【文献】
Yanle Hu et al.,Respiratory Amplitude Guided 4D Magnetic Resonance Imaging,International journal of radiation oncology, biology, physics,米国,2013年 5月 1日,Vol.86 No.1,p.198-204
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁気共鳴画像取得をトリガすることに関して呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムを作動させる方法であって、前記磁気共鳴イメージングシステムは、関心のある被検体の複数の呼吸サイクルにわたって前記関心のある被検体の少なくとも一部から複数のスライスの磁気共鳴画像を取得するように構成され、出力信号のレベルが前記関心のある被検体の呼吸状態を表す該出力信号を出力する呼吸モニタリング装置に接続可能であり、前記方法が、
前記複数の呼吸サイクルの範囲内で、前記関心のある被検体の複数の選択された呼吸状態の各呼吸状態において前記複数のスライスの各スライスの少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するためのインタリーブド取得スキームを生成するステップであって、前記インタリーブド取得スキームは、前記複数の呼吸サイクルの少なくとも1つの呼吸サイクルの中で少なくとも2つの異なるスライスの磁気共鳴画像を取得するスキームであり、前記選択された呼吸状態における前記トリガが、前記呼吸モニタリング装置の予め決められた閾値信号レベルに基づく、ステップと、
前記インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を始めるステップと、
前記インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間、前記インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に前記呼吸モニタリング装置によって得られた出力信号において前記関心のある被検体の呼吸の不規則性が出現した場合、前記複数の呼吸サイクルにわたり前記関心のある被検体の少なくとも一部から前記複数のスライスの磁気共鳴画像を取得するための全経過時間を低減するように、前記インタリーブド取得スキームの別の磁気共鳴画像の取得を進めるために前記インタリーブド取得スキームの少なくとも1つのパラメータを適応させるステップであって、前記適応されるパラメータが、少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するためにトリガする前記関心のある被検体の次の呼吸状態、無線周波数パルスシーケンス固有のアイドル時間、及び前記関心のある被検体の少なくとも一部のイメージングされる前記複数のスライスの少なくとも1つのスライスの時間順のうち少なくとも1つであり、前記アイドル時間の適応は、前記選択された呼吸状態におけるトリガを待つための記録される蓄積時間であってSAR要求を満たすに十分な蓄積時間に応答して行われる、ステップと、
前記インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得の実行を停止するステップと、
前記適応されたパラメータを使用して前記インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得の実行を再開するステップと、
を有する方法。
前記出力信号の最大又は最小レベルの近傍の前記予め決められた閾値信号レベルにおいて見逃されたトリガを検出するために、前記呼吸モニタリング装置の前記出力信号の時間微分をモニタするステップを更に有し、前記少なくとも1つのパラメータを適応させるステップが、トリガすべき前記関心のある被検体の次の呼吸状態を適応させることを含み、前記適応が、前記出力信号の前記時間微分の符号反転を検出することに基づく、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つのパラメータを適応させるステップが、無線周波数パルスシーケンス固有のアイドル時間を適応させることを含み、前記適応は、前記選択された呼吸状態におけるトリガを待つための記録された蓄積時間に基づく、請求項1又は2に記載の方法。
関心のある被検体の複数の呼吸サイクルにわたって前記関心のある被検体の少なくとも一部から複数のスライスの磁気共鳴画像を取得する呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムであって、
前記関心のある被検体を中に位置づけるために提供される検査空間と、
前記検査空間に静磁界を生成する主磁石と、
静磁界に重ねられる勾配磁界を生成する磁気勾配コイルシステムと、
磁気共鳴励起のために前記関心のある被検体の一部又はその中の核に無線周波数励起磁場を印加する少なくとも1つの無線周波数アンテナ装置と、
