(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば、放射性物質で汚染された土地を除染する際には、土砂や落葉・落枝、草木などの放射性物質を含む汚染物が大量に発生し、この汚染物(被処理物)をフレキシブルコンテナバッグに詰めて仮置き保管する。そして、汚染物をフレキシブルコンテナバッグに詰めた状態で中間貯蔵施設(受入/分別/処理施設)に運び、搬入したフレキシブルコンテナバッグを解袋・破袋して、その中身を取り出すことになる。
【0007】
このとき、被処理物が放射性物質を含む汚染物であるため、フレキシブルコンテナバッグを解袋して被処理物を取り出す際には、短時間でその作業を行うことが重要である。また、被処理物を収容した大量のフレキシブルコンテナバッグが搬入されてくるため、順次迅速にこれらを連続的に処理してゆくことが求められる。
【0008】
しかしながら、短時間でフレキシブルコンテナバッグを解袋して被処理物を取り出す手段、被処理物を収容した大量のフレキシブルコンテナバッグを効率よく連続的に処理する手段がないのが現状である。
【0009】
なお、例えば、上記従来のように人力でフレキシブルコンテナバッグを切り裂いて汚染物(被処理物)を取り出すことは、外部被ばくのおそれがあり、また、作業効率が低い。
【0010】
さらに、被処理物を収容したフレキシブルコンテナバッグごと破砕処理する大型破砕機は、被処理物に合わせて破砕刃や駆動トルクなどを選定・設定することが必要で、例えば除染作業で発生した一様でない被処理物を収容したフレキシブルコンテナバッグなどの袋体を処理する際もこの破砕刃や駆動トルクなどを選定・設定が必要になる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、被処理物を収容したフレキシブルコンテナバッグなどの袋体を効率よく連続的に(大量に)解袋して被処理物を取り出すことを可能にする解袋装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0013】
本発明の解袋装置は、被処理物を収容した袋体を解袋して前記被処理物を取り出すための解袋装置であって、前記袋体を搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段から受けつつ前記袋体を搬送する第2搬送手段と、前記第2搬送手段から受けつつ前記袋体を搬送する第3搬送手段と、下方から上方に向けてウォータージェットを噴出させ、該ウォータージェットによって前記第2搬送手段で搬送されている前記袋体の底部に切り込みを入れる破袋手段とを備え
、前記破袋手段は、ウォータージェットを噴出する複数の噴出ノズルを備え、各噴出ノズルが、前記第2搬送手段による前記袋体の搬送方向に直交する方向であって、異なる軸線上において進退移動可能にそれぞれ設けられ、且つ、一の噴出ノズルと他の噴出ノズルが互いに逆方向に進退移動するように構成され、前記破袋手段は、前記第2搬送手段で移動されている前記袋体の底部にX字状の切り込みを入れるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の解袋装置において、前記破袋手段は、進退移動可能に設けられた前記複数の噴出ノズルの搬送方向前後少なくともいずれか一方に、ウォータージェットを噴出する位置が固定された噴出ノズルがさらに設けられていることが望ましい。
【0017】
また、本発明の解袋装置においては、前記第3搬送手段で搬送され、吊り下げ状態にして前記被処理物を前記底部側から落下させた後の前記袋体内に残った残留被処理物を取り出すための残留処理物排出手段を備えていることがさらに望ましい。
【0018】
そして、本発明の解袋装置においては、前記噴出ノズルの初期位置に対向するように開口部が配され、前記袋体の搬送に伴って回動可能に構成された回収配管を有する回収装置が設けられていることが望ましい。
【0019】
また、本発明の解袋装置においては、前記
