特許第6408580号(P6408580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408580ネットワーク内のノードを動作させる方法及びノード装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408580
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ネットワーク内のノードを動作させる方法及びノード装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/08 20060101AFI20181004BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20181004BHJP
【FI】
   H04L13/00 307Z
   H04W84/10 110
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-536963(P2016-536963)
(86)(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公表番号】特表2017-505011(P2017-505011A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014076805
(87)【国際公開番号】WO2015086478
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年12月5日
(31)【優先権主張番号】13196248.2
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】エルドマン ボゼナ
【審査官】 大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−519821(JP,A)
【文献】 特開2017−143525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/08
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内のノードを動作させる方法であって、前記ネットワークは資源制約装置を更に含み、前記方法は、
(a)前記資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを前記ノードのバッファが含まない場合、前記ノードの前記バッファ内にACKメッセージを入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、前記資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)前記受信メッセージの検出後、前記ACKメッセージ又は前記バッファメッセージを前記資源制約装置に伝送するステップと
を含み、送信の準備が整っているメッセージを前記バッファが常に含むように、前記ACKメッセージ又は前記バッファメッセージの伝送後にステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む、方法。
【請求項2】
ステップ(c)は、前記資源制約装置が受信可能である受信機会の指示を前記受信メッセージが含む場合に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バッファがマルチエントリ待ち行列を含み、ステップ(a)は、エントリの1つが使用可能である場合に前記マルチエントリ待ち行列内にACKメッセージを入れるステップも更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ACKメッセージの伝送優先度レベルが、最も低い伝送優先度レベルに設定される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記バッファがマルチエントリ待ち行列を含み、ステップ(c)は、前記バッファの前記マルチエントリ待ち行列内で最も高い伝送優先度レベルを有するメッセージを見つけ、前記メッセージを伝送するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記受信メッセージのペイロードの復号に成功したかどうかに関係なくステップ(c)が実行される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記バッファが単一エントリ待ち行列を含み、前記単一エントリ待ち行列が前記バッファメッセージを含む場合、ステップ(c)は、前記受信メッセージのペイロードの復号に成功した場合にのみ前記バッファメッセージを伝送するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記バッファがマルチエントリ待ち行列を含み、ステップ(c)は、前記受信メッセージのペイロードの復号に成功した場合、最も高い伝送優先度レベルを有するメッセージを伝送し、前記受信メッセージのヘッダの復号のみが成功した場合には前記ACKメッセージを伝送するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記資源制約装置の受信窓の間に前記ACKメッセージ又は前記バッファメッセージが伝送されるようにステップ(c)が実行され、前記受信窓は、前記資源制約装置からの前記メッセージの前記伝送が完了するときに始まる期間の満了後に始まる、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの資源制約装置を有するネットワーク内で通信するための通信ユニットを有するノードであって、
− 前記資源制約装置に伝送される少なくとも1つのメッセージの待ち行列を含むバッファと、
− 前記資源制約装置からの受信メッセージを検出する受信機と、
− 前記バッファが前記資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、前記受信メッセージの前記検出前にACKメッセージを生成し、前記ACKメッセージを前記バッファ内に入れるフレーム生成器と、
− 前記受信メッセージの検出時に前記ACKメッセージ又は前記バッファメッセージを前記資源制約装置に伝送する送信機と
を含み、送信の準備が整っている少なくとも1つのメッセージを常に前記バッファ内に保持するように、前記ACKメッセージ又は前記バッファメッセージの伝送後に前記バッファが前記資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、前記フレーム生成器がACKメッセージを更に生成し、前記ACKメッセージを前記バッファ内に入れる、ノード。
【請求項11】
請求項10に記載のノードである第1のノードと資源制約装置とを含む、ネットワーク。
【請求項12】
前記資源制約装置の近くにある複数の第2のノードを更に含み、前記第1のノードは前記資源制約装置のマスタノードとしての役割を果たし、前記第1のノード及び前記第2のノードの少なくとも1つが、前記第1のノードの障害検出時に、前記第1のノードではなく前記複数の第2のノードの中から新たなマスタノードを選出するための選出方法を引き起こし、前記新たなマスタノードは請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法を実行するように指示される、請求項11に記載のネットワーク。
【請求項13】
コントローラ上にロードされるとき、請求項1乃至9に記載の方法の前記ステップによる命令を実行するためのコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法であって、
(a)前記ノードのバッファ内に伝送特性を示す設定信号を入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、前記資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)前記受信メッセージの検出後、前記設定信号を前記資源制約装置に伝送するステップと
を含み、前記資源制約装置が前記伝送特性を使用する確認が検出されるまでステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む、方法。
【請求項15】
前記伝送特性が、稼働中の伝送チャネル、セキュリティキー、セキュリティキーの種類、セキュリティレベル、フレームカウンタ値、ネットワーク識別情報、装置識別情報、報告間隔、報告閾値、コマンドタイプのうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線メッシュネットワークの分野、及びそのために構成される装置に関する。
【0002】
