(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドライバへの情報の出力を制御するステップは、1つまたはそれ以上のメッセージの提示のタイミングを制御するステップ、および/または1つまたはそれ以上のメッセージの出力形式を制御するステップを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の方法。
少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップは、少なくとも1つの車両システムの動作頻度および/または動作重要度を判断するステップを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の方法。
少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップは、車両に関する少なくとも1つの動的な動作パラメータを測定するステップを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の方法。
作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定するように構成されたことを特徴とする請求項8に記載の作業負荷モニタシステム。
作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの動作頻度および/または動作重要度をモニタするように構成されたことを特徴とする請求項8または9に記載の作業負荷モニタシステム。
作業負荷モニタシステムは、情報の出力を順序付けるための優先指標を含む記憶デバイスをさらに有することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1に記載の作業負荷モニタシステム。
作業負荷推定装置は、車両に関する少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成された請求項8〜11のいずれか1に記載の作業負荷モニタシステム。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様は、添付クレームにクレームされた方法、システム、またはコンピュータシステムを提供するものである。
【0006】
保護を求める本発明に係る態様によれば、ドライバに対する情報の出力を制御する方法が提供され、この方法は、
車両の少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップと、
少なくとも1つの動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するステップと、
推定されたドライバ作業負荷に基づいて、ドライバへの情報の出力を制御するステップとを有し、
ドライバの作業負荷は、複数のドライバ作業負荷の評定を定義する複数の閾値を参照して推定され、
この方法は、現在の推定されたドライバ作業負荷の評定より低い評定を有するいくつかまたはすべての定義されたドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるステップを有することを特徴とするものである。
【0007】
推定作業負荷は、ドライバが車両を運転中のドライバ作業負荷のリアルタイムの推定値を提供するものであってもよい。ドライバへの要求が継続的に増大するとき、追加的な操作が過剰な負担となり、ドライバの全体的な運転能力が低下することもあり得る。本発明に係る方法によれば、推定されたドライバ作業負荷に基づいて、ドライバへの情報の出力を制御することにより、こうした状況の回避を支援することができる。したがって、この方法は、ドライバ作業負荷が高度であると推定されるとき、ドライバに出力される情報のタイプを制御することができる。作業負荷制御システムは、作業負荷管理システムの一部を構成してもよい。
【0008】
少なくとも1つの動作パラメータをモニタすることにより、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定することができる。ドライバ作業負荷は、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルに基づいて推定することができる。推定ドライバ作業負荷は、現在動作中である車両システムの絶対数に依存させることができる。択一的には、推定ドライバ作業負荷は、各車両システムに付随するリソース配分(重み付けまたはバイアス)に依存させることができる。ドライバ作業負荷は、名目上の基準ラインを参照して推定することができる。この方法は、ドライバ作業負荷が基準ラインを超えたときに高度であると推定し、ドライバ作業負荷が基準ラインを下回ったときに低度であると推定することができる。
【0009】
少なくとも1つの動作パラメータは、車両システムが動作中であるか否かを示すことができる。択一的または追加的には、少なくとも1つの動作パラメータは、1つまたはそれ以上の車両システムの動作範囲を特定することができる。動作パラメータは、1つまたはそれ以上の車両システムの現在の動作モードを示すことができる。たとえば、動作パラメータは、現在連結されているトランスミッションギアを示すことができる。動作パラメータは、たとえば車両速度、縦方向加速度、または横方向加速度等の車両の動的な運転操作に関する測定値であってもよい。同様に、動作パラメータは、たとえばブレーキ要求、スロットル要求、駐車ブレーキ状態、トランスミッションの選択ギア等のドライバの入力であってもよい。
【0010】
ドライバ作業負荷は、複数の閾値を参照して推定してもよい。複数の閾値は、複数のドライバ作業負荷の評定(仕分け)を定義してもよい。ドライバ作業負荷の評定は、ドライバ作業負荷を、たとえば高度、中度、または低度に分類することができる。閾値は、1つまたはそれ以上の車両システムに関して決定された能動性レベル(動作レベル)に関連付けることができる。
【0011】
ドライバへ出力される情報は、現在の推定ドライバ作業負荷に関連してもよい。この方法は、いくつかまたはすべての定義されたドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるステップをさらに有してもよい。この周期的変動プロセスは、優先度のより低い情報をいつまでも保留させたままにすることを回避しやすくする。この方法は、現在の推定されたドライバ作業負荷の評定より低い評定を有するドライバ作業負荷の評定の中で周期的に変動させてもよい。