袋体の位置を検知する検知手段が設けられ、前記検知手段により前記
袋体が所定の位置に搬送されてきたと確認された段階で、前記ウォータージェットの前記噴出ノズルから水を噴射するとともに、前記
袋体の底部の切欠きが完了した位置に搬送された段階で、前記噴出ノズルからの水の噴射を停止するように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の解袋装置においては、被処理物を収容した袋体が第1搬送手段から第2搬送手段に搬送され、第2搬送手段で搬送されている間に、破袋手段の噴出ノズルから噴出したウォータージェットで袋体の底部に切り込みを入れることができる。
【0021】
これにより、第2搬送手段から第3搬送手段で搬送された袋体を吊り上げる(持ち上げる)だけで、袋体の底部の切り込みが開き、被処理物を自動的に落下させて取り出すことが可能になる。
【0022】
また、破袋手段としてウォータージェットを用いることで、従来のように刃物(切刃)を用いて切り込み、破袋する場合と比較し、刃物の破損、摩耗等が生じて部品交換を必要としたり、メンテナンスを高頻度で行う必要がなく、作業性を大幅に向上させ、好適に袋体を破袋することが可能になる。
【0023】
また、被処理物が例えば除染作業で発生した放射性物質を含む汚染物であっても、作業者がフレキシブルコンテナバッグなどの袋体を切り開き、人力で汚染物の被処理物を取り出すことを不要にすることができる。
【0024】
よって、本発明の解袋装置によれば、被処理物を収容した袋体を順次第1搬送手段に供給するだけで、袋体を破袋して被処理物を取り出すことができ、大量の袋体を連続的に且つ短時間で効率的に処理することが可能になる。
そして、例えば、放射性物質で汚染された土地の除染作業などによって大量に発生し、フレキシブルコンテナバッグに詰めた放射性物質を含む汚染物が被処理物であっても、短時間でフレキシブルコンテナバッグを解袋し、効率よく大量に処理することが可能になる。
【0025】
また、本発明の解袋装置においては、破袋手段が複数の噴出ノズルを備え、各噴出ノズルが第2搬送手段による袋体の搬送方向に交差する方向に進退移動可能に設けられ、且つ、一の噴出ノズルと他の噴出ノズルが互いに逆方向に進退移動するように構成されていることで、第2搬送手段で袋体が搬送させている間に、一の噴出ノズルと他の噴出ノズルからそれぞれ噴出したウォータージェットによって交差した切り込みを入れることができる。
これにより、袋体を吊り上げる(持ち上げる)だけで確実に底部が大きく開き、被処理物を好適に落下させて自動的に取り出すことができる。
【0026】
さらに、本発明の解袋装置においては、破袋手段が第2搬送手段で移動されている袋体の底部にX字状の切り込みを入れるように構成されていることで、ウォータージェットで破袋するとともに、袋体の破片が分離することがなく、且つ袋体を吊り上げる(持ち上げる)だけで確実に底部が大きく開き、被処理物を好適に落下させて自動的に取り出すことができる。
【0027】
さらに、本発明の解袋装置においては、進退移動可能に設けられた噴出ノズルに加えて、位置が固定された噴出ノズルを設けることにより、袋体の底部により細かく切り込みを入れることができる。
これにより、袋体を吊り上げる(持ち上げる)だけでより確実に底部が大きく開き、被処理物をより好適に落下させて自動的に取り出すことができる。
【0028】
また、本発明の解袋装置においては、第3搬送手段で搬送され、吊り下げ状態にして被処理物を底部側から落下させた後に、切り込みを入れた底部の残片部分に引っ掛かるなどして袋体の内部に一部の被処理物が残ってしまった場合であっても、残留処理物排出手段によって、この袋体を揺り動かしたり、袋体に衝撃を与えたり、ローラーなどで袋体を挟み込み残留処理物を絞り出すなどし、確実に被処理物(残留被処理物)を袋体から取り出すことが可能になる。
【0029】
さらに、本発明の解袋装置においては、ウォータージェットの噴出ノズルに対向するように回収配管(回収装置)を設けることにより、未使用水(アイドリング用水)を効果的に回収することができる。これにより、節水およびコスト低減を図ることができる。
