特許第6408575号(P6408575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408575複数のデバイス間のワイヤレスプロトコルを介した位置調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408575
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】複数のデバイス間のワイヤレスプロトコルを介した位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20181004BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
   A61B5/00 102C
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-529902(P2016-529902)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-511464(P2017-511464A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】US2014070563
(87)【国際公開番号】WO2015095172
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】14/107,785
(32)【優先日】2013年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ジョーステ,サレル,コブス
【審査官】 大▲瀬▼ 裕久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0278416(US,A1)
【文献】 特開2012−251960(JP,A)
【文献】 特開2000−356526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00−5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルデバイスが、位置決定機能を有するポジショニングデバイスから、前記ポジショニングデバイスの位置を示す位置信号を受信するステップであり、前記ウェアラブルデバイスが、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含むステップと、
前記ポジショニングデバイスの前記位置および前記ウェアラブルデバイスが受信した前記位置信号の強度に少なくとも部分的に基づいて、前記ウェアラブルデバイスの第1の位置を計算するステップとを含み、
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置を計算するステップの後、前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を喪失したことに応答して、
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置を前記ウェアラブルデバイス上に記憶するステップと、
前記ウェアラブルデバイス上の1つまたは複数の動きセンサから受信したウェアラブルデバイスの動きデータ、および前記ウェアラブルデバイスの動きデータに関連するタイムスタンプを前記ウェアラブルデバイス上に記憶するステップであり、前記ウェアラブルデバイスの動きデータが前記ウェアラブルデバイスの動きを示すステップとをさらに含み、
前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を再確立したのに応答して、
前記ウェアラブルデバイスが、前記ポジショニングデバイスからの更新位置信号、および前記更新位置信号に関連するタイムスタンプを受信するステップであり、前記更新位置信号が前記ポジショニングデバイスの1つまたは複数の更新位置を示すステップと、
前記ウェアラブルデバイスの動きデータと前記更新位置信号とを、それらに関連するタイムスタンプに少なくとも部分的に基づいて相関付けするステップと、
前記更新位置信号と相関付けされた前記ウェアラブルデバイスの動きデータ、前記ウェアラブルデバイスが受信した前記更新位置信号の強度、および前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記ウェアラブルデバイスの更新位置を計算するステップとをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置が、さらに、前記ウェアラブルデバイスが受信した前記位置信号の方向に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェアラブルデバイス上の前記1つまたは複数の動きセンサが、コンパス、加速度
計、慣性測定装置、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウェアラブルデバイスの動きデータが、方向、高度、速度、および加速度のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェアラブルデバイスの前記更新位置が、さらに、前記ポジショニングデバイスから受信する前記ポジショニングデバイスの動きを示すポジショニングデバイスの動きデータに少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウェアラブルデバイスが前記ポジショニングデバイスのレンジ内にあるかどうかを前記ウェアラブルデバイスが検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ウェアラブルデバイスであって、
ワイヤレストランシーバと、
少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、前記ウェアラブルデバイスに、
前記ワイヤレストランシーバが、位置決定機能を有するポジショニングデバイスから、前記ポジショニングデバイスの位置を示す位置信号を受信すること、
前記ポジショニングデバイスの前記位置および前記ウェアラブルデバイスが受信した前記位置信号の強度に少なくとも部分的に基づいて、前記ウェアラブルデバイスの第1の位置を計算すること、
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置を計算することの後、前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を喪失したことに応答して、
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置を前記ウェアラブルデバイス上に記憶すること、
前記ウェアラブルデバイス上の1つまたは複数の動きセンサから受信したウェアラブルデバイスの動きデータ、および前記ウェアラブルデバイスの動きデータに関連するタイムスタンプを前記ウェアラブルデバイス上に記憶することであり、前記ウェアラブルデバイスの動きデータが前記ウェアラブルデバイスの動きを示すこと、および、
前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を再確立したのに応答して、
前記ポジショニングデバイスからの更新位置信号、および前記更新位置信号に関連するタイムスタンプを前記ウェアラブルデバイスによって受信することであり、前記更新位置信号が前記ポジショニングデバイスの1つまたは複数の更新位置を示すこと、
前記ウェアラブルデバイスの動きデータと前記更新位置信号とを、それらに関連するタイムスタンプに少なくとも部分的に基づいて相関付けすること、
前記更新位置信号と相関付けされた前記ウェアラブルデバイスの動きデータ、前記ウェアラブルデバイスが受信した前記更新位置信号の強度、および前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置に少なくとも部分的に基づいて、前記ウェアラブルデバイスの更新位置を計算すること
を含む機能を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体と
を含むウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記ウェアラブルデバイスの前記第1の位置が、さらに、前記ウェアラブルデバイスが受信した前記位置信号の方向に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記ウェアラブルデバイス上の前記1つまたは複数の動きセンサが、コンパス、加速度
計、慣性測定装置、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記ウェアラブルデバイスの動きデータが、方向、高度、速度、および加速度のうちの1つまたは複数を含む、請求項7に記載のウェアラブルデバイス
【請求項11】
前記ワイヤレストランシーバが、無線周波識別(RFID)プロトコル、Bluetoothプロトコル、Wi−Fiプロトコル、およびZigbeeプロトコルのうちの1つを含むワイヤレスプロトコルを使用して通信するように構成される、請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
機能が、前記ウェアラブルデバイスが前記ポジショニングデバイスのレンジ内にあるかどうかを検出することをさらに含む、請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項13】
ポジショニングデバイスであって、
ワイヤレストランシーバと、
位置決定システムと、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、前記ポジショニングデバイスに、
前記位置決定システムを使用して前記ポジショニングデバイスの位置を決定すること、
前記トランシーバを介して、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを有するウェアラブルデバイスに前記ポジショニングデバイスの前記位置を示す位置信号を伝送すること、
前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を喪失したことに応答して、
前記ポジショニングデバイス上の1つまたは複数の動きセンサから受信した動きデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ポジショニングデバイスが移動しているかどうかを判定すること、
前記ポジショニングデバイスが移動していると判定したことに応答して、前記位置決定システムを使用して前記ポジショニングデバイスの1つまたは複数の更新位置を決定して記憶すること、および、
前記ウェアラブルデバイスにおいて前記位置信号を再確立したのに応答して、
前記ウェアラブルデバイスへ更新位置信号を前記トランシーバを介して伝送することであり、前記更新位置信号が前記ポジショニングデバイスの1つまたは複数の更新位置を示し、前記更新位置信号がタイムスタンプを含むこと
を含む機能を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体とを含み、
前記ウェアラブルデバイスへ伝送された更新位置信号は、前記ウェアラブルデバイス上の1つまたは複数の動きセンサから受信したウェアラブルデバイスの動きデータ、前記ウェアラブルデバイスの動きデータに関連するタイムスタンプ、前記ウェアラブルデバイスが受信した前記更新位置信号の強度、および前記ウェアラブルデバイスの前記位置とともに、前記ウェアラブル信号の更新位置の計算に少なくとも部分的に用いられる、ポジショニングデバイス。
【請求項14】
前記トランシーバが、無線周波識別(RFID)プロトコル、Bluetoothプロトコル、Wi−Fiプロトコル、およびZigbeeプロトコルのうちの1つを含むワイヤレスプロトコルを使用して通信するように構成される、請求項13に記載のポジショニングデバイス。
【請求項15】
前記位置決定システムが、衛星航法システムを含む、請求項13に記載のポジショニングデバイス。
【請求項16】
前記ポジショニングデバイス上の前記1つまたは複数の動きセンサが、加速度計、慣性測定装置、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含む、請求項13に記載のポジショニングデバイス。
