(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッパ機構は、前記弁体の開弁方向への移動を許容すると共に、前記弁体が開弁方向に移動した後には前記弁体の閉弁方向への移動を規制することを特徴とする請求項1に記載のフィラーキャップ。
前記調圧弁は、前記燃料タンク内の圧力が所定の正圧値より高い場合に開弁する正圧弁と、前記燃料タンク内の圧力が所定の負圧値より低い場合に開弁する負圧弁と、を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のフィラーキャップ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るフィラーキャップを図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るフィラーキャップ1を装着する自動車等の燃料系統の概要を示す説明図である。
図1に示すように、フィラーキャップ1は、燃料タンク50の給油筒51(フィラーチューブ)の末端に形成される給油口51a(フィラーネック)に装着される。
【0021】
燃料系統は、燃料ポンプ52と、それにつながる燃料配管57と、を有する。燃料タンク50内の燃料(ガソリンや軽油等)は、燃料ポンプ52によって送り出され、燃料配管57及び図示しない燃料噴射弁等を介してエンジンへと供給される。
【0022】
また、燃料系統は、蒸発した燃料が外部に漏れることに起因する大気汚染を防止するために、燃料タンク50内の蒸発した燃料をエンジンへと導く蒸発燃料処理装置53を備えている。蒸発燃料処理装置53は、蒸発した燃料を一時的に吸着するキャニスタ55と、蒸発燃料の供給を制御するパージコントロールバルブ56と、蒸発燃料の供給制御及びリーク診断を行うリーク診断装置54と、を備えている。
【0023】
キャニスタ55は、その内部に活性炭等からなる吸着材を有し、蒸発燃料導入路58を介して燃料タンク50に接続されており、燃料タンク50内で蒸発した燃料を吸着捕集する。また、キャニスタ55の吸着材に吸着された蒸発燃料は、新気導入路60から導入される外気によって脱離され、パージ通路59、パージコントロールバルブ56及び図示しない給気筒等を介してエンジンへと供給される。
【0024】
リーク診断装置54は、図示しない切替バルブ類、減圧ポンプ及び圧力センサ等を有し、燃料系統に対して空気の排出や導入を行い、キャニスタ55による蒸発燃料の吸着及び脱離を制御して蒸発燃料の適切な処理を可能とする。また、リーク診断装置54は、減圧ポンプで燃料系統内を減圧して圧力センサで圧力を検出することにより、燃料系統のリークを診断する。
【0025】
図2(A)は、フィラーキャップ1の概略構造を示す正面断面図であり、
図2(B)は、正圧弁10の弁体12近傍を示す平面図である。
図2(A)に示すように、フィラーキャップ1は、キャップ本体3と、その内側に設けられる調圧弁2と、キャップ本体3の上部に設けられる蓋体4と、を有する。
【0026】
キャプ本体3は、フィラーキャップ1の基体を構成する略円筒形状の部材であり、燃料タンク50(
図1参照)の給油口51a(
図1参照)に装着される。具体的には、キャップ本体3の外周上部にシール機能を発揮するガスケット7が装着され、キャップ本体3の外周部に形成されるねじ部5が給油口51aの内周面に螺合される。
【0027】
蓋体4は、キャップ本体3の上部を覆うように取り付けられ、フィラーキャップ1の装着及び取外しを行う際の操作部を構成する。なお、蓋体4の内部には、フィラーキャップ1を取り付ける際に所定の締め付けトルクによる回転を可能とする図示しないトルク機構等を備えている。
【0028】
調圧弁2は、キャップ本体3の内部に設けられ、燃料タンク50内の圧力が所定の正圧値より高い場合に開弁する正圧弁10と、燃料タンク50内の圧力が所定の負圧値より低い場合に開弁する負圧弁20と、有する。
【0029】
