(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408554
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】レコード洗浄器、及びレコードを洗浄する方法
(51)【国際特許分類】
G11B 3/58 20060101AFI20181004BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20181004BHJP
G11B 23/50 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
G11B3/58 E
B08B3/12 C
G11B23/50 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-502241(P2016-502241)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-517608(P2016-517608A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014026777
(87)【国際公開番号】WO2014151990
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】61/785,456
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248942
【氏名又は名称】クーランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(74)【代理人】
【識別番号】100168594
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】チェオン,カイアン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,アンクク
【審査官】
中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−058510(JP,U)
【文献】
実開昭56−006009(JP,U)
【文献】
特開平06−126250(JP,A)
【文献】
特開2005−279604(JP,A)
【文献】
特開昭56−005173(JP,A)
【文献】
特開2004−191395(JP,A)
【文献】
実開昭56−052081(JP,U)
【文献】
特開2000−150440(JP,A)
【文献】
特表平09−502388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 3/58
B08B 3/12
G11B 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコードを配置するための開口部を有するケースと、
前記ケース内の液槽と、
前記液槽の頂部近くに位置する波減衰構造であって、前記液槽内の液体流出レベルよりも下方の位置まで前記液槽内に垂直下向きに延在する、波減衰構造と、
前記液槽の壁部に取り付けられた超音波振動装置と、
を備え、
前記波減衰構造は、前記液槽の前記壁部に前記超音波振動装置が取り付けられたレベルよりも下方までは延在しない、レコード洗浄器。
【請求項2】
前記超音波振動装置が取り付けられる、前記液槽の非剛性の可撓性壁部をさらに備える、請求項1に記載のレコード洗浄器。
【請求項3】
液洗サイクルまたは乾燥サイクルの現在の期間を表示するためのユーザインターフェースをさらに備える、請求項1に記載のレコード洗浄器。
【請求項4】
前記液槽と流体連通する液体貯留槽をさらに備える、請求項1に記載のレコード洗浄器。
【請求項5】
前記液体流出レベルは、レコードが前記レコード洗浄器内に置かれるときにレコードラベルが位置するレベルより下方にある、請求項1に記載のレコード洗浄器。
【請求項6】
前記超音波振動装置は、液洗サイクル中に約200ワットの出力を発生させる1つまたは複数の超音波変換器を備える、請求項1に記載のレコード洗浄器。
【請求項7】
筐体と、
流出レベルまたは最大液体レベルを有する、前記筐体内に配設された液槽と、
前記液槽の少なくとも1つの壁部を形成し、開口部を有する弾性壁部と、
前記弾性壁部内の前記開口部を覆う金属板に取り付けられた超音波変換器であって、前記液槽は液体を含み、前記液体は前記弾性壁部内の前記開口部を通り抜けることにより前記金属板と接触する、超音波変換器と、
を備える、レコード洗浄器。
【請求項8】