【請求項17】
前記機能が、前記ウェアラブルデバイスが前記ポジショニングデバイスのレンジ内にあるかどうかを検出することをさらに含む、請求項13に記載のポジショニングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体を本明細書に組み込む、2013年12月16日出願の米国特許出願第14/107785号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書で特に指示しない限り、本項に記載する内容は、本願の特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、本項に含まれることによって従来技術として承認されるものではない。
【0003】
[0003] コンタクトレンズまたは手首に装着されるデバイスなど、身体取付け可能デバイスは、血圧、脈拍数、体温、血糖値、血中酸素濃度など1つまたは複数の生理学的パラメータまたは健康に関するパラメータを検出するように構成されたセンサまたはその他のデバイスを含むことができる。いくつかの場合には、身体取付け可能デバイスの装着者の地理的位置または近位位置あるいはその他の文脈的または環境的要因を把握する、または追跡することは有用であることもある。ただし、これらのデバイスは、搭載型GPSまたはその他の位置追跡システムを含むには小さすぎたり、薄すぎたり、または電力感度が高すぎたりすることがある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示のいくつかの実施形態は、(1)ウェアラブルデバイスが、位置決定機能を有するポジショニングデバイスから、ポジショニングデバイスの位置を示す位置信号を受信するステップであり、ウェアラブルデバイスが、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含むステップと、(2)ポジショニングデバイスの位置およびウェアラブルデバイスが受信した位置信号の強度に少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイスの第1の位置を計算するステップとを含む方法を提供する。
【0005】
[0005] 本開示のさらに別の実施形態は、ウェアラブルデバイスであって、(1)ワイヤレストランシーバと、(2)少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、(3)プロセッサと、(4)プロセッサによって実行されたときに、ウェアラブルデバイスに、(i)ワイヤレストランシーバが、位置決定機能を有するポジショニングデバイスから、ポジショニングデバイスの位置を示す位置信号を受信すること、および(ii)ポジショニングデバイスの位置およびウェアラブルデバイスが受信した位置信号の強度に少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイスの第1の位置を計算することを含む機能を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体とを含むウェアラブルデバイスを提供する。
【0006】
[0006] 本開示のさらに別の実施形態は、ポジショニングデバイスであって、(1)ワイヤレストランシーバと、(2)位置決定システムと、(3)プロセッサと、(4)プロセッサによって実行されたときに、ポジショニングデバイスに、(i)位置決定システムを使用してポジショニングデバイスの位置を決定すること、および(ii)トランシーバを介して、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを有するウェアラブルデバイスにポジショニングデバイスの位置を示す位置信号を伝送することを含む機能を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体とを含むポジショニングデバイスを提供する。
【0007】
[0007] 上記およびその他の態様、利点および代替物は、以下の詳細な説明を適宜添付の図面を参照しながら読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008] 例示的な実施形態による、ポジショニングデバイスとワイヤレス通信しているウェアラブルデバイスを含む例示的なシステムを示すブロック図である。
図2】[0009] 例示的な実施形態による、例示的なウェアラブルデバイスを示すブロック図である。
図3】[0010] 例示的な実施形態による、例示的なポジショニングデバイスを示すブロック図である。
図4】[0011] 例示的な実施形態による、例示的な方法を示す流れ図である。
図5A】[0012] 例示的な実施形態による、例示的な眼取付け可能デバイスを示す底面図である。
図5B】[0013] 例示的な実施形態による、図5Aに示す例示的な眼取付け可能デバイスを示す側面図である。
図6】[0014] 例示的な実施形態による、例示的な手首取付け可能デバイスを示す図である。
図7A】[0015] 例示的な実施形態による、例示的な頭部取付け可能デバイスを示す図である。
図7B】[0016] 例示的な実施形態による、別の例示的な頭部取付け可能デバイスを示す図である。
図8A】[0017] 例示的な実施形態による、例示的な口腔内取付け可能デバイスを示す図である。
図8B】[0018] 例示的な実施形態による、いくつかの例示的な口腔内取付け可能デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0019] 以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成する添付の図面について言及する。図面においては、同様な符号は、文脈からそうでないことが分かる場合を除き、通常は同様な構成要素を指している。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において記載される例示的な実施形態は、限定のためのものではない。本明細書に提示する主題の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用することもでき、また他の変更を加えることもできる。本明細書にその概要を記載して図面に例示する本開示の態様は、本明細書でその全てが明示的に企図されている幅広い様々な構成で配列し、置換し、結合し、分離し、設計することができることは、容易に理解されるであろう。
【0010】
[0020] I.概要
ウェアラブルデバイスは、人の1つまたは複数の生理学的パラメータを検出および測定することができ、これらのパラメータには、その人の健康に関連する可能性がある任意のパラメータが含まれ得る。例えば、このシステムは、血圧、脈拍数、呼吸速度、体温、皮膚色、発汗などを測定する1つまたは複数のセンサを含むことができる。これらの生理学的パラメータのうちの一部は、血液、唾液、涙またはその他の体液中に存在する1つまたは複数の分析物を非侵襲的に検出および/または測定することによって得ることもできる。この1つまたは複数の分析物は、血液または体液中に存在するとき、存在しないとき、あるいは特定の濃度または濃度範囲で存在するときにその人の医学的状態または健康状態を示すことができる任意の分析物とすることができる。例えば、この1つまたは複数の分析物は、酵素、試薬、ホルモン、蛋白質、ウィルス、細菌、細胞、またはグルコースのような炭化水素などその他の分子を含むことができる。
【0011】
[0021] 本開示で使用する「ウェアラブルデバイス」という用語は、手首、足首、腰、胸、耳、眼、頭、またはその他の身体部分などの体表面に、その上に、その中に、またはその近傍に装着する、または取り付けることができる任意のデバイスを指す。従って、ウェアラブルデバイスは、身体と接触しているとき、または身体の近傍にあるときに、生理学的パラメータを検出および/または測定することができる。例えば、ウェアラブルデバイスは、コンタクトレンズ、腕時計、「ヘッドマウントディスプレイ」(HMD)、保定装置または歯列矯正装具などの口腔内取付け可能デバイス、ヘアバンド、眼鏡、装身具(例えばイヤリング、指輪、ブレスレット)、帽子またはキャップなどの頭部を覆うもの、ベルト、イヤホン、その他の衣類(例えばスカーフ)、および/あるいはその他の装置の一部として構成することができる。さらに、ウェアラブルデバイスは、例えばパッチの形態の接着基板を用いて身体の一部分に直接取り付けることもできる、あるいは皮膚または別の器官の中など、身体内に埋め込むこともできる。
【0012】
[0022] ウェアラブルデバイスによって収集されたデータを使用して、デバイスの装着者の現在の医学的状態を診断する、または将来の医学的状態の発生する可能性を予測することができる。例えば、身体取付け可能デバイスの装着者の血液中に特定の分析物が存在すること、存在しないこと、またはレベルが、その人の医学的状態または健康状態を示したり、あるいはある医学的事象が近いうちに起こることを示したりすることもできる。データのこの分析に基づいて、デバイスの装着者に、例えば特定の薬物またはサプリメントを摂取する、医師の診断を受けるスケジュールを立てる、病院に行って直ちに医学的手当を求める、特定の活動を控えるなど、行動方針の勧告を通知し、提供することができる。
【0013】
[0023] 本明細書で使用する「医学的状態」という用語は、例えば生理学的なもの、心理学的なもの、心臓に関するもの、血管に関するもの、整形外科的なもの、視覚に関するもの、発声に関するもの、または聴覚に関するものなど、任意の疾患、病気、障害、外傷、状態、または損傷、あるいはデバイスの装着者の健康に影響を及ぼす、または医学的手当を必要とする任意の状況を含むものとして、広範に理解すべきである。「医学的状態」は、また、生理学的パラメータが、個人、その人の掛かり付け医、臨床医、または栄養士によって定められたある範囲、養生計画、または勧告から外れるような状況も含み得る。例えば、個人が1日の推奨カロリー以上を摂取した、あるいは多量の脂肪または糖分を含む食品を摂取したときに、「医学的状態」が示されることもある。
【0014】
[0024] 追加の健康、文脈および環境データが、ウェアラブルデバイスによって収集された生理学的パラメータデータを評価し、物理的パラメータデータと、装着者が感じる健康状態と、装着者が示す医学的状態との間の相関を引き出すのに有用であることもある。「寒く感じる」、「疲れを感じる」、「ストレスがある」、「休養十分でやる気を感じる」、「呼吸がし難い」など、装着者自身の感覚的なこと、または現在感じている症状に関する、デバイスの装着者から収集される主観的指標も含めて、医学的履歴および現在の健康状態情報を収集することもできる。
【0015】
[0025] さらに、装着者に関連する特定の環境的要因および地理的データも、このシステムによって収集することができる。例えば、地理学的位置、標高、局所的温度、天候、湿度、汚染およびアレルゲンのレベル、デバイスの装着者が室内にいるか屋外にいるか、ならびにデバイスの装着者が移動しているかどうか、どこに移動しているか、またはどれだけ移動しているか(すなわち活動レベル)を、収集することができる。このような位置および環境に関連するデータは、ウェアラブルデバイスによって収集された個人の生理学的パラメータデータおよび報告された健康状態データの分析を補完することができる。このデータを、デバイスの複数の装着者から収集した生理学的パラメータおよび健康状態データと組み合わせて使用して、母集団の全体的な健康状態に関する情報を得て、特定の地域におけるウィルス性疾患または食中毒の発生の追跡などを行うこともできる。
【0016】
[0026] ただし、このような位置、環境および文脈情報を収集することは有用であることもあるが、ウェアラブルデバイスの寸法、電力消費、および人体に装着されるというデバイスの性質(すなわち、周囲光センサは、手首または足首に取り付けられたデバイスが衣服で覆われると機能しないことがある)から生じる制限により、GPS(またはその他の位置追跡システム)および環境センサをウェアラブルデバイス自体に一体化するのは困難である。したがって、ウェアラブルデバイスは、ワイヤレスプロトコルなどを介して通信する、スマートフォンまたはGPS位置ビーコンなどのGPS機能を有するポジショニングデバイスから文脈および位置情報を受信するように構成されることがある。ポジショニングデバイスは、スマートフォンまたはタブレット、パーソナル・コンピュータ、モバイルまたはセルラ電話、あるいはGPSデバイスまたはビーコンなどの衛星によるポジショニングデバイスなどのウェアラブルコンピューティングデバイスを含む、その位置を公開することができる任意のデバイスとして提供することができる。いくつかの例では、ウェアラブルデバイスは、ワイヤレスプロトコルを介してGPS機能を有するデバイスに接続することができる。その他の位置決定技術を使用することもできる。ワイヤレスプロトコルは、例えば、900MHz RFID、Bluetooth、Bluetooth Low Energy、Wi−Fi、またはZigbeeとすることができる。永続的なワイヤレス接続は必要なく、このことは電力消費の点で有利である可能性がある。