正圧弁10は、燃料タンク50の内部と外部とを連通させる弁流路15と、弁流路15を開閉自在に塞ぐ弁体12と、弁体12を閉弁方向(
図2(A)において下方)に付勢する弾性体としての圧縮ばね13と、を有する。
【0030】
弁流路15は、キャップ本体3の内側の空間を燃料タンク50側と外部とに区画する弁壁11に形成される開口である。弁壁11は、キャップ本体3を内周側に延設することによりキャップ本体3と一体的に形成されても良い。また、弁壁11を別部材から構成してキャップ本体3に取り付けることとしても良い。
【0031】
圧縮ばね13は、一端部(
図2(A)において下端部)が弁体12に当接し、他端部((
図2(A)において上端部)が弁箱(バルブボディ)を構成する弁蓋19によって支持される。なお、弁蓋19は、キャップ本体3に固定される。
【0032】
負圧弁20は、燃料タンク50の内部と外部とを連通させる弁流路25と、弁流路25を開閉自在に塞ぐ弁体22と、弁体22を閉弁方向(
図2(A)において上方)に付勢する弾性体としての圧縮ばね23と、を有する。弁流路25は、正圧弁10の弁体12に形成される貫通孔である。
【0033】
圧縮ばね23は、一端部(
図2(A)において上端部)が弁体22に当接し、他端部((
図2(A)において下端部)が弁箱を構成する弁蓋29によって支持される。なお、弁蓋29は、キャップ本体3を延設することによりキャップ本体3と一体的に形成されても良い。
【0034】
調圧弁2は、一度開弁した後に開弁状態を維持するストッパ機構30を備えている。ストッパ機構30は、各弁体12、22の開弁方向への移動を許容すると共に、弁体12、22が開弁方向に移動した後には、弁体12、22の一部分に当接若しくは係合して、弁体12、22の閉弁方向への移動を規制する。
【0035】
正圧弁10のストッパ機構30は、キャップ本体3若しくは調圧弁2の弁箱等に固定される支持ピン32と、支持ピン32によって移動自在に支持されるストッパ部材31と、を有する。
【0036】
図2(A)及び(B)に示すように、ストッパ部材31は、略L字状の部材であり、弁体12の両側に2か所設けられる。なお、ストッパ部材31は、少なくとも1つあれば良く、また、ストッパ部材31を3つ以上設けても良い。
【0037】
ストッパ部材31には、支持ピン32を挿通させる長穴状の支持孔33が形成されている。そして、支持孔33に挿通される支持ピン32は、前述のとおり、キャップ本体3若しくは調圧弁2の弁箱等に固定される。これにより、ストッパ部材31は、支持ピン32によって回動自在且つ摺動自在に支持される。
【0038】
負圧弁20のストッパ機構30は、支持ピン36と、支持ピン36によって移動自在に支持されるストッパ部材35と、を有する。ストッパ部材35は、略棒状の部材であり、
正圧弁10の弁体12に形成される弁流路25の内部に配設される。
【0039】
ストッパ部材35には、支持ピン36を挿通させる長穴状の支持孔38が形成されている。そして、支持孔38に挿通される支持ピン36は、正圧弁10の弁体12に固定される。これにより、ストッパ部材35は、支持ピン36によって回動自在且つ摺動自在に支持される。
【0040】
また、正圧弁10の弁体12には、負圧弁20のストッパ部材35の移動をガイドするガイドピン37が設けられる。これにより、負圧弁20の弁体22が移動する際、ストッパ部材35の動きをガイドして好適な位置に導くことができる。
【0041】
なお、支持ピン36及びガイドピン37を弁箱等に固定することも可能である。例えば、弁蓋19を下方に延設して支持ピン36若しくはガイドピン37を固定するための支持部を形成しても良い。また、ストッパ部材35は、2つ以上設けても良く、また、1つのストッパ部材35に対して複数のガイドピン37を設けても良い。
【0042】
図3(A)ないし(C)は、正圧弁10の動作を示す説明図であり、
図3(A)は、通常時、
図3(B)は、開弁過程、
図3(C)は、開弁後の状態を示している。
図3(A)に示すように、通常の状態において、正圧弁10は閉じている。
