特許第6408382号(P6408382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408382
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】電気自動車の分散型インテリジェンス
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20181004BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20181004BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20181004BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181004BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20181004BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   H02J3/14
   H02J3/14 160
   H02J13/00 311T
   H02J13/00 301A
   H02J7/00 P
   H02J7/02 F
   B60L11/18 C
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-557134(P2014-557134)
(86)(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公表番号】特表2015-510199(P2015-510199A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】IB2013000666
(87)【国際公開番号】WO2013121291
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】61/598,109
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510290957
【氏名又は名称】アクセンチュア グローバル サービスィズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】ドーン,ジョン ズィー
(72)【発明者】
【氏名】マルコム,ウェイド ピー
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−512727(JP,A)
【文献】 特開2011−061931(JP,A)
【文献】 特開2003−259696(JP,A)
【文献】 特開2011−199953(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/017937(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/116767(WO,A1)
【文献】 特表2010−540907(JP,A)
【文献】 特開2012−231559(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0138066(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0134067(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0153474(US,A1)
【文献】 特開2012−44808(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0016063(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/011739(WO,A1)
【文献】 千原 晋平 外1名,EV充電インフラ,NEC技報,日本,日本電気株式会社,2012年 2月 1日,第65巻/第1号,p.19-p.23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/06
H02J 3/14
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 13/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力追跡および電力割り当てのための方法であって、前記方法は、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つのコンピュータによって実行可能であり、前記方法は、
前記少なくとも1つのコンピュータによって、発電機、変電所およびフィーダ回路を含む電力グリッドの電力送電アセットおよび電力配電アセット内のシステムおよび充電インフラストラクチャに関係する第1のパラメータと、複数の電気自動車に関係する第2のパラメータであって、前記複数の電気自動車のうちの1台の電気自動車(EV)と関連付けられ、充電ポイントとして前記電力グリッド中に地理的に分散された1つ以上の充電ステーションにおいて、前記EVの旅行計画に従って前記EVを充電するためにスケジュールされた時間およびスケジュールされた位置を含むことを特徴とする前記第2のパラメータとを受信するステップと、
前記フィーダ回路に接続され前記スケジュールされた位置に地域的に配置された充電ステーションの利用可能な電力を判断するために、前記少なくとも1つのプロセッサを使用して前記第1のパラメータを分析するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサを使用して前記第1のパラメータおよび前記複数の電気自動車の前記第2のパラメータを分析するステップであって
前記複数の電気自動車の前記第2のパラメータの集約に基づき、前記スケジュールされた時間および前記スケジュールされた位置における電力需要を予想するステップと、
前記電気自動車の充電のための前記スケジュールされた時間およびスケジュールされた位置において、前記充電ステーションにて前記利用可能な電力によって前記電力需要が達成可能かどうかを判断するステップと
を含む、前記分析するステップと、
前記利用可能な電力によって前記電気自動車充電するための前記電力需要が達成不可能であると判断するのに応答して、前記プロセッサが、
電気自動車充電のために利用可能な電力の不足を補うために、前記電力グリッドにおいて、前記スケジュールされた時間および前記スケジュールされた位置における電力の割り当ておよび供給を含む需要応答を実行することと、
前記需要応答に従って前記電気自動車を充電することを奨励するために、EV需要家の少なくとも1人と奨励金または割増金を関連付ける経済的ルールを実行することと
をする命令を実行するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、充電ステーションに関して運用上の制限が存在するかどうかと、充電ステーションが前記EV需要家によって予約されているかどうかと、異常イベントの存在と、充電ステーションに関係するインフラストラクチャ能力のレベルとからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、オンサイト電力貯蔵が存在するかどうか、およびEV充電をサポートするために十分であるかどうかを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、EV充電に寄与するオンサイト発電が利用可能かどうかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記電気自動車が新規需要家であるかまたは既存需要家であるか、および前記需要家によりどのように決済が行われるかに基づき、前記EV需要家の少なくとも1人と前記奨励金または前記割増金を関連付けるビジネスルールを実行するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記経済的ルールに関係するパラメータは、充電ステーションでの充電時に有効なレート、ピーク価格設定において有効な需要応答レート、および地域的レートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記経済的ルールに関係するパラメータは、所望の時間に充電に利用可能な電力を削減または停止することになる需要応答イベントへの不参加に対するペナルティ、および需要応答の間の取引に対し適用可能なレートまたは料金を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
電力追跡および電力割り当てのためのシステムであって、
少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む少なくとも1つのコンピュータであって、発電機、変電所およびフィーダ回路を含む電力グリッドの電力送電アセットおよび電力配電アセット内のシステムおよび充電インフラストラクチャに関係する第1のパラメータと、複数の電気自動車に関係する第2のパラメータであって、前記複数の電気自動車のうちの1台の電気自動車(EV)と関連付けられ、充電ポイントとして前記電力グリッド中に地理的に分散された1つ以上の充電ステーションにおいて、前記EVの旅行計画に従って前記EVを充電するためにスケジュールされた時間およびスケジュールされた位置を含むことを特徴とする前記第2のパラメータとを受信するよう構成された、前記少なくとも1つのコンピュータ
