(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本発明の譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年10月21日出願の同時係属米国特許出願第12/603,087号(2010年4月22日公開の米国特許出願公開第2010-0098818号(S701))(特許文献1)において、乾燥重量基準(d.b.)で少なくとも約60重量%(N×6.25)のタンパク質含有量を有する新規の大豆タンパク質製品、好ましくは、少なくとも約90重量%(N×6.25)d.b.のタンパク質含有量を有する大豆タンパク質単離物の提供が記載されている。その大豆タンパク質製品は、次のような特性、すなわち:
・約4.4未満の酸性pH値の水性媒体に完全に可溶性であり、
・約4.4未満の酸性pH値の水性媒体中で熱安定性であり、
・溶液中でタンパク質製品を維持するのに安定剤または別の添加剤を必要とせず、
・フィチン酸が少なく、
・この製造において酵素を必要としない、
の特有の組み合わせを有する。
【0004】
さらに、その大豆タンパク質製品には豆臭(beany flavour)がないか、大豆タンパク質製品に特有の臭気がない。
【0005】
この新規の大豆タンパク質製品は、
(a)大豆タンパク質源を塩化カルシウム水溶液で抽出して、タンパク質源からの大豆タンパク質の可溶化を引き起こし、大豆タンパク質水溶液を形成するステップと、
(b)残留大豆タンパク質源から大豆タンパク質水溶液を分離するステップと、
(c)任意選択で、大豆タンパク質水溶液を希釈するステップと、
(d)大豆タンパク質水溶液のpHを約1.5〜約4.4、好ましくは約2〜約4のpHに調整して、透明な酸性化大豆タンパク質溶液を生成するステップと、
(e)任意選択で、選択的膜技術を使用することにより、イオン強度を実質的に一定に維持しながら、透明な大豆タンパク質水溶液を濃縮するステップと、
(f)任意選択で、濃縮大豆タンパク質溶液を透析濾過する(diafiltering)ステップと、
(g)任意選択で、濃縮大豆タンパク質溶液を乾燥するステップと
を含む方法によって調製される。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
今回、この手順を使用する大豆タンパク質製品の調製により、好ましい透明度のレベルを有さない酸性水溶液を提供する製品をもたらし得ることが見い出された。また、製品が好ましい透明度のレベルを有する酸性水溶液を生成することを確実にする手段を取り得ることも見い出された。タンパク質製品の酸性水溶液に関して本明細書で使用する「好ましい透明度のレベル」という用語は、水100ml当たり3.2gのタンパク質を溶解することにより調製される溶液に対する10%未満のヘイズ値として定義される。ヘイズ値は、透過モードで操作されるHunterLab Color Quest XE装置を使用して、酸性タンパク質水溶液を分析することにより得られる。
【0008】
希釈および酸性化され、任意選択で熱処理された大豆タンパク質溶液の透明度は、大豆タンパク質製品から調製される酸性水溶液の透明度の指標であることが見い出された。希釈および酸性化され、任意選択で熱処理されたタンパク質溶液の透明度は、残留大豆タンパク質源からの大豆タンパク質水溶液の分離における精密濾過ステップ、ならびに/または、希釈ステップ、酸性化ステップおよび任意選択の熱処理ステップ後の精密濾過などのポリッシングステップ(polishing step)により促進され得る。しかし、精密濾過は、高価で、労働集約的なプロセスである。希釈および酸性化され、任意選択で熱処理された大豆タンパク質溶液の透明度を、精密濾過を使用することなく促進し、大豆タンパク質製品から調製される酸性水溶液に好ましい透明度のレベルをもたらす、2つの要因が見い出された。
【0009】
第1に、プロセスの速度が透明度に影響を与えることが見い出された。特に、後で熱処理ステップを行わない分離ステップの20分以内に希釈ステップおよびpH調整ステップが行われる場合、または、下記で論じられる任意選択の熱処理ステップが用いられるならば分離ステップの40分以内に希釈ステップおよびpH調整ステップが行われる場合に、好ましい透明度のレベルが達成され得ることが見い出された。
【0010】
第2に、大豆タンパク質源中の微粉の量が、抽出条件および分離条件に応じて、透明度に影響を与え得ることが見い出された。特に、特定の抽出条件および分離条件下で、大豆タンパク質源の微粉含有量を低減し、その重量の約45%未満を、20メッシュ篩を通過するのに十分小さな粒子として含有するようにすることが有利であり得ることが見い出された。
【0011】
本発明の一態様によれば、
(a)任意選択で、大豆タンパク質源を分類し、約45重量%未満、好ましくは約35重量%未満の20メッシュ篩を通過するのに十分小さな粒子を含有する分類された大豆タンパク質源を提供するステップと、