【0017】
[0027] 上記の実施形態および本明細書に記載するその他の実施形態は、例示を目的として与えるものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。
【0018】
[0028] II.複数のデバイス間のワイヤレスプロトコルを介した位置調整を行う例示的なシステム
身体10に取り付けられた、あるいは身体10上、身体10内、または身体10の近傍に装着されたウェアラブルデバイス200と、位置決定機能を有するポジショニングデバイス300とを含むシステム100が、図1に示してある。ウェアラブルデバイス200上のプログラム命令250およびポジショニングデバイス300上のプログラム命令350はそれぞれ、少なくとも部分的にポジショニングデバイス300の位置に基づいて、ウェアラブルデバイス200の位置を示す指示を決定するように動作することができる。デバイスの「位置」は、2次元または3次元の座標系に対する任意の位置(例えばX軸、Y軸およびZ軸に対する位置)、あるいは地図上位置記述(例えば所在地住所)に関する任意の位置とすることができ、さらに、全地球的位置(例えば緯度、経度および標高)、超ローカル位置(家または建物内における位置など)、ならびに/あるいはそれらの間の任意の解像レベルの任意の位置を含むことができる。ウェアラブルデバイス200およびポジショニングデバイスワイヤレス通信ネットワークを介して通信する。センサ210を有するウェアラブルデバイス200は、ウェアラブルデバイス200を装着している人の1つまたは複数の生理学的パラメータを検出、定量化、および/または監視するように構成することができる。
【0019】
[0029] 図2を参照すると、ウェアラブルデバイスは、1つまたは複数のセンサ210と、ワイヤレストランシーバ220と、プロセッサ230と、メモリ240とを含むことができる。電源および制御装置(図示せず)を含むこともできるセンサ210は、光学的センサ(例えばCMOS、CCD、フォトダイオード)、音響センサ(例えば圧電センサ、圧電セラミックセンサ)、電気化学的センサ(電圧センサ、インピーダンスセンサ)、熱センサ、機械式センサ(例えば圧力センサ、歪みセンサ)、磁気センサ、または電磁気センサ(例えば磁気共鳴センサ)のうちの1つまたは複数など(ただしこれらに限定されない)、生理学的パラメータを測定する任意のセンサを含み得る。電源は、例えば入射する無線周波放射をアンテナで取り込むことなどによって、周囲のエネルギーを取り込んでセンサ200に給電するように構成することができる。入射する紫外線、可視光線、および/または赤外線からエネルギーを取り込むように適合されたセル、あるいは周囲の振動または動きからエネルギーを取り込む慣性電力回収システム(inertial power scavenging system)など、その他のエネルギー取込みシステムを追加または代替として含むこともできる。デバイス200は、動きまたは圧迫によるもの、あるいは電気化学的なものなど、電源内蔵型(self-powering)であってもよい。ワイヤレストランシーバ220は、ポジショニングデバイス300などの遠隔ソースとの間で情報を送信および受信することができる二重目的アンテナなど、任意のタイプのデバイスとすることができる。
【0020】
[0030] 1つまたは複数の例示的なプロセッサ230は、CPUと、グラフィックス処理装置(GPU)と、デジタル信号プロセッサ(DSP)と、特定用途向け集積回路(ASIC)とを含む(ただしこれらに限定されない)。メモリ240は、磁気ディスク、光ディスク、有機メモリ、および/あるいはプロセッサ230によって読取り可能なその他の任意の揮発性(例えばRAM)または不揮発性(例えばROM)記憶システム含むことができる(ただしこれらに限定されない)、非一時的なコンピュータ可読媒体である。メモリ240は、センサの読み、プログラム設定(例えばウェアラブルデバイス200の挙動を調節するためのもの)、ユーザ入力(例えばデバイス200のユーザインタフェースからのもの、または遠隔デバイスから通信されたもの)、1つまたは複数のベースラインプロファイルなどのデータの指示を記憶するデータ記憶装置を含むことができる。メモリ240は、プロセッサ230によって実行されてその命令250が指定するプロセスをデバイス200に実行させる、プログラム命令250を含むこともできる。
【0021】
[0031] 例示的なポジショニングデバイス300の概略図を、図3に示す。ポジショニングデバイス300は、ワイヤレストランシーバ310と、位置決定システム320と、プロセッサ330と、メモリ340とを含むことができる。位置決定システム320は、全地球的衛星航法システム(GPS、NAVSAT、Galileo、GLONASS、およびCOMPASSなど)、地域航法システム(BeiDou、IRNSS、およびQZSSなど)、慣性航法システム、ワイヤレスメッシュネットワーク、セルラまたはモバイル電話網、ロケータまたはポジショニングビーコンなどを含む、任意の位置追跡、位置決定、またはナビゲーションシステムとすることができる。プロセッサ330によって実行されるプログラム命令350は、メモリ340に記憶することができ、メモリ340は、磁気ディスク、光ディスク、有機メモリ、および/あるいはプロセッサ330によって読取り可能なその他の任意の揮発性(例えばRAM)または不揮発性(例えばROM)記憶システムなどの(ただしこれらに限定されない)、非一時的なコンピュータ可読媒体である。メモリ340は、位置データ、プログラム設定(例えばポジショニングデバイス300の挙動を調節するためのもの)、およびユーザ入力(例えばデバイス300のユーザインタフェースからのもの、または遠隔デバイスから通信されたもの)を記憶するデータ記憶装置を含むことができる。プロセッサ330は、ウェアラブルデバイス200のプロセッサ230に関連して上述した実施形態のいずれかとして提供することができる。
【0022】
[0032] 動作時には、ウェアラブルデバイス200は、ウェアラブルデバイス200がポジショニングデバイス300のレンジ内にあるときにそのことを検出する、またはそのことを通知されることができる。ウェアラブルデバイス200は、ワイヤレストランシーバ220を介して、接続要求などの要求30を送信することができ、ポジショニングデバイス300は、ワイヤレストランシーバ310を介して接続要求などの要求30を受信することができる。メモリ240に記憶されたプログラム命令250は、ウェアラブルデバイス200に、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300との間のワイヤレス接続20を確立させることができる。いくつかの実施形態では、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300は、RFID、Bluetooth、Wi−Fi、ZigBee、WiMax、またはワイヤレス広域ネットワーク(例えばTDMA、CDMA、GSM、UMTS、EV-DO、LTE)などの(ただしこれらに限定されない)1つまたは複数のワイヤレス標準またはプロトコルに従って動作するハードウェアおよび/またはソフトウェアを使用して通信することができる。他の実施形態では、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300は、ユニバーサルシルアルバスプロトコル、Registered Jackプロトコル(例えばRJ-25)、または有線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えばEthernet)など(ただしこれらに限定されない)の1つまたは複数の有線プロトコルによって通信することができる。RFIDプロトコルを使用する例では、ポジショニングデバイス300内のRFID送信機がオンになり、ウェアラブルデバイス200がRFフィールド内に存在するときに、RFID制御装置のRFフィールド検出機能をトリガすることができる。Bluetoothプロトコルを使用する場合には、ウェアラブルデバイスがすでにポジショニングデバイス300とペアリングされており、Bluetoothハードウェアが両方のデバイスにそれらがレンジ内にあることを通知するときに、ウェアラブルデバイス200上のプログラム命令250をトリガすることができる。デバイスがペアリングされていない場合には、Bluetooth発見機能が、プログラム命令をトリガすることができる。Bluetooth Low Energyは、Bluetoothと同様の原理を使用するが、電力は最適化される。
【0023】
[0033] ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300との間に接続20が確立されると、プログラム命令350は、ポジショニングデバイス300の位置決定システム320に、そのGPS位置など、その位置を決定させる。次いで、ポジショニングデバイス300は、ポジショニングデバイス300の位置を示す位置信号40をウェアラブルデバイス200に伝送することができる。他の例では、ポジショニングデバイス300は、ビーコンと同様に、ウェアラブルデバイス200との接続を確立する必要なく、自動的にその位置を発出することができる。位置信号40を受信したら、プログラム命令250は、ウェアラブルデバイスに、ポジショニングデバイス300の位置およびウェアラブルデバイス200が受信した位置信号40の強度に少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイスの位置を計算させることができる。ポジショニングデバイス300を通してプロキシサーバに送ることによってデータがウェアラブルデバイスからインターネット/クラウドに報告される場合には(すなわちポジショニングデバイス300は、ウェアラブルデバイス200の読取り装置としても機能する)、ウェアラブルデバイス200の位置をポジショニングデバイス300上にキャッシュすることができ、ウェアラブルデバイス200は、その位置を示す指示を記憶する必要がない。
【0024】
[0034] ウェアラブルデバイス200がポジショニングデバイス300に近接している場合には、ウェアラブルデバイスの位置を、ポジショニングデバイスの位置に割り当てることができる。例えば、ポジショニングデバイス300がスマートフォンとして実装されている場合には、ウェアラブルデバイス200のユーザは、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300の両方を、自分の身体の上または自分の身体の非常に近くに有することができる(すなわち、ウェアラブルデバイス200が手首にあり、ポジショニングデバイス200がポケットまたはハンドバッグの中にある)。このような場合には、ウェアラブルデバイス200およびポジショニングデバイス300の位置は、基本的に同じである。ただし、場合によっては、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300とが同じ近似位置にないことになる。より長い距離をカバーするワイヤレスプロトコル(Wi-Fiなど)を利用する実施形態では、位置信号40の強度を使用して、ウェアラブルデバイス200に割り当てられる位置を調節することができる。ポジショニングデバイス300のワイヤレストランシーバ310が指向性である場合には、信号40の方向に少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイス200の位置を決定することもできる。
【0025】
