特許第6408304号(P6408304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6408304-電動機械器具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408304
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】電動機械器具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   B25F5/00 C
   B25F5/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-176153(P2014-176153)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-49594(P2016-49594A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】須田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】草川 卓也
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−067912(JP,A)
【文献】 特開2004−312509(JP,A)
【文献】 特表2013−538700(JP,A)
【文献】 特許第4563259(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具要素を駆動する駆動源と、
前記駆動源の動作を制御する機能、及び外部機器から無線送信されたデータを取得する機能を有する制御部と、
前記制御部の動作用の電源である制御電源を生成する電源部と、
前記制御部へ前記制御電源を供給、又は前記制御部への前記制御電源の供給を停止させるために設けられ、少なくとも所定の供給信号が入力されている間は前記制御部へ前記制御電源を供給させるスイッチ部と、
前記外部機器から送信される電磁波を受信可能な受信部と、
前記制御部への前記制御電源の供給が前記スイッチ部により停止されているときに、前記受信部で前記電磁波が受信された場合、前記スイッチ部に対し、前記制御部へ前記制御電源を供給させるための前記供給信号を規定時間出力し、前記供給信号を前記規定時間出力した後は、前記受信部で前記電磁波が受信されていても前記供給信号の出力を停止する供給信号出力部と、
前記受信部で受信された前記電磁波に含まれている前記データを前記制御部へ出力するデータ通信部と、
を備える、電動機械器具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機械器具であって、
前記受信部は、
前記電磁波を受信するためのコイルと、
前記コイルで受信される前記電磁波により前記コイルに誘起される起電力によって、前記供給信号出力部に前記供給信号を出力させるための所定の起動動作を行う起動動作部と、
を備える、電動機械器具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動機械器具であって、
前記規定時間は、前記供給信号の出力開始から、前記制御部に前記電源部からの前記制御電源が供給されて前記制御部が起動し、前記制御部が特定の動作を開始するまでに要する動作所要時間以上である、
電動機械器具。
【請求項4】
請求項に記載の電動機械器具であって、
前記制御部から所定の電源保持信号が出力されている間、前記供給信号出力部からの前記供給信号の出力有無にかかわらず前記スイッチ部に対して前記制御部への前記制御電源の供給を継続させる電源保持部を備え、
前記制御部は、起動後、前記電源保持信号の出力を開始し、所定の停止条件が成立した場合に前記電源保持信号の出力を停止するよう構成されており、
前記特定の動作は、前記電源保持信号の出力である、
電動機械器具。
【請求項5】
請求項1〜請求項の何れか1項に記載の電動機械器具であって、
前記駆動源及び前記電源部にその動作用の電力を供給するためのバッテリを有し、
前記供給信号出力部は、
電力を蓄電可能な蓄電部と、
前記制御部への前記制御電源の供給が前記スイッチ部により停止されているときに、前記受信部で前記電磁波が受信された場合、前記バッテリに基づく電力によって前記供給信号の出力を開始すると共に、前記バッテリに基づく電力によって前記蓄電部に一定時間蓄電させ、その一定時間が経過後は、前記蓄電部の蓄電電力によりその蓄電量に応じた時間前記供給信号の出力を継続させる、信号出力制御部と、
を備える、電動機械器具。
【請求項6】
請求項に記載の電動機械器具であって、
前記受信部は、前記電磁波が受信されたときに、前記信号出力制御部に対して所定の起動信号を前記一定時間出力するよう構成されており、
前記信号出力制御部は、前記受信部から前記起動信号が入力されている間に、前記蓄電部に蓄電させる、
電動機械器具。
【請求項7】
請求項又は請求項に記載の電動機械器具であって、
前記蓄電部の蓄電容量は、前記一定時間の蓄電によって、前記供給信号出力部が前記供給信号をその出力開始から前記規定時間出力することができる電力を蓄電することが可能な容量である、電動機械器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機械器具に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式ドライバや充電式草刈機などの、バッテリを電源として動作する電動機械器具は、一般に、器具要素の駆動源(例えばモータ)を制御する制御回路と、バッテリの電力に基づいて制御回路の動作用の電源である制御電源を生成する電源回路を備えている。