本発明は、資源制約装置、例えばZigBee(登録商標) Green Power Deviceを含む、ZigBee(登録商標)ネットワーク等の無線ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
資源制約装置を有する無線ネットワークでは、ネットワーク内にコミッショニングされたかかる資源制約装置を維持することが問題である。実際、かかる資源制約装置は多くの場合に非リスン状態にあり、非リスン状態中は、例えば動作チャネルの変更を示す設定メッセージを含む如何なるメッセージも受信できない。
【0004】
本願の意味での資源制約装置とは、非常に低い電力で動作しており、電力貯蔵域すらない場合があるノードである。資源制約装置は、例えばZigBee(登録商標) Green Power Device(GPDとも呼ばれる)であり得る。この種の装置は、一部の機会にのみ送受信できる可能性があり、その機会とは例えば環境からエネルギをハーベストした後(例えば動作するために太陽光発電を使用する光検出器の場合)、又は利用者によって作動されること(例えば無電池型スイッチの場合)によるものである。従ってかかる受信機会は、常に事前に予定することはできない。
【0005】
Green Power規格に含まれる双方向通信はこれらの問題を部分的に解決する。この規格によれば、資源制約装置の近くの一部のノードは、資源制約装置に宛てられる全メッセージを集め、受信機会が提供される場合にのみそのメッセージを資源制約装置に転送するプロキシの役割を担うことができる。単一の資源制約装置の周りにはプロキシの役割を担うことができる複数のノードがあり得るため、そのうちの1つをマスタノード(TempMasterとも呼ばれる)として選出することができ、それにより、一度に1つのノードのみが資源制約装置にメッセージを伝送する。このことは、資源制約装置の受信確率を最大限にするためにGreen Power規格内で極めて重要であり、その理由は、資源が制約されたGreen Power Deviceの受信機会は、その電力上の制限によって厳しく時間が制限され、そのため衝突が生じた場合にプロキシの役割を担う装置がその伝送を撤回し又は再試行できないからである。TempMasterによる伝送は、例えばGPDパケットに応答する場合に使用される。そのために、資源制約装置に論理的に結合されるシンクノードが、資源制約装置の近くにあるノードの中からTempMasterを選択する(装置はプロキシ及び/又は範囲内にある場合はシンクノード自体を含むシンクテーブルに基づく転送が可能なシンクであり得る)。TempMasterは、シンクノードから資源制約装置にGreen Power Device Frame(GPDF)を転送するものとする。シンクノードが資源制約装置にメッセージを伝送しなければならない場合、シンクノードはメッセージをTempMasterに転送し、TempMasterはそのメッセージを送るために資源制約装置の次の受信機会を待つ。
【0006】
ZigBee(登録商標) Green Power DeviceがGreen Power Device Frameを伝送する場合、そのGPDFは、このメッセージの伝送後に受信窓が開くことを示すフラグRxAfterTx=trueを含むことができる。この受信窓の間、TempMasterは、RxAfterTx=trueを有するGPDFを受信してから(少なくとも)5ms後にメッセージをGPDに配信する。従って、メッセージの生成とメッセージの配信との間に遅延がある。
【0007】
この「伝送後の受信(Reception After Transmission)」メカニズムは、チャネル又はキーの更新等の稀にのみ起こる事象に使用されるように意図されている。実際、資源制約装置の非常に余裕がないエネルギ収支を仮定し、特定の受信機にユニキャストで送信して肯定応答を待つのにエネルギを消費するよりも、ブロードキャストモード(即ち複数の潜在的受信機への専用アドレスを伴う、又はかかるアドレスを伴わない)での数回の伝送試行にエネルギを消費する方が良い(受信確率を最大限にするために同じメッセージが順々に2、3回繰り返され得る)。殆どの無線システムで、リスンには伝送と同じかそれを上回るコストがかかる。更に、タイムアウト時に肯定応答がないことに対応するためのエネルギをシステムが有さない場合がある。
【0008】
GPインフラ装置(即ちプロキシ及び/又はシンク)側のGPDF非受信が、(GPプロトコルによって解決される)干渉、フェージング、ポータビリティ/プロキシスイッチング等の一時的な問題によって引き起こされる場合、再試行を伴うこの伝送のみの動作でも構わない。しかし、GPDが動作中でないときにネットワークパラメータ(例えばキー、チャネル)が変わる場合、ネットワークはその問題を発見する手段を有さない。特にチャネル変更の場合、新たなチャネルに移動するとネットワークはもはや前のチャネル上でGPDのメッセージを受信しないため、ネットワークはその問題を発見する手段をやはり有さない可能性がある。資源制約装置が(例えば利用者によって操作される装置、例えば照明スイッチ又は使用可能な(ハーベストされる)エネルギ量に伝送間隔が依存する装置、例えば小型の太陽電池又は空気流若しくは流体の流れによって給電されるセンサのように)非周期的に通信する場合、即ちメッセージがいつ来るのか、及び資源制約装置が失われたといつ見なすかをシステムが把握していない場合、この問題は一層深刻である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の問題を軽減する、ノードを動作させる方法を提案することである。
【0010】
本発明の別の目的は、資源制約装置との接続の喪失が迅速に検出されることを確実にするようにノードを動作させる方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明の第1の態様によれば、資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法が提案され、この方法は、
(a)資源制約装置に伝送されるバッファメッセージをノードのバッファが含まない場合、ノードの前記バッファ内にACKメッセージを入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)受信メッセージの検出後、ACKメッセージ又はバッファメッセージを資源制約装置に伝送するステップと
を含み、送信の準備が整っているメッセージをバッファが常に含むように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後にステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む。
【0012】
本発明の主な目的は、ネットワークが依然として存在することを資源制約装置が認識するのを確実にすることである。ACKは、双方向通信可能な全ての資源制約装置若しくはGPDに、又は選択された装置にのみ伝送され得る。ACK上でリレーするGPDは、例えば特定の機能情報をコミッショニング情報に含めることにより、又は動作中に特定のフラグ若しくは専用コマンドによって要求することにより、ACKの配信を要求することができる。ACKの配信は、対になったシンク又は別のインフラ装置によっても開始され得る。ACKを配信するためのGPDはその特性、例えばアプリケーションの種類、セキュリティレベル、使用されるキーの種類等によって決定され得る。GPDは、他の基準に従って利用者によって選択されても良い。資源制約装置が受信機会時に1つ(又は複数)のACKメッセージ又は別のメッセージを逃す場合、例えばネットワークを再発見し又はネットワークに再加入するために、利用者にフィードバックを与えるために等、資源制約装置は措置を講じることができる。本発明の主な態様の1つは、伝送の準備が整っているバッファメッセージを常にTempMaster(プロキシ又はシンク)に保つことである。従って、資源制約装置のためのバッファ待ち行列内にメッセージがないとき、ACKメッセージを追加することができる。このACKメッセージは例えば自己補充可能であり得る。この自己補充可能な特性は、特定のメッセージタイプに起因することができ、(例えば資源制約装置と対にされたシンクからTempMasterに送信されるか、又はTempMasterシンク上のアプリケーションからそのバッファに送信される)メッセージ配信要求内の明確なフラグによって要求されても良く、又はメッセージが特定の種類の確認を必要とすることによって要求され得る。
【0013】
