特許第6408295号(P6408295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408295
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】バッテリ装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20181004BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20181004BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20181004BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G01R31/36 A
   H01M2/10 E
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
   H02J7/00 Y
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-164856(P2014-164856)
(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-40543(P2016-40543A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 将史
(72)【発明者】
【氏名】梅村 卓也
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−519978(JP,A)
【文献】 特許第5084394(JP,B2)
【文献】 特開2007−078661(JP,A)
【文献】 特開2010−086746(JP,A)
【文献】 特開2011−040346(JP,A)
【文献】 特開2011−041436(JP,A)
【文献】 特開2013−072862(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0077815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H01M 2/10
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能なバッテリと、
前記バッテリの満充電容量を算出する満充電容量算出部と、
前記満充電容量算出部にて算出された満充電容量の中から最大値を検出し、記憶媒体に記憶する最大値検出部と、
前記満充電容量算出部にて算出された現在の満充電容量と、前記記憶媒体に記憶された満充電容量の最大値とに基づき、前記バッテリの劣化度を算出する劣化度算出部と、
を備え、
前記満充電容量算出部は、前記バッテリへの充電終了後又は放電終了後、電流が流れない状態が所定時間経過したときに、前記満充電容量を算出することを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
前記最大値検出部は、前記満充電容量算出部にて前記バッテリの満充電容量が算出されたときに、該算出された満充電容量が前記記憶媒体に記憶されている最大値よりも大きいか否かを判断して、該算出された満充電容量が前記記憶媒体に記憶されている最大値よりも大きい場合に、該算出された満充電容量にて、前記記憶媒体に記憶された最大値を更新することを特徴とする請求項1に記載のバッテリ装置。
【請求項3】
前記最大値検出部は、前記満充電容量算出部にて前記バッテリの満充電容量が算出されるまでは、前記バッテリの満充電容量の最小値として予め設定された初期値を、前記満充電容量の最大値として前記記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッテリ装置。
【請求項4】
前記劣化度算出部は、前記満充電容量算出部にて算出された現在の満充電容量と、前記記憶媒体に記憶された満充電容量の最大値とに基づき、該最大値を基準とする現在の満充電容量の比率を前記バッテリの劣化度として算出するよう構成されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のバッテリ装置。
【請求項5】
前記劣化度算出部は、前記劣化度を算出すると、該算出した劣化度を前記記憶媒体に記憶すると共に、該記憶媒体に記憶されている前回の劣化度を前回値として前記記憶媒体に残すことを特徴とする請求項4に記載のバッテリ装置。
【請求項6】
前記記憶媒体に記憶された前記バッテリの劣化度が予め設定された閾値以下であるとき、前記バッテリへの充電及び前記バッテリからの放電の少なくとも一方を禁止するバッテリ制御部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のバッテリ装置。
【請求項7】
前記バッテリ制御部は、前記バッテリの劣化度が前記閾値よりも大きい場合、該劣化度に応じて、前記バッテリへの充電及び前記バッテリからの放電の少なくとも一方を制限することを特徴とする請求項6に記載のバッテリ装置。
【請求項8】