【0030】
また、本発明の解袋装置においては、検知手段によりフレキシブルコンテナバッグの位置に対応させてウォータージェットの噴出ノズルから水を噴射するように構成することができるので、節水とコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の一実施形態に係る解袋装置について説明する。
【0033】
ここで、本実施形態は、放射性物質で汚染された土地などを除染して大量に発生する土砂や落葉・落枝、草木などの放射性物質を含む被処理物(汚染物、廃棄物)をフレキシブルコンテナバッグに詰め、この状態の被処理物を中間処理施設などでフレキシブルコンテナバッグから取り出して処理する際に用いて好適な解袋装置に関するものである。
【0034】
はじめに、本実施形態のフレキシブルコンテナバッグは、可撓性を有するシート状部材を用いて形成され、非使用時には折り畳み可能で、使用時(被処理物の収容時)には内容量を大きくして多量の物を収容できる袋体として形成されている。また、このフレキシブルコンテナバッグは、例えば、有底円筒状、有底四角筒状に形成されている。
【0035】
具体的に、この種のフレキシブルコンテナバッグ1は、
図1に示すように、被処理物Sを収容する胴部1a及び底部1bからなる袋体収容部1cと、袋体収容部1cに一体に接続され、被処理物Sを収容した状態で袋体収容部1cの上部側を閉塞させるための略筒状の袋体蓋部1dと、袋体収容部1c及び袋体蓋部1dを吊り下げるための吊りベルト1eと、袋体収容部1cの適所に設けられて袋体収容部1cを補強するための補強材1fとを備えて形成されている。
【0036】
本実施形態では、このようなフレキシブルコンテナバッグ1に、除染作業で発生した放射性物質を含む(含む可能性がある)落葉・落枝、草木などの可燃物と、土砂や金属などの不燃物とを仕分けしながら収容する。フレキシブルコンテナバッグ1にそれぞれ収容した可燃物や不燃物は、フレキシブルコンテナバッグ1に収容した状態で中間処理施設などに搬送し仮置き保管される。その後、例えば、可燃物は、フレキシブルコンテナバッグ1ごと破砕装置で所定の大きさ、粒度に破砕し、適宜焼却などして処理される。また、不燃物は、フレキシブルコンテナバッグ1から取り出して適宜処理することになる。
【0037】
また、本実施形態では、上記の不燃物のような被処理物Sをフレキシブルコンテナバッグ(袋体)1から取り出す際に解袋装置Aを使用する。
【0038】
そして、本実施形態の解体装置Aは、
図1及び
図2、
図3に示すように、被処理物Sを収容したフレキシブルコンテナバッグ1を横方向の一方向T1に順次搬送する第1搬送手段2と、第1搬送手段2からフレキシブルコンテナバッグ1を受けつつこのフレキシブルコンテナバッグ1を第1搬送手段2から連続的に横方向の一方向T1に搬送する第2搬送手段3と、第2搬送手段3からフレキシブルコンテナバッグ1を受けつつこのフレキシブルコンテナバッグ1を第2搬送手段3から連続的に横方向の一方向T1に搬送する第3搬送手段4と、下方から上方に向けてウォータージェットを噴出させ、このウォータージェットによって第2搬送手段3で搬送されているフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに切り込みを入れる破袋手段5とを備えて構成されている。
【0039】
また、第1搬送手段2は、例えばベルトコンベア(スチールベルトコンベアなど)であり、建設作業機やクレーン付きトラックなどの袋体供給手段15によって順次搬送ベルトに被処理物Sを収容したフレキシブルコンテナバッグ1が上載され、搬送ベルトの回転駆動によって順次上載したフレキシブルコンテナバッグ1が一方向T1に搬送される。なお、第1搬送手段2は、必ずしもベルトコンベアでなくてもよく、所望の方向に被処理物Sを収容した複数のフレキシブルコンテナバッグ1を順次連続的に搬送可能であれば、例えばチェーンコンベアやローラーコンベアなど、他の搬送手段であってもよい。