本発明のこの態様によれば、ACKメッセージであろうとバッファメッセージであろうと送信の準備が整っているメッセージをバッファが常に含むように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後にステップ(a)〜(c)が繰り返される。そうすることにより、資源制約装置に送信される準備が整っているメッセージをバッファが常に含む。従って、メッセージの生成及び準備にかかる全ての時間が、次のメッセージの検出前に完了され得る。更なる利点は、資源制約装置と対にされたシンクノードと、TempMasterとしての役割を果たすノードとの間の通信量が最小限であることであり、TempMasterがその役割を果たす限り、TempMasterはそのバッファ内にメッセージを保ち、シンクは、受信機会の指示を含む資源制約装置からのコマンドを認識する度、(Green Powerの場合は殆どブロードキャストされる)バッファ用のメッセージを再送する必要がない。別の利点は、シンクノードが(一時的に)ない場合にさえ、又はシンクノードとの通信の問題が起きても、TempMasterノードが資源制約装置に肯定応答を送り続けることができ、その結果、資源制約装置をネットワーク内でアクティブに保つことである。
【0014】
更に本発明の一部の実施形態では、特定の資源制約装置からの通信がない場合にさえ、他の転送装置(TempMasterの範囲内にあるプロキシ及びシンクノード)がTempMasterの他の通信(例えばリンク状態メッセージ、再ブロードキャストフレーム、ルート発見への参加、メッセージのルーティング等)をモニタし、検出された変化に基づいてTempMasterの選出を引き起こすことによって常にTempMasterノードの設置を支援する。
【0015】
更に、システム化された肯定応答モードをポーリングするために資源制約装置が専用コマンドを使用する場合、そのコマンドが対になったシンクに転送される必要はない。そのコマンドは、専らTempMasterからのメッセージ配信を引き起こすために使用され得る。そのコマンドは、専用メッセージ、例えばポールメッセージとすることができ、又は例えばフレームタイプ、フラグ、又はスキッピングアプリケーションペイロード(skipping application payload)を用いた肯定応答ポーリングに使用される指示を有する通常メッセージとすることができる。このようにして、無意味な情報をシンクに転送するのを回避することができ、とりわけ資源制約装置がコンテンツフレームを伝送するよりもはるかに頻繁に肯定応答をポーリングする場合、ネットワークのトラフィックが減らされ得る。これは肯定応答が自己補充可能である場合にのみ可能であり、さもなければ対になったシンクが肯定応答フレームの再作成に何れにせよ関与しなければならない。この態様は、肯定応答を逃したときにTempMasterの再発見を引き起こすGPD、並びにTempMasterの選出を引き起こすプロキシの役割を担う他の装置と依然として組み合わせることができ、即ち他の装置は資源制約装置への肯定応答メッセージの配信をモニタしなければならず、SrcIDによって識別されるGPDに伝送されるパケットはMACブロードキャストを使用して送信されるため、それは現在のGreen Power規格内で可能である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、バッファが単一エントリ待ち行列を含み、現在のGreen Power規格内で定められているように、これは特定の資源制約装置に宛てられるメッセージを1つのみ記憶できることを意味する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、バッファがマルチエントリ待ち行列を含み、これは特定の資源制約装置に宛てられるメッセージを複数記憶できることを意味し、ステップ(a)は、エントリの1つが使用可能である場合にマルチエントリ待ち行列内にACKメッセージを入れるステップを更に含む。実際、待ち行列がマルチエントリ待ち行列であり、待ち行列内にバッファメッセージがあっても、その後の機会に備えてACKメッセージの準備が既に整っているように、ACKメッセージでエントリを埋めることが有利である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、ステップ(c)は、受信メッセージが受信機会の指示を含む場合に実行される。別の実施形態では、ステップ(c)が受信機会の指示に関係なく実行される。この実施形態は配信を単純化且つ加速することができ、ACKメッセージ又は他の種類の自己補充可能メッセージに最適である。
【0019】
更に、資源制約装置に配信されるメッセージに伝送優先度レベルが導入されても良く、その伝送優先度レベルはメッセージを生成するノード(例えば中央コントローラ若しくはシンク)又はTempMasterによって、例えばメッセージタイプに基づいて設定され得る。ACKメッセージの伝送優先度レベルは、最も低い伝送優先度レベルに設定され得る。従って、ACKメッセージは、資源制約装置に伝送される他のメッセージがない場合にのみ送信される。実際、他のメッセージはネットワークが依然として存在し、稼働中であること(及び少なくとも資源制約装置によって観察可能なネットワークの不変の設定パラメータ)も資源制約装置に示す。
【0020】
本発明の改変形態では、ステップ(b)で検出される資源制約装置からのメッセージの復号に成功したかどうかに関係なくステップ(c)が実行される。実際、肯定応答の目的は、適切なネットワーク構成を有する受信側の存在を信号で伝えることである。ノードの典型的実装形態の計算力が低いことに鑑みて、このノードは受信メッセージを完全に復号する十分な時間を有さない可能性があることに留意すべきである。本発明のこの実施形態では、ノードは資源制約装置からメッセージが送信されたことを認識するのみで良い。部分的復号は、(例えば正しいフレーム検査シーケンス、伝送側の資源制約装置の識別情報、伝送方向等による)単純なフィルタリングから完全な構文解析に、並びに部分的なセキュリティ検査(例えば完全なセキュリティ検査ではなく指示されたセキュリティレベル及びキーの種類、暗号化/認証ではなく鮮度のみ、又はその逆)から、アプリケーションレベルのメッセージの復号はないが完全な構文解析及びセキュリティ検査に及び得る。
【0021】
バッファが単一エントリ待ち行列を含む上記の改変形態の場合、単一エントリ待ち行列がバッファメッセージを含む場合、ステップ(c)は、受信メッセージのペイロードの復号に成功した場合にのみバッファメッセージを伝送するステップを含む。実際、ペイロードの復号に失敗した場合、それはチャネルの条件が良くないこと、又はそれよりも資源制約装置の設定パラメータが古くなっていることを意味する場合があり、かかる状況は資源制約装置を幾らか再設定することを必要とし得る。従って、資源制約装置が復号できないため、バッファメッセージを伝送することは無駄である可能性がある。メッセージの復号に失敗する別の理由は、そのメッセージが(例えばスプーフィングされているGPDに関する適切なセキュリティキー及び/又はフレームカウンタを今や知っている攻撃者による)スプーフィングされたメッセージであり、そのためかかるトリガ時にバッファメッセージが配信されるべきではないからである場合があり、即ち一方では情報が潜在的な攻撃者に提供されるべきではなく、他方でバッファメッセージは、とりわけ自己補充可能でない場合は本物のGPDに配信されなければならない。
【0022】
先の改変形態の別の代替形態では、バッファがマルチエントリ待ち行列を含む。この場合、ステップ(c)は、例えば受信メッセージのペイロードの復号に成功することを含めメッセージの復号に成功した場合、最も高い伝送優先度レベルを有するメッセージを伝送し、メッセージの復号が部分的にのみ成功した場合、例えば受信メッセージのヘッダの復号のみが成功した場合にはACKメッセージを伝送するステップを含むことが可能である。以上のように、復号が失敗することは設定パラメータが古くなっており再設定を必要とすること、又は受信フレームが本物ではないことを意味し得る。
【0023】
上記の両方の代替形態で、復号を(部分的に)失敗することは、より高い伝送優先順位のメッセージ、例えば復号失敗の原因となるパラメータのパラメータ更新を運ぶ設定メッセージの生成を引き起こし得る。
【0024】
上記の様々な実施形態の何れにおいても、資源制約装置の受信窓の間にACKメッセージ又はバッファメッセージが伝送されるようにステップ(c)が実行されることが可能であり、前記受信窓は、資源制約装置からのメッセージの伝送が完了するときに始まる期間の満了後に始まる。
【0025】
伝搬時間は概してごく僅かであるため、伝送の完了は、ステップ(b)で検出されるメッセージの受信の完了であると概算される。
【0026】
更に、ACKメッセージを伝送する目的はデータパケットの受信成功を信号で伝えることではないため、ACKメッセージはフレーム番号識別情報を含まなくても良い。更に、このことはACKメッセージの生成中の要件を緩和する。
【0027】
或いは、改変形態ではこの方法は、
a1)資源制約装置からの次のメッセージのフレーム識別情報を予測するステップと、
a2)予測されたフレーム識別情報を含むACKメッセージを生成するステップと
を含み得る。これらのステップa1)及びa2)は、ステップa)の前に実行されるべきである。
【0028】
更に別の代替形態では、ステップ(c)に先行するステップ(c1)の一部として、資源制約装置からのメッセージの受信時に識別される、受信機会を示すフレームをTempMasterノードが追加又は更新し、従ってフレームの識別情報は常に正しい。