を含む、システムであって、前記プロセッサは、
前記フィーダ回路に接続され前記スケジュールされた位置に地域的に配置された充電ステーションの利用可能な電力を判断するために前記第1のパラメータを分析することと、
前記複数の電気自動車の前記第2のパラメータの集約に基づき、前記スケジュールされた時間および前記スケジュールされた位置における電力需要を予想し、前記電気自動車を充電するための前記スケジュールされた時間およびスケジュールされた位置において、前記充電ステーションにて前記利用可能な電力によって前記電力需要が達成可能かどうかを判断するために、前記第1のパラメータおよび前記複数の電気自動車の前記第2のパラメータを分析することと、
前記利用可能な電力によって前記電気自動車充電に対する前記電力需要が達成不可能であると判断するのに応答して、
電気自動車充電のために利用可能な電力の不足を補うために、前記電力グリッドにおいて、前記スケジュールされた時間および前記スケジュールされた位置における電力の割り当ておよび供給を含む需要応答を実行し、
前記需要応答に従って前記電気自動車を充電することを奨励するために、EV需要家の少なくとも1人と奨励金または割増金を関連付ける経済的ルールを実行することと
をするよう構成される、システム。
【請求項9】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、充電ステーションに関して運用上の制限が存在するかどうかと、充電ステーションが需要家によって予約されているかどうかと、異常イベントの存在と、充電ステーションに関係するインフラストラクチャ能力のレベルとからなる群から選択される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、オンサイト電力貯蔵が存在するかどうか、およびEV充電をサポートするために十分であるかどうかを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記電気自動車が新規需要家であるかまたは既存需要家であるか、および前記需要家によりどのように決済が行われるかに基づき、前記EV需要家の少なくとも1人と前記奨励金または前記割増金を関連付けるビジネスルールを実行するようさらに構成された請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムおよび充電インフラストラクチャに関係する前記第1のパラメータは、EV充電に寄与するオンサイト発電が利用可能かどうかを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記経済的ルールに関係する前記パラメータは、充電ステーションでの充電時に有効なレート、ピーク価格設定において有効な需要応答レート、および地域的レートを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
前記経済的ルールに関係するパラメータは、所望の時間に充電に利用可能な電力を削減または停止することになる需要応答イベントへの不参加に対するペナルティ、および需要応答の間の取引に対し適用可能なレートまたは料金を含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年2月13日に提出された米国特許仮出願第61/598,109号の優先権を主張するものであり、その内容全体をこの参照によって引用したものとする。
【0002】
1.開示の分野
本開示は、全般的に、産業ネットワークを管理するシステムおよび方法に関し、特に、電気自動車の電力の配電および充電を管理するために、産業ネットワークの種々のセクションにおいてデータを収集し、収集されたデータを分析するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
電力グリッドは、電気発電、電力送電、および電気配電のうちの1つまたはすべてを含み得る。電気は、例えば石炭火力発電所、原子力発電所などの発電所を使用して発電され得る。発電された電力は、効率性のために、超高電圧(very high voltage)(345Kボルトなど)に昇圧されて送電線上で送られる。送電線は、州の境界を横断して、または国境を横断してなど、その卸売客に届くまで電力を長距離送ることもあり、卸売客は、地域の配電網を所有する企業であることもある。送電線は、送電変電所で終わることもあり、送電変電所が、超高電圧を、一次電圧(intermediate voltage)(138Kボルトなど)に降圧することもある。送電変電所からは、より小さな送電線(副送電線など)が一次電圧を配電変電所へ送る。配電変電所において、一次電圧は再び「二次電圧(medium voltage)」(4Kボルト〜23Kボルトなど)に降圧されることもある。1つ以上のフィーダ回路が、配電変電所から出ていることもある。例えば、4〜数十のフィーダ回路が、配電変電所から出ていることもある。フィーダ回路は、4つのワイヤを含む3相回路である(3相それぞれの3つのワイヤ、および中性の1つのワイヤ)。フィーダ回路は、地上(柱上)または地下のいずれかで配線され得る。フィーダ回路上の電圧は、配電変圧器を使用して定期的に取り出されることもあり、配電変圧器は、「二次電圧」から需要家電圧(120Vなど)に電圧を降圧する。次に、この需要家電圧は、例えば電気自動車を充電するために、需要家により使用され得る。
【0004】
1つ以上の電力会社が、電力グリッドに関係する故障、保全、および改良の管理を含む、電力グリッドの管理を行うこともある。しかし、電力グリッドの管理は非効率的かつ高価なことが多い。例えば、地域の配電網を管理する電力会社は、フィーダ回路内、またはフィーダ回路から分岐するラテラル回路(lateral circuit)と呼ばれる回路上で生じ得る故障を管理することもある。地域の配電網の管理は、供給停止が生じたときの需要家からの電話を当てにすること、または地域の配電網を分析する現場作業者を当てにすることが多い。
【0005】
電力会社は、「スマートグリッド」と呼ばれることもあるデジタル技術を使用して、電力グリッドの改良を試みてきた。例えば、よりインテリジェントな計器(「スマート計器」と呼ばれることもある)は、従来の計器よりも詳しく消費を特定する高度な計器の一種である。その結果、スマート計器は、監視および請求のために、当該情報を何らかのネットワークを介して地域の電気会社(utility)に伝達することができる(遠隔測定)。このような、電力グリッドの改良における昨今の進歩は有益であるが、さらなる進歩が必要である。米国だけで、発電容量の半分が未使用であり、長距離送電網容量の半分が未使用であり、さらにその地域配電の3分の2が未使用であると報告されている。したがって、電力グリッドの管理を改善する必要があることは明らかである。
【0006】
電力グリッドの管理の具体的な一例は、電気自動車(「EV:electric vehicle」)の充電に関する。電気自動車産業は成長しつつあり、電気自動車数の増大をサポートするためにますます多くのEV充電ステーションが商業立地および住宅立地の両方に増設されている。充電ステーションの数が増加するのに伴い、電力グリッドから取り出されるそれらの負荷が、特に、人々が典型的に電気自動車を接続して充電を行う夜間に増大しつつある。グリッドの各セクションは、(充電ステーションのタイプによっては)短期間にかなりの電力量を取り出すことができる充電ステーションからの負荷の増大に、対処できないかもしれない。したがって、充電ステーションを効率的かつ効果的に管理する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、全般的に、産業ネットワークを管理するシステムおよび方法に関する。本願明細書に開示される実施形態は、電気自動車の電力配電および充電を管理するために、産業ネットワークの種々のセクションにてデータを収集し、収集されたデータを分析するシステムおよび方法を表す。
【0008】
電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのためのシステムおよび方法は、少なくとも1つのコンピュータによって、電力グリッド中の分散した位置にある、識別された複数の充電ステーションおよび需要家の自動車から、データを受信するステップと、少なくとも1つのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサを用いて、当該位置の利用可能な電力、ならびに需要家の使用履歴およびプロファイルに関してデータを分析するステップと、少なくとも1つのプロセッサを用いて、分析に基づいて、電力需要における変動または予想される変動に対処するために、電力グリッドのアセットに電力を再割り当てするためのコマンドを送信するステップとを含んでもよい。分析は、一日のうちの時刻および/または週のうちの曜日をさらに考慮してもよい。分析は、プロファイル内の需要家プリファレンスをさらに考慮してもよい。分析は、計画された旅行または計画された充電に関する、需要家によるリアルタイムの入力をさらに考慮してもよい。
【0009】