(b)任意選択で分類された大豆タンパク質源材料をカルシウム塩水溶液で抽出して、任意選択で分類された大豆タンパク質源からの大豆タンパク質の可溶化を引き起こし、大豆タンパク質水溶液を形成するステップと、
(c)残留大豆タンパク質源から大豆タンパク質水溶液を分離するステップと、
(d)ステップ(c)の約20分以内に、(i)約90mS未満、好ましくは約4〜約18mSの伝導率まで大豆タンパク質水溶液を希釈するステップと、(ii)大豆タンパク質水溶液のpHを約1.5〜約4.4、好ましくは約2〜約4のpHに調整し、約0.055未満、好ましくは約0.040未満の600nmでの可視光吸光度(A600)を有する酸性化大豆タンパク質溶液を生成するステップか、または、
(e)ステップ(c)の約40分以内に、(i)約90mS未満、好ましくは約4〜約18mSの伝導率まで大豆タンパク質水溶液を希釈するステップと、(ii)大豆タンパク質水溶液のpHを約1.5〜約4.4、好ましくは約2〜約4のpHに調整するステップと、(iii)約70°〜約160℃の温度で約10秒〜約60分間、好ましくは約80°〜約120℃で約10秒〜約5分間、より好ましくは約85°〜約95℃で約30秒〜約5分間、タンパク質水溶液を熱処理し、約0.055未満、好ましくは約0.040未満の600nmでの可視光吸光度(A600)を有する酸性化大豆タンパク質溶液を生成するステップのいずれか
を含む、大豆タンパク質溶液の調製方法を提供する。
【0012】
さらに、抽出ステップおよび分離ステップ、ならびに、後続の希釈ステップおよび/または膜処理のステップが、一般に約35°〜約65℃、好ましくは約50°〜約60℃の昇温で行われるならば、約20°〜約25℃の周囲温度でこれらのステップを行うのに比べて、効果を得ることができることが見い出された。昇温で抽出ステップおよび分離ステップを行うことにより、同一ステップが周囲温度で行われる場合に比べて、より良好な透明度を有する大豆タンパク質水溶液を提供する。再可溶化される場合にヘイズが最小の最終生成物を提供するためには、分離ステップから得られる大豆タンパク質水溶液の透明度を最大にすることが有利である。また、昇温での抽出および分離は、微粉含有量がより高い大豆ミールまたは別のタンパク質源の処理を可能とし、しかも、好ましい透明度のレベルを有する酸性水溶液を提供する大豆タンパク質製品が生成されることにおいても有益である。昇温で膜処理を行うと、周囲温度で処理を行うのに比べて、トリプシン阻害剤がより多く除去され、流動速度がより大きくなる。温度範囲の高域(higher end)(例えば、50°〜65℃)ですべての示された処理ステップを行うと、それらのステップが周囲温度で行われる場合よりも微生物負荷(microbial load)がより低くなり得る。
【0013】
したがって、本発明の別の態様においては、
(a)大豆タンパク質源をカルシウム塩水溶液で抽出して、タンパク質源からの大豆タンパク質の可溶化を引き起こし、大豆タンパク質水溶液を形成するステップと、
(b)残留大豆タンパク質源から大豆タンパク質水溶液を分離するステップと、
(c)任意選択で、分離された大豆タンパク質水溶液を希釈するステップと、
(d)分離され、任意選択で希釈された大豆タンパク質水溶液のpHを約1.5〜約4.4のpHに調整して、透明な大豆タンパク質溶液を生成するステップと、
(e)選択的膜技術を使用することにより、イオン強度を実質的に一定に維持しながら、透明な酸性化大豆タンパク質水溶液を濃縮するステップと、
(f)濃縮大豆タンパク質溶液を透析濾過する(diafiltering)ステップとを含み、
(a)〜(f)の各ステップが約50°〜約60℃の温度で行われる、
大豆タンパク質溶液の調製方法を提供する。
【0014】
本明細書のプロセスに従って製造される大豆タンパク質製品は、大豆タンパク質製品の特徴的な豆臭がなく、酸性媒体のタンパク質強化(protein fortification)に適しているだけでなく、タンパク質製品の多様な従来の用途、例えば、これらに限定されないが、加工食品および飲料のタンパク質強化、油の乳化において、焼成製品における組織形成剤(body former)およびガスを閉じ込める製品の発泡剤として使用することができる。加えて、本大豆タンパク質製品は、食肉類似品において有用なタンパク質繊維に形成することができ、また、つなぎとして卵白が用いられる食品における卵白代用品または増量剤として使用することができる。本大豆タンパク質製品は、栄養補助食品で使用することができる。また本大豆タンパク質製品は、乳製品類似品、または乳製品/大豆混合物である製品に使用することもできる。本大豆タンパク質製品の他の用途は、ペットフード、動物用飼料ならびに工業および化粧品用途ならびにパーソナルケア製品におけるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の一般的な説明