【0029】
本発明のこの態様の改変形態によれば、ACKメッセージが資源制約装置に宛てられる。即ち、アドレスフィールドが資源制約装置のアドレス又は識別情報を含む。このことはメッセージを区別するある方法を提供する。
【0030】
本発明のこの態様の改変形態によれば、ACKメッセージが保護され、例えば暗号化され、認証され、且つ/又は鮮度検査を可能にする。このことは、ACKが本物であり且つ/又は新鮮であることを確認する手段をGPDに与える。
【0031】
本発明のこの態様の更に別の改変形態では、ACKメッセージ又はバッファメッセージが資源制約装置の受信窓の間に伝送されるようにステップ(c)が実行され、前記受信窓は、メッセージの再試行を含む資源制約装置からのメッセージ伝送が完了するときに始まる期間の満了後に始まる。これは、例えばZigBee(登録商標) Green Powerネットワークの場合、伝送後の受信(Reception After Transmission)の事例に対応する。
【0032】
本発明の更に別の改変形態では、受信の確実性を高めるために、ACKメッセージが数回繰り返されても良い。ZigBee(登録商標) Green Power規格によって現在要求されているように、ACKメッセージは、資源制約装置が再伝送を含めそのメッセージを伝送し終えた後に続く1つの受信機会の中で繰り返され得る。ACKメッセージは、メッセージの特定の複製を伝送した後に提供される伝送機会の中で繰り返されても良く、このことはGreen Power規格によって現在認められている5msの総伝送時間よりも概して長い再試行間の時間間隔を必要とする。
【0033】
本発明の更なる改変形態では、もしあれば受信機会時のACKメッセージ及びバッファメッセージを含むメッセージ受信の統計が、GPDの長期的な伝送戦略を決定するためにGPDによって使用され得る。例えば、GPDが3回のメッセージ再試行をデフォルトで使用するが、第1の閾値t1を下回るメッセージの割合に対してのみ肯定応答を受信する場合、GPDは再試行の回数を例えば4回に増やし、又は他の再試行パラメータを変更する、例えば再試行の時間間隔を変更することができる。他方で、GPDが3回のメッセージ再試行をデフォルトで使用するが、第2の閾値t2を上回るメッセージの割合に対して肯定応答を受信する場合、GPDは再試行の回数を例えば2回に減らすことができる。このようにして、GPDはエネルギ収支と通信信頼度とのバランスをより上手く取ることができる。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの資源制約装置を有するネットワーク内で通信するための通信ユニットを有するノードにも関し、このノードは、
− 資源制約装置に伝送される少なくとも1つのメッセージの待ち行列を含むバッファと、
− 資源制約装置からの受信メッセージを検出するように適合される受信機と、
− バッファが資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、受信メッセージの検出前にACKメッセージを生成し、前記ACKメッセージを前記バッファ内に入れるように適合されるフレーム生成器と、
− 受信メッセージの検出時にACKメッセージ又はバッファメッセージを資源制約装置に伝送するように適合される送信機と
を含み、送信の準備が整っている少なくとも1つのメッセージを常にバッファ内に保持するように、ACKメッセージ又はバッファメッセージの伝送後に前記バッファが資源制約装置に伝送されるバッファメッセージを含まない場合、フレーム生成器がACKメッセージを更に生成し、前記ACKメッセージをバッファ内に入れるように適合される。
【0035】
本発明の更に別の態様は、本発明の第2の態様に記載の第1のノード及び資源制約装置を含む、ネットワークである。
【0036】
かかるネットワーク内では、資源制約装置の近くにある複数の第2のノードが提供される可能性があり、第1のノードは資源制約装置のマスタノードとしての役割を果たすように構成され、第1のノード及び第2のノードの少なくとも1つが、第1のノードの障害検出時に、第1のノードではなく複数の第2のノードの中から新たなマスタノードを選出するための選出方法を引き起こすように適合され、新たなマスタノードは資源制約装置に送信される準備が整っているメッセージをそのバッファ内に常に保持するように指示される。そうすることにより、ネットワークはTempMasterが常に稼働中であり、残りのネットワークと資源制約装置との間のリンクを保持していることを確実にすることができる。
【0037】
本発明の別の態様では、コントローラ上にロードされるとき、本発明の第1の態様の方法のステップによる命令を実行するためのコードを含む、コンピュータプログラム製品が提案される。
【0038】
更に本発明は、資源制約装置に設定パラメータを伝送するようにも適合され得る。本発明のこの態様によれば、資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法が提案され、この方法は、
(a)ノードのバッファ内に伝送特性を示す設定信号を入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)受信メッセージの検出後、設定信号を資源制約装置に伝送するステップと
を含み、受信メッセージが前記伝送特性を使用することが認められるまで、又は資源制約装置からの特定の確認が受信されるまでステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む。
【0039】
本発明のこの態様の一実施形態では、伝送特性が、稼働中の伝送チャネル、セキュリティキー、セキュリティキーの種類、セキュリティレベル、フレームカウンタ値、ネットワーク識別情報、装置識別情報、報告間隔、報告閾値、コマンドタイプのうちの少なくとも1つである。
【0040】
従って、資源制約装置の次の受信機会に伝送されるように、バッファがACKメッセージの代わりに設定信号で自動的に満たされ得る。設定信号のこの自動補充は、資源制約装置が伝送特性を使用する確認が検出されるまで続けられ、例えば資源制約装置によって伝送されるメッセージのペイロードが正しいセキュリティキーを使って暗号化される場合、例えば資源制約装置は信号で伝えられた設定パラメータを使用しており、又は資源制約装置が確認メッセージを送信するまで続けられる。かかるペイロードが正しく暗号化されていること、又は特定の確認を装置が検出すると、その装置は通常の動作モードに戻ることができる。更新されるパラメータの種類、及びTempMasterの役割を担う装置の種類(シンク対プロキシ)に応じて何れか一方がより簡単な場合があり、好ましくは、資源制約装置のパラメータの更新を引き起こすノードが、TempMasterが通常の動作モードに戻ることを可能にする成功した配信状態を示す。
【0041】
本発明のこの態様は、本発明の先の態様と組み合わせられ得る。更に、本発明の先の態様のステップを実行するようにノードを構成することも提案される。
【0042】
本発明のこれらの及び他の態様が以下に記載の実施形態から明らかになり、かかる実施形態に関して説明される。
【0043】
次に、本発明が添付図面に関して例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明が実装されるネットワークのブロック図である。
図2A】本発明の実施形態による、ノードのバッファの状態を示すクロノグラムである。
図2B】本発明の実施形態による、ノードのバッファの状態を示すクロノグラムである。
図2C】本発明の実施形態による、ノードのバッファの状態を示すクロノグラムである。
図2D】本発明の実施形態による、ノードのバッファの状態を示すクロノグラムである。
図3】本発明の一実施形態によるノードを表すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明の実施形態が図1に示されているネットワークに関して示される。このネットワーク10内では、資源制約装置11が、複数の他のノード12a、12b、資源制約ノード11の近くにあるシンクノード13、及び雲によって概略的に示されている残りのネットワーク14と共に動作している。
【0046】
この例では資源制約装置11が、利用者によって作動され得るスイッチ111を含む無電池型スイッチ11である。このスイッチ111を作動させることは、エネルギをハーベストするために歯車機構を動かすことを可能にし、そのエネルギはトランシーバ113を介してネットワーク10と通信するために使用される。このネットワークは、スイッチ111を作動させることが、ネットワークに接続された遠隔の負荷、例えばランプに対して、資源制約装置11にコマンドを伝送させるように構成され得る。このランプは、照明器具131を含むシンクノード13と同様のシンクノードに接続される。そのシンクノードは、典型的には幹線によって給電される。この実施形態に関連し、シンクノードとは資源制約装置によって伝送されるコマンドを実行する装置である。典型的にはシンクノードは、ランプを動作させ、資源制約装置によって制御されるノードである。