前記記憶媒体に記憶された前記バッテリの劣化度が、該劣化度の前回値に比べ、所定値以上増加している場合に、前記バッテリの異常を判定して、前記バッテリへの充電及び放電を禁止する充放電禁止部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のバッテリ装置。
【請求項9】
前記劣化度算出部は、前記バッテリの劣化度を表示部に表示することを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載のバッテリ装置。
【請求項10】
前記バッテリに流れる電流に基づき前記バッテリの残容量を検出する残容量検出部と、
前記残容量検出部にて検出された前記バッテリの残容量と、前記記憶媒体に記憶された前記満充電容量の最大値とに基づき、前記満充電容量の最大値を基準とする前記残容量の比率を求め、該比率を表示部に表示する残容量表示制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載のバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能なバッテリを備えたバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバッテリ装置においては、バッテリの満充電容量を検出し、その検出値と、満充電容量の初期値との比(=検出値/初期値)を、バッテリの劣化度として求めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5084394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記提案のバッテリ装置では、バッテリの劣化度を求める際、満充電容量の初期値として、予め設定された固定値を利用するため、バッテリの劣化度を正確に求めることができないという問題があった。
【0005】
つまり、満充電容量の初期値は、劣化していないバッテリの満充電容量を表す値であるが、この初期値は、バッテリを構成するセルの容量のばらつきやセルの製造ロットのばらつき等によって、バッテリ毎に異なることから、上記提案の装置では、バッテリの劣化度を正確に求めることができない。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、バッテリが劣化していないときのバッテリの満充電容量を、セルのばらつきの影響を受けることなく、バッテリ毎に設定することのできるバッテリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバッテリ装置においては、満充電容量算出部が、バッテリの満充電容量を算出し、最大値検出部が、満充電容量算出部にて算出された満充電容量の中から最大値を検出し、記憶媒体に記憶する。
【0008】
このため、本発明のバッテリ装置によれば、記憶媒体に記憶された満充電容量の最大値を、バッテリが劣化していないときの満充電容量の初期値として利用することで、上記特許文献1に記載のようなバッテリ制御を行うことができる。
【0009】
また、バッテリが劣化していないときの満充電容量は、バッテリのばらつきによりバッテリ毎に異なるだけでなく、バッテリの出荷後の使用時に上昇することがあるが、本発明によれば、その上昇に応じて満充電容量の初期値(最大値)を更新することができる。
【0010】
よって、本発明のバッテリ装置によれば、バッテリが劣化していないときのバッテリの満充電容量を正確に設定することができる。
なお、バッテリの満充電容量が、バッテリの出荷後の使用時に上昇するのは、バッテリを構成するセルが、使用時の充放電によって活性化するためであると考えられる。
【0011】
ここで、最大値検出部は、バッテリの劣化度の算出等のために満充電容量の最大値を利用する際に、満充電容量算出部にて算出された複数の満充電容量の中から最大値を選択するようにしてもよいが、次のようにしてもよい。
【0012】
つまり、最大値検出部は、満充電容量算出部にてバッテリの満充電容量が算出されたときに、その算出された満充電容量が記憶媒体に記憶されている最大値よりも大きいか否かを判断する。
【0013】
そして、その算出された満充電容量が記憶媒体に記憶されている最大値よりも大きい場合に、記憶媒体に記憶された最大値を、満充電容量算出部にて今回算出された満充電容量に書き換える。
【0014】
このようにすれば、記憶媒体に記憶される満充電容量を常に最新の最大値に設定することができ、その最大値を使用する制御を、速やかに実行することが可能となる。
一方、満充電容量算出部は、バッテリへの充電終了後又は放電終了後、電流が流れない状態が所定時間経過したときに、満充電容量を算出するようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、充電電流若しくは放電電流によってバッテリ電圧が変動していない条件下で、バッテリ電圧を測定して、満充電容量を算出することができるので、満充電容量の算出、延いては、最大値の検出を、より正確に行うことが可能となる。
【0016】
また、最大値検出部は、満充電容量算出部にてバッテリの満充電容量が算出されるまでは、バッテリの満充電容量の最小値として予め設定された初期値を、満充電容量の最大値として記憶媒体に記憶するようにするとよい。
【0017】