無線周波数励起磁場を印加することによって励起された前記関心のある被検体の一部又はその中の核から磁気共鳴信号を受け取る少なくとも1つの無線周波数アンテナ装置と、
前記磁気共鳴イメージングシステムの少なくとも1つの機能を制御する制御ユニットと、
前記受け取られた磁気共鳴信号から前記関心のある被検体の少なくとも一部のスライスの画像を決定するように前記磁気共鳴信号を処理する信号処理ユニットと、
を有し、
前記磁気共鳴イメージングシステムは、トリガのガイダンスのために呼吸モニタリング装置から出力信号を受け取り、前記出力信号のレベルが前記関心のある被検体の呼吸状態を表現し、
前記制御ユニットが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実施するように構成される、呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Y. Hu et al., "Respiratory Amplitude Guided 4-Dimensional Magnetic Resonance Imaging", Int J Radiation Oncol Biol Phys, 86 (1), 198-204 (2013)による文献に、4D呼吸位相ガイド磁気共鳴画像を取得する方法が記述されており、この方法は、全体の取得時間を短縮するために、イメージングされる異なるスライスについて異なる時間ポイントの取得をインタリーブするスキームを有する。
【0005】
取得スキームが、
図5に、M=8スライス及びN=4呼吸位相を含むスキャンパッケージ(0%、50%の吸気、100%、50%の呼気)に関して例示的に示されている。取得スキームは、2つのネスト化ループと考えられることができ、この場合、内側ループは、スライスインデックスm(m=1,...,M)を変え、インデックスnを有する外側のループは、N回実行され、それにより、呼吸位相を制御する。
図5から分かるように、内側ループのすべてのスライスが、同じ呼吸位相で取得されるわけではない。その代わりに、呼吸位相は、
呼吸位相=((m−1)+(n−1))%N
に従って選択される。
ここで、「%」は、モジュロ演算を示す。第1のスキャンシーケンスは、呼吸位相n=0、1、2、3、0、1、2、及び3における8つのスライスの磁気共鳴画像を含む。第2のスキャンシーケンスは、呼吸位相n=1、2、3、0、1、2、3、及び0における8つのスライスの磁気共鳴画像を含む。第3のスキャンシーケンスは、呼吸位相n=2、3、0、1、2、3、0、及び1における8つのスライスの磁気共鳴画像を含む。第4のスキャンシーケンスは、呼吸位相n=3、0、1、2、3、0、1及び2における8つのスライスの磁気共鳴画像を含む。
【0006】
Y.Hu他によって記述されるように、予め選択された呼吸レベルでトリガを使用することは、複数の異なる呼吸サイクルの範囲内の異なる呼吸状態においてMRI画像を取得することを可能にし、こうして、長いパルスシーケンス反復時間TR上の制限を除去する。それにより、より多くの磁気共鳴イメージングシーケンス、特にT2強調磁気共鳴画像が、4D磁気共鳴イメージングに適合する。
【0007】
呼吸位相ガイドされる磁気共鳴イメージングスキャンパッケージ(例えば上述のスキャンパッケージ)を取得するための全経過時間を一層低減することが望ましい。
【0008】
長くなる全経過時間の1つの理由は、準備フェーズと磁気共鳴画像を取得するフェーズとの間の関心のある被検体の呼吸パターンの変化による、予め選択された呼吸レベルについての不十分なトリガにありうる。
【0009】
従って、本発明の目的は、改善されたワークフロー及び改善された患者快適さを達成するために、短縮された全経過時間によりスキャンパッケージを取得することを可能にする4次元(4D)呼吸位相ガイドされる磁気共鳴イメージング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの見地において、目的は、磁気共鳴画像取得をトリガすることに関して呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムを作動させる方法であって、磁気共鳴イメージングシステムが、関心のある被検体の複数の呼吸サイクルにわたって関心のある被検体の少なくとも一部から複数のスライスの磁気共鳴画像を取得するように構成される、方法によって達成される。磁気共鳴イメージングシステムは、出力信号のレベルが関心のある被検体の呼吸状態を表現する該出力信号を出力するように構成される呼吸モニタリング装置に接続可能である。
【0011】
