(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
アセンブリの落雷時のパフォーマンスを決定するとき、締結具/複合材料インターフェースは、締結具周囲の領域が大電流に晒されるため特に注目される。複合材料が異方導電特質を有するので、アセンブリの平均的な伝導性の測定値は、アセンブリが大電流にどのように反応するかに関して有用な情報でないことがある。例えば、同じ設置仕様及び同じ平均伝導率を備える締結具のグループから選択される締結具を使用するアセンブリであっても、落雷時のパフォーマンスにおいては(例えば、締結具/複合材料インターフェースの相違により)、比較的大きい変化を提示し得る。異なるアセンブリプロセスが落雷時のパフォーマンスに影響することもある。例えば、同じサイズの締結具で、締まりばめ締結具インターフェースは、すきまばめ締結具インターフェースよりも良好な落雷時特性を有し得る。平均伝導率よりも、締結具周囲の領域での電流密度分布のほうが、アセンブリの落雷時パフォーマンスのより良い指標であり得る。電流密度分布は、後述のように、電気化学析出プロセスを使用して推定され又はマッピングされ得る。
【0010】
図1は、試料102の異方導電特性を評価するためのシステム100の特定の実施形態の図である。試料102は、マトリクス状の導電繊維を含む炭素繊維強化ポリマー(CFRP)もしくは他の複合材料などの複合材料を含み得る又はこれにより形成され得る。特定の実施形態で、複合材料は、ポリマーマトリクスによって共接合された、異方向に配置される複数の繊維プライを含む。下記でさらに記載するように、試料102の異方導電特性を評価するために、試料102に材料が析出され得る。
【0011】
試料102は、連結具110を複合材料に結合することによって、用意され得る。連結具110は、連結具インターフェース112を介して複合材料に結合され得る。使用されるアセンブリプロセスに応じて、連結具インターフェース112は単純なもの又は複雑なものであり得る。単純な連結具インターフェースの例は、締まりばめ連結具インターフェース(例えば、連結具110が複合材料と直接的に物理的接触を伴っている)、及び、すきまばめ連結具インターフェース(例えば、連結具110と複合材料との間に間隙がある)を含む。より複雑な連結具インターフェースは、連結具110と複合材料との間で介在する材料(例えば、接着剤、スリーブ、導電性補助具(conductive aide)、他の材料、又はそれらの組み合わせ)を使用する、連結具インターフェースを含む。異なる連結具及び異なるアセンブリプロセスの影響を比較するために、異なる連結具及び異なるアセンブリプロセスが使用され得る。
【0012】
連結具110が試料102に結合された後、電気めっきなどの電気化学析出プロセスを使用して、材料が試料に析出され得る。例えば、試料102の一部が、めっき浴106内のめっき溶液104に接触させられる。連結具110は電源108に結合され得る。電源108は、めっき溶液104と接触している電極にも結合され得る。電源108は、連結具110を経由して試料102に電流を印加し得る。試料102の繊維(例えば、炭素繊維)が、及び、程度はより低い可能性があるが試料102のマトリクスが、めっき溶液104に電流を伝導し得る。めっき材料(銅など)が、電流に反応して試料102上に析出し得る。
【0013】
試料102の任意の特定の位置に析出しためっき材料の量は、当該特定の位置でめっき溶液に伝導された電流の量に直接的に関係する。例えば、めっき材料が銅である場合、試料102の第1の位置が試料102の第2の位置よりも多くの電流を伝導した結果、試料102で、第2の位置よりも第1の位置でより多くの銅が析出され得る。特定の実施形態で、試料102の異なる部分は、試料における繊維の向き及び配置の結果、異なる方式で電流が伝導され得る。例えば、試料102内の繊維は繊維プライ状に配置され得る。各繊維プライにおいて、繊維は、主に、一又は複数の方向に配向される。解説すれば、繊維は2方向織りで配置され得る。異なるプライは異なる方向に向けられうる。しかしながら、この配置においても、試料102の繊維は全体としてすべての方向に均一に配置されていないかも知れない。解説すれば、試料102が円形である場合、第1の縁部114に露出している繊維は均一に分散されていないかも知れない。さらに、露出している繊維のうちのあるものは連結具110と直接的に交差し得るが、他の繊維はそうではない。したがって、電流が連結具110からめっき溶液104へと伝動されるとき、電流は試料によって異方的に伝導され、結果として、試料102上にめっき材料が不均一に析出する。
