特許第6408479号(P6408479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408479患者モニタリングシステム及び患者モニタリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408479
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】患者モニタリングシステム及び患者モニタリング方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20181004BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61B5/00 102A
   G06Q50/24
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-544585(P2015-544585)
(86)(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公表番号】特表2016-505297(P2016-505297A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】IB2013060376
(87)【国際公開番号】WO2014087296
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】61/732,470
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ブライアン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フラッシカ,ジョセフ ジェイムズ
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−061663(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/117316(WO,A2)
【文献】 国際公開第2012/087559(WO,A1)
【文献】 特表2010−539617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
G16H 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング頻度で患者の患者データをサンプリングする一以上のセンサと、
前記一以上のセンサから前記患者データを受信するように構成されたコントローラであって、
前記患者データで患者状態を判断し、
前記一以上のセンサのサンプリングレートを最適化するのに利用される悪化イベントの傾向と悪化の確率とのうち少なくとも一方を判断し、
前記判断した患者状態に基づき前記一以上のセンサのサンプリング頻度を自動的に調節するようにプログラムされたコントローラと
有し、
前記コントローラは、
前記患者データのベースラインを決定し、
前記患者データのベースラインに基づいて悪化の傾向スコアと確率閾値とを計算し、
前記傾向スコアと確率閾値とから初期確率曲線を計算するようにさらにプログラムされている、
患者モニタリングシステム。
【請求項2】
前記患者データは現在モニターされている生理的データと入力された臨床データとのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記患者データと、悪化イベントの傾向と悪化の確率とのうち少なくとも一方とに基づいて患者臨床プロファイルを決定するようにさらにプログラムされている、請求項1または2に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記患者臨床プロファイルに応じて関心パラメータを測定する一以上の所定センサのサンプリングレートを調節するようにさらにプログラムされている、
請求項3に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項5】
前記患者状態は、前記受信した患者データを前に受信した患者データと比較することにより決定される、請求項1ないしいずれか一項に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、患者情報システムから臨床データを受信するようにさらに構成され、前記臨床データから前記患者状態を決定するようにさらにプログラムされている、
請求項1ないしいずれか一項に記載の患者モニタリングシステム。
【請求項7】
患者モニタリング方法であって、
患者モニタリングシステムのコントローラが、前記患者モニタリングシステムの一以上のセンサからサンプリング頻度でサンプリングされた患者データを受信するステップと、
