(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送り部は、前記印刷処理の開始時において、前記印刷後送りの後に前記切断動作が行われている場合には、前記印刷前送りとして、前記離間寸法を超えない距離分、前記テープを逆送りすることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の課題を見出した。
従来の印字装置のようなテープ印刷装置は、印刷処理の終了後、テープの印刷済み部分を切り離すために、テープに印刷された画像の上流側端部が切断位置よりも下流側に位置するように、テープを正送りする印刷後送りを行う。この印刷後送りにおけるテープの正送り量は、印刷位置と切断位置との離間寸法よりも大きいものとなる。しかしながら、例えば、ユーザーが、先の印刷処理による画像に続けて次の印刷処理による画像が印刷されたテープを得たいような場合には、テープ印刷装置は、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われることなく、次の印刷処理を行うことになる。この場合、そのまま次の印刷処理を行うと、印刷後送りにおけるテープの正送り量に略等しい距離だけ、先の印刷処理による画像と次の印刷処理による画像との間に画像間隔が生じることになる。この画像間隔が大きい場合には、テープが無駄に消費されることになる。
【0005】
本発明は、先の印刷処理による画像と次の印刷処理による画像との間の画像間隔が小さくなるようにして、テープに画像を印刷することができるテープ印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、テープを正方向に送る正送りと、テープを逆方向に送る逆送りと、を行う送り部と、テープが正方向および逆方向に送られる送り経路と、送り経路における印刷位置で、テープに対して画像を印刷する印刷処理を行う印刷部と、送り経路において印刷位置よりも下流側となる切断位置で、テープを切断する切断動作を行う切断部と、を備え、送り部は、印刷処理の前にテープを送る印刷前送りと、印刷処理の後にテープを送る印刷後送りとを行い、印刷後送りとして、テープに印刷された画像の上流側端部が切断位置よりも下流側に位置するようにテープを正送りし、次の印刷処理の開始時において印刷後送りの後に切断動作が行われていない場合には、印刷前送りとして、テープを逆送りすることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、テープ印刷装置は、印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われていない場合には、印刷前送りとして、テープを逆送りする。これにより、先の印刷処理による画像と次の印刷処理による画像との間の画像間隔が、印刷後送りにおけるテープの正送り量から、印刷前送りにおけるテープの逆送り量を引いた値に略等しくなる。したがって、テープ印刷装置は、先の印刷処理による画像と次の印刷処理による画像との間の画像間隔が小さくなるようにして、テープに画像を印刷することができる。
【0008】
この場合、送り部は、印刷処理の開始時において、印刷後送りの後に切断動作が行われていない場合には、印刷前送りとして、印刷位置と切断位置との離間寸法を超える距離分、テープを逆送りすることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、テープ印刷装置は、印刷後送りとして、少なくとも、印刷位置と切断位置との離間寸法に等しい距離分、テープを正送りするが、次の印刷処理に先立つ印刷前送りにおいて、その離間寸法を超える距離分、テープを逆送りする。これにより、テープ印刷装置は、先の印刷処理による画像と次の印刷処理による画像との間の画像間隔が極力小さくなるようにして、テープに画像を印刷することができる。
【0010】
この場合、送り部は、印刷処理の開始時において、印刷後送りの後に切断動作が行われている場合には、印刷前送りとして、離間寸法を超えない距離分、テープを逆送りすることが好ましい。
【0011】
テープ印刷装置は、印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われている場合に、切断動作が行われていない場合と同様に離間寸法を超える距離分、テープを逆送りすると、印刷済み部分が切り離されたテープの下流側端部が、印刷位置よりも上流側に超えて送られることになってしまう。
