(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体基板の前記前面及び前記後面は前記半導体基板の端(edge)から前記半導体基板の内側に前記端に沿って連続的に形成された端領域と、前記端の領域を除外した残りの領域である中心領域をそれぞれ含み、
前記前面透明導電膜は、前記前面の端の領域と中心領域に完全に(entirely)形成されるか、前記前面の端の領域の内、一部に不連続に形成された未形成部を除外した残りの前記端領域及び前記中心領域に形成され、
前記後面透明導電膜は、前記後面の端の領域を除外した前記中心領域のみに形成される、請求項1に記載の太陽電池。
前記半導体基板は、n型不純物を含み、前記前面ドーピング層は、p型不純物を含有したp型非晶質シリコン(p−a−Si)で形成され、前記後面ドーピング層は、n型不純物を含有したn型非晶質シリコン(n−a−Si)で形成される、請求項7に記載の太陽電池。
前記前面集電極は、第1方向に延長された複数の第1フィンガー電極と、前記第1方向と直交する第2方向に延長され、複数の第1フィンガー電極と物理的に接続される少なくとも一つの第1バスバー電極を含み、前記後面集電極は、前記第1方向に延長された複数の第2フィンガー電極と前記第2方向に延長され、複数の第2フィンガー電極と物理的に接続される少なくとも一つの第2バスバー電極を含むか、前記後面透明導電膜の後面を全体的に覆う面電極(sheet electrode)を含む、請求項13に記載の太陽電池。
前記少なくとも一つの第1バスバー電極の両側端部は、それぞれ前記第1方向に沿って、前記未形成部の両側に分割され、分割された部分との間には、前記未形成部が位置する、請求項16に記載の太陽電池。
前記未形成部を除外した前記端の領域の前記前面透明導電膜の上にも前記第1フィンガー電極が位置し、前記分割された第1バスバー電極の両側端部は、前記端の領域に延長されて前記第1フィンガー電極に物理的に接続される、請求項16に記載の太陽電池。
前記前面ドーピング層と前記半導体基板との間に位置する前面パッシベーション層と、前記後面ドーピング層と前記半導体基板との間に位置する後面パッシベーション層とをさらに含む、請求項14に記載の太陽電池。
前記前面パッシベーション層と、前記後面パッシベーション層は、真性非晶質シリコン(i−a−Si)またはトンネル酸化膜(tunnel oxide)で形成される、請求項21に記載の太陽電池。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高効率の太陽電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る太陽電池は、第1導電型の結晶質半導体基板と半導体基板の前面(front surface)に位置し半導体基板と異種接合を形成する前面ドーピング層と、半導体基板の後面(back surface)に位置し、半導体基板と異種接合を形成する後面ドーピング層と、前面ドーピング層の上に位置する前面透明導電膜及び後面ドーピング層の下に位置する後面透明導電膜を含み、前面ドーピング層と後面ドーピング層の中のいずれか1つは、半導体基板とp−n接合を形成するように、第1導電型の反対の第2導電型で形成され、前面ドーピング層と 後面ドーピング層の内、他の一つは、第1導電型で形成され、前面透明導電膜の表面積は、後面透明導電膜の表面積より広く形成される。
【0009】
前面透明導電膜の第1方向の幅は、半導体基板の第1方向の幅と、同一に形成されるか、半導体基板の第1方向の幅より大きく形成することができる。
【0010】
半導体基板の前面の端の領域の内、少なくとも一部の領域には、前面透明導電膜が形成されないことがある。
【0011】
前面透明導電膜が形成されない領域は、半導体基板の前面の端の領域の内、一部の領域に局部的に位置することができる。
【0012】
前面透明導電膜が形成されない領域は、互いに離隔した複数個でなることができる。
【0013】
後面透明導電膜の第1方向の幅と第2方向の幅は、半導体基板の第1方向の幅と第2方向の幅よりそれぞれ小さく形成することができる。
【0014】
半導体基板の後面の端の領域には、後面透明導電膜が形成されないことがある。
【0015】
後面透明導電膜が形成されない領域は、半導体基板の端に沿って連続的に形成することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態において、半導体基板の前面と後面は、半導体基板の端(edge)から半導体基板の内側に前記端に沿って連続的に形成された端領域と端領域を除外した残りの領域である中心領域をそれぞれ含み、前面透明導電膜は前面の端の領域と中心領域に完全に(entirely)形成されたり、前面の端の領域の内、一部に不連続に形成された未形成部を除外した残りの端領域と中央領域に形成され、後面透明導電膜は後面の端の領域を除外した中心領域のみに形成される。
