特許第6408275号(P6408275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408275デジタル光学機器の校正方法およびデジタル光学機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408275
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】デジタル光学機器の校正方法およびデジタル光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20181004BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20181004BHJP
   G02B 21/02 20060101ALI20181004BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20181004BHJP
   G02B 15/167 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
   G02B7/08 B
   G02B21/00
   G02B21/02 Z
   G02B7/04 C
   !G02B15/167
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-150011(P2014-150011)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-31957(P2015-31957A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】10 2013 012 987.7
(32)【優先日】2013年8月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ヴィンテロット
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ミルデ
(72)【発明者】
【氏名】マックス フンク
(72)【発明者】
【氏名】トゥーフィック ジャボール
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス クノーブリッヒ
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−078314(JP,A)
【文献】 特開平08−170907(JP,A)
【文献】 特開2009−290863(JP,A)
【文献】 特開2005−227639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G02B 7/04
G02B 21/00
G02B 21/02
G02B 15/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電動化または符号化されたズーム系(16)、対物レンズ(13)、画像センサ(06)、および画像処理装置を含むデジタル光学機器を校正する方法であって、
− 基準対物レンズ(10)を取り付けた前記ズーム系(16)の校正データDZRefを確定し、これらを前記ズーム系(16)の内部メモリに保存するステップと、
− 基準ズーム系(09)に取り付けられた前記対物レンズ(13)の校正データDORefを確定して、これらを前記対物レンズ(13)の内部メモリに保存するステップと、
− 前記ズーム系(16)および前記対物レンズ(13)の内部メモリを読み出して、画像センサにより得られた画像に対し前記校正データDZRefおよびDORefを用いてデジタル光学的補正を適用するステップを含む方法。
【請求項2】
前記基準対物レンズ(10)を取り付けた前記基準ズーム系(09)の校正テーブル(12)が最初に生成され、前記校正テーブル(12)が前記基準対物レンズに保存され、ズームテーブル(11)が前記基準ズーム系に保存されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記校正データDZRefが実ズーム曲線および補正係数を有する収差モデルを含み、歪み補正済み画像から実倍率が確定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記校正データDORefが、前記ズーム系(09)の特定の理想倍率βidealに対する前記対物レンズ(13)の実際にずれている歪み補正済み倍率βを含んでいることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