このようにすれば、満充電容量算出部にてバッテリの満充電容量が算出されるまでの初期状態では、実際の満充電容量よりも低めの満充電容量を最大値とすることが可能となり、その後満充電容量算出部にて実際に算出された満充電容量を、最大値として設定することができる。
【0018】
次に、バッテリ装置には、満充電容量算出部にて算出された現在の満充電容量と、記憶媒体に記憶された満充電容量の最大値とに基づき、その最大値を基準とする現在の満充電容量の比率を劣化度として算出する、劣化度算出部を設けるとよい。
【0019】
つまり、このようにすれば、劣化度算出部にてバッテリの劣化度を算出することができるようになり、その算出した劣化度に基づき、バッテリへの充・放電をより適切に行うことが可能となる。
【0020】
なお、劣化度算出部は、満充電容量の最大値を基準として、バッテリの劣化度を算出するため、劣化度は、『劣化度=現在の満充電容量/満充電容量の最大値』として記述でき、バッテリの満充電容量が最大値から低下するほど、小さい値となる。
【0021】
また、劣化度算出部は、算出した劣化度を記憶媒体に記憶する際、前回算出した劣化度を前回値として記憶媒体に記憶するようにしてもよい。
また、劣化度算出部は、劣化度を算出すると、その算出した劣化度を記憶媒体に記憶すると共に、記憶媒体に記憶されている前回の劣化度を前回値として記憶媒体に残すようにするとよい。
【0022】
このようにすれば、記憶媒体に記憶されたバッテリの劣化度とその前回値とから、バッテリの劣化度の変化状態を監視することができる。そして、劣化度の変化に異常があるときには、バッテリ自体に異常があると判断して、バッテリへの充・放電を禁止することができる。
【0023】
次に、上記のように劣化度算出部を設けた場合、バッテリ装置には、更に、記憶媒体に記憶されたバッテリの劣化度が予め設定された閾値以下であるとき、バッテリへの充電及びバッテリからの放電の少なくとも一方を禁止するバッテリ制御部を設けるとよい。
【0024】
このようにすれば、バッテリの劣化度が閾値以下であるときに、バッテリへの充電若しくは放電を禁止することで、バッテリが更に劣化するのを防止できる。
また、この場合、バッテリ制御部は、バッテリの劣化度が閾値よりも大きいときには、その劣化度に応じて、バッテリへの充電及びバッテリからの放電の少なくとも一方を制限するようにしてもよい。
【0025】
つまり、このようにすれば、バッテリ充電時の充電電流や充電電圧、或いは、バッテリ放電時の放電電流の上限値や過放電判定用の電圧値を、バッテリの劣化度に応じて設定することができるようになり、バッテリの寿命を延ばすことが可能となる。
【0026】
また、劣化度算出部を、今回算出した劣化度と前回算出した劣化度とを記憶媒体に記憶するように構成した場合には、記憶媒体に記憶されたバッテリの劣化度が前回値に比べ所定値以上増加している場合に、バッテリへの充電及び放電を禁止する、充放電禁止部を設けるようにしてもよい。
【0027】
つまり、バッテリの劣化度が前回値に比べて所定値以上増加しているときには、バッテリが、劣化していない新しいもの(非正規品)に交換された可能性がある。
そこで、充放電禁止部を設けて、バッテリが非正規品に交換されたことを検出できるようにし、バッテリが非正規品に交換された場合には、バッテリが異常であると判定して、バッテリへの充電及び放電を禁止するのである。
【0028】
このようにすれば、バッテリが非正規品に交換されることにより生じる充放電時の事故を未然に防止し、バッテリ装置の安全性を確保することができる。
なお、劣化度算出部は、バッテリの劣化度を算出した際、その算出結果を表示部に表示するようにしてもよい。そして、このようにすれば、使用者は、バッテリの劣化度を視認し、その劣化度に応じてスペアバッテリを準備する、といった対策を行うことができる。また、その対策により、バッテリ装置から電力供給を受ける機器の動作(例えば電動工具による作業)を中断する時間を短くして、作業効率を高めることができる。
【0029】
一方、本発明のバッテリ装置には、バッテリに流れる電流に基づきバッテリの残容量を検出する残容量検出部と、残容量表示制御部を設けるようにしてもよい。
そして、残容量表示制御部は、残容量検出部にて検出されたバッテリの残容量と、記憶媒体に記憶された満充電容量の最大値とに基づき、満充電容量の最大値を基準とする残容量の比率を求め、その比率を、所謂絶対容量として、表示部に表示するように構成する。
【0030】
このようにすれば、最も多くの作業が可能だった当時の満充電容量(つまり満充電容量の最大値)を100%として、現状のバッテリの残容量を表示することができる。
このため、使用者は、バッテリ装置を用いて作業可能な時間(例えば、電動工具により締め付け可能なネジの本数等)を容易に推測することができるようになり、バッテリ装置の使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態のバッテリ装置の外観を表す斜視図である。
図2】実施形態のバッテリ装置の回路構成を表すブロック図である。
図3】バッテリ装置に対する充電を行う充電器の回路構成を表すブロック図である。
図4】バッテリ装置から電力供給を受ける電動工具の回路構成を表すブロック図である。