【0017】
このような構成の太陽電池に係れば、前面透明導電膜と後面透明導電膜の物理的な接続または物理的な接触を完璧に防止しながらも、光が入射する半導体基板の前面側に位置する前面透明導電膜のサイズを最大限に大きく形成することができる。
【0018】
したがって、太陽電池の高効率化を達成することができる。
【0019】
半導体基板の後面の端の領域は、例えば、0.5mm乃至1.5mmの幅、好ましくは0.5mm乃至1.0mmの幅で形成することができる。
【0020】
そして、半導体基板の前面と後面の内、少なくとも一つは、複数の微細凹凸を含むテクスチャリング表面に形成することができる。
【0021】
半導体基板が、n型不純物を含有した場合、前面ドーピング層はp型不純物を含有したp型非晶質シリコン(p−a−Si)で形成され、前記後面ドーピング層は、n型不純物を含有したn型非晶質シリコン(n−a−Si)で形成することができる。
【0022】
本発明の実施の形態に係る太陽電池は、前面透明導電膜の上に位置する前面集電極と後面透明導電膜の下に位置する後面集電極をさらに含み、前面集電極は、前面ドーピング層と物理的に直接接触せず、後面集電極は、ドーピング層と物理的に直接接触しない。
【0023】
このような構成に係れば、電極(例えば、金属材質)を焼成する際に、ドーピング層に欠陥が発生することを防止することができる。
【0024】
前面集電極は、第1方向に延長された複数の第1フィンガー電極と、第1方向と直交する第2方向に延長され、複数の第1フィンガー電極と物理的に接続される少なくとも一つの第1バスバー電極を含むことができる。
【0025】
そして、後面集電極は、第1方向に延長された複数の第2フィンガー電極と、第2方向に延びて、複数の第2フィンガー電極と物理的に接続される少なくとも一つの第2バスバー電極を含むか、後面透明導電膜の後面を全体的に覆う面電極(sheet electrode)を含むことができる。
【0026】
本発明の実施の形態に係れば、未形成部は 少なくとも一つの第1バスバー電極の両側端部側にそれぞれ位置することができる。
【0027】
そして、少なくとも一つの第1バスバー電極の両側端部の第1方向の幅は、第2方向に沿って両側端部の間に位置する残りの部分の第1方向の幅より大きく形成されることがあり、少なくとも一つの第1バスバー電極の両側端部は、それぞれ、第1方向に沿って未形成部の両側に分割され、分割された部分との間には、未形成部が位置することができる。
【0028】
このとき、未形成部を除外した端領域の前面透明導電膜の上にも、第1フィンガー電極が位置することができ少なくとも一つの第1バスバー電極の分割された両側端部は、端の領域に延長され、第1フィンガー電極に物理的に接続することができる。
【0029】
未形成部の第1方向の幅は、第1バスバー電極の残りの部分の第1方向の幅以下に形成することができ、未形成部の第2方向の長さは、第2方向に隣接した2つのフィンガー電極との間の間隔より小さく形成することができる。
【0030】
本発明の実施の形態に係る太陽電池は、前面ドーピング層と半導体基板との間に位置する前面パッシベーション層、及び後面ドーピング層と半導体基板との間に位置する後面パッシベーション層をさらに含むことができ、前面パッシベーション層と後面パッシベーション層は、真性非晶質シリコン(i−a−Si)またはトンネル酸化膜(tunnel oxide)で形成することができる。
【0031】
そして、前面パッシベーション層、後面パッシベーション層、前面ドーピング層及び後面ドーピング層の内、少なくとも一つは、半導体基板の側面上に、さらに位置することができ、前面パッシベーション層、後面パッシベーション層、前面ドーピング層及び後面ドーピング層は、半導体基板の側面で互いに重畳することができる。このように、半導体基板の側面で前面パッシベーション層、後面パッシベーション層、前面ドーピング層及び後面ドーピング層が互いに重畳すると、半導体基板の面でのパッシベーション効果を得ることができる。もちろん、半導体基板の側面で前面パッシベーション層と後面パッシベーション層だけ互いに重畳し、前面ドーピング層及び後面ドーピング層が半導体基板の側面上に、さらに位置しなくても、半導体基板の側面で互いに重畳するフ前面パッシベーション層及び後面パッシベーション層によってパッシベーション効果がある。
【0032】
