【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の第1の態様によれば、資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法が提案され、この方法は、
(a)資源制約装置に伝送されるバッファメッセージをノードのバッファが含まない場合、ノードの前記バッファ内にACKメッセージを入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)受信メッセージの検出後、ACKメッセージ又はバッファメッセージを資源制約装置に伝送するステップと
を含み、送信の準備が整っているメッセージをバッファが常に含むように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後にステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む。
【0012】
本発明の主な目的は、ネットワークが依然として存在することを資源制約装置が認識するのを確実にすることである。ACKは、双方向通信可能な全ての資源制約装置若しくはGPDに、又は選択された装置にのみ伝送され得る。ACK上でリレーするGPDは、例えば特定の機能情報をコミッショニング情報に含めることにより、又は動作中に特定のフラグ若しくは専用コマンドによって要求することにより、ACKの配信を要求することができる。ACKの配信は、対になったシンク又は別のインフラ装置によっても開始され得る。ACKを配信するためのGPDはその特性、例えばアプリケーションの種類、セキュリティレベル、使用されるキーの種類等によって決定され得る。GPDは、他の基準に従って利用者によって選択されても良い。資源制約装置が受信機会時に1つ(又は複数)のACKメッセージ又は別のメッセージを逃す場合、例えばネットワークを再発見し又はネットワークに再加入するために、利用者にフィードバックを与えるために等、資源制約装置は措置を講じることができる。本発明の主な態様の1つは、伝送の準備が整っているバッファメッセージを常にTempMaster(プロキシ又はシンク)に保つことである。従って、資源制約装置のためのバッファ待ち行列内にメッセージがないとき、ACKメッセージを追加することができる。このACKメッセージは例えば自己補充可能であり得る。この自己補充可能な特性は、特定のメッセージタイプに起因することができ、(例えば資源制約装置と対にされたシンクからTempMasterに送信されるか、又はTempMasterシンク上のアプリケーションからそのバッファに送信される)メッセージ配信要求内の明確なフラグによって要求されても良く、又はメッセージが特定の種類の確認を必要とすることによって要求され得る。
【0013】
本発明のこの態様によれば、ACKメッセージであろうとバッファメッセージであろうと送信の準備が整っているメッセージをバッファが常に含むように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後にステップ(a)〜(c)が繰り返される。そうすることにより、資源制約装置に送信される準備が整っているメッセージをバッファが常に含む。従って、メッセージの生成及び準備にかかる全ての時間が、次のメッセージの検出前に完了され得る。更なる利点は、資源制約装置と対にされたシンクノードと、TempMasterとしての役割を果たすノードとの間の通信量が最小限であることであり、TempMasterがその役割を果たす限り、TempMasterはそのバッファ内にメッセージを保ち、シンクは、受信機会の指示を含む資源制約装置からのコマンドを認識する度、(Green Powerの場合は殆どブロードキャストされる)バッファ用のメッセージを再送する必要がない。別の利点は、シンクノードが(一時的に)ない場合にさえ、又はシンクノードとの通信の問題が起きても、TempMasterノードが資源制約装置に肯定応答を送り続けることができ、その結果、資源制約装置をネットワーク内でアクティブに保つことである。
【0014】
更に本発明の一部の実施形態では、特定の資源制約装置からの通信がない場合にさえ、他の転送装置(TempMasterの範囲内にあるプロキシ及びシンクノード)がTempMasterの他の通信(例えばリンク状態メッセージ、再ブロードキャストフレーム、ルート発見への参加、メッセージのルーティング等)をモニタし、検出された変化に基づいてTempMasterの選出を引き起こすことによって常にTempMasterノードの設置を支援する。
【0015】