本プロセスで利用される大豆タンパク質源は、大豆または任意の大豆製品または大豆の加工に由来する副産物であってよく、例えば、これに限定されないが、大豆ミール、大豆フレーク、大豆粗粒および大豆粉などが挙げられる。大豆タンパク質源は、全脂形態、部分脱脂形態、または完全脱脂形態で使用することができる。大豆タンパク質源が、かなりの量の脂肪を含有する場合、一般的に、そのプロセス中に油除去ステップが必要となる。大豆タンパク質源から回収される大豆タンパク質は、遺伝子操作によって改変されているが、天然タンパク質の特徴的な疎水性および極性特性を有するタンパク質であっても良い。
【0016】
タンパク質の可溶化ステップの前に、大豆タンパク質源を分類して微粉含有量を低減することができる。大豆タンパク質源は、20メッシュ篩(米国篩サイズ)を通過する微粉を約45重量%未満、好ましくは約35重量%未満含有するように分類することができる。この分類は、大豆タンパク質源を篩にかけることにより都合よく行うことができる。
【0017】
任意選択で分類された大豆タンパク質源材料からのタンパク質可溶化には別のカルシウム塩の溶液を使用してもよいが、塩化カルシウム溶液を使用して行うのが最も好都合である。加えて、マグネシウム塩などの他のアルカリ土類金属化合物を使用することができる。さらに、大豆タンパク質源からの大豆タンパク質の抽出は、塩化ナトリウムなどの別の塩溶液と組み合わせたカルシウム塩溶液を使用して行うことができる。さらには、大豆タンパク質源からの大豆タンパク質の抽出は、水、または塩化ナトリウムなどの他の塩溶液を使用して行い、続いて、抽出ステップで生成された大豆タンパク質水溶液にカルシウム塩を加えることができる。カルシウム塩の添加時に形成された沈殿物は、後続の処理の前に除去する。
【0018】
カルシウム塩溶液の濃度の増大に伴い、大豆タンパク質源からのタンパク質の可溶化の程度は、最大値に到達するまで、最初は増大する。その後いかに塩濃度を増大させても、可溶化される総タンパク量は増加しない。タンパク質の最大の可溶化を引き起こすカルシウム塩溶液の濃度は、関係する塩に応じて変わる。通常、約1.0M未満の濃度値、より好ましくは約0.10〜約0.15Mの値を用いるのが好ましい。
【0019】
バッチプロセスにおいては、タンパク質の塩可溶化は、約1°〜約100℃、好ましくは約15℃〜約65℃、より好ましくは約50℃〜約60℃の温度で行い、好ましくは通常、約1〜約60分である可溶化時間を短くするために撹拌しながら行う。全体的に高い製品収率が得られるように、大豆タンパク質源から実質的に実現可能な量のタンパク質を抽出するように可溶化を行うのが好ましい。
【0020】
連続プロセスにおいては、大豆タンパク質源からの大豆タンパク質の抽出は、大豆タンパク質源からの大豆タンパク質の連続抽出を行うのに適した任意の方法で行う。一実施形態においては、大豆タンパク質源をカルシウム塩溶液と連続的に混合し、本明細書に記載したパラメーターに従って、所望の抽出を行うのに十分な長さを有するパイプもしくは導管を通して、十分な滞留時間に対する流量で混合物を運ぶ。このような連続的手順においては、塩可溶化ステップは、好ましくは大豆タンパク質源から実質的に実現可能な量のタンパク質を抽出する可溶化を行うために、最高約10分の時間で迅速に行う。連続的手順における可溶化は、約1°と約100℃の間、好ましくは約15℃と約65℃の間、より好ましくは約50℃と約60℃の間の温度で行う。
【0021】
一般的に、抽出は約5〜約11、好ましくは約5〜約7のpHで行う。抽出系(大豆タンパク質源およびカルシウム塩溶液)のpHは、必要に応じて、任意の好都合な食品グレードの酸、通常は塩酸またはリン酸、あるいは食品グレードのアルカリ、通常は水酸化ナトリウム、を使用することによる抽出ステップでの使用において、約5〜約11の範囲内の任意の所望の値に調整することができる。
【0022】
可溶化ステップ時のカルシウム塩溶液中の大豆タンパク質源の濃度は、広い範囲で変動し得る。典型的な濃度の値は、約5〜約15%w/vである。
【0023】
塩水溶液を用いるタンパク質抽出ステップは、大豆タンパク質源中に存在し得る脂肪を可溶化するさらなる効果を有し、その場合、脂肪が水相に存在する結果となる。
【0024】
抽出ステップから得られるタンパク質溶液は、一般に、約5〜約50g/L、好ましくは約10〜約50g/Lのタンパク質濃度を有する。
【0025】
カルシウム塩水溶液は、酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤は、任意の好都合な酸化防止剤、例えば、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などであってもよい。用いる酸化防止剤の量は、溶液の約0.01〜約1重量%で変動してもよく、好ましくは約0.05重量%である。酸化防止剤は、タンパク質溶液中の任意のフェノール類の酸化を抑制する働きをする。
【0026】