この方法は、複数の呼吸サイクルの範囲内で、関心のある被検体の複数の選択された呼吸状態の各呼吸状態において複数のスライスの各スライスの少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するためのインタリーブド取得スキームを生成するステップであって、選択された呼吸状態におけるトリガが、呼吸モニタリング装置の予め決められた閾値信号レベルに基づく、ステップと、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を開始し、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に呼吸モニタリング装置によって得られる出力信号において関心のある被検体の呼吸の不規則性が出現する場合、インタリーブド取得スキームの磁気共鳴画像の別の取得を進めるために、インタリーブド取得スキームの少なくとも1つのパラメータ適応させるステップであって、少なくとも1つの適応されるパラメータは、少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するためにトリガする関心のある被検体20の次の呼吸状態、無線周波数パルスシーケンス固有のアイドルタイム、及び関心のある被検体20の少なくとも一部のイメージングされる複数のスライスの少なくとも1つのスライスの時間順のうち少なくとも1つである、ステップと、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得の実行を停止するステップと、適応されたパラメータを使用してインタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得の実行を再開するステップと、を有する。
【0012】
「インタリーブド取得スキーム」という語は、本願において用いられるとき、特に、複数の呼吸サイクルの少なくとも1つの呼吸サイクルの中で少なくとも2つの異なるスライスの磁気共鳴画像を取得するスキームとして理解される。
【0013】
開示されるタイプのパラメータから少なくとも1つのパラメータを適応させるステップは、タイプの任意の組み合わせにおいて任意の数のパラメータを適応させることを含むことが理解される。
【0014】
方法の1つの利点は、スキャンパッケージの取得中の待ち時間が低減され、それにより、全体の経過取得時間が低減されることができることにある。これらのパラメータの1又は複数を適応させることによって、取得のための全体の経過時間の事実上の低減が達成されることができる。
【0015】
方法の別の利点は、呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングの一般的な問題であることが知られている呼吸パターン及びゆえに呼吸モニタリング装置の出力信号の不規則な揺らぎに対して、磁気共鳴画像のトリガが一層ロバストでありうることである。
【0016】
一実施形態において、磁気共鳴イメージングシステム自体が、呼吸依存の磁気共鳴信号をリアルタイムに取得し処理することによって呼吸モニタリング装置として使用されることもできる(1D又は2Dナビゲータ)。
【0017】
更に他の好適な実施形態において、方法は更に、呼吸モニタリング装置の出力信号の時間微分をモニタするステップを有し、少なくとも1つのパラメータを適応させるステップが、関心のある被検体のトリガすべき次の呼吸状態を適応させることを含み、かかる適応は、出力信号の時間微分の符号反転を検出することに基づく。
【0018】
時間微分の符号は、それぞれ吸気及び呼気を示すので、出力信号の最大(又は最小)レベルの近傍で予め決められた閾値信号レベルについて見逃したトリガが、出力信号の時間微分の符号反転によって、有利に検出されることができる。出力信号の最大(又は最小)レベルの近傍の見逃した最大(最小)の予め決められた閾値信号レベルが検出される場合、次の最大(最小)値の出現までのほとんど全呼吸サイクルを待つことに代わって、呼気(吸入)の間のこれまで取得されていない選択された呼吸状態のスライスの磁気共鳴画像が、ほぼ即時に取得されることができる。従って、見逃したトリガに起因する待ち時間が一層低減されることができる。
【0019】
他の好適な実施形態において、少なくとも1つのパラメータを適応させるステップが、無線周数波パルスシーケンス固有のアイドル時間を適応させることを含み、かかる適応は、選択された呼吸状態におけるトリガを待つための記録される蓄積時間に基づく。生成されるインタリーブド取得スキームは、関心のある被検体について特定の吸収レートを制限内に保つために、アイドル時間を有することができる。無線周波数パルスシーケンス固有のアイドル時間を適応させることによって、取得のための全経過時間が、なおSAR要求を満たす磁気共鳴画像の取得により低減されることができる。
【0020】
本発明の別の見地において、関心のある被検体の複数の呼吸サイクルにわたって少なくとも関心のある被検体の一部から複数のスライスの磁気共鳴画像を取得するように構成される呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムが提供される。磁気共鳴イメージングシステムは、呼吸ガイドされるように構成され、関心のある被検体を中に位置付けるために提供される検査空間と、検査空間に静磁界B0を生成するように構成される主磁石と、静磁界B0に重ねられる勾配磁界を生成するように構成される磁気勾配コイルシステムと、磁気共鳴励起のために関心のある被検体の一部又はその中の核に無線周波数励起磁場B1を印加するように構成される少なくとも1つの無線周波数アンテナと、無線周波数励起磁場B1を印加することによって励起される関心のある被検体の一部の又はその中の核から磁気共鳴信号を受け取るために提供される少なくとも1つの無線周波数アンテナ装置と、磁気共鳴イメージングシステムの少なくとも1つの機能を制御する制御ユニットと、受け取られた磁気共鳴信号から関心のある被検体の少なくとも一部のスライスの画像を決定するように磁気共鳴信号を処理する信号処理ユニットと、を有する。
