(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、過給機がシリンダの後方で、燃料タンクおよびライダー用シートの下方に位置しているので、走行中にライダーが過給機の稼働を聴覚で認識することは難しい。
【0005】
本発明は、走行中にライダーが吸気音を認識できる自動二輪車のエンジンの吸気ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成に係る吸気ダクトは、自動二輪車に搭載されたエンジンのシリンダの後方に配置された過給機へ空気を導く吸気ダクトであって、前記エンジンンの前方に配置された空気取入口と、前記吸気ダクトの壁に形成されて吸気音を漏出させる貫通孔とを備えている。ここで、「シリンダ」とは、シリンダブロックおよびその上方のシリンダヘッドを含む。
【0007】
この構成によれば、自動二輪車の走行中に過給機が稼働すると、吸気ダクト内に空気が高速で流れる。このとき、吸気ダクトの壁に形成された貫通孔から吸気音が漏出するので、ライダーが吸気音を認識できる。これにより、走行中にライダーが過給機の稼働を確認することができる。
【0008】
本発明の第1構成において、前記貫通孔は、ヘッドパイプよりも後方でライダー用シートよりも前方に配置されていることが好ましい。この構成によれば、ライダーに近い位置で吸気音を漏出させることができるので、ライダーが吸気音を認識しやすい。
【0009】
本発明の第1構成において、前記空気取入口が自動二輪車の前端に配置され、前記貫通孔が、カウリングを後方から覆うインナカバーよりも後方に配置されていることが好ましい。この構成によれば、カウリングとインナカバーに覆われていない部分から吸気音が漏出するので、ライダーが吸気音を認識しやすい。
【0010】
本発明の第1構成において、前記貫通孔は、ハンドルの可動範囲の下方に配置されていることが好ましい。この構成によれば、ハンドルの下方は、ハンドルを回動させるための空間が形成されているので、ライダーに吸気音が届きやすい。
【0011】
本発明の第1構成において、前記貫通孔は、内側壁または上壁に形成されていることが好ましい。この構成によれば、貫通孔から漏出した吸気音がライダーに届きやすい。
【0012】
本発明の第1構成において、さらに、前記シリンダの車幅方向側方を通過して前後方向に延びるシリンダ側方部分を備え、前記貫通孔が、前記シリンダ側方部分の前方に形成されていることが好ましい。この場合、好ましくは、前記シリンダ側方部分の前方に、後方に向かって車幅方向外側に湾曲する湾曲部分を有し、前記貫通孔が前記湾曲部分の内側壁に形成されている。この構成によれば、吸気ダクトの湾曲部分を流れる空気は、遠心力により吸気ダクトの車幅方向外側に向かうが、貫通孔を湾曲部分の内側壁に形成しているので、吸気が過大に漏れ出るのを抑制できる。その結果、吸気の流れに対する影響が小さく済み、吸気性能が低下するのを抑制できる。さらに、湾曲部分の内側壁に貫通孔を形成することで、貫通孔から漏出した吸気音がライダーに届きやすい。
【0013】
本発明の第2構成に係る吸気ダクトは、自動二輪車に搭載されたエンジンのシリンダの後部に設けられた吸気ポートへ空気を導く吸気ダクトであって、前記エンジンンの前方に配置されて走行風を取り入れる空気取入口と、前記シリンダの車幅方向側方を通過して前後方向に延びるシリンダ側方部分と、前記シリンダ側方部分の前方で、後方に向かって車幅方向外側に湾曲する湾曲部分と、前記湾曲部分の内側壁に形成されて吸気音を漏出させる貫通孔とを備えている。
【0014】
この構成によれば、自動二輪車が走行すると、吸気ダクト内に走行風が流れる。このとき、吸気ダクトの壁に形成された貫通孔から吸気音が漏出するので、ライダーが吸気音を認識できる。吸気ダクトの湾曲部分を流れる空気は、遠心力により吸気ダクトの車幅方向外側に向かうが、貫通孔を湾曲部分の内側壁に形成しているので、吸気が過大に漏れ出るのを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエンジンの吸気ダクトによれば、自動二輪車が走行すると、吸気ダクトの壁に形成された貫通孔から吸気音が漏出するので、走行中にライダーが吸気音を認識できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左側」および「右側」は、車両に乗車した運転者から見た左右側をいう。