図5】バッテリ装置内の制御回路にて実行されるメインルーチンを表すフローチャートである。
図6図5のS120にて実行される学習処理を表すフローチャートである。
図7図5のS130にて実行される残容量表示処理を表すフローチャートである。
図8図5のS150にて実行される充電制御処理を表すフローチャートである。
図9図5のS170にて実行される放電制御処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1に示すように、本実施形態のバッテリパック2は、充電器40(図3参照)や電動工具60(図4参照)に装着するための装着部4が形成されたケース6内に、充放電可能なバッテリ10(例えばリチウムイオン電池、図2参照)を収納したバッテリ装置である。
【0033】
バッテリパック2の装着部4には、バッテリ10に対し充放電を行うための正負一対の電源端子11、12、及び、充電器40や電動工具60との間で信号を入出力するための複数の端子が形成された端子部13が設けられている。
【0034】
また、端子部13には、充電器40との間で通信を行うための通信端子14、充電器40から電源電圧Vcc(例えば直流5V)を取り込むための入力端子15、及び、電動工具60から動作状態を表す信号を取り込むための入力端子16が設けられている(図2参照)。
【0035】
次に、バッテリ10は、図2に示すように、充放電可能な複数のセルを直列に接続することにより構成されており、その正極側は電源端子11に接続され、負極側は電源端子12に接続されている。
【0036】
また、バッテリパック2内には、バッテリ10の両端電圧(バッテリ電圧)や各セルの電圧を監視する監視回路(IC)20、及び、バッテリ10のセルの温度を検出する温度検出回路22が設けられている。
【0037】
なお、バッテリ10の負極側と電源端子12との間の電流経路には、例えば抵抗にて構成される電流検出素子24が設けられており、監視回路20は、その両端電圧を取り込むことで、バッテリ10への充電時及び放電時に流れるバッテリ電流を監視する。
【0038】
そして、監視回路20による監視結果(バッテリ電圧、バッテリ電流等)、及び、温度検出回路22による検出結果(バッテリ温度)は、バッテリ制御回路30に入力され、バッテリ制御回路30がバッテリ10への充放電を制御するのに利用される。
【0039】
バッテリ制御回路30は、CPU、ROM、RAM等を中心とするワンチップのマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されており、本発明の記憶媒体として不揮発性メモリ32を備える。
【0040】
また、バッテリパック2には、LEDの点灯状態を制御することによりバッテリ10の残容量を表示する残容量LED制御回路26、及び、充電器40から入力端子15に入力される電源電圧Vccを検出するためのVcc検出回路28が設けられている。
【0041】
この残容量LED制御回路26及びVcc検出回路28は、バッテリ制御回路30に接続されており、バッテリ制御回路30は、これら各回路を介して、バッテリ10の残容量を表示すると共に、バッテリパック2が充電器40に装着されたことを検出する。
【0042】
次に、充電器40及び電動工具60には、バッテリパック2の装着部4を嵌合可能な装着部(図示せず)が設けられている。
そして、図3に示すように、充電器40の装着部には、バッテリパック2が装着された際に、バッテリパック2の電源端子11、12、通信端子14及び入力端子15にそれぞれ接続される、電源端子41、42、通信端子44及び出力端子45が設けられている。
【0043】
また、充電器40には、外部電源(商用電源等)から交流電力を受けてバッテリ10を充電するのに必要な充電電圧を生成し、電源端子41、42へ出力する電源回路52と、電源回路52からの出力電力を制御する充電制御回路50と、が備えられている。
【0044】
充電制御回路50は、バッテリ制御回路30と同様、マイコンにて構成されている。そして、充電制御回路50は、バッテリパック2が充電器40に装着されているときに、通信端子44、14を介して接続されるバッテリ制御回路30との間で通信を行うことで、バッテリ10への充電を制御する。
【0045】
また、電源回路52は、バッテリ10への充電電圧を生成するだけではなく、充電制御回路50を動作させるための電源電圧Vcc(例えば直流5V)を生成する。そして、電源回路52にて生成された電源電圧Vccは、出力端子45からバッテリパック2の入力端子15へ出力される。
【0046】
このため、バッテリパック2側では、Vcc検出回路28が、入力端子15に所定の直流電圧(例えば直流5V)が印加されたことを検出することにより、バッテリパック2が充電器40に接続されたことを検知できる。
【0047】
一方、図4に示すように、電動工具60の装着部には、バッテリパック2が装着された際に、バッテリパック2の電源端子11、12及び入力端子16にそれぞれ接続される、電源端子61、62及び出力端子66が設けられている。
【0048】
また、電動工具60には、動力源として、電源端子61、62を介してバッテリパック2内のバッテリ10から供給される電流により回転するモータ70が備えられている。