【0014】
特定の位置で析出されるめっき材料の量は、(例えば、視覚的に)推定され得る又は測定され得る。特定の実施形態で、特定の位置に析出されためっき材料の質量は、後述するように、析出した材料の高さに基づいて測定され得る。
【0015】
電気化学プロセス(例えば、電解)において析出する質量は、下記のように表すことができる:
ここで、mは電極(例えば、
図1試料102内の繊維)で放出された物質(例えば、めっき材料)の質量(例えば、グラムでの)であり、Qは物質を通過した総電荷であり、Fはファラデー定数(例えば、96485C/mol)であり、Mは物質のモル質量であり、zは物質のイオンの原子価数(イオンあたりの移動される電子(electrons transferred per ion))である。
【0016】
特定の波形及び特定の持続期間に関して、特定の持続期間中に送達される総電荷は、下記によって決定され得る:
ここで、tは持続期間(例えば、秒での)であり、Qは物質を通過した総電荷であり、I(t)は電流波形(例えば、時間の関数としての電流)である。電解プロセスに関して、波形は固定された極性を有する。例えば、電流波形はDC波形であり得る。固定された電流レベルI
0を備えるDC波形に関して、電極に送達される総電荷は:
【0017】
したがって、方程式3を方程式1へ単純化及び置換して、特定の繊維jにおける材料の質量の経時的な変化は、下記のように表され得る:
【0018】
概して円形の断面を備える繊維に関しては、析出した材料の成長が、電極内のイオン移動の空間的な対称性により、球対称であると仮定することが合理的である。すなわち、単一の繊維の端部で、材料は概ね球形に析出すると仮定することができる。繊維上に初めから存在する材料がまったくないと仮定すると、特定の繊維に析出する材料の質量は、析出した材料の繊維上部の高さに、下記の式によって関連付けることができる:
ここで、Δmは材料の質量の変化(例えば、材料の、質量での蓄積)であり、ρは材料の密度であり、D
fは繊維の直径であり、h
2は繊維の上部における材料の最終的な高さ(ここで、繊維上に初めから存在する材料がまったくないので、初めの高さh
1はゼロ)である。
【0019】
方程式(4)を方程式(5)に置換し、Ijについて解くと:
【0020】
方程式(6)は、特定の繊維上に析出するめっき材料の高さに基づいて、当該特定の繊維を通る電流フローを決定するために使用され得る。例えば、試料102に材料を析出させた後、特定の繊維に又は特定の領域内に析出した材料の高さは、高さ感受性のキャリブレートされた光学顕微鏡(例えば、微分干渉コントラスト顕微鏡)を使用して測定され得る。析出した高さは、試料102の第1の縁部114の少なくとも一部の電流密度の2次元マップを生成するために使用され得る。
【0021】
第1の縁部114の部分における電流密度分布を測定又は推定した後、第2の縁部116を露呈するために、第1の縁部114は除去され(例えば、切除され)得る。析出プロセスは、第2の縁部116の部分の電流密度分布を生成するために、第2の縁部116に対して繰り返され得る。新しい縁部(例えば、試料102の漸進的に小さい直径部分)に材料を析出させるプロセスを使用して、試料102の電流密度分布の3次元マップを生成することができる。このようにして、試料102の異方導電特性を、良好な正確さ且つ比較的低コストで測定することができる。
【0022】
上述のプロセスは、使用する(例えば、アセンブリを形成する)材料又はさらなる試験のための材料を選択するために、使用され得る。例えば、上述のプロセスは異なる試料に関して繰り返されることができ、これにより試料の比較が可能となる。試料は、異なる複合材料、異なる締結具、異なる締結具インターフェース(もしくはアセンブリプロセス)、又はそれらの組み合わせを使用することができる。試験される試料の1つの組のうち、より低い均質性の電流分布を備える試料と比較して、より均質な電流分布を備える試料が、より良好な落雷時パフォーマンスを提供することが期待されよう。