前記流出レベルまたは最大液体レベルに近い高さに少なくとも部分的に配設され、洗浄サイクル中にレコードが前記筐体内に配設される位置に向かって内向きに延び、さらに前記流出レベルまたは最大液体レベルよりも下の位置まで下向きに前記液槽内に延びるが、前記超音波変換器が前記金属板に取り付けられたレベルを越えて下向きに延びない、波減衰構造をさらに備える、請求項7に記載のレコード洗浄器。
【請求項9】
液槽内にレコードを保持するステップと、
ポンプを使用して貯留槽から前記液槽へと液体を移送するステップと、
液洗サイクル中に前記液槽内で前記レコードを回転させるステップと、
前記液槽の弾性壁部内の開口部を通過する前記液体内で圧縮波を生成する超音波装置を使用して、前記液洗サイクル中に前記液槽内の前記液体を振動させるステップと、
両側に液体を有する波減衰構造を提供することによって前記液槽内の前記液体の表面レベルの近くで振動力を遮断するステップであって、前記波減衰構造は前記超音波装置と前記レコードとの間で横向きに位置するステップと、
を含む、レコード洗浄器を使用してレコードを洗浄する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第61/785,456号(2013年3月14日出願)の利益を主張する。
【0002】
本開示は、超音波変換器を利用する自動化された洗浄器に関し、より詳細には、超音波変換器を利用するレコード盤洗浄器に関する。
【背景技術】
【0003】
当技術分野で知られている様々なレコード盤洗浄器が存在する。いくつかのレコード洗浄器は、レコードと物理的に接触するブラシまたは他の洗浄部材を利用する。これらの洗浄器のうちのあるものは、それらがレコードの溝の中に位置する物質を完全には洗浄できないという点で、十分な洗浄性能に欠けることが一般に知られている。加えて、レコードと物理的に接触することが要求される洗浄器具を繰り返し使用することは、レコードの表面を摩耗させる可能性がある。
【0004】
いくつかのレコード洗浄器は、レコードの洗浄時に使用するための液体基剤を含む。この液体は多くの場合、水とレコード洗浄器と共に販売される専用の洗浄流体の混合物から構成される。そのようなレコード洗浄器のユーザが、専用の洗浄流体を切らした場合、そのレコード洗浄器を使用し続けるために、さらに多くが購入されなければならない。
【0005】
洗浄部材の使用と関連付けられたこの制約を克服するために、いくつかのレコード洗浄器は、液体中に超音波周波数を発生させるための超音波変換器を採用し、そしてこの超音波周波数は、洗浄液体中に圧縮波を発生させる。理論に縛られることなく、圧縮波の結果として泡/キャビテーションが形成される可能性があり、これらの泡は急速に圧縮または内破して、レコードの小さい溝を洗浄するのに十分な小ささの液体ジェットを作り出す。
【0006】
超音波洗浄システムで使用される出力の量は、レコード洗浄器の有効性に対して大きな影響を有しうる。超音波変換器は、ワット数が低すぎれば、レコードを適切に洗浄するには弱すぎる。ワット数が高すぎれば、レコード盤の表面が損傷される可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、レコード洗浄器は、中にレコードを置くための開口部を有するケースを備える。超音波変換器などの振動装置(agitating device)が設けられ、この振動装置は液槽中の液体を振動させることができる。液槽は、液槽の頂部近くに配置された減衰構造を有しうる。減衰構造は、液槽内で、液面位置とレコード位置との間の場所まで下向きに延在しうる。減衰構造は、液体振動中のレコードへの損傷を防止するのを助けることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、レコード洗浄器は、液槽の非剛性の可撓性壁部を備え、超音波変換器は、この可撓性壁部に取り付けられる。可撓性壁部は、部分的に振動を低減することにより、より高出力の変換器の使用を可能にすることができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、レコード洗浄器は、液洗サイクルまたは乾燥サイクルの現在の期間を表示するためのユーザインターフェースを備えてもよい。ユーザインターフェースは、サイクルまたはサイクルの組み合わせを選択するためにユーザによって使用されうる。ユーザインターフェースは、ユーザがサイクルのうちの少なくとも1つに関する強度を選択することを可能にしてもよい。
【0010】
レコード洗浄器の様々な実施形態を製作し使用するための、様々な方法、システム、および機器も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のレコード洗浄器の実施形態の正面斜視図である。