更に、システム化された肯定応答モードをポーリングするために資源制約装置が専用コマンドを使用する場合、そのコマンドが対になったシンクに転送される必要はない。そのコマンドは、専らTempMasterからのメッセージ配信を引き起こすために使用され得る。そのコマンドは、専用メッセージ、例えばポールメッセージとすることができ、又は例えばフレームタイプ、フラグ、又はスキッピングアプリケーションペイロード(skipping application payload)を用いた肯定応答ポーリングに使用される指示を有する通常メッセージとすることができる。このようにして、無意味な情報をシンクに転送するのを回避することができ、とりわけ資源制約装置がコンテンツフレームを伝送するよりもはるかに頻繁に肯定応答をポーリングする場合、ネットワークのトラフィックが減らされ得る。これは肯定応答が自己補充可能である場合にのみ可能であり、さもなければ対になったシンクが肯定応答フレームの再作成に何れにせよ関与しなければならない。この態様は、肯定応答を逃したときにTempMasterの再発見を引き起こすGPD、並びにTempMasterの選出を引き起こすプロキシの役割を担う他の装置と依然として組み合わせることができ、即ち他の装置は資源制約装置への肯定応答メッセージの配信をモニタしなければならず、SrcIDによって識別されるGPDに伝送されるパケットはMACブロードキャストを使用して送信されるため、それは現在のGreen Power規格内で可能である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、バッファが単一エントリ待ち行列を含み、現在のGreen Power規格内で定められているように、これは特定の資源制約装置に宛てられるメッセージを1つのみ記憶できることを意味する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、バッファがマルチエントリ待ち行列を含み、これは特定の資源制約装置に宛てられるメッセージを複数記憶できることを意味し、ステップ(a)は、エントリの1つが使用可能である場合にマルチエントリ待ち行列内にACKメッセージを入れるステップを更に含む。実際、待ち行列がマルチエントリ待ち行列であり、待ち行列内にバッファメッセージがあっても、その後の機会に備えてACKメッセージの準備が既に整っているように、ACKメッセージでエントリを埋めることが有利である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、ステップ(c)は、受信メッセージが受信機会の指示を含む場合に実行される。別の実施形態では、ステップ(c)が受信機会の指示に関係なく実行される。この実施形態は配信を単純化且つ加速することができ、ACKメッセージ又は他の種類の自己補充可能メッセージに最適である。
【0019】
更に、資源制約装置に配信されるメッセージに伝送優先度レベルが導入されても良く、その伝送優先度レベルはメッセージを生成するノード(例えば中央コントローラ若しくはシンク)又はTempMasterによって、例えばメッセージタイプに基づいて設定され得る。ACKメッセージの伝送優先度レベルは、最も低い伝送優先度レベルに設定され得る。従って、ACKメッセージは、資源制約装置に伝送される他のメッセージがない場合にのみ送信される。実際、他のメッセージはネットワークが依然として存在し、稼働中であること(及び少なくとも資源制約装置によって観察可能なネットワークの不変の設定パラメータ)も資源制約装置に示す。
【0020】
本発明の改変形態では、ステップ(b)で検出される資源制約装置からのメッセージの復号に成功したかどうかに関係なくステップ(c)が実行される。実際、肯定応答の目的は、適切なネットワーク構成を有する受信側の存在を信号で伝えることである。ノードの典型的実装形態の計算力が低いことに鑑みて、このノードは受信メッセージを完全に復号する十分な時間を有さない可能性があることに留意すべきである。本発明のこの実施形態では、ノードは資源制約装置からメッセージが送信されたことを認識するのみで良い。部分的復号は、(例えば正しいフレーム検査シーケンス、伝送側の資源制約装置の識別情報、伝送方向等による)単純なフィルタリングから完全な構文解析に、並びに部分的なセキュリティ検査(例えば完全なセキュリティ検査ではなく指示されたセキュリティレベル及びキーの種類、暗号化/認証ではなく鮮度のみ、又はその逆)から、アプリケーションレベルのメッセージの復号はないが完全な構文解析及びセキュリティ検査に及び得る。
【0021】
バッファが単一エントリ待ち行列を含む上記の改変形態の場合、単一エントリ待ち行列がバッファメッセージを含む場合、ステップ(c)は、受信メッセージのペイロードの復号に成功した場合にのみバッファメッセージを伝送するステップを含む。実際、ペイロードの復号に失敗した場合、それはチャネルの条件が良くないこと、又はそれよりも資源制約装置の設定パラメータが古くなっていることを意味する場合があり、かかる状況は資源制約装置を幾らか再設定することを必要とし得る。従って、資源制約装置が復号できないため、バッファメッセージを伝送することは無駄である可能性がある。メッセージの復号に失敗する別の理由は、そのメッセージが(例えばスプーフィングされているGPDに関する適切なセキュリティキー及び/又はフレームカウンタを今や知っている攻撃者による)スプーフィングされたメッセージであり、そのためかかるトリガ時にバッファメッセージが配信されるべきではないからである場合があり、即ち一方では情報が潜在的な攻撃者に提供されるべきではなく、他方でバッファメッセージは、とりわけ自己補充可能でない場合は本物のGPDに配信されなければならない。