【0018】
図1は本発明の第1実施形態に係る吸気ダクトを備えた自動二輪車の側面図である。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を形成するメインフレーム1と、後半部を形成するリヤフレーム2とを有している。メインフレーム1の前端にヘッドパイプ4が設けられ、このヘッドパイプ4にステアリングシャフト(図示せず)を介してフロントフォーク8が回動自在に軸支されている。フロントフォーク8の上端部に操向用のハンドル6が固定され、フロントフォーク8の下端部に前輪10が取り付けられている。
【0019】
メインフレーム1の後端部に、スイングアームブラケット9が設けられている。このスイングアームブラケット9に取り付けたピボット軸16の回りに、スイングアーム12が上下揺動自在に軸支されている。このスイングアーム12の後端部に、後輪14が回転自在に支持されている。
【0020】
車体フレームFRの中央下部でスイングアームブラケット9の前側に、エンジンEが取り付けられている。エンジンEがドライブチェーン11を介して後輪14を駆動する。エンジンEは、クランク軸26の軸線方向に複数気筒が並ぶ並列多気筒エンジンで、本実施形態では、4気筒4サイクルの多気筒エンジンである。ただし、エンジンEの形式はこれに限定されるものではない。
【0021】
エンジンEは、クランク軸26を支持するクランクケース28と、クランクケース28の前部の上面から上方に突出したシリンダブロック30と、その上方のシリンダヘッド32と、クランクケース28の下部に連結されたオイルパン33とを有している。シリンダブロック30およびシリンダヘッド32は前方に傾斜し、エンジンEのシリンダを構成している。つまり、エンジンEは、側面視でほぼL字形である。
【0022】
シリンダヘッド32の前面の4つの排気ポート35に、4本の排気管36が接続されている。これら4本の排気管36が、エンジンEの下方で集合され、後輪14の右側に配置された排気マフラ38に接続されている。エンジンEの前方にラジエータ25が配置されている。
【0023】
メインフレーム1の上部に燃料タンク15が配置され、リヤフレーム2にライダー用シート18および同乗者用シート20が支持されている。また、車体前部に、樹脂製のカウリング22が装着されている。カウリング22は、前記ヘッドパイプ4の前方から車体前部の側方、詳細にはハンドル6の下方でラジエータ25の外側方にかけての部分を覆っている。カウリング22には、空気取入口24が形成されている。空気取入口24は、カウリング22の前端に位置し、外部からエンジンEへの吸気を取り入れる。カウリング22の内側でラジエータ25の前方に、カウリング22を後方から覆うインナカバー27が設けられている。
【0024】
車体フレームFRの左側に、吸気ダクト50が配置されている。吸気ダクト50は、前端開口50aをカウリング22の空気取入口24に臨ませた配置でヘッドパイプ4に支持されている。つまり、吸気ダクト50の前端開口50aが空気取入口24に連通している。吸気ダクト50の前端開口50aから導入された空気は、ラム効果により昇圧される。吸気ダクト50の詳細は後述する。
【0025】
シリンダブロック30の後方でクランクケース28の後部の上面に、エアクリーナ40および過給機42が、エアクリーナ40を外側にして車幅方向に並んで配置されている。吸気ダクト50は、エンジンEの前方からシリンダブロック30およびシリンダヘッド32の左外側方を通過して、エアクリーナ40に走行風を吸気として導いている。過給機42は、エアクリーナ40で浄化された清浄空気を加圧してエンジンEに供給する。
【0026】
過給機42とエンジンEの吸気ポート54との間に、吸気チャンバ52が配置され、過給機42と吸気チャンバ52とが直接接続されている。吸気チャンバ52は、過給機42から供給された高圧の吸気を貯留する。吸気チャンバ52とシリンダヘッド32の後部の吸気ポート54との間には、スロットルボディ44が配置されている。吸気チャンバ52は、過給機42およびスロットルボディ44の上方でシリンダヘッド32の後方に配置されている。エアクリーナ40は、側面視で、クランクケース28とその上方の吸気チャンバ52との間に配置されている。吸気チャンバ52およびスロットルボディ44の上方に、前記燃料タンク15が配置されている。