【0040】
次に、本実施形態の第2搬送手段3は、例えばローラーコンベアであり、横方向T1に所定の隙間をあけて配設された複数の回転ローラー(本実施形態では3本以上の回転ローラー)3aを備えている。また、本実施形態では、各回転ローラー3aの回転軸が横方向の一方向T1に直交する他方向T2に沿うようにして、複数の回転ローラー3aが配設されている。なお、第2搬送手段3の複数の回転ローラー3aは、駆動ローラーを備えていても、全て従動ローラー(単なる回転ローラー)であってもよい。
【0041】
そして、この第2搬送手段3は、第1搬送手段2によって搬送されてきたフレキシブルコンテナバッグ1を受け入れつつ回転ローラー3aの回転によって一方向T1に連続的に搬送する。なお、第2搬送手段3の回転ローラー3aに駆動ローラーが設けられている場合には、その回転駆動力によってフレキシブルコンテナバッグ1を搬送する。また、駆動ローラーが設けられていない場合には、第1搬送手段2によって順次搬送される前方のフレキシブルコンテナバッグ1が後方のフレキシブルコンテナバッグ1に押されることにより、第2搬送手段3の回転ローラー3a上にフレキシブルコンテナバッグ1が順次受け入れられ、回転ローラー3aの回転によって自動的に且つ連続的に搬送される。
【0042】
一方、本実施形態の破袋手段5は、第2搬送手段3で搬送されているフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに向けてウォータージェットを噴出させ、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに切れ目を入れるように設けられている。
【0043】
具体的に、本実施形態の破袋手段5は、水槽、コンプレッサー、配管6aなどを備えてなる高圧水供給装置6と、高圧水供給装置6の配管6aの先端に設けられ、高圧水供給装置6から送られた高圧水をウォータージェットとして噴出させる複数の噴出ノズル(本実施形態では2つの噴出ノズル)7、8と、これらの噴出ノズル7、8をそれぞれ保持する保持部材9、10と、各噴出ノズル7、8からウォータージェットが鉛直方向上方に向けて噴出するように、且つ前記一方向T1に直交する他方向T2(フレキシブルコンテナバッグ1の搬送方向に交差する方向)に、各保持部材9、10ひいては各噴出ノズル7、8を進退自在に支持する進退機構11、12とを備えて構成されている。
【0044】
また、本実施形態では、進退機構11、12が、駆動モータと、駆動モータによって正逆回転するスプロケットと、一対のスプロケットに巻き掛けられて正逆回動する無端状のチェーンとを備えて構成されている。
【0045】
なお、進退機構11、12は、噴出ノズル7、8を進退移動させることが可能であれば、どのような構成であってもよい。例えば、駆動モータと、駆動モータによって軸線周りに回転するボールねじと、ボールねじに螺着したボールナットを備え、ボールナットに保持部材9、10を取り付けたり、直動アクチュエータに保持部材9、10を取り付けるなどして、進退機構11、12を構成してもよい。
【0046】
そして、本実施形態の破袋手段5においては、ウォータージェットが上方に噴出するように、チェーンに保持部材9、10ひいては噴出ノズル7、8を固定し、駆動モータの駆動とともにチェーンが正逆回動することで、噴出ノズル7、8が進退移動する。
【0047】
さらに、本実施形態では、互いに隣り合う回転ローラー3aの間の隙間からウォータージェットを上方に噴出させるように、一方の噴出ノズル(一の噴出ノズル)7ひいては進退機構11が配設され、互いに隣り合う回転ローラー3aの間の他の隙間からウォータージェットを上方に噴出させるように、他方の噴出ノズル(他の噴出ノズル)8ひいては進退機構12が配設されている。
【0048】