− 前記基準ズーム系(09)に取り付けられた前記対物レンズ(13)の画像の補正が行われ、
− 以前に確定されたデータに対して前記基準対物レンズ(10)を取り付けた前記基準ズーム系(09)の逆補正が行われ、
− 前記以前に確定されたデータに対して前記ズーム系(16)に基づく前記基準対物レンズ(10)の画像の補正が行われる場合に、前記校正データDZRefおよびDORef組み合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ズーム系(16)の前記校正データDZRefが、補正ズーム値の値を有するズームテーブル(19)を含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ズーム系(16)の前記校正データDZRefが、歪みを補正するための補正係数を含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ズーム系(16)の前記校正データDZRefが、画像安定性を補正するための補正係数を含んでいることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記対物レンズ(13)の前記校正データDORefが、倍率補正係数を含んでいることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも電動化または符号化されたズーム系(16)、対物レンズ(13)、画像センサ(06)、および画像処理装置を含むデジタル光学機器であって、基準対物レンズ(10)を取り付けた前記ズーム系(16)の校正データDZRefが前記ズーム系(16)の内部メモリに保存され、基準ズーム系(09)に取り付けられた前記対物レンズ(13)の校正データDORefが前記対物レンズ(13)の内部メモリに保存されており前記ズーム系(16)および前記対物レンズ(13)の内部メモリが読み出されて、画像センサにより得られた画像に対し前記校正データDZRefおよびDORefを用いてデジタル光学的補正が適用される、デジタル光学機器。
【請求項11】
前記デジタル光学機器は、デジタル顕微鏡を含むことを特徴とする、請求項10に記載のデジタル光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学機器、特に、独立したズーム系および任意選択的に対物レンズを含むデジタル顕微鏡およびモジュール光学系を校正する方法に関する。また、本発明は、そのような方法が実装されているか、または本発明による方法の適用に適したデジタル顕微鏡またはデジタル光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
光学部品、すなわちズーム系および対物レンズの製造公差により、対物レンズの実際の倍率にせよ、または特定のズーム設定にせよ、画像表示に収差、すなわち中心からの画像のずれ、画像の歪み、色収差また他の収差が生じる。
【0003】
収差とは、物体位置から発せられた各種光線の必ずしも全てが画像点状に集光されないことを意味する。最も重要な収差は、球面収差および色収差である。球面および色収差は、異なる種類のガラスの複数のレンズで作られた光学系により補正される。球面収差は、非球面レンズまたは勾配レンズにより補正される。当業者は、更なる補正方式、例えば無収差レンズ、入射角を小さくするレンズ分割、より高い屈折率を有する種類のガラス、瞳孔の縮小、および他の方式を認識している。例えば、ガラスプレート(平面プレート)では、開口角の増大に伴い増大する画像平面のずれまたは不鮮明さが生じる。
【0004】
レンズによる結像では、常に多少なりとも誤差が生じやすい。例えば、顕微鏡の画像内に色縁またはいわゆる視野湾曲が生じる。このような収差は、主に対物レンズの巧みな設定により大幅に除去することができる。平面アクロマートレンズおよびアポクロマートレンズはこの例である。アポクロマート対物レンズの場合、顕微鏡の画像内の色縁は、対物レンズ内の異なる複雑なレンズ配置により抑制される。平面アクロマートレンズは、通常は顕微鏡の画像内で生じる視野湾曲が除去されるように補正される。
【0005】