次いで、抽出ステップから得られる水相は、任意の好都合な方法で、例えば、デカンタ型遠心分離または任意の適切な篩を使用し、続いてディスク型遠心分離および/または濾過により、残留大豆タンパク質源材料を除去するために、残留大豆タンパク質源から分離することができる。分離ステップは、一般に、タンパク質可溶化ステップと同一温度で実施されるが、約1°〜約100℃、好ましくは約15°〜約65℃、より好ましくは約50°〜約60℃の範囲内の任意の温度で実施することができる。分離された残留大豆タンパク質源は、処分のため乾燥させることができる。あるいは、分離された残留大豆タンパク質源を処理して、一部の残留タンパク質を回収することができる。分離された残留大豆タンパク質源は、新しいカルシウム塩溶液を用いて再抽出することができ、また、透明化の際に得られるタンパク質溶液は、下記で述べるさらなる処理において最初のタンパク質溶液と合わせることができる。あるいは、分離された残留大豆タンパク質源は、従来の等電沈殿の手順または残留タンパク質を回収する任意の別の従来手順などにより処理することができる。
【0027】
上記のように、バッチ操作または連続操作における抽出ステップ、および、昇温で、一般には約35°〜約65℃、好ましくは約50°〜約60℃の温度で残留大豆タンパク質源から大豆タンパク質水溶液を分離する後続のステップを行い、周囲温度でそれらのステップを行うのに比べて、改善された透明度を有する透明化大豆タンパク質溶液を得るのが好ましい。
【0028】
本発明の譲受人に譲渡され、その開示が参照により本明細書に組み込まれた、米国特許第5,844,086号および第6,005,076号に記載のように、大豆タンパク質源がかなりの量の脂肪を含有する場合、分離したタンパク質水溶液に、上記特許に記載されている脱脂ステップを行うことができる。あるいは、分離したタンパク質水溶液の脱脂は、任意の別の好都合な手順により行うことができる。
【0029】
大豆タンパク質水溶液は、吸着剤、例えば、粉末活性炭または粒状活性炭などで処理して、着色化合物および/または臭気化合物を除去することができる。こうした吸着剤処理は、任意の好都合な条件下で、一般には分離したタンパク質水溶液の周囲温度で実施することができる。粉末活性炭に関しては、約0.025%〜約5%w/v、好ましくは約0.05%〜約2%w/vの量が用いられる。吸着剤は、任意の好都合な手段、例えば濾過などによって、大豆溶液から除去することができる。
【0030】
得られた大豆タンパク質水溶液は、大豆タンパク質水溶液の伝導率を一般に約90mSより低い値、好ましくは約4〜約18mSまで低減するために、一般に約0.5〜約10倍容量(volumes)、好ましくは約0.5〜約2倍容量(volumes)の水性希釈液で希釈される。こうした希釈は、通常、水を使用して行われるが、最大約3mSの伝導率を有する希釈塩溶液、例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウムなどの溶液を使用することができる。
【0031】
大豆タンパク質溶液と混合する希釈液は、一般に、大豆タンパク質溶液と同一温度を有するが、希釈液は、約1°〜約100℃、好ましくは約15°〜約65℃、より好ましくは約50°〜約60℃の温度を有していてもよい。
【0032】
次いで、希釈された大豆タンパク質溶液は、任意の好適な食品グレードの酸、例えば、塩酸またはリン酸を加えることにより、約1.5〜約4.4、より好ましくは約2〜約4の値にpHを調整し、透明な酸性化大豆タンパク質水溶液を得ることができる。
【0033】
この透明な酸性化大豆タンパク質水溶液は、一般には、約95mSより低い伝導率、好ましくは約4〜約23mSである伝導率を有する。
【0034】
希釈および酸性化された溶液の600nmでの吸光度は、再構成された大豆タンパク質製品の酸性溶液の透明度に関する重要な指標である。約0.055未満、好ましくは約0.040未満の希釈および酸性化された溶液の600nmでの吸光度(A600)は、上記で述べた好ましい透明度のレベルの定義を満たす酸性水溶液を提供する最終生成物を得るために不可欠である。下記で述べた任意選択の熱処理ステップが用いられる場合に、タンパク質溶液の透明度が改善されることが見い出された。したがって、後続の熱処理ステップが用いられるならば、0.055を超える希釈および酸性化された溶液に関するA600値は許容可能であり、当該熱処理は透明度を十分に改善し、希釈および酸性化かつ熱処理された溶液のA600を約0.055未満、好ましくは約0.040未満とする。
【0035】
好ましい透明度のレベルを有する溶液がこのプロセスの大豆タンパク質製品から提供され得ることを確実にするためには、プロセスの速度が重要であることが見い出された。残留大豆タンパク質源を除去した後に、タンパク質抽出溶液が自然のpHでより長く維持されると、その溶液はよりヘイズ形成されることになる(the hazier the solution becomes)。このヘイズ形成は、分離ステップから得られる大豆タンパク質水溶液の透明度を問わず、発生する。迅速に希釈および酸性化されなければ、全くヘイズを含まない溶液はヘイズ(haze)を生じるようになる。ヘイズが形成された後は、たとえ精密濾過を使用したとしても、ヘイズの除去は非常に困難である。