これに対し、本構成によれば、テープ印刷装置は、印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われている場合には、印刷前送りとして、離間寸法を超えない距離分、テープを逆送りする。このため、テープの下流側端部が、印刷位置よりも上流側に超えて送られることなく、切断位置から印刷位置側に近づくことになる。これにより、テープ印刷装置は、テープの下流側端部の近くから、次の画像を印刷することができる。したがって、テープ印刷装置は、テープの下流側端部の余白が小さくなるようにして、テープに画像を印刷することができる。
【0012】
この場合、切断部が切断動作を行ったことを検出する検出部、をさらに備え、送り部は、検出部による検出結果に基づいて、テープの逆送り量を、離間寸法を超える距離と、離間寸法を超えない距離とで、切り替えることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、テープ印刷装置は、切断動作が行われたことを検出しない場合には、印刷後送りとして、離間寸法を超える距離分、テープを逆送りする。また、テープ印刷装置は、切断動作が行われたことを検出した場合には、印刷前送りとして、離間寸法を超えない距離分、テープを逆送りする。
【0014】
この場合、切断部に切断動作を行わせるための手動操作部、をさらに備えたことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、テープ印刷装置は、手動操作部がユーザーに操作されることにより、切断部が切断動作を行うため、テープを切断することができる。
【0016】
この場合、切断部に切断動作を行わせるカッター駆動部と、切断部に切断動作を行わせるか否かを設定する設定操作部と、をさらに備え、送り部は、設定操作部による設定結果に基づいて、テープの逆送り量を、離間寸法を超える距離と、離間寸法を超えない距離とで、切り替えることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、テープ印刷装置は、設定操作部がユーザーに操作され、切断動作を行わない設定にされた場合には、印刷処理の開始時において、離間寸法を超える距離分、テープを逆送りする。また、テープ印刷装置は、設定操作部がユーザーに操作され、切断動作を行う設定に操作された場合には、印刷処理の開始時において、離間寸法を超えない距離分、テープを逆送りする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について説明する。
【0020】
図1ないし
図3に示すように、テープ印刷装置1は、装置ケース2と、蓋体3と、プラテンローラー4と、印刷ヘッド5と、テープカッター6と、カッターボタン7とを備えている。
【0021】
装置ケース2は、テープ印刷装置1の外殻を形成している。装置ケース2の表側には、キーボード8と、ディスプレイ9とが設けられている。キーボード8は、ユーザーによる入力操作を受け付ける。キーボード8には、文字・記号を入力するための文字キー、カーソル移動や選択肢切替えのためのカーソルキー、選択肢決定のための選択キー、印刷実行のための印刷キー、後述するアイコン印刷メニューに設定するためのアイコンキーなどが設けられている。ディスプレイ9は、キーボード8による入力結果等を表示する。ユーザーは、ディスプレイ9に表示された入力結果を確認しながら、キーボード8から印刷したい文字、記号、アイコンなどを入力する。なお、アイコンとしては、例えば、会議、昼食、外出といった各種予定等を表した、複数種の絵または絵文字が用意されている。
【0022】
装置ケース2の裏側には、ロール装着部11と、電池収容部12と、送り経路13とが設けられている。さらに、装置ケース2の側面には、テープ排出口14が設けられている。
【0023】
ロール装着部11には、小巻のテープロールRが装着される。テープロールRは、軸心に所定の大きさの孔を形成するように、長尺のテープTをロール状に巻き締めて構成されている。テープTは、テープ本体と、剥離テープとを有する。テープ本体は、感熱紙で構成されている。なお、言うまでもないが、インクリボンを用いて印刷する構成であってもよい。テープTは、いわゆるマスキングテープであって、テープ本体表面の色や柄の異なる複数種のものが用意されている。なお、テープTの幅は、特に限定されるものではないが、例えば15mm程度である。