この時、前面透明導電膜は半導体基板の側面で互いに重畳した前面パッシベーション層、後面パッシベーション層、前面ドーピング層及び後面ドーピング層の上にさらに配置することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の実施の形態に係る太陽電池においては、前面透明導電膜と後面透明導電膜の物理的な接続または物理的な接触を完璧に防止しながらも、光が入射する半導体基板の前面側に位置する前面透明導電膜のサイズを最大限に大きく形成することができる。したがって、太陽電池の高効率化を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施の形態を有され得るが、特定の実施の形態を図に例示し、詳細に説明する。これは、本発明を特定の実施の形態について限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解され得る。
【0036】
本発明を説明するにあたって、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用され得るが、前記の構成要素は、前記用語によって限定されないことがある。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用され得る。
【0037】
例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1構成要素は、第2構成要素として命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素として命名され得る。
【0038】
“及び/または"という用語は、複数の関連する記載項目の組み合わせまたは複数の関連する記載項目の内、いずれか1つの項目を含むことができる。
【0039】
いずれの構成要素が他の構成要素に“接続されて"いるとか、“結合されて”いると言及される場合は、その他の構成要素に直接接続されるか、または結合されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在するかもできると理解され得る。
【0040】
一方、いずれの構成要素が他の構成要素に“直接接続されて"いるとか、“直接結合されて"いると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないことが理解され得る。
【0041】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施の形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含むことができる。
【0042】
本出願で、“含む"または“有する"などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解され得る。
【0043】
図面で複数の層と領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“上に”あるとする時、これは他の部分“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。逆にどの部分が他の部分“真上に”あるとするときは、中間に他の部分がないことを意味する。
【0044】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することがある。
【0045】
一般的に使用される事前に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されることがあり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されないことがある。
【0046】
併せて、以下の実施の形態は、当業界で平均的な知識を有する者に、より完全に説明するために提供されているものであって、図面での要素の形状及び大きさなどは、さらに明確な説明のために誇張されることがある。
【0047】
それでは、添付した図面を参考にして、本発明の実施の形態を説明する。
【0048】
図1は、本発明の第1実施の形態に係る太陽電池の前面図及び後面図であり、
図2は
図1に示した太陽電池をX−X方向にII−II線に沿って切断して示した断面図であって、
図3は
図1に示した太陽電池において前面集電極及び後面集電極が除去された状態を示す前面図及び後面図である。
【0049】
図1〜
図3に示すように、本発明の第1実施の形態に係る太陽電池は、結晶質半導体基板110を備える。
【0050】
半導体基板110の前面(または光入射面)には、前面パッシベーション層120、前面ドーピング層130、前面透明導電膜140、及び前面集電極150が順次積層され、半導体基板110の後面には、後面パッシベーション層160、後面ドーピング層170、後面透明導電膜180及び後面集電極190が順次積層される。
【0051】