また、本実施形態の破袋手段5においては、例えば制御手段によって進退機構11、12の駆動モータの駆動や第1搬送手段2、第2搬送手段3の駆動を制御するなどし、一方の噴出ノズル7が進出する際には他方の噴出ノズル8が後退するように、一方の噴出ノズル7が後退する際には、他方の噴出ノズル8が進出するように、すなわち噴出ノズル7、8が互いに逆方向に進退移動するように進退機構11、12が設定・構成されている。さらに、噴出ノズル7、8の進退移動速度が第2搬送手段3によるフレキシブルコンテナバッグ1の搬送速度よりも大きくなるように、進退機構11、12が設定・構成されている。
なお、第1搬送手段2、第2搬送手段3、進退機構11、12(一方の噴出ノズル7、他方の噴出ノズル8)を適宜選択的に手動で操作できるようにしつつ、上記のように各噴出ノズル7、8を進退移動させるようにしても勿論構わない。
【0049】
次に、第3搬送手段4は、例えばローラーコンベアであり、複数の回転ローラーを備えている。また、本実施形態では、各回転ローラーの回転軸が横方向の一方向T1に直交する他方向T2に沿うようにして、複数の回転ローラーが配設されている。なお、第3搬送手段4の複数の回転ローラーは、駆動ローラーを備えていても、全て従動ローラー(単なる回転ローラー)であってもよい。
【0050】
この第3搬送手段4は、第2搬送手段3によって搬送されてきたフレキシブルコンテナバッグ1(被処理物Sを収容し、底部1bに切り込みが入れられたフレキシブルコンテナバッグ1)を受け入れつつ回転ローラーの回転によって一方向T1に連続的に搬送する。なお、第3搬送手段4の回転ローラーに駆動ローラーが設けられている場合には、その回転駆動力によってフレキシブルコンテナバッグ1を搬送する。また、駆動ローラーが設けられていない場合には、第1搬送手段2、第2搬送手段3によって順次搬送される前方のフレキシブルコンテナバッグ1が後方のフレキシブルコンテナバッグ1に押されることにより、第3搬送手段4の回転ローラー上にフレキシブルコンテナバッグ1が順次受け入れられ、回転ローラーの回転によって自動的に且つ連続的に搬送される。
【0051】
そして、上記構成からなる本実施形態の解袋装置Aにおいては、建設作業機やクレーン付トラックの袋体供給手段15などで仮置き場R1から被処理物Sを収容したフレキシブルコンテナバッグ1が第1搬送手段2上に載せられ、このフレキシブルコンテナバッグ1が順次第1搬送手段2から第2搬送手段3に搬送される。そして、第2搬送手段3で搬送されている間に、破袋手段5の噴出ノズル7、8からウォータージェットがフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに噴出される。また、この噴出ノズル7、8が進退機構11、12によって他方向T2に(フレキシブルコンテナバッグ1の移動方向に交差する方向に)進退移動する。
【0052】
さらに、このとき、2つの噴出ノズル(複数の噴出ノズルの一の噴出ノズルと他の噴出ノズル)7、8が、互いに逆方向に進退移動しながら第2搬送手段3で搬送されているフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに切り込みを入れることで、
図2に示すようにX字状の切り込みを入れることができる。
【0053】
これにより、
図1及び
図2、
図3に示すように、第2搬送手段3から第3搬送手段4に搬送されたフレキシブルコンテナバッグ1を建設作業機などの吊り上げ搬送手段16で吊り上げると(持ち上げると)、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bの切り込みが大きく開き、被処理物Sが自動的に被処理物ストック場R2に落下して取り出されることになる。
【0054】
なお、本実施形態では、2つの噴出ノズル7、8を互いに反対方向に進退移動させてフレキシブルコンテナバッグ1に切り込みを入れるようにしたが、3以上の複数の噴出ノズルを備えて破袋手段5を構成してもよい。この場合には、例えば1つの一の噴出ノズルに対し、2つ以上の他の噴出ノズルの進退移動方向を逆方向にしておくことで、フレキシブルコンテナバッグ1から切断片が分離することがなく、フレキシブルコンテナバッグ1を吊り上げるとともにさらに大きく底部を開き、確実且つ効果的に被処理物Sを落下させて取り出すことが可能になる。