【0023】
落雷試験は高額であり長時間を要することがあるので、最も均質性の高い電流分布を有する試料又は試料の組のみが、落雷試験の対象となるアセンブリを形成するために使用され得る。したがって、試料の大きなサンプリングは、上述のプロセスを使用した事前スクリーニングとなり得、幾つかの有望な試料のみがより高額な落雷試験の対象となることができる。
【0024】
電流密度分布に関する情報は、試料102の基本的な異方導電特質の決定のような、落雷試験の事前スクリーニング以外の目的にも使用されることができる。例えば、上述のプロセスは、複数の、実質的に同一の試料(例えば、同じタイプの複合材料、同じタイプの連結具、及び同じタイプの連結具インターフェースで形成される試料)に対して繰り返されてもよい。電源108の異なる電圧が、実質的に同一の試料を試験するために使用されてもよい。多くの複合材料に関して、電流−電圧の関係は非線形である(例えば、電圧が増大するにつれて、複合材料のマトリクスは最終的に絶縁破壊を経験し得る)。したがって、異なる電圧を使用することにより、電流−電圧の関係が、その複合材料に関して評価されることができる。
【0025】
図2は、試料(例えば、炭素繊維複合材などの繊維ベースの複合材を含む試料)の異方導電特性を決定する方法200の特定の実施形態のフロー図である。例えば、試料は、
図1の試料102を含み得る又はこれに対応する。方法200は、202において、試料の第1の部分をめっき溶液に接触させることを含む。例えば、試料第1の部分は、
図1の試料102の第1の縁部の少なくとも一部を含み得る。
【0026】
方法200は、204において、試料に材料(例えば、銅又は他の金属)を析出させるために、試料に電流を印加することも含む。特定の実施形態で、電流は、試料の第2の部分(例えば、試料の中央近傍の位置)に印加され、試料は、試料の第2の部分から試料の第1の部分(例えば、試料の縁部)へ、異方的に電流を伝導する。
【0027】
方法200は、206において、試料の複数の位置で析出した材料の量を決定することも含む。各位置において析出した材料の量は、決定の望ましい正確さに応じて、(例えば、上述のような高さ感受性の顕微鏡検査を使用して)測定される、又は、(例えば、試料の色の変化に基づいて)推定され得る。例えば、複数の位置のうち特定の位置において析出した材料の量は、当該特定の位置に析出した材料の層の高さを測定するための光学測定デバイスを使用して、決定され得る。
【0028】
方法200は、208において、試料の複数の位置で析出した材料の量に基づいて、試料の異方導電特性を決定することも含む。例えば、試料の異方導電特性を決定することは、電流に反応した試料の一部の電流密度分布を推定することを含み得る。解説すれば、試料の特定の位置における高い電流密度分布は、当該特定の位置において析出したより多い量の材料によって示され得る。
【0029】
方法200は、210において、追加のデータを生成する又は収集することも含み得る。追加のデータを生成する又は収集することの具体的な例が、
図3〜8のフロー図を参照して説明される。試料の異方導電特性、追加のデータ、又はこれらの両方は、当該複合材料で形成されるコンポーネントの、当該コンポーネントが落雷を受ける場合のパフォーマンスを予測するために、使用され得る。
【0030】
図3は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第1の実施形態のフロー図である。
図3で、方法210は、302において、試料の複数の位置で析出した材料の量に基づいて試料の縁部における電流密度分布の2次元マップを生成することを含む。例えば、試料の領域に関して電流密度分布のマップが、試料の厚さ及びめっき溶液に接触された縁部の少なくとも一部に対応して、生成され得る。電流密度分布の2次元マップは、試料の縁部への異方電流フローに関する情報を提供し得る。
【0031】
図4は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第2の実施形態のフロー図である。