あらゆる対物レンズのうち、平面アポクロマートレンズは最も複雑な設計を有する。これらの対物レンズでは、平面アクロマートレンズの場合と同様に、視野湾曲が大幅に除去される。また、通常生じる赤および青色縁は、この極めて複雑な設計によりこれらの対物レンズ内で抑制される。これらの対物レンズは極めて高価であって、主として最も要求水準が高いカラー顕微鏡写真で用いられる。
【0006】
ズーム系ではまた、ズーム設計の中心合わせの差異(画像安定性誤差)の結果として収差が存在する。更に、上述の収差はズーム範囲に応じて変動し得る。
製造公差は特に、結像される画質に大きな役割を果たす。モジュール的に設計されたデジタル顕微鏡の場合、収差は特に、ズーム系および対物レンズ光学部品、並びにその各々の公差の結果として増大し得る。
【0007】
(特許文献1)に、第1の校正に基づいて倍率の全範囲にわたる校正を可能する立体顕微鏡の倍率を校正する方法が開示されている。対物レンズと接眼レンズの基準測定対を用いて、ズームを起動させることにより所定の実倍率が顕微鏡に設定される。この場合に存在するズームの個々のレンズの位置が調整されて各ズーム設定に対する名目倍率値が保存される。実倍率と名目倍率との間の計算比較により補正係数が計算され、当該補正係数を用いてズームの全範囲が校正される。これは単に、実倍率に関する補正に関係するものでしかない。
【0008】
デジタル写真において、対物レンズの歪曲は、例えばソフトウェアにより手動で補正でき、カメラおよび対物レンズ用の総合的なデータベースが利用できなければならない。対物レンズの補正(歪み、色収差および口径食)は部分的に、カメラ(例:ソニー)のファームウェアを用いて内部的に実行される。
【0009】
(特許文献2)に、ズーム光学装置およびデジタルカメラを備えた顕微鏡システムが記載されている。デジタル的に撮影された画像は、各倍率に対応する画像補正データに応じて補正装置(PC)内で補正される。ここに、画像補正データは、標準背景画像の写真画像データである。物体画像および標準背景画像に対応する排他的論理和演算が各画素について実行される。
【0010】
(特許文献3)に、歪みの無いデジタル画像を作成する方法が実装されたデジタルカメラが開示されており、個別に存在するカメラ対物レンズ用に適合された理想的な画像歪みが可能になる。当該方法において、各々の種類のカメラ対物レンズの補正値が一旦実験的に決定され、その後同一種類の対物レンズを有する全てのデジタルカメラに保存される。ここで、歪み関数は、設定された焦点距離および撮影対象物体の距離に依存し、定数からなる2次元マトリクスとして確定されてデジタルカメラに保存することができる。ここで、これらの係数は保存されたマトリクスからの補間により確定することができる。
【0011】
(特許文献4)および(特許文献5)に、デジタルカメラ用の歪み補正方法が開示されており、ズームおよび焦点設定に依存する係数がテーブルに保存されている。補正を行う間、より高次の多項式を用いる補間により中間値が確定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許第10225193A1号明細書
【特許文献2】独国特許第10114757B4号明細書
【特許文献3】独国特許第102010025888A1号明細書
【特許文献4】米国特許第2008/0239107A1号明細書
【特許文献5】米国特許第2009/0268078A1号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】The Worst Distortions of Astrometric Instruments and Orthonormal Models for Rectangular Fields of View,Valeri V.Makarov,Daniel R.Veillette,Gregory S.Hennessy,& Bemjamin F.Lane;United States Naval Observatory,3450 Massachusetts Ave.,NW,Washington DC
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
デジタル顕微鏡および他のデジタル光学アプリケーションにおいて、対物レンズおよびズーム系は、ズームが対物レンズと直接一体化されていない場合、それら自身内で構成可能であることが多い。すなわち、ズーム系を異なる対物レンズと共に用いることができる。ズーム系および対物レンズの両方から異なる収差が生じるため、満足な画質を得るには異なる補正を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、デジタル顕微鏡または異なる光学系を校正する方法を明示することを目的とし、本方法は特に、モジュール系の製造工程を簡素化し、対物レンズが交換された場合に異なる収差に関して迅速且つ簡単な校正が可能になる。更に、そのような校正ロジックを有するデジタル顕微鏡を提供するものである。
