがペン120でなぞった部分の線が消去される。
【0047】
一方、選択モードが選択された場合には、ユーザがペン120で削除したい線をタッチ(選択)すると、
図4(B)に示すように、選択された線が点滅表示されるとともに、選択された線を消去するかどうかを確認するためのメニュー(消去確認メニュー)202が選択された線(タッチ位置)の近傍に表示される。
【0048】
ただし、
図4(A)では、選択された線を点線で表示することにより、当該選択された線が点滅表示されていることを示してある。
【0049】
ここで、ユーザが消去をタッチ(選択)すると、選択された線が消去され、
図5に示すようなタッチ画面100が表示される。つまり、選択された線が消去されたことにより、
図5のタッチ画面100では、正しい漢字の「青」の文字が表示される。
【0050】
一方、消去確認メニュー202でキャンセルがタッチ(選択)されると、現在選択されている線の選択を解除して、削除する線の選択をやり直すようにしてある。
【0051】
このように、選択モードでは、線が選択されると、選択された線がユーザの認識可能な態様で表示され、削除するかどうかが確認された後に、ユーザの指示に応じて選択された線が削除される。このため、線を正確に削除することができる。
【0052】
情報処理装置10の上記のような動作は、CPU12がRAM14に記憶された情報処理プログラムを実行することにより実現される。この第1実施例では、情報処理プログラムの一例として、手書き文字を描画したり保存したりする描画アプリケーションについてのプログラム(手書き制御処理プログラム)が実行される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0053】
図6は
図1に示したRAM14のメモリマップ300の一例を示す。
図6に示すように、RAM14は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302には、手書き制御処理プログラムが記憶される。手書き制御処理プログラムは、入力検出プログラム310、画像生成プログラム312、表示プログラム314、線選択プログラム316および消去プログラム318を含む。
【0054】
入力検出プログラム310は、タッチパネル制御回路16から出力されたタッチパネル20におけるタッチ入力の位置を示すタッチ座標データを取得し、データ記憶領域304に時系列に従って記憶するためのプログラムである。ただし、入力検出プログラム310は、情報処理装置10に接続されたハードウェアのキーボードや情報処理装置10に設けられたハードウェアの操作パネルないし操作ボタンからの入力を検出するためのプログラムでもある。
【0055】
画像生成プログラム312は、後述する画像生成データ334を使用したり、入力検出プログラム310に従って検出されたタッチ座標データを使用したりして、タッチ画面100に対応する画像データを生成するためのプログラムである。具体的には、画像生成プログラム312が実行されると、CPU12の指示の下、描画制御回路18において、GPUがタッチ画面100に対応する画像データをVRAMに描画する。表示プログラム314は、画像生成プログラム312に従って生成された画像データをディスプレイ22に出力するためのプログラムである。したがって、タッチ画面100がディスプレイ22に表示される。
【0056】
線選択プログラム316は、タッチ画面100に表示された手書き画像において、入力検出プログラム310に従って検出されたタッチ座標データ330が示すタッチ座標(点)を含む線を選択するためのプログラムである。つまり、ユーザによって指示された線が選択される。
【0057】
消去プログラム318は、通常モードまたは選択モードで、線を消去するためのプログラムである。
【0058】
なお、図示は省略するが、手書き制御処理プログラムには、各種の機能を選択および実行するためのプログラムや描画属性を設定および変更するためのプログラムなども記憶される。
【0059】
データ記憶領域304には、タッチ座標データ330、手書き入力データ332、画像生成データ334および選択線データ336などが記憶される。
【0060】
タッチ座標データ330は、入力検出プログラム310に従って検出(取得)された現在の(現フレームにおける)タッチ座標データである。タッチ座標データ330が示すタッチ座標がタッチ画面100に表示されたボタン(102、104など)の表示領域に含まれる場合には、当該ボタンに割り当てられた機能を実行したり、属性を設定したりする。また、タッチ座標データ330が示すタッチ座標がタッチ画面100に表示されたボタン(102、104など)の表示領域に含まれていない場合には、手書き画像に含まれるタッチ座標であると判断されて、手書き入力データ332として記憶する。
【0061】
手書き入力データ332は、手書き画像についてのデータであり、具体的には、