【0024】
送り経路13は、ロール装着部11とテープ排出口14との間に設けられている。ロール装着部11から繰り出されたテープTが、送り経路13を通って、テープ排出口14から装置外へと排出される。また、テープ印刷装置1は、送り経路13においてテープTを逆方向に送ることも可能である。なお、ロール装着部11からテープ排出口14に向かう方向を正方向といい、テープ排出口14からロール装着部11に向かう方向を逆方向という。
【0025】
蓋体3は、装置ケース2の裏側に設けられている。蓋体3は、ロール装着部11、電池収容部12および送り経路13を開閉する。ユーザーは、テープロールRの装着時や、電池の交換時等に、蓋体3を開閉する。
【0026】
プラテンローラー4は、送りモーター15(
図5(a)参照)を駆動源として、正逆回転する。プラテンローラー4は、印刷ヘッド5との間で挟持したテープTを正方向および逆方向に回転送りする。すなわち、プラテンローラー4は、送り経路13に沿ってテープTを正方向に送る正送りと、逆方向に送る逆送りとをすることができる。なお、以下の説明において、「上流」「下流」とは、正送りを基準としたものである。プラテンローラー4は、印刷ヘッド5が印刷処理を行う際に、テープTを正送りする印刷中送りを行うほか、後述するように、印刷処理の前にテープTを送る印刷前送りと、印刷処理の後にテープTを送る印刷後送りとを行う。
【0027】
印刷ヘッド5は、テープTに対して画像A(
図4参照)を印刷する印刷処理を行う。印刷ヘッド5は、プラテンローラー4に対して、送り経路13を挟んで対峙するように設けられている。印刷ヘッド5は、サーマルタイプのものである。印刷ヘッド5が発熱駆動することにより、正送りされるテープTに対して、画像Aが印刷される。画像Aは、ビットマップフォントとして表される。
なお、印刷ヘッド5は、「印刷部」の一例である。
【0028】
テープカッター6は、プラテンローラー4および印刷ヘッド5の下流側に設けられている。テープカッター6は、テープTを切断する切断動作を行う。テープ印刷装置1には、テープカッター6が切断動作を行ったことを検出するカットセンサー16(
図5(a)参照)が設けられている。カットセンサー16は、例えば、マイクロスイッチで構成される。カッターボタン7は、テープカッター6を、手動操作により、切断動作させるためのものである。
なお、テープカッター6は、「切断部」の一例である。カッターボタン7は、「手動操作部」の一例である。カットセンサー16は、「検出部」の一例である。
【0029】
なお、送り経路13において、印刷ヘッド5により印刷処理が為される位置を、印刷位置Ppといい、テープカッター6により切断動作が為される位置を、切断位置Pcという(
図10参照)。切断位置Pcは、印刷位置Ppよりも下流側に設けられている。また、印刷位置Ppと切断位置Pcとの離間寸法Dは、例えば10mm程度である。離間寸法Dの値は、後述するコントローラー20のメモリーに記憶されている。
【0030】
図4を参照して、テープ印刷装置1に用意されている印刷メニューの一つである、アイコン印刷メニューにより得られるテープTについて説明する。アイコン印刷メニューは、アイコンの画像Aを、1つずつ印刷するための印刷メニューである。テープTに印刷された画像Aは、例えば、パンチ等で円形にくり抜かれ(
図4(b)参照)、手帳等に貼られる(
図4(c)参照)。そのため、アイコン印刷メニューでは、ユーザーがパンチ等を用いて画像Aをくり抜く際に、指で摘まむための箇所として、画像Aの前後に、前余白Bfおよび後余白Bbが設けられたテープTが得られる(
図4(a)参照)。前余白Bfの長さを前余白長Lfといい、後余白Bbの長さを後余白長Lbという。
なお、
図4(a)に示した矩形の二点鎖線は、ビットマップフォントである画像Aの外形を示す仮想線である。
【0031】
図5(a)を参照して、テープ印刷装置1のハードウェア構成例について説明する。テープ印刷装置1は、上記の印刷ヘッド5、キーボード8、ディスプレイ9、送りモーター15およびカットセンサー16に加え、コントローラー20を備えている。
【0032】
コントローラー20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。コントローラー20のCPUは、ROMからプログラムをロードしてRAMを用いて実行し、テープ印刷装置1の全体の動作を制御する。