【0003】
上記構成の電動機械器具として、消費電力の低減を目的として、駆動源の動作が停止された後、所定時間経過後に制御回路を制御電源から遮断する省電力機能を備えた電動工具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、制御電源が遮断された後、トリガスイッチがオンされると、制御回路への制御電源の供給が再開される。
【0004】
特許文献1に記載の電動工具によれば、駆動源の動作停止から所定時間経過すると制御回路への電源供給が遮断されて制御回路が動作を完全に停止するため、制御回路による消費電力の低減が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4563259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、各種の電動機械器具に対し、外部機器との無線通信機能を持たせることが提案されている。外部機器との無線通信機能を持たせることで、例えば、外部機器から制御回路内の各種設定値を設定したり、制御回路から各種設定状態や動作状態などの各種情報を読み取ったりすることが可能になる。
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているような省電力機能を備えた電動機械器具の場合、省電力機能の作動によって制御電源の供給が停止されている間は、外部機器から無線通信を試みようとしても、制御回路が動作を停止しているため、当然ながら無線通信はできない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、駆動源の制御機能や外部機器からのデータ取得機能を担う制御部への動作用電源の供給が停止されて制御部が動作を停止していても、外部機器から無線通信用の電磁波を受信した場合には制御部を動作させて外部機器からデータを取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電動機械器具は、駆動源と、制御部と、電源部と、スイッチ部と、受信部と、供給信号出力部と、データ通信部と、を備える。
駆動源は、器具要素を駆動する。制御部は、駆動源の動作を制御する機能、及び外部機器から無線送信されたデータを取得する機能を有する。電源部は、制御部の動作用の電源である制御電源を生成する。スイッチ部は、制御部へ制御電源を供給、又は制御部への制御電源の供給を停止させるために設けられ、少なくとも所定の供給信号が入力されている間は前記制御部へ前記制御電源を供給させる。受信部は、外部機器から送信される電磁波を受信可能である。供給信号出力部は、制御部への制御電源の供給がスイッチ部により停止されているときに、受信部で電磁波が受信された場合、スイッチ部に対し、制御部へ制御電源を供給させるための供給信号を出力する。データ通信部は、受信部で受信された電磁波に含まれているデータを制御部へ出力する。なお、制御部への制御電源の供給がスイッチ部によって停止されている状態を、以下、電源供給停止状態ともいう。
【0010】
このように構成された電動機械器具では、電源供給停止状態であっても、受信部で電磁波が受信されると、スイッチ部へ供給信号が出力される。スイッチ部は、供給信号が入力されると、制御部への制御電源の供給を開始させる。そのため、電源供給停止状態であっても、外部機器から無線通信用の電磁波を受信した場合には制御部を動作させて外部機器からデータを取得することができる。
【0011】
受信部は、コイルと起動動作部とを備えた構成であってもよい。コイルは、外部機器からの電磁波を受信するための構成部材である。起動動作部は、コイルで受信される電磁波によりコイルに誘起される起電力によって、供給信号出力部に供給信号を出力させるための所定の起動動作を行う。
【0012】
このように構成された電動機械器具では、外部機器からの電磁波がコイルで受信され、その電磁波によってコイルに起電力が誘起されると、その起電力によって起動動作が行われる。つまり、少なくとも起動動作については、電動機械器具内の電力を消費することなく外部機器からの電磁波のエネルギーによって実行させることができる。そのため、電動機械器具の省電力化が可能となる。
【0013】
供給信号出力部は、制御部への制御電源の供給がスイッチ部により停止されているときに、受信部で電磁波が受信された場合は、供給信号を規定時間出力するようにしてもよい。供給信号の出力時間を規定時間とし、規定時間が経過したら供給信号の出力を停止することで、供給信号の出力に必要な電力を抑制できる。そのため、電動機械器具の省電力効果をより高めることができる。
【0014】
上記規定時間は、所定の動作所要時間以上としてもよい。この動作所要時間は、具体的には、供給信号の出力開始から、制御部に電源部からの制御電源が供給されて制御部が起動し、制御部が特定の動作を開始するまでに要する時間である。規定時間を動作所要時間以上とすることで、電源供給停止状態から制御部を確実に起動させて特定の動作を開始させることができる。
【0015】
供給信号の出力開始後、規定時間経過により供給信号の出力が停止されて、制御部への制御電源の供給が再び停止されるような構成の場合、規定時間の長さによっては、制御部が外部機器からのデータ取得を正常に完了していない状態で動作が停止されてしまう可能性がある。
【0016】
そこで、制御部は、起動後、自ら制御電源の供給を継続させることができる構成であってもよい。具体的には、電動機械器具は、電源保持部を備える。この電源保持部は、制御部から所定の電源保持信号が出力されている間、供給信号出力部からの供給信号の出力有無にかかわらずスイッチ部に対して制御部への制御電源の供給を継続させる。一方、制御部は、起動後、電源保持信号の出力を開始し、所定の停止条件が成立した場合に電源保持信号の出力を停止する。そして、上記特定の動作は、電源保持信号の出力である。