前記コントローラが、前記受信した患者データ患者状態を判断するステップと、
前記コントローラが、前記一以上のセンサのサンプリングレートを最適化するのに利用される悪化イベントの傾向と悪化の確率とのうち少なくとも一方を判断するステップと、
前記コントローラが、判断した患者状態に基づき前記一以上のセンサのサンプリング頻度を自動的に調節するステップとを有し、
前記コントローラが、前記患者データのベースラインを決定するステップと、
前記コントローラが、前記患者データのベースラインに基づいて悪化の傾向スコアと確率閾値とを計算するステップと、
前記コントローラが、前記傾向スコアと確率閾値とから初期確率曲線を計算するステップとをさらに含む、
患者モニタリング方法。
【請求項8】
前記患者データは現在モニターされている生理的データと入力された臨床データとのうち少なくとも一方を含む、請求項に記載の患者モニタリング方法。
【請求項9】
前記コントローラが、前記患者データと、悪化イベントの傾向と悪化の確率とのうち少なくとも一方とに基づき患者臨床プロファイルを決定するステップをさらに含む、-請求項に記載の患者モニタリング方法。
【請求項10】
前記コントローラが、前記患者臨床プロファイルに応じて、関心パラメータを測定する一以上の所定センサのサンプリングレートを調節するステップをさらに含む、請求項に記載の患者モニタリング方法。
【請求項11】
記患者状態は前記受信した患者データを前に受信した患者データと比較することにより決定される、請求項ないし10いずれか一項に記載の患者モニタリング方法。
【請求項12】
プロセッサにロードされたとき、前記プロセッサ、請求項ないし11いずれか一項に記載の患者モニタリング方法を実行させるコンピュータプログラム
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを含むコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は概して患者モニタリングに関する。特に、データ収集頻度と悪化検出のための閾値の最適化に応用でき、具体的にそれを参照して説明される。しかし、言うまでもなく、その他のアプリケーションにも応用でき、必ずしも上記のアプリケーションに限定されない。
【背景技術】
【0002】
医療機関において検出されない患者の悪化は、世界的にヘルスケアにおける安全問題及びコスト増大要因と考えられている。今日、患者モニタリングシステムからの定期的なデータ収集(マニュアルスポットチェックバイタルサイン)に基づく、または連続的なデータ伝送による多くの早期警報アルゴリズムと悪化検出システムが利用できる研究によれば、一般的なスポットチェックバイタルサインワークフローは、患者の悪化を識別するのに必要なデータが一貫性のないやり方で取得され、それにより患者の悪化を検出する臨床ユーザの能力が制限されるため不完全である。さらに、連続的データ伝送の場合、アルゴリズムに供給する連続的な生理的信号の維持が必要であり、センサ及びリードのオフ状態などのワークフロー障害、及びバッテリー管理により、臨床ユーザの負担が増える。さらに、既存の患者モニタリングシステムでは、どのくらいの頻度でデータを収集するか、及びいつ警告スコアを計算するかという決定は、臨床ユーザに残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は、上記の問題等を解消する、新しい改良された患者モニタリングシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様により、患者モニタリングシステムを提供する。患者モニタリングシステムは、サンプリング頻度で患者の患者データをサンプリングする一以上のセンサと、前記一以上のセンサから前記患者データを受け取るように構成されたコントローラとを有する。前記コントローラは、前記患者データで患者状態を判断し、前記判断した患者状態に基づき前記一以上のセンサのサンプリング頻度を調節するようにプログラムされている。
【0005】
他の一態様では、医療パラメータを表示する方法が提供される。該方法は、患者モニタリングシステムの一以上のセンサから患者データを受信するステップと、受信した患者データを、患者状態を示す予め選択した閾値と比較するステップと、前記受信した患者データと前記予め選択した閾値との比較から患者状態を決定するステップと、前記判断した患者状態に基づき前記一以上のセンサのサンプリング頻度を調節するステップとを有する。
【0006】
他の一態様では、患者モニタリングシステムが提供される。該患者モニタリングシステムは、サンプリング頻度で患者の患者データをサンプリングする一以上のセンサと、前記一以上のセンサから前記患者データを受け取り、前記患者データを用いて患者状態を決定し、前記決定された患者状態に基づき一以上のセンサのサンプリング頻度を調節する悪化検出システムとを有する。