そして、電源端子61からモータ70に至る通電経路には、使用者により操作されて当該通電経路を導通・遮断させるトリガスイッチ72が設けられ、モータ70から電源端子62に至る通電経路には、モータ電流を制御するためのスイッチング素子74が設けられている。
【0049】
スイッチング素子74は、ドライブ回路78を介してデューティ駆動されることによりモータ電流を制御するためのものであり、ドライブ回路78は、トリガスイッチ72を介してバッテリ電圧を受ける電源回路76から電源供給を受けて、モータ電流を制御する。
【0050】
また、電源回路76からドライブ回路78への信号経路は、出力端子66に接続されている。このため、バッテリパック2の入力端子16には、トリガスイッチ72が操作されているときに電源回路76からの電源電圧が入力され、バッテリ制御回路30は、その電圧信号により、電動工具60側でのトリガスイッチ72の操作(換言すれば電動工具60の動作)を検知できる。
【0051】
また、バッテリ制御回路30は、例えば、入力端子16を接地することで、電源回路76からドライブ回路78への電源供給、延いては、ドライブ回路78によるモータ70の駆動、を停止させることができる。
【0052】
次に、バッテリ制御回路30の動作を、図5図9に示すフローチャートに沿って説明する。
バッテリ制御回路30は、バッテリ電圧(バッテリ電圧低下時には充電器40から入力端子15に入力される電源電圧Vcc)を受けて動作し、動作時には、図5に示す手順でバッテリ制御のための処理を繰り返し実行する。
【0053】
図5に示すように、バッテリ制御回路30は、S110(Sはステップを表す)にて、監視回路20にて監視されるバッテリ電流(充電電流及び放電電流)が一定時間以上流れていないか否かを判断する。
【0054】
そして、バッテリ電流が一定時間以上流れていなければ、バッテリ電圧は安定していると判断して、S120に移行し、バッテリ10の満充電容量を学習する学習処理を実行する。
【0055】
また、S120の学習処理を実行するか、或いは、S110にて一定時間内にバッテリ電流が流れたと判断された場合には、S130に移行し、残容量LED制御回路26を介してバッテリ10の残容量を表示する残容量表示処理を実行し、S140に移行する。
【0056】
S140では、Vcc検出回路28にて、充電器40から入力端子15に入力される電源電圧Vccが検出されているか否かを判断することにより、バッテリパック2が充電器40に装着されているか否かを判断する。
【0057】
そして、S140にて、バッテリパック2が充電器40に装着されていると判断されると、S150に移行して、充電器40からバッテリ10への充電を制御する充電制御処理を実行する。
【0058】
次に、S150による充電制御処理が完了するか、或いは、S140にて、バッテリパック2は充電器40に装着されていないと判断された場合には、S160に移行する。
S160では、入力端子16の端子電圧から、現在バッテリパック2が電動工具60に装着されていて、電動工具60のトリガスイッチ72が使用者により操作されているか否かを判断する。
【0059】
そして、S160にて、電動工具60のトリガスイッチ72が操作されていると判断されると、S170に移行して、バッテリ10から電動工具(詳しくはモータ70)への放電を制御する放電制御処理を実行する。
【0060】
また、S170による放電制御処理が完了するか、或いは、S160にて、バッテリパック2は電動工具60に装着されていない、若しくは、電動工具60のトリガスイッチ72は操作されていない、と判断された場合には、S110に戻り、上述の処理を再度実行する。
【0061】
次に、S120にて実行される学習処理は、バッテリ電流の積算値及びバッテリ電圧からバッテリ10の満充電容量を学習し、その学習値FCCに基づき、満充電容量の生涯最大値FCC_MAXの更新、及び、バッテリ10の劣化度CDIの算出、を行うための処理である。
【0062】
図6に示すように、この学習処理では、S210にて、バッテリパック2の出荷後、当該学習処理にてバッテリ10の満充電容量が学習されて、その学習値FCCが不揮発性メモリ32に記憶されているか否かを判断する。
【0063】
そして、不揮発性メモリ32に学習値FCCが記憶されていなければ、S220に移行して、満充電容量の学習値FCC及びその最大値FCC_MAXとして、予め設定された初期値FCC_INITを設定する。
【0064】
なお、この初期値FCC_INITには、バッテリ10のばらつきを考慮して、そのばらつきの許容範囲内で最小となる満充電容量(つまり最小値)が予め設定されている。
次に、S220にて、満充電容量の学習値FCC及び最大値FCC_MAXが初期設定されるか、或いは、S210にて、学習値FCCは不揮発性メモリ32に記憶されていると判断された場合には、S230に移行する。
【0065】
S230では、バッテリ10の満充電容量を算出し、その算出結果を、満充電容量の学習値FCCとして、不揮発性メモリ32に記憶する。
なお、満充電容量は、例えば、バッテリ10への充電電流若しくはバッテリ10からの放電電流を逐次積算して、その積算値とバッテリ電圧の変化量とから算出することができるが、この算出方法については、従来から各種方法が知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0066】