【
図2】
図1のレコード洗浄器の部分的な側面断面図である。
【
図4】
図2とは異なる奥行きで見た場合の、
図1のレコード洗浄器の別の側面断面図である。
【
図5】レコード洗浄器内の液槽内に配設されたレコード、およびレコードが載せられるローラを、複数の滑車がローラを接続している状態で示す、
図1のレコード洗浄器の部分的な側面図である。
【
図6】液槽および接続された液体貯留槽、ならびに流出ポートを示す、
図1のレコード洗浄器の部分的な側面図である。
【
図7】貯留槽に接続された排水管路、ならびに液槽および貯留槽を満たす源となる容器をさらに含む、
図6のレコード洗浄器の構成要素を示す図である。
【
図8】液槽および液槽のゴム弾性部分に取り付けられた超音波変換器を示す、
図1のレコード洗浄器の簡略化された部分的な側方断面図である。
【
図9】
図1のレコード洗浄器を操作する際に使用するためのユーザインターフェースの実施形態の側面図である。
【
図10】
図1のレコード洗浄器用の送風機を示す、部分的な上面図である。
【
図11】
図10の送風機システムの一部分を示す、部分的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が記述される。しかしながら、本開示を検討すれば、当業者は、本開示がこれらの詳細のうちの多くがなくても実行されうることを理解するであろう。他の場合には、液圧式設備、洗浄のための超音波変換器、および構造材料、等に関連したよく知られている構成は、本開示の実施形態の説明を不必要に分かりにくくすることを回避するために、詳細には記載されていない。
【0013】
本明細書の説明では、「約」または「から本質的に成る」の用語、およびこれらの均等物は、別途の記載がない限り、指示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。「1つの(a)」および「1つの(an)」の用語は、本明細書で使用される場合、列挙された構成要素のうちの「1つまたは複数」を指すことが理解されるべきである。選択肢(例えば「or」)の使用は、選択肢のうちのいずれか1つ、両方、またはこれらの任意の組み合わせを意味するものと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「含む」および「備える」の用語は、同義的に使用され、これらの用語およびそれらの変形したものは、非限定的なものと見なされることが意図されている。
【0014】
本開示の様々な実施形態は、ビニルLPレコード盤の洗浄に適用するという文脈で記載されている。しかしながら、当業者には理解されるであろうように、開示された実施形態は、例えば繊細な表面および微細な隙間または溝を有する他の基板の洗浄など、他の文脈においても適用可能でありうる。本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、本明細書に記載される様々な文脈において、流体という用語は液体と読み替えられてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、
図1に例示されるように、超音波レコード盤洗浄器(レコード洗浄器ともいう)が提供される。レコード洗浄器2は、ユーザが中にレコード12を挿入できるスロット6を有する、筐体4を含みうる。スロット6の端部の近くに、レコード洗浄器の液槽および貯留槽を注入して満たす際に使用するための注入孔8が提供されてもよい。
【0016】
図2および
図5を参照すると、筐体4内に配置された液槽10は、ほぼまたは正確に半円形の断面を有しうる。少なくとも1つのモータの付いたローラ14’を含む複数のローラ14,14’は、可撓性部材(例えばケーブル16)によって接続されて、液槽10内に配設されうる。ローラは、液槽10内に置かれたレコード12の周縁部が、液槽10の底部の上方で特定の高さでローラ14,14’上に載るように、液槽10内の特定の場所に配置されうる。特に、いくつかの実施形態では、ローラ14,14’は、レコードの中心部分を液体が満たされる最大のレベルより上に維持する位置に配設される。このことにより、レコード12上のラベルが液槽内の液体に接触することを回避できる。
【0017】
少なくとも1つのモータの付いたローラ14’が、スイッチによって手動で作動されてローラ14’を回転させることができる。ローラ14’は、ローラ上に載っているレコード12を回転させる。このことにより、レコード12の一部分を、液槽10内の液体18の中に入れて、またそこから出して、循環させることができる。いくつかの実施形態では、モータの付いたローラを、ケーブル16によって少なくとも1つの他のローラ14に接続して、この他のローラを駆動するようにすることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のローラ14はモータの付いたローラに接続され、他の1つまたは複数のローラは接続されない。