【0036】
したがって、抽出溶液を透明化した後、直後でなければできるだけ迅速に希釈および酸性化を実施するのが有利である。透明化と希釈および酸性化との間の最長時間は約20分、任意選択の熱処理が用いられる場合には40分であって、より短時間であるほどより望ましく、直後の希釈および酸性化が最適であることが、試験によって示された。
【0037】
透明な酸性化大豆タンパク質水溶液は熱処理に供して、抽出ステップ中の大豆タンパク質源材料からの抽出の結果として、この溶液中に存在するトリプシン阻害剤などの熱不安定性の抗栄養因子(heat labile anti−nutritional factors)を不活性化することができる。このような加熱ステップはまた、微生物負荷の減少、および溶液の透明度の改善などのさらなる利点をももたらす。希釈および酸性化かつ熱処理された溶液の約0.055未満、好ましくは約0.040未満の600nm吸光度(A600)は、好ましい透明度のレベルの定義を満たす酸性水溶液を提供する最終生成物を得るのに不可欠である。一般に、タンパク質溶液は、約70°〜約160℃の温度まで約10秒〜約60分間、好ましくは約80°〜約120℃まで約10秒〜約5分間、より好ましくは約85°〜約95℃まで約30秒〜約5分間加熱する。次いで、熱処理され、酸性化された大豆タンパク質溶液は、約2°〜約60℃、好ましくは約50℃〜約60℃の温度まで、以下に記載したように、さらなる処理のために冷却することができる。
【0038】
得られた透明な酸性化大豆タンパク質水溶液をそのまま乾燥させて、大豆タンパク質製品を製造することができる。不純物含有量が減少し、塩含有量が低減されている大豆タンパク質製品、例えば大豆タンパク質単離物を得るために、透明な酸性化大豆タンパク質水溶液を乾燥前に処理することもできる。
【0039】
透明な酸性化大豆タンパク質水溶液を濃縮して、そのイオン強度を実質的に一定に保ちながら、そのタンパク質濃度を増大させることができる。このような濃縮は、一般に、約50〜約300g/L、好ましくは約100〜約200g/Lのタンパク質濃度を有する濃縮された大豆タンパク質溶液が得られるように行われる。
【0040】
濃縮ステップは、異なる膜材料および形状を考慮し、約3,000〜約1,000,000ダルトン、好ましくは約5,000〜約100,000ダルトンなどの好適な分画分子量(molecular weight cut−off)を有する中空糸膜またはスパイラル型膜(spiral−wound membranes)などの膜を使用する、限外濾過または透析濾過などの任意の好都合な選択的膜技術の使用などにより、バッチ操作または連続操作に適した任意の好都合な方法で実施することができる。連続操作においては、タンパク質水溶液が膜を通過する場合に、所望の濃縮程度が可能な寸法にする。
【0041】
周知のように、限外濾過および類似の選択的膜技術は、低分子量の種はそれを通過させ、一方、高分子量の種は通過させない。低分子量の種には、食品グレードの塩のイオン種だけでなく、炭水化物、色素、低分子量タンパク質、およびそれ自体は低分子量タンパク質であるトリプシン阻害剤などの抗栄養因子といった、供給源材料から抽出される低分子量材料も含まれる。膜の分画分子量は、異なる膜材料および形状を考慮し、汚染物質の通過を可能にしながらも溶液中にかなりの割合のタンパク質が確実に保持されるように通常選択する。
【0042】
次いで、濃縮された大豆タンパク質溶液は、水または希食塩水を使用して、透析濾過ステップに供することができる。透析濾過溶液は、その自然なpH、または透析濾過するタンパク質溶液と等しいpH、またはその間の任意のpH値であってもよい。こうした透析濾過は、約1〜約40倍容量の透析濾過溶液、好ましくは約2〜約25倍容量の透析濾過溶液を使用して行うことができる。透析濾過操作においては、透過液(permeate)と一緒に膜を通過させることにより、透明な大豆タンパク質水溶液からさらなる量の汚染物質が除去される。これにより、透明なタンパク質水溶液は精製され、その粘度も低下する。透析濾過操作は、透過液中に更なるかなりの量の汚染物質もしくは目に見える着色が存在しなくなるまで、または、乾燥したときに、タンパク質含有量が少なくとも約90重量%(N×6.25)d.b.の大豆タンパク質単離物を得られるように保持液(retentate)が十分に精製されるまで、行うことができる。このような透析濾過は、濃縮ステップと同一の膜を使用して行うことができる。しかし、所望により、異なる膜材料および形状を考慮し、透析濾過ステップは、約3,000〜約1,000,000ダルトン、好ましくは約5,000〜約100,000ダルトンの範囲の分画分子量を有する膜などの、分画分子量の異なる別の膜を用いて行うことができる。