【0007】
一利点は悪化検出のデータ収集と閾値の最適化にある。
【0008】
他の一利点は、マニュアル調整を要するモニタリングデバイス数の低減にある。
【0009】
他の一利点は間違った検出により警報やイベント通知が出される回数の低減にある。
【0010】
他の一利点はヘルスケアコストの低減にある。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、以下の詳細な説明を読んで理解すれば当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、様々なコンポーネントとその構成、及び様々なステップとその構成の形を取る。図面は好ましい実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解してはならない。
図1】本願によるITインフラストラクチャを示すブロック図である。
図2】本願による悪化曲線の確率を示す図である。
図3】本願による患者モニタリングシステムの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願は、患者モニタリングシステムからのデータ収集頻度の最適化と、悪化検出アルゴリズムの閾値の最適化とに関する。ワイヤレススマートセンサの登場により、データ収集のスケジューリングが可能となり、臨床ユーザがスケジュールを決定しなくてもよくなり、悪化イベントの患者素因に基づきデータ取得を最適化できる。データサンプルレートを最適化し、悪化イベントの患者素因(patient predisposition for a deterioration event)を用いることにより、いくつかの利点を実現できる。第1に、モニタリングに必要なデバイス数が患者の必要性に基づき調整される。第2に、事前のテストで悪化の可能性が低いとされた低リスク患者は、3時間おきに、心拍及び呼吸センサのみでモニターされ、心電計(EKG)による不整脈や二酸化炭素(CO2)の測定は必要ない。これにより、モニタリング資産を最も有効に展開できるため、病院に対してコスト効率のよいソリューションを提供するのみならず、患者からのデータを維持するのに必要な仕事量を最小化できる。センサと、バッテリーと、システムを適用及び維持するスタッフ時間となどのアイテムが減少する。さらに、患者を頻繁に測定しなければ、誤警報の回数も減少する。
【0014】
図1を参照するに、ブロック図は病院などの医療機関の情報技術(IT)インフラストラクチャ10の一実施形態を示す。ITインフラストラクチャ10は、一以上の患者モニタリングシステム12、患者情報システム14、一以上の患者情報ディスプレイシステム16、悪化検出システム18などを含み、これらは通信ネットワーク20を介して相互接続されている。通信ネットワーク20は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラーネットワーク、データバスなどのうち一以上を含むと考えられる。
【0015】
患者モニタリングシステム12は、医療機関により手当を受けている患者(図示せず)の生理的データを取得する。心拍数、体温、血中酸素濃度、血中代謝産物(glucose lactacteなど)、活動水準などの患者の生理的パラメータ(すなわちバイタルサイン)の測定値を示す生理的及びその他のデータが、自動的に取得される。一般的に、各患者モニタリングシステム12は、1人の患者に関連し、その生理的データを取得するが、複数の患者に関連する患者モニタリングシステムも考えられる。幾つかの実施形態では、患者モニタリングシステム12は患者装着モニター及び/または傍らモニター(beside monitors)を含むことも考えられる。生理的データは一般的に連続的にまたは間欠的に取得される。生理的データが連続的にまたは頻繁に取得されると、トレンディングアルゴリズム(例えば、平均、メジアン、ピーク発見など)が適用され、一実施形態では、生理的データのストリームを生理的データの離散的ブロックに分割する。例えば、生理的データの連続的ストリームを所定の長さのブロックに分離でき、トレンディングアルゴリズムを各ブロックに適用できる。
【0016】