以下において、「前面」とは、添付の図面で、上に向かう面を言って、「後面」は、添付の図面から下に向かう面をいう。そして、前記「前面」とは、透明導電膜(140、180)の中で幅が相対的に広い透明導電膜に位置する面をいい、相対的に広い幅を有する透明導電膜が位置する面が前面または光入射面として使用することができる。
【0052】
基板110は、第1導電型、例えば、n型導電型の不純物を含有する結晶質シリコンからなる半導体基板110である。この時、シリコンは単結晶質シリコンまたは多結晶質シリコンで有り得る。
【0053】
基板110がn型の導電型を有するので、基板110は、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などのように5価元素の不純物を含有する。
【0054】
しかし、これとは異なり、半導体基板110は、p型導電型で有り得、シリコン以外の他の半導体物質からなることもできる。基板110がp型の導電型を有する場合、基板110はホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)のような3価元素の不純物を 含有され得る。
【0055】
以下では、基板110がn型導電型を有する場合を一例として説明する。
【0056】
このような基板110は、表面がテクスチャリング(texturing)されたテクスチャリング表面(texturing surface)を有する。さらに具体的には、基板110は、前面パッシベーション層120が位置する前面(front surface)と後面パッシベーション層160が位置する後面(back surface)がテクスチャリング表面でそれぞれ形成される。
【0057】
しかし、これとは異なり、半導体基板110の後面は、微細な凹凸を備えない実質的に平坦な面で形成することもできる。
【0058】
半導体基板110の前面に位置する前面パッシベーション層120と後面に位置する後面パッシベーション層160は、実質的に真性であるi型非晶質シリコン(i−a−Si)で形成され、又はトンネル酸化膜(tunnel oxide)で形成することができる。
【0059】
前面パッシベーション層120は、基板110の側面まで延長されて形成されることがあり、後面パッシベーション層160も基板110の側面まで延長されて形成されることがあり、この場合、前面パッシベーション層120と後面パッシベーション層160は、半導体基板110の側面で互いに重畳する。したがって、半導体基板の側面でのパッシベーション効果を得ることができるので、半導体基板の側面が前面及び後面パッシベーション層により覆われてない場合に比べて、パッシベーション効果を向上させることができる。ここで、「互いに重畳」は、半導体基板の側面側から見たときに、前面パッシベーション層と後面パッシベーション層の少なくとも一部が投影面上で互いに重なり合う状態をいう。
【0060】
前面パッシベーション層120上に位置する前面ドーピング層130は、基板110の導電型と反対の第2導電型、例えば、p型の導電型を有する不純物部として、p型非晶質シリコン(p−a−Si)からなり、基板110とp−n接合及び異種接合(hetero junction)を形成する。
【0061】
そして、後面パッシベーション層160の下に、すなわち、後面に位置する後面ドーピング層170は、基板110の導電型と同じ第1導電型、例えば、n型の導電型を有する不純物部として、n型非晶質シリコンからなり、基板110と異種接合を形成する。
【0062】
これとは異なり、半導体基板の前面(または光入射面)に位置する前面ドーピング層130がn型非晶質シリコン(n−a−Si)からなり、半導体基板の後面(または光入射面の反対側面)に位置する後面ドーピング層170がp型非晶質シリコン(p−a−Si)からなることもある。
【0063】
半導体基板110と後面ドーピング層170がn型であり、前面ドーピング層130がp型である場合、分離された電子は、後面ドーピング層170の方向に移動し、分離された正孔は、前面ドーピング層130の方向に移動する。
【0064】
本実施の形態とは異なり、基板110と後面ドーピング層170がp型であり、前面ドーピング層130がn型である場合、分離された正孔は、後面ドーピング層170の方向に移動し、分離された電子は、前面ドーピング層130の方向に移動する。
【0065】
このような構成の前面ドーピング層130と後面ドーピング層170は、それぞれ、半導体基板110の側面まで延長されて形成することができる。
【0066】
したがって、半導体基板110の側面には、前面パッシベーション層120、前面ドーピング層130、後面パッシベーション層160及び後面ドーピング層170が順次積層されて互いに重畳する。しかし、前面ドーピング層は、半導体基板の前面のみ形成されるとともに、後面ドーピング層は、半導体基板の後面のみに形成することもできる。この場合、半導体基板の側面では、前面パッシベーション層と後面パッシベーション層だけ互いに重畳する。