[0035] プログラム命令250は、接続20が切断された場合に2つのデバイスの間の接続を再確立し、切断期間中のウェアラブルデバイス200の位置を決定又は推定するように構成することもできる。ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300との間のワイヤレス接続20の終了に応答して、プログラム命令250は、さらに、ウェアラブルデバイス200にその現在位置(位置信号40から決定される)を記憶させることができる。ウェアラブルデバイス200が1つまたは複数の動きセンサ260を含む場合には、プログラム命令250は、ウェアラブルデバイス200に、ウェアラブルデバイス200の動きを示す動きデータを記憶させることができる。動きデータを使用すると、ウェアラブルデバイス200がポジショニングデバイス300からどれくらい遠ざかったか(例えば何歩歩いたか、など)を決定することもできる。この1つまたは複数の動きセンサは、コンパス、加速度計、慣性測定装置(IMU)、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含み得る。動きデータは、方向、高度、速度、および加速度のうちのいずれかとすることができる。例えば、この1つまたは複数の動きセンサ260のうちの1つが高度計を含む場合には、記憶される動きデータは、標高の増減を含むこともできる。1つまたは複数の動きセンサ260のうちの1つがコンパスを含む場合には、記憶される動きデータは、ウェアラブルデバイスの動きの方向を含むこともできる。動きデータは、タイムスタンプを含むこともできる。ウェアラブルデバイス200上でクロックまたは相対クロックを使用すると、ウェアラブルデバイス上に記録された距離、方向または標高の動きデータにタイムスタンプすることができる。
【0026】
[0036] 接続20が再確立されたときに、ウェアラブルデバイス200の新たな位置を計算することができる。ウェアラブルデバイス200は、ポジショニングデバイス300の現在位置を示すタイムスタンプを含む更新された位置信号20を、ポジショニングデバイス200から受信することができる。例えば、ポジショニングデバイス300からのネットワーク時間(例えば、少なくともポジショニングデバイス300とインターネット、セルラワイヤレスネットワーク、またはその他のネットワークとの定期的な接続に基づく)を使用して、ポジショニングデバイス300の位置データにタイムスタンプすることができる。メモリ240に記憶されたプログラム命令250は、ウェアラブルデバイス200に、ウェアラブルデバイスの動きデータとポジショニングデバイスの更新された位置信号とを、それらそれぞれのタイムスタンプに少なくとも部分的に基づいて相関させることができる。
【0027】
[0037] 切断期間中には、少なくとも4種類の動きが起こり得る。すなわち、(1)どちらのデバイスも移動しない、(2)両方のデバイスが移動する、(3)ウェアラブルデバイスのみが移動する、(4)ポジショニングデバイスのみが移動する、の4種類である。したがって、切断前の両デバイス200および300の記録された位置、切断後のポジショニングデバイス300の更新された位置、ならびにウェアラブルデバイス200および/またはポジショニングデバイス300の動きを示すデータが、ウェアラブルデバイスの新たな位置の決定に関連することができる。ウェアラブルデバイス200の更新された位置は、相関付けられたウェアラブルデバイスの動きデータおよびポジショニングデバイスの更新された位置信号、ウェアラブルデバイスが受信した更新された位置信号の強度、ならびにウェアラブルデバイスの第1の位置に少なくとも部分的に基づいて、計算することができる。XYZ平面上での両デバイスの間の相対オフセットを計算して、ウェアラブルデバイスの相対補間位置を導出することができる。
【0028】
[0038] 切断期間中にポジショニングデバイス300が静止していた場合には、ウェアラブルデバイス200の新たな位置は、上述のように、位置信号40の強度と、実施形態によって位置信号40の方向とに少なくとも部分的に基づいて、決定することができる。ウェアラブルデバイスの動きデータは、ウェアラブルデバイスの更新位置を計算するときに考慮することもできる。ただし、2つのデバイス間の切断期間中にポジショニングデバイス300が移動する場合には、ウェアラブルデバイス200とポジショニングデバイス300の間の相対的な動きを決定するために、ポジショニングデバイス300の更新位置を記録することができる。例えば、両デバイスが切断期間中に移動した場合には、それらが互いにどれくらい近づいたか、または遠ざかったかを把握すると、ウェアラブルデバイス200の更新位置を計算する際に有用であることがある。
【0029】
[0039] いくつかの例では、このシステムは、ウェアラブルデバイス200および/またはポジショニングデバイス300が接続要求30を送信しなくても、あるいは必ずしも両デバイスの間でワイヤレス接続20を確立しなくても、動作することもできる。例えば、ポジショニングデバイス300は、ビーコンの場合など、ウェアラブルデバイス200からの要求がなくても、またはワイヤレス接続を確立しなくても、位置信号40を発出するように構成することができる。ウェアラブルデバイス200の位置は、上述のように決定することができる。例えばウェアラブルデバイス200がレンジの外に移動した、またはポジショニングデバイス300が位置信号40を終了したことによりウェアラブルデバイス200がポジショニングデバイス300の位置信号40を喪失した場合には、ウェアラブルデバイス200は、その現在位置(位置信号40から決定される)を記憶することになり、上述の同じステップを辿ることができる。
【0030】
[0040] システム100は、複数のポジショニングデバイス300を、連続的に、または同時に利用して、ウェアラブルデバイス200の位置を決定することもできる。例えば、ウェアラブルデバイス200は、第1の位置にいるときに第1のポジショニングデバイス300から位置信号40を受信し、その後、第2の位置に移動するときに、第2のポジショニングデバイス300から位置信号40を受信することができる。これに加えて、または別法として、ウェアラブルデバイス200は、1つまたは複数のポジショニングデバイス300から同時に位置信号40を受信することもできる。上述のように、ウェアラブルデバイス200は、特に、1つまたは複数のポジショニングデバイス300から受信した位置信号40の強度および/または方向を使用して、その位置を決定することができる。いくつかの態様では、複数のポジショニングデバイス300を使用することにより、ウェアラブルデバイス200の位置を、ポジショニングデバイス300同士の間のデータの平均化、三角測量、およびその他の技術によって決定して、より良好に推定することができる。
【0031】
[0041] 節電技術として、ポジショニングデバイス300上の位置決定システム320を起動することができ、ポジショニングデバイスの更新位置は、活動が存在する場合のみ決定することができる。活動は、ポジショニングデバイス300上の1つまたは複数の動きセンサ360によって感知することができる。1つまたは複数の動きセンサ360は、加速度計、慣性測定装置、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含み得る。ポジショニングデバイス300がスマートフォンである例では、デバイスの加速度計またはIMUを使用して、活動を感知することができる。位置決定の頻度は、加速度計またはIMUによって感知される活動のレベルに対する相対的なものとすることができる。例えば、活動が少ないと、ポジショニングデバイス300による位置ポーリングの頻度が低下することもある。
【0032】
[0042] 2つのデバイスの間のワイヤレス接続またはワイヤレスハードウェアがこれらのデバイスに接続されているか切断されているかを通知することができない場合には、これらのデバイスの近接性を決定することもできる。ウェアラブルデバイス200またはポジショニングデバイス300は、定期的なエコーまたは接続要求を送出することもできる。ウェアラブルデバイス220またはポジショニングデバイスから応答が受信された場合、あるいはその逆の場合には、両デバイスは、それらがレンジ内にあると判定することができる。信号強度または応答受信時の時間遅延を使用して、両デバイス間の距離を決定することができる。電力消費を低減するために、定期的なエコーまたは接続要求同士の間の遅延を、既定の限界まで指数関数的に増加させることができる。例えば、1秒後のエコーの後は2秒後のエコーにして、以下同様に30秒まで遅延させることもできる。応答を受信しない最初のエコーまたは接続要求で、エコーまたは接続要求の間の遅延時間を1秒に戻す。エコーとエコーの間の期間(例えば30秒)中に位置データが失われることを防止するために、ウェアラブルデバイスがポジショニングデバイスのレンジの外に出た場合には、ウェアラブルデバイス200およびポジショニングデバイス300は、両デバイスの間が切断することを予見して、連続したエコーまたは接続要求の間の自分の位置および/または動きデータをそれぞれ記録することができる。
【0033】
[0043] いくつかの例では、位置信号40は、ポジショニングデバイスが室内にあるか屋外にあるか、周囲光強度、天候情報などの文脈情報をさらに含むことができる。したがって、ポジショニングデバイス300は、1つまたは複数の文脈センサ370をさらに含むことができ、この文脈センサ370は、光センサ、湿度センサ、圧力センサ、温度計など、ポジショニングデバイス300の状態または環境に関する情報を提供する任意のセンサを含み得る。
【0034】
[0044] 上述の処理ステップは、あるいは、ポジショニングデバイスまたは別の遠隔コンピューティングデバイス上に位置するプロセッサによって実行することもできる。例えば、ウェアラブルデバイス200がポジショニングデバイス00にエコー信号を送信し、ポジショニングデバイスが、ポジショニングデバイス300の位置と、ウェアラブルデバイス200から受信したエコー信号の強度および方向の1つまたは複数とに少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイスの位置を決定することもできる。2つのデバイスの間の接続の切断が起こった場合には、ウェアラブルデバイス200は、ウェアラブルデバイス300の更新位置の計算のために、ウェアラブルデバイスの動きを示す動きデータをポジショニングデバイス300に送信することができる。
【0035】
[0045] さらに、このシステムおよび/またはウェアラブルデバイスのいくつかの実施形態は、自動的に実施する、またはデバイスの装着者が制御することができるプライバシ制御装置を含むこともできる。例えば、装着者の収集された生理学的パラメータデータおよび健康状態データが、臨床医による傾向分析のためにクラウドコンピューティングネットワークにアップロードされた場合に、このデータを、記憶または使用する前に、個人を特定できる情報が除去されるように、1つまたは複数の方法で処理することができる。例えば、ユーザについて個人を特定できる情報を決定することができないようにユーザの識別を処理したり、位置情報が(町レベル、郵便番号レベル、州レベルなどで)得られる場合に、ユーザの具体的な位置を決定することができないようにユーザの地理的位置を一般化したりすることができる。
【0036】
[0046] これに加えて、または別法として、デバイスの装着者に、デバイスが装着者に関する情報(例えば、ユーザの医学的履歴、社会的活動または活動、職業、ユーザの好み、またはユーザの現在位置に関する情報)を収集するかどうか、またはどのように収集するかを制御する、あるいはこのような情報をどのように使用するかを制御する機会を提供することもできる。したがって、装着者は、自分に関する情報がどのように収集され、臨床医または医師あるいはそのデータのその他のユーザによってどのように使用されるかを制御することができる。例えば、装着者は、自分のデバイスから収集された健康状態および生理学的パラメータなどのデータは、自分自身のデータの収集および比較に応答して個人的なベースラインおよび勧告を生成するためにしか使用されず、母集団のベースラインを生成するため、または母集団の相関研究のためには使用されないことを選ぶことができる。
【0037】