【0016】
上記の目的は、請求項1の特徴を含む方法、および請求項10の特徴を含むデジタル顕微鏡により実現される。
本発明による方法は、(少なくとも光学モジュールとしてのズーム系および対物レンズを備えた)デジタル顕微鏡のモジュール要素を、各ケースで基準物体を用いて、適切且つ個別に校正することにより、系全体が簡単且つ特に迅速に校正された状態に達することを目標とする。
【0017】
前提条件として、ズーム系の任意の位置に対する個別の校正を割当てる。これは、ズーム系がステッパモードで電動化または符号化されている場合、ズーム系の駆動により可能である。
【0018】
ここで、本方法は以下のステップを含んでいる。
基準対物レンズを取り付けたズーム系の校正データDZRefを確定し、校正データDZRefをズーム系の内部メモリに保存する。更なるステップにおいて、基準ズーム系に取り付けられた当該対物レンズの校正データDORefを確定し、校正データDORefを当該対物レンズの内部メモリに保存する。次いで、画像センサにより得られた画像の適当なデジタル光学的補正により校正データDおよびDを組み合せる。これは、座標変換に関する数値演算であってもよい。
【0019】
最初に、ズーム系の校正データDZRefを確定するステップについて、デジタル顕微鏡の特に好適な実施形態に基づいて説明する。
デジタル顕微鏡は、少なくとも対物レンズ、(多くの場合または通常)電動ズーム系、画像センサ、および画像処理用の論理装置または画像処理装置を含んでいる。論理装置は好適には、いわゆる光学エンジンにズーム系と合わせて構成されていて、ズーム系の1つ以上の駆動制御部、および更なる制御・評価要素も収納されている。対物レンズは、光学エンジン上で交換可能なように配置されている。対物レンズは有利な点として、自身のメモリおよび当該メモリから読み出すための電子インターフェースを含んでいる。
【0020】
当然ながら、デジタル顕微鏡はまた、公知の仕方で、顕微鏡要素を起動させる制御装置および動作、画像観察および画像評価用の入出力装置を含んでいる。言うまでもなく、デジタル顕微鏡の場合、モニタ、キーボードおよび入出力装置としての動作成要素もまた、デジタル顕微鏡に接続された別々の要素として利用可能である。
【0021】
同様に、デジタル顕微鏡は、モーター駆動により移動可能な物体載置台、任意選択的にピボット回動可能なスタンド、エピスコープおよび任意選択的にディアスコープ状の照明を提供する照明装置、およびここでは言及しない更なる要素を含んでいる。
【0022】
ズーム系および対物レンズが異なる公差および収差を有する異なる光学モジュールであり、且つその製造は任意選択的に分散的になされるため、別々の校正が必要とされる。しかし、本方法はまた、対物レンズまたは光学エンジンの以降の交換において、有利に用いることができる。
【0023】
電動ズーム系を含む光学エンジン(画像処理装置)の製造を行う間、任意選択的に複数のレンズアセンブリに取り付ける複数のモーターを所定個数増やした場合の実ズーム曲線が決定される。更に、画像安定性、開口調節および歪み補正等、ズーム系の実際の収差が確定され、最後に、上記から倍率制御および画像補正用のモデルが確定される。本発明によれば、当該校正は、基準対物レンズに基づいて新たに製造される全ての系に対して実行される。これにより、各ズーム系が常に同じ方法で校正されることが保証される。
【0024】
対物レンズが製造された後、これらは基準ズーム系で均一に校正される。当該工程において、基準ズーム系と組み合せた実倍率が確定される。
有利な点として、基準対物レンズを取り付けた基準ズーム系の校正データも取得および保存される。
【0025】
その後デジタル顕微鏡内の対物レンズが交換された場合、ズーム系の保存された校正データを用いて、当該対物レンズに保存された校正データおよび既知の基準データを用いる再校正に要する時間を短縮することができる。
【0026】
光学系を組み立てる際の第1の校正は、各ケースにおける基準物体に対する校正に基づいて極めて簡単である。
特に、本発明の利点は、モジュール要素が分散的に製造可能でありながら一定の高品質な校正が保証された状態で、任意の系を任意の数の対物レンズと組み合せて校正できることに見られる。