【0067】
半導体基板110の前面と後面は、半導体基板110の端(edge)から半導体基板110の内側に前記端に沿って連続的に形成された端領域(A1)と端領域(A1)を除外した残りの領域である中心領域(A2)をそれぞれ含む。
【0068】
本実施の形態において、前面透明導電膜140は、半導体基板110の前面の端領域(A1)及び中心領域(A2)に完全に(entirely)形成される。
【0069】
ここで、「完全に形成される」とは、前面透明導電膜140が形成されない領域がなく、半導体基板110の前面の端領域(A1)と中心領域(A2)に形成されることを意味する。
【0070】
そして、前面透明導電膜140は、半導体基板110の側面まで延長されて形成することができる。
【0071】
この場合、半導体基板110の側面には、前面パッシベーション層120、前面ドーピング層130、後面パッシベーション層160、後面ドーピング層170及び前面透明導電膜140が順次積層されて互いに重畳する。
【0072】
そして、後面透明導電膜180は、半導体基板110の後面の端の領域(A1)を除外した中心領域(A2)にのみ形成される。つまり、後面透明導電膜180は、半導体基板110の後面の端領域(A1)には、形成されない。
【0073】
したがって、半導体基板110の側面まで延長された前面透明導電膜140が後面透明導電膜180と物理的に接続及び接触(contact)することを防止することができる。また、前面透明導電膜140による 半導体基板110の前面の カバレッジ(coverage)は、後面透明導電膜180による 半導体基板110の後面のカバレッジより大きくなることができるので、前面透明導電膜140は、後面透明導電膜180の平面領域より大きい。また、 前面透明導電膜140の第1方向の幅は、 半導体基板110の第1方向の幅と同じか、長いこともできる。また、 後面透明導電膜180の第1方向の幅と前記第1方向の幅に直交する第2方向の幅は、半導体基板110の第1方向の幅及び第2方向の幅より小さいことができる。
【0074】
下記の表1は、後面透明導電膜180の端領域(A1)の大きさ(幅)による太陽電池の特性の違いを実験したデータである。
【表1】
【0075】
前記表1を参照すると、半導体基板の後面の端領域(A1)の大きさ(幅)に応じて、主に変る因子(factor)は、短絡電流密度(Jsc)として、半導体基板の後面の端領域(A1)の大きさ(幅)が2.0mmで1.0mmに減少することにより、短絡電流密度が増加し、変換効率(efficiency)が増加する傾向があるが、端領域(A1)の大きさ(幅)が0.5mm未満になると、例えば、端領域(A1)の大きさ(幅)が0.3mmになると 端領域(A1)の大きさ(幅)が0.5mmである場合に比べて、フィルファクター(FF)が減少して、むしろ変換効率が 減少することがわかる。
【0076】
これは、半導体基板の後面の端領域(A1)の大きさ(幅)が0.5mm未満である場合、現実的に、後面透明導電膜180の一部が前面透明導電膜140と電気的に接続されてシャント(shunt)抵抗が減少したことが、その原因と考えられる。
【0077】
したがって、半導体基板110の後面の端領域(A1)の大きさ(幅)は例えば、0.5mm乃至1.5mm、特に0.5mm乃至1.0mmの大きさ(幅)で形成することが望ましいことがわかる。
【0078】
前面透明導電膜140と後面透明導電膜180は、それぞれスズ(Sn)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、セリウム(Ce)または水素(H)を不純物として含有する主成分が酸化インジウム(In
2O
3)からなる膜で形成され、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)またはガリウム(Ga)を不純物として含有する主成分が酸化亜鉛(ZnO)からなる膜で形成され、フッ素(F)を不純物として含有する主成分が酸化スズ(SnO2)膜で形成され、又はタンタル(Ta)、またはチタニウム(Ti)の内、少なくとも一つを不純物として含有する主成分が酸化インジウムからなる膜で形成されることができる。
【0079】
前面透明導電膜140と後面透明導電膜180は、同一の物質で形成されたり、別の物質で形成することができる。
【0080】
ここで、「同一の物質」とは、主成分と不純物が同一の物質を言い、「別の物質」とは、主成分と不純物の内、少なくとも一つが異なる物質をいう。
【0081】
前面透明導電膜140は、半導体基板110に入射される光の量を増加させるための反射防止作用をし、また、前面ドーピング層130に移動した電荷を前面集電極150に伝達する作用をする。