【0047】
2つのノード12a及び12bは、それぞれプロキシの役割を担うことができるように、即ち資源制約装置との間でメッセージを転送し、その結果、資源制約装置と残りのネットワークとの間のリンクをブリッジできるように構成される。プロキシの役割を担うノードは、概して幹線によって給電される。この例では、ノード12aが資源制約装置11のマスタノード(又はTempMaster)として選出されている。従って、資源制約装置11とノード12aとの間のリンク15が動作の間中保たれる。そのTempMasterの役割では、ノード12aは資源制約装置11において受信機会がある場合、残りのネットワーク14から資源制約装置11に宛てられる任意のメッセージを転送する。ノード12a及び12bの転送メカニズムは、例えば信号強度に応じて転送遅延をもたらすことにより、及び/又は過去に最初に転送している事実により、可能であればノード12aがそのTempMasterの役割を保つことが好ましいように設計され得る。ノード12aは、論理リンク152aによって残りのネットワーク14にリンクされる。更なるリンクが存在し得るが、明瞭にするために図面には示していない。同様に、ノード12bは論理リンク152bによって残りのネットワーク14にリンクされ、シンクノード13は論理リンク153によって残りのネットワーク14にリンクされる。資源制約装置の直接の無線範囲内にあること、及び資源制約装置へのリンク上で良好な信号品質を有することを含め、適切な機能を有して特定の条件を満たす場合、シンクノード13もプロキシノード12bもTempMasterとして選出され得ることに留意すべきである。
【0048】
資源制約装置はネットワーク14内の複数のシンクを制御している可能性もあるが、明瞭にするためにそれは図面に示していない。ネットワーク14内には他の資源制約装置があり得るが、明瞭にするために図面には示していない。
【0049】
図2A図2Cのクロノグラムによって示されている本発明の一実施形態によれば、TempMasterノード12aは、資源制約装置11に送信されるメッセージを含むバッファを含む。このバッファはFIFOシステムとして動作することができ、即ち伝送時、伝送されるメッセージは最初にバッファに入ったメッセージである。同様に、基本的実施形態では、待ち行列が満杯でありながら新たなメッセージがバッファ内に到着すると、最も古いメッセージが破棄される。これは、バッファが単一優先度レベルの1つの待ち行列のみを扱う場合に概して当てはまる。しかし、本発明の別の実装形態では、バッファが様々な優先度レベルのメッセージを有する待ち行列を制御することができる。この場合、待ち行列が満杯でありながら新たなメッセージがバッファ内に到着すると、待ち行列の優先順位が最も低い(優先順位が最も低いメッセージが複数ある場合は最も古い)メッセージが破棄される。同様に伝送時、伝送の優先度レベルが最も高い(複数ある場合は最も古い)メッセージが最初に伝送される。他のバッファ管理戦略も可能であり、図2A図2Dに関する例によってその一部が示されている。
【0050】
図2Aに示されている最初の例では、バッファが、特定の資源制約装置に伝送されるメッセージ用の複数のエントリを有する待ち行列を含み、その待ち行列は最初は空である。バッファの状態が、時点t1、t2、t3’、及びt4のそれぞれに対応する表201、202、203、及び204によって示されている。図2A及び図2Bでは、それらの表内のメッセージの位置が意図される伝送順序を示し、即ちメッセージが低ければ低いほどそのメッセージは早く伝送されることが意図される。これらの表は1つの資源制約装置のためのバッファを表し、プロキシの役割を担うノードは複数の資源制約装置に伝送するためのバッファを有する場合があり、資源制約装置ごとに特定数の待ち行列エントリが割り当てられても良く、又はことによると資源制約装置ごとのエントリ数の一定の最低保証を伴い、使用可能なときに装置が待ち行列エントリを共有しても良いことに留意されたい。このクロノグラムでは、資源制約装置11からのアップリンク伝送21(UL)及びTempMasterノード12aから資源制約装置11へのダウンリンク伝送22(DL)も示されている。
【0051】
この例示的クロノグラムの最初のt1で、TempMasterノード12aがACKフレームを生成し、バッファ状態201に従ってそれを配置する。従って、そのACKフレームは、次の受信機会に資源制約装置11に送信される準備が整っている。次いで、例えばスイッチ111が利用者によって作動されているため、資源制約装置11がメッセージ210を伝送する。図示のように、メッセージの復号に成功する確率を高めるために、メッセージ210が複数回、ここでは(3つのブロックに対応する)3回繰り返され得る。t2において、このメッセージ210がTempMasterノード12aによって検出される。バッファ状態202によれば、より高い優先順位を有する他の伝送メッセージはなく、TempMasterノードは次の受信機会にこのACKフレームを伝送する。メッセージ210は受信機会のインジケータ、例えばフラグを含み得る。
【0052】
この受信機会は、メッセージ210の伝送が終了してから所定の時間ΔT後のt3で始まる。従って、TempMasterノードはt3’でACKフレーム220を伝送する。この時点t3’はt3と等しくても、期間ΔTの任意の計算誤差を考慮するためにt3の直後に生じても良い。
【0053】
この時点で、ACKフレーム220がTempMasterノード12aによって伝送されるため、そのバッファ状態203は空の待ち行列を示す。t3’の直後の時点t4において、TempMasterノード12aのフレーム生成器が新たなACKメッセージを作成し、それをバッファの待ち行列に入れる。これがACKメッセージを示すバッファ状態204上で示されている。
【0054】
図2Bに示されている第2の例では、バッファが、特定の資源制約装置に伝送されるメッセージ用の複数のエントリを有する待ち行列を含み、待ち行列は最初に高い伝送優先度レベルのメッセージMSGを含む。
【0055】
この例示的クロノグラムの最初のt1で、TempMasterノード12aが低い伝送優先度レベルを有するACKフレームを生成し、それをバッファ状態201に従って待ち行列内のメッセージMSGの上に入れる。メッセージMSGフレームは、次の受信機会に資源制約装置11に送信される準備が整っており、ACKフレームは(ACKメッセージよりも高い優先順位の新たなメッセージが送信される必要がなければ)その後の別の機会に備えて準備が整っている。次いで、例えばスイッチ111が利用者によって作動されているため、資源制約装置11がメッセージ210を伝送し、そのメッセージはt2においてTempMasterノード12aによって検出される。バッファ状態202によれば、メッセージMSGよりも優先順位が高い他の伝送メッセージがないため、TempMasterノードは次の受信機会にこのMSGフレームを伝送する。メッセージ210は受信機会のインジケータ、例えばフラグを含み得る。
【0056】
この受信機会は、メッセージ210の伝送が終了してから所定の時間ΔT後のt3で始まる。従って、TempMasterノードはt3’でMSGフレーム220を伝送する。この時点t3’はt3と等しくても、期間ΔTの任意の計算誤差を考慮するためにt3の直後に生じても良い。
【0057】
この時点で、MSGフレーム220がTempMasterノード12aによって伝送されるため、そのバッファ状態203はACKフレームのみがある待ち行列を示す。t3’の直後の時点t4において、バッファの待ち行列内に空のエントリがあるため、TempMasterノード12aのフレーム生成器が新たなACKメッセージを作成し、それをバッファの待ち行列に入れることができる。しかし、待ち行列内に既に1つのバッファメッセージがあるため、代替的に更なるACKフレームが作成されないこともあり得る。これが1つのACKメッセージを示すバッファ状態204上で示されている。
【0058】
図2Cに示されている第3の例では、バッファが、特定の資源制約装置に伝送されるメッセージ用の単一エントリを有する待ち行列を含む。この例はZigBee(登録商標) Green Powerプロキシノードの現在の典型的な実装形態に対応する。この例では、待ち行列がバッファメッセージMSGを既に含んでいる。
【0059】
バッファ状態201によれば、既にバッファメッセージMSGがあるため、この例示的クロノグラムの最初のt1でTempMasterノード12aはACKフレームを生成しない。MSGフレームは、次の受信機会に資源制約装置11に送信される準備が整っている。次いで、例えばスイッチ111が利用者によって作動されているため、資源制約装置11がメッセージ210を伝送する。図示のように、メッセージの復号に成功する確率を高めるために、メッセージ210が複数回、ここでは(3つのブロックに対応する)3回繰り返され得る。t2において、このメッセージ210がTempMasterノード12aによって検出される。バッファ状態202によれば、より高い優先順位を有する他の伝送メッセージはなく、TempMasterノードは次の受信機会にこのMSGフレームを伝送する。