【0027】
当然ながら、校正プロセス自体が要件に応じて変更および適合可能である。
本発明の特に好適な実施形態について、図面に基づいて以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】可動レンズ群が異なる位置にあるズーム系の模式図を示す。
図2】各種の基準パターンの模式図を示す。
図3】基準ズーム系および基準対物レンズを用いる第1の校正ロジックを示す。
図4】基準ズーム系および任意の対物レンズを用いる第2の校正ロジックを示す。
図5】任意のズーム系および基準対物レンズを用いる第3の校正ロジックを示す。
図6】任意のズーム系に取り付けられた任意の対物レンズを用いる第4の校正ロジックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に、2個の可動レンズ群および1個の固定レンズ群を様々な位置に備えたズーム系01の模式図を示す。第1の可動レンズ群02は最初に焦点の設定を行い、一方第2のレンズ群03は倍率βを設定する。レンズ群02、03は、ステッパーモータ(ここでは図示せず)により極めて小さい刻み幅で変位させることができる。デジタル顕微鏡が動作する間、2個のレンズ群の各々のモーター位置を保存する固定ズームテーブルがある。両方のモーターは好適には、特に迅速に所望のズーム設定に達するために同時に起動される。ズーム系01は、公知の仕方で、対物レンズ05およびズーム系01を介して物体04から画像センサ06への光路内に配置されている。
【0030】
基準対物レンズを取り付けたズーム系01の校正データDを確定するために、対物レンズ(例:対物面が設置された5×0.3対物レンズ)は最初に、本方法の好適な実施形態において、高い倍率(第1のレンズ群02については)付近でのズーム動作だけを用いて、組み立てられたデジタル顕微鏡内で焦点合わせされる。
【0031】
ここに記述する設置対物面は、基準物体を対物レンズの05前方の有効距離に配置することができる機械式装置である。
次いで、対物レンズ05は、ズームを動かすことなく、同型且つ同倍率の基準対物レンズ06(黄金対物レンズとも称する)で代替される。
【0032】
次いで、センサ面上に実際の画像中心点(固定点)が確定されるが、センサアセンブリが未調整且つ光学装置の中心合わせ公差に起因して絶対位置および方位の両方に関してセンサ中心点からずれている可能性がある。当該画像中心点は、特にズーミングにおいて、画像が丁度1個の点から拡大(且つ丁度1個の点に収縮)するように見えることを保証することが、重要である。有利な点として、画像中心は第2のズーム設定に基づく基準パターンを用いて確定され、ズーミング時のずれが最小化される。2個の大幅に異なるズーム設定(すなわち最大および最小倍率)を用いた場合、特に安定画像中心点が得られる。例えば、十字型または斜めパターン(図2c、2b)を、画像中心点を決定するための基準対物レンズとして用いることができる。校正のために評価されるセンサ面の中心点として固定点が選択される。対物面への射影は従って、図2の校正パターンの中心点に一致する筈である。
【0033】
ズーム曲線を決定するために、好適には連続的に9個のズーム設定を実行して焦点を設定する。この場合、5個のズーム設定(1)〜(5)だけを図示している。例えば、当該設定は、第2の可動レンズ群03に実行されるズーム設定および第1の可動レンズ群02により焦点合わせが行われた基準パターンにより実現することができる。この目的のため、図2aに示す格子状の基準物体07を利用することができ、これは任意選択的に、ズーム設定を実施するのと同程度に多くの異なるサイズで利用可能に保たれていなければならない。代替的に、求められる偏差値が各ズーム設定内で確定できることが確かな場合、極めて微細な格子状の基準物体を用いることができる。
【0034】
図示した例において、格子状の基準物体07は、平面上に行および列として等間隔xに配置された所定サイズの穴08を有する穿孔マスクである。実際に設定される倍率βは、格子状の基準物体07上の穴08の既知の間隔xおよび画像センサ06の表示から計算することができる。これは更に、以下により詳しく述べる歪み補正を既に含んでいてよい。
【0035】
ズーム曲線の決定に加え、好適には歪み補正モデルも確定され、これを利用して光学装置の色収差および歪みをデジタル的に補正することができる。