電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのためのシステムおよび方法はさらに、少なくとも1つのコンピュータによって、電力グリッドの電力送電アセットおよび電力配電アセット内のシステムおよび充電インフラストラクチャに関係する第1のパラメータと、電気自動車(EV)需要家および需要家プリファレンスに関係する第2のパラメータとを受信するステップと、電力グリッドのアセットに接続された充電ステーションの利用可能な電力を判断するために、少なくとも1つのプロセッサを使用して第1のパラメータを分析するステップと、充電ステーションにて利用可能な電力によって需要家プリファレンスに関連したEV充電が達成可能かどうかを判断するために、少なくとも1つのプロセッサを使用して第1および第2のパラメータを分析するステップと、判断された利用可能な電力によって需要家プリファレンスが達成不可能であると判断するのに応答して、プロセッサが、EV充電のために利用可能な電力の不足を補うために、電力グリッドにおいて需要応答を実行することと、EV需要家が需要応答に従うことを奨励するために、EV充電に対して策定された経済的ルールを実行することとをする命令を実行するステップとを含んでもよい。
【0010】
以下の図面および詳細な説明を検討すると、当業者には、他のシステム、方法、および特徴が明らかであるか、または明らかなものとなるであろう。そのようなさらなるシステム、方法、特徴はすべて、本記載の中に含まれ、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲により保護されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例えばEV充電インフラストラクチャおよび動作センターなど、電気自動車(「EV」)およびEV充電ステーションの分散ネットワークのインテリジェントな管理のための例示のシステムのブロック図である。
図2図1のシステムの高度なバージョンのブロック図であり、図1のEV充電インフラストラクチャ管理システムのさらなる実施形態における追加の能力を示す。
図3図1および2のEV充電インフラストラクチャ管理システムの階層構造図のブロック図であり、グリッドの種々のレベルならびに電気自動車およびEV充電ステーションのフリート(fleet)の間の電力の潮流および通信のタイプを示す。
図4】運転者が、移動中に、使用する充電ステーションを発見してそこまで移動することを支援するために、リアルタイムデータを運転者に提供するEVモバイルアプリケーションの使用を示す、説明のための図であり、EVモバイルアプリケーションは、図1〜3のEV充電インフラストラクチャ管理システムに統合される。
図5図1〜3のEV充電インフラストラクチャ管理システムとインターフェースで接続し、かつその一部である、例示のEV最適化エンジンソリューションのアーキテクチャのブロック図である。
図6】ルールプロセッサへの入力を示す例示の充電インフラストラクチャ制御のブロック図である。
図7】電気自動車の充電をサポートする電力グリッドにおける電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのための、例示の方法のフローチャートである。
図8】電気自動車の充電をサポートする電力グリッドにおける電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのための、別の例示の方法のフローチャートである。
図9】特定のコンピュータシステムとなるようプログラム可能な汎用コンピュータシステムであり、本願明細書で参照されるコンピューティングデバイスのいずれかを表現し得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概観として、下記の例示実施形態は、電気自動車の電力消費および充電を管理するために、産業ネットワークの種々のセクションにてデータを収集し、収集されたデータを分析するシステムに関する。ネットワークは、電気自動車(「EV」)およびEV充電ステーションのフリートを含んでもよい。電気自動車およびEV充電ステーションは、中央制御との間で、(数例を挙げると)使用、保全の必要性、およびスケジューリングのデータを提供するために、無線で、有線ネットワーク上で、および/または電力線を介して通信する様々なセンサーを含んでもよい。このデータが、充電インフラストラクチャ管理システムにより使用されてもよい。
【0013】
例えば、運転者が翌日ある場所へ移動するために、一度の充電では不十分であり、さらなる充電を実施するために計画的な停車が途中で必要とされることもある。電気自動車の電力使用の、その他の複雑性により、その電力使用を追跡すること、電気自動車およびEV充電ステーションに関して充電要求、保全、および同様のものを分析および予測すること、電力グリッド側で負荷需要に基づいて電力負荷制限および/または電力供給調整を行うことに対するニーズが生じている。電気自動車の電力使用要求を追跡および制御するのに必要なインテリジェンスは、分散型・動的であり、高度で効率的な形で対処されなければならない特定の課題を提示する。
【0014】
図1は、例えばEV充電インフラストラクチャおよび動作センターなど、電気自動車(「EV」)およびEV充電ステーションの分散ネットワークのインテリジェントな管理のための例示のシステム100を示す。図2は、システム100の別のバージョンである、後述する追加能力を有する別の例示のEV充電インフラストラクチャ管理システム200を示す。充電インフラストラクチャ管理システム100、200の説明では、2009年2月11日出願の米国特許出願第12/378,102号(米国特許出願公開第2009−0281674(A1)号として公開)(代理人整理番号10022−1401)、2009年12月14日出願の米国特許出願第12/637,672号(米国特許出願公開第2010−0152910(A1)号として公開)(代理人整理番号10022−1648)、2010年7月2日出願の米国特許出願第12/830,053号(米国特許出願公開第2011−0004446(A1)号として公開)(代理人整理番号10022−1764)、および2010年3月19日出願の米国特許仮出願第61/315,897号(代理人整理番号10022−1709)を参照し、これらはそれぞれ、その内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。この引用特許出願を、それぞれ‘102、‘672、‘053、および‘897出願と呼ぶ。
【0015】
充電インフラストラクチャ管理システム100、200は、インテリジェントネットワークデータエンタープライズ(以下INDE(Intelligent Network Data Enterprise)と呼ぶ)参照アーキテクチャと関連して、かつ/またはそれを使用して実行されてもよく、INDE参照アーキテクチャは、インテリジェントネットワークデータサービス(以下INDS(Intelligent Network Data Services)と呼ぶ)を使用することで改善されてもよく、いずれも‘102、‘672、‘053、および‘897出願で開示されている。説明されるとおり、INDEおよび/またはINDSのコンポーネントの一部が、充電インフラストラクチャ管理システム100、200のコンポーネントまたは要素の機能または特徴を実行してもよい。
【0016】
充電インフラストラクチャ管理システム100は、フリートにわたる、または様々な家庭用需要家からの、電気自動車の電力使用を追跡するために使用され得る、分散型インテリジェンスシステムを提供する。システム100は、通信に用いられるネットワーク101を含み、ネットワーク101は、有線、または無線、またはその組み合わせとされてもよく、インターネット、およびLAN系またはWAN系を問わず他の通信ネットワークを含んでもよい。複数の需要家コンピュータ102およびモバイルデバイス103が、システム100により提供されるネットワーク101およびサービスにアクセスし得る。
【0017】
システム100は、変電所105を含む電力グリッド104をさらに含み、変電所105には、データを集めて電力割り当てを制御するために論理およびインテリジェンスの一部が存在してもよい。システム100は、複数の公衆充電ポイントまたは充電ステーション106をさらに含む。複数の充電ポイントは、図1に示されているように、標準(AC)充電ポイント106a(タイプI)、または急速(DC)充電ポイント106b(タイプII)、または標準(AC)充電ポイント106aおよび急速(DC)充電ポイント106bの両方を含んでもよい。スマート計器(SM:smart meter)が、充電ステーション106と統合されて、以下のうち1つ、いくつか、またはすべてを実行してもよい:一日のうちの複数の時刻における使用を追跡すること(すべての自動車に基づく使用の全般的な追跡、および/または特定の自動車に対する使用の追跡を含む)。システム100はさらに、関連するEV充電ステーション106がある電気自動車のフリート107を含んでもよく、電気自動車および充電ステーションは、スマート計器(SM)を含んでもよい。システム100はさらに、各自の電気自動車109を運転し、それらを各自の専用充電ステーション106にて充電する、いくつかの家庭用需要家108を含んでもよい。スマート計器(SM)は、家庭用需要家の電気自動車および充電ステーションにも統合されてもよい。別の実施形態では、電気自動車および/または充電ポイントは、それ自体がスマートデバイスであって、下記で開示されるように、分散型インテリジェンスシステムと通信できてもよい。
【0018】