【0012】
少なくとも1つの動作パラメータに関連するドライバ作業負荷の評定を定義するために、判断基準を適用し、すなわちアルゴリズムを実行することができる。アルゴリズムは、特定のドライバ作業負荷の評定に関連する複数の動作パラメータの組み合わせを定義することができる。
【0013】
ドライバへの情報の出力には、1つまたはそれ以上のメッセージを提示することが含まれる。複数のメッセージの提示を順序付けるため、各メッセージは関連付けられた優先指標を有する。2つまたはそれ以上のメッセージを同時に提示しようとする場合、より高い優先指標を有するメッセージが出力される。同じ優先指標を有するメッセージを、発生した順番に基づいて順序付けるためのカウンタを設けることができる。
【0014】
ドライバへの情報の出力を制御するステップは、1つまたはそれ以上のメッセージの提示のタイミングを制御するステップを含んでもよい。たとえば、メッセージが提示される頻度を推定ドライバ作業負荷に基づいて変更してもよい。この頻度は、推定ドライバ作業負荷が高度である場合には低減(メッセージ間の時間間隔を増大)させ、推定ドライバ作業負荷が低度である場合には増大(メッセージ間の時間間隔を低減)させてもよい。
【0015】
オーディオ、聴覚、または視覚等の1つまたはそれ以上のメッセージの出力形式で提供する出力デバイスを用いて、情報の出力を行ってもよい。ドライバへの情報の出力の制御には、1つまたはそれ以上のメッセージの出力形式を制御することを含んでもよい。出力形式は、推定ドライバ作業負荷に基づいて選択してもよい。
【0016】
少なくとも1つの動作パラメータは、1つまたはそれ以上の車両システムに関する動作頻度および/または動作重要度に関連付けることができる。たとえば、車両ブレーキシステムのための動作パラメータは、プレーキ動作の頻度および/またはドライバのブレーキ要求信号の重要性に依存させてもよい。
【0017】
少なくとも1つの動作パラメータは、車両に搭載された1つまたはそれ以上のセンサからのデータを受信することによりモニタすることができる。1つまたはそれ以上のセンサは、加速度、速度、および/またはブレーキ等の車両の動的な動作パラメータを測定することができる。この方法は、たとえば車両の横方向加速度を測定するステップを有してもよい。ドライバ作業負荷は、1つまたはそれ以上のセンサからのデータに基づいて推定することができる。ドライバへの情報の出力を動的な動作パラメータに基づいて制御することは、独立して特許を受けることができるものと確信される。
【0018】
更なる態様において、ドライバに対する情報の出力を制御する方法が提供され、この方法は、
車両の少なくとも1つの動的な動作パラメータを測定するステップと、
少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバへの情報の出力を測定するステップとを有する。測定された少なくとも1つの動的な動作パラメータが所定の閾値を超えた場合、情報の出力を禁止することができる。この方法は、少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するステップを有する。
【0019】
別の態様において、本発明は、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定するために、少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップと、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルに基づいてドライバ作業負荷を推定するステップとを有する方法に関する。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、作業負荷モニタシステムに関し、この作業負荷モニタシステムは、
車両の少なくとも1つの動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成された作業負荷推定装置と、
ドライバ作業負荷の評定を定義し、推定されたドライバ作業負荷に基づいて、ドライバへの情報の出力を制御するように構成された制御モジュールと、
現在の推定されたドライバ作業負荷の評定より低い評定を有するいくつかまたはすべての定義されたドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるように構成された調整モジュールとを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定するように構成することができる。作業負荷モニタシステムは、少なくとも1つの動作パラメータに基づいて、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定する能動性モニタを有することができる。
【0022】
能動性レベルは、1つまたはそれ以上の車両システムの動作頻度および/または動作重要度に関連付けることができる。作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの動作頻度および/または動作重要度をモニタするように構成することができる。
【0023】
制御モジュールは、たとえば高度、中度、または低度等の1つまたはそれ以上のドライバ作業負荷の評定(仕分け)を定義してもよい。調整モジュールは、いくつかまたはすべてのドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるように構成してもよい。
【0024】
作業負荷モニタシステムは、情報の出力を順序付けるための優先指標を含む記憶デバイスをさらに有してもよい。たとえば出力すべき情報を一時記憶するためのスケジューラを設けてもよい。
【0025】