[0047] ウェアラブルデバイス200は、収集された生理学的パラメータデータ、位置および文脈データ、ならびに装着者の健康状態に関するデータなどのデータを、通信インタフェースを介して1つまたは複数の通信ネットワーク上で遠隔サーバに伝送するように構成することができる。通信インタフェースは、有線およびワイヤレス通信の両方を含む、データを転送するための任意の手段を含むことができ、ユニバーサルシルアルバス(USB)インタフェース、セキュアデジタル(SD)カードインタフェース、基本電話サービス(POTS)ネットワーク、セルラネットワーク、ファイバネットワークおよびデータネットワークを含むことができる。1実施形態では、通信インタフェースは、サーバに通信を送信し、サーバから通信を受信する、ワイヤレストランシーバを含む。サーバは、任意のタイプの遠隔コンピューティングデバイスまたは遠隔クラウドコンピューティングネットワークを含むことができる。さらに、通信ネットワークは、ウェアラブルデバイスがモバイル電話またはその他のパーソナルコンピューティングデバイスにデータを伝送し、このデバイスがそのデータをサーバに伝送する場合などには、1つまたは複数の中間物を含むことができる。
【0038】
[0048] 収集した生理学的パラメータデータ、位置および文脈データ、ならびにユーザによって入力された健康状態に関するデータなど、ウェアラブルデバイス200および/またはポジショニングデバイス300からの通信を受信するだけでなく、サーバは、ウェアラブルデバイス200またはその他の何らかのソースのいづれかから、装着者の全体的な医学的履歴に関する情報、環境要因、および地理的データを収集および/または受信するように構成することもできる。例えば、全ての装着者について、装着者の医学的履歴を含むユーザアカウントをサーバ上に確立することもできる。さらに、いくつかの例では、サーバは、疾病管理センター(CDC)からのウィルス性疾患または食中毒の発生データ、アメリカ国立気象局からの天候、汚染およびアレルゲンのデータなど、環境データのソースからの情報を定期的に受信するように構成することもできる。さらに、サーバは、病院または医師から装着者の健康状態に関するデータを受信するように構成することもできる。このような情報は、相関の認識、臨床手順の生成など、サーバの判断プロセスで使用することができる。
【0039】
[0049] システムによって測定される1つまたは複数の分析物濃度と、患者によって報告される健康状態と、サーバまたは遠隔コンピューティングデバイスが受信するその他の全ての情報との間の相関を、導出することができる。例えば、分析物データおよび健康状態データを分析すると、分析物が特定の濃度に達したときに、患者が偏頭痛または心臓発作などの特定の悪い健康状態を経験したことが明らかになることもある。この相関データを使用して、患者のための勧告を生成する、または臨床手順を立てることもできる。これらの相関を増補または増強するために、血圧、心拍数、体温などのその他の生理学的測定値ならびに位置および文脈データを用いた血液分析で補足することもできる。例えば、ウェアラブルデバイス200によって測定された分析物データとウェアラブルデバイスの位置(ポジショニングデバイス300から調整される)とを分析することにより、デバイスの装着者が、特定の地域にいるときに、アレルギー反応などの特定の悪い健康状態を経験していることが明らかになることもある。さらに、日付、時間および地理的位置データを使用すると、疾病の空間的および時間的拡散を検出および監視することができる。
【0040】
[0050] サーバは、デバイスの装着者から受信する薬剤またはその他の処置に関する情報と、少なくとも部分的に、ユーザの生理学的パラメータデータおよび指示される健康状態とに基づいて、薬剤またはその他の治療の効果に関する判定を行うように構成することもできる。この情報から、サーバは、薬剤または治療の有効性を示す指示を導出するように構成することができる。例えば、ある薬剤が吐き気を治療するためのものであり、デバイスの装着者が、その薬剤を用いた治療過程が開始された後は吐き気を覚えたと示していない場合に、サーバは、その薬剤がその装着者には有効であることを示す指示を導出するように構成することができる。別の例では、ウェアラブルデバイスは、血糖値を測定するように構成することができる。装着者には糖尿病を治療するための薬剤が処方されているが、サーバは、装着者の血糖値が特定数の測定期間にわたって増加し続けていることを示すデータをウェアラブルデバイスから受信した場合には、サーバは、その薬剤がこの装着者にとってはその所期の目的のために有効ではないことを示す指示を導出するように構成することができる。
【0041】
[0051] III.例示的な方法
図4は、複数のデバイス間で位置調整を行う方法400を示す流れ図である。第1のステップで、ウェアラブルデバイスは、ウェアラブルデバイスと位置決定機能を有するポジショニングデバイスとの間のワイヤレス接続を確立する(410)。ウェアラブルデバイスは、少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。ウェアラブルデバイスは、ポジショニングデバイスの位置を示す位置信号をポジショニングデバイスから受信し(420)、ポジショニングデバイスの位置およびウェアラブルデバイスが受信した位置信号の強度に少なくとも部分的に基づいて第1の位置を計算する(430)。ウェアラブルデバイスの第1の位置は、さらに、ウェアラブルデバイスが受信した位置信号の方向に少なくとも部分的に基づいて計算することもできる。いくつかの例では、ポジショニングデバイスのワイヤレストランシーバは、指向性にすることができる。
【0042】
[0052] ウェアラブルデバイスとポジショニングデバイスの間のワイヤレス接続の終了に応答して、この方法は、さらに、ウェアラブルデバイスの第1の位置を記憶することと、ウェアラブルデバイス上の1つまたは複数の動きセンサから受信した、タイムスタンプを含むこともある、ウェアラブルデバイスの動きを示す動きデータを記憶することとを含むことができる。ウェアラブルデバイス上の1つまたは複数の動きセンサは、コンパス、加速度計、慣性測定装置、高度計、およびジャイロスコープのうちの1つまたは複数を含み得る。ウェアラブルデバイスの動きデータは、方向、高度、速度、および加速度のうちの1つまたは複数を含み得る。ウェアラブルデバイスは、それがポジショニングデバイスのレンジ内にあるかどうかを検出することもできる。
【0043】
[0053] ウェアラブルデバイスとポジショニングデバイスの間のワイヤレス接続を再確立したのに応答して、ウェアラブルデバイスは、ポジショニングデバイスの1つまたは複数の更新位置を示す更新位置信号を、ポジショニングデバイスから受信することができ、この更新位置信号は、タイムスタンプをさらに含む。ウェアラブルデバイスの動きデータとポジショニングデバイスの更新位置信号とは、それらそれぞれのタイムスタンプに少なくとも部分的に基づいて、相関させることができる。次いで、相関付けられたウェアラブルデバイスの動きデータおよびポジショニングデバイスの更新位置情報と、ウェアラブルデバイスが受信した更新位置信号の強度と、ウェアラブルデバイスの第1の位置とに少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイスの更新位置を計算することができる。ウェアラブルデバイスの更新位置は、さらに、ポジショニングデバイスから受信するポジショニングデバイスの動きを示す動きデータに少なくとも部分的に基づいて計算することができる。
【0044】
[0054] IV.例示的なウェアラブルデバイス
上述のシステムおよび方法で使用されるウェアラブルデバイス200の様々な例を、図5A図5B図6図7A図7B、および図8A図8Bに示す。
【0045】
[0055] A.例示的な眼取付け可能デバイス
1つの例では、ウェアラブルデバイス200は、図5Aおよび図5Bに示すように、眼取付け可能デバイス500として提供することができる。図5Aは、例示的な眼取付け可能電子デバイス500(または眼用エレクトロニクスプラットフォーム)を示す底面図である。図5Bは、図5Aに示す例示的な眼取付け可能電子デバイス500を示すアスペクト図である。なお、図5Aおよび図5Bの相対寸法は必ずしも一定の縮尺ではなく、例示的な眼取付け可能電子デバイス500の構成について述べる際の説明のためのみに描かれたものであることに留意されたい。高分子材料520は、実質的に透明な材料として、眼取付け可能デバイス500が眼に取り付けられているときに入射光を眼に透過させることができる。高分子材料520は、ポリエチレンテレフタラート(「PET」)、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(「polyHEMA」)、シリコーンハイドロゲル、これらの組合せなど、視力測定における視力矯正用および/または美容コンタクトレンズを形成するために利用されるものと同様の生体適合性材料とすることができる。高分子材料520は、片側が眼の角膜表面の上に沿うのに適した凹状表面526を有するように形成することができる。このディスクの反対側は、眼取付け可能デバイス500が眼に取り付けられている間に眼瞼の動きを妨害しない凸状表面524を有することができる。円形の外側縁部528が、凹状表面524および凸状表面526を接続している。
【0046】
[0056] 眼取付け可能デバイス500は、約1センチメートルの直径および約0.1から約0.5ミリメートルの厚さなど、視力矯正用および/または美容コンタクトレンズと同様の寸法を有することができる。ただし、この直径および厚さの値は、例示のみを目的として与えたものである。いくつかの実施形態では、眼取付け可能デバイス500の寸法は、装着者の眼の角膜表面のサイズおよび/または形状に応じて選択することができる。眼取付け可能デバイス500が眼に取り付けられているときには、凸状表面524は、外向きに周囲環境の方に向き、凹状表面526は、内向きに各膜表面の方に向いている。したがって、凸状表面524は、眼取付け可能デバイス500の外側頂面であると見なすことができる一方、凹状表面526は、内側底面であると見なすことができる。図5Aに示す「底面」図は、凹状表面526に面している。図5Aに示す底面図から、この湾曲したディスク外側周縁部に近い外周部522は、紙面から外に延びるように湾曲しており、ディスクの中心に近い中央領域521は、紙面の中に向かって延びるように湾曲している。
【0047】
[0057] 基板530は、高分子材料520内に埋め込まれている。基板530は、中央領域521から離れて、高分子材料520の外周部522に沿って位置するように埋め込むことができる。基板530は、眼に近すぎて焦点が合わず、また、入射光が眼の感知部分に透過する中央領域521から離れて位置決めされているので、視覚の妨げにはならない。さらに、基板530は、透明な材料で構成して、視知覚への影響をさらに低下させることもできる。
【0048】
[0058] 基板530は、円形リング(例えば中心に穴を有するディスク)の形状に成形することができる。基板530の(例えば径方向幅に沿った)平坦な表面は、チップなどのエレクトロニクスを(例えばフリップチップ取付けによって)取り付け、導電性材料を(例えばフォトリソグラフィ、蒸着、メッキなどの微細加工技術によって)パターン形成して、電極、1つまたは複数のアンテナ、および/または相互接続部を形成するためのプラットフォームである。基板530と高分子材料520とは、共通の中心軸の周りでほぼ円筒対称にすることができる。基板530は、例えば、約10ミリメートルの直径、約1ミリメートルの半径方向幅(例えば外径が内径より1ミリメートル大きい)、および約50マイクロメートルの厚さを有することができる。ただし、これらの寸法は例示のみを目的として与えたものであり、いかなる意味でも本開示を限定するものではない。基板530は、様々な異なる形状係数で実装することができる。
【0049】
[0059] 制御装置550、生体相互作用性エレクトロニクス560、およびループアンテナ570などのワイヤレストランシーバは、埋込み基板530上に配置される。制御装置550は、生体相互作用性エレクトロニクス560およびループアンテナ570を操作するように構成された論理要素を含むチップとすることができる。制御装置550は、やはり基板530上に位置する相互接続部557によってループアンテナ570に電気的に接続される。同様に、制御装置550は、相互接続部551によって生体相互作用性エレクトロニクス560に電気的に接続される。相互接続部551、557、ループアンテナ570、および任意の導電性電極(例えば電気化学的分析物生体センサなどのためのもの)は、蒸着やフォトリソグラフィなど材料を正確にパターン形成するプロセスによって基板530上でパターン形成された導電性材料で構成することができる。基板530上でパターン化される導電性材料は、例えば、金、白金、パラジウム、チタン、炭素、アルミニウム、銅、銀、塩化銀、貴な材料から形成された導体、金属、これらの組合せなどとすることができる。