【0043】
即ち、弁体12は圧縮ばね13によって閉弁方向に付勢されているので、弁体12の下部のシート面12aが弁流路15の周囲の弁座17(バルブシート)に当接し、弁体12によって弁流路15が塞がれる。
【0044】
また、弁体12に形成される負圧弁20の弁流路25は、圧縮ばね23によって上方に付勢される弁体22によって塞がれる。即ち、弁体22の上部のシート面22aは、弁流路25の周囲のシート面12bに当接して、弁流路25を封止する。
【0045】
なお、各シート面12a、12b、22a及び弁座17は、密封シール性能を高めるために、弾性変形自在な軟質樹脂材料、例えば、軟質ゴム材等から成形されても良い。また、これら部材を別部品として成形した後に、弁体12、22及び弁壁11に各々一体的に接合しても良い。
【0046】
図3(B)に示すように、燃料タンク50内の圧力が上昇して、その圧力による押圧力が圧縮ばね13の付勢力及外気圧による押圧力を超えると、燃料タンク50内の圧力によって弁体12が圧縮ばね13の付勢力に抗して押し上げられる。これにより、弁体12のシート面12aと弁座17との間に弁流路15につながる流路が形成され、燃料タンク50内と外部とが連通される。
【0047】
ここで、支持ピン32によって移動自在に支持されているストッパ部材31は、上昇する弁体12に押されて回動すると共に、自重によって下方に移動する。そして、
図3(C)に示すように、ストッパ部材31の一部分、即ち弁体12に向かって突設されている突片部31a、が弁体12のシート面12aと弁座17との間に進入する。換言すれば、ストッパ部材31は、弁体12と干渉する位置に移動する。
【0048】
正圧弁10が開いた後には、燃料タンク50内の正圧が解消されて、弁体12が圧縮ばね13の付勢力によって閉弁方向に押圧されることになる。しかし、弁体12が開弁方向に移動したことにより、ストッパ部材31の突片部31aが弁体12と弁壁11に形成される弁流路15との間に進入しているので、弁体12とストッパ部材31とが当接して弁体12の閉弁方向への移動が規制される。つまり、弁体12のシート面12aと弁座17との間にストッパ部材31が挟まれて流路が確保され、正圧弁10の開弁状態が維持される。
【0049】
ここで、ストッパ部材31は、弁体12に押されて自重で移動することとしたが、これに代えて、ストッパ部材31を移動させるためのばね等を設けてストッパ部材31を移動方向に付勢しても良い。これにより、開弁状態を維持させる機能の信頼性を高めることできる。
【0050】
なお、フィラーキャップ1(
図2参照)を取り外して簡単な操作を行うことにより、弁体12と弁座17との間に挟まれて正圧弁10を開弁状態に維持しているストッパ部材31を元の位置に戻して、正圧弁10を正常時の状態に復帰させることができる。具体的には、例えば、フィラーキャップ1を逆さにして、手動で弁体12を開いた後に閉じることにより、ストッパ部材31を、自重を利用して元の位置に戻すことができる。
【0051】
つまり、例えば、所定の圧力を超えたら破裂して不可逆的に開弁状態を維持させる破裂板等を利用した従来技術の安全弁等と異なり、本実施形態に係る調圧弁2では、可逆的に開弁状態を維持させることができる。これにより、後述するリーク診断で正圧弁10が開弁したことを発見した後も、ストッパ機構30をリセットして正圧弁10を正常時の閉弁状態に復帰させて、フィラーキャプ1を継続して利用することができる。
【0052】
図4(A)ないし(C)は、負圧弁20の動作を示す説明図であり、
図4(A)は、通常時、
図4(B)は、開弁過程、
図4(C)は、開弁後の状態を示している。
図4(A)に示すように、通常の状態において、負圧弁20は閉じている。通常時のストッパ部材35は、正圧弁10の弁体12に形成される弁流路25の中に配設され、下端部が負圧弁20の弁体22の上面に当接して支えられている。
【0053】