図4で、方法210は、402において、試料の複数の位置で析出した材料の量を決定した後、試料の第2の縁部を形成するために、試料の第1の縁部の少なくとも1つのセクションを除去することを含む。例えば、
図1の試料102の一部は、第2の縁部116を露出させるために、除去され(例えば、切除され)得る。
【0032】
方法210は、404において、試料の一部(第2の縁部を含む)をめっき溶液に接触させること、及び、406において、試料の第2の縁部において材料を析出させるために試料に第2の電流を印加することも含み得る。方法210は、408において、試料の第2の縁部の複数の位置で析出した材料の第2の量を決定すること、及び、410において、第2の縁部の複数の位置で析出した材料の量に基づいて、試料の第2の異方導電特性を決定することも含む。
【0033】
方法210は、412において、前記異方導電特性及び第2の異方導電特性に基づいて、試料の電流密度分布の3次元マップを生成することも含み得る。例えば、試料の異なる周縁部にそれぞれ対応する複数の2次元マップは、電流密度分布の3次元マップを作成するために、組み合わされ得る。電流密度分布の3次元マップは、試料の中央近傍から試料の複数の周縁部への異方電流フローに関する情報を提供することができ、実質的に、試料本体内の異方電流分布を表している。
【0034】
図5は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第3の実施形態のフロー図である。
図5の方法210は、第2の試料をめっき溶液と接触させること、及び、502において、第2の試料に材料を析出させるために、第2の試料に第2の電流を印加することを含み得る。第2の試料は、前記試料と同じ材料で形成され得る。例えば、前記試料は第1の複合材料を含み得、第2の試料は第1の複合材料を含み得る。第2の電流は第2の電圧で印加され得、前記試料に印加するのに使用された電圧(例えば、第1の電圧)とは異なり得る。
【0035】
方法210は、504において、第2の試料の複数の位置で析出した材料の第2の量を決定すること、及び、506において、第1の電圧に反応した前記試料の異方導電特性と第2の電圧に反応した第2の試料の異方導電特性との間の差を決定することも含む。方法210は、508において、複数の電圧に反応した、第1の複合材料の電流密度分布を推定することも含み得る。例えば、第1の複合材料の電流‐電圧の関係が決定され得る。
【0036】
図6は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第4の実施形態のフロー図である。
図6の方法210は、第2の試料をめっき溶液と接触させること、及び、602において、第2の試料に材料を析出させるために、第2の試料に第2の電流を印加することを含み得る。第2の試料は、前記試料とは異なる材料で形成され得る。例えば、前記試料は第1の複合材料を含み、第2の試料は第1の複合材料とは異なる第2の複合材料を含み得る。
【0037】
方法210は、604において、第2の試料の複数の位置で析出した材料の第2の量を決定することも含み得る。方法210は、606において前記試料の異方導電特性と第2の試料の異方導電特性との比較を実施すること、及び、608において、この比較に少なくとも部分的に基づいて、コンポーネントを形成するのに使用するための材料を選択することを含み得る。例えば、前記試料の電流密度分布は、第2の試料の電流密度分布と比較され得る。この比較に基づき、第1の複合材料又は第2の複合材料が、コンポーネント(航空機外板パネル又は落雷試験の対象となる試験用パネルなど)を形成するのに使用されるために、選択され得る。解説すれば、より均一な電流密度分布に関連付けられる特定の複合材料が、選択され得る。
【0038】
図7は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第5の実施形態のフロー図である。
図7の方法210は、第2の試料をめっき溶液と接触させること、及び、702において、第2の試料に材料を析出させるために、第2の試料に第2の電流を印加することを含み得る。第2の試料は、前記試料と同じ材料で形成され得る、又は、異なる材料で形成され得る。第2の電流を第2の試料に印加するのに使用される第2の連結具は、前記試料に電流を印加するのに使用される第1の連結具とは異なり得る。例えば、第1の連結具及び第2の連結具は、異なるタイプのものであってよく(例えば、ねじ留め締結具に対してリベット)、異なる材料で形成されてもよく、異なるサイズ及び/又は形状であってもよく、他の点(例えば、ねじ山数もしくはねじピッチ)で異なってもよく、又はこれらの組み合わせで異なってもよい。