【0050】
[0060] 眼取付け可能デバイス500の凸状表面524の側を見る図である図5Aに示すように、生体相互作用性エレクトロニクス560は、基板530の凸状表面524に向いている側に取り付けられる。生体相互作用性エレクトロニクス560が分析物生体センサを含む場合には、例えば、そのような生体センサを凸状表面524に向くように基板530上に取り付けると、この生体センサは、高分子材料520内の凸状表面524まで延びるチャネルを介して涙膜中の分析物濃度を感知することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの電子構成要素を、基板530の片側に取り付け、他の電子構成要素を反対側に取り付け、両者の間を基板530の中を通る導電性材料で接続することもできる。
【0051】
[0061] 1つの例では、制御装置550は、分析物生体センサを操作するように構成されたセンサインタフェースモジュールを含む。分析物生体センサは、例えば、作用電極および参照電極を含む電流滴定電気化学センサとすることができる。作用電極と参照電極の間に電圧を印加して、作用電極において分析物に電気化学的反応(例えば還元反応および/または酸化反応)を起こさせることができる。この電気化学的反応は、作用電極を通して測定することができる電流滴定電流を発生させることができる。この電流滴定電流は、分析物濃度によって決まる可能性がある。したがって、作用電極を通して測定される電気滴定電流の量は、分析物濃度を示す指示を与えることができる。いくつかの実施形態では、センサインタフェースモジュールは、作用電極と参照電極の間に電圧差を印加しながら作用電極を流れる電流を測定するように構成されたポテンシオスタットとすることができる。
【0052】
[0062] B.例示的な手首取付け可能デバイス
別の例では、ウェアラブルデバイス200は、図6に示すように、手首取付け可能デバイス600として提供することができる。手首取付け可能デバイス600は、デバイスを装着している人の複数の生理学的パラメータを自動的に測定することができる。デバイス600も、足首、腰、胸、またはその他の身体部分に、その上に、またはその近傍に装着することができる。このデバイスは、皮膚または組織に非常に近接して配置することができるが、皮膚または組織と接触する、または密着している必要はない。ベルト、リストバンド、アンクルバンドなどの取付け具610を設けて、このデバイスを身体表面に、その上に、またはその近傍に取り付けることができる。取付け具610は、ウェアラブルデバイスが身体に対して相対的に動くことを防止して、測定誤差およびノイズを低減することができる。図6に示す1つの例では、取付け具610は、身体の一部の周りに装着することができるストラップまたはバンド620の形態をとることができる。さらに、取付け具610は、ウェアラブルデバイス600を装着者の身体に接着する接着基板とすることもできる。
【0053】
[0063] 測定プラットフォーム630は、身体の皮下脈管構造を容易に観察することができる位置に位置決めすることができるように、取付け具610上に配置される。測定プラットフォームの内面640は、身体表面に向けて取り付けられるようになっている。測定プラットフォーム630は、データ収集システム650を収容することができ、データ収集システム650は、少なくとも1つの生理学的パラメータを検出する少なくとも1つの検出器660を含むことができ、この生理学的パラメータは、ウェアラブルデバイスを装着する人の健康に関係する可能性がある任意のパラメータを含むことができる。例えば、検出器660は、血圧、脈拍数、呼吸速度、皮膚温度などを測定するように構成することができる。検出器660の少なくとも1つは、ウェアラブルデバイスの近傍の皮下脈管構造内を循環する血液中の1つまたは複数の分析物を非侵襲的に測定するように構成される。非包括的なリストでは、検出器660は、光学的センサ(例えばCMOS、CCD、フォトダイオード)、音響センサ(例えば圧電センサ、圧電セラミックセンサ)、電気化学的センサ(電圧センサ、インピーダンスセンサ)、熱センサ、機械式センサ(例えば圧力センサ、歪みセンサ)、磁気センサ、または電磁気センサ(例えば磁気共鳴センサ)のうちのいずれか1つを含み得る。データ収集システム650の構成要素は、装着者の通常の活動をそれほど妨げることなくウェアラブルデバイスを身体に装着することができるように、小型化することができる。
【0054】
[0064] いくつかの例では、データ収集システム650は、装着者の皮膚を貫通して皮下脈管構造の部分、例えば皮下脈管構造の内腔内まで進入することができる問合せ信号を伝送する信号源670をさらに含む。問合せ信号は、電磁信号、磁気信号、光信号、音響信号、熱信号、機械的信号など、生理学的パラメータを測定するために使用することができる、またはさらに詳細には、臨床的に関連のある分析物の官能基化粒子との結合を検出することができる応答信号を生じる、装着者に無害な任意の種類の信号とすることができる。1つの例では、問合せ信号は、電磁パルス(例えば無線周波(RF)パルス)であり、応答信号は、核磁気共鳴(NMR)などの磁気共鳴信号である。別の例では、問合せ信号は、時間変動磁場であり、応答信号は、時間変動磁場による外部検出可能な物理的運動である。時間変動磁場は、物理的運動によって背景とは異なる様式で粒子を変調することにより、それらの粒子を検出しやすくする。さらに別の例では、問合せ信号は、電磁放射信号である。特に、問合せ信号は、約400ナノメートルから約1600ナノメートルの間の波長を有する電磁放射とすることもできる。問合せ信号は、さらに詳細には、約500ナノメートルから約1000ナノメートルの間の波長を有する電磁放射を含むことができる。いくつかの例では、官能基化粒子は、蛍光体を含む。したがって、問合せ信号は、蛍光体を励起し、皮膚またはその他の組織および皮下脈管構造を貫通することができる波長(例えば約500ナノメートルから約1000ナノメートルの範囲の波長)を有する電磁放射信号とすることができ、応答信号は、皮下脈管構造および組織を貫通して検出器まで到達することができる蛍光体からの蛍光放射である。
【0055】
[0065] いくつかの場合には、問合せ信号は、生理学的パラメータのうちの1つまたは複数を測定する必要はなく、したがって、ウェアラブルデバイス600は、信号源670を含まなくてもよい。例えば、官能基化粒子は、蛍光体など、問合せ信号またはその他の外部刺激を必要とせずに、臨床的に関連のある分析物の官能基化粒子との結合を示す応答信号を自動的に発出する、自己蛍光マーカまたはルミネセントマーカを含む。いくつかの例では、官能基化粒子は、開始された化学反応に応答して、少なくとも部分的に対象分析物のその粒子との結合に応答して蛍光放射の形態の応答信号を生成するように構成された、化学発光マーカを含むことができる。
【0056】
[0066] 収集磁石680を、データ収集システム650に含めることもできる。このような実施形態では、官能基化粒子は、強磁性材料、常磁性材料、超常磁性材料、または磁場に応答するその他の任意の材料などの磁性材料で構成する、または磁性材料で官能基化することもできる。収集磁石680は、官能基化磁性粒子を皮下脈管構造の部分の内腔内に収集するのに十分な磁場を皮下脈管構造の部分の中に向けるように構成される。この磁石は、測定期間中にオンにし、測定期間が終了したらオフにして、磁性粒子が脈管構造内に分散できるようにすることができる電磁石であってもよい。
【0057】
[0067] ウェアラブルデバイス600は、遠隔サーバまたはその他の遠隔コンピューティングデバイスによって、あるいはデバイス内のプロセッサによって生成された1つまたは複数の勧告または警告をデバイスの装着者が受信することができるようにするためのユーザインタフェース690を含むこともできる。この警告は、ウェアラブルデバイスを装着している人が気付くことができる任意の指示とすることができる。例えば、警告は、視覚構成要素(例えばディスプレイ上のテキストまたはグラフィック情報)、聴覚構成要素(例えば警報音)、および/または触覚構成要素(例えば振動)を含むことができる。さらに、ユーザインタフェース690は、警告または勧告の視覚指示を表示することができるディスプレイ692を含むこともできる。ディスプレイ692は、さらに、例えば測定中の特定の血液分析物など、測定される生理学的パラメータを示す指示を提供するように構成することができる。
【0058】
[0068] 他の構成も企図されている。例えば、他の実施形態では、測定プラットフォームおよびユーザインタフェースの両方を、装着者の手首の同じ側、詳細には手首の前側に設けることもできる。後側では、時計面またはデジタルディスプレイをストラップ上に配置することができる。
【0059】
[0069] C.例示的な頭部取付け可能デバイス
さらに別の例示的な実施形態では、ウェアラブルデバイスは、頭部取付け可能デバイス(HMD)の形態をとる、またはこれを含むことができる。ニアアイディスプレイを備えるウェアラブルコンピューティングデバイスは、「頭部取付け可能ディスプレイ」(HMD)、「ヘッドマウントディスプレイ」、「ヘッドマウントデバイス」、または「頭部取付け可能デバイス」と呼ばれることもある。HMDは、一般に、頭部に装着することができ、装着者の片眼または両眼の前にディスプレイを配置する任意のディスプレイデバイスとすることができる。このようなディスプレイは、装着者の視野全体を占めてもよいし、あるいは装着者の視野の一部分しか占めていなくてもよい。さらに、ヘッドマウントディスプレイは、様々なサイズとすることができ、例えばレンズ型ディスプレイなどの小型の形態をとることも、ヘルメットまたは眼鏡などの大型の形態をとることもできる。したがって、「眼鏡型」または「レンズ型」HMDと述べているときには、頭部に装着することができるように眼鏡のようなフレームを有するHMDを指しているものと理解されたい。さらに、例示的な実施形態は、それぞれ「単眼」HMDまたは「両眼」HMDと呼ばれることもある、単一のディスプレイまたは2つのディスプレイを有するHMDによって、またはこれと連動して、実装することができる。ディスプレイ上で画像を生成するためには、コンピュータの処理システムを使用することができる。
【0060】
[0070] 図7Aは、HMD702(ヘッドマウントディスプレイと呼ぶこともある)の一例を示す図である。HMD702は、レンズフレーム704、706、中央フレーム支持708、レンズ要素710、712、および延伸サイドアーム714、716などのフレーム要素を含む。中央フレーム支持708および延伸サイドアーム714、716は、それぞれユーザの鼻および耳を介してHMD702をユーザの顔に固定するように構成される。
【0061】
[0071] HMD702は、搭載型コンピューティングシステム718、画像取込みデバイス720、1つまたは複数のセンサ722、および指操作可能タッチパッド724も含むことができる。搭載型コンピューティングシステム718は、HMD702の延伸サイドアーム714上に位置決めされるものとして示してあるが、搭載型コンピューティングシステム718は、HMD702の他の部分に設けてもよいし、あるいはHMD702から遠隔に位置決めされていてもよい(例えば、搭載型コンピューティングシステム718は、有線で、またはワイヤレスでHMD702に接続することもできる)。搭載型コンピューティングシステム718は、例えば、プロセッサおよびメモリを含むことができる。搭載型コンピューティングシステム718は1つまたは複数のセンサ722、画像取込みデバイス720、および指操作可能タッチパッド724から(場合によっては、さらに他のセンサ・デバイスまたはユーザインタフェースあるいはその両方から)データを受信して分析するように構成することができる。コンピューティングデバイス718によって収集されたデータを使用して、レンズ要素710および712が出力する画像を生成することができる。HMD702は、ポジショニングデバイス300などの遠隔デバイスと通信するためのワイヤレストランシーバを含むこともできる。
【0062】