図4(B)に示すように、燃料タンク50内の圧力が低下して、その圧力によって弁体22に作用する押圧力及び圧縮ばね23の付勢力が外気圧による押圧力を下回ると、外気圧によって弁体22が圧縮ばね23の付勢力に抗して押し下げられる。これにより、弁体12のシート面12bと弁体22のシート面22aとの間に弁流路15と弁流路25とをつなぐ流路が形成され、燃料タンク50内と外部とが連通される。
【0054】
ここで、支持ピン36によって移動自在に支持されているストッパ部材35は、下降する弁体22の移動に伴って自重によって下方に移動する。具体的には、ストッパ部材35は、支持孔38に挿通される支持ピン36に沿って摺動し、若しくは支持ピン36を支点として回動し、下端部が弁体22に支えられながら下方へと移動する。また、ストッパ部材35の外面は、ガイドピン37に当接して適切な移動方向へとガイドされる。
【0055】
そして、
図4(C)に示すように、ストッパ部材35の一部分、即ち下端部近傍が弁体12のシート面12bと弁体22のシート面22aとの間に進入する。つまり、ストッパ部材35の下端部近傍は、弁体12と弁体22との間に挟まれるようになる。換言すれば、ストッパ部材35は、弁体22と干渉する位置に移動する。
【0056】
負圧弁20が開いた後には、燃料タンク50内の負圧が解消されて、弁体22が圧縮ばね23の付勢力によって閉弁方向に押圧されることになる。しかし、弁体22が開弁方向に移動したことにより、ストッパ部材35の下端部近傍が弁体12に形成された弁流路25と弁体22との間に進入しているので、弁体22とストッパ部材35とが当接して弁体22の閉弁方向への移動が規制される。つまり、弁体12のシート面12bと弁体22のシート面22aとの間にストッパ部材35が挟まれて流路が確保され、負圧弁20の開弁状態が維持される。
【0057】
ここで、正圧弁10のストッパ機構30と同様に、ストッパ部材35についても、移動方向に付勢するばね等を設けても良い。これにより、開弁状態を維持させる機能の信頼性をより高めることできる。また、負圧弁20についても、簡単な操作で正常時の状態に復帰させることができる。具体的には、例えば、フィラーキャップ1を逆さにして、手動で弁体22を開いた後に閉じることにより、ストッパ部材35を、自重で元の位置に戻すことができる。また、ストッパ部材35を手動で元の位置に押し戻しても良い。
【0058】
次に、
図5を参照して、調圧弁2が故障した際のリーク診断について詳細に説明する。
図5は、調圧弁2が故障した際のリーク診断を示すフローチャートである。調圧弁2が故障した例としては、例えば、所定の設定圧力よりも低い圧力P1で正圧弁10(
図2参照)が開閉してしまう場合、若しくは所定の設定圧力よりも高い圧力P1で負圧弁20(
図2参照)が開閉してしまう場合である。
【0059】
このような故障が発生した際、燃料タンク50内の圧力が故障時の開弁圧力P1以上になると故障した正圧弁10が開く(ステップS1)。または、負圧弁20が故障した際には、燃料タンク50内の圧力が故障時の開弁圧力P1以下になると故障した負圧弁20が開く(ステップS1)。
【0060】
故障した正圧弁10若しくは負圧弁20が開くと、燃料タンク50の内部と外部とが連通されて、燃料タンク50内の正圧若しくは負圧が解消される。そして、正圧弁10が故障した際は、故障した正圧弁10が開くことにより燃料タンク50内の圧力が開弁圧力P1より低くなる(ステップS2)。他方、負圧弁20が故障した際は、故障した負圧弁20が開くことにより燃料タンク50内の圧力が故障時の開弁圧力P1より高くなる(ステップS2)。
【0061】
ここで、前述のとおり、
図3(C)に示すように、正圧弁10は、一度開くと、ストッパ機構30のストッパ部材31によって弁体12の閉弁方向への動きが規制されて開弁状態が維持される。同様に、
図4(C)に示すように、負圧弁20も、ストッパ部材35によって弁体22の閉弁方向への動きが規制されて開弁状態が維持される。
【0062】
次に、
図5に示すように、タンク内圧が安定した後、リーク診断装置54(