【0039】
方法210は、704において、第2の試料の複数の位置で析出した材料の第2の量を決定することも含み得る。方法210は、706において前記試料の異方導電特性と第2の試料の異方導電特性との比較を実施すること、及び、708において、この比較に少なくとも部分的に基づいて、コンポーネントと共に使用するための連結具を選択することを含み得る。例えば、(第1の連結具を使用した)当該試料の電流密度分布は、(第2の連結具を使用した)第2の試料の電流密度分布と比較され得る。この比較に基づき、特定の連結具が、コンポーネント(航空機外板パネル又は落雷試験の対象となる試験用パネルなど)を形成するのに使用されるために選択され得る。解説すれば、より均一な電流密度分布に関連付けられる特定の連結具が選択され得る。
【0040】
図8は、
図2からの、追加のデータを生成する又は収集する方法210の、第6の実施形態のフロー図である。
図8の方法210は、第2の試料をめっき溶液と接触させること、及び、802において、第2の試料に材料を析出させるために、第2の試料に第2の電流を印加することを含み得る。第2の試料は、当該試料と同じ材料で形成され得る、又は、異なる材料で形成され得る。第2の試料を形成するために(例えば、第2の連結具を第2の試料に結合するために)使用される第2のアセンブリプロセスは、前記試料を形成するために(例えば、第1の連結具を前記試料に結合するために)使用される第1のアセンブリプロセスとは、異なり得る。例えば、第1のアセンブリプロセス及び第2のアセンブリプロセスは、異なるタイプの連結具インターフェースもしくは異なる連結具インターフェース材料を使用してもよく、異なるサイズ及び/もしくは形状の連結具インターフェースを使用してもよく、他の点(例えば、連結具インターフェース材料の硬化温度)で異なってもよく、又はそれらの組み合わせで異なってもよい。
【0041】
方法210は、804において、第2の試料の複数の位置で析出した材料の第2の量を決定することも含み得る。方法210は、806において、前記試料の異方導電特性と第2の試料の第2の異方導電特性との比較を実施すること、及び、808において、この比較に少なくとも部分的に基づいて、連結具をコンポーネントに結合するためのアセンブリプロセスを選択することを、さらに含み得る。例えば、(第1のアセンブリプロセスを使用した)前記試料の電流密度分布は、(第2のアセンブリプロセスを使用した)第2の試料の電流密度分布と比較され得る。この比較に基づき、特定のアセンブリプロセスが、コンポーネント(航空機外板パネル又は落雷試験の対象となる試験用パネルなど)を形成するのに使用されるために、選択され得る。解説すれば、より均一な電流密度分布に関連付けられる特定のアセンブリプロセスが選択され得る。
【0042】
追加データを収集する又は生成するための様々な方法210が
図3〜8を参照して記載されたが、これらの方法210は、互いに排他的な代替形態として理解されるべきでない。むしろ、追加データは
図3〜8の方法210のうち任意の2つ又はそれ以上を共に使用することによって、収集され又は生成され得る。解説すれば、コンポーネントを形成するのに使用される材料及び連結具の両方が、
図6及び7の方法210を組み合わせることによって、選択され得る。別の例示的な実施形態として、(
図3の方法210を使用して決定される)電流密度分布の2次元マップ、(
図4の方法210を使用して決定される)電流密度分布の3次元マップ、又はそれらの両方が、材料、コンポーネント、及び/又はコンポーネントを形成するために使用されるアセンブリプロセスの選択を容易にするために、使用され得る。さらに、
図5〜8の方法210の各々は、2つの試料の観点から記載されたが、当該方法は、2つよりも多い試料を使用して実施されてもよい。例えば、
図5〜8のいずれの方法210も、2つよりも多い試料、2つよりも多い連結具、2つよりも多いアセンブリプロセス、又は2つよりも多い電圧を比較するために、第3の試料、第4の試料、又はさらなる試料に関して繰り返されてもよい。同様に、