次に、S240では、S230にて算出した満充電容量の学習値FCCは、現在設定されている最大値FCC_MAXよりも大きいか否かを判断する。
そして、今回算出した学習値FCCが最大値FCC_MAXよりも大きい場合には、S250にて、不揮発性メモリ32に記憶されている最大値FCC_MAXを、今回算出した学習値FCCに書き換えることで、最大値FCC_MAXを更新し、S260に移行する。
【0067】
また、S240にて、今回算出した学習値FCCは、現在設定されている最大値FCC_MAX以下であると判断された場合には、そのままS260に移行する。
S260では、不揮発性メモリ32に記憶されている劣化度CDI(初期値:1)を、劣化度の前回値CDI_BFRとして、不揮発性メモリ32に記憶する。
【0068】
そして、続くS270では、不揮発性メモリ32に記憶されている満充電容量の学習値FCCとその最大値FCC_MAXとに基づき、次式(1)を用いて、バッテリ10の現在の劣化度CDIを算出する。
【0069】
CDI=FCC/FCC_MAX … (1)
つまり、S270では、最大値FCC_MAXを基準として、現在の満充電容量(学習値FCC)の最大値FCC_MAXに対する比率を求め、これをバッテリ10の劣化度とする。
【0070】
そして、S270では、その算出した劣化度CDIを、不揮発性メモリ32に記憶することで、不揮発性メモリ32内の劣化度CDIを更新し、当該学習処理を一旦終了する。
なお、劣化度CDIは、現在の満充電容量(学習値FCC)の最大値FCC_MAXに対する比率であるため、「1」以下の値となる。
【0071】
次に、図5のS130にて実行される残容量表示処理について説明する。
図7に示すように、残容量表示処理では、まずS310にて、監視回路20から、電流検出素子24を介して得られる電流測定値CURR(充放電時に流れるバッテリ電流)を取り込み、電流積算カウンタを更新することで、バッテリ10の残容量RCを算出する。
【0072】
S310の処理は、バッテリ10の満充電時に現在の満充電容量(学習値FCC)に対応したカウント値となる電流積算カウンタを用いて、バッテリ10の残容量RCを計測するための処理である。
【0073】
つまり、S310では、放電時には、電流測定値CURRに対応した減算値にて電流積算カウンタを減算し、充電時には、電流測定値CURRに対応した加算値にて電流積算カウンタを加算することで、バッテリ10の残容量RCを算出する。
【0074】
次に、S320では、例えば、バッテリパック2に設けられた操作スイッチ(図示せず)等を介して、残容量RCの表示要求が設定されているか否かを判断する。
そして、残容量RCの表示要求が設定されていなければ、そのまま残容量表示処理を終了し、残容量RCの表示要求が設定されていれば、S330に移行して、残容量RCの表示形態として、絶対容量表示が設定されているか否かを判断する。
【0075】
ここで、絶対容量表示とは、バッテリ10の満充電容量の最大値FCC_MAXを基準として、現在の残容量RCの比率を表示することである。
このため、S330にて、絶対容量表示が設定されていると判断されると、S340に移行して、絶対容量表示を行うための表示値SOCを、次式(2)を用いて算出する。
【0076】
SOC=RC/FCC_MAX*100 … (2)
一方、S330にて、残容量RCの表示形態として絶対容量表示は設定されていないと判断されると、バッテリ10の現在の満充電容量(学習値FCC)を基準とする残容量表示(相対容量表示)を行うために、次式(3)を用いて表示値SOCを算出する。
【0077】
SOC=RC/FCC*100 … (3)
そして、S340又はS350にて、残容量表示のための表示値SOCが算出されると、S360に移行し、その表示値SOCに応じて、残容量LED制御回路26を介して、残容量LEDを数秒間点灯させ、当該残容量表示処理を終了する。
【0078】
なお、S360での残容量表示は、例えば、残容量表示用として用意されている複数のLEDの点灯個数を、表示値SOCに応じて変更することで実施される。
つまり、例えば、表示値SOCが50%以上であれば、複数のLEDの全てを点灯させ、表示値SOCが20%未満であれば、LEDを1個だけ点灯させる、というように、LEDの点灯個数を変更することで、バッテリ10の残容量を表示する。
【0079】
次に、図5のS150にて実行される充電制御処理について説明する。
図8に示すように、充電制御処理では、まずS410にて、不揮発性メモリ32からバッテリ10の劣化度CDIを読み出し、その値が予め設定された閾値α1(例えば、0.3)よりも小さいか否かを判断する。
【0080】
そして、劣化度CDIが閾値α1よりも小さい場合には、バッテリ10が著しく劣化しているので、S470に移行し、バッテリ10への充電を禁止して、当該充電制御処理を終了する。
【0081】
一方、S410にて、劣化度CDIが閾値α1以上であると判断された場合には、S420に移行する。
S420では、不揮発性メモリ32からバッテリ10の劣化度CDIとその前回値CDI_BFRとを読み出し、その差「CDI−CDI_BFR」が、予め設定された閾値α2(例えば、0.3)よりも大きいか否かを判断する。
【0082】