図7に示すように、タッチオンからタッチオフまでのタッチ入力の軌跡に対応する線を、線毎に管理するテーブルのデータである。ただし、線は、タッチオンとタッチオフの2点間を結ぶ直線のみならず、曲線(閉曲線)、折れ線、波線も含む。また、閉曲線は、端部のない(始点および終点が同じ位置にある)閉じた線であり、典型的には、円や四角形などの多角形である。ただし、手書きするため、始点と終点が一致するとは限らない。
【0062】
図7からも分かるように、手書き入力データ332では、識別情報に対応して、座標データ群および属性情報が記述される。
【0063】
識別情報は、時系列に従って描画(追加)される線を個別に識別するための情報である。
図7に示す例では、識別情報として数字が付されている。ただし、数字に限定される必要はなく、アルファベットを用いたり、数字とアルファベットの両方を用いたりしてもよいし、人間が解読できない記号を用いたりしてもよい。
【0064】
座標データ群は、識別情報が示す線に含まれる点(タッチ座標)に対応するタッチ座標データの集合であり、具体的には、対応する線が描画されたときに検出されたタッチオンからタッチオフまでのタッチ座標データの集合である。ただし、
図7では、簡単のため、座標群に代えて横棒を記載してある。
【0065】
属性情報は、識別情報が示す線に設定された属性についての情報である。この第1実施例では、属性情報は、線種、線色および線幅の情報である。ただし、
図7では、簡単のため、線種、線色および線幅に代えて横棒を記載してある。
【0066】
したがって、たとえば、タッチ画面100に何ら線が描画されていない場合に、線の描画が開始されると、手書き入力データ332に対応するテーブルの識別情報として「1」が記載され、この識別情報に対応して、タッチオンからタッチオフまでの間に検出されたタッチ座標データが時系列に従ってタッチ座標群の欄に記載されるとともに、ペン120に設定されている属性情報が属性情報の欄に記載される。そして、次の線の描画が開始されると、手書き入力データ332に対応するテーブルの識別情報として「2」が記載され、この識別情報に対応して、タッチオンからタッチオフまでの間に検出されタッチ座標データが時系列に従ってタッチ座標群の欄に記載されるとともに、ペン120に設定されている属性情報が属性情報欄に記載される。このようにして、線が描画されると、テーブルに順次線のデータが追記され、手書き入力データ332が更新される。
【0067】
ただし、手書き入力データ332は、頁単位で管理される。したがって、頁が複数存在する場合には、頁毎に、手書き入力データ332は記憶される。
【0068】
また、属性情報は、ユーザの操作(指示)に従って、線を描画した後に変更される場合がある。
【0069】
画像生成データ334は、タッチ画面100のような各種の画面に対応する画像データを生成するためのポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。また、画像生成データ334には、タッチ画面100に表示される各種のボタンについての画像データも含まれる。選択線データ336は、線選択プログラム316に従って選択された線の識別情報についてのデータである。
【0070】
なお、データ記憶領域304には、手書き制御処理プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたり、手書き制御処理プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)やレジスタが設けられたりする。
【0071】
図8〜
図11は
図1に示したCPU12の手書き制御処理を示すフロー図である。たとえば、描画アプリケーションが起動され、ユーザの指示によって、またはデフォルトの設定によって、手書き入力モードが選択される。すると、
図8に示すように、CPU12は、手書き制御処理を開始し、ステップS1で、初期処理を実行する。このステップS1の初期処理では、CPU12は、データ記憶領域304のタッチ座標データ330を消去したり、画像生成データ334を不揮発性のメモリから読み出したりした上で、初期のタッチ画面100をディスプレイ22に表示する。つまり、CPU12の指示の下、描画制御回路18によって、
図2(A)に示したような初期のタッチ画面100の画像データが生成(描画)され、ディスプレイ22に出力される。
【0072】
次のステップS3では、タッチオンかどうかを判断する。ステップS3では、CPU12は、データ記憶領域304を参照して、タッチ座標データ330が記憶されていない状態からタッチ座標データ330が記憶されている状態に変化したかどうかを判断する。ただし、図示は省略するが、CPU12は、タッチパネル制御回路16から出力されたタッチパネル20におけるタッチ入力の位置を示すタッチ座標データを取得して、データ記憶領域304に記憶する処理(タッチ入力検出処理)を手書き制御処理と並行して実行する。
【0073】