【0082】
このような作用をする前面透明導電膜140は、反射防止特性を考慮し、約70nm乃至100nmの厚さで形成することができる。
【0083】
後面透明導電膜180は、後面反射(back reflect)作用をし、また、後面ドーピング層170に移動した電荷を後面集電極190に伝達する作用をする。
【0084】
後面透明導電膜180は、前面透明導電膜140と、同一の厚さで形成されたり、別の厚さで形成することができる。
【0085】
前面透明導電膜140上には前面集電極150が位置し、好ましく、前面集電極150は、半導体基板110の前面の中心領域(A2)と端領域(A1)にのみ位置する。つまり、前面集電極150は、半導体基板110の側面には、位置しない。したがって、前面集電極150は、前面ドーピング層130と物理的に直接接触しない。
【0086】
前面集電極150は、第1方向(X−X)に延長され、平行に離隔された複数の第1フィンガー電極(150a)と、第1方向(X−X)と直交する第2方向(Y−Y)に延長され、複数の第1フィンガー電極(150a)と物理的に接続される少なくとも一つの第1バスバー電極(150b)を含むことができ、導電性に優れた金属、例えば銀(Ag)で形成することができる。
【0087】
後面透明導電膜180の下に、すなわち、下部には、後面集電極190が位置し、好ましくは、後面集電極190は、半導体基板110の後面の中心領域(A2)にのみ位置する。つまり、後面集電極190は、半導体基板110の後面の端領域(A1)と、半導体基板110の側面には、位置しない。したがって、後面集電極190は、後面ドーピング層170と物理的に直接接触しない。
【0088】
後面集電極190は、前面集電極150と同じ構造で形成することができる。この場合、後面集電極190は、第1方向(X−X)に延長され、平行に離隔された複数の第2フィンガー電極(190a)と、第2方向(Y−Y)に延長され、複数の第2フィンガー電極(190a)と物理的に接続される少なくとも一つの第2バスバー電極(190b)を含むことができ、前面集電極150と同一の物質で形成することができる。
【0089】
これとは異なり、後面集電極190と前面集電極150は、異なる導電性物質で形成することもできる。
【0090】
一方、後面集電極190の第2バスバー電極(190b)は、前面集電極150の第1バスバー電極(150b)と、互いに対向する位置に位置することができる。
【0091】
そして、第2方向に互いに隣接した第2フィンガー電極(190a)の間隔は、第2方向に互いに隣接した第1フィンガー電極(150a)の間隔より大きく形成することができる。
【0092】
このように、前面集電極150と後面集電極190が同じ構造で形成された太陽電池は、両面型太陽電池として使用することができる。
【0093】
以下、
図4及び
図5を参照して、本発明の第2実施の形態に係る太陽電池について説明する。
【0094】
図4は本発明の第2実施の形態に係る太陽電池の前面図であり、
図5は、
図4に示した太陽電池で、前面集電極が除去された状態を示す前面図である。
【0095】
第2実施の形態の太陽電池を説明することに当たって、太陽電池の後面構造は、前述した第1実施の形態と同様に構成されるので、以下では、太陽電池の前面構造についてのみ説明し、前述した第1実施の形態と同一の符号については、詳細な説明を省略する。
【0096】
第1実施の形態の太陽電池において、前面透明導電膜140は、半導体基板110の前面の中心領域(A2)と端領域(A1)に完全に形成され、また、半導体基板110の側面まで延長された。
【0097】
しかし、本実施の形態の太陽電池においては、前面透明導電膜140が半導体基板110前面の端領域(A1)の内、一部に不連続に形成された未形成部(A3)を除外した残りの端領域(A1)と中心領域(A2)に形成される。
【0098】
すなわち、本実施の形態において、半導体基板110の前面の端領域(A1)には、前面透明導電膜140が形成されない未形成部(A3)が存在し、未形成部(A3)は、 端領域(A1)の一部に不連続に形成される。
【0099】
ここで、「不連続的に形成」とは、未形成部(A3)が半導体基板110の端に沿って連続的に形成されてはいない形状をいい、このような形状の一例として、アイルランド(island)形状を言うことができる。
【0100】
したがって、第1方向に隣接した未形成部(A3)との間には、一定の間隔が維持される。
【0101】
好ましく、未形成部(A3)は、第1バスバー電極(150b)の両側端部側にそれぞれ位置することができる。
【0102】
半導体基板110の前面に位置する前面集電極150は、半導体基板110に入射される光を遮断するので、前面集電極150によるシェーディング損失(shading loss)が発生する。