【0060】
従って、TempMasterノードはt3’でMSGフレーム220を伝送する。この時点t3’はt3と等しくても、期間ΔTの任意の計算誤差を考慮するためにt3の直後に生じても良い。典型的には、資源制約装置からの伝送が終了してから5ms後に受信窓が開く。
【0061】
この時点で、MSGフレーム220がTempMasterノード12aによって伝送されるため、そのバッファ状態203は空の待ち行列を示す。t3’の直後の時点t4において、TempMasterノード12aのフレーム生成器が新たなACKメッセージを作成し、それをバッファの待ち行列に入れる。これがACKメッセージを示すバッファ状態204上で示されている。
【0062】
単一エントリ待ち行列の場合、高い伝送優先度レベルのメッセージをバッファする要求があると、高い伝送優先度レベルのメッセージによってACKメッセージが置換される。自動生成されるACKメッセージは、高い伝送優先度レベルのメッセージを置換すべきではない。これが図2Dに示されている第4の例で説明される。
【0063】
図2Dでは、バッファが、特定の資源制約装置に伝送されるメッセージ用の単一エントリを有する待ち行列を含む。この例はZigBee(登録商標) Green Powerプロキシノードの現在の典型的な実装形態に対応する。この例では、待ち行列が最初は空である。
【0064】
この例示的クロノグラムの最初のt1で、TempMasterノード12aがACKフレームを生成し、バッファ状態201に従ってそれを配置する。従って、そのACKフレームは、次の受信機会に資源制約装置11に送信される準備が整っている。次いでt1’で、TempMasterが高い伝送優先度レベルのメッセージMSGを受信する。メッセージMSGは、無線を介して受信されても良く、又はノード12a上のプロセスによって生成されても良い。ACKメッセージの方が伝送の優先順位が低いため、201’に示すようにノード12aがバッファ内のACKメッセージをメッセージMSGで置換する。従ってt1’において、MSGフレームは、次の受信機会に資源制約装置11に送信される準備が整っている。次いで、例えばスイッチ111が利用者によって作動されているため、資源制約装置11がメッセージ210を伝送する。図示のように、メッセージの復号に成功する確率を高めるために、メッセージ210が複数回、ここでは(3つのブロックに対応する)3回繰り返され得る。t2において、このメッセージ210がTempMasterノード12aによって検出される。バッファ状態202によれば、より高い優先順位を有する他の伝送メッセージはなく、TempMasterノードは次の受信機会にこのMSGフレームを伝送する。
【0065】
従って、TempMasterノードはt3’でMSGフレーム220を伝送する。この時点t3’はt3と等しくても、期間ΔTの任意の計算誤差を考慮するためにt3の直後に生じても良い。典型的には、資源制約装置からの伝送が終了してから5ms後に受信窓が開く。
【0066】
この時点で、MSGフレーム220がTempMasterノード12aによって伝送されるため、そのバッファ状態203は空の待ち行列を示す。t3’の直後の時点t4において、TempMasterノード12aのフレーム生成器が新たなACKメッセージを作成し、それをバッファの待ち行列に入れる。これがACKメッセージを示すバッファ状態204上で示されている。
【0067】
図2A図2Dに関して示した全ての例において、バッファ管理(フレームの追加やフレームの順序付け)が、資源制約装置へのメッセージの伝送時に、高い(より高い)伝送優先順位のメッセージの受信時に、又はTempMasterの役割の初期設定時に行われる。待ち行列内のメッセージの存続期間の満了、待ち行列から特定のメッセージを除去するための、ローカルな又は無線で受信される要求、ネットワークから資源制約装置を除去すること、資源制約装置の設定変更、資源制約装置と対にされたシンクノードのアプリケーションの変更を含め、バッファ管理には更なるトリガがあり得る。
【0068】
次に、本発明を実施する装置12aの一例示的実施形態が図3に関してより詳細に説明される。装置12aは、残りのネットワーク及び資源制約装置との通信を可能にするトランシーバ31を含む。マイクロコントローラCPU32が、メモリ35上にロードされたソフトウェアに従ってトランシーバ31を制御する。ソフトウェアは、例えばネットワークと通信するための、及び資源制約装置と通信するための専用の機能を有する、例えば別々だがことによるとインタフェースブロックによって相互接続されるブロックで構成され得るが、よりきめ細かい機能分割もあり得る。ブロックは選択的に構成可能とすることができ、又はソフトウェアが全体としてロードされても良い。トランシーバ31を介して送信されるようにフレームを準備するために、装置12aは、メモリ35上にロードされるソフトウェアに従ってマイクロコントローラ32によって制御されるフレーム生成器FRM GEN33を含む。フレーム生成器によってフレームが作成されると、トランシーバ31によって後で伝送されるためにそのフレームがバッファBUF34内にロードされる。このバッファは、装置12aが通信することを目的とする装置ごとに概して論理的待ち行列を含む。図1の例では、装置12aのバッファ34が、資源制約装置11を対象としたメッセージ用の少なくとも第1のバッファ待ち行列を含む。これらのバッファ待ち行列は、通常は単一のエントリを有する(即ちそれぞれ単一のバッファメッセージのみを含むことができる)が、それらの待ち行列の一部又は全てが複数のエントリを含んでも良い(即ちバッファ待ち行列の少なくとも1つが複数のバッファメッセージを含むことができる)。更に、マルチエントリ待ち行列の場合、資源制約装置ごとに特定数の待ち行列エントリが割り当てられても良く、又はことによると資源制約装置ごとのエントリ数の一定の最低保証を伴い、使用可能なときに装置が待ち行列エントリを共有しても良い。
【0069】
本発明による動作中、資源制約装置11に充てられる待ち行列が空の場合、CPU32はフレーム生成器に命令して図1の資源制約装置11向けのACKフレームを作成し、そのACKフレームはその後バッファ34に入れられる。資源制約装置11に充てられる待ち行列がマルチエントリ待ち行列である場合、CPUは複数のエントリの1つが空かどうかを確認することができ、バッファ34に供給される新たなACKメッセージを作成するようにフレーム生成器33に命令する。次いで、トランシーバ31が資源制約装置11からメッセージを受信すると、伝送機会があるかどうかをマイクロコントローラ32が確認することができる。伝送機会がある場合、マイクロコントローラ32はバッファ34に命令して、トランシーバ31によって伝送するためのメッセージをリリースする。バッファ34に命令して伝送するためのメッセージをリリースする前に、(例えば送信先又は送信元アドレス、識別されたネットワーク、フレーム方向、フレーム識別情報、セキュリティパラメータによる)フィルタリング、セキュリティ検査、及びアプリケーションペイロードの復号を含む、受信フレームの更なる処理が施されても良い。処理量は、伝送されるメッセージの伝送優先順位に更に依存し得る。リリースされるメッセージは、待ち行列内にある優先順位が最も高いメッセージとすることができ、又は待ち行列がマルチエントリ待ち行列である場合は最も古いメッセージであり得る。単一エントリ待ち行列の場合、バッファメッセージ、即ち新たに作成されたACKメッセージ又は前からあったメッセージが資源制約装置11に伝送される。メッセージは伝送前に更に処理されても良く、例えばフレーム番号識別情報が更新されても良く、又はセキュリティ処理が施されても良い。
【0070】
次に、本発明の一実施形態による全プロセスが図4に関して詳細に説明される。
【0071】
この動作モードの初期設定はステップS400で、ノード12aが資源制約装置11のマスタノード(TempMaster)として選出されるときに生じる。待ち行列内のメッセージの存続期間の満了、待ち行列から特定のメッセージを除去するための要求、ネットワークから資源制約装置を除去すること等を含め、他の事象もこの手順を引き起こし得る。次いでステップS401で、資源制約装置11に充てられるバッファ待ち行列が空か、既にバッファメッセージを含んでいるかをノード12aが確認する。バッファの待ち行列が空である場合、ステップS402でノード12aのフレーム生成器33がACKフレームを作成し、資源制約装置に充てられるバッファ待ち行列にそのACKフレームを追加するように命令される。バッファの待ち行列が既にバッファメッセージを含んでいる場合、ステップS403で、バッファ待ち行列が使用可能なエントリを含むかどうかが確認される。バッファの待ち行列が単一エントリ待ち行列の場合、このステップは省略される。このステップは、待ち行列内のメッセージがACKメッセージである場合にも省略され得る。資源制約装置に充てられる待ち行列のエントリが使用可能であるとステップS403で判定される場合、この方法はステップS402に進み、資源制約装置に充てられるバッファ待ち行列に後で追加されるACKメッセージを作成する。従って上記のステップにより、メッセージが次の伝送機会に資源制約装置に伝送される準備が整っていることが確実にされる。バッファの待ち行列内に使用可能なエントリがない場合、又は待ち行列が既にACKを含んでいる場合、この方法は直接次のステップS404に進む。