一以上のセンサ22が好適に生理的データを取得する。しかし、ラボ機器、臨床情報システム、投薬管理記録、電子医療記録、ユーザ入力デバイスを有するコンポーネントなどのITインフラストラクチャ10の他のコンポーネントから生理的データを取得することも考えられる。センサ22は、患者の生理的パラメータを測定し、それを示す生理的データを生成する。幾つかの実施形態では、センサ22は、一以上の心電計(ECG)電極、血圧センサ、SpO2センサ、脈拍センサ、体温計、呼吸センサ、排気センサ、非侵襲的血圧(NBP)センサ、代謝測定器、活動測定器などを含む。一般的に、センサ22は、患者の身体に、及び患者モニタリングシステム12の外部に取り付ける。しかし、患者モニタリングシステムに備えられたセンサも想定している。センサ22が外部にある場合、生理的データは、シリアルバス、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのデータバス;身体結合ネットワーク;Bluetooth(登録商標)、ZigBee、有線または無線ネットワーク;医療用身体エリアネットワーク(MBAN)などを介して得られる。言うまでもなく、複数のセンサ22のサンプリング頻度は異なる。一実施形態では、センサ22のサンプリング頻度は、悪化の確率に基づき最適化され、後でより詳細に説明する。
上記の機能性を実現するため、センサ22は、測定した生理的データを、身体結合ネットワーク、Bluetooth(登録商標)、有線または無線ネットワークなどを介して、患者モニタリングシステム12のコントローラ28に送信する。患者モニタリングシステム12は、センサ22により測定された患者データ及び/または生理的データの集積点として機能し、データにメモリ30における一時的記憶を提供する。収集された生理的データは、同時に患者モニタリングシステム12のコントローラ28に送信される。コントローラ28は、その生理的データを、通信ネットワーク20を通じて患者情報システム14に送信する。患者情報システムにおいて、生理的データは表示され、記憶される。また、患者モニタリングシステム12のコントローラ28は、ディスプレイ24を制御して、対応する患者モニタリングシステムディスプレイ24の各センサ22から受信した、測定された生理的データを表示する。
【0017】
患者情報システム14は、中央記録医療データベースなどであり、患者データ、治療、画像、及び処置研究結果、投薬その他の侵襲、及び/または患者の生理的データを受信し、そのデータを一以上のメモリ34の一つに記憶する。一実施形態では、患者データは、入院時間、現在の投薬、現在の臨床的問題、現在のラトラトリー結果、現在の器官、過去の器官、電子的ヘルスレコード、以前の医療履歴、以前の手術履歴などの臨床データも含む。一般的に、データは、患者モニタリングシステム12及び/または患者情報表示システム16などのITインフラストラクチャ10のコンポーネントから、通信ネットワーク20を介して受信される。しかし、データは患者情報システム14の一以上のユーザ入力デバイス36を介して受信することも考えられる。患者情報システム14は上記の通り患者データと生理的データを表示するディスプレイ38も含む。幾つかの実施形態では、患者情報システム14はさらにユーザ入力デバイス36及び/またはディスプレイ38を用いてメモリ34中の患者データ及び/または生理的データの表示し、及び/またはその操作を可能とする。追加的にまたは代替的に、幾つかの実施形態では、患者情報システム14はさらにITインフラストラクチャ10のコンポーネントに通信ネットワーク20を介してメモリ34中のデータにアクセスできるようにする。
【0018】
悪化検出システム18は、ITインフラストラクチャ10のコンポーネントである患者情報システム14及び/または患者モニタリングシステム12及び/または悪化検出システム18の一以上のユーザ入力デバイス54などから患者データ及び生理的データを取得し、各患者の最新の患者生理データをトラッキング(track)する。上記の通り、センサ22のサンプリング頻度はモニターされている患者の悪化確率に基づいて最適化される。悪化検出システム18は受信した生理的データから悪化確率を計算し、患者のさまざまなセンサ22のサンプリング頻度を自動的に設定する。さらに、いずれかのセンサ22がサンプリングされるたびに、最新の生理的データを用いて悪化確率が再計算される。再計算された悪化確率に基づいて、センサ22のサンプリング頻度を調整できる。例えば、悪化確率が低い患者は、悪化確率が高い患者ほど頻繁に自分のセンサをサンプリングされる必要はない。
【0019】
具体的に、悪化検出システム18は、患者の入院時の患者及び生理的データを取得して、患者の基準値を生成する。言うまでもなく、患者の基準値は治療中のいつでも生成し得る。患者の基準値を生成した後、悪化検出システム18は患者が悪化する傾向スコア(propensity score)を計算し、陽性予測値(PPV)と警報レートに基づいて確率閾値を設定する。例えば、PPVは(診断が正しいなどの)真陽性である陽性検査結果の割合、または患者が悪化する確率である。PPVは本技術分野で知られた方法を用いて計算される。悪化検出システム18により初期確率曲線を計算する。言うまでもなく、傾向スコア確率関数はトレーニングデータに基づき、または基準データを用いて計算され得る。一実施形態では、患者スコアは、現在のリスクを評価し、生理的データと生理的パラメータのスコアリングテーブルとを用いた計算により得られる。悪化検出システム18は、次に、受信した生理的データが新しいリスク帯に入ったか判断する。生理的データが新しいリスク帯に入る場合、悪化検出システム18はセンサ22の対応するサンプリング頻度を調節する。他の一実施形態では、予測モデルにより患者の潜在的悪化を判断する。