[0072] 1つまたは複数のセンサ722は、HMD702の延伸サイドアーム716上に示してあるが、1つまたは複数のセンサ722は、サイドアーム716の内側表面上など、HMD702の他の部分に位置決めすることもできる。例示のために、センサ722は1つしか示していない。ただし、例示的な実施形態では、HMD702は、複数のセンサを含むこともできる。例えば、HMD702は、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数の磁力計、1つまたは複数の光センサ、1つまたは複数の赤外線センサ、1つまたは複数のマイクロフォン、および/あるいは生理学的パラメータ感知または測定するための1つまたは複数のセンサなどのセンサ702を含むことができる。本明細書で具体的に特定しているセンサに加えて、またはこれらの代替として、他の感知デバイスを含めることもできる。
【0063】
[0073] 図7Bは、単眼HMD772の形態をとる、例示的な実施形態による別のウェアラブルコンピューティングデバイスを示す図である。HMD772は、サイドアーム773と、中央フレーム支持774と、ノーズピース775を備えるブリッジ部分とを含むことができる。図7Bに示す例では、中央フレーム支持774は、サイドアーム773同士を接続する。HMD772は、レンズ要素を含むレンズフレームを含まない。HMD772は、さらに、構成要素筐体776を含むことができ、この筐体は、搭載型コンピューティングシステム(図示せず)と、画像取込みデバイス778と、画像取込みデバイス778を操作する(かつ/または他の目的にも使用可能な)ためのボタン779とを含むことができる。構成要素筐体776は、他の電気的構成要素を含むこともでき、かつ/またはHMD内またはHMD上の他の位置にある電気的構成要素に電気的に接続することもできる。HMD772は、サイドマウントタッチパッド782および骨伝導変換器786も含む。生理学的パラメータセンサなど、1つまたは複数のセンサ790も、HMD772上に設けることができる。一例では、1つまたは複数のセンサ790は、一方または両方のサイドアーム773の内側表面上に位置決めされ、したがって、HMD772が装着されたときに装着者の皮膚に接して、または非常に近接して位置決めすることができる。
【0064】
[0074] HMD772は、構成要素筐体776を介してサイドアーム773の1つに結合することができる単一のディスプレイ780を含むことができる。例示的な実施形態では、ディスプレイ780は、装着者がディスプレイ780を通して自分の周りの環境を見ることができるようにガラスおよび/あるいは別の透明または半透明材料で構成された、シースルーディスプレイとすることができる。さらに、構成要素筐体776は、ディスプレイ780のための光源(図示せず)、および/または光源の光をディスプレイ780に向けるための光学要素(図示せず)を含むこともできる。したがって、ディスプレイ780は、HMD772が装着されているときに、このような光源によって生成された光を装着者の眼に向けて送る光学機構を含むこともできる。
【0065】
[0075] さらに別の態様では、HMD772は、サイドアーム173の長さを調節するために使用することができる滑動機構784を含むこともできる。したがって、滑動機構784を使用して、HMD772の合い具合を調節することができる。さらに、HMDは、本発明の範囲を逸脱することなく、装着者がHMDの合い具合を調節することを可能にする他の機構を含むこともできる。
【0066】
[0076] D.例示的な口腔内取付け可能デバイス
ウェアラブルデバイス200は、図8Aおよび図8Bに示すように、1つまたは複数の口腔内取付け可能デバイス800として提供することもできる。口腔デバイス800は、電源830のための取付け表面となるフレーム880および基板820と、制御装置840と、センサエレクトロニクス850と、通信アンテナ860などのワイヤレストランシーバとを含むことができる。センサエレクトロニクス850は、制御装置840によって操作される。電源830は、制御装置840および/またはセンサエレクトロニクス850に動作電圧を供給する。アンテナ860は、制御装置840によって、口腔内デバイス800に情報を通信し、かつ/または口腔内デバイス800から情報を受け取るように操作される。アンテナ860、制御装置840、電源830およびセンサエレクトロニクス850は、全て、埋込み基板820上に位置付けることができる。
【0067】
[0077] センサエレクトロニクス850は、分析物センサシステム、活動センサシステム、および/または体積センサシステムのうちの1つまたは複数を含み得る。加えて、センサエレクトロニクスは、光、温度、血圧、脈拍数、呼吸速度、気流、および/または分析物濃度以外の生理学的パラメータを測定する1つまたは複数のセンサをさらに含むことができる。センサエレクトロニクス850は、口内の1つまたは複数の基板820またはフレーム880の取付け表面に位置付けられて、食品、飲料、および唾液など、口内の物質中の分析物濃度を検出および/または測定することができる。基板および/またはフレーム、ならびにこれらの様々なセンサのうちの1つまたは複数は、歯、歯茎、口蓋、または舌など、口内の任意数の表面上に、またはその近傍に、取り付ける、または位置決めすることができる。さらに、複数の基板および/またはフレーム、ならびに複数のセンサを、単一のデバイス800内に設けることもできる。
【0068】
[0078] 図8Aは、大臼歯などの歯の周囲に取り付けることができるバンド880として提供されるフレームを有する、口腔内取付け可能デバイス800の1実施形態を示す図である。バンド880は、ステンレス鋼、チタン、セラミック、プラスチック、またはその他の任意の材料で構成することができ、ステンレス鋼にアレルギーがある装着者のために金など他の材料でメッキまたはコーティングすることもできる。歯列矯正の応用例と同様に、バンド880は、個々の装着者の口および歯のサイズ、形状および位置決めに適合するように、様々なサイズおよび形状で提供することができる。バンド880の直径は、歯の曲率に沿い、バンド880を摩擦ばめによって歯に保持するように、装着者の歯肉線の方向に先細にすることができる。生体適合性接着剤を使用して、バンド880を歯に固定することもできる。バンドに埋め込まれた基板820は、実質的に平坦な表面がチップなどのエレクトロニクスを(例えばフリップチップ取付けによって)取り付け、導電性材料を(例えばフォトリソグラフィ、蒸着、メッキなどの微細加工技術によって)パターン形成して電極、1つまたは複数のアンテナ、および/または相互接続部を形成するためのプラットフォームとして機能する、実質的に平坦なリングまたはバンドとして成形することができる。他の例では、基板820は、単一の連続的な基板ではなく、1つまたは複数の分離したセグメントとして形成することができる。例えば、制御装置およびセンサなど特定のモジュールは1つの基板上に取り付け、アンテナは別の基板に取り付けて、その両者を相互接続部を介して電気的に接続することもできる。
【0069】
[0079] 制御装置840、センサエレクトロニクス850、およびアンテナ860などのワイヤレストランシーバは、基板820上に配置される。いくつかの実施形態では、アンテナ860は、フレーム880の直径の周りのループアンテナとして提供することができる。制御装置840は、センサエレクトロニクス850およびループアンテナ860を操作するように構成された論理要素を含むチップとすることができる。制御装置840は、やはり基板820上に位置付けられた相互接続部847によってループアンテナ860に電気的に接続される。同様に、制御装置840は、相互接続部841によってセンサエレクトロニクス850に電気的に接続される。相互接続部841、847、ループアンテナ860、および任意の導電性電極(例えば電気化学的分析物生体センサのためのものなど)は、蒸着やフォトリソグラフィなど材料を正確にパターン形成するプロセスによって基板820上でパターン形成された導電性材料で構成することができる。基板820上でパターン化される導電性材料は、例えば、金、白金、パラジウム、チタン、炭素、アルミニウム、銅、銀、塩化銀、貴な材料から形成された導体、金属、これらの組合せなどとすることができる。
【0070】
[0080] センサエレクトロニクス850は、分析物センサシステム、活動センサシステム、および体積センサシステム(図示せず)のうちの1つまたは複数を含み得る。分析物センサシステムは、1つまたは複数の対象分析物の有無、および場合によってはその濃度に関係するセンサの読みを生物学的環境から取得するように構成される。分析物の検出および測定は、電気化学的反応、作用電極におけるインピーダンス、電圧、または電流などの変化、および/あるいは目標とするバイオレセプタとの相互作用など、いくつかの可能な機構を通して可能になることがある。いくつかの例では、分析物センサシステムは、マルチセンサアレイを含むことができ、このアレイの各要素は、異なる対象分析物を感知することができる。例えば、このデバイスは、デンプン基質に関連する唾液中アミラーゼ(デンプンから糖への変換を示す)、単純な炭化水素(スクロース、フルクトース、グルコース)、脂質、複雑な炭化水素、およびケトン体(ケトアシドーシスを示すことができる)を感知することができるものなど、酵素または試薬センサのアレイを含むことができる。これらのセンサは、息に含まれるケトンを感知する化学鼻など、呼気分析を実行するセンサを含むこともできる。
【0071】
[0081] いくつかの例では、分析物センサシステムは、作用電極において分析物に電気化学的反応(例えば還元反応および/または酸化反応)を起こさせるように構成された1つまたは複数の電気化学的センサと、対象分析物(蛋白質、酵素、試薬、核酸、ファージ、レクチン、抗体、アプタマなど)とその分析物に対して感度があるバイオレセプタとの相互作用を検出するように構成された1つまたは複数の生体センサと、電極間のインピーダンスの変化を測定することなどによって電極センサの表面における分析物濃度を測定するように構成された1つまたは複数のインペディメトリック生体センサとを含むことができる。分析物センサシステムを実装するための他の検出および定量化システムおよび方式も、企図されている。
【0072】
[0082] 口腔内取付け可能デバイス800は、さらに、口内の咀嚼活動の有無に関係する活動センサの読みを取得するように構成された、活動センサシステムを含むことができる。本明細書で使用する「咀嚼活動」という表現は、食べる、飲む、噛む、飲み込むなど、任意の摂取活動を含むものとして広範に解釈することができる。基本的には、活動センサシステムは、デバイスの装着者が物質を摂取しているかどうかを判定するように構成される。活動センサシステムは、ユーザが何かを食べている、噛んでいる、または飲んでいるかどうかを判定するための、1つまたは複数の光センサ、圧力センサ、および/あるいは加速度計を含むことができる。活動センサの読みは、読取り装置によって取得することができ、これを分析物センサの読みと関連付けて使用して、デバイスの装着者の健康状態を示す指示を提供する、または装着者が何らかの医学的状態を経験しているかどうかを判定することができる。
【0073】
[0083] さらに、口腔内取付け可能デバイス800は、例えば「一口」の大きさ、あるいは人の口内に存在する食品、飲料、またはその他の物質の量など、体積測定を行う体積センサシステムを含むことができる。体積センサシステムは、装着者の口内で1本または複数本の歯の上に所定の構成で配置された1つまたは複数のセンサを含むことができる。センサは、装着者が咀嚼しているときに口内の食品またはその他の物質によってセンサに作用する物理的な力を検出する、応力センサ、圧力センサ、張力センサなどを含むことができる。他の例では、体積センサシステムは、デバイスの装着者が食品を噛むときの一口の大きさを示す指示になり得る、咀嚼活動中の顎の開き角度または特定の歯の間の距離を感知する、光学的、音響的、またはその他のタイプのセンサを含むことができる。
【0074】
[0084] センサエレクトロニクス850は、口内の唾液、食品、飲料、およびその他の物質と容易に接触するように、基板820の外向き表面上に設けることができる。いくつかの例では、センサエレクトロニクス850は、基板820および/またはフレーム880の内面上に設けられて、基板820の外向き表面から内向き表面まで通っているチャネル(図示せず)を通して、唾液、食品、飲料などに含まれる分析物濃度を感知するように構成することもできる。いくつかの実施形態では、いくつかの電子構成要素を基板820の片側に取り付け、他の電子構成要素を反対側に取り付けて、その両者の間を基板820の中を通る導電性材料で接続することもできる。さらに、図8Aに示すように、センサエレクトロニクス850は、歯の頬側(頬の方を向いている側)、および舌側(舌の方を向いている側)または口蓋側(口蓋の方を向いている)のうちの一方または両方に設けることができる。