【0017】
このように構成された電動機械器具では、少なくとも、制御部が電源保持信号の出力を開始するまでは、供給信号出力部からスイッチ部への供給信号の出力が継続され、制御部への制御電源の供給が継続される。そして、制御部から電源保持信号の出力が開始されると、その後供給信号が途絶えても、電源保持信号が出力されている間は制御部への制御電源の供給は継続される。そのため、制御部は、電源供給停止状態から起動した場合、外部機器からのデータ取得を確実に行うことができる。
【0018】
電動機械器具が、駆動源及び電源部にその動作用の電力を供給するためのバッテリを有している場合、供給信号出力部は、蓄電部と、信号出力制御部とを備えた構成であってもよい。蓄電部は、電力を蓄電可能な構成部材である。信号出力制御部は、制御部への制御電源の供給がスイッチ部により停止されているときに、受信部で電磁波が受信された場合、バッテリに基づく電力によって供給信号の出力を開始すると共に、バッテリに基づく電力によって蓄電部に一定時間蓄電させる。そして、その一定時間が経過後は、蓄電部の蓄電電力により、その蓄電量に応じた時間、供給信号の出力を継続させる。
【0019】
このように構成された電動機械器具によれば、制御電源の有無にかかわらず、バッテリの電力によって確実に供給信号を出力させることができる。また、バッテリによる蓄電部の蓄電は一定時間だけであり、その後は蓄電部の蓄電電力によって供給信号の出力が継続され、結果として供給信号の規定時間の出力が実現される。そのため、バッテリの消費電力を抑えつつ、供給信号を確実に出力させることができる。
【0020】
受信部は、電磁波が受信されたときに、信号出力制御部に対して所定の起動信号を上記一定時間出力するよう構成されていてもよい。その場合、信号出力制御部は、受信部から起動信号が入力されている間に、蓄電部に蓄電させるようにしてもよい。
【0021】
このように構成された電動機械器具では、受信部は起動信号を一定時間出力すればよく、信号出力制御部は、その一定時間経過後もその一定時間の間に蓄電された蓄電電力によって供給信号の出力を継続させることができる。そのため、受信部が起動信号を出力可能な時間が規定時間よりも短い時間に制限されていても、供給信号の出力を規定時間継続させることができる。
【0022】
また、受信部が、電磁波受信によりコイルに生じる起電力によって起動信号を出力する構成である場合は、受信した電磁波のエネルギーのうち起動信号の出力に消費される電力を低減できる。そのため、供給信号の規定時間の出力と、制御部によるデータの取得とを、共に良好に行うことができる。
【0023】
蓄電部の蓄電容量は、一定時間の蓄電によって、供給信号出力部が供給信号をその出力開始から規定時間出力することができる電力を蓄電することが可能な容量としてもよい。蓄電容量をこのようにすることで、供給信号の出力を継続させる規定時間の設定を低コストで容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態の電動機械器具の電気的構成を示す回路図である。
図2】実施形態の電動機械器具の動作例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動機械器具1は、モータ2と、バッテリ3と、コントローラ4と、トリガスイッチ5と、無線モジュール6とを備えている。なお、本実施形態の電動機械器具1は、例えば充電式ドライバドリル、充電式インパクトドライバ、充電式インパクトレンチ、充電式草刈機、充電式グラインダー、充電式マルノコ、充電式レシプロソーなどの、バッテリ3から電力供給を受けて駆動される各種の電動機械器具のうちの一つとして構成されている。
【0026】
モータ2は、図示しない器具要素を動作(例えば回転)させるための駆動源である。器具要素としては、例えばドライバビット、ソケットビット、回転式の刃物、ブレードなど、種々のものがあり、電動機械器具1の種類に応じた工具要素を使用可能である。
【0027】
モータ2には、バッテリ3の電力がコントローラ4を介して(詳しくはドライバ12を介して)供給され、その電力によってモータ2が回転する。モータ2が回転すると、その回転力が直接又は伝達機構を介して器具要素へ伝達され、器具要素が動作する。器具要素が動作することにより、電動機械器具1としての主たる機能が発揮される。
【0028】
バッテリ3は、本実施形態では、繰り返し充電可能な二次電池である。バッテリ3は、電動機械器具1に内蔵されていてもよいし、電動機械器具1に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0029】
トリガスイッチ5は、電動機械器具1に設けられた図示しないトリガを使用者が操作することによってオン・オフされるスイッチである。即ち、使用者がトリガを引くとトリガスイッチ5がオンし、使用者がトリガを離すとトリガスイッチ5がオフされる。トリガスイッチ5のオン・オフ状態を示す情報は、コントローラ4に入力される。また、図示は省略したが、電動機械器具1は、トリガの引き量を示す情報をアナログ信号として出力するアナログ出力部を備えており、そのアナログ出力部からのアナログ信号もコントローラ4に入力される。
【0030】
コントローラ4は、バッテリ3の電力により動作し、トリガの操作状態に応じてモータ2の駆動を制御する。また、コントローラ4は、無線モジュール6を介して外部機器50とデータ通信を行うデータ通信機能を有する。