図1参照)で燃料系統のリーク診断を開始する(ステップS3)。具体的には、リーク診断装置54の減圧ポンプで燃料タンク50内を診断圧力P0に減圧して、圧力センサで燃料タンク50内の圧力を検出する(ステップS4)。
【0063】
ここで、タンク内圧が安定するのを待ってから停止時のリーク診断を行うのは、余熱や振動による圧力変化の影響を少なくして正確な診断を行うためである。なお、リーク診断では、燃料タンク50内を減圧する方法に代えて、加圧ポンプ等によって燃料タンク50内を加圧する方法を採用しても良い。
【0064】
リーク診断の際、前述のとおり、故障して一度開いた正圧弁10若しくは負圧弁20は、ストッパ機構30によって開弁状態に維持されている。そのため、開弁状態の正圧弁10若しくは負圧弁20を介して燃料タンク50内と外部とが連通されるので、そこから空気が漏れて、燃料系統内の圧力を診断圧力P0に保持することができない(ステップS5)。
【0065】
このように、燃料タンク50内の圧力は、診断圧力P0に保持されないので、リーク診断装置54は、燃料系統にリークがあると診断する(ステップS6)。これにより、調整弁2の開弁圧異常の故障を、別途診断装置等を設けることなく、リーク診断装置54を利用して容易に検出することができる。
【0066】
次に、
図6及び
図7を参照して、実施形態を変形した例として、調圧弁102について詳細に説明する。尚、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図6(A)ないし(C)は、本発明の他の実施形態に係る調圧弁102について正圧弁10の動作を示す説明図であり、
図6(A)は、通常時、
図6(B)は、開弁過程、
図6(C)は、開弁後の状態を示している。
【0068】
調圧弁102は、既に説明した実施形態の調圧弁2(
図2参照)に相当するものである。
図6(A)に示すように、調圧弁102のストッパ機構130は、弁体12に設けられるストッパ部131と、キャップ本体3若しくは調圧弁2の弁箱等に設けられるストッパ受け部132と、を有する。
【0069】
ストッパ部131は、弁体12の移動方向に延在する略棒形状の部材であり、弁体12に固定される。または、ストッパ部131を弁体12と一体成形しても良い。ストッパ部131には、ストッパ受け部132に係合する係合凸部131aが形成される。他方、ストッパ受け部132には、ストッパ部131を挿通させると共に係合凸部131aと係合する係合孔133が形成されている。
【0070】
係合凸部131aは、弁体12が開弁方向に移動する際には、係合孔133を容易に通過でき、弁体12が閉弁方向に移動する際には、係合孔133に係合して弁体12の移動を規制する。具体的には、係合凸部131a及び係合孔133は、種々の形態を採用し得るが、例えば、係合凸部131aをその下部に返し部を形成して上方に向かう略矢尻状若しくは上方に向かって小径となる略テーパ状に形成しても良い。
【0071】
また、ストッパ部131を、例えば、水平方向へと弾性変形自在に構成し、その弾性復元力を利用して係合凸部131aと係合孔133とを係合させても良い。また、ストッパ部131及びストッパ受け部132は、1対のみでも良いし、複数設けても良い。
【0072】
図6(A)に示すように、通常の状態において、正圧弁10は閉じている。通常時、ストッパ部131の上端近傍は、ストッパ受け部132の係合孔133に摺動自在に挿通されているが、係合凸部131aは、ストッパ受け部132よりも下方に位置する。
【0073】
図6(B)に示すように、燃料タンク50内の圧力が上昇すると、その圧力によって弁体12が圧縮ばね13の付勢力に抗して押し上げられる。これにより、シート面12aと弁座17との間に弁流路15につながる流路が形成され、燃料タンク50内と外部とが連通される。
【0074】
ここで、弁体12の上昇に伴い、弁体12と一体的に設けられたストッパ部131も上昇する。上方に押し上げられるストッパ部131は、ストッパ受け部132の係合孔133内を摺動し、