そして、差「CDI−CDI_BFR」が閾値α2よりも大きく、バッテリ10の劣化が大きく改善している場合には、バッテリ10が意図しない状態となっていて、充電を実施すると危険である可能性があるので、S470に移行し、充電を禁止する。
【0083】
つまり、バッテリ10の劣化度CDIが大きく改善している場合は、使用者がバッテリ10若しくはバッテリ10を構成するセルの一部を交換したことが考えられる。この場合、バッテリ10に対する充・放電を継続して実施すると、バッテリ10が過熱して危険な状態になる虞がある。そこで、S420にて、バッテリ10の劣化度CDIが大きく改善していると判断した場合には、S470に移行し、バッテリ10への充電を禁止するのである。
【0084】
次に、S420にて、バッテリ10の劣化度CDIと前回値CDI_BFRとの差「CDI−CDI_BFR」は、閾値α2以下であると判断されると、S430〜S450に移行し、バッテリ10の劣化度CDIに基づき充電制御パラメータを設定する。
【0085】
つまり、S430〜S450では、バッテリ10の充電制御パラメータとして、CC−CV充電を行うための充電電圧、充電電流、カットオフ電流を、劣化度CDIに応じて設定する。
【0086】
具体的には、S430では、充電電圧の設定値CVSETを、設定可能最大値CVMAXと、劣化度CDIと、補正係数Xとに基づき、次式(4)を用いて算出する。
CVSET=CVMAX−(1−CDI)*X … (4)
また、S440では、充電電流の設定値CCSETを、設定可能最大値CCMAXと、劣化度CDIと、補正係数Yとに基づき、次式(5)を用いて算出する。
【0087】
CCSET=CCMAX−(1−CDI)*Y … (5)
また、S450では、カットオフ電流の設定値CUTSETを、基準値CUTSTDと、劣化度CDIと、補正係数Zとに基づき、次式(6)を用いて算出する。
【0088】
CUTSET=CUTSTD+(1−CDI)*Z … (6)
このようにS430〜S450にて、充電制御パラメータを設定すると、S460に移行する。そして、S460では、充電器40の充電制御回路50に対し制御信号を出力することで、上記各充電制御パラメータに基づきバッテリ10への充電を実施させる、充電出力制御を実行し、当該充電制御処理を終了する。
【0089】
次に、図5のS170にて実行される放電制御処理について説明する。
図9に示すように、放電制御処理では、まずS510にて、不揮発性メモリ32からバッテリ10の劣化度CDIを読み出し、その値が予め設定された閾値β1(例えば、0.3)よりも小さいか否かを判断する。
【0090】
そして、劣化度CDIが閾値β1よりも小さい場合には、バッテリ10が著しく劣化しているので、S570に移行し、バッテリ10から電動工具60への放電を禁止して、当該放電制御処理を終了する。
【0091】
一方、S510にて、劣化度CDIが閾値β1以上であると判断された場合には、S520に移行する。
S520では、不揮発性メモリ32からバッテリ10の劣化度CDIと前回値CDI_BFRとを読み出し、その差「CDI−CDI_BFR」が、予め設定された閾値β2(例えば、0.3)よりも大きいか否かを判断する。
【0092】
そして、差「CDI−CDI_BFR」が閾値β2よりも大きく、バッテリ10の劣化が大きく改善している場合には、バッテリ10が意図しない状態となっていて、放電を実施すると危険である可能性があるので、S570に移行し、放電を禁止する。なお、この処理は、充電制御処理においてS420からS470へ移行する処理と同様である。
【0093】
次に、S520にて、バッテリ10の劣化度CDIと前回値CDI_BFRとの差「CDI−CDI_BFR」は、閾値β2以下であると判断されると、S530〜S550に移行し、バッテリ10の劣化度CDIに基づき放電制御パラメータを設定する。
【0094】
つまり、S530〜S550では、バッテリ10の放電制御パラメータとして、バッテリ10から電動工具60への放電を自動停止させる放電終止電圧、放電終止電流、放電終止温度を、劣化度CDIに応じて設定する。
【0095】
具体的には、S530では、放電終止電圧の設定値VSETを、基準値VSTD、劣化度CDIと、補正係数Uとに基づき、次式(7)を用いて算出する。
VSET=VSTD+(1−CDI)*U … (7)
また、S540では、放電終止電流の設定値CSETを、基準値CSTDと、劣化度CDIと、補正係数Vとに基づき、次式(8)を用いて算出する。
【0096】
CSET=CSTD−(1−CDI)*V … (8)
また、S550では、放電終止温度の設定値TSETを、基準値TSTDと、劣化度CDIと、補正係数Wとに基づき、次式(9)を用いて算出する。
【0097】
TSET=TSTD−(1−CDI)*W … (9)
そして、このようにS530〜S550にて、放電制御パラメータを設定すると、S560に移行して、上記放電制御パラメータと監視回路20による監視結果とに基づき、放電を停止させるか否かを自動判定する、放電制御を実行し、当該放電制御処理を終了する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態のバッテリパック2においては、バッテリ制御回路30が、バッテリ電流の積算値等に基づきバッテリ10の満充電容量を学習する。そして、その学習値FCCが不揮発性メモリ32に記憶された最大値FCC_MAXよりも大きい場合に、その最大値FCC_MAXを、今回算出した学習値FCCに書き換える。