ステップS3で“NO”であれば、つまり、タッチオンでなければ、同じステップS3に戻り、タッチオンになるのを待機する。一方、ステップS3で“YES”であれば、つまり、タッチオンであれば、ステップS5で、消しゴムボタン104をタッチしたかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、取得したタッチ座標データ330が示すタッチ位置が消しゴムボタン104の表示領域を指示するかどうかを判断する。以下、ボタン(102、104、…)がタッチされたかどうかを判断する場合について同様である。
【0074】
ステップS5で“NO”であれば、つまり、消しゴムボタン104がタッチされていなければ、ステップS7で、他のボタンがタッチされたかどうかを判断する。つまり、CPU12は、消しゴムボタン104を除く、他のボタン(102、…)がタッチされたかどうかを判断する。
【0075】
ステップS7で“YES”であれば、つまり、消しゴムボタン104以外の他のボタンがタッチされれば、ステップS9で、他のボタンに応じた処理を実行して、ステップS1に戻る。たとえば、ステップS9では、CPU12は、ユーザの操作(指示)に従って、線の属性情報(線種、線色、線幅)を変更したり、手書き画像をコピーしたり、コピーした画像を貼り付けたり、手書き画像の範囲を指定したり、手書き画像の画像データ(手書き入力データ332)を不揮発性のメモリに保存したりする。
【0076】
一方、ステップS7で“NO”であれば、つまり、ボタン(102、104、…)の表示領域以外でタッチ入力されていれば、手書きについてのタッチ入力であると判断して、ステップS11で、タッチ入力に従うタッチ座標データ330を手書き入力データ332として記憶する。つまり、手書き入力データ332において、該当する線に対応する座標データ群の欄にタッチ座標データ332が記述される。そして、ステップS13で、タッチ入力に従って線を表示し、ステップS15に進む。ステップS13では、CPU12の指示の下、描画制御回路18が手書き入力データ332を用いて手書き画像の画像データを含むタッチ画面100の画面データをVRAMに描画し、ディスプレイ22に出力する。したがって、手書き入力中では、タッチ入力に従う複数の点によって線が描画され、一本または複数本の線によって文字等の手書き画像が描画される。
【0077】
そして、ステップS15では、タッチオフであるかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、データ記憶領域304を参照して、タッチ座標データ330が記憶されていないかどうかを判断する。ステップS15で“NO”であれば、つまり、タッチオンの状態が継続していれば、ステップS11に戻る。したがって、タッチ入力に従って手書き入力データ332のうち、描画中の線についてのデータが更新されるとともに、タッチ入力に従って線が表示(描画)される。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、タッチオフであれば、ステップS3に戻る。
【0078】
また、ステップS5で“YES”であれば、つまり消しゴムボタン104がタッチされると、
図9に示すステップS17で、
図4に示したように、消しゴムボタン104の近傍に、消去モード選択メニュー200をプルダウン表示する。そして、ステップS19で、いずれかのボタンがタッチされたかどうかを判断する。
【0079】
ステップS19で“YES”であれば、つまり、消去モード選択メニュー200以外のボタン(102、…)がタッチされると、ステップS21で、消去操作をキャンセルする。つまり、消去モードがキャンセルされる。そして、ステップS23で、タッチされたボタンに応じた処理を行い、
図8に示すステップS3に戻る。このステップS23の処理は、上述したステップS9の処理と同様である。
【0080】
一方、ステップS19で“NO”であれば、つまり、消去モード選択メニュー200以外のボタン(102、…)がタッチされていなければ、ステップS25で、消去モード選択メニュー200がタッチされたかどうかを判断する。ステップS25で“NO”であれば、つまり、消去モード選択メニュー200がタッチされていなければ、そのままステップS19に戻る。一方、ステップS25で“YES”であれば、つまり、消去モード選択メニュー200がタッチされると、ステップS27で、消去モード選択メニュー200を消去し、
図10に示すように、ステップS29で、選択モードが選択されたかを判断する。
【0081】
ステップS29で“NO”であれば、つまり、標準モードが選択(タッチ)されれば、ステップS31で消しゴムカーソル110を表示する。そして、ステップS33で、標準モードで線を消去して、
図11に示すように、ステップS51に進む。ステップS33では、CPU12は、従来の消しゴム機能を実行し、ペン120でなぞられた部分のタッチ座標データ330を検出し、検出したタッチ座標データ330を手書き入力データ332から消去する。そして、タッチ画面100が更新され、ペン120でなぞられた部分の線が消去される。
【0082】