【0020】
さらに別の一実施形態では、悪化の確率は具体的な悪化プロファイルに対応する。具体的な悪化プロファイルには、関心のある生理的パラメータ及びそれに対応する事前設定されたサンプリング頻度、生理的パラメータスコア評価のための閾値、パラメータスコア評価に基づくリスク帯決定、PPV及び警報レートに基づく目標確率、許容データ遅延、許容スコア評価遅延などが含まれる。悪化検出システム18は、悪化確率を計算した後、対応する悪化プロファイルを決定し、そのプロファイルを用いて、対応するセンサ22、患者モニタリングシステム12、及び/または悪化検出システム18を調節する。幾つかの実施形態では、患者悪化検出システム108にはさらに、臨床医が悪化検出システム108により利用される患者データ及び/またはその他のパラメータをマニュアル入力できるようにするユーザ入力デバイス144及び/またはディスプレイ146が含まれる。
【0021】
患者モニタリングシステム12と患者情報システム14と悪化検出システム18とは、少なくとも1つのプロセッサを含む。例えば、以下により詳細に説明する動作を実行する患者モニタリングソフトウェアを実行するように構成されたマイクロプロセッサその他のソフトウェア制御されたデバイスを含む。一般的に、患者モニタリングソフトウェアは、プロセッサによる実行のため有体メモリやコンピュータ読み取り可能媒体に担われる。非一時的コンピュータ読み取り可能媒体のタイプには、ハードディスクドライブ、CD−ROM、DVD−ROMなどのメモリやインターネットサーバなどが含まれる。プロセッサのその他の実施例も考えられる。ディスプレイコントローラ、特定用途集積回路(ASIC)、FPGA及びマイクロコントローラが、プロセッサの機能を提供するため実装できる他のタイプのコンポーネントの例である。実施形態はプロセッサ、ハードウェアまたはそれらの組み合わせにより実行するソフトウェアを用いて実施し得る。
【0022】
図2を参照するに、悪化確率曲線100を例示した。確率曲線100には、早期警報スコア(EWS)すなわち悪化リスクを示す軸102と、時間単位で時間を示す軸104とが含まれる。確率曲線には異なる3つのリスク帯、すなわち低リスク帯106、中リスク帯108及び高リスク帯110が含まれる。入院後、初期患者データ及び/または生理的データが入力されると、悪化検出するための最適陽性予測値(PPV)に基づいて、初期データセット112とリスク帯評価基準(risk banding criteria)が選択される。初期データセット112も利用して、医療環境における、患者に対する警報レート114を決定する。リスク帯評価基準と警報レートが確立され、傾向スコアリング(propensity scoring)に基づくと、患者は時刻116において確率曲線100の新しいリスク帯に入る。提案される次のサンプリングスケジュールは、患者が時刻118における次のスケジュールされた測定の前に悪化する、予め決められた確率閾値に基づく。また確率曲線は、次のレベルtNL120までの予測時間のインジケータと、次のデータセットtBuf122を取得するバッファ時間とを含む。P(t)detは悪化までの予測時間関数である。
【0023】
図3は、センサ22のプロセッサにより実行されるステップの一例を示す。ステップ200において、患者ベースライン情報を読み出す、または入力する。患者ベースライン情報は、年齢、体表面積、入院日、ソーシングロケーション(sourcing location)、慢性的問題歴、最近の手術歴、最近の化学療法歴、現在の投薬、入院理由、最新のバイタルセット(set of vitals)などを含む。ステップ202において、悪化の傾向スコアを計算し、最適陽性予測値(PPV)と警報レートとに基づく確率閾値を設定する。測定値セットと悪化の初期確率曲線をステップ204において計算または検索する。ステップ206において、リスククロス時間及びデータ配信時間バッファを決定する。患者のために機能しているデバイスのスケジュールをダウンロードして、バイタル収集のための作業アイテムをステップ208で確立する。ステップ210において、現在のスケジュールにより新しいデータを収集する。新しいスケジュールが提供されると、ステップ202において患者ベースライン情報を読み出す、または入力する。
【0024】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。前述の詳細な説明を読んで理解すれば、修正と変更に想到することができる。本発明は、添付した請求項とその均等の範囲内に入るこのような修正案及び代替案をすべて含むものと解釈しなければならない。
図1
図2
図3