【0033】
図5(b)を参照して、テープ印刷装置1の機能構成例について説明する。
図5(b)に示す機能部のうちの少なくとも一部は、
図5(a)のコントローラー20により所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0034】
テープ印刷装置1は、判定部21と、フラグ設定部22と、前余白長設定部23と、モーター制御部24とを備えている。判定部21は、カットセンサー16からの出力に基づいて、テープカッター6が切断動作を行ったか否かを判定する。フラグ設定部22は、判定部21の判定結果に応じて、切断動作が行われたか否かを示すカットフラグを、「未カット」および「カット済み」のいずれかに設定する。前余白長設定部23は、カットフラグの状態に応じて、前余白長Lfの設定値である前余白長設定値を設定する。モーター制御部24は、前余白長設定部23により設定された前余白長設定値に応じて、印刷前送りを行う。
【0035】
図6を参照して、テープ印刷装置1が、アイコン印刷メニューにおいて実行する各ステップについて説明する。
テープ印刷装置1は、ユーザーによりアイコンキーが押されると、アイコン印刷メニューを開始する。テープ印刷装置1は、まず、アイコンの選択画面をディスプレイ9に表示する(S10)。続いて、テープ印刷装置1は、印刷キーが押されたか否かを判断する(S20)。テープ印刷装置1は、印刷キーが押されたと判断した場合(S20;Yes)、後述するカット監視処理を停止し(S30)、印刷データを作成する(S40)。このステップ40においては、前余白長設定部23が、後述する前余白長設定処理を行う。他方、テープ印刷装置1は、印刷キーが押されていないと判断した場合(S20;No)、ステップ20の処理を繰り返す。
【0036】
ステップ40の後、フラグ設定部22が、カットフラグを「未カット」に設定する(S50)。続いて、テープ印刷装置1は、カット監視処理を開始する(S60)。続いて、テープ印刷装置1は、印刷前送り(S70)、印刷処理(S80)、印刷後送り(S90)を順に行う。印刷後送りでは、プラテンローラー4は、テープTに印刷された画像Aの上流側端部が、切断位置Pcよりも下流側に位置するように、テープTを正送りする。この印刷後送りにおけるテープTの正送り量は、後余白長Lbの設定値である後余白長設定値と離間寸法Dとを足した値に相当する。印刷後送りが終わると、テープ印刷装置1は、ステップ10に戻り、ディスプレイ9にアイコンの選択画面を表示する。以下、上記のステップの処理を繰り返す。
【0037】
次に、カット監視処理について説明する。上述したように、カット監視処理は、フラグ設定部22がカットフラグを「未カット」に設定(S50)した後、次の印刷処理のために印刷キーが押される(S20;Yes)までの間、実行される。
【0038】
図7に示すように、カット監視処理が開始されると、まず、判定部21が、カットセンサー16からの出力に基づいて、切断動作が行われたか否かを判定する(S61)。判定部21が、切断動作が行われたと判定した場合には(S61;Yes)、フラグ設定部22が、カットフラグを「カット済み」に設定する(S62)。他方、判定部21が、切断動作が行われていないと判定した場合には(S61;No)、フラグ設定部22が、カットフラグを「未カット」の設定のままとする(S63)。テープ印刷装置1は、印刷キーが押されるまで、ステップ61からステップ62またはステップ63を繰り返し行う。
【0039】
次に、前余白長設定処理について説明する。
図8に示すように、前余白長設定部23は、カットフラグが「未カット」であるか否かを判定する(S41)。前余白長設定部23は、カットフラグが「未カット」である場合には(S41;Yes)、前余白長設定値を所定の未カット時設定値に設定する(S42)。他方、前余白長設定部23は、カットフラグが「カット済み」である場合には(S41;No)、前余白長設定値を所定のカット済時設定値に設定する(S43)。ここで、未カット時設定値は、任意の負の数である。カット済時設定値は、離間寸法Dよりも小さい任意の正の数である。なお、カット済時設定値は、前余白Bfが指で摘むのに十分な長さとなるように設定することが好ましい。上記の後余白長設定値についても同様である。
【0040】
次に、印刷前送りについて説明する。