【0043】
あるいは、透析濾過ステップは、濃縮する前の透明な酸性化されたタンパク質水溶液に、または部分的に濃縮された透明な酸性化されたタンパク質水溶液に適用することができる。また、透析濾過は、濃縮プロセス中、複数の時点で適用することができる。濃縮前に、または部分的に濃縮された溶液に透析濾過を適用する場合、得られる透析濾過された溶液は、その後、さらに濃縮することができる。タンパク質溶液を濃縮しながら、複数回透析濾過することにより得られる粘度の低下によって、完全に濃縮されたより高い最終タンパク質濃度を得ることができる。これにより、乾燥させる材料の体積が小さくなる。
【0044】
本明細書においては、濃縮ステップおよび透析濾過ステップは、引き続いて回収される大豆タンパク質製品が約90重量%未満のタンパク質(N×6.25)d.b.、例えば、少なくとも約60重量%のタンパク質(N×6.25)d.b.を含有するように行うことができる。透明な大豆タンパク質水溶液を部分的に濃縮および/または部分的に透析濾過することにより、汚染物質を部分的にのみ除去することができる。次いで、このタンパク質溶液を乾燥させて、純度のレベルが低い大豆タンパク質製品を得ることができる。
少なくとも約60重量%のタンパク質含有量を有する大豆タンパク質製品は、それでもなお酸性条件下で透明なタンパク質溶液を生成することができる。
【0045】
透析濾過ステップの少なくとも一部分の間、透析濾過媒体中に酸化防止剤を存在させることができる。酸化防止剤は、任意の好都合な酸化防止剤、例えば、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸などであってもよい。透析濾過媒体中に用いる酸化防止剤の量は、用いられる材料に応じて、約0.01〜約1重量%で変動してもよく、好ましくは約0.05重量%である。酸化防止剤は、濃縮大豆タンパク質溶液中に存在する任意のフェノール類の酸化を抑制する働きをする。
【0046】
濃縮ステップおよび任意選択による透析濾過ステップは、任意の好都合な温度で、一般には約2°〜約65℃、好ましくは約50°〜約60℃で、所望の程度の濃縮および透析濾過が行われる時間、行うことができる。使用する温度および他の条件は、膜処理の実施に使用する膜装置、溶液の所望のタンパク質濃度、および汚染物質を除去して透過液にする効率に、ある程度依存する。
【0047】
大豆には2種の主要なトリプシン阻害剤、すなわち、分子量が約21,000ダルトンの熱不安定性の分子であるクニッツ阻害剤(Kunitz inhibitor)、および分子量が約8,000ダルトンのより熱安定性の分子であるボーマンバーク阻害剤(Bowman−Birk inhibitor)がある。最終大豆タンパク質製品中のトリプシン阻害剤活性(trypsin inhibitor activity)のレベルは、種々なプロセス変数を操作することによりコントロールすることができる。
【0048】
上述のように、透明な酸性化大豆タンパク質水溶液の熱処理を使用して、熱不安定性のトリプシン阻害剤を不活性化することができる。部分的濃縮または完全濃縮の酸性化大豆タンパク質溶液を熱処理しても、熱不安定性のトリプシン阻害剤を不活性化することができる。部分的濃縮をし、酸性化した大豆タンパク質溶液に熱処理を施す場合、得られる熱処理された溶液は、その後、さらに濃縮することができる。
【0049】
さらに、濃縮および/または透析濾過ステップを、他の汚染物質と共に透過液のトリプシン阻害剤を除去するのに都合の良い様式で操作することもできる。トリプシン阻害剤の除去は、孔径のより大きい、例えば約30,000〜約1,000,000ダルトンなどの膜を使用して、昇温、例えば約30°〜約65℃、好ましくは約50°〜約60℃で膜を操作し、より多量の体積の透析濾過媒体、例えば約10〜約40倍容量を用いることにより促進される。
【0050】
希釈されたタンパク質溶液を約1.5〜約3のより低いpHで酸性化および膜処理をすると、約3〜約4.4のより高いpHで溶液を処理するのと比較して、トリプシン阻害剤活性を低下させることができる。タンパク質溶液をpH範囲の下限で濃縮および透析濾過する場合、乾燥前に、保持液のpHを上げることが望ましい。濃縮および透析濾過されたタンパク質溶液のpHは、水酸化ナトリウムなどの任意の好都合な食品グレードのアルカリを添加することにより、所望の値、例えばpH3に上げることができる。
【0051】
さらに、トリプシン阻害剤のジスルフィド結合を破壊または転位(rearrange)させる還元剤に大豆材料を曝露することにより、トリプシン阻害剤活性を低減させることができる。好適な還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、システインおよびN−アセチルシステインが挙げられる。
【0052】