【0055】
ここで、表1は、本実施形態の解袋装置Aを用い、被処理物Sの種類、ウォータージェットの噴出ノズル7、8の径、流量、進退速度、搬送速度、切り込み速度を変えて実際に解袋作業を行い、破袋状況や被処理物Sの取り出し状況を確認した結果を示している。
この結果から、本実施形態の解袋装置Aによって好適に破袋、被処理物Aの取り出しが行なえることが実証された。
【0057】
したがって、本実施形態の解袋装置Aにおいては、被処理物Sを収容したフレキシブルコンテナバッグ1が第1搬送手段2から第2搬送手段3に搬送され、第2搬送手段3で搬送されている間に、破袋手段5の噴出ノズル7、8から噴出したウォータージェットでフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに切り込みを入れることができる。
【0058】
これにより、第2搬送手段3から第3搬送手段4に搬送されたフレキシブルコンテナバッグ1を吊り上げるだけで、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bの切り込みが開き、被処理物Sを自動的に落下させて取り出すことが可能になる。
【0059】
また、破袋手段5としてウォータージェットを用いることで、従来のように刃物(切刃)を用いて切り込み、破袋する場合と比較し、刃物の破損、摩耗等が生じて部品交換を必要としたり、メンテナンスを高頻度で行う必要がなく、作業性を大幅に向上させ、好適にフレキシブルコンテナバッグ1を破袋することが可能になる。
【0060】
また、被処理物Sが例えば除染作業で発生した放射性物質を含む汚染物であっても、作業者がフレキシブルコンテナバッグ1を切り開き、人力で汚染物の被処理物Sを取り出すことを不要にすることができる。
【0061】
よって、本実施形態の解袋装置Aによれば、被処理物Sを収容したフレキシブルコンテナバッグ1を順次第1搬送手段2に供給するだけで、破袋して被処理物Sを取り出すことができ、大量のフレキシブルコンテナバッグ1を連続的に且つ短時間で効率的に処理することが可能になる。
例えば、放射性物質で汚染された土地の除染作業などによって大量に発生し、フレキシブルコンテナバッグ1に詰めた放射性物質を含む汚染物が被処理物Sであっても、短時間でフレキシブルコンテナバッグ1を解袋し、効率よく大量に処理することが可能になる。
【0062】
また、本実施形態の解袋装置Aにおいては、破袋手段5が複数の噴出ノズル7、8を備え、各噴出ノズル7、8が第2搬送手段3によるフレキシブルコンテナバッグ1の搬送方向に交差する方向に進退移動可能に設けられ、且つ、一の噴出ノズル7と他の噴出ノズル8が互いに逆方向に進退移動するように構成されていることにより、第2搬送手段3でフレキシブルコンテナバッグ1が搬送させている間に、複数の噴出ノズル7、8から噴出したウォータージェットによって交差した切り込みを入れることができる。
これにより、フレキシブルコンテナバッグ1を吊り上げるだけで確実に底部1bが大きく開き、被処理物Sを好適に落下させて自動的に取り出すことができる。
【0063】
さらに、本実施形態の解袋装置Aにおいては、破袋手段5が第2搬送手段3で移動されているフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bにX字状の切り込みを入れるように構成されていることで、ウォータージェットで破袋するとともに、フレキシブルコンテナバッグ1の切断片が分離することがなく、且つフレキシブルコンテナバッグ1を吊り上げるだけで確実に底部1bが大きく開き、被処理物Sを好適に落下させて自動的に取り出すことができる。
【0064】
次に、本実施形態の破袋手段の別の態様について
図4を用いて説明する。