図9に示すように、モーター制御部24は、前余白長設定値が離間寸法D以下であるか否かを判定する(S71)。モーター制御部24は、前余白長設定値が離間寸法D以下であると判断した場合は(S71;Yes)、テープTが逆送りされるように、送りモーター15を駆動する(S72)。この印刷前送りにおける逆送り量は、離間寸法Dから前余白長設定値を引いた値に相当する。他方、モーター制御部24は、前余白長設定値が離間寸法Dよりも大きいと判断した場合は(S71;No)、テープTが正送りされるように、送りモーター15を駆動する(S73)。この印刷前送りにおける正送り量は、前余白長設定値から離間寸法Dを引いた値に相当する。
【0041】
図6ないし
図9を参照しつつ、
図10を用いて、アイコン印刷メニューにおいて印刷処理を2回行い、2つの画像Aを印刷する場合について説明する。ここでは、2回目の印刷処理の開始時において、1回目の印刷後送りの後に切断動作が行われている場合と、行われていない場合とに分けて説明する。
【0042】
まず、切断動作が行われている場合について説明する。
図10(a1)は、1回目の印刷処理(S80)の後、印刷後送り(S90)が行われた状態を示している。この状態では、1回目の印刷処理による画像Aの上流側端部が、切断位置Pcよりも下流側に位置している。
【0043】
印刷後送り(S90)の後、ユーザーにより2回目の印刷処理のために印刷キーが押される(S20;Yes)までの間に、ユーザーによりカッターボタン7が操作されると、テープカッター6により切断動作が行われる。これにより、
図10(b1)に示すように、テープTが切断され、1回目の印刷処理による画像Aの前後に、前余白Bfおよび後余白Bbが設けられたテープTが得られる。このとき、カット監視処理において、判定部21により切断動作が行われたと判定され(S61;Yes)、フラグ設定部22が、カットフラグを「カット済み」に設定する(S62)。
【0044】
続いて、ユーザーにより2回目の印刷処理で印刷されるアイコンが選択され、印刷キーが押されると(S20;Yes)、テープ印刷装置1は、カット監視処理を停止し(S30)、印刷データを作成する(S40)。印刷データの作成処理において、前余白長設定部23は、カットフラグが「カット済み」に設定されているため(S41;No)、前余白長設定値をカット済時設定値に設定する(S43)。
【0045】
印刷データの作成が完了すると、フラグ設定部22が、カットフラグを「未カット」に設定する(S50)。続いて、テープ印刷装置1は、カット監視処理を開始する(S60)。
【0046】
続いて、テープ印刷装置1は、印刷前送りを行う(S70)。ここでは、前余白長設定値が、離間寸法Dより小さいカット済時設定値に設定されているため(71;Yes)、
図10(c1)に示すように、プラテンローラー4は、テープTを逆送りする(S72)。その逆送り量は、離間寸法Dからカット済時設定値を引いた値に相当する。したがって、テープ印刷装置1は、切断動作が行われたことをカットセンサー16が検出した場合には、印刷前送りとして、離間寸法Dを超えない距離分、テープTを逆送りする。
【0047】
続いて、
図10(d1)に示すように、テープ印刷装置1は、2回目の印刷処理を行い(S80)、選択された画像AをテープTに印刷する。続いて、
図10(e1)に示すように、テープ印刷装置1は、印刷後送りを行う(S90)。
【0048】
その後、ユーザーによりカッターボタン7が操作されると、テープカッター6により切断動作が行われる。これにより、
図10(f1)に示すように、テープTが切断され、2回目の印刷処理による画像Aの前後に、前余白Bfおよび後余白Bbが設けられたテープTが得られる。
【0049】
次に、切断動作が行われない場合について説明する。
上述したように、1回目の印刷処理の後、印刷後送りが行われた状態では、1回目の印刷処理による画像Aの上流側端部が、切断位置Pcよりも下流側に位置している(
図10(a2)参照)。印刷後送りの後、2回目の印刷処理のために印刷キーが押される(S20;Yes)までの間に、カッターボタン7が操作されないと、カット監視処理において、判定部21により切断動作が行われていないと判定される(S61;No)。この場合、フラグ設定部22が、カットフラグを「未カット」の設定のままとする(S63)。
【0050】