こうした還元剤の添加は、全プロセスの様々な段階で行うことができる。還元剤は、抽出ステップにおいて大豆タンパク質源材料と一緒に加えることができるか、残留大豆タンパク質源材料を除去した後の透明化大豆タンパク質水溶液に加えることができるか、透析濾過前もしくは後の濃縮タンパク質溶液に加えることができるか、乾燥させた大豆タンパク質製品とドライブレンドすることができる。還元剤の添加は、上述のような熱処理ステップおよび膜処理ステップと組み合わせることができる。
【0053】
濃縮タンパク質溶液中に活性トリプシン阻害剤を保持することが所望される場合には、熱処理ステップを省略もしくはその強さを低減し、還元剤を使用せず、pH範囲の上限、例えばpH3〜約4.4で濃縮および透析濾過ステップを行い、より小さい孔径の濃縮膜および透析濾過膜を利用し、膜をより低い温度で操作し、より少量の体積の透析濾過媒体を用いることで達成することができる。
【0054】
濃縮および任意選択で透析濾過されたタンパク質溶液は、必要に応じて、米国特許第5,844,086号および第6,005,076号に記載されているようにして、さらなる脱脂操作に供することができる。あるいは、濃縮および任意選択で透析濾過されたタンパク質溶液の脱脂は、任意の別の従来手順により行うことができる。
【0055】
濃縮および任意選択で透析濾過された透明なタンパク質水溶液は、吸着剤、例えば、粉末活性炭または粒状活性炭などで処理し、着色化合物および/または臭気化合物を除去することができる。このような吸着剤処理は、任意の好都合な条件下で、一般には濃縮タンパク質溶液の周囲温度で実施することができる。粉末活性炭に関しては、約0.025%〜約5%w/v、好ましくは約0.05%〜約2%w/vの量が用いられる。吸着剤は、濾過などの任意の好都合な手段により大豆タンパク質溶液から除去することができる。
【0056】
濃縮および任意選択で透析濾過された透明な大豆タンパク質水溶液は、任意の好都合な技術、例えば、噴霧乾燥または凍結乾燥などによって乾燥させることができる。大豆タンパク質溶液に対して、乾燥前に低温殺菌ステップを行うことができる。このような低温殺菌は、任意の望ましい低温殺菌条件下で行うことができる。一般に、濃縮および任意選択で透析濾過された大豆タンパク質溶液は、約30秒〜約60分間、好ましくは約10分〜約15分間、約55°〜約70℃、好ましくは約60°〜約65℃の温度まで加熱する。次いで、低温殺菌された濃縮大豆タンパク質溶液は、乾燥のため、好ましくは約25°〜約40℃の温度まで冷却することができる。
【0057】
乾燥大豆タンパク質製品は、約60重量%(N×6.25)d.b.を超えるタンパク質含有量を有する。好ましくは、乾燥大豆タンパク質製品は、約90重量%のタンパク質を超える、好ましくは少なくとも約100重量%である(N×6.25)d.b.、高タンパク質含有量の単離物である。
【0058】
本明細書で製造される大豆タンパク質製品は、酸性の水性環境に可溶であり、製品は、炭酸および非炭酸両方の飲料に混ぜて、それにタンパク質強化を付与するのに理想的となる。このような飲料は、約2.5〜約5の範囲の広範な酸性pH値を有する。本明細書で提供する大豆タンパク質製品は、任意の好都合な量、例えば、1杯につき少なくとも約5gの大豆タンパク質を、こうした飲料に添加し、このような飲料のタンパク質強化をもたらし得る。加えた大豆タンパク質製品は飲料に溶解し、熱処理の後であっても、飲料の透明度は失われない。大豆タンパク質製品は、乾燥飲料とブレンドした後、水に溶解させて飲料を再構成することもできる。一部の場合において、飲料中に存在する成分が、飲料中に組成物を溶解したままとする大豆タンパク質製品の能力に悪影響を及ぼす場合、飲料の通常の処方を、大豆タンパク質製品の包含を許容するように変更することが必要となり得る。
【実施例】
【0059】
例
例1
この例では、希釈および酸性化かつ熱処理された大豆タンパク質溶液および最終大豆タンパク質製品の酸性水溶液の両方の透明度に対する大豆タンパク質源中の微粉含有量の影響を例示する。
【0060】
20メッシュ篩を通過する微粉としてのフレークを「a」重量%含有する、30kgの脱脂大豆白色フレークを、「b」Lの0.15M CaCl
2溶液に周囲温度で添加し、30分間撹拌し、タンパク質水溶液を得た。残留大豆白色フレークを除去し、得られたタンパク質溶液を遠心分離によって透明化し、タンパク質含有量が「d」重量%であって、「e」の600nmの吸光度を有する「c」Lのタンパク質溶液を得た。
【0061】
次いで、「f」倍容量の逆浸透精製水にこのタンパク質溶液を加え、試料のpHを希釈液「h」(1倍容量の濃縮「h」プラス1倍容量の水)で「g」まで低下させた。次いで、希釈および酸性化された溶液を30秒間、90℃で熱処理した。熱処理後のタンパク質溶液のA600は「i」であった。
【0062】