【0018】
図1、
図6、および
図7を参照すると、液体(例えば蒸留水)18は、注入孔8およびスロット6を通して液槽10の中に注がれて、または流入して、液槽10を満たしうる。いくつかの実施形態では、流出(run-off)レベルは、流出ポート22内に至るポート開口部20または桟部によって提供される。特に、所定のレベルに達した液体を、ポート開口部20を通して流出ポート22を流下させ、貯留槽24内へと排出することができる。いくつかの実施形態(例示せず)では、流出ポート22は、ユーザが流出ポート22を通して液槽を直接満たせるように、注入孔と整列されうるか、または注入孔と整列された接続ポートを有しうる。いくつかの実施形態では、このことにより、システム内にすぐに溢れ出す大きな体積の流体を収容できる。
【0019】
いくつかの実施形態では、貯留槽24および液槽10と流体連通しうるポンプ26が提供される。以下でさらに記載されるように、自動化された、または手動の洗浄サイクルは、液体が液槽10から貯留槽内へと排出されることを可能にしうるとともに、ポンプ26を介して液体を圧送して、貯留槽24から液槽10内へと上げることができる。いくつかの実施形態では、ポンプ26は、少なくとも部分的に貯留槽24内に位置する。他の実施形態では、そうではない。ポンプ26は、貯留槽から液体を受容するように開口した、ポンプの吸引端部を有しうる。ポンプ26の放出端部28(または放出管路)は、液槽10に接続されうる。また、ポンプ26は、圧送中でないときは、水を液槽10から貯留槽内へと排出できるように構成されてもよい。他の実施形態では、ポンプ26は、液体を液槽10から貯留槽24内に排出することを可能にするように動作する、内部弁または弁を有する別個の排出経路を含みうる。また、ポンプは、液体を貯留槽24から液槽10内へと圧送するように動作してもよい。先に記載されたように、流出レベルは、液槽内で、液槽10内の液体レベルを調整するために提供される。
【0020】
本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、いくつかの実施形態では、流出レベルは、液体がローラ14,14’上に載っているレコードの中心部分のレコードラベルに接触することを回避するように配置される。
【0021】
洗浄液体を変更することが望まれる場合に貯留槽の液体を排出するための、液体排出弁29(
図7を参照)が設けられてもよい。
【0022】
図4および
図8を参照すると、液槽10は、丈夫な壁部分38を備えることができ、この壁部分38に、ゴム弾性壁部30などの容易に手で曲げられる非剛性の可撓性部分30が取り付けられる。ゴム弾性壁部30は、丈夫な板、または金属板40に取り付けられ、液槽10内の液体が金属板40に接触することを可能にするための開口部を有しうる。金属板40に、1つまたは複数の超音波変換器32が取り付けられうる。つまり、
図4および
図8に示されるように、いくつかの実施形態では、2つの変換器32が各金属板40に取り付けられ、金属板40は液槽10の両側でゴム弾性壁部30に取り付けられる。この結果、合計4つの変換器32が提供される。いくつかの実施形態では、より多くの、またはより少ない変換器32が提供されうる。
【0023】
変換器32が取り付けられる金属板40は、金属板の外周がゴム弾性壁部30に取り付けられ、このゴム弾性壁部30だけが金属板40のための支持部として機能するためにそれらが可動である、という意味で浮動(float)している。したがって、変換器の機械的振動はゴム弾性壁部30によって吸収され、筐体4などレコード洗浄器2の残りの部分では低減されうる。このことは、騒音低減および通常はレコード洗浄器2から発生する不快な振動について、大きな利益を有しうる。このことは、騒音および振動の許容可能なレベルを維持しつつ、4つ以上の超音波変換器32の使用を可能にする、1つの要因である。
【0024】
さらに、本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、理論に縛られることなく、ゴム弾性壁部への超音波変換器32の取り付けは、出力使用の効率の向上を助けうるが、これは、エネルギーの伝送からレコード洗浄器2全体(例えば筐体4および他の部品)の振動までにおいて、発生する出力損失がより小さいためである。
【0025】