続いて、ユーザーにより2回目の印刷処理で印刷されるアイコンが選択され、印刷キーが押されると(S20;Yes)、テープ印刷装置1は、カット監視処理を停止し(S30)、印刷データを作成する(S40)。印刷データの作成処理において、前余白長設定部23は、カットフラグが「未カット」に設定されているため(S41;Yes)、前余白長設定値を未カット時設定値に設定する(S42)。
【0051】
印刷データの作成が完了すると、フラグ設定部22が、カットフラグを「未カット」に設定する(S50)。続いて、テープ印刷装置1は、カット監視処理を開始する(S60)。
【0052】
続いて、テープ印刷装置1は、印刷前送りを行う(S70)。ここでは、前余白長設定値が、離間寸法Dより小さい未カット時設定値に設定されているため(S71;Yes)、
図10(c2)に示すように、プラテンローラー4は、テープTを逆送りする(S72)。これにより、先の印刷処理により印刷された画像Aの上流側端部が、切断位置Pcよりも下流側の位置から、印刷位置Pp側に近づく。その逆送り量は、離間寸法Dから未カット時設定値を引いた値、つまり離間寸法Dと未カット時設定値の絶対値とを足した値に相当する。したがって、テープ印刷装置1は、切断動作が行われたことをカットセンサー16が検出しない場合には、印刷前送りとして、離間寸法Dを超える距離分、テープTを逆送りする。
【0053】
続いて、
図10(d2)に示すように、テープ印刷装置1は、2回目の印刷処理を行い(S80)、選択された画像AをテープTに印刷する。続いて、
図10(e2)に示すように、テープ印刷装置1は、印刷後送りを行う(S90)。
【0054】
その後、ユーザーによりカッターボタン7が操作されると、テープカッター6により切断動作が行われる。これにより、
図10(f2)に示すように、1回目の印刷処理による画像Aおよび2回目の印刷処理による画像Aの前後に、前余白Bfおよび後余白Bbが設けられたテープTが得られる。
【0055】
ここで、本実施形態とは異なり、2回目の印刷処理に先立つ印刷前送りにおいて、テープ印刷装置1が、テープTを逆送りすることなく、そのまま2回目の印刷処理を行ったとすると、
図10(g)に示すようなテープTが得られる。この場合、1回目の印刷処理による画像Aと2回目の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cは、印刷後送りにおけるテープTの正送り量に略等しい距離となる。この正送り量は、上述したように、後余白長設定値と離間寸法Dとを足した値に相当する。このため、この場合の画像間隔Cは、後余白長Lbよりも大きいものとなる。一方、1回目の印刷処理による画像Aと2回目の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cは、パンチでくり抜くために必要な間隔があれば足り、後余白長Lbほどの長さは必要ない。このため、1回目の印刷処理による画像Aと2回目の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cが、必要以上に大きくなってしまい、テープTが無駄に消費されてしまう。
【0056】
これに対し、本実施形態では、2回目の印刷処理に先立つ印刷前送りにおいて、プラテンローラー4がテープTを逆送りする。このため、1回目の印刷処理による画像Aと2回目の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cは、印刷後送りにおけるテープTの正送り量から、印刷前送りにおけるテープTの逆送り量を引いた値に略等しくなる。
【0057】
以上のように、本実施形態のテープ印刷装置1は、印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作を行っていない場合には、テープTを逆送りする。これにより、先の印刷処理による画像Aと次の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cが、印刷後送りにおけるテープTの正送り量から、印刷前送りにおけるテープTの逆送り量を引いた値に略等しくなる。したがって、テープ印刷装置1は、先の印刷処理による画像Aと次の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cが小さくなるようにして、テープTに画像Aを印刷することができ、テープTの無駄を省くことができる。
【0058】