【0031】
無線モジュール6は、外部機器50と無線通信を行う機能を有し、外部機器50とコントローラ4内の制御回路11とのデータ通信を中継する。即ち、無線モジュール6は、外部機器50から無線にて受信した受信データをコントローラ4内の制御回路11へ出力したり、制御回路11から出力された送信データを無線にて外部機器50へ送信したりする機能を有する。
【0032】
コントローラ4及び無線モジュール6について、より具体的に説明する。
コントローラ4は、制御回路11と、ドライバ12と、第1レギュレータ13とを備える。第1レギュレータ13は、バッテリ3のバッテリ電圧Vbが入力され、そのバッテリ電圧Vbから制御電源Vcc(電圧値がVccの電源電圧)を生成して、コントローラ4内の各部及び無線モジュール6へ供給する。
【0033】
バッテリ3から第1レギュレータ13へのバッテリ電力の通電経路上には、起動トランジスタT11が接続されている。起動トランジスタT11は、第1レギュレータ13へのバッテリ電圧Vbの供給を実行又は停止させるため、換言すれば第1レギュレータ13による制御電源Vccの生成・出力を実行又は停止させるために設けられている。
【0034】
本実施形態の起動トランジスタT11は、Pチャネル型MOSFETである。起動トランジスタT11は、より具体的には、ソースがバッテリ3の正極に接続され、ドレインが第1レギュレータ13のバッテリ電圧入力端子に接続されている。起動トランジスタT11のゲートとソースの間には、抵抗R1が接続されている。また、起動トランジスタT11のゲートには、抵抗R2の一端が接続されている。
【0035】
抵抗R2の他端は、ダイオードD1を介してトリガスイッチ5の一端に接続されている。即ち、抵抗R2の他端は、ダイオードD1のアノードに接続され、ダイオードD1のカソードがトリガスイッチ5の一端に接続されている。トリガスイッチ5の他端は、バッテリ3の負極と同電位のグランドラインに接続されている。
【0036】
また、抵抗R2の他端は、電源保持トランジスタT12のコレクタに接続されている。電源保持トランジスタT12は、本実施形態ではNPN形バイポーラトランジスタであり、エミッタがグランドラインに接続されている。電源保持トランジスタT12のベースは、抵抗R3を介して制御回路11の電源保持信号出力端子に接続されると共に、抵抗R4を介してグランドラインに接続されている。
【0037】
また、抵抗R2の他端は、無線モジュール6内の第2トランジスタT22のコレクタに接続されている。第2トランジスタT22は、本実施形態ではNPN形バイポーラトランジスタであり、エミッタがグランドラインに接続されている。
【0038】
このように、抵抗R2の他端は、トリガスイッチ5を介してグランドラインに接続されると共に、電源保持トランジスタT12を介してグランドラインに接続され、さらに、無線モジュール6内の第2トランジスタT22を介してグランドラインに接続される。
【0039】
そのため、トリガスイッチ5、電源保持トランジスタT12、及び第2トランジスタT22がいずれもオフされているときは、抵抗R2の他端はハイインピーダンス状態、又はグランドラインの電位(以下「グランド電位」ともいう)より高い電位となって、起動トランジスタT11はオフする。そのため、バッテリ3のバッテリ電圧Vbは第1レギュレータ13に入力されず、第1レギュレータ13は動作が停止されて制御電源Vccは生成されない。
【0040】
一方、トリガスイッチ5がオンされると、抵抗R2の他端の電位はグランド電位とほぼ同電位となり、これにより起動トランジスタT11がオンする。そのため、バッテリ3のバッテリ電圧Vbが起動トランジスタT11を介して第1レギュレータ13に入力され、第1レギュレータ13が動作して制御電源Vccが生成される。
【0041】
また、後述する電源保持信号Skによって電源保持トランジスタT12がオンした場合も、抵抗R2の他端の電位はグランド電位とほぼ同電位となり、これにより起動トランジスタT11がオンする。これにより、バッテリ3のバッテリ電圧Vbが起動トランジスタT11を介して第1レギュレータ13に入力され、第1レギュレータ13にて制御電源Vccが生成される。
【0042】
また、無線モジュール6内の第2トランジスタT22がオンした場合も、抵抗R2の他端の電位はグランド電位とほぼ同電位となり、これにより起動トランジスタT11がオンする。これにより、バッテリ3のバッテリ電圧Vbが起動トランジスタT11を介して第1レギュレータ13に入力され、第1レギュレータ13にて制御電源Vccが生成される。
【0043】
つまり、トリガスイッチ5、電源保持トランジスタT12、及び第2トランジスタT22のうち何れかがオンされると、起動トランジスタT11がオンし、これにより第1レギュレータ13にて制御電源Vccが生成される。
【0044】
なお、無線モジュール6内の第2トランジスタT22がオンすると、第2トランジスタT22のコレクタはグランド電位とほぼ同レベルとなる。換言すれば、第2トランジスタT22から抵抗R2の他端へL(Low)レベル信号が出力されているとみることができる。この、第2トランジスタT22から抵抗R2へのLレベル信号を、以下、供給信号Spと称す。つまり、第2トランジスタT22がオンしている間は、第2トランジスタT22からコントローラ4へ供給信号Sp(Lレベル信号)が出力される。
【0045】
ドライバ12は、バッテリ3の電力を、制御回路11から入力される駆動指令に応じてモータ2へ供給することによって、モータ2を回転駆動させる。