【0022】
先の改変形態の別の代替形態では、バッファがマルチエントリ待ち行列を含む。この場合、ステップ(c)は、例えば受信メッセージのペイロードの復号に成功することを含めメッセージの復号に成功した場合、最も高い伝送優先度レベルを有するメッセージを伝送し、メッセージの復号が部分的にのみ成功した場合、例えば受信メッセージのヘッダの復号のみが成功した場合にはACKメッセージを伝送するステップを含むことが可能である。以上のように、復号が失敗することは設定パラメータが古くなっており再設定を必要とすること、又は受信フレームが本物ではないことを意味し得る。
【0023】
上記の両方の代替形態で、復号を(部分的に)失敗することは、より高い伝送優先順位のメッセージ、例えば復号失敗の原因となるパラメータのパラメータ更新を運ぶ設定メッセージの生成を引き起こし得る。
【0024】
上記の様々な実施形態の何れにおいても、資源制約装置の受信窓の間にACKメッセージ又はバッファメッセージが伝送されるようにステップ(c)が実行されることが可能であり、前記受信窓は、資源制約装置からのメッセージの伝送が完了するときに始まる期間の満了後に始まる。
【0025】
伝搬時間は概してごく僅かであるため、伝送の完了は、ステップ(b)で検出されるメッセージの受信の完了であると概算される。
【0026】
更に、ACKメッセージを伝送する目的はデータパケットの受信成功を信号で伝えることではないため、ACKメッセージはフレーム番号識別情報を含まなくても良い。更に、このことはACKメッセージの生成中の要件を緩和する。
【0027】
或いは、改変形態ではこの方法は、
a1)資源制約装置からの次のメッセージのフレーム識別情報を予測するステップと、
a2)予測されたフレーム識別情報を含むACKメッセージを生成するステップと
を含み得る。これらのステップa1)及びa2)は、ステップa)の前に実行されるべきである。
【0028】
更に別の代替形態では、ステップ(c)に先行するステップ(c1)の一部として、資源制約装置からのメッセージの受信時に識別される、受信機会を示すフレームをTempMasterノードが追加又は更新し、従ってフレームの識別情報は常に正しい。
【0029】
本発明のこの態様の改変形態によれば、ACKメッセージが資源制約装置に宛てられる。即ち、アドレスフィールドが資源制約装置のアドレス又は識別情報を含む。このことはメッセージを区別するある方法を提供する。
【0030】
本発明のこの態様の改変形態によれば、ACKメッセージが保護され、例えば暗号化され、認証され、且つ/又は鮮度検査を可能にする。このことは、ACKが本物であり且つ/又は新鮮であることを確認する手段をGPDに与える。
【0031】
本発明のこの態様の更に別の改変形態では、ACKメッセージ又はバッファメッセージが資源制約装置の受信窓の間に伝送されるようにステップ(c)が実行され、前記受信窓は、メッセージの再試行を含む資源制約装置からのメッセージ伝送が完了するときに始まる期間の満了後に始まる。これは、例えばZigBee(登録商標) Green Powerネットワークの場合、伝送後の受信(Reception After Transmission)の事例に対応する。
【0032】
本発明の更に別の改変形態では、受信の確実性を高めるために、ACKメッセージが数回繰り返されても良い。ZigBee(登録商標) Green Power規格によって現在要求されているように、ACKメッセージは、資源制約装置が再伝送を含めそのメッセージを伝送し終えた後に続く1つの受信機会の中で繰り返され得る。ACKメッセージは、メッセージの特定の複製を伝送した後に提供される伝送機会の中で繰り返されても良く、このことはGreen Power規格によって現在認められている5msの総伝送時間よりも概して長い再試行間の時間間隔を必要とする。
【0033】
本発明の更なる改変形態では、もしあれば受信機会時のACKメッセージ及びバッファメッセージを含むメッセージ受信の統計が、GPDの長期的な伝送戦略を決定するためにGPDによって使用され得る。例えば、GPDが3回のメッセージ再試行をデフォルトで使用するが、第1の閾値t1を下回るメッセージの割合に対してのみ肯定応答を受信する場合、GPDは再試行の回数を例えば4回に増やし、又は他の再試行パラメータを変更する、例えば再試行の時間間隔を変更することができる。他方で、GPDが3回のメッセージ再試行をデフォルトで使用するが、第2の閾値t2を上回るメッセージの割合に対して肯定応答を受信する場合、GPDは再試行の回数を例えば2回に減らすことができる。このようにして、GPDはエネルギ収支と通信信頼度とのバランスをより上手く取ることができる。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの資源制約装置を有するネットワーク内で通信するための通信ユニットを有するノードにも関し、このノードは、