一方、ステップS29で“YES”であれば、つまり、選択モードが選択(タッチ)されると、ステップS35で、線が選択(タッチ)されたかどうかを判断する。ここでは、CPU12は、現在のタッチ座標データ330が手書き入力データ332のいずれかのタッチ座標データ群に含まれているかどうかを判断し、現在のタッチ座標データ330が含まれているタッチ座標データ群に対応する線が選択されたと判断する。
【0083】
ステップS35で“NO”であれば、つまり、線が選択されていなければ、そのままステップS35に戻って、線が選択されるのを待機する。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり、線が選択されれば、ステップS37で、選択された線を点滅表示させる。図示は省略するが、ステップS35で“YES”と判断されたとき、選択された線についての識別情報が選択線データ336としてデータ記憶領域304に記憶される。
【0084】
そして、ステップS39で、消去確認メニュー202をタッチ画面100に表示して、
図11に示すステップS41で、消去確認メニュー202がタッチされたかどうかを判断する。
【0085】
ステップS41で“NO”であれば、つまり、消去確認メニュー202がタッチされていなければ、そのまま同じステップS41に戻る。一方、ステップS41で“YES”であれば、つまり、消去確認メニュー202がタッチされれば、ステップS43で、消去が選択(タッチ)されたかどうかを判断する。
【0086】
ステップS43で“NO”であれば、つまり、キャンセルが選択(タッチ)されると、ステップS45で、選択を解除して、
図10に示したステップS35に戻る。ステップS45では、CPU12は、選択線データ336をデータ記憶領域304から削除する。
【0087】
一方、ステップS43で“YES”であれば、つまり、消去が選択(タッチ)されると、ステップS47で、選択された線を消去し、さらに、ステップS49で、消去確認メニュー202を消去する。ただし、CPU12は、ステップS45において、選択線データ336が示す識別情報が割り当てられた線のタッチ座標データ群および属性情報を、手書き入力データ332から消去する。
【0088】
詳細な説明は省略するが、このような情報処理装置10では、通常、元に戻す機能が設けられているため、ステップS45では、消去を指示された部分を非表示にしておき、元に戻す機能が実行されずに、他の処理が実行されたときに、消去を指示された部分のタッチ座標データ330を、手書き入力データ332から消去するようにしてある。
【0089】
そして、ステップS51では、終了かどうかを判断する。ここでは、CPU12は、ユーザから終了の指示が与えられたたかどうかを判断する。ステップS51で“NO”であれば、つまり終了でなければ、
図8に示したステップS3に戻る。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり終了であれば、手書き制御処理を終了する。
【0090】
この第1実施例によれば、選択モードにおいて、線が選択されると、選択された線を点滅表示し、選択された線を消去するかどうかをユーザに確認してから、選択された線を削除するので、正確に線を消去することができる。
【0091】
なお、この第1実施例では、選択モードにおいて選択された線を一度に全部消去するようにしたが、これに限定される必要はない。たとえば、選択された線の一部をなぞることよって、なぞった部分のみを消去するようにしてもよい。かかる場合には、ユーザがペン120でなぞった部分に対応するタッチ座標データ330を、選択された線のタッチ座標データ群からのみ消去するようにすれば、他の線が重なっていても、選択された線のみを消去することができる。
【0092】
また、第1実施例では、消去したい線を一本だけ選択して消去するようにしたが、消去したい線を複数本選択し、複数本の線を一度に消去できるようにしてもよい。
<第2実施例>
第2実施例の情報処理装置10は、選択された線を認識可能に表示させる方法が異なる以外は、第1実施例の情報処理装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0093】
簡単に説明すると、第2実施例では、消去モードとして選択モードが選択されている場合に、線が選択されると、選択された線が太線で表示される。ただし、選択されたことを示すために、線が太線にされるだけであり、属性情報の線幅が変更されるのではない。
【0094】
具体的には、
図12に示すように、CPU12は、
図8〜
図11の手書き制御処理において、ステップS37に代えて、ステップS37aの処理が実行される。したがって、ステップS35で、線が選択されると、ステップS37aで、選択された線を太線で表示して、ステップS39に進む。このステップS37aの処理以外は、第1実施例の手書き制御処理と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0095】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、正確に線を消去することができる。