図4の破袋手段51は、上述した破袋手段5でフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bにX字状の切り込みを入れるように構成したが、その後に、さらに位置が固定された噴出ノズル21を配置し、ウォータージェットによって進行方向(T1)に沿った方向にさらに切り込みを入れるように構成した。
このように切り込みをさらに細かく形成することにより、フレキシブルコンテナバッグ1の内容物(被処理物S)をより確実に排出させることができる。
なお、
図4においては、固定式の噴出ノズル21を3個設置したが、個数は特にこだわらない。また、噴出ノズル7、8と噴出ノズル21との配置の順序についても特にこだわらない。また、噴出ノズル21の進行方向前後に回転ローラー3aを配置してもよい。
【0065】
次に、本実施形態のウォータージェット装置の別の態様について
図5を用いて説明する。具体的には、噴出ノズル7、8から噴出される未使用の水(アイドリング用水)を効率的に回収する回収手段を設けたものである。
図5に示すように、回収手段30は、噴出ノズル7、8の初期位置に対向するように開口部が配された回収配管31、32を備えている。つまり、フレキシブルコンテナバッグ1が所定の位置に到達した段階で、ウォータージェットの起動が開始されるが、その際に噴出された水(アイドリング用水)は回収配管31、32内へ回収されるように構成されている。回収配管31、32で回収された水は高圧水供給装置6に設けられたタンクなどに導かれて回収される。また、回収配管31、32は、フレキシブルコンテナバッグ1が当接すると、軸線O1を中心に回動するように構成されている。つまり、フレキシブルコンテナバッグ1が噴出ノズル7、8の上方に達すると、回収配管31、32が噴出ノズル7、8の上方から回避することで、噴出された水をフレキシブルコンテナバッグ1の底部1bに当てて切り込みを入れることができる。なお、フレキシブルコンテナバッグ1が通過すると、回収配管31、32に設けられた付勢部材(不図示)により回収配管31、32は初期位置(噴出ノズル7、8に対向する位置)に戻るように構成されている。
このように構成することにより、ウォータージェットで使用する水量を低減することができる。なお、
図4で示した噴出ノズル21に回収手段30を設けてもよいことは言うまでもない。
【0066】
以上、本発明に係る解袋装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、本実施形態では、放射性物質で汚染された汚染物が被処理物Sであるものとし、この被処理物Sを収容する袋体がフレキシブルコンテナバッグであるものとして説明を行ったが、本発明は、被処理物Sを汚染物に限定する必要がなく、あらゆる物を被処理物とすることができる。また、本発明は、袋体においてもフレキシブルコンテナバッグ1に限定する必要がなく、あらゆる袋体を対象にすることができる。すなわち、本発明は、あらゆる被処理物、袋体に適用可能である。
【0068】
また、第3搬送手段4で搬送され、吊り下げ状態にして被処理物Sを底部1b側から落下させた後に、切り込みを入れた底部1bの残片部分に引っ掛かるなどして袋体1の内部に一部の被処理物Sが残ってしまうケースも考えられる。このため、
図3に示すように残留処理物排出手段13を設けて解袋装置Aを構成するようにしてもよい。すなわち、残留処理物排出手段13を備えることによって、袋体1の内部に一部の被処理物Sが残ってしまうような場合においても、袋体振動/揺動装置や衝撃付加装置、袋体絞り装置などの残留処理物排出手段13によって、袋体1を揺り動かしたり、袋体1に衝撃を与えたり、ローラーなどで袋体1を挟み込み残留処理物Sを絞り出すなどして、より確実に被処理物(残留被処理物)Sを袋体1から取り出すことが可能になる。残留処理物排出手段13の一例としては、