【0099】
このため、バッテリ10のばらつきやバッテリ10の出荷後の使用等によって、満充電容量が初期値FCC_INTから上昇したとしても、不揮発性メモリ32には、バッテリ10が劣化していないときの満充電容量が、最大値FCC_MAXとして記憶されることになる。
【0100】
また、バッテリ制御回路30は、バッテリ10への充放電が一定時間以上停止しているときに、学習処理を実行することで、満充電容量を算出するため、満充電容量を、バッテリ電圧が変動していない条件下で、正確に算出することができる。
【0101】
また、本実施形態では、学習処理で算出した満充電容量の学習値FCCと、不揮発性メモリ32に記憶した満充電容量の最大値FCC_MAXとから、バッテリ10の劣化度CDIを算出する。
【0102】
そして、その劣化度CDIが閾値α1又はβ1よりも小さいときには、バッテリ10への充電又は放電を禁止する。
このため、バッテリ10が劣化しているときに、充電器40からの充電、若しくは、電動工具60への放電を行うことで、バッテリ10に加わる負荷が大きくなって、バッテリ10が破損するのを防止できる。
【0103】
また、本実施形態では、バッテリ10の劣化度CDIが、前回値CDI_BFRから閾値α2又はβ2以上改善されると、バッテリ10の交換等、バッテリ10に何らかの異常があると判断して、バッテリ10への充電及び放電を禁止する。
【0104】
このため、本実施形態によれば、バッテリパック2の使用時の安全性を向上することができる。
また、本実施形態のバッテリパック2には、バッテリ10の残容量を、LEDの点灯により表示する残容量LED制御回路26が備えられている。そして、バッテリ制御回路30は、バッテリ10の残容量RCを算出し、その残容量RCを、満充電容量の最大値FCC_MAXを基準とする絶対容量として、残容量LED制御回路26に表示させることができる。
【0105】
このため、本実施形態のバッテリパック2によれば、使用者は、バッテリ10の残容量RCを、満充電容量の最大値FCC_MAXを100%とする比率で確認することができ、バッテリパック2を用いて作業可能な残り時間を容易に推測できるようになる。
【0106】
なお、本実施形態においては、不揮発性メモリ32が、本発明の記憶媒体に相当し、残容量LED制御回路26が、本発明の表示部に相当する。また、バッテリ制御回路30は、本発明の満充電容量算出部、最大値検出部、劣化度算出部、バッテリ制御部、充放電禁止部、及び、残容量表示制御部として機能する。
【0107】
具体的には、バッテリ制御回路30にて実行される処理の内、S230の処理が、本発明の満充電容量算出部として機能し、S240、S250の処理が、本発明の最大値検出部として機能し、S260、S270の処理が、本発明の劣化度算出部として機能する。
【0108】
また、バッテリ制御回路30にて実行される充電制御処理及び放電制御処理は、本発明のバッテリ制御部及び充放電禁止部として機能し、残容量表示処理は、本発明の残容量表示制御部として機能する。
【0109】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
例えば、上記実施形態では、バッテリ10の劣化度CDIは、不揮発性メモリ32に記憶するものとして説明したが、例えば、バッテリ10の劣化度CDIの表示要求が入力された際には、残容量LED制御回路26を介して、劣化度CDIを表示するようにしてもよい。
【0110】
この場合、劣化度CDIは、値0から値1迄の数値であることから、そのまま表示値として利用し、バッテリ10の残容量表示を行う場合と同様、その表示値に応じて、点灯させるLEDの個数(若しくは点滅状態等の表示形態)を変更するようにするとよい。
【0111】
このようにすれば、使用者は、バッテリ10の劣化度CDIを視認し、その劣化度CDIに応じてスペアバッテリを準備する、といった対策を行うことができる。
また、上記実施形態では、電動工具用のバッテリパック2について説明したが、本発明は、電動工具や電動作業具等の電動機器に装着して使用されるバッテリパックであっても、或いは、充放電可能なバッテリを内蔵した電気機器であっても、上記実施形態と同様に適用して、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0112】
2…バッテリパック、4…装着部、6…ケース、10…バッテリ、11,12…電源端子、13…端子部、14…通信端子、15,16…入力端子、20…監視回路、22…温度検出回路、24…電流検出素子、26…残容量LED制御回路、28…Vcc検出回路、30…バッテリ制御回路、32…不揮発性メモリ、40…充電器、41,42…電源端子、44…通信端子、45…出力端子、50…充電制御回路、52…電源回路、60…電動工具、61,62…電源端子、66…出力端子、70…モータ、72…トリガスイッチ、74…スイッチング素子、76…電源回路、78…ドライブ回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9