【0021】
呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムは、ガイダンスをトリガするために呼吸モニタリング装置から出力信号を受け取るように構成され、かかる出力信号のレベルが、関心のある被検体の呼吸状態を表現する。制御ユニットは、磁気共鳴画像取得又はその組み合わせをトリガすることに関して、磁気共鳴イメージングシステムを作動させる開示された方法のいずれかの実施形態におけるステップを実施するように構成される。
【0022】
好適には、無線周波数励起磁場B1を印加するように構成される少なくとも1つの無線周波数アンテナ装置は、T2強調磁気共鳴画像を取得するのに適した無線周波数パルスシーケンスを提供されるように構成される。それによって、磁気共鳴画像において高い腫瘍組織コントラストが達成されることができる。
【0023】
本発明の更に別の見地において、磁気共鳴画像取得又はその組み合わせをトリガすることに関して磁気共鳴イメージングシステムを作動させる開示される方法のいずれかの実施形態の各ステップを実行するためのソフトウェアモジュールが、提供される。実施される方法ステップは、ソフトウェアモジュールのプログラムコードに変換され、プログラムコードは、磁気共鳴イメージングシステムのメモリユニットにおいて実現可能であり、磁気共鳴イメージングシステムのプロセッサユニットによって実行可能である。プロセッサユニットは、磁気共鳴イメージングシステムの機能を制御するための通常の制御ユニットのプロセッサユニットでありうる。プロセッサユニットは、代替として又は補足的に、特に方法ステップの少なくとも一部を実行するために割り当てられた別のプロセッサユニットでありうる。
【0024】
ソフトウェアモジュールは、方法のロバストで信頼できる実行を可能にすることができ、方法の迅速な変更を可能にすることができる。
【0025】
本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。しかしながら、このような実施形態が、本発明の完全な範囲を必ずしも表すわけではなく、本発明の範囲を解釈するために請求項が参照される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、関心のある被検体20の複数の呼吸サイクルにわたって関心のある被検体20(通常は患者)の少なくとも一部から複数のスライスの磁気共鳴画像を取得するように構成される呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10の実施形態の一部の概略図を示す。呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10は、主磁石14を有するスキャニングユニット12を有する。主磁石14は、関心のある被検体20がその中に位置付けられるために中心軸18の周りに検査空間16を提供する中心ボアを有し、更に、少なくとも検査空間16に1.5Tの静磁界B0を生成するように構成される。明確さのため、関心のある被検体20を支持するための通常のテーブルが、
図1に示されている。静磁界B
0は、中心軸18と平行に配される検査空間16の軸方向を規定する。本発明は、静磁界内に検査領域を提供する他の任意のタイプの呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステムにも適用可能である。
【0028】
更に、呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10は、静磁界B
0に重ねられる勾配磁界を生成するように構成される磁気勾配コイルシステム22を有する。磁気勾配コイルシステム22は、当技術分野において知られているように、主磁石14のボア内に同心に配置される。
【0029】
呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10は、スキャニングユニット12、磁気勾配コイルシステム22の機能、及び呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10の他の機能を制御するために提供される制御ユニット26を有する。制御ユニット26は、タッチセンシティブ画面28を有するモニタユニットとして設計されるヒューマンインタフェース装置を有する。
【0030】
更に、呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10は、全身コイルとして設計される無線周波数アンテナ装置34を有し、無線周波数アンテナ装置34は、磁気共鳴イメージングのために関心のある被検体20の又はその中の核を励起するために、無線周波数送信時間期間の間に、磁気共鳴励起のために関心のある被検体20の又はその中の核に無線周波数磁界B