スマート計器およびデバイスは、電力グリッド104から取り出される電力量、一日のうちのどの期間中かを含む電力使用データを、自動車識別情報に基づいて収集してもよい。このデータは、EV充電インフラストラクチャ管理システム100の動作センター110へ送信されてもよい。動作センター110は、‘102、‘672、‘053、および‘897出願に記載されたセキュリティフレームワークなどの複数レベルのセキュリティ111により保護されてもよい。システムの動作センター100は、エンタープライズシステム112、EVコアシステム130、および/または動作コントローラ150を含んでもよいが、これらに限定はされない。動作センター110のこれらの側面は、いくつかの点において‘672および‘053出願のINDEインフラストラクチャおよびシステムと相互に関連し得る。エンタープライズシステム112は、‘672および‘053出願のエンタープライズシステムおよび/またはエンタープライズITと相互に関連し得る。EVコアシステム130は、‘672および‘053出願のINDEコアと相互に関連し得る。さらに、動作コントローラ150は、‘672および‘053出願の動作制御センターと相互に関連し得る。
【0019】
エンタープライズシステム112は、特定の家庭用需要家108ならびにそれぞれのスマート電気自動車および充電ステーション(またはスマート計器)を追跡して、それらに関する決定を下す、顧客関係管理(CRM:customer relationship management)アプリケーション113(SAPにより製造されているものなど)を含んでもよい。顧客関係管理アプリケーション113はさらに、公衆充電ポイントおよび電気自動車のフリートを含む、電力グリッドから離れた他の場所からのデータを追跡および分析してもよい。
【0020】
エンタープライズシステム112は、地理空間インテリジェンスソリューション(GIS:geospatial intelligence solution)アプリケーション114をさらに含んでもよい。GISアプリケーションは、ライフサイクルのあらゆる段階にわたって、重要な地理空間データの効率的な管理を可能にする。GISソフトウェアは、地理空間データの獲得から処理、統合、およびインフラストラクチャ管理まで、重要な地理空間データおよびインテリジェンス情報への効率的なアクセスを可能にする。
【0021】
エンタープライズシステム112は、マスターデータ管理(MDM:master data management)アプリケーション115、すなわち、売上げおよび純利益に対し非常に大きな影響を伴う企業アセットとしてマスターデータを扱うエンタープライズ戦略を、さらに含んでもよい。MDMは、能率化されたビジネスプロセス(オペレーショナルMDM)およびエンタープライズレポーティング(アナリティカルMDM)のために複数のシステムにわたるデータ整合性を促進し、その一方で、エンドツーエンドデータスチュワードシップおよびマスターデータガバナンスを保証する。
【0022】
EVコアシステム130は、ネットワーク動作センター(NOC:network operations center)132、統合レイヤ134、充電ポイントヘッドエンドマネージャX136、別の充電ポイントヘッドエンドマネージャ138、およびヘッドエンドスマート計器140を含んでもよいが、これらに限定はされない。NOC132は、OMS−Oracle(登録商標)Utilities Network Management System(NMS)またはその他何らかのシステムであってもよい。統合レイヤ134は、変電所および充電ポイントまたは充電ステーション、電気自動車、ならびにエンタープライズシステム112など、電力グリッドの様々な部分にデータおよび解析を渡し、それらからのデータおよび分析を統合してもよい。充電ポイントヘッドエンドマネージャ136、138は、計器およびスマート計器との通信(それらからデータを収集して、収集したデータを電気会社に提供するなど)を担当するサブシステムであるヘッドエンドを管理してもよい。ヘッドエンドサービスマネージャ140は、例えば、固有のIDで識別される対応する自動車に関する分散した充電ポイントからの充電データを結合するなど、データをインテリジェントな形で集約してもよい。このように、EVコアシステム130および/またはエンタープライズシステム112によって、それぞれの自動車の充電アクティビティが追跡され、データが分析のために効率的に結合され得る。
【0023】
動作コントローラ150は、ヘッドエンドまたはスマートグリッドゲートウェイ152、および送電系統運用者(TSO:transmission system operator)および/または配電系統運用者(DSO:distribution system operator)を含んでもよいが、これに限定はされない。スマートグリッドゲートウェイ152は、例えば、Oracle(登録商標)Utilities Application Framework(OUAF)に基づく、Oracle(登録商標)Utilities Smart Grid Gateway MV90(Itronの場合)を含んでもよい。スマートグリッドゲートウェイ152は、データタイプを動作センター110の残りの部分が使用できるフォーマットへと適合させるために、測定データの読み込みおよび処理を提供する。
【0024】
さらに図2を参照する。EV充電インフラストラクチャ管理システム200は、追加の機能性および高度化を含んでもよい。システム200は、EV充電など、グリッドから電力を取り出すグリッドの各部分を追跡および制御してもよく、さらに、再生可能エネルギー源120など、グリッドに電力を追加するグリッドの各部分を追跡および制御してもよい。需要家の観点から、分散発電とは、配電グリッドに逆供給できる構内エネルギーを発電する能力である。分散発電の例は、建物の屋根の上のソーラーパネル、小型風力タービン、および例えば発電が必要な時点で余剰エネルギー容量を有する電気自動車などの電気自動車を含む、再生可能エネルギー資源を中心とする。分散型発電は、ローカルエネルギー源からのエネルギー流出量が、計測されるエネルギー流入量から差し引かれ、正味の計測をもたらす。
【0025】
エンタープライズシステム112は、コールセンター116、SAP IS−Uシステム117、Oracle(登録商標)Management Server(OMS)118、および財務管理情報システム(FMIS:financial management information system)119をさらに含んでもよい。コールセンター116は、グリッド、または充電インフラストラクチャシステムの何らかの側面に関する問題に遭遇する、またはそれを目撃する人々からの電話を処理してもよい。その結果、運用者は、トラブルシューティングのための電話、または目撃報告および同様のものなどに関する情報を入力でき、これが、エンタープライズシステム112の解析によりアクセス可能なエンタープライズデータの一部となる。
【0026】
SAP IS−Uシステム117は、電気産業のための業界特有のソリューションであり、特に電気会社をサポートする販売および情報システムである。SAP IS−Uシステム117は、充電サービスを公的・民間需要家に販売すること、およびその販売を管理することを支援してもよい。
【0027】
Oracle(登録商標)Management Server(OMS)118は、Oracle(登録商標)Enterprise Manager(OEM)環境に関連して機能する。OMS118は、複数ノード上で動作できデフォルト設定でDBSNMPという名のスキームドを使用する、「Oracleインテリジェントエージェント」と、データベース管理者がそのOEMドメインを閲覧して制御する管理コンソールとの間の中間階層として機能する。
【0028】
財務管理情報システム(FMIS)119は、予算および支出追跡に関する解析を提供してもよい。日々のレート変化は需要家が所望の予算内で生活する能力に影響するため、本開示の文脈においてFMIS119は、日々のレート変化を追跡する能力を含め、電気自動車の充電に関連するコストを追跡および予測する支援をしてもよい。したがって、FMIS119は、ガソリン価格および同様のものの代わりである電気にどれほど費やしているのかをEV需要家がより高度な形で追跡および制御するのを、システム200が支援できるようにする。FMIS119は、最も画期的なレートが得られる、一日または週のうちのタイミングを考慮すること、および地域的な経済分析を行うことができる。
【0029】
EVコアシステム130は、EV最適化エンジン142および複合イベントプロセッサ(CEP:complex event processor)144をさらに含んでもよく、いずれも図5を参照してより詳細に説明される。EV最適化エンジン142およびCEP144は、下記で説明するとおり、EV充電、裁定取引、および最適化の管理のためにシステム200において利用可能な解析の大部分を提供し得る。
【0030】
動作コントローラ150は、OMSウェアハウス管理システム(WMS:warehouse management system)156、需要管理システム(DMS:demand management system)158、およびDG風力ヘッドエンドマネージャ162をさらに含んでもよい。OMS WMS156は、コストを節約し、生産を加速する、ウェアハウス運用の生産性および効率を改善するよう設計される。OMS WMS156は、グリッドの各部分からの電力の取り出しに従った、グリッド中、ならびに変電所から変電所へ、および柱上から柱上への電力の貯蔵および移動に適用されてもよい。電気自動車の充電は、OMS WMS156が管理を支援するよう設計される、高需要の谷間およびピーク期を生じる。
【0031】
DG風力ヘッドエンドマネージャ162は、再生可能エネルギー源120が、グリッドのどこで、いつ余剰エネルギーとして提供されるかを管理してもよい。これは、ピーク時の間に、最大電力需要下にあるグリッドの部分に対して行われることが可能であろう。
【0032】