図4の方法210は2つの縁部に関して記載されているが、より完全な又はより克明な3次元マップを生成するために、
図4の方法210は追加の縁部に関して繰り返されてもよい。
【0043】
図9は、試料の異方導電特性を評価するためのシステム900を示す略図であり、
図10A〜10Kに対応する概略的な図を示す。システム900は、測定システム904に結合されるコンピューティングシステム902を含む。システム900は、材料が析出した後の試料102も示す。
図10A〜10Kの記載を支援するために、析出プロセス中の流体表面レベルが概略的に示されている912。
【0044】
測定システム904は、試料102の特定の位置で析出した材料の量に対応するパラメータを測定するように構成され得る。例えば、測定システム904は、試料102の特定の位置で析出した材料の量を、試料102の色差に基づいて、析出した層の高さに基づいて、他の情報に基づいて、又はこれらの組み合わせに基づいて、決定することが可能な光学測定デバイスを含み得る。測定システム904は、測定されたパラメータ(例えば、析出した層の高さを示す値)に対応するデータを、コンピューティングシステム902に供給し得る。
【0045】
コンピューティングシステム902は、プロセッサ906及びメモリ908(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶デバイス)を含み得る。メモリ908は、
図2〜8のうちの一又は複数の方法に関連付けられる計算、解析、評価、又は決定プロセスを実施するために、プロセッサ902によって実行可能な、指令910を記憶し得る。例えば、プロセッサ902は、測定されたパラメータを示すデータを測定システム904から受信するために、指令910を実行し、当該データに基づき、試料102の特定の位置で析出した材料の量を決定し得る。別の実施例として、プロセッサ902は、試料102の複数の位置で析出した材料の量に基づいて、試料102に関する電流密度分布の2次元マップ又は3次元マップを生成するために、指令910を実行し得る。
【0046】
特定の実施形態で測定システム904は、測定されるパラメータを、一度に試料の1つの位置ずつ、測定する。例えば、
図9に示すように、測定システム904及び試料102は、測定システム904が試料の縁部におけるパラメータを10Aで表される円弧角内で測定できるように、配向される。その後、測定システム904及び/又は試料102は、測定システム904が、試料の縁部の、10B〜10Kで表される弧のうちの一又は複数などの(別の円弧角に対応する)別の位置でパラメータを測定できるように、再配向され得る。上述のように、試料の複数の位置が測定された後、試料の縁部は、新しい縁部を露呈するために除去され得る。材料は新しい縁部に析出し、測定システム904は、新しい縁部の様々な位置でのパラメータを測定するために使用され得る。
【0047】
図10A〜10Kの各々は、電気めっき後の試料の縁部の一部の画像を示す。
図10A〜10Kにおける画像は、
図9で10A〜10Kで表される円弧角に対応する。例えば、
図10Aは、
図9の円弧角10Aでの試料102の縁部の、第1の部分の顕微鏡画像を示す。同様に、
図10Bは、
図9の円弧角10Bでの試料102の縁部の、第2の部分の顕微鏡画像を示す。
【0048】
図9に示すように、
図10Aにおける試料の縁部の第1の部分は、析出プロセス中に、流体表面レベル912よりも上にあった。したがって、
図10Aの顕微鏡画像は、試料の縁部のうち析出した材料がない縁部のみを示している。
【0049】
図10Bは、
図9のめっき溶液の流体表面レベル912を横断する、試料の縁部の一部を示す。
図10Bで、流体表面レベル912のおよその位置が、インターフェース位置1002において見て取れる。インターフェース位置1002の上部(例えば、1004で表される領域)で、試料はめっきされていない(例えば、析出した材料がない)。インターフェース位置1002の下部(例えば、1006で表される領域)では、材料が試料に析出し、
図10Bの画像においては(析出した材料の量に応じて)灰色又は白色の領域として現れている。