1を印加するように構成される。この目的で、無線周波数パワーが、制御ユニット26によって制御されて、無線周波数送信器ユニット24から全身コイルに供給される。全身コイルは、中心軸を有し、動作状態において、全身コイルの中心軸及び検査空間16の中心軸18が一致するように、主磁石14のボア内に同心に配置される。従来技術において一般的であるように、円筒状の無線周波数金属シールド40が、磁気勾配コイルシステム22と全身コイルとの間に同心に配置される。
【0031】
全身コイルが更に、無線周波数受信フェーズの間、関心のある被検体20の一部の又はその中の核から、送信された無線周波数磁界B
1によって励起された磁気共鳴信号を受け取るために提供される。呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10の動作状態において、無線周波数送信フェーズ及び無線周波数受信フェーズが連続的に行われる。
【0032】
無線周波数送信器ユニット24は、無線周波数送信フェーズの間、無線周波数スイッチングユニット38を通じて全身コイルに対して磁気共鳴無線周波数の無線周波数パワーをターボスピンエコー(TSE)無線周波数パルスシーケンスの形で供給して、T2強調磁気共鳴画像を得ることを可能にするために提供される。無線周波数受信フェーズの間、無線周波数制御ユニット38は、制御ユニット26によって制御され、全身コイルから、制御ユニット26に駐在する信号処理ユニット42に磁気共鳴信号を送る。信号処理ユニット42は、取得された磁気共鳴信号から関心のある被検体20の少なくとも一部のスライスの画像を決定するように磁気共鳴信号を処理する。この技法の多くのさまざまな変形例は、当業者に良く知られており、ここでより詳しく記述される必要はない。
【0033】
ターボスピンエコー無線周波数パルスシーケンスの各々は、270msの長さを有し、その後、106msのシーケンス固有のアイドル時間が続く。
【0034】
呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10は、呼吸モニタリング装置46を更に有する。呼吸モニタリング装置46は呼吸センサを有し、呼吸センサは、動作状態において、関心のある被検体20の胸部に取り付けられ、胸部に巻かれるベルトによって保持される。呼吸モニタリング装置46は、制御ユニット26に出力信号48を供給するように構成され、かかる出力信号のレベルが、関心のある被検体20の呼吸状態を表現する。この目的で、呼吸モニタリング装置46の出力線は、制御ユニット26に接続される。呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10の制御ユニット26は、ガイダンスをトリガするために呼吸モニタリング装置46から出力信号48を受け取るように構成され、これについては、より詳しく後述される。
【0035】
以下において、磁気共鳴画像獲得をトリガすることに関して呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10を作動させる方法の実施形態が記述される。方法の主要なフローチャートが
図2に与えられる。呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10を動作させる準備において、すべての含まれたユニット及び装置は動作状態にあり、
図1に示されるように構成されることが理解されるべきである。
【0036】
呼吸ガイドされる磁気共鳴イメージングシステム10の特定の動作として方法を実施することを可能にするために、制御ユニット26は、ソフトウェアモジュール44(
図1)を有する。実施される方法ステップは、ソフトウェアモジュール44のプログラムコードに変換され、プログラムコードは、制御ユニット26のメモリユニット30において実現可能であり、制御ユニット26のプロセッサユニット32によって実行可能である。
【0037】
方法の第1のステップ54において、オペレータは、ヒューマンインタフェースを通じて、イメージングされる関心のある被検体の一部と、関心のある被検体20の一部からイメージングされるスライスの数と、磁気共鳴画像を取得することがトリガされる関心のある被検体20の呼吸状態と、を選択する。先行する予備の較正測定において、呼吸モニタリング装置46の出力信号48の閾値信号レベル50が、決定され、かかる閾値信号レベルは、トリガがそれに基づき行われるものであり、選択された呼吸状態に対応する。閾値信号レベル50の値は、制御ユニット26のメモリユニット30に記憶される。
【0038】
次のステップ56において、関心のある被検体20の複数の選択されたスライスの各スライス及び複数の選択された呼吸状態の各呼吸状態の1つの磁気共鳴画像を取得するためのインタリーブド取得スキームが、生成される。N=4の複数の呼吸状態及びM=8の複数のスライスについて、生成されたインタリーブド取得スキームは、