DMS158は、電力グリッド104および変電所105の電力配電を制御するために、EVコアシステム130の解析、および場合によっては動作コントローラ150と関連して動作してもよい。DMS158は、電力を電力グリッドの一部分から電力グリッドの別の部分へ移すために、変電所および変圧器にコマンドを送信してもよい。
【0033】
引き続き図1および2を参照する。1つ以上のサードパーティーコロケーションアプリケーション170が、統合レイヤ134と統合されて、動作センター110からデータおよび解析情報を受信してもよい。コロケーションアプリケーション170は、充電ポイント決済システムおよびポータル176ならびにWeb2.0&モバイルデバイスアプリケーション178を含んでもよい。これらのアプリケーションは、電力供給者172、決済プロバイダ174とやり取りしてもよく、需要家102およびモバイルユーザ103のコンピュータおよびモバイルデバイスとやり取りしてもよい。充電ポイントシステムおよびポータル176は、コンピュータ102およびモバイルデバイス103および決済プロバイダ174(クレジットカード会社および/または銀行など)および電力供給者172(電気会社など)の間の連絡役としての機能を果たしてもよい。
【0034】
Web2.0&モバイルデバイスアプリケーション178は、サーバから実行され、モバイルデバイス103上に表示されてもよく、例えば需要家によるEV充電からの電力使用に関連するレート情報、使用データ、および請求情報などの情報を含む。アプリケーション178は、充電ポイント決済システムおよびポータル176が他のコンピュータ102上で利用可能にするのと同じ情報およびデータを、モバイルデバイス103上で利用可能にしてもよい。Web2.0&モバイルデバイスアプリケーション178はさらに、図4に示されているように、ユーザが、充電ポイントステーションを検索し、発見し、地図で示し、ステーションまでターンバイターンの指示を受け、ステーションが利用可能かまたは使用中かを判断し、さらに/またはその充電ポイントステーションでの充電コストについての情報を提供するための機能を、モバイルデバイス103に提供してもよい。さらに、モバイルデバイスユーザは、モバイル(またはその他ハンドヘルドスマート)デバイスから直接、充電セッションを開始および停止すること、ならびにリアルタイムの充電ステータス通知を受信することもできる。
【0035】
図3は、図1および2のEV充電インフラストラクチャ管理システム100、200の階層構造図を示し、グリッドの種々のレベルならびに電気自動車およびEV充電ステーション106のフリート107の間の電力の潮流および通信のタイプを示す。グリッドの種々のレベルは、(4)エンタープライズ、(3)変電所、(2)柱上305、および(1)ローカルを含むが、これらに限定はされない。柱上305は、変圧器レベルを指し、ローカルは、駐車場、充電ステーション、および家などの路上レベルを指す。ホームコントローラ310は、自家(すなわち住宅用)充電ステーション108とネットワーク101との間の通信のためのゲートウェイを提供してもよい。
【0036】
図5を参照して説明される論理および解析は、データの処理または解析の実行が行われている階層レベルに応じて追跡および促進されてもよい。充電アプリケーション312は、グリッドまたは階層構造の各レベルに示されているグリッドのコンポーネントをスマート(またはインテリジェント)にしてもよい。ヘッドエンド136、140、152、および/または162は、エンタープライズレベルでのインテリジェンス、データ処理、およびデータ統合を提供、または少なくとも促進してもよい。
【0037】
充電および電力使用データの通信は、電力線に加えてファイバを含んでもよいグリッド104を介した電力線通信(PLC:power line communication)を含む、様々な方法によって流れてもよい。さらに通信は、ネットワーク101を介して実行されてもよく、ネットワーク101は、無線の態様、ならびにその他、電力線外のコンピュータ化およびネットワーク化された通信を含んでもよい。電気自動車109は、無線で、および/または有線形式で通信して、識別された電気自動車および充電ステーションによる充電レベルおよび充電アクティビティを追跡してもよい。続いて、解析およびインテリジェンスが、電気自動車のユーザに対して、そのモバイルデバイス103、コンピュータ102、および/または例えば自動車内のディスプレイパネルまたはコンピュータなど電気自動車109に返されてもよい。
【0038】
左から右へと、EV充電インフラストラクチャ管理システム200のインテリジェンスの全般的なフローが示されている。ローカルまたは路上レベルでは、スマートデバイスおよび計器が、グリッド104、変電所105、およびネットワーク101を含むシステム200の残りの部分と通信するために、ローカル認証が要求されてもよい。柱上および変電所レベルでは、システム200は、電力配電に関連した一括請求および取引を実行してもよい。
【0039】
変電所レベルでは、グリッド電力需要が、エンタープライズレベルの需要管理システム158に対して予想されてもよい。さらに、柱上レベルと変電所レベルとの間では、システム200は、負荷データをシステム200の一次変電所105へ伝達してもよい。ローカルレベルと柱上レベルとの間では、システム200は、データを負荷変電所へ伝達してもよい。ローカルレベルとエンタープライズレベルとの間では、電気自動車が、充電ポイント決済システムおよびポータル276および/またはWeb2.0&モバイルデバイスアプリケーション178と通信してもよい。最後に、システム200は、エンタープライズレベルのヘッドエンドと、階層構造の他の3つのレベル、すなわち変電所、柱上、およびローカルレベルとの間の通信を提供してもよい。
【0040】
図5は、図1〜3のEV充電インフラストラクチャ管理システム100、200とインターフェースで接続し、かつその一部である、例示のEV最適化エンジンソリューションのアーキテクチャ500である。アーキテクチャ500は、EV最適化エンジン142、複合イベントプロセッサ(CEP)144、需要応答管理システム158、需要家プロファイルデータベース159、電力を消費および/または発電するその他デバイス180、分散型発電204、需要家プロファイルデータベース503、およびデータベースに記憶されてもよい地域別限界価格(LMP:locational marginal price)データ505を含んでもよい。最適化エンジンソリューションアーキテクチャ500のこれらの側面はすべて、1つ以上のサーバ、メモリストレージデバイス、および処理デバイスに結合されてもよく、スタンドアロンコンピュータとして、またはネットワーク101を介して通信する分散型システムとして実装されてもよい。最適化エンジンソリューションアーキテクチャ500の機能はさらに、エンタープライズシステム112内か、EVコアシステム130内か、または動作コントローラ150内かにかかわらず、エンタープライズレベルで実行される他のコンポーネントおよびアプリケーションと共有されてもよい。
【0041】
EV最適化エンジン142は、負荷調整510、スマート充電520、間欠性緩和530、動的な電圧および静電容量(VoltVAr)調整540、アセット管理550、LMP(地域別限界価格)裁定取引560、損失最小化570、およびその他ルール580のためのプロセッサ、または1つ以上のプロセッサによって実行可能なソフトウェアモジュールを含んでもよいが、これに限定はされない。CEP144は、サービスコスト計算器584、負荷使用/コスト追跡器588、および充電需要予想器590を含んでもよいが、これに限定はされない。CEP144は、FMIS119と機能的に統合されてもよく、またはFMIS119から分析データを受信して、それを用いてさらなる分析および予想を実行してもよい。
【0042】
負荷調整510は、変電所上から別の変電所へ、または変圧器間で、またはその他移動など、特定量の電力がある位置から別の位置へ移動された場合の、電力グリッド内の実際の状態をシミュレートしてもよい。
【0043】
スマート充電520は、典型的な一日および典型的な週にわたって電力使用を分散させることによって電力使用を最適化するために、スケジューリングが調整され、かつ/またはEV需要家に提案され得るように、充電ステーション106内および識別された電気自動車109内の個々のスマート計器(SM)を追跡してもよい。
【0044】
間欠性緩和530は、電力の間欠的な供給が必ずしも予測可能とは限らない場合に、それに対処することを目指してもよい。これは、風力などの再生可能エネルギー源を含む。
【0045】
今日、電気事業会社は、その需要家の動的な負荷要求を満たすのに十分な電力を発電することと、その資本コストおよび操業コストを最小限に抑えることとのバランスを見いだすべく常に苦闘している。電気事業会社は、多大な時間および労力を費やして、その物理的目標および経済的目標の両方を達成するために、その発電、送電、および配電システムのあらゆる要素を最適化しようと試みている。多くの場合、「実」発電機は、貴重な資源を消耗するが、その消耗は、効率的に管理されなければ、純利益に直接影響し得る。したがって、エネルギー企業は、「仮想発電機」、すなわち必要なときにオンにできる仮想のエネルギー源という概念を、非常に魅力的であると感じる。仮想発電機は、一般に、電気会社の全般的な発電容量のわずかな割合にしか相当しないが、速やかに配備でき、手頃な価格で、費用効率が高く、電気会社の炭素排出基準達成を支援できるひとつの「グリーンエネルギー」に相当する。
【0046】