【0050】
試料に析出した材料は、析出した材料の量に応じて異なる灰色及び白色の陰影として、
図10C〜10Kにも見て取れる。試料のプライも、少なくともいくつかの画像において見て取れる。例えば、
図10H及び10Iで、試料のプライが見て取れる。したがって、
図10B〜10Kは、試料に析出する材料の量が試料の位置(例えば、円弧角によって)によってどのように変動し得るかを示す。当然ながら、
図10A〜10Kは、上述の方法の対象となった特定の試料のみに関する結果を示す。他の試料を上述の方法の対象とすることにより、材料の析出における量及び分布が異なる結果となることが期待されよう。析出する材料の量及び分布は、試験される各試料の電流密度分布に関連するので、様々な試料の電流密度分布が比較されることができる。例えば、視覚的又は光学的な検査により、電流密度分布の大まかな比較がもたらされ得る。電流密度分布のより詳細な比較は、各試料の様々な位置で析出する材料を定量化することによって、決定され得る。
【0051】
図11は、試料の異方導電特性を評価するために使用され得るコンピューティング環境1100の、例示的な実施形態のブロック図である。環境1100は、本発明によるコンピュータに実装される方法及びコンピュータで実行可能なプログラム指令(又はコード)の実施形態を支持するために、汎用コンピューティングデバイス1110を含む。例えば、コンピューティングデバイス1110又はその部分は、(例えば、様々な位置で試料に析出する材料の量の測定に基づいて)試料の異方導電特性を解析するために、指令を実行し得る。特定の実施形態で、コンピューティングデバイス1110は、
図9のコンピューティングコンピューティングシステム902を含む、これに含まれる、又はこれに対応し得る。
【0052】
コンピューティングデバイス1110は、プロセッサ1120を含み得る。プロセッサ1120は、システムメモリ1130、一もしくは複数の記憶デバイス1140、一もしくは複数の入出力インターフェース1150、一もしくは複数の通信インターフェース1160、又はこれらの組み合わせと通信し得る。システムメモリ1130は、揮発性メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス)、不揮発性メモリデバイス(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)デバイス、プログラム可能リードオンリーメモリ、及びフラッシュメモリ)、又はそれらの両方を含み得る。一又は複数の記憶デバイス1140は、磁気ディスク、光学ディスク、又はフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性記憶デバイスを含み得る。記憶デバイス1140は、着脱可能な及び着脱不可能なメモリデバイスを含み得る。特定の実施形態で、システムメモリ1130、記憶デバイス1140、又はこれらの両方は、有形の、非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。
【0053】
システムメモリ1130、一又は複数の記憶デバイス1140、又はこれらの両方は、オペレーティングシステム1132を含み、オペレーティングシステム1132は、コンピューティングデバイス1110をブート処理するための基本入出力システムと共に、コンピューティングデバイス1110のユーザとの相互作用を可能にするフルオペレーティングシステム、他のプログラム、及び他のデバイスを含み得る。システムメモリ1130、一又は複数の記憶デバイス1140、又はこれらの両方は、一又は複数の試料の異方導電特性を(例えば、様々な位置で材料に析出する材料の量の測定に基づいて)解析又は比較するためのアプリケーションなどの一又は複数のアプリケーションプログラム1134、試料の伝導特質の多次元マップを生成するための指令、
図2〜8の方法のうちの一又は複数を実施するもしくは促進するための指令、又は、これらの組み合わせを含み得る。システムメモリ1130、一又は複数の記憶デバイス1140、又はこれらの両方は、一もしくは複数のアプリケーション1134によって生成される結果又は一もしくは複数のアプリケーション1134によって使用されるオペレーティングデータなどの、プログラムデータ1136を含み得る。例えば、プログラムデータ1136は、一又は複数の試料の異方導電特性に対応するデータ、一又は複数の試料の異方導電特性の多次元マップ、