図5に示される従来の技術取得スキームと同様でありうる。
【0039】
その後、別のステップ58において、生成されたインタリーブド取得スキームに基づく磁気共鳴画像取得が始まり、ただし、以下の例外を含む。呼吸サイクルの現在位置が決定され、次のステップ60において、呼吸サイクルの決定された現在位置に基づいて、磁気共鳴画像を取得するためにトリガしようとする関心のある被検体20の次の呼吸状態として与えられる生成されたインタリーブド取得スキームのパラメータが、適応される。0%(
図5)の呼吸状態に固定のインタリーブド取得スキームの開始を実行する代わりに、時間的に呼吸サイクルの現在位置の後に続く、磁気共鳴画像がまだ取得されていない呼吸フェーズ、この例では50%の吸入(
図3)の呼吸状態が、磁気共鳴画像を取得するために選択される。
【0040】
次のステップ62において、生成されたインタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得の実行が停止される。次に、磁気共鳴画像取得の実行は、別のステップ64において、インタリーブド取得スキームに従って、
図3に与えられるタイムチャート(時間にわたって呼吸モニタリング装置46の出力信号48を示す)の左部分の50sのタイムマークのところに中実の円記号として示される50%吸気の呼吸状態であるように適応されたパラメータを用いて、再開される。
【0041】
インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に得られるデータに基づいてインタリーブド取得スキームのパラメータを適応させる別の例は、
図3において、52sと54sのタイムマークの間に示される。
図3において、0%、50%及び100%の呼吸状態に対応する予め決められた閾値信号レベル50が、破線の水平線として示されている。52sのタイムマークの近くの中空の円は、100%の呼吸状態に対応する予め決められた閾値信号レベルが、関心のある被検体20の呼吸パターンの揺らぎのため見逃されたことを示す。
図3から、100%の呼吸状態に対応する予め決められた閾値信号レベルが、次の呼吸サイクルにおいても見逃すであろうことが明らかであることを述べておく。
【0042】
100%の呼吸状態に対応する予め決められた閾値信号レベルの見逃しは、呼吸モニタリング装置46の出力信号48の時間微分をモニタすることによって、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に検出された。生成されたインタリーブド取得スキームによって特定されたものとは異なり、出力信号48の時間微分の符号反転は、100%の呼吸状態におけるトリガなしに現れた。
【0043】
インタリーブド取得スキームの別のパラメータを適応させるステップ60において、トリガすべき関心のある被検体20の次の呼吸状態は、50%呼気に変更される。インタリーブド取得スキームに従う磁気共鳴画像取得の実行を停止するステップ62及び適応されたパラメータ、すなわち50%呼気である次の呼吸状態、を使用して磁気共鳴画像取得の64の実行を再開するステップの後、52sと54sのタイムマークの間の中実の円記号によって示されるように、この呼吸状態に対応する予め決められた閾値信号レベル50が、達成される。
【0044】
図3の右部分は、インタリーブド取得スキームのパラメータを適応させる別の例を示し、かかるパラメータは、磁気共鳴画像を取得するためにトリガする関心のある被検体20の次の呼吸状態によって与えられるパラメータである。それは、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間、100%吸気の呼吸状態が平均より長く持続する、呼吸モニタリング装置46の出力信号48の時間微分をモニタすることによって検出された。結果として、トリガする関心のある被検体20の次の呼吸状態は、100%吸気までの行において2回適応され、それにより、合計3つの異なるスライスの磁気共鳴画像が、この次の呼吸状態において取得されることができる。
【0045】
図3の右部分は、更に、インタリーブド取得スキームの別のパラメータを適応させる例を示し、かかるパラメータは、無線周波数パルスシーケンス固有のアイドル時間によって与えられるパラメータである。適応するステップ60は、次の選択された呼吸状態においてトリガするために待つ記録された蓄積時間に基づき、制御ユニット26によって実施される。制御ユニット26は、インタリーブド取得スキームを実行するヒストリの中で、十分な待ち時間がSAR制限に対応するために蓄積されたかどうかチェックするように構成される。そうである場合、
図3において66sのタイムマークの周囲に示されるように、100%吸気の呼吸状態で上述の3つの異なるスライスを取得するための3つのTSE無線周波数パルスシーケンスの無線周波数パルスシーケンス固有のアイドル時間が短縮される。
【0046】
図4は、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する時間期間の呼吸モニタリング装置46の出力信号48のタイムチャートを例示的に示す。破線は、磁気共鳴イメージング取得の実行前に予備較正測定において決定された最大出力信号48のレベル及び最小出力信号48のレベルを示す。許容差レンジ52は、出力信号48の最大及び最小値における垂直線によって示される。