従って、ズーム曲線を決定した結果は、好適には9個の異なるズームレベルについて倍率β、モーター位置および、任意選択的に、(黄金対物レンズを取り付けたズーム系の)歪みおよび画像安定性のための補正係数が保存されたテーブルである。
【0036】
対物レンズを校正するために、これらは基準ズーム系で用いられ、実対物レンズデータが決定されて歪み補正が実行される。
歪みを補正する場合、歪みモデルは、異なるズーム設定における位置誤差ベクトルから補間されたより高次の多項式により基準テーブルから形成され、各カラーチャネル基準画像に対して11個の位置誤差係数が確定される。また、画像安定性誤差係数を確定することができ、関連付けられた倍率に対するズームモーター位置を取得して歪みモデルに保存することができる。
【0037】
歪みモデル、すなわち係数、倍率、および恐らくは更なる値が、短縮ズームテーブルに保存される。この短縮ズームテーブルは好適には、4本のラインを含み、好適には3次の補償多項式の係数を含んでいるため、任意の倍率における上述の値の計算が可能になる。
【0038】
短縮ズームテーブルは、以下の多項式を用いて任意の倍率βに対して拡張可能である。
各ズーム位置iについて歪みの係数の大きさが決定される。倍率βは各ズーム位置iに属する。そのサイズは、短縮ズームテーブルへの入力項目を用いてβから決定される。
【0039】
ここに、以下は歪み補正係数aにあてはまる。
【0040】
【数1】
ここに、mは3個のカラーチャネル赤、緑および青を表し、各ケースにおけるnは1〜11までの値を想定している。
また、以下は画像安定性補正係数Iにあてはまる。
【0041】
【数2】
ここに、mは座標値XおよびYを表し、i=1・・・3は短縮ズームテーブルの値である。
【0042】
要するに、異なる校正処理が用いられる。
最初に、基準対物レンズ10を取り付けた基準ズーム系09が校正される(図3)。図面において、基準系をより識別し易くするために陰付き表示している。この目的のために、ズーム曲線、歪み補正および画像安定性補正用の校正マスクが結像されて、画像データを処理する際に対応する補正に用いられる。
【0043】
歪み補正済みの画像を用いて、基準対物レンズと併用する基準ズーム系の最終実倍率(β=0.5...5またはβ=5...25)を確定することが可能である。
基準ズーム系と基準対物レンズの組み合せに対するズームテーブル11が生成されて、基準ズーム系の内部メモリに保存される。歪み係数をフィッティングすべく校正テーブル12(4×33)として短縮ズームテーブルが基準対物レンズに保存される。
【0044】
図4は、基準ズーム系09に取り付けられた任意の対物レンズ13がどのように校正されるかを示す。
基準ズーム系09を用いて、モデルの9個の理想β位置を近似し、基準ズーム系09に取り付けられた対物レンズ13の実際にずれている歪み補正済み倍率が確定されて対物レンズ13の内部メモリに校正データ15として保存される。ここで、β位置は、基準パターンが生成された倍率である。任意選択的に、基準対物レンズ10から新規の対物レンズ13に取り換えた際の画像の急激な変化をベクトルとして対物レンズ13の内部メモリに保存することも可能である。この値は後で更なる処理を施される場合がある。
【0045】
歪みは、理想倍率により補正される。この目的のために、カラーチャネル11毎に4個の理想倍率に対して、モデル係数が対物レンズの内部メモリのテーブル14に保存される。
【0046】
図5を用いて、基準対物レンズ10を取り付けた任意のズーム系16がどのように校正されるかを説明する。基準ズーム系に取り付けられた基準対物レンズ10の校正テーブル12が後続の計算用にテストズームに保存される。参照ズーム09と基準対物レンズ10の組み合わせについて図3で説明したように、固定点を決定し、焦点が合った結像のための9個のズーム位置を決定し、ズーム曲線用の校正マスクを結像し、歪みを補正して画像安定性を補正するステップが実行される。視野絞りおよび開口絞りの動作が確定される。歪み補正により、最終的な倍率βが基準対物レンズとズーム系の接続部に生成される。
【0047】
歪み係数am,nおよび画像安定性補正係数Iを有するモデル18が、βidealを介して確定されてズーム系に4×35マトリクス形式で保存される。
視野絞りおよび開口絞りのβideal、可動レンズ群02、03の位置、またはその対応するモーター増分を含む短縮ズームテーブル19も同様にズーム系に保存される。
【0048】
図6を用いて、任意の対物レンズ13を取り付けた任意のズーム系16を校正したい場合の手順を説明する。この点に関して、上で説明したように、基準となる対応部材を取り付けた全てのズーム系および全ての対物レンズが校正され、対応するテーブルが各々の内部メモリに保存されることに留意されたい。