制御回路11は、本実施形態では、CPU、ROM、RAM、その他のメモリ、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御回路11は、第1レギュレータ13で生成される制御電源Vccによって動作する。即ち、第1レギュレータ13にて制御電源Vccが生成されている間、その制御電源Vccが制御回路11に入力され、これにより制御回路11が動作する。制御電源Vccの供給が停止されると、制御回路11は動作が停止される。
【0046】
制御回路11における、トリガ信号Stが入力されるトリガ信号入力端子には、ダイオードD2を介してトリガスイッチ5の一端が接続されている。即ち、制御回路11のトリガ信号入力端子は、ダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードがトリガスイッチ5の一端に接続されている。また、制御回路11のトリガ信号入力端子は、抵抗R5を介して制御電源Vccの供給ラインにプルアップされている。
【0047】
そのため、制御回路11が動作しているときにトリガ信号入力端子に入力されるトリガ信号Stは、トリガスイッチ5がオンされている場合はLレベル信号(グランド電位とほぼ同じレベルの信号)となり、トリガスイッチ5がオフされている場合はLレベル信号よりも電圧の高いH(High)レベル信号となる。制御回路11は、トリガ信号Stに基づいて、トリガスイッチ5のオン・オフ状態を知ることができる。また、図示は省略したが、制御回路11には、トリガの引き量に応じた既述のアナログ信号も入力され、これにより制御回路11はトリガの引き量も知ることができる。
【0048】
制御回路11は、トリガスイッチ5のオン・オフの状態やトリガの引き量などに応じた駆動指令をドライバ12へ出力することにより、モータ2をトリガの引き量に応じた回転速度で回転させる。
【0049】
また、制御回路11は、制御電源Vccが供給されて起動すると、所定の初期処理を経て通常動作に移行するが、その初期処理の一つとして、制御電源Vccの自己保持処理がある。この自己保持処理は、具体的には、電源保持信号出力端子から電源保持信号Skの出力を開始することである。電源保持信号Skは、電源保持トランジスタT12をオンさせることが可能な一定電圧レベルの信号である。
【0050】
制御回路11に制御電源Vccが供給されず制御回路11が動作を停止している間は、電源保持信号出力端子の電位はグランド電位又はオープン状態であるため、電源保持トランジスタT12はオフさている。
【0051】
一方、トリガスイッチ5がオンされるか又は無線モジュール6内の第2トランジスタT22がオンすることによって起動トランジスタT11がオンし、制御電源Vccが生成されるようになると、制御回路11が起動し、自己保持処理が行われる。この自己保持処理によって制御回路11の電源保持信号出力端子から電源保持信号Skが出力されると、電源保持トランジスタT12がオンする。
【0052】
制御回路11は、起動後、電源保持信号Skの出力を開始すると、所定の停止条件が成立するまで、その電源保持信号Skの出力を継続する。そのため、電源保持信号Skの出力後に、トリガスイッチ5及び第2トランジスタT22の双方がオフされても、電源保持信号Skが出力されている間は、起動トランジスタT11はオンされ続け、これにより制御電源Vccの供給が継続される。
【0053】
なお、上記の停止条件は種々考えられるが、本実施形態では、電動機械器具1が何ら使用、操作等(外部機器50との無線通信も含む)がされていない器具放置状態が一定の放置時間継続すること、である。制御回路11は、起動して電源保持信号Skの出力を開始した後、停止条件が成立した場合は、電源保持信号Skの出力を停止する。電源保持信号Skの出力を停止すると、起動トランジスタT11がオフし、第1レギュレータ13が動作を停止する。そのため、制御回路11への制御電源Vccの供給は停止され、制御回路11は動作を停止する。停止条件の成立により第1レギュレータ13が停止した後は、トリガスイッチ5がオンされるか又は外部機器50からの電波によって第2トランジスタT22がオンされるまでは、その停止状態が継続される。なお、停止条件の成立により第1レギュレータ13の動作を停止させるのは、バッテリ3の省電力のためである。
【0054】
また、制御回路11は、無線モジュール6を介して、外部機器50との間でデータ通信が可能である。制御回路11と無線モジュール6との間のデータ通信方式は適宜考えられるが、本実施形態ではシリアル通信である。
【0055】
無線モジュール6は、コイル21と、無線IC22と、第2レギュレータ23とを備える。コイル21は、無線モジュール6と外部機器50との無線通信における、無線信号(電波)の送受用のアンテナとして機能する。外部機器50と無線モジュール6との無線通信は、本実施形態では、国際規格ISO/IEC 14443、日本工業規格JISX6319-4、等に準拠した近距離無線通信方式(いわゆるNFC(Near Field Communication))によって行われる。
【0056】
NFCは、電磁誘導方式の無線通信方式である。そのため、NFCによる外部機器50からの電波をコイル21が受信すると、コイル21には、その受信電波により起電力が誘起される。
【0057】
無線IC22は、主に、外部機器50と制御回路11とのデータ通信を中継する処理を行う。即ち、無線IC22は、外部機器50から電波を受信すると、その受信電波からデータを復調し、その復調したデータをシリアル通信にて制御回路11へ出力する。また、制御回路11からシリアル通信にて送信用のデータが入力されると、そのデータを変調して、NFCの電波にて送信する。
【0058】