【0075】
[0085] 図3Bは、デバイス800とともに使用されるフレーム880の様々な実施形態を示す図である。いくつかの例では、1つまたは複数の口腔内取付け可能デバイス800を使用することができ、これらの口腔内取付け可能デバイス800は、口内の他の歯に取り付けられる、または異なる位置に位置付けられる、追加のフレームおよび/またはサブフレームを含むことができる。フレーム880は、1つまたは複数のブラケット881(装具内で使用されるものなど)、保定装置882、あるいは歯の周りに配置されるリングまたはバンド883など、様々な歯列矯正デバイスとして提供する、または様々な歯列矯正デバイスと一体化することができる。保定装置フレーム882の場合には、全て単一のプラットフォーム上で電気的に接続される、保定装置のルーフ部分上またはその中に埋め込まれたセンサ、保定装置のワイヤ部分によって歯の内面または外面に接して保持されたセンサ、および/あるいは歯の咀嚼面に接して保持されたセンサなど様々なセンサシステムを、この単一のフレームに一体化することができる。歯科充填材884、ベニヤ885、歯科インプラント886、または歯の任意の表面上の薄膜など、様々な歯科のデバイスまたは方法を使用して、1つまたは複数のセンサを口内に固定することもできる。センサは、下、口蓋、または歯茎など、口内の組織に取り付ける、またはその中に埋め込むこともできる。したがって、フレーム880の大きさおよび形状は、選択した口内表面、すなわち口の上部表面や歯の内側または咀嚼表面などの形状および曲率、ならびに装着者の口の個々の大きさおよび/または形状に対応するように選択することができる。
【0076】
[0086] 本開示で使用する「口腔内デバイス」または「口腔内取付け可能デバイス」という用語は、口内の歯、舌、頬、口蓋、唇、上顎または下顎、歯茎、あるいはその他の表面の上、その中、またはその近傍など、口内に取り付ける、固定する、埋め込む、またはその他の方法で装着することができる、任意のデバイスを指している。例えば、デバイス100は、かぶせ物、保定装置、義歯、歯列矯正装具、歯科インプラント、歯内デバイス、ベニヤ、イントラデンタルデバイス、粘膜インプラント、舌下インプラント、歯肉インプラント、小帯インプラントなど(ただしこれらに限定されない)、複数の形態で実現することができる。
【0077】
[0087] V.手首取付け型デバイスを使用した実時間高密度生理学的データ収集を行う例示的な方法
ウェアラブルデバイスを使用して、生理学的パラメータの実時間高密度測定を行う方法も、提供される。第1のステップで、ウェアラブルデバイスは、複数の測定期間のそれぞれの間に、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定する。測定期間の長さは、デバイス自体において設定してもよいし、例えば遠隔サーバからの命令などによって、遠隔に設定してもよい。デバイスは、例えば、連続的、1秒ごと、1分ごと、1時間ごと、6時間ごとなど、毎日多数の測定期間があるように構成することもできるし、あるいは1週間または1ヶ月に一度測定を行うように構成することもできる。さらに、測定している各生理学的パラメータごとに、異なる測定期間を設定することもできる。測定期間は、連続した複数日に及んでいてもよく、また、こうした連続した日のそれぞれが、複数の測定期間を含んでいてもよい。こうした連続した日のそれぞれは、さらに、少なくとも24の測定期間を含むこともでき、また、連続した複数日は、少なくとも30日含むこともできる。生理学的パラメータの少なくとも一部は、ウェアラブルデバイスの近傍の皮下脈管構造内を循環する血液中の1つまたは複数の分析物を非侵襲的に検出することによって測定される。
【0078】
[0088] 複数の測定期間のそれぞれについて、測定期間が終了した後で、ウェアラブルデバイスは、その測定期間中に測定した生理学的パラメータを表すデータをサーバまたは遠隔デバイスに伝送する。ウェアラブルデバイスは、サーバに自動的にデータを伝送するように構成することもできるし、装着者の命令に応じて伝送するように構成することもできるし、あるいは遠隔サーバからの指示に応じて伝送するように構成することもできる。さらに、このデバイスは、各測定期間の終了時に、あるいはそれより多いまたは少ない頻度で、自動的にデータを伝送するように構成することもできる。例えば、このデバイスは、5分ごとに伝送する、毎日の終わりに伝送する、月の終わりに伝送する、夜間のみ伝送する、といったように構成することもできる。
【0079】
[0089] これに応答して、サーバ、または遠隔コンピューティングデバイスは、複数の測定期間の間にウェアラブルデバイスによって伝送されたデータに基づいてベースラインプロファイルを作成するように構成される。いくつかの実施形態では、ベースラインプロファイルは、ウェアラブルデバイスを装着している個人ユーザについて複数の測定期間の間にウェアラブルデバイスによって伝送されたデータに基づく個人ベースラインプロファイルを含む。ベースラインプロファイルは、装着者の生理学的パラメータのうちの1つまたは複数が、1日の間、1週間の間、または1ヶ月の間など、通常はどのように時間変化するかについてのパターンを含むことができる。ベースラインプロファイルは、さらに、それを超える、または下回ると、医学的状態を示すことができる、特定の対象分析物のしきい値を含むこともできる。
【0080】
[0090] サーバがデバイスの装着者の個人ベースラインプロファイルを作成した後で、サーバは、1つまたは複数の追加の測定期間の間に測定された生理学的パラメータに関する追加データをウェアラブルデバイスから受信することがある。この場合、サーバは、追加の測定期間にわたって収集された追加データを、個人ベースラインプロファイルと比較することができる。追加データが個人ベースラインプロファイルに組み込まれているパターンと一致する場合には、サーバは、装着者の状態が変化していないと判定することができる。一方、追加データがベースラインプロファイルに組み込まれたパターンから逸脱している場合には、サーバは、装着者の状態の変化を検出することができる。この状態の変化は、例えば、装着者が、疾病、障害、またはその他の悪い医学的状態を発症した、あるいは近い将来に卒中または心臓発作などの深刻な医学的状態を生じる危険な状態にある可能性があることを示すこともできる。
【0081】
[0091] サーバは、個人ベースラインプロファイルおよび追加データに基づいて状態の変化を検出した場合には、検出した状態の変化および臨床手順に基づいて、1つまたは複数の勧告を生成することができる。例えば、サーバは、装着者は特定の薬物またはサプリメントを摂取するべきである、医師の診断を受けるスケジュールを立てるべきである、病院に行って直ちに医学的手当を求めるべきである、特定の活動を控えるべきであるといった勧告を生成することができる。サーバは、また、複数のウェアラブルデバイスによって測定された生理学的パラメータに関するデータを受信し、そのデータを使用して、臨床手順を少なくとも部分的に作成するように構成することもできる。臨床手順は、装着者の任意の既知の健康情報または医学的履歴、および/あるいは医学分野で標準的な手当と認識されている手当に少なくとも部分的に基づいて作成することもできる。ウェアラブルデバイスは、サーバによって生成された1つまたは複数の勧告を受信して、その1つまたは複数の勧告を示す指示を、ウェアラブルデバイス上のユーザインタフェースを介して提供することができる。
【0082】
[0092] いくつかの実施形態では、サーバは、複数のウェアラブルデバイスによって測定された生理学的パラメータに関するデータを受信するように構成することができる。サーバは、複数のユーザが装着している複数のウェアラブルデバイスから収集されたこのデータを使用して、母集団ベースラインプロファイルを少なくとも部分的に作成することができる。このような母集団ベースラインプロファイルは、例えば、個人のベースラインプロファイルとの比較に使用することができる。当業者なら、ある時間にわたって測定された個人の生理学的パラメータを、その個人自身のベースラインと比較するだけでは、その生理学的パラメータの異常を認識するには不十分であることもあることを容易に理解するであろう。例えば、デバイスのある個人装着者のある生理学的パラメータが、その個人のベースラインからは逸脱していないが、その個人のベースラインが、そのデバイスの複数の装着者から収集したデータから生成した母集団ベースラインを大幅に上回っていることもある。したがって、母集団について「正常」または「平均」とされているものと比較することが、個人の医学的状態を有効に特定する、または防止するために必要であることもある。
【0083】
[0093] したがって、サーバは、さらに、1つまたは複数の追加の測定期間の間に測定された追加データを、ウェアラブルデバイスから受信し、母集団ベースラインプロファイルおよび追加データに基づいて状態の変化を検出し、検出した状態の変化および臨床手順に基づいて1つまたは複数の勧告を生成するように構成することができる。ウェアラブルデバイスは、サーバによって生成されたこの1つまたは複数の勧告を受信し、ウェアラブルデバイス上のユーザインタフェースを介して、この1つまたは複数の勧告を示す指示を提供することができる。
【0084】
[0094] さらに別の例では、サーバは、複数のウェアラブルデバイスによって測定された生理学的パラメータに関するデータを受信し、複数の測定期間の間にこの複数のウェアラブルデバイスのユーザの健康状態を示す指示を受信する用に構成することができる。この場合、サーバは、これらのユーザの健康状態と、複数の測定期間の間に測定された生理学的パラメータを表すデータとの間の相関を導出することができる。この種の母集団データは、生理学的パラメータと特定の健康状態との間のそのような相関を以前は引き出すことができなかったという点で、重要であることがある。このような相関は、健康状態の予測、防止、診断、および治療に使用することができる。サーバは、1つまたは複数の追加の測定期間の間に測定された生理学的パラメータを表す追加データをウェアラブルデバイスから受信し、受信した追加データおよび臨床手順に基づいて1つまたは複数の勧告を生成するように構成することもでき、ここで、この臨床手順は、導出された相関に少なくとも部分的に基づいて作成される。
【0085】
[0095] さらに別の例では、ウェアラブルデバイス自体は、遠隔サーバによって実行されるものとして上記で説明したステップを実行するように構成することができる。例えば、ウェアラブルデバイスは、生理学的パラメータを表すデータを分析し、ベースラインプロファイルを生成し、追加の測定期間から収集されたデータをベースラインプロファイルと比較し、臨床手順に基づいて勧告を生成するように構成することができる。ウェアラブルデバイスは、さらに、特定のデータを、自動的に、またはその他の何らかの頻度で、遠隔サーバに伝送するように構成することもできる。
【0086】
[0096] 本明細書で大まかに説明して図面に例示した本開示の態様は、本明細書でその全てが明示的に企図されている幅広い様々な構成で配列し、置換し、結合し、分離し、設計することができることは、容易に理解されるであろう。様々な態様および実施形態を本明細書に開示したが、他の態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0087】
[0097] 例示的な方法およびシステムについて上述した。「例」および「例示的」という言葉は、本明細書では、「例、場合、説明として役に立つ」という意味である。本明細書で「例」または「例示的」として説明した任意の実施形態または特徴は、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好ましい、または有利であると解釈すべきではない。本明細書では、本明細書の一部を構成する添付の図面について言及している。これらの図面では、同様な符号は、文脈からそうでないことが分かる場合を除き、通常は同様な構成要素を指している。本明細書に提示する主題の趣旨または範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用することもでき、また他の変更を加えることもできる。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものであり、限定を目的としたものではなく、真の範囲および趣旨は、後記の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B