【0027】
図2に示すように、過給機42はエアクリーナ40の右側に隣接して配置され、図示しないボルトによりクランクケース28の上面に固定されている。過給機42は車幅方向に延びる回転軸心AXを有し、クランクケース28の上方でエンジンEの幅方向の中央部に、左向きに開口した吸込口46が位置し、エンジンEの車幅方向の中央部で回転軸心AXよりも後方に吐出口48が位置している。過給機42の吸込口46にエアクリーナ40の出口59が接続され、エアクリーナ40の入口57に吸気ダクト50の後端部50bが車幅方向外側から接続される。
【0028】
吸気チャンバ52の前部に、吸気チャンバ52の空気圧力、すなわち過給機42の下流側の圧力を調整するリリーフ弁80が設けられている。リリーフ弁80に、高圧空気Aをエアクリーナ40に送るリリーフ通路82を構成する逃がし配管83が接続されている。逃がし配管83は、吸気チャンバ52の右側方を通って後方斜め下方に延びたのち、吸気チャンバ52の下方で、シリンダブロック30およびシリンダヘッド32と過給機42との間を左側方に延びてエアクリーナ40に接続される。
【0029】
図3に示すように、吸気ダクト50は、上流側のダクトフロント69と下流側のダクト本体70とを有している。吸気ダクト50の断面形状は上流側から下流側にかけて一様ではないが、概ね、角部に丸みを有する矩形である。ダクトフロント69は、前端部69aに空気取入口24が形成され、後端部69bでダクト本体70の前端部70aに着脱自在に連結されている。ダクトフロント69は、前端部69aから後端部69bにかけて徐々に通路面積である横断面積が大きくなっており、これによってラム効果が得られて、吸気Iの圧力が上昇する。ダクト本体70は、エンジンEの車幅方向側方、この実施形態では、左側方を通って前後方向に延びたのち、ダクト後端部50bを形成する後端部70bで、エアクリーナ40に着脱自在に接続されている。
【0030】
図1に示すように、ダクトフロント69は、ヘッドパイプ4よりも前方に位置し、その全体がカウリング22により外側方から覆われ、
図4からわかるとおり、その大部分がカウリング22により上方からも覆われている。ダクト本体70は、その前部を除いた大部分がカウリング22から外側方に露出している。ダクト本体70は、ダクトフロント69よりも前後方向長さが大きい。
【0031】
図3のダクト本体70は、上流部である前端部70aから後方の下流部70cに向かって徐々に断面積が小さくなるように設定されており、前端部70aから下流部70cにかけて徐々に流速が増加する。ダクト本体70は、下流部70cで車体内側に湾曲してエアクリーナ40に接続されている。
【0032】
図3の吸気ダクト50は、吸気Iの流れ方向の中間部で最下部50dを有している。このように、中間部に最下部50dを設けることで、吸気ダクト50が側面視でV字形状となる。ただし、吸気ダクト50の形状は、このようなV字形に限定されず、ストレート形状であってもよい。
【0033】
ダクトフロント69の上面に、取付片72が前後方向に並んで2つ設けられている。この取付片72を介してダクトフロント69は、ボルト(図示せず)により、
図4のカウリング22の内面に設けたカウルステー67(
図5)に支持されている。つまり、ダクトフロント69は、カウリング22を介してメインフレーム1に支持されている。
【0034】
詳細には、後方斜視図である
図5に示すように、第1ブラケット75がボルト74によりカウルステー67に固定されており、ダクトフロント69の2つの取付片72,72が第1ブラケット75にボルト76を用いて連結されている。前側の取付片72と第1ブラケット75は、第2ブラケット78を介して連結されている。具体的には、第1ブラケット75と第2ブラケット78がボルト84で連結され、前側の取付片72と第2ブラケット78が前記ボルト72で連結されている。第2ブラケット78の上面に、ETCアンテナ受信部85が設置されている。つまり、第2ブラケット78は、ETCアンテナ受信部85の取付を兼ねている。これにより、部品点数を減らすことができる。
【0035】