【0103】
そして、前面集電極150の第1バスバー電極(150b)には、隣接する太陽電池との電気的接続のための配線が接合され、この配線は、隣接する太陽電池の方向で延長される。
【0104】
したがって、前面集電極150及び隣接する太陽電池との電気的接続のための配線が位置する領域には、光が入射しないため、未形成部(A3)を第1バスバー電極(150b)の両方の端部側にそれぞれ位置させると、前面透明導電膜140が形成されない未形成部(A3)の全体面積を減らすことができる。
【0105】
第1バスバー電極(150b)は、両方の端部の第1方向の幅(W1)が第2方向(Y−Y)に沿って両側端部の間に位置する残りの部分の第1方向の幅(W2)より大きく形成される。
【0106】
そして、第1バスバー電極(150b)の両側端部は、それぞれ、第1方向(X−X)に沿って未形成部(A3)の両側に分割され、分割された部分との間には、未形成部(A3)が位置する。つまり、第1バスバー電極(150b)の両側端部は、未形成部(A3))には、位置しない。したがって、第1バスバー電極(150b)の両側端部が 未形成部(A3)に位置する前面ドーピング層と物理的に接触しない。
【0107】
この時、未形成部を除外した端領域の前面透明導電膜の上にも、第1フィンガー電極(150a)が位置することができ、分割された第1バスバー電極(150b)の両側端部は、端領域(A1)に延長され、第1フィンガー電極(150a)に物理的に接続することができる。
【0108】
未形成部(A3)の第1方向の幅(W3)は、第1バスバー電極(150b)の残りの部分の第1方向の幅(W2)以下で形成することができ、未形成部(A3)の第2方向の長さ(L1)は、第2方向(Y−Y)に隣接した2つの第1フィンガー電極(150a)との間の間隔(D1)より大きく、又は小さく形成することができ、同一に形成することもできる。
【0109】
以下、
図6を参照して、本発明の第3実施の形態に係る太陽電池について説明する。
【0110】
図6は、本発明の第3実施の形態に係る太陽電池の断面図である。
【0111】
第3実施の形態の太陽電池を説明するに当たって、太陽電池の前面構造は、前述した第1実施の形態または第2実施の形態と同様に構成されるので、以下では、太陽電池の後面構造についてのみ説明し、前述した第1実施の形態及び第2実施の形態と同一の図面符号については、詳細な説明を省略する。
【0112】
第1実施の形態の太陽電池における後面集電極190は、第2フィンガー電極(190a)及び第2バスバー電極(190b)で構成された。
【0113】
しかし、本実施の形態の太陽電池においては、後面集電極190’が後面透明導電膜180の後面を全体的に覆う面電極(sheet electrode)で構成される。
【0114】
このように、後面集電極190’が面電極で構成された太陽電池は、半導体基板110の後面を介して光が入射しないため、片面型太陽電池として使用することができる。
【0115】
前術の太陽電池は、モジュール化工程により、太陽電池モジュールに製造することができる。
【0116】
太陽電池モジュールは、隣接する太陽電池を配線(インターコネクタまたはリボン)に電気的に接続した複数の太陽電池を一対の基板の間に位置させ、封止材を両基板の間に配置してラミネート工程を実施することにより製造することができる。
【0117】
以下、前述した太陽電池の製造方法について簡単に説明する。
【0118】
先ず、第1実施の形態に係る太陽電池の製造方法について説明すると、n型単結晶シリコン基板を洗浄して不純物を除去し、水酸化ナトリウム水溶液からなるエッチング液を用いてエッチングを行うことにより、シリコン基板の前面と後面にそれぞれテクスチャ表面を形成した半導体基板110を用意する。
【0119】
次に、例えば、RFプラズマCVD法を用いて、基板110の前面と側面にi型非晶質シリコンからなる前面パッシベーション層120とp型非晶質シリコンからなる前面ドーピング層130を順次形成し、基板110の後面と側面にi型非晶質シリコンからなる後面パッシベーション層160とn型非晶質シリコンからなる後面ドーピング層170を順次形成する。
【0120】
したがって、半導体基板110の側面から前面パッシベーション層120、前面ドーピング層130、後面パッシベーション層160及び後面ドーピング層170が互いに重畳する。
【0121】
次に、
図7に示したスパッタリング(sputtering)装置を用いて、前面ドーピング層130上に前面透明導電膜140を形成するとともに、後面ドーピング層170の後面に後面透明導電膜180を形成する。
【0122】