本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、いくつかの実施形態では、変換器32の各々は、50Wの超音波変換器である。他の実施形態では、超音波変換器は、より高い、またはより低いワット数の変換器とすることができる。
【0026】
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、波減衰部または保護部36が液槽10の上端部の近くに配設され、これらは剛性の構造とすることができる(他の実施形態では、保護部は、可撓性またはゴム弾性であってもよいが、図示されるような開放された構造を有し、この開放された構造に向かって自然に付勢されている)。
図8に示されるように、波減衰部36は、液槽10の上部に取り付けられた壁構造としてもよく、内向きに次いで下向きに延びて液体18に接触し、このことによってレコードを液体18の液面の少なくとも一部分から遮断または保護してもよい。波減衰部36は、液槽10の両側で、その長手方向の全長に延在してもよい。出願人は、創意工夫および実験を通して、波減衰部36を導入することにより、洗浄性能を損なうことなく、または大きく損なうことなく、超音波洗浄中のレコードの摩耗および断裂を低減できることを発見した。理論に縛られることなく、周囲の雰囲気(例えば空気)と液体との間の界面は、水滴または水泡とレコードとの間の接触が(水面下での水泡とレコードとの間の接触と比較して)最大の損傷を引き起こしうる場所であると考えられる。
【0027】
波減衰部36の使用により、レコード表面への損傷を制御しながら、洗浄サイクル中のより大きな出力、例えば4つの50ワットの超音波変換器の使用を通して発生される約200ワットの出力などの利用が可能になる。出願人は、波減衰部がない場合、レコードの表面への損傷が促進されうることを発見している。いくつかの実施形態では、超音波洗浄中に200ワットよりも大きな出力が提供され、また、他の実施形態では、より小さい出力が使用される。
【0028】
また、レコードの位置の両側への超音波変換器32の配置は、エネルギーを直接レコードの表面に向けて方向付けることによって、洗浄効率の向上を助けうるが、これは変換器がレコードの下方に置かれるシステムとは対照的である。この場合、圧縮波はレコードの表面に平行に進み、洗浄において効率がより低い可能性がある。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態では、
図9に示されるもののような、ユーザインターフェース50が提供される。ユーザインターフェースは、1つまたは複数のLEDが各窓の背後にある状態で連続して整列された窓区画54を有する、LEDバー52を含みうる。洗浄サイクル中、サイクルが進行するにつれ、LEDバーは、洗浄サイクルの完了または最後の期間であることを知らせる右側の最後のLEDバーの点灯まで、洗浄サイクルの現在の期間に応じて左から右へと順次光を放出しうる。いくつかの実施形態では、洗浄サイクルの2つの別個の部分が存在する。
図9に示されるようなユーザインターフェースにおける表示によって表されるように、1つは液洗であり、1つは乾燥である。一連のLEDバー54’、LEDバー54”が、洗浄サイクルの各部分(例えば洗浄サイクルの液洗部分および洗浄サイクルの乾燥部分)に提供されてもよく、これらのLEDバー54’、LEDバー54”には、そのサイクルの部分内で残っている、または進行したおおよその期間を表す表示56が付されてもよい。例えば、
図9に示されるように、LEDバーのための表示56は、サイクルの部分に関して完了したパーセンテージ(%)を表すことができる。
【0030】
さらに
図9を参照すると、ユーザは、サイクルの各部分における合計時間(例えば分)に対応するように調整されうるつまみ58、つまみ60を使用して、サイクルの各部分の合計時間を調整することができる。また、液洗サイクルに関して、サイクルの強度は、対応する表示(例えば低、中、高)に強度を調整するためのつまみ62を使用して選択されうる。サイクルの強度は、(出力レベルが選択された表示に対応する)可変出力変換器によって、または洗浄中に特定の数の変換器のみを作動することによって、制御されうる。また、本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、いくつかの実施形態では、乾燥強度が、つまみなどの制御部材(図示せず)を使用して手動で選択されうる。
【0031】
さらに
図9を参照すると、ユーザインターフェース50上に、ユーザが乾燥のみ、または液洗および乾燥を選択することを可能にする、スイッチ64が設けられうる。液洗および乾燥が選択される場合、洗浄サイクルは、自動的に液洗で始まり乾燥サイクルに進行しうる。また、他の実施形態では、スイッチまたは追加のスイッチが、液洗のみを選択するために使用されてもよい。この場合、洗浄サイクルは、液洗後に停止することになる。