無線IC22は、基本的には、第1レギュレータ13から供給される制御電源Vccにより動作する。制御回路11とのデータ通信も、制御電圧Vccが供給されている通常動作時に行われる。ただし、制御電源Vccが供給されていない状態であっても、外部機器50がコイル21の近傍に近接されてコイル21に起電力が誘起されると、その起電力によって、当該無線IC22の各種機能のうち少なくとも一部を実行することができる。コイル21の起電力によって実行可能な機能の1つとして、起動信号Ssの出力がある。無線IC22は、制御電源Vccが供給されず動作を停止しているときに、コイル21の起電力によって動作を開始すると、一定時間、起動信号Ssを出力する。起動信号Ssは、Lレベル信号である。
【0059】
無線IC22における起動信号Ssの出力端子は、通常はオープン状態(ハイインピーダンス状態)となっている。そして、コイル21の起電力により無線IC22が起動すると、無線IC22は、起動信号Ssの出力端子を一定時間Lレベルにする。即ち、電圧レベルがLレベル一定の起動信号Ssを一定時間出力する。
【0060】
無線モジュール6において、第2レギュレータ23は、バッテリ電圧Vbに基づいて所定電圧値の起動用電圧を生成し、出力する。第2レギュレータ23により生成される起動用電圧は、第1トランジスタT21のエミッタに入力される。第1トランジスタT21は、通常はオフされており、オンされるのは上記駆動信号Ssが出力されているごく短い一定時間だけである。そのため、第2レギュレータ23による消費電力は、第1レギュレータ13による消費電力よりも非常に小さく、第2レギュレータ23に常時バッテリ電圧Vbが入力されていても、第2レギュレータ23による消費電力は実用上ほとんど無視できる。
【0061】
無線IC22における、起動信号Ssの出力端子には、抵抗R6を介して第1トランジスタT21のベースが接続されている。第1トランジスタT21は、本実施形態ではPNP型バイポーラトランジスタである。第1トランジスタT21のエミッタは、第2レギュレータにおける起動用電圧の出力端子に接続されている。第1トランジスタT21のコレクタは、ダイオードD3及びコンデンサC1を介してグランドラインに接続されている。
【0062】
即ち、第1トランジスタT21のコレクタは、ダイオードD3のアノードに接続され、ダイオードD3のカソードはコンデンサC1の一端に接続されている。コンデンサC1の他端はグランドラインに接続されている。また、コンデンサC1の一端は、抵抗R7を介して第2トランジスタT22のベースに接続されている。
【0063】
したがって、無線IC22から起動信号Ssが出力されると、第1トランジスタT21がオンし、第2レギュレータ23からの起動用電圧がダイオードD3及び抵抗R7を介して第2トランジスタT22のベースに印加され、これにより第2トランジスタT22がオンする。第2トランジスタT22がオンすると、既述の通り、第2トランジスタT22からコントローラへ供給信号Spが出力され、これによりコントローラ4内の起動トランジスタT11がオンして、第1レギュレータ13から制御電源Vccが生成、出力されるようになる。
【0064】
また、第1トランジスタT21がオンしている間は、第2レギュレータ23からの起動用電圧によって、コンデンサC1が充電(蓄電)される。無線IC22からの起動信号Ssの出力は一定時間である。そのため、起動信号Ssの出力開始から一定時間経過すると、起動信号Ssの出力が停止され、これにより第1トランジスタT21はオフする。
【0065】
これにより、第2トランジスタT22は、第2レギュレータ23からの起動用電圧によってはオンできなくなる。しかし、第1トランジスタT21がオフした後は、コンデンサC1の充電電力によって、その充電電力に応じた時間、第2トランジスタT22のオン状態(即ち供給信号Spが出力されている状態)が継続される。
【0066】
上記のように構成された本実施形態の電動機械器具1の各種動作例のうち、起動トランジスタT11がオフされて第1レギュレータ13が動作を停止している状態(ひいては制御回路11が動作を停止している状態)で外部機器50を近接させた場合の動作例を、図2を用いて説明する。
【0067】
図2に示すように、第1レギュレータ13が動作しておらず、且つ、外部機器50がコイル21に近接されておらず外部機器50との無線通信が行われていない間は、無線IC22から起動信号Ssは出力されず、起動信号Ssの出力端子はオープン状態にある。
【0068】
この状態で、外部機器50と電動機械器具1との無線通信を行わせるべく、外部機器50をコイル21に近接させると、無線通信が開始される。具体的には、まず外部機器50からの電波が受信されることによってコイル21に起電力が誘起され、無線IC22に入力される。これにより、無線IC22は、その起電力を電源とする動作を開始し、起動信号Ss(Lレベル信号)を一定時間出力する。
【0069】
無線IC22から起動信号Ssが出力されると、その起動信号Ssが出力される一定時間の間、第1トランジスタT21がオンする。第1トランジスタT21がオンしている間は、第2レギュレータ23からの起動用電圧によって、第2トランジスタT22がオンすると共にコンデンサC1が充電される。この充電により、コンデンサC1は、所定電圧(起動用電圧から、第1トランジスタT21のオン電圧及びダイオードD3の順方向電圧を減じた電圧)に充電される。
【0070】
起動信号Ssの出力が停止された後は、コンデンサC1から第2トランジスタT22への放電によって第2トランジスタT22のオン状態が継続される。そして、コンデンサC1からの放電が進み、コンデンサC1の充電電圧が所定の閾値Vthを下回ると、第2トランジスタT22がオフする。第2トランジスタT22がオンされる時間、即ち供給信号Spが出力される時間は、起動信号Ssの出力により第2トランジスタT22がオンされてから、コンデンサC1の充電電圧が閾値Vthを下回ることより第2トランジスタT22がオフされるまでの、規定時間である。