図7に示すスパッタリング装置は、半導体基板110の両面、すなわち前面と後面に透明導電膜(140、180)を同時に形成可能な装置として、真空蒸着原料物質(sputtering target)200は、トレイ(tray)210に安置された半導体基板110の前面上と後面の下にそれぞれ位置する。
【0123】
したがって、
図7に示すスパッタリング装置を用いる場合、前面透明導電膜140と後面透明導電膜180は、同一のスパッタリング工程で同時に形成することができる。
【0124】
この時、半導体基板110を安置するトレイ210は、半導体基板110の後面と物理的に直接接触する接触部212を備え、接触部212は、半導体基板110の後面の端領域(A1)をカバーする形状に形成される。
【0125】
したがって、
図7に示すスパッタリング装置を用いて、前面透明導電膜140と後面透明導電膜180を形成すると、半導体基板110の前面の中心領域(A2)と 端領域(A1)に完全に形成され、半導体基板110の側面まで延長された前面透明導電膜140と、半導体基板110の後面の中心領域(A2)にのみ形成された後面透明導電膜180を得ることができる。
【0126】
前述の製造方法で成膜された前面透明導電膜140と後面透明導電膜180の結晶化のために一定温度で一定時間の間アニーリング(annealing)工程を実施することができる。
【0127】
次いで、スクリーン印刷法を用いて、前面透明導電膜140と後面透明導電膜180上の所定の領域に、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に銀(Ag)粉末を混練した銀ペースト(Ag paste)を前面透明導電膜140と後面透明導電膜180上のフィンガー電極領域とバスバー電極領域に形成し、設定温度で設定時間の間加熱することにより、銀ペーストを硬化して前面集電極150と後面集電極190を形成する。
【0128】
以下、第2実施の形態に係る太陽電池の製造方法について説明すると、前述した第1実施の形態に係る太陽電池の製造方法と同様に、半導体基板110の前面と側面にi型非晶質シリコンからなる前面パッシベーション層120とp型非晶質シリコンからなる前面ドーピング層130を順に形成し、基板110の後面と側面にi型非晶質シリコンからなる後面パッシベーション層160とn型非晶質シリコンからなる後面ドーピング層170を順に形成する。
【0129】
したがって、半導体基板110の側面から前面パッシベーション層120、前面ドーピング層130、後面パッシベーション層160及び後面ドーピング層170が互いに重畳する。
【0130】
次に、
図8に示したRPD(remote plasma deposition)装置を用いて、前面ドーピング層130上に前面透明導電膜140を形成するとともに、後面ドーピング層170の後面に後面透明導電膜180を形成する。
【0131】
図8に示したRPD装置は、半導体基板110をフリップ(flipping)することにより、半導体基板110の両面、すなわち前面と後面に透明導電膜(140、180)を順次形成可能な装置として、真空蒸着原料物質(sputtering target)200は、トレイ(tray)(210、220)に安置された半導体基板110の後面の下にのみ位置する。
【0132】
したがって、
図8に示すRPD装置を用いる場合、後面透明導電膜180と、前面透明導電膜140は、順次に形成することができる。
【0133】
この時、後面透明導電膜180を形成するために、半導体基板110を安置するトレイ210は、半導体基板110の後面と物理的に直接接触する接触部212を備え、接触部212は、半導体基板110の後面の端領域(A1)をカバーする形状に形成される。
【0134】
そして、前面透明導電膜140を形成するために、半導体基板110を安置するトレイ220は、半導体基板110の前面と物理的に直接接触する接触部222を備え、接触部212は、半導体基板110の後面の端領域(A1)の中で未形成部(A3)をカバーする形状に形成される。
【0135】
したがって、
図8に示すRPD装置を用いて、後面透明導電膜180を形成すると、半導体基板110の後面の中心領域(A2)のみ形成された後面透明導電膜180を得ることができる。
【0136】
そして、後面透明導電膜180を形成した後、半導体基板110を裏返し、半導体基板110の前面がトレイ220の内部の安置部222と接触するように半導体基板110をトレイ220に安置した状態で、前面透明導電膜140を形成すると、半導体基板110の前面の中心領域(A2)と、未形成部(A3)を除外した端領域(A1)に形成された前面透明導電膜140を得ることができる。
【0137】
以降、必要な場合には、前面透明導電膜140と後面透明導電膜180の結晶化のためのアニーリング(annealing)工程を実施することができ、スクリーン印刷法を用いて、前面集電極150と後面集電極190を形成する。