【0072】
次いで、ノード12aが、ステップS404で検出されるメッセージを待つ。ステップS405で、受信機会が予定されているかどうかをノード12aのマイクロコントローラ32が判定する。このステップは、例えば受信メッセージのヘッダを復号し、RxAfterTxフラグが立っているかどうかを確認することによって行われ得る。但し、資源制約装置は常に伝送後に受信するように構成され、その結果、受信機会が常に資源制約装置11からのメッセージの後に続き得るため、このステップは任意選択的であり得ることに留意すべきである。更にこのステップは、ノード12aの実装を簡単にするために任意選択的とすることができ、ノード12aは資源制約装置からメッセージを受信する度にメッセージを配信することができる。これはACKメッセージの配信のみに更に限定されても良く、高い伝送優先順位のメッセージについては受信機会が引き続き確認され得る。受信機会が後に続かないとステップS405で判定される場合、このプロセスはS402の後のステップに、又はこの例ではステップS401の前に戻る。或いは、受信機会なしにメッセージを受信すること以外の手段によってバッファの明確な検査が引き起こされる状態で、このプロセスはステップS404の前に戻ることができる。その他は、ノード12aがメッセージを設定されたプロセスに従って処理し(HNDL)、この処理は、資源制約ノード11に関する情報のローカルコピーを更新すること、メッセージを別のノードに転送すること、及び/又はペイロードに対して何らかの措置を講じることを必要とし得る。この部分は本発明の範囲外であり、本明細書の更なる詳細に含めない。
【0073】
受信機会が後に続くとステップS405で判定される場合、前述のメッセージ処理(HNDL)に加え、ノード12aは、その後のステップで、例えば受信機会が始まると直ちに資源制約装置11にバッファメッセージを伝送することができる。単一エントリのバッファ待ち行列の場合、第1の改変形態では、メッセージの全て又は一部が正しく復号されたかどうかに関係なく、バッファメッセージが伝送され得る。例えば、受信メッセージが実際に完全に破損し、その結果、受信メッセージが含む情報の処理が不可能な場合がある。それでもなお、ACKメッセージ又はバッファメッセージが(バッファが空でないとステップS401で判定された場合)伝送される。別の例では、受信メッセージがヘッダ及びペイロードを含むことができ、ペイロードは符号化され、或いは暗号化される。このヘッダのこの伝送がよりロバストであることを確実にするために、ヘッダはより低い要件で送信され得る。例えばヘッダの伝送は、より低いデータ転送速度を有することができ、より単純な符号で符号化されても良く、又は暗号化されなくても良い。そのような例示的改変形態では、ペイロード自体が復号され得るかどうかに関係なく、このヘッダが正しく復号される場合にのみバッファメッセージが送信され得る。この例によりヘッダが適切に復号されない場合、ノードは何も伝送しない場合がある。別の例では、受信フレームのペイロードのセキュリティ検査に成功したかどうかに関係なく、ACKメッセージが配信され得る。更に別の例では、受信フレームのアプリケーションペイロードの復号に成功したかどうかに関係なく、ACKメッセージが配信され得る。
【0074】
図4の例に戻り、資源制約装置11に充てられるバッファ待ち行列は、この例ではマルチエントリ待ち行列である。この例では、バッファメッセージが異なる伝送優先度レベルを有し得る。但し改変形態では、バッファが厳密に基本的なFIFOのように動作しても良く、即ち待ち行列の最も古いメッセージが送信される。ステップS406で、ヘッダが正しく復号されたかどうかをノード12aが確認する。例えば伝送機会の発生がヘッダを復号することによってのみ求められ得る場合、このステップS406は省略され、ステップS405に組み込まれても良い。ヘッダの復号に失敗した場合、ノード12aは何も伝送しなくても良く、このプロセスはS402の後に戻ることができ、又はこの例ではステップS401の前(又はステップS404の前)に戻り得る。しかし、ヘッダが復号されたとステップS406で判定される場合、受信メッセージの更なる処理、この特定の例ではセキュリティ検査が成功したかどうかをステップS407でノード12aが確認する。セキュリティ検査が成功した場合、ステップS408で、最も高い伝送優先度レベルを有する待ち行列のメッセージ(例えば測定閾値又は報告間隔等のGPDのアプリケーションパラメータを修正するためのチャネル設定若しくはコミッショニングGPDF又はアプリケーションGPDF)をノード12aが伝送する。この例ではACKメッセージが最も低い伝送優先度レベルに設定され、従ってACKメッセージは、この事例では待ち行列内に他のメッセージがない場合にのみ送信される。ステップS407でセキュリティ検査が失敗した場合、待ち行列内に他のバッファメッセージがあるかどうかに関係なく、ステップS409でノード12aがACKメッセージを伝送する。このように伝送の決定が異なる理由は、資源制約装置のメッセージが適切に復号されない場合、資源制約装置において設定パラメータ(セキュリティキー等)が更新されなかった可能性が非常に高いことを意味するからである。従って、資源制約装置が複雑なメッセージを復号できない可能性が非常に高い。ネットワークが依然として存在することを資源制約装置に知らせるためにACKメッセージは引き続き送信される。処理が失敗する原因に応じて、伝送メッセージのより複雑な選択が可能である。例えば、資源制約装置が間違ったキーを保持していることを示す可能性が高い、メッセージの完全性を示すコードが正しくないことによってセキュリティ処理が失敗した場合、ステップS407で、ノード12aは伝送優先順位がより高いメッセージの何れかがキーの更新を含むかどうか、又はキーの更新を含み得る種類かどうかを確認し、そのメッセージの配信を決めることができ、例えば先に配信されることが予定されていた可能性があるGPD Write Attributesコマンドではなく、GPD Commissioning Replyメッセージの配信を決めることができる。更に、TempMasterでは、資源制約装置から受信されるメッセージを間違って処理することは、例えば適切な(高い伝送優先度レベル)の設定メッセージの生成を引き起こすことにより、資源制約装置の設定の再コミッショニング又は修復を引き起こし得る。
【0075】
ACKメッセージ(S409)又は最も高い伝送優先度レベルのメッセージ(S408)を伝送した後、この実施形態の改変形態では、このプロセスがS402の後又はステップS401の前に戻る。
【0076】
以上のように、本発明の実施形態によるノードは、資源制約装置がリスンしているときに配信する準備が整っているように、システム内に常に肯定応答フレーム(ACKメッセージ)を保持することができる。以上のように、このプロセスにより肯定応答フレームは自己補充可能である。上記の例に見られるように、これはACKメッセージが伝送されると直ちにACKメッセージを新たなACKメッセージで置換することによって行われ得る。
【0077】
ACKメッセージは、ZigBee(登録商標) Green Power互換装置のための特定のメッセージとして定義され得る。このACKメッセージは、送信先の特定の装置、資源制約装置のアドレスを運ぶことができる。一例では、ACKメッセージがペイロード内にフレームカウンタを有さず、そのためフレームカウンタが事前にシステム内に置かれ得る。しかし、特定のフレームの受信が後で肯定応答され得るように資源制約装置からの次のメッセージのフレームカウンタを予測することによってフレームカウンタを有すること、又はフレームカウンタが正しい値を有することを保証するように、資源制約装置からメッセージを受信したときにフレームカウンタ値を埋めることも可能であり得る。ACKメッセージは、保護された(セキュリティキーによって認証され且つ/又は暗号化された)状態で送信されても良く、又は保護されずに(認証されず且つ/又は暗号化されずに)送信されても良い。ACKメッセージは幾らかの追加情報、例えば特定の設定パラメータを運ぶことができ、追加情報を運ばなくても良く、更にはペイロードがなくても良い。
【0078】