図6に示すように、フレキシブルコンテナバッグ1をハンガーレール35に吊り下げて搬送するように構成し、被処理物ストック場R2のエリアにおいて、ハンガーレール35に段差部36を形成し、被処理物Sの自重および段差部36の段差による落下エネルギーを利用して内容物(被処理物S)を確実に排出できるように構成すればよい。また、残留処理物排出手段13の別の事例としては、
図7に示すように、フレキシブルコンテナバッグ1をハンガーレール37に吊り下げて搬送し、被処理物ストック場R2で被処理物Sを落下させた後、フレキシブルコンテナバッグ1の進行方向(搬送方向)に交差する方向に沿って棒状の障害物38を設置する構成でもよい。このように棒状の障害物38を設置することにより、フレキシブルコンテナバッグ1に残留処理物Sがあった場合であっても、フレキシブルコンテナバッグ1が障害物に当接し、それを乗り越えた際に、フレキシブルコンテナバッグ1に大きな衝撃が加わるため、残留処理物Sを確実に排出することができる。
【0069】
また、ウォータージェットの噴出ノズルは、フレキシブルコンテナバッグ1を切削した際に発生する切り屑などにより詰まる虞がある。そのため、噴出ノズルは定期的なメンテナンスが必要となるが、ウォータージェットの噴出ノズルおよび駆動部をユニットとして一体化した構成を採用してもよい。また、ユニット化したものをスライドレールや車輪などでスライド移動できるように構成してもよい。このように構成することで、ユニットの交換を迅速に行うことができる。さらに、メンテナンスを容易にすることにより、噴出ノズルの詰まりを防止でき、常に必要な水量と水圧で噴射を継続することができる。結果として、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bを確実に切り欠くことができる。
【0070】
また、フレキシブルコンテナバッグ1の位置を検知するために、赤外線モニタや超音波距離計を配置してもよい。赤外線モニタや超音波距離計によりフレキシブルコンテナバッグ1が所定の位置に搬送されてきたと確認された段階で、ウォータージェットの噴出ノズル7、8、21から水を噴射するように構成し、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bの切欠きが完了した位置に搬送された段階で、噴出ノズル7、8、21からの水の噴射を停止するように構成すればよい。このように構成することにより、節水とコスト低減を図ることができる。
【0071】
また、フレキシブルコンテナバッグ1の底部1bの切開時に発生する余剰水を集水する集水設備(例えば、集水パン)を設けてもよい。集水された余剰水は浄化した後、再利用するように構成してもよい。なお、集水設備は、第1搬送手段2、第2搬送手段3、および第3搬送手段4のそれぞれの下部に設けてもよい。
また、破袋手段5およびその周辺を覆うようにカバー(テントなど)を設けてもよい。このようにカバーを設けることで、周囲への汚染水の飛散を防止することができるとともに、カバー内部で汚染水を集水する集水設備(例えば、集水パン)を設けることで汚染水を回収することができる。さらに、回収された汚染水は浄化した後、再利用してもよい。また、破袋手段5およびその周辺をカバーで覆った場合に、集塵装置や消臭装置を有する空気浄化装置を設けて、カバー内の空気を浄化した後に排気する設備を設けてもよい。
なお、カバーなどを設けない場合には、臭気発生源に吸込口を設け、局所ファンで吸込み、空気浄化装置を経由して排気するように構成してもよい。
また、被処理物Sが排出される被処理物ストック場R2では粉塵が飛散する虞があるため、被処理物ストック場R2を覆う粉塵飛散防止カバーを設けてもよい。または、粉塵飛散防止用のミスト噴霧装置を設けてもよい。
さらに、カバーは、解袋装置A全体を覆うように配置してもよいし、
図3で示すシステム全体を建屋やテントにて覆うように構成してもよい。
【0072】
また、必ずしも第1搬送手段2と第2搬送手段3と第3搬送手段4のそれぞれの搬送手段の搬送方向が同一の一方向T1でなくてもよい。さらに、第1搬送手段2と第2搬送手段3と第3搬送手段4のそれぞれの搬送手段の構成を本実施形態のように限定する必要もない。