この熱処理および酸性化されたタンパク質溶液は、約「1」℃の温度で操作される、100,000ダルトンの分画分子量のポリエーテルスルホン膜での濃縮により「j」Lから「k」Lまで容量を低減した。タンパク質含有量が「m」重量%のこの酸性化されたタンパク質溶液は、約「o」℃で行われる透析濾過操作を用いて、「n」Lの逆浸透(RO)精製水で透析濾過した。次いで、この透析濾過された溶液は、「p」Lの容量までさらに濃縮し、約「r」℃で行われる透析濾過操作を用いて、追加の「q」LのRO水で透析濾過した。この第2の透析濾過の後に、タンパク質溶液を「s」重量%のタンパク質含有量から「t」重量%のタンパク質含有量まで濃縮し、次いで、噴霧乾燥を容易にするため、水で「u」重量%のタンパク質含有量まで希釈した。噴霧乾燥前のタンパク質溶液を、最初の遠心分離にかけたタンパク質溶液の「v」重量%の収率で回収した。次いで、酸性化し、透析濾過し、濃縮したタンパク質溶液を乾燥して、「w」%(N×6.25)d.b.のタンパク質含量を有することが判明した生成物を得た。この生成物に「x」S701Hと命名した。十分なタンパク質粉末の溶解により、S701Hの溶液を調製し、15mlのRO水中に0.48gのタンパク質を提供し、pHを「y」とした。この溶液に関するヘイズ値は、透過モードで操作される、HunterLab Color Quest XE装置を使用して測定し、「z」であることがわかった。
【0063】
13の試験に関するパラメーター「a」〜「z」を以下の表1に記載する:
【0064】
【表1】
表1に記載されているデータから理解され得るように、20メッシュ篩を通過する微粉を約45重量%未満、好ましくは約35重量%未満で含有する大豆白色フレークの試料は、約0.055未満、好ましくは約0.040未満のA600を有する、希釈および酸性化かつ熱処理されたタンパク質溶液、および10%未満の好ましいヘイズレベルを有する大豆タンパク質単離物の酸性水溶液を提供した。
【0065】
例2
この例は、希釈および酸性化かつ熱処理されたタンパク質溶液の透明度に対するプロセス速度の影響を示す。
【0066】
60kgの脱脂大豆白色フレークを、周囲温度で600Lの0.15M CaCl
2溶液に添加し、30分間撹拌し、タンパク質水溶液を得た。残留大豆白色フレークを除去し、得られたタンパク質溶液を遠心分離によって透明化し、タンパク質含有量が2.75重量%であって、A600値が「a」である、473.5Lのタンパク質溶液を得た。
【0067】
次いで、1倍容量の逆浸透精製水にこのタンパク質溶液を加え、試料のpHを希HCl(1倍容量の濃HClプラス1倍容量の水)で3まで低下させた。希釈およびpH調整後のタンパク質溶液のA600は「b」であった。次いで、希釈し、酸性化された溶液を30秒間90℃で熱処理した。熱処理後のタンパク質溶液のA600は「c」であった。
【0068】
この方法は、残留している大豆白色フレークから分離した後、70分まで、10分ごとに得られた、濃縮液(centrate)の試料で繰り返した。得られた結果を以下の表2に記載する:
【0069】
【表2】
表2に示したデータから、透明化と後続の希釈および酸性化のステップの間の推奨される最長時間は、その溶液が熱処理されることなくさらに処理される場合には約20分であり、後続の熱処理ステップが用いられる場合には40分である。これらの時間にわたり、タンパク質溶液のA600は、10%未満のヘイズ値を有する最終大豆タンパク質製品の酸性水溶液を示すことが確定される値(0.055)より高くなり得る。表2から明らかであるように、透明化された抽出物がより迅速にさらに処理されるにつれて、希釈および酸性化かつ任意選択で熱処理されたタンパク質溶液の透明度は大きくなる。
【0070】
例3
この例は、透明度に対する温度の効果を示すものである。
【0071】
8つの各方法試験に対して600nmの可視光吸光度(A600)として示されたスラッジ除去後(post desludger)の濃縮液透明度に関して比較した。各試験において、300Lの0.15M CaCl
2を使用して、30分間、30kgの大豆ミールを抽出した。デカンタに各抽出物を通して残留大豆タンパク質源を除去し、次いで、ディスク・スタック・スラッジ除去遠心分離機(disk stack desludger centrifuge)にかけて溶液をさらに透明化した。バッチの4つは約50℃で処理し、別の4つのバッチは約20°〜25℃の周囲温度で処理した。
【0072】
スラッジ除去後の濃縮液の試料に関するA600読取値(reading)を各バッチについて記録し、得られた結果を以下の表3に記載する:
【0073】
【表3】
表3の結果から明らかであるように、約50℃で抽出され透明化された各バッチにおいて、A600値により決定された有意に低いヘイズが示された。
【0074】
本開示の概要
本開示の概要において、本発明は、酸性溶液に入れられ、好ましい透明度のレベルを提供することができる大豆タンパク質製品の製造を保証する処理ステップに関する。本発明の範囲における変更が可能である。