本実施形態のテープ印刷装置1は、印刷後送りにおいて、離間寸法Dを超える距離分、テープTを正送りするが、次の印刷処理に先立つ印刷前送りにおいて、離間寸法Dを超える距離分、テープTを逆送りする。すなわち、テープ印刷装置1は、離間寸法Dと未カット時設定値の絶対値とを足した値に等しい距離分、テープTを逆送りする。これにより、テープ印刷装置1は、先の印刷処理による画像Aと次の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cが極力小さくなるようにして、テープTに画像Aを印刷することができる。
【0059】
本実施形態のテープ印刷装置1は、印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われている場合には、印刷前送りとして、離間寸法Dを超えない距離分、テープTを逆送りする。このため、テープTの下流側端部が、印刷位置Ppよりも上流側に超えて送られることなく、切断位置Pcから印刷位置Ppに近づくことになる。したがって、テープTの下流側端部が、プラテンローラー4と印刷ヘッド5との間から外れてしまうことを抑制することができる。そして、テープ印刷装置1は、テープTの下流側端部の近くから、次の画像Aを印刷することができる。したがって、テープ印刷装置1は、テープTの前余白Bfが小さくなるようにして、テープTに画像Aを印刷することができる。
【0060】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態は、以下のような形態に変更することができる。
【0061】
アイコン印刷メニューに限らず、通常のテキスト印刷メニューを含め、種々の印刷メニューに本発明を適用可能である。そのため、テープTに印刷される画像Aは、アイコンに限定されるものではなく、通常の文字や記号等であってもよい。また、1回の印刷処理で印刷される画像Aの数は、2個以上であってもよい。
【0062】
印刷前送りにおけるテープTの逆送り量は、離間寸法Dよりも小さくてもよく、印刷後送りにおけるテープTの正送り量(離間寸法Dと後余白長設定値とを足した値)よりも大きくてもよい。後者の場合には、先の印刷処理による画像Aと次の印刷処理による画像Aとが重なることになる。つまり、上述した、先の印刷処理による画像Aと次の印刷処理による画像Aとの間の画像間隔Cが小さくなるとは、両画像Aが重なる場合も含む概念である。
【0063】
図11および
図12を参照して、より具体的に説明する。
図11(a)は、1回目の印刷処理で「(」の画像Aを印刷し、印刷後送りを行った後、その正送り量よりも逆送り量が大きくなるようにして印刷前送りを行い、2回目の印刷処理で「4」の画像Aを印刷した状態を示している。これにより、「(」の画像Aと、「4」の画像Aとが重なって印刷される。したがって、1回の印刷処理で、「(4」を印刷した場合に得られる文字列(
図11(b)参照)に比べ、文字間が詰まった文字列を得ることができ、文字列の全体の長さを短くすることができる。
【0064】
図12は、1回目の印刷で、下流側から数えて奇数番目の画像Aを、ピッチを短くして印刷し、刷後送りを行った後、その正送り量よりも逆送り量が大きくなるようにして印刷前送りを行い、2回目の印刷処理で、偶数番目の画像Aを印刷した状態を示している。これにより、隣り合う画像A同士が重なって印刷される。この場合も、1回の印刷処理で、「123456」を印刷した場合に得られる文字列(
図12(b)参照)に比べ、文字間が詰まった文字列を得ることができ、また、文字列の全体の長さを短くすることができる。さらに、1番目の画像Aから順に1つずつ印刷する場合に比べ、奇数番目の画像Aと偶数番目の画像Aとの2つに分けて印刷することで、テープTの正送りと逆送りとを繰り返す必要もない。
【0065】
また、テープカッター6に切断動作を行わせるモーター等のカッター駆動部を備え、テープカッター6に切断動作を行わせるか否かをキーボード8から設定操作可能としてもよい。この場合、前余白長設定値の設定を、上記のようにカットセンサー16の検出結果に基づいて行ってもよく、切断動作を行わせるか否かの設定結果に基づいて行ってもよい。
【0066】
印刷処理の開始時において、先の印刷処理に続く印刷後送りの後に切断動作が行われている場合、印刷前送りとしてテープTを逆送りすることなく印刷処理を開始してもよい。この場合も、テープ印刷装置1は、印刷処理の途中で切断動作を行い、画像Aの下流側を切り離すことにより、テープTの前余白Bfが小さくなるようにして、テープTに画像を印刷することができる。