仮想発電機は、感知、解析、および自動化によって制御される、動的な電圧および静電容量(Volt/VAr)調整540の形態を使用する。全般的なプロセスは、まず、配電システムに追加の電圧調整器を追加して、電圧プロファイルを平坦化または収斂させる(tightening)ことを伴う。次に、運用電圧境界内で電圧プロファイルを上下に動かすことにより、電気会社は、大きな利益を達成することができる。電圧調整は、VArに影響するため、電気会社は、蓄電器の配置および制御の両方も調整すべきである。
【0047】
アセット管理550は、電気自動車、充電ステーション、再生可能エネルギー源、変電所、および変圧器など、電力グリッド上のアセットへ、およびアセットからの電力潮流要求を管理してもよい。
【0048】
LMP(地域別限界価格)裁定取引560は、需要家が、2つ以上の市場間の価格差を利用して、不均衡を活かした一致する取引の組み合わせを成立させることを可能にするよう実行されてもよく、利益は、市場価格の差である。
【0049】
損失最小化570は、電力グリッドの電線および負荷に固有の電力損失を削減するよう実行されてもよく、これは、‘530出願においても扱われている。
【0050】
複合イベントプロセッサ(CEP)144は、複合イベントの処理を実行してもよく、これは、‘053出願においてもCEP処理として扱われた。複合イベント処理は、プロセス状態、すなわち、電力、時間、または値増分などのレベルの、もしくは単にイベントとしてのカウントの、定義済み閾値を超過する状態の変化を参照する。複合イベント処理は、それぞれのイベント監視、イベントレポーティング、イベント記録、およびイベントフィルタリングを要求する。イベントは、技術的または経済的システムの、およびその中の、任意の物理的、または論理的、またはその他判別される条件に関する状態の変化として観測されてもよく、各状態情報は、付与された、発生の順序を定義するタイムスタンプおよび発生位置を定義するトポロジーマーク(topology mark)を備える。
【0051】
CEP144は、多量のイベントを分析し、最も重要なものを特定し、アクションをトリガする、イベント相関エンジン(イベント相関器)を含んでもよい。CEP144は、概して、高レベルイベントと低レベルイベントとを関連付けるが、CEP144はさらに、ルール180およびその他人工知能を使用して、推定されるイベントを生成してもよい。
【0052】
EV最適化エンジン142は、CEP144と関連して動作して、データを分析し、電力グリッド内の電力使用およびその電力の使用コストを最適化できるイベントを相関させ、さらに/または生じさせてもよい。データは、電気自動車109、EV充電ステーション106、イベント充電または公用フリート107、イベント/自家充電108、分散型発電204、再生可能エネルギー源120、およびすべてグリッドに接続されていてもよいその他デバイス180から受信される電力使用履歴(およびその他需要家データ)を含んでもよいが、これに限定はされない。需要家データは、自動車のプロファイル、需要家が惜しまずに支払う価格、移動および充電の習慣などを含んでもよい。データは、電気自動車が充電ステーションにドッキングされるのをシステム200が必ずしも待つ必要がなく、絶えずデータを集めて追跡できるように、無線インターフェースを介して提供されてもよい。今日では新しい自動車の多くは、動作センター110へ戻る専用データ経路を提供できるセンサーをダッシュボードに含む。
【0053】
EV最適化エンジン142は、分析結果、および提案される制御手段を、DMSシステム158へ送信してもよく、DMSシステム158は続いて、リアルタイムコマンドを電気自動車、EV充電ステーション、変電所、柱上またはパッド変圧器および同様のものへ送信して、電力の潮流と、価格設定および利用可能性に影響する充電タイミングと、充電、電力潮流管理、および電力使用最適化の他の側面に関係するルールとを制御してもよい。CEP144は、サービス、負荷使用のコストを計算し、経時的なコストおよび種々の期間中のコストを追跡してもよい。CEP144はさらに、電力使用の需要、およびその需要に付帯する将来の関連コストを予想してもよい。
【0054】
分析結果は、需要家の電気自動車、コンピュータ、および/またはモバイルデバイスに対して、需要家のグラフィカルユーザインターフェース(GUI:graphical user interface)またはウェブポータル(図4に示されているアプリケーションまたはブラウザまたは同様のものなど)において提示されてもよく、その結果、需要家が理解して、それに基づいて使用および充電に関する決定を下すことができる。GUIは、需要家から選択を受領して、充電時間、位置、継続期間をスケジュールすること、または提案される充電スケジュールに関して予想されるコストに基づき、需要家により設定された予算に従ってスケジュールすることを可能にしてもよい。
【0055】
一例として、需要家は、繁華街を移動していて、しばらくの間、町にいると予想するかもしれない。推定位置に基づき、システム200は、需要家に、充電位置の候補およびレートを提供してもよい。需要家が、それらの位置のうちの1つで充電するための、計画的な停車を指示した場合、システム200(例えばDMS158)は、需要の予想の一部として、その位置にある充電ステーションに対する電力を統制する変電所に通知してもよい。その結果、その変電所は、スケジュールされた時間に追加の電力を移動させて、電気会社が、当該の位置で当該の時間に、需要の増大に確実に対応できるようにしてもよい。需要家が到着すると、充電ステーションは、識別された電気自動車が充電のために接続したという連絡を送信してもよく、するとシステム200(例えばFMIS119)は、現在のレートに従って需要家に課金することができる。
【0056】
電気会社は、需要家が前もって電気自動車を充電する時間および場所をスケジュールすると、需要家に割り戻しを提供して、需要家が将来の需要ニーズについてシステム200に通知するよう奨励して、システム200が見込まれる負荷分散を予想するのを容易にしてもよい。
【0057】
別の例として、需要家は、需要家が通常いつどこで電気自動車を充電したいかに関するプリファレンスを提出して、さらに、需要家のプロファイルを構築するために使用できる他の需要家データを提出してもよい。その結果、需要家が、電気自動車を、希望した時間および位置以外で充電することを決めた場合、システム200は、通常のレートを超える割増金を需要家に課してもよい。
【0058】
本開示の分散型インテリジェンスは、エンタープライズ、変電所、柱上、および路上レベルでなど、図3を参照して説明した種々のレベルで、種々の程度で行われてもよい。様々なレベルにおけるシステム200の機能の一部は、データ収集およびコマンドのパスがより多いと思われるが、データの分析の少なくとも一部は、柱上および/または変電所レベル、すなわちエンタープライズレベルよりも路上レベルの近くで実行されてもよく、これにより、システム200が、EV充電に基づく電力ニーズの変化、ならびにその予想される電力ニーズおよびコストに対してより迅速に対応することを可能にしてもよい。さらに、CEP144が需要予想を立てるのを支援し得る分析の一環として決定木が構築されてもよい。
【0059】
例えば、柱上またはパッド変圧器レベルでは、ルールは、例えば日中、一日のうち最も暑いまたは最も寒い時間帯のなどのピーク電力使用など、想定および判断される負荷プロファイルに基づき変圧器アセットを管理することに関してもよい。ルールは、負荷プロファイルの作成をサポートしてもよく、これは、CEP144により追跡されて、需要家プロファイルデータベース503に記憶されてもよい。その結果、DMSシステム158は、変圧器に対する負荷を作成負荷プロファイル通りに保つために、需要応答を実行してもよい。CEP144は、使用の頻度に基づいて、路上レベルの電力貯蔵を保全するために、保全間隔を追跡および変更してもよい。
【0060】
使用履歴を含む電力使用データがあれば、充電需要予想器590は、需要家プロファイルを使用して、電力を使い果たさず使用を最適化するような形で、見込まれる負荷を判断して供給し得る。これは、多数のフィーダおよび多数の変圧器にわたり、困難なタスクであると思われ、本質的に非常に分散したものであると思われる。
【0061】
各変電所105は、バスと相互接続されてもよいいくつかの変圧器を含む(図3)。システム200は、現場から入ってくるパッドマウント変圧器の負荷を追跡し、使用履歴に関する健全性のチェックを実行し、さらに、複数のフィーダからの負荷を集約して、続いてそれらの集約負荷にルールを適用してもよい。システム200はさらに、このデータ内で、変電所105のホットスポットを探してもよい。このようにして、システム200は、変電所変圧器に対する負荷をより正確に追跡し、負荷を制御してもよい。
【0062】
EV最適化エンジン142または充電アプリケーション312など変電所レベルの等価なものにより実行されるルールは、負荷が変電所間で共有され得る切り替えルールであってもよい。負荷は、エンタープライズレベルまたは変電所レベルで制御可能であると考えられる。さらに、運用者が、任意選択で、変電所レベルにおいて確認または介入を行い、負荷が確実に、複数の変圧器にわたって適切に分散されるようにしてもよい。システム200は、変電所におけるより複雑なアセット監視を得ることができてもよい。ファイバ上、無線、または電力線を介して通信するセンサーが変圧器上に配置されて、そのデータを、充電アプリケーションに結合された変電所コントローラおよびエンタープライズ通信システム(図3)に渡してもよい。
【0063】