【0071】
第2トランジスタT22がオンしてコントローラ4へ供給信号Spが出力されると、コントローラ4において起動トランジスタT11がオンし、これにより第1レギュレータ13が動作して、制御電源Vccの供給が開始される。そして、その制御電源Vccの供給を受けて、制御回路11が起動する。制御回路11は、起動すると、既述の通り初期処理を行い、その初期処理の1つとして、電源保持信号Skを出力する処理を行う。制御回路11の起動から電源保持信号Skの出力までは若干の動作所要時間を要する。制御回路11は、起動から動作所要時間経過時に電源保持信号Skを出力し、電源保持トランジスタT12をオンさせる。
【0072】
本実施形態では、第2トランジスタT22がオンされる上記規定時間は、制御回路11が起動してから電源保持信号Skが出力されるまでの動作所要時間以上に設定されている。そのため、第2トランジスタT22がオンされている間に確実に電源保持信号Skを出力させることができ、よって、第2トランジスタT22がオフされても制御電源Vccの供給を確実に継続させることができる。
【0073】
無線モジュール6内のコンデンサC1の静電容量は、上記一定時間の充電によって、結果として第2トランジスタT22を規定時間オンさせる(換言すれば供給信号Spを規定時間出力させる)ことが可能な容量である。
【0074】
制御回路11は、起動後、初期処理を経て、無線モジュール6を介した外部機器50とのデータ通信を実行する。そして、制御回路11と外部機器50とのデータ通信が完了して無線モジュール6と外部機器50との無線通信が終了した後、所定の停止条件が成立すると、制御回路11は、電源保持信号Skの出力を停止して電源保持トランジスタT12をオフさせる。これにより、起動トランジスタT11がオフして、第1レギュレータ13が動作を停止し、制御電源Vccの生成が停止される。そのため、制御回路11の動作も停止される。
【0075】
以上説明した本実施形態の電動機械器具1によれば、制御回路11に制御電源Vccが供給されずに制御回路11が動作を停止している状態(電源供給停止状態)であっても、外部機器50からの電波をコイル21に受信させることで、第1レギュレータ13を動作させ、制御回路11に制御電源Vccを供給させることができる。そのため、電源供給停止状態であっても、制御回路11を起動させて外部機器50から制御回路11へデータを送信させることができ、制御回路11は外部機器50からデータを取得することができる。
【0076】
特に、本実施形態では、外部機器50と無線モジュール6との無線通信の通信方式として、NFCを用いている。NFCは、電磁誘導方式による無線通信であるため、コイル21にその電波が受信されるとコイル21に起電力が誘起され、その起電力により無線IC22が起動信号Ssを一定時間出力することができる。
【0077】
つまり、少なくとも起動信号Ssの出力については、バッテリ3の電力を消費することなく、外部機器50からの電波のエネルギーによって実行させることができる。そのため、電動機械器具1の省電力化(具体的にはバッテリ3の電力消費量の低減)が可能となる。
【0078】
また、無線IC22は、コイル21からの起電力によって動作を開始したとき、起動信号Ssを、ごく短い一定時間出力する。その一定時間の間、第2レギュレータ23のからの起動用電圧によって第2トランジスタT22がオンされると共に、第2レギュレータ23からの起動用電圧によってコンデンサC1が充電される。そして、一定時間経過により起動信号Ssの出力が停止した後も、コンデンサC1の充電電力によって第2トランジスタT22のオン状態がしばらく継続される。
【0079】
そのため、無線IC22が起動信号Ssを出力可能な時間が、第2トランジスタT22をオンさせるべき規定時間よりも短い時間に制限されていても、第2トランジスタT22を規定時間継続してオンさせることができる。また、コイル21の起電力に基づく起動信号Ssの出力が短時間で済むことから、外部機器50からの受信エネルギーのうち起動信号Ssの出力に消費されるエネルギーを低減できる。そのため、第2トランジスタT22の規定時間のオン継続と、無線モジュール6と外部機器50との無線通信(ひいては制御回路11と外部機器50とのデータ通信)とを、共に良好に行うことができる。
【0080】
また、制御回路11は、起動後、初期処理を実行して、電源保持信号Skを出力する。即ち、制御回路11は、起動すると、自身への制御電源Vccの供給を、電源保持信号Skの出力によって自ら維持させる。そのため、外部機器50との無線通信によって第2トランジスタT22がオンされたことにより制御回路11が起動した場合に、第2トランジスタT22が規定時間オンされて再びオフされても(つまり供給信号Spが停止しても)、制御回路11は動作を継続することができる。
【0081】
特に、本実施形態では、第2トランジスタT22がオンされる規定時間は、第2トランジスタT22がオンされてから制御回路11が電源保持信号Skを出力開始するまでに要する動作所要時間以上である。そのため、第2トランジスタT22がオフ(供給信号Spが停止)されても制御回路11の動作を確実に継続させることができ、外部機器50とのデータ通信を正常に実行することができる。
【0082】