− 資源制約装置に伝送される少なくとも1つのメッセージの待ち行列を含むバッファと、
− 資源制約装置からの受信メッセージを検出するように適合される受信機と、
− バッファが資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、受信メッセージの検出前にACKメッセージを生成し、前記ACKメッセージを前記バッファ内に入れるように適合されるフレーム生成器と、
− 受信メッセージの検出時にACKメッセージ又はバッファメッセージを資源制約装置に伝送するように適合される送信機と
を含み、送信の準備が整っている少なくとも1つのメッセージを常にバッファ内に保持するように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後に前記バッファが資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、フレーム生成器がACKメッセージを更に生成し、前記ACKメッセージをバッファ内に入れるように適合される。
【0035】
本発明の更に別の態様は、本発明の第2の態様に記載の第1のノード及び資源制約装置を含む、ネットワークである。
【0036】
かかるネットワーク内では、資源制約装置の近くにある複数の第2のノードが提供される可能性があり、第1のノードは資源制約装置のマスタノードとしての役割を果たすように構成され、第1のノード及び第2のノードの少なくとも1つが、第1のノードの障害検出時に、第1のノードではなく複数の第2のノードの中から新たなマスタノードを選出するための選出方法を引き起こすように適合され、新たなマスタノードは資源制約装置に送信される準備が整っているメッセージをそのバッファ内に常に保持するように指示される。そうすることにより、ネットワークはTempMasterが常に稼働中であり、残りのネットワークと資源制約装置との間のリンクを保持していることを確実にすることができる。
【0037】
本発明の別の態様では、コントローラ上にロードされるとき、本発明の第1の態様の方法のステップによる命令を実行するためのコードを含む、コンピュータプログラム製品が提案される。
【0038】
更に本発明は、資源制約装置に設定パラメータを伝送するようにも適合され得る。本発明のこの態様によれば、資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法が提案され、この方法は、
(a)ノードのバッファ内に伝送特性を示す設定信号を入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)受信メッセージの検出後、設定信号を資源制約装置に伝送するステップと
を含み、受信メッセージが前記伝送特性を使用することが認められるまで、又は資源制約装置からの特定の確認が受信されるまでステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む。
【0039】
本発明のこの態様の一実施形態では、伝送特性が、稼働中の伝送チャネル、セキュリティキー、セキュリティキーの種類、セキュリティレベル、フレームカウンタ値、ネットワーク識別情報、装置識別情報、報告間隔、報告閾値、コマンドタイプのうちの少なくとも1つである。
【0040】
従って、資源制約装置の次の受信機会に伝送されるように、バッファがACKメッセージの代わりに設定信号で自動的に満たされ得る。設定信号のこの自動補充は、資源制約装置が伝送特性を使用する確認が検出されるまで続けられ、例えば資源制約装置によって伝送されるメッセージのペイロードが正しいセキュリティキーを使って暗号化される場合、例えば資源制約装置は信号で伝えられた設定パラメータを使用しており、又は資源制約装置が確認メッセージを送信するまで続けられる。かかるペイロードが正しく暗号化されていること、又は特定の確認を装置が検出すると、その装置は通常の動作モードに戻ることができる。更新されるパラメータの種類、及びTempMasterの役割を担う装置の種類(シンク対プロキシ)に応じて何れか一方がより簡単な場合があり、好ましくは、資源制約装置のパラメータの更新を引き起こすノードが、TempMasterが通常の動作モードに戻ることを可能にする成功した配信状態を示す。
【0041】
本発明のこの態様は、本発明の先の態様と組み合わせられ得る。更に、本発明の先の態様のステップを実行するようにノードを構成することも提案される。
【0042】
本発明のこれらの及び他の態様が以下に記載の実施形態から明らかになり、かかる実施形態に関して説明される。
【0043】
次に、本発明が添付図面に関して例としてより詳細に説明される。