システム200はさらに、電流および電圧制御など、柱上またはパッド変圧器にあるインテリジェンスを含んでもよい。システム200は、電力品質問題があるかどうか、瞬時値およびスペクトル成分を調べることができる。負荷使用追跡器588および/または充電アプリケーション312は、電流および電圧の感知された測定値を集め、変圧器の品質および信頼性を検証し、電力線および変圧器における位相接続性(phase connectivity)を検証してもよい。負荷使用追跡器588および/または充電アプリケーション312に読み込まれるパラメータに応じて、システム200は、各変圧器に対する電力負荷を増減してもよい。
【0064】
仮に電気自動車の所有者全員が、その電気自動車を、例えば夕方5時または6時から同時に充電しようとしたとすると、電力グリッドの負荷は非常に高くなり、全負荷に対処できないと考えられる。これは、電気自動車の集中状態がより高いと思われる都市部に特に当てはまる。したがって、EV最適化エンジン142は、そのルール580およびその他論理を使用して、電気自動車を合理的な時間で充電することも促進する公平な形で、変圧器および充電ステーションへの電力潮流を最適化してもよい。一部の充電ステーション106aは、標準(タイプI)充電ステーションであり、細流充電を提供して、より遅い速度で電気自動車を充電してもよく、その一方で、他の充電ステーション106bは、高速充電器(タイプII)であり、したがって、電力グリッド104に対してより大きな消費を生じてもよい。電力は、変電所および接続された変圧器に再配電され、ピーク期の間に、例えば高速充電ステーション106bを含む位置にて追加の電力を提供することができる。
【0065】
図6は、ルールプロセッサ612へのデータ入力を示す例示の充電インフラストラクチャ制御600のブロック図である。ルールプロセッサ612は、本願明細書で説明される1つ以上のルールを実行するプロセッサを含んでもよい。ルールプロセッサ612は、どのようなデータが分析されてどのような結果が生成されるのかに応じて、EV最適化エンジン142内、複合イベントプロセッサ(CEP)144、および/または充電アプリケーション312内に含まれ得る。ルールプロセッサ612は、データ入力を受信して、データ入力を分析して、他の出力もあるが特に、(例えばユーザのモバイルデバイスまたは電気自動車に対する)インジケータ、提案、もしくはその他メッセージ、および/または電力割り当てを移すためにグリッドインフラストラクチャの一部を制御するためのコマンドのうちの任意の組み合わせを生成する。
【0066】
ルールプロセッサ612へのデータ入力は、システムパラメータ614、充電インフラストラクチャパラメータ616、ビジネスルールパラメータ618、需要家およびプリファレンスパラメータ620、その他パラメータ622、ならびに経済的ルールパラメータ624を含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0067】
システムパラメータ614は、EVインフラストラクチャの近くの送電および配電コンポーネントに電圧が印加されていて利用可能状態にあるかどうかなど、ローカルアセットの利用可能性を含んでもよいが、これに限定はされない。システムパラメータはさらに、電力フィーダが自動車の充電をサポートできるようなフィーダ利用レベルを示し、そうであれば、どのようなレベル(単数または複数)の充電かを示してもよい。システムパラメータは、オンサイト発電が利用可能かどうかをさらに示してもよい(ソーラーが利用可能か、またはビークルツーグリッドもしくはビークルツービークル充電がサポートされているかなど)。システムパラメータは、オンサイト電力貯蔵が存在するかどうか、およびそれが充電をサポートするため、または補うために十分であるかどうかをさらに示してもよい。パラメータは、何らかの運用上の制限が実施されているかどうか、何らかの異常イベントが検出されているかどうか、EVステーションはどの動作モードか、および付加サービスが提供されるかどうかをさらに示してもよい。
【0068】
インフラストラクチャパラメータ616は、EVインフラストラクチャが機能しているかどうか、充電ステーションの差し込み口がユーザにより予約されているかどうか、およびインフラストラクチャ能力のレベルは何か(レベル1、2、3、またはビークルツーグリッド(V2G:vehicle−to−grid)サポートなど)に関するインジケータを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0069】
ビジネスルールパラメータ618は、EVインフラストラクチャにアクセスする自動車が新規需要家であるか既存需要家であるか、自動車は代車であるか運転者所有であるか、および決済はどのように行われるかを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0070】
需要家およびプリファレンスパラメータ620は、好ましい充電速度;取引コスト(電力の購入および/または販売);ソース発電(例えば「グリーン」)の購入プリファレンス;ステーションの機能をサポートするためにローカルで制御および利用することが可能な、充電ステーションに接続された任意の発電源を表す、接続発電の購入特典(例えば「グリーン」);予約および予約時間;需要家アカウント情報;ならびにインセンティブ、信用、およびペナルティを含んでもよいが、これらに限定はされない。これらのプリファレンスの一部については、既に説明しており、システム200のインテリジェンス判断に入力する。さらに、需要家およびプリファレンスパラメータは、需要家プロファイルから抽出されてもよい。
【0071】
その他のパラメータ622は、天候データか、または、要求される充電もしくは上記に列挙したパラメータに基づいて予想される充電のために十分な電力を提供する能力に影響を及ぼし得る、電力グリッド104内で発生し得る重大イベントかを含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0072】
経済的ルールパラメータ624は、充電ステーションでの充電時に有効なレート;緊急ピーク価格設定またはその他需要応答関係のレートなど、有効な需要応答レート;レートがローカルアセットの利用により決定されるかどうかなど、有効な地域的レート;所望の時間に充電に利用可能な電力を削減または停止させることになる需要応答イベントへの不参加などの任意のペナルティを考慮に入れるかどうか;および需要応答の間の取引に対し適用可能なレートまたは料金を含んでもよいが、これらに限定はされない。
【0073】
ルールは、ルールプロセッサ612へのデータ入力を構成する、上記に列挙されたパラメータのいずれかまたは組み合わせから構築され得る。そのようなルールの一部は、図1〜5を参照して既に説明した。別の例示のルールは、ユーザがその電気自動車の充電を1時間待つと、そのユーザは(1ドルの値引きのように)一定金額を節約すると規定してもよい。別の例示のルールは、対象の充電ステーションでの電力消費を削減しようと試みている需要応答イベントが進行中のときに、ローカル発電または接続された蓄電を利用することに対しては、割増しコストが課されると規定してもよい。
【0074】
図7は、電気自動車の充電をサポートする電力グリッドにおける電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのための、例示の方法のフローチャートである。ブロック710にて、少なくとも1つのコンピュータが、電力グリッド中の分散した位置にある、識別された複数の充電ステーションおよび需要家の電気自動車から、データを受信する。ブロック720にて、少なくとも1つのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサが、当該位置の利用可能な電力ならびに需要家の使用履歴およびプロファイルに関してデータを分析する。ブロック730にて、分析に基づいて電力需要における変動または予想される変動に対処するために、少なくとも1つのプロセッサが、電力グリッドのアセットに電力を再割り当てするためのコマンドを送信する。
【0075】
さらに、ブロック720の分析ステップに対して、ブロック740にて少なくとも1つのプロセッサは、一日のうちの時刻および週のうちの曜日の、一方または組み合わせをさらに考慮してもよい。さらに、ブロック720の分析ステップに対して、ブロック750にて少なくとも1つのプロセッサは、需要家プロファイルに含まれる需要家プリファレンスをさらに考慮してもよい。さらに、ブロック720の分析ステップに対して、ブロック740にて少なくとも1つのプロセッサは、計画された旅行または計画された充電に関する需要家によるリアルタイムの入力をさらに考慮してもよい。
【0076】
図8は、電気自動車の充電をサポートする電力グリッドにおける電力追跡および電力割り当ての分散型インテリジェンスのための、別の例示の方法のフローチャートである。ブロック810にて、少なくとも1つのコンピュータが、電力グリッドの電力送電アセットおよび電力配電アセット内のシステムおよび充電インフラストラクチャに関係する第1のパラメータを受信する。ブロック820にて、少なくとも1つのコンピュータは、電気自動車(EV)需要家および需要家プリファレンスに関係する第2のパラメータを受信する。ブロック830にて、少なくとも1つのコンピュータの少なくとも1つのプロセッサが、電力グリッドアセットに接続された充電ステーションの利用可能な電力を判断するために、第1のパラメータを分析する。ブロック840にて、少なくとも1つのプロセッサは、充電ステーションにて利用可能な電力によって需要家プリファレンスに関連したEV充電が達成可能かどうかを判断するために、第1および第2のパラメータを分析する。
【0077】