なお、本実施形態において、モータ2は本発明の駆動源の一例に相当する。制御回路11は本発明の制御部の一例に相当する。第1レギュレータ13は本発明の電源部の一例に相当する。起動トランジスタT11は本発明のスイッチ部の一例に相当する。無線モジュール6において、コンデンサC1は本発明の蓄電部の一例に相当し、第2レギュレータ23、第1トランジスタT21、ダイオードD3、抵抗R7、及び第2トランジスタT22からなる回路は本発明の信号出力制御部の一例に相当する。コイル21と無線IC22により本発明の受信部の一例が構成される。また、無線IC22は、本発明のデータ通信部及び起動動作部の一例にも相当する。無線IC22による起動信号Ssの出力は、本発明の起動動作の一例に相当する。電源保持トランジスタT12は本発明の電源保持部の一例に相当する。
【0083】
[他の実施形態]
(1)無線モジュール6における、外部機器50からの電波受信によって供給信号Spを出力させる(延いてはコントローラ4の起動トランジスタT11をオンさせる)ための具体的回路構成は、図1に示した回路構成に限定されない。無線IC22からの起動信号Ssに基づいて、起動トランジスタT11をオンさせるための供給信号Spを必要な時間以上出力することができる限り、種々の回路構成を採り得る。
【0084】
例えば、第1トランジスタT21のオン状態を規定時間維持させるための自己保持回路を設け、無線IC22からの起動信号Ssによって第1トランジスタT21がオンした後に起動信号Ssが停止されても、第1トランジスタT21のオン状態が継続されるようにしてもよい。その場合、コンデンサC1は不要となる。
【0085】
また例えば、無線IC22が、第2トランジスタT22に対して直接、第2トランジスタT22をオンさせることが可能な起動信号を必要時間以上継続して出力することが可能な場合は、無線IC22からその起動信号を直接第2トランジスタT22のベースに入力させるようにしてもよい。その場合、第2レギュレータ23やコンデンサC1は不要となる。
【0086】
(2)本実施形態では、外部機器50と無線モジュール6との無線通信方式としてNFCを例に挙げたが、無線通信方式がNFCであることは必須ではなく、他の各種の無線通信方式を適用可能である。
【0087】
また、無線信号を送受信する媒体として電波を用いることも必須ではない。例えば、可視光を用いた光通信や赤外線を用いた赤外線通信などによって無線通信を行うようにしてもよい。つまり、無線通信の媒体として用いられる電磁波はNFCの電波に限定されない。
【0088】
光通信により無線通信を行う場合の具体的構成としては、例えば、電動機械器具及び外部機器の双方に、データ送信用の発光素子、及びフォトダイオードやフォトトランジスタなどのデータ受信用の受光素子を設けることで、光通信が可能となる。その場合、受光した光エネルギーを光電変換して起動信号Ssを生成する回路を設け、光エネルギーから起動信号Ssを生成するようにしてもよい。
【0089】
上述した光通信以外であっても、送受信される電磁波の種類に応じて、その電磁波から電力を取得して起動信号Ssの出力等に用いることは可能である。例えば、受信電波から電力を生成するレクテナは既によく知られており、実用化されている。無線通信で用いる電波の種類や通信電力によっては、そのレクテナの技術を利用して、受信電波から電力を生成することもできる。
【0090】
(3)制御回路11が自身への制御電源Vccの供給を継続させるための回路として、電源保持トランジスタT12を中心とする回路を用いることは、あくまでも一例である。無線モジュール6からの供給信号Spの有無にかかわらず、制御回路11が自身への制御電源Vccの供給を必要時間以上継続させることができる限り、その具体的回路構成は種々考えられる。
【0091】
また、制御回路11へ制御電源Vccを供給又は停止させるために、上記実施形態では、第1レギュレータ13におけるバッテリ電圧の入力端子側に起動トランジスタT11を設けたが、このような回路構成もあくまでも一例である。例えば、第1レギュレータ13から制御電源Vccが出力される経路側にトランジスタを設け、そのトランジスタをオン・オフさせることで、制御回路11への制御電源Vccの供給を実行、停止できるようにしてもよい。
【0092】
(4)上記実施形態の電動機械器具1は、駆動源としてモータ2を備えているが、モータ2以外の他の駆動源を備えた電動機械器具に対しても本発明を適用可能である。
(5)上記実施形態の電動機械器具1は、バッテリ3が二次電池であったが、バッテリ3は一次電池であってもよい。また、バッテリ以外の他の電源(例えばAC100V電源)によって動作可能な電動機械器具に対しても本発明を適用可能である。
【0093】
(6)上記実施形態では、制御回路11はマイクロコンピュータによって構成されていたが、制御回路11は、個別の各種電子部品を組み合わせて構成されていてもよいし、ASIC(Application Specified Integrated Circuit)であってもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブル・ロジック・デバイスであってもよいし、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
【0094】
(7)その他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【符号の説明】
【0095】
1…電動機械器具、2…モータ、3…バッテリ、4…コントローラ、5…トリガスイッチ、6…無線モジュール、11…制御回路、12…ドライバ、13…第1レギュレータ、21…コイル、22…無線IC、23…第2レギュレータ、50…外部機器、C1…コンデンサ、D1,D2,D3…ダイオード、R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7…抵抗、T11…起動トランジスタ、T12…電源保持トランジスタ、T21…第1トランジスタ、T22…第2トランジスタ。
図1
図2