【0032】
図1および
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、ユーザは、洗浄液体(例えば水、水以外の洗浄流体、または水と洗浄流体の混合物)を有する容器9を使用して、液槽10を満たす。液体は、ポンプ26がオフであるときには、貯留槽内に流下しうる。ユーザは、いつ貯留槽への注入を停止すべきかに関してユーザに案内するための満水レベルの印の付いた、筐体4の窓11を観察してもよい。その後で、ユーザは、ユーザインターフェース50を使用して所望に応じて調整を行うことができる。それから、ユーザは、レコードをスロット6内に置く。本開示を検討した後で当業者には理解されるであろうように、いくつかの実施形態では、サイクルは、レコードがスロット内に置かれるときに作動されるスイッチなどによって、ユーザがレコードをスロット6内に置くときに自動的に開始される。一方、他の実施形態では、ユーザは、レコード洗浄器2を手動で起動してサイクルを開始することを要求されてもよい。
【0033】
液洗サイクルが開始されると、ポンプ26は、液体18を貯留槽24から液槽10内へと圧送しうる。液体は、流出レベルに達するとポート開口部20のところで溢れ出し始め、貯留槽内に戻る。ただし、ポンプ26は水を圧送26し続けて、液槽10内でこのレベルを維持してもよい。同時に、
図2に示されるようなレベル感知スイッチ19が、液体が流出レベルに達すると作動するように設定されてもよい。レベル感知スイッチ19は、作動されると、超音波変換器32を動作させて液槽10内の液体内に圧縮波および/またはキャビテーションを発生させる。それから、液槽10内の液体は、例えば圧縮波および/またはキャビテーションを含む様々な機構を介して、レコード12の表面に対して振動する。しかしながら、液面の界面は波減衰部36によって少なくとも部分的に保護され、この結果、液面からはねた液体はレコードではなく波減衰部36に当たる。また、波減衰部36の壁構造の内側にレコードと接触して存在する液面は、変換器からのエネルギーが液面のその部分に達する前に減衰されることにより、乱流および他の活動性の低減を示しうる。
【0034】
液洗サイクルが進行するにつれ、ユーザインターフェースではLEDバーが順次発光して、完了したサイクルのパーセンテージを知らせる。液洗サイクルの完了時、ポンプ26は自動的に停止し、液体が排出されて流下し、貯留槽24に戻り、液槽10を空にすることを可能にしうる。
【0035】
いくつかの実施形態では、
図4、
図10、および
図11に示されるように、送風機42が設けられる。乾燥サイクルおよび液洗サイクル中、モータの付いたローラ14’は、レコード12を回転させることができる。乾燥サイクル中、送風器42が作動され、全体的に(またはほぼ)矢印「B」の方向に空気を吹き出す。空気は管路を通して加熱され、レコードが回転する間、レコードの表面へと方向付けられた複数のノズル44を通して吹き出されてもよい。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態では、例えば放熱器(
図6で22Aとして簡略化された形態で示される)のような熱交換システムまたは機器が、レコード洗浄器2に設置または接続されうる。いくつかの実施形態では、レコード洗浄器から流体のスリップラインが取られてもよい。このスリップラインは、例えば流出経路22に設けられた熱交換器を通して圧送される。レコード洗浄器中の様々な他の場所も、冷却の際に使用するためのスリップライン用のポート箇所として機能しうる。
【0037】
本開示の特定の実施形態および例が例示を目的として上に記載されてきたが、本開示を検討した後で当業者には認識されるであろうように、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な等価な修正形態が製作されうる。記載された様々な実施形態は、さらなる実施形態を提供するように組み合わされうる。記載された装置および方法は、本開示の様々な利点を達成するために、いくつかの要素もしくは行為を省略することができ、他の要素もしくは行為を追加することができ、または例示されたものとは異なる順序で要素を組み合わせるかもしくは行為を実行することができる。上記の詳細な説明に照らして、これらのおよび他の変更が本開示に対して行われうる。
【0038】
一般に、以下の請求の範囲では、使用される用語は、請求された発明を本明細書で開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、全面的に以下の請求の範囲によって決定される。