【0047】
制御ユニット26は、時間にわたって呼吸モニタリング装置46の最大出力信号48のレベル及び最小出力信号48のレベルをモニタするように構成される。更に、制御ユニット26は、インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に得られる最大及び最小出力信号48のレベルに基づいて、インタリーブド取得スキームのパラメータを適応させるステップ60を実行するように構成され、このパラメータは、呼吸モニタリング装置46の予め決められた閾値信号レベル50によって与えられるパラメータである。適応させるステップ60は、時間にわたってKalmanフィルタリングを呼吸モニタリング装置46のモニタされた最大出力信号48のレベル及び最小出力信号48のレベルに適用することによって、出力信号48の最大レベル、出力信号48の最小レベル、及び得られる値による予め決められた閾値信号レベル50の許容差レンジを連続的に更新することによって、呼吸モニタリング装置46の予め決められた閾値信号レベル50を適応させることを含む。呼吸モニタリング装置46の新しい予め決められた閾値信号レベル50は、出力信号48の更新された最大及び最小レベルから導出される。
【0048】
次に、新しい予め決められた閾値信号レベル50は、上述したように停止するステップ62及び磁気共鳴画像取得の実行を再開するステップ64の間でインタリーブド取得スキームに与えられる。
【0049】
それにより、
図4から明らかであるように、予め決められた閾値信号レベル50に基づく選択された呼吸状態におけるトリガが、信号ドリフト又は呼吸パターンの変化に対して安定化されることができる。先行する較正測定において得られた出力信号48の最大レベル及び出力信号48の最小レベルが、不適当であることが分かり、最大及び最小出力信号48の適応されたレベルが、最初の5つの呼吸サイクルの中で適当な値に収束する。
【0050】
インタリーブド取得スキームに従って磁気共鳴画像取得を実行する間に得られたデータに基づいて、インタリーブド取得スキームの少なくとも1つのパラメータを適応させるステップ60は、更に、関心のある被検体20の少なくとも一部のイメージングされる複数のスライスの時間順のパラメータについて実施されることができる。
【0051】
通常、インタリーブド取得スキームにおいて、イメージングされる複数のスライスの時間順は、(
図5に示される従来技術のインタリーブド取得スキームのように)固定である。
【0052】
イメージングされるスライスの時間順を適応させる利点は、インタリーブド取得スキームの実行の終了に向かって最も明らかになる。このフェーズにおいて、各スライスの磁気共鳴画像が、関心のある被検体20のほとんどすべての選択された呼吸状態について取得された。この状況において、磁気共鳴画像を取得するためにトリガする関心のある被検体20の次の呼吸状態のパラメータを適応させる自由度はほとんどなく、所望の呼吸状態においてトリガするために、平均して呼吸サイクルの半分に対応する時間待つ必要がある。
【0053】
例えば、N=4の呼吸状態及びM=8のスライスを有するスキャンパッケージの例において、見逃した磁気共鳴画像は、スライス#1乃至#4の100%吸気の呼吸状態及びスライス#5乃至#8の0%の呼吸状態のみであるが、スライスをイメージングする時間順が、m=1,2,3,...,8に保たれる場合には、8つの呼吸サイクルが、インタリーブド取得スキームを完了するために必要である。
【0054】
代わって、スライスをイメージングする時間順が、m=1,5,2,6,3,7,4,8に適応される場合、2つの磁気共鳴画像が、それぞれ0%及び100%の呼吸状態で取得されることができるという条件で、4つの呼吸サイクルのみが、インタリーブド取得スキームを完了するために必要とされる。
【0055】
インタリーブド取得スキームのパラメータを適応させるステップのさまざまな実施形態がここに開示される。当業者であれば、適応させるステップは、開示されたタイプのパラメータの任意の組み合わせのパラメータの任意の数字に適用できることが分かるであろう。
【0056】
本発明は、図面及び上述の記述に詳しく図示され記述されているが、このような図示及び記述は、制限的なものではなく、説明的又は例示的なものであると考えられることができる。本発明は、開示された実施形態に制限されない。図面、開示及び添付の請求項の検討から、開示された実施形態に対する他の変更例が、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。請求項において、「含む、有する(comprising)」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。請求項の任意の基準符号は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。