【0049】
テーブルまたはモデル12、18、19がズーム系16の内部メモリから読み出される。テーブル14、15は対物レンズ13の内部メモリから読み出される。
ズーム系16と対物レンズ13の特定の組み合せに対する参照テーブル20が、ズームテーブル19に列βを追加することにより、光学エンジン内に生成される。ここで、対物レンズ倍率βの列は、β校正テーブル15からのスプライン補間により得られる。これはズームの制御および画像データの評価に利用可能である。
【0050】
9個の歪み補正係数は、C_Z+O([C_Z+O−1(C_Z+O(O上のZの画像)))として確定された係数から計算される。
この目的のために、全体的な結像補正は抽象的に、補正が付随する個々の結像レベルの連続的な実行と考えられる。テーブル14により特徴付けられる、基準ズーム9(C_Z+O))に取り付けられた対物レンズ13の画像の補正が対物レンズ13を取り付けたズーム系16の画像に適用される。これに続いて、校正テーブル12により特徴付けられる基準ズーム09[C_Z+O−1に対する基準対物レンズ10の逆補正が適用され、次いで、モデル18により特徴付けられるズーム系16C_Z+Oに対する基準対物レンズ10の補正が適用される。
【0051】
単一の歪み補正ステップにおいて上述の3個の部分的補正を連続的に実行するための歪み補正係数の計算は、各補正ステップを通じて存在する穴08の画像座標、および、好適には9個の倍率および3個の波長(カラーチャネル)の最終的な座標から確定される位置偏差の係数により実現される。ズームテーブルは、短縮ズームテーブルと同様に、βを用いてフィッティングされた係数により計算される。
【0052】
歪み補正モデルの確定は(非特許文献1)に基づいている。
基準ズーム系に取り付けられた、例えば1.6倍または0.5倍等の異なる倍率を有する対物レンズに対しても歪み係数が同様に確定され、各々の標準β、β=βideal*(32.9/99)またはβ=βideal*(32.9/300)とフィッティングされる。倍率変換テーブルおよび歪みフィッティング係数テーブルは各々、対物レンズ13の内部メモリに保存される。これにより全体的な参照テーブルが、5倍対物レンズに対して例示的な仕方で上述のように正確に生成される。相応に異なる仕方で全体倍率だけが計算される。
【0053】
当業者であれば同様の方法を容易に想到して応用できよう。
任意選択的に対物レンズおよびズーム系の校正データ用に他の記憶場所を選択することもまた本発明の範囲に含まれる。例えば、各々の内部メモリにIDを保存し、関連付けられたテーブルを中央データベースに保存することが考えられる。
【0054】
有利な点として、直近の10個(x)の接続された対物レンズの直近の10個(または他の任意の個数)の参照テーブルが履歴に保存される。これにより、交換が比較的頻繁に生じる場合でも、購入された対物レンズを用いて直ちに作業に入れることが保証される。履歴は当然ながら要件に適合することができ、10個より多いかまたは少ないエントリを含んでいてよい。
【0055】
上の記述は、直接駆動部を備えた2個のズーム機構およびズームに伴い変動する視野絞りおよび開口絞り直径を備えた系を例示するものと解釈されたい。これらの要素は、本発明の概念を実装するために必須ではない。対応する要素、これらを備えていないズーム系では省略することができる。例示的に、SG1およびSG2は、駆動部の位置に代えて、2個の直接駆動部を備えたズーム系を表す。後者は、モーター位置、エンコーダ位置、機械的ラッチング、または公知の技術的な手段を有する別途設計されたトランスデューサで代替可能である。
【0056】
本発明の内容はまた、参照テーブル20の内容が、列β_O4により補完される11と同様のズームテーブルおよび12と同様の短縮ズームテーブルにより実現されるならば保持される。
【符号の説明】
【0057】
01 ズーム系
02 第1の可動レンズ群
03 第2の可動レンズ群
04 物体
05 対物レンズ
06 画像センサ
07 格子状の基準物体
08 穴
09 基準ズーム系
10 基準対物レンズ
11 ズームテーブル
12 校正テーブル
13 対物レンズ
14 テーブル
15 校正テーブル
16 ズーム系
17 −
18 モデル
19 短縮ズームテーブル
20 参照テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6