ダクト本体70に、メインフレーム1に向かって突出する突起68がインサート成形によって一体に形成されている。突起68は、ダクト本体70の前後方向中間部の内側面に設けられ、メインフレーム1に形成された係合孔(図示せず)に差し込まれて係合されている。
【0036】
図2に示す吸気ダクト50の内側壁50iに、吸気ダクト50の内部と外部とを連通する貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、走行中に吸気ダクト50を流れる空気の吸気音を漏出させるために設けられる。本実施形態では、貫通孔60は、
図6に示すように、内側壁50iに設けられているが、上壁50uに設けてもよい。内側壁50iまたは上壁50uに、貫通孔60を設けると、貫通孔60が外側方に露出しないので、外観を損なわない。
【0037】
貫通孔60は、複数設けられており、本実施形態では、内径18mmの円孔が、
図2に示すように6個設けられている。貫通孔60を複数とすることで、大きな内径の単一の貫通孔とした場合よりも、吸気ダクト50の強度上有利となる。貫通孔60の数は、好ましくは4〜8個である。3個以下では貫通60孔の内径が大きくなって吸気ダクトの強度が低下する恐れがあり、9個以上では加工性が低下する。複数の貫通孔60は、後方に向かって上方に傾斜して配置されている。本実施形態では、吸気ダクト50の後側のダクト本体70に、貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、ダクト本体70を型成形で形成すると同時に形成される。ただし、貫通孔60をダクト本体70の成形後に、後工程で形成してもよい。
【0038】
貫通孔60は、雨の入らない場所、外部から見えない場所、ライダーが目視しにくい場所、ライダーの耳に近い場所に設けるのが好ましい。具体的には、貫通孔60は、以下のような場所に設けられる。
【0039】
貫通孔60は、ヘッドパイプ4よりも後方でライダー用シート18よりも前方に配置されている。また、貫通孔60は、インナカバー27よりも後方に配置されている。貫通孔60は、ハンドル6の可動範囲の下方に配置されている。特に、貫通孔60は、直進姿勢時のハンドルグリップの直下から前方へ30cmまでの範囲に位置しているのが好ましい。また、
図4に示すように、貫通孔60は、吸気ダクト50におけるカウリング22により覆われる部位に配置されている。これにより、貫通孔60が外側方に露出しないので、外観が損なわれない。
【0040】
吸気ダクト50は、シリンダブロック30およびシリンダヘッド32の車幅方向左側方を通過して前後方向に延びるシリンダ側方部分62を備え、貫通孔60がシリンダ側方部分62の前方に形成されている。詳細には、吸気ダクト50は、シリンダ側方部分62の前方に、後方に向かって車幅方向外側に湾曲する湾曲部分64を有し、貫通孔60が湾曲部分64の内側壁に形成されている。
【0041】
図1のメインフレーム1は、ヘッドパイプ4から後方に延びるとともに車幅方向に広がる傾斜部分(前部分)1aと、傾斜部分1aから後方に延びる後部分1bとを有する。貫通孔60は、傾斜部分1aと車幅方向に対向する位置に形成されている。これにより、
図4に示す貫通孔60とメインフレーム1との間に車幅方向の隙間があるので、吸気音がライダーに向かいやすい。貫通孔60を傾斜部分1aよりも前方に配置してもよい。
【0042】
図2に示す吸気ダクト50の内側に、自動二輪車のケーブル類66が配置されている。ケーブル類66は、電気配線、油圧ホースを含む。これにより、ケーブル類66が外側方に露出するのが防がれ、自動二輪車の外観が向上する。
【0043】
図4に示すように、カウリング22の前端における吸気ダクト50がない右側に、走行風Bを後方に導く導風孔86が形成されている。詳細には、
図7に示すように、カウリング22の前面の右側に、第1導風部材88が取り付けられている。さらに、第1導風部材88の外側方、つまり右側に第2導風部材90が配置され、カウリング22に取り付けられている。第1導風部材88および第2導風部材90は、ねじ体のような締結部材92によりカウリング22に取り付けられている。
【0044】