【0096】
なお、この第2実施例では、選択された線を太線で表示させるようにしたが、細線や点線で表示させるようにしてもよい。かかる場合には、ユーザに対して、選択した線が消去されることを印象付けることができると思われる。
<第3実施例>
第3実施例の情報処理装置10は、選択された線を認識可能に表示させる方法が異なる以外は、第1実施例の情報処理装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0097】
簡単に説明すると、第3実施例では、消去モードとして選択モードが選択されている場合に、線が選択されると、選択された線がグレーアウト表示される。
【0098】
具体的には、
図13に示すように、CPU12は、
図8〜
図11の手書き制御処理において、ステップS37に代えて、ステップS37bの処理が実行される。したがって、ステップS35で、線が選択されると、ステップS37bで、選択された線をグレーアウト表示して、ステップS39に進む。このステップS37bの処理以外は、第1実施例の手書き制御処理と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0099】
この第3実施例においても、第1実施例および第2実施例と同様に、正確に線を消去することができる。
<第4実施例>
第4実施例の情報処理装置10は、選択された線を認識可能に表示させる方法が異なる以外は、第1実施例の情報処理装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0100】
簡単に説明すると、第4実施例では、消去モードとして選択モードが選択されている場合に、線が選択されると、選択された線の色を変更して表示される。ただし、選択されたことを示すために、線の色を変更するだけであり、属性情報の線の色が変更されるのではない。
【0101】
具体的には、
図14に示すように、CPU12は、
図8〜
図11の手書き制御処理において、ステップS37に代えて、ステップS37cの処理が実行される。したがって、ステップS35で、線が選択されると、ステップS37cで、選択された線を太線で表示して、ステップS39に進む。このステップS37cの処理以外は、第1実施例の手書き制御処理と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0102】
この第4実施例においても、第1実施例ないし第3実施例と同様に、正確に線を消去することができる。
<第5実施例>
第5実施例の情報処理装置10は、選択された線を消去する際、さらに消去する旨のメッセージ(消去メッセージ)を通知するようにした以外は、第1実施例の情報処理装置10と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
【0103】
簡単に説明すると、第5実施例では、消去確認メニュー202で消去がタッチ(選択)されると、選んだ線を消去する旨のメッセージを記載した表示枠210がタッチ画面100に表示される。
【0104】
図15は、第5実施例におけるタッチ画面100の一例を示す図解図である。
図4(B)に示したタッチ画面100において、消去確認メニュー202で消去がタッチされると、
図15に示すように、タッチ画面100において、選んだ線を消去する旨のメッセージを記載した表示枠210が消去確認メニュー202の上側に表示される。ただし、表示枠210が表示される位置は限定される必要はない。たとえば、タッチ画面100の中央に表示されてもよい。
【0105】
以下、フロー図を用いて、第5実施例におけるCPU12の手書き制御処理について説明する。
【0106】
図16に示すように、CPU12は、
図11の手書き制御処理において、ステップS43とステップS47の間にステップS71、ステップS49の後にステップS73の処理が実行される。したがって、ステップS43で消去が選択されると、ステップS71で、消去メッセージを表示する。ここでは、CPU12の指示の下、描画制御回路18が画像生成データ334を読み出して、選んだ線を消去する旨のメッセージを記載した表示枠210を含むタッチ画面100に対応する画像データを生成し、ディスプレイ22に出力する。そして、ステップS47で、選択された線を消去して、ステップS49で、消去確認メニュー202を消去する。さらに、ステップS73で、消去メッセージ、すなわち表示枠210を消去して、ステップS51に進む。ステップS51以降の処理は、第1実施例の手書き制御処理と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0107】
この第5実施例においても、第1実施例ないし第4実施例と同様に、正確に線を消去することができる。
【0108】
なお、第5実施例は、第2ないし第4実施例にも適用可能である。
【0109】
上述の実施例で挙げた画面構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。