(項目1)
レコードを配置するための開口部を有するケースと、
前記ケース内の液槽に接続された振動装置であって、前記液槽はその頂部近くに位置する減衰構造を有し、前記減衰構造は前記液槽内で液面位置とレコード位置との間の位置まで延在する振動装置と
を備える、レコード洗浄器。
(項目2)
前記振動装置は、超音波変換器である、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目3)
前記超音波変換器が取り付けられる、前記液槽の非剛性の可撓性壁部をさらに備える、項目2に記載のレコード洗浄器。
(項目4)
液洗サイクルまたは乾燥サイクルの現在の期間を表示するためのユーザインターフェースをさらに備える、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目5)
前記ユーザインターフェースは、ユーザがサイクルまたはサイクルの組み合わせを選択することを可能にする、項目4に記載のレコード洗浄器。
(項目6)
前記ユーザインターフェースは、ユーザが前記サイクルのうちの少なくとも1つに関する強度を選択することを可能にする、項目4に記載のレコード洗浄器。
(項目7)
液洗サイクルまたは乾燥サイクル中にレコードを回転させるためのローラをさらに備える、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目8)
前記液槽と流体連通する液体貯留槽をさらに備える、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目9)
それを越えた場合に液体が前記液槽から前記貯留槽内へと排出される流出レベルを有する、項目8に記載のレコード洗浄器。
(項目10)
前記流出レベルは、レコードが前記レコード洗浄器内に置かれるときにレコードラベルが位置するレベルより下方にある、項目9に記載のレコード洗浄器。
(項目11)
前記振動装置は、液洗サイクル中に約200ワットの出力を発生させる1つまたは複数の超音波変換器を備える、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目12)
前記振動装置は、4つの超音波変換器を備える、項目1に記載のレコード洗浄器。
(項目13)
筐体と、
流出レベルまたは最大液体レベルを有する、前記筐体内に配設された液槽と、
前記液槽の少なくとも1つの壁部を形成するゴム弾性壁部と、
前記ゴム弾性壁部に取り付けられた超音波変換器と、
を備える、レコード洗浄器。
(項目14)
前記流出レベルまたは最大液体レベルに近い高さに少なくとも部分的に配設され、洗浄サイクル中にレコードが前記筐体内に配設される位置に向かって内向きに延び、さらに前記流出レベルまたは最大液体レベルよりも下の位置まで下向きに延びる波減衰構造をさらに備える、項目13に記載のレコード洗浄器。
(項目15)
液槽内にレコードを保持するステップと、
ポンプを使用して貯留槽から前記液槽へと液体を移送するステップと、
液洗サイクル中に前記液槽内で前記レコードを回転させるステップと、
超音波装置を使用して、前記液洗サイクル中に前記液槽内の前記液体を振動させるステップと、
両側に液体を有する壁構造を提供することによって前記液槽内の前記液体の表面レベルの近くで振動力を遮断するステップであって、前記壁構造は前記超音波装置と前記レコードとの間で横向きに位置するステップと、
を含む、レコード洗浄器を使用してレコードを洗浄する方法。
(項目16)
前記超音波装置が取り付けられる非剛性の可撓性壁部を提供するステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
ユーザインターフェース上でユーザによって選択された強度または時間設定に応じて、前記超音波装置を使用して前記レコードを液洗するステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記液洗が進行するにつれて異なる光の位置を表示するステップをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記液洗サイクルが完了すると前記液槽から前記貯留槽へと水を自動的に排出するステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目20)
液洗サイクル中に前記超音波装置を使用して少なくとも200ワットの出力を発生させるステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目21)
前記超音波装置が4つの超音波変換器からなる、項目15に記載の方法。