第1導風部材88の前端に、導風孔86へ走行風Bを取り入れるスリット状の導入孔94が形成されている。導風孔86は、カウリング22の外側面、第1導風部材88の内面および第2導風部材90の内面により形成されている。第1導風部材88の後端に、導風孔86を通過した走行風Bをカウリング22の外側方へ導出する導出孔96が形成されている。導出孔96は、第1導風部材88の後端縁とカウリング22の外側面との隙間により形成される。導風孔86を設けることにより、自動二輪車のCD値(空気抵抗係数)が向上する。ただし、導風孔86はなくてもよい。
【0045】
上記構成において、自動二輪車が走行すると、走行風Bが
図1の空気取入口24から吸気ダクト50に吸気Iとして取り入れられる。吸気Iは、吸気ダクト50内を後方に向かって流れ、車幅方向内側に向きを変えながらエアクリーナ40へ導かれ、エアクリーナ40内で浄化されたのち、過給機42に導入される。
【0046】
過給機42に導入された吸気Iは、過給機42で昇圧されたのち、吐出口48から上方へ導出される。過給機42から導出された高圧空気Aは、上方の吸気チャンバ52に導かれたのち、
図1のスロットルボディ44を経由してエンジンEの吸気ポート54に供給される。このとき、吸気ダクト50の貫通孔60から吸気Iの一部が漏出する。ライダーは、貫通孔60から漏出する吸気音を確認することで、過給機42の稼働、吸気の流れ等を認識できる。また、エンジン回転数に応じて変化する吸気音を確認することで、回転数を把握できる場合もある。
【0047】
過給機42よりも下流側の過給気通路内の圧力が所定値よりも高くなると、吸気チャンバ52に設けられた
図2のリリーフ弁80が開動作し、吸気チャンバ52を含む過給気通路内の圧力を調整する。その際にリリーフ弁80から逃がされた高圧空気Aは、リリーフ通路82を構成する逃がし配管83を通って、エアクリーナ40に戻される。リリーフ時には貫通孔60からの吸気音が変化するので、このような吸気音を確認することで、リリーフ状態を把握できる場合もある。
【0048】
図1に示すように、貫通孔60は、ヘッドパイプ4よりも後方でライダー用シート18よりも前方に配置されているので、ライダーに近い位置で吸気音を漏出させることができる。したがって、ライダーが吸気音を認識しやすい。
【0049】
また、貫通孔60はがインナカバー27よりも後方に配置されているので、カウリング22とインナカバー27に覆われていない部分から吸気音が漏出する。したがって、ライダーが吸気音を認識しやすい。
【0050】
さらに、貫通孔60は、ハンドル6の可動範囲の下方に配置されている。ハンドル6の下方は、ハンドル6を回動させるための空間が形成されているので、ライダーに吸気音が届きやすい。
【0051】
図2に示すように、貫通孔60は、吸気ダクト50の内側壁50iに形成されているので、貫通孔60から漏出した吸気音がライダーに届きやすい。
【0052】
図4に示すように、貫通孔60は、吸気ダクト50におけるシリンダ側方部分62の前方の湾曲部分64の内側壁50iに形成されている。吸気ダクト50の湾曲部分64を流れる空気は、遠心力により吸気ダクト50の車幅方向外側に向かうが、貫通孔60は湾曲部分64の内側壁50iに形成されているので、吸気Iが過大に漏れ出るのを抑制できる。
【0053】
図8は本発明の第2実施形態に係る吸気ダクトを備えた自動二輪車の側面図である。第2実施形態の自動二輪車は、過給機42を搭載しておらず、これに代えて、エアクリーナ40の下流側に変向ダクト98が配置されている。変向ダクト98は、エアクリーナ40を通過して右方向に流れる吸気Iを上向きに変えて、吸気チャンバ52に導出する。それ以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0054】
第2実施形態においても、自動二輪車が走行すると、吸気ダクト50内に吸気Iが流れ、吸気ダクト50の貫通孔60から吸気音が漏出する。したがって、ライダーが吸気Iの流れを認識できる。
【0055】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、
図1の吸気ダクト50はシリンダヘッド32の上方を通過してもよい。その場合、貫通孔60は、吸気ダクト50上壁50uに設けるのがよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。