図2〜8の方法のうちの一又は複数からの結果となる他のデータ、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0054】
プロセッサ1120は、コンピューティングデバイス1110がユーザ相互作用を促進するために一又は複数の入出力デバイス1170と通信することを可能にする、一又は複数の入出力インターフェース1150とも通信し得る。入出力インターフェース1150は、シリアルインターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースもしくは米国電気電子学会(IEEE)1394インターフェース)、パラレルインターフェース、ディスプレイアダプタ、オーディオアダプタ、及び他のインターフェースを含み得る。入出力デバイス1170は、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、タッチスクリーン、(
図9の測定システム904などの)測定システム、他のデバイス又はそれらの組み合わせを含み得る。プロセッサ1120は、入出力インターフェース1150を介して受信するユーザ入力に基づき、相互作用イベントを検知し得る。さらに、プロセッサ1120は、(例えば、
図10A〜10Kの画像のうちの一又は複数、試料の導電特性の多次元マップ、2つ又はそれ以上の試料の導電特性の数値上もしくは画像上の比較などの)表示を、入出力インターフェース1150を介して、ディスプレイデバイスに送信し得る。
【0055】
プロセッサ1120は、一又は複数の通信インターフェース1160を介して、他のコンピュータシステム1180と通信し得る。一又は複数の通信インターフェース1160は、有線イーサネットインターフェース、IEEE802無線インターフェース、他の無線通信インターフェース、又は他のネットワークインターフェースを含み得る。他のコンピュータシステム1180は、ホストコンピュータ、サーバ、ワークステーション、及び他のコンピューティングデバイスを含み得る。
【0056】
上述の実施形態は例示的なものであり、本開示を限定するものではない。本発明の開示の原則にしたがう複数の修正例及び変形例が可能であることを理解されたい。
【0057】
本明細書に記載の実施形態の図解は、様々な実施形態の構造の全体的な理解を促すことを意図している。これら図解は、本明細書に記載の構造又は方法を利用する装置及びシステムの、すべての要素及び特徴の完全な記載として機能することを意図してない。本開示を精査することにより、当業者には他の多くの実施形態が明らかであろう。本開示の範囲を逸脱することなく構造的及び論理的な置き換え及び変更がなされるように、本開示から、他の実施形態が利用され導かれ得る。例えば、方法のステップは図示のものとは異なる順序で実施され得る、又は、一もしくは複数の方法のステップは省略され得る。したがって、本明細書の記載及び図は、限定的ではなく例示的なものと見なされるべきである。
【0058】
さらに、具体的な実施形態が本明細書で例示され記載されてきたが、同じ又は類似の結果を達成するように設計されるいかなる後続の構成も、示されている具体的な実施形態に置き換えられ得るということを理解されたい。本開示は、様々な実施形態の後続するすべての応用形態又は変形形態をカバーすることを意図している。上述の実施形態の組み合わせ及び本明細書に特段の記載のない他の実施形態は、本開示の記載を精査する当業者には明らかである。
【0059】
「要約書」は、特許請求の範囲もしくはその意味を解釈する又は限定するために使用されないとの理解のもとに、提出されるものである。さらに、本開示を簡潔にする目的で、前述の「発明を実施するための形態」における様々な特徴は、グループ化され又は単一の実施形態中に記載され得る。本開示は、特許請求される実施形態が、各請求項に明確に記載されるもの以外の特徴を要求するという意図を反映すると解釈されるものではない。むしろ、下記の特許請求の範囲が反映しているように、特許請求される主題は、記載される任意の実施形態のうちのすべての特徴よりも狭義に向けられている。