ブロック850にて、少なくとも1つのプロセッサは、充電ステーションにて利用可能な電力によって需要家プリファレンスに関連したEV充電が達成可能かどうかに関する決定を出力する。決定が肯定であれば、方法は、ブロック810から再開して繰り返す。決定が否定であれば、ブロック860にて、少なくとも1つのプロセッサは、EV充電に利用可能な電力の不足を補うために、電力グリッドにおいて需要応答を実行するための命令を実行し、ブロック870にて、EV需要家が需要応答に従うことを奨励するために、EV充電に対して策定された経済的ルールを実行する。
【0078】
図8は、特定のコンピュータシステム900となるようプログラム可能な汎用コンピュータシステム900を示し、これは、充電インフラストラクチャ管理システム100、200の任意のサーバ、コンピュータ、またはコンポーネント(またはそのグループ)を表現し得る。コンピュータシステム900は、命令902のセットの順序づけされた列挙を含んでもよく、これは、コンピュータシステム900に、本願明細書で開示された方法またはコンピュータに基づく機能のうちの任意の1つ以上を実行させるために、実行されてもよい。コンピュータシステム900は、スタンドアロンデバイスとして動作しても、または例えばネットワーク101を使用して他のコンピュータシステムもしくは周辺デバイスに接続されてもよい。
【0079】
ネットワーク化された展開では、コンピュータシステム900は、サーバ・クライアントユーザネットワーク環境のサーバの資格で、またはクライアントユーザコンピュータとして、またはピアツーピア(もしくは分散型)ネットワーク環境のピアコンピュータシステムとして動作してもよい。さらにコンピュータシステム900は、インターネットまたはウェブに任意の形式のブラウザを介してアクセスすることを含みこれに限定されない、当該機械によりとられるアクションを規定する命令902のセットを実行できるパーソナルコンピュータまたはモバイルコンピューティングデバイスなど、様々なデバイスとして実装されることも、またはそれに組み込まれることもできる。さらに、記載されたシステムはそれぞれ、個別に、または共同で、命令の1つのセットまたは複数のセットを実行して1つ以上のコンピュータ機能を実行する、サブシステムの任意の集合を含んでもよい。
【0080】
コンピュータシステム900は、情報を伝達するためのバス920上のメモリ904を含んでもよい。コンピュータシステムに本願明細書に記載の作用または動作のいずれかを実行させるよう動作可能なコードが、メモリ904に記憶されてもよい。メモリ904は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能メモリ、ハードディスクドライブ、またはその他任意のタイプの揮発性もしくは不揮発性メモリもしくはストレージデバイスとされ得る。
【0081】
コンピュータシステム900は、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)および/またはグラフィック処理ユニット(GPU:graphics processing unit)などのプロセッサ908を含んでもよい。プロセッサ908は、1つ以上の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル回路、光回路、アナログ回路、その組み合わせ、またはその他、データの分析および処理のための現在既知であるかもしくは後で開発されるデバイスを含んでもよい。プロセッサ908は、論理機能を実装するよう、手動でプログラムされた、またはコンピュータにより生成されたコードなどの命令902のセットまたはその他ソフトウェアプログラムを実装してもよい。論理機能または記載された任意のシステム構成要素は、いくつかある機能の中でも特に、アナログ電気、オーディオ、またはビデオ信号、またはその組み合わせなどのアナログデータソースを、コンピュータ処理への適合性などのために、オーディオビジュアル用、またはその他デジタル処理用のデジタルデータソースに処理および/または変換してもよい。
【0082】
コンピュータシステム900はさらに、ディスクまたは光学式ドライブユニット915を含んでもよい。ディスクドライブユニット915は、例えばソフトウェアなどの命令902の1つ以上のセットを組み込むことができるコンピュータ可読媒体940を含んでもよい。さらに、命令902は、本願明細書に記載された動作の1つ以上を実行してもよい。この命令902は、コンピュータシステム900による実行中、完全または少なくとも部分的にメモリ904内および/またはプロセッサ908内に存在してもよい。したがって、図5内の上記のデータベース503および505は、メモリ904および/またはディスクユニット915に記憶されてもよい。
【0083】
メモリ904およびプロセッサ908はさらに、上記のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。「コンピュータ可読媒体」、「コンピュータ可読ストレージ媒体」、「機械可読媒体」、「伝播信号媒体」、および/または「信号保持媒体」は、命令実行可能システム、装置、またはデバイスによって、またはそれに関連して使用されるソフトウェアを含む、記憶する、伝達する、伝播させる、または搬送する任意のデバイスを含んでもよい。機械可読媒体は、選択的に、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、デバイス、または伝播媒体であってもよいが、これらに限定はされない。
【0084】
さらに、コンピュータシステム900は、ユーザがシステム900のコンポーネントのいずれかとやり取りするために構成された、キーボードまたはマウスなどの入力デバイス925を含んでもよい。コンピュータシステム900は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、陰極線管(CRT:cathode ray tube)、またはそのほか情報伝達に適した任意のディスプレイなどのディスプレイ970をさらに含んでもよい。ディスプレイ970は、ユーザがプロセッサ908の機能を確認するためのインターフェースとして、または特に、メモリ904もしくはドライブユニット915に記憶されたソフトウェアとのインターフェースとしての機能を果たしてもよい。
【0085】
コンピュータシステム900は、通信ネットワーク101を介した通信を可能にする通信インターフェース936を含んでもよい。ネットワーク101は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、またはその組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース936ネットワークは、802.11、802.17、802.20、WiMax、802.15.4、セルラー電話規格、またはその他通信規格など、多数の通信規格を介した通信を可能にし得る。これらの規格の多数は、実際には市販品にまったく採用されないかもしれないため、これらの規格のうちの1つが記載されているというだけで、いずれか1つが好適であることは意味しない。
【0086】
したがって、本方法およびシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにおいて実現されてもよい。本方法およびシステムは、少なくとも1つのコンピュータシステムにおいて集中方式で実現されてもよく、または、種々の構成要素がいくつかの相互接続されたコンピュータシステムに散在する分散方式で実現されてもよい。本願明細書に記載の方法を実行するようになっている任意の種類のコンピュータシステムまたはその他装置が適切である。ハードウェアとソフトウェアとの典型的な組み合わせとして、読み込まれて実行されているとき本願明細書に記載の方法を実行するようにコンピュータシステムを制御するコンピュータプログラムを備えた、汎用コンピュータシステムが考えられる。そのような、プログラムされたコンピュータは、専用コンピュータと見なされてもよい。
【0087】
本方法およびシステムはさらに、本願明細書に記載された動作の実装を可能にするすべての機能を含み、かつ、コンピュータシステムに読み込まれるとこれらの動作を実行できる、コンピュータプログラム製品に組み込まれてもよい。コンピュータプログラムは、現在の文脈では、情報処理能力を有するシステムに、直接、またはa)別の言語、コードもしくは表記法への変換、b)異なる有形形態での複製のいずれかもしくはその両方の後に、特定の機能を実行させることを目的とした、命令のセットの任意の言語、コード、もしくは表記法での任意の表現を意味する。
【0088】
上記で開示された主題は、制限ではなく説明に役立つものと見なされるものとし、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の意図および範囲内に入る当該の変更、拡張、および他の実施形態すべてをカバーすることを目的としている。したがって、本実施形態の範囲は、法律上認められる最大の範囲まで、添付の特許請求の範囲およびその等価物の許容される最も広範な解釈によって決定されるものとし、前述の詳細な記載によっては制限も限定もされてはならない。様々な実施形態について記載したが、当業者には当然のことながら、さらに多くの実施形態および実装が、上記の詳細な記載の範囲内で考えられる。したがって、この実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその等価物に照らして以外には、制限されないものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9