図6(C)に示すように、ストッパ部131の係合凸部131aは、係合孔133の上方へと移動させられる。
【0075】
正圧弁10が開いた後には、燃料タンク50内の正圧が解消されて、弁体12が圧縮ばね13の付勢力によって閉弁方向に押されることになる。しかし、弁体12が開弁方向に移動したことにより、ストッパ部131の係合凸部131aが係合孔133の上方へと移動しているので、弁体12の係合凸部131aとストッパ受け部132の係合孔133とが係合して、弁体12の閉弁方向への移動が規制される。即ち、係合凸部131aは、開弁方向へ移動する際には、係合孔133を容易に通過でき、閉弁方向に移動する際には、係合孔133に係合するので、上昇した後の弁体12の下降を妨げる。これにより、正圧弁10の開弁状態が維持される。
【0076】
なお、正圧弁10のストッパ機構130についても、簡単な操作で正常時の状態に復帰させることができる。具体的には、手動で係合凸部131aと係合孔133との係合を解いてストッパ部131を押し戻すことにより弁体12を閉弁状態に戻すことができる。
【0077】
図7(A)ないし(C)は、調圧弁102について負圧弁20の動作を示す説明図であり、
図7(A)は、通常時、
図7(B)は、開弁過程、
図7(C)は、開弁後の状態を示している。
【0078】
図7(A)に示すように、調圧弁102のストッパ機構130は、負圧弁20の弁体22に設けられるストッパ部135と、キャップ本体3若しくは調圧弁2の弁箱等に設けられるストッパ受け部136と、を有する。
【0079】
ストッパ部135及びストッパ受け部136は、
図6(A)を参照して既に説明した正圧弁10のストッパ部131及びストッパ受け部132と類似の構成である。即ち、ストッパ部135には、ストッパ受け部136に係合する係合凸部135aが形成され、ストッパ受け部136には、ストッパ部135を挿通させると共に係合凸部135aと係合する係合孔138が形成されている。
【0080】
そして、係合凸部135aは、弁体22が開弁方向に移動する際には、係合孔138を容易に通過でき、弁体22が閉弁方向に移動する際には、係合孔138に係合して弁体22の移動を規制する。
【0081】
図7(A)に示すように、通常の状態において、ストッパ部135の下端近傍は、ストッパ受け部136の係合孔138に摺動自在に挿通されているが、係合凸部135aは、ストッパ受け部136よりも上方に位置する。
【0082】
図7(B)に示すように、燃料タンク50内の圧力が低下して、外気圧によって弁体22が圧縮ばね23の付勢力に抗して押し下げられると、弁体22の下降に伴い、弁体22と一体的に設けられるストッパ部135も下降する。下方に押し下げられるストッパ部135は、ストッパ受け部136の係合孔138内を摺動し、
図7(C)に示すように、ストッパ部135の係合凸部135aは、係合孔138の下方へと移動させられる。
【0083】
このように、弁体22が開弁方向に移動したことにより、係合凸部135aが係合孔138の下方へと移動しているので、弁体22の係合凸部135aとストッパ受け部136の係合孔138とが係合して、弁体22の閉弁方向への移動が規制される。これにより、負圧弁20の開弁状態が維持される。なお、負圧弁20のストッパ機構130についても手動で容易に解除して負圧弁20を閉弁状態に復帰させることができる。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【0085】
例えば、ストッパ機構30のストッパ部材31、35の形状や支持構造は、種々の変形形態を採用することができる。また、ストッパ機構130のストッパ部131、135に係合凸部131a、135aを形成せずに、ストッパ部131、135と係合孔133、138とを嵌合させて弁体12、22の動きを規制することもできる。この場合、ストッパ部131、135若しくは係合孔133、138を略テーパ状に形成することにより、開弁時にのみ所定の締め代で嵌合(締り嵌め)させることができる。