上記で説明したように、ACKメッセージは資源制約装置からの伝送を肯定応答するために使用されても良く、即ち資源制約装置からのメッセージが適切に復号されているかどうかに関係なく、かかるメッセージの検出時にACKメッセージを伝送する。ACKメッセージは、メッセージの受信を成功したことを肯定応答するためにも使用され得る。
【0079】
特定の資源制約装置へのACKメッセージがないことを他のノードが検出する場合に備え、新たなTempMasterを事前に選出することによって上記の実施形態が更に改善され得る。更に、先に記載したこの特定の動作は、新たなTempMasterが推薦されるとき、又は資源制約装置が対になっていない場合若しくはネットワークから除去される場合に停止され得る。
【0080】
ACKメッセージの配信は、TempMasterの準備が常に整っていることを必要とし得る。本発明の一部の実施形態によれば、ACKメッセージが配信されない場合、資源制約装置が自動動作を引き起こすことができる。かかる動作の第1の例は、資源制約装置の伝送特性を変更することである。より具体的には、資源制約装置がACKメッセージを系統的に受信すると、資源制約装置は、資源制約装置とそのTempMasterとの間のリンクの質が良いと見なすことができる。従って、例えば資源制約装置から伝送されるメッセージの反復回数を減らすことによって伝送要件が緩和され得る。典型的には、ZigBee(登録商標) Green Powerでは、正しく受信される確率を高めるために、資源制約装置は同一メッセージを3回繰り返すことによってメッセージを伝送する。資源制約装置がそのTempMasterとの接続の質が良いと推定する場合、この反復回数が減らされ得る。逆に、伝送メッセージの幾つかが肯定応答されなかったことが原因で接続の質が低いと資源制約装置によって推定される場合、反復回数が増やされ得る。その全てのメッセージが肯定応答されないことを資源制約装置が見出す場合、資源制約装置は幾つかの特定のコマンドを送信してTempMasterの新たな選出を引き起こすことができる。更に資源制約装置は、資源制約装置上の別の動作を引き起こすことができ、例えば受信機会を長く又はより頻繁にすることによって受信機会の延長を引き起こすこと、再コミッショニングを行うこと、又は例えばチャネルトグリングによってネットワークを見直す試みを引き起こすことができる。資源制約装置は、伝送上の問題を示すためにユーザフィードバック、(利用者によって活性化される資源制約装置の場合、好ましくは次のユーザ対話時に)例えば赤色LEDの点滅を提供することができる。
【0081】
別の実施形態に関連して、プロキシの役割を担う他の装置が、例えばTempMasterのアドレスを例えばプロキシテーブルエントリ内に記憶することにより、TempMasterを追跡することができる。
【0082】
プロキシの役割を担う装置は全て資源制約装置の範囲内にあるため、少なくともその一部がTempMasterの範囲内にもある可能性が高い。従ってそれらの装置は、ZigBee(登録商標)通信に基づき、このTempMasterノードに関係する事象、例えばリンク状態メッセージがないこと、途切れた経路、新たな位置から送信されるDevice_annce等に気付くことができる。TempMasterが(一時的に)なくなったことを検出すると、それらの装置は、資源制約装置からの次のメッセージ受信によって引き起こされるのを待つことなしに、新たなTempMasterの選出を引き起こすことができる。
【0083】
或いは、又は加えて、プロキシの役割を担う装置はGreen Power関連通信、例えばTempMasterによって転送される(最初に転送されるべき)GP通知を追跡し、かかる通知がないとき/かかる通知に異常があるとき新たなTempMasterの選出を引き起こすことができる。
【0084】
TempMasterの選出はシンク又は別の装置、例えばコミッショニングツール又はノードマネージャによって実行されても良く、それらのシンク又は装置は、TempMasterがなくなったことを、とりわけ他のプロキシがZigBee(登録商標)メッセージをモニタすることによってそのことを検出する場合に知らされる必要があり得る。TempMasterの選出はプロキシによって行われても良く、最初に転送する新たなプロキシの推薦をもたらす。
【0085】
GPDを直接受信可能であり、GPDの範囲内にある場合、シンクもTempMasterの役割を果たすことができることに留意されたい。
【0086】
シンクは、自己補充可能な特定のメッセージ、ACK又は別のメッセージを作成するようにTempMasterに指示することができる。
【0087】
全ての資源制約装置がACKメッセージを必要とするのではなく、このことは資源制約装置によって設定され得ることに留意すべきである。
【0088】
上記の実施形態の拡張形態は、資源制約装置を含むネットワーク内のノードを動作させる方法を提案し、この方法は、
(a)ノードのバッファ内に伝送特性を示す設定信号を入れるステップと、
(b)ステップ(a)の後、資源制約装置によって伝送される受信メッセージを検出するステップと、
(c)受信メッセージの検出後、設定信号を資源制約装置に伝送するステップと
を含み、受信メッセージが前記伝送特性を使用することが認められるまでステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを更に含む。
【0089】
この場合、ACKメッセージを伝送する代わりに、TempMasterは、資源制約装置の全ての受信機会に伝送されるように設定更新メッセージをバッファ内に保つことができる。この動作モードは、資源制約装置が指示された伝送特性を使用するまで、又は特定の確認メッセージを送信するまで維持される。この例では、伝送特性が、稼働中の伝送チャネル、セキュリティキー、セキュリティキーの種類、セキュリティレベル、フレームカウンタ値、ネットワーク識別情報、装置識別情報、報告間隔、報告閾値、コマンドタイプのうちの少なくとも1つである。
【0090】
この実施形態は前の実施形態と組み合わせられ得る。例えば、TempMasterが、メッセージの復号が行われる前でさえバッファ内にACKメッセージを保持することにより、先に記載したようにACKを系統的に伝送することによって始動する。資源制約装置が最新の設定パラメータを使用していないことが分かる場合、TempMasterはこの他の動作モードに突入することに決めることができ、その動作モードでは、全ての受信機会に伝送されるように設定フレームがバッファ内で再生成される。その後、正しい設定パラメータが使用されると、TempMasterは通常の動作モードに再突入することができる。
【0091】
以上のように、本発明の実施形態により、資源制約装置の受信窓が開いたときに容易に配信できるように、双方向通信可能な資源制約装置への肯定応答フレームが常にシステム内に保たれ得る。
【0092】
本発明が図面及び上記の説明の中で詳細に例示され説明されてきたが、かかる例示及び説明は限定的ではなく説明的又は例示的と見なされるべきである。本発明は、負荷装置としてランプ又は照明器具を有する開示された実施形態に限定されない。本発明は、任意の種類の負荷、センサ、スイッチ等に関して実装され得る。
【0093】
特許請求の範囲に記載の本発明を実施する際、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、開示された実施形態に対する他の改変形態が当業者によって理解され、もたらされ得る。特許請求の範囲では、「含む」という語は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数形を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙される幾つかのアイテムの機能を実現しても良い。或る手段が互いに異なる従属請求項の中で列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用されてはならないことを示すものではない。
【0094】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述した。但し、上記の内容が本文内で如何に詳しく説明されていても本発明は多くの方法で実施することができ、従って開示された実施形態に限定されないことが理解されよう。本発明の或る特徴又は態様を説明するときに特定の用語を使用することは、その用語が関連する本発明の特徴又は態様の任意の具体的特性を含むように、その用語が本明細書で再定義されていることを含意するものと解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0095】
単一のユニット又は装置が、特許請求の範囲に列挙される幾つかのアイテムの機能を実現しても良い。或る手段が互いに異なる従属請求項の中で列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用されてはならないことを示すものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4