また作業負荷モニタシステムは、情報の出力を制御するために、車両の少なくとも1つの動的な動作パラメータを利用するように構成することができる。作業負荷モニタシステムは、少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定することができる。少なくとも1つの動的な動作パラメータは、車両に搭載された1つまたはそれ以上のセンサからのデータを受信することができる。少なくとも1つの動的な動作パラメータを利用して、ドライバへの情報の出力を制御することは、独立して特許を受けることができるものと確信される。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、車両の少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバへの情報の出力を制御するための制御システムに関する。制御システムは、車両の動的な動作パラメータを測定するための1つまたはそれ以上のセンサに動作可能に接続することができる。さらに制御システムは、少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成することができる。
【0027】
さらに別の態様において、車両の少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成された作業負荷推定装置を備えた作業負荷モニタシステムに関する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、上記説明した作業負荷モニタシステムを備えた車両に関する。
【0029】
上述の方法は、マシン上で実行することができる。上述の方法は、電子マイクロプロセッサ等の1つまたはそれ以上のプロセッサを有する演算デバイス上で実行することができる。プロセッサは、メモリまたは記憶デバイスに記憶された演算指令を実行するように構成することができる。上述の演算デバイスは、演算指令を実行するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを有してもよい。
【0030】
さらに別の態様において、本発明は、プログラム可能な回路と、上記説明した方法を実行するようにプログラム可能な回路をプログラムするための少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上で符号化されたソフトウェアとを有するコンピュータシステムに関する。
【0031】
本願の範疇において、上記段落、クレーム、および/または以下の明細書および図面に記載された、さまざまな態様、実施形態、実施例、および択一例、特に個々の特徴物は、独立してまたは組み合わせて採用することができる。たとえば1つの実施形態に関連して説明された特徴物は、その特徴物が矛盾するものでなければ、すべての実施形態に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
動力車両(図示せず)のための本発明に係る作業負荷モニタシステム1のフローチャートを
図1に示す。作業負荷モニタシステム1は、車両動作パラメータに基づいてドライバの作業負荷を推定し、これに応じてドライバに対する情報の出力を制御するように構成される。
【0034】
作業負荷モニタシステム1は、車両コントローラエリアネットワーク(CAN)バス5に接続された車両制御システム3に組み込まれている。作業負荷モニタシステム1は、車両システム出力7、インフォテインメント(情報娯楽)システム9、およびヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)11を含むシステム出力に接続されている。作業負荷モニタシステム1は、車両環境設定ファイル13、車両診断モジュール15、システム相互作用挙動モジュール17、作業負荷推定装置19、および作業負荷調整モジュール21を備える。
【0035】
車両環境設定ファイル13および車両診断モジュール15は、システム相互作用挙動モジュール17および作業負荷推定装置19に入力信号を供給する。また車両CANバス5は、作業負荷推定装置19に直接的に車両動作パラメータを送信する。システム相互作用挙動モジュール17は、車両システムモジュール27、通信モジュール29、車室オーディオシステム31、およびナビゲーションシステム33にシステム制御信号を出力する。車両システムモジュール27は、車両システム出力7に接続される。通信モジュール29、車室オーディオシステム31、およびナビゲーションシステム33は、インフォテインメントシステム9に接続され、インフォテインメントシステムは、コールアシストモジュール35、クリティカル・オーディオ・レベル・モニタモジュール(CALM)37、およびナビゲーションモジュール39を有する。
【0036】
作業負荷モニタシステム1は、メッセージ参照テーブル43に接続されたメッセージ管理モジュール41をさらに有する。メッセージ管理モジュール41は、車両制御システム3内に設けられた機器クラスタ・スケジューラ45に対するメッセージ出力を制御する。機器クラスタ・スケジューラ45は、機器クラスタ・メッセージセンタ47およびヒューマン・マシン・インターフェイス11に接続され、ヒューマン・マシン・インターフェイスは、タッチスクリーン49、車室オーディオモジュール51、および1つまたはそれ以上のユーザ専用インターフェイス53を有する。
【0037】
[作業負荷推定]
作業負荷推定装置19は、追加的なリソース要求を処理するためのドライバの余剰能力を推定するように構成されている。作業負荷推定装置19は、車両動作パラメータに基づいて、メッセージ参照テーブル43内に保持されたルールおよびロジックをドライバの作業負荷状態に呼応させることができる。
図2に示し、以下説明するように、作業負荷推定装置19は、車両動作パラメータを用いて、現在のドライバの作業負荷を次の作業負荷状態(評定)の1つに分類することができる。
・低度作業負荷状態:ドライバが追加的な情報に順応するための十分な余剰能力を有する状態である。基準ラインは直線ライン上を「通常」速度で車両を制御することである。
・中度作業負荷状態:ドライバは高揚状態にあり、瞬間的に適時に追加的な情報に順応する余剰能力があまりない。
・高度作業負荷状態:ドライバは、直線ライン上を運転するより実質的に高い注意力を要する操作を行い、追加的な情報に順応できる能力が相当に低下した状態にある。
【0038】
推定されたドライバ作業負荷状態(低度、中度、高度)を示すドライバ作業負荷信号55は、作業負荷調整モジュール21に出力され、さらにシステム相互作用挙動モジュール17およびメッセージ管理モジュール41に出力される。メッセージ管理モジュール41は、推定されたドライバ作業負荷状態に基づいて、ユーザに提供すべきシステムメッセージを特定する。作業負荷推定装置19およびメッセージ管理モジュール41の動作について以下説明する。
【0039】
作業負荷推定装置19は、車両動作パラメータをモニタして複数の車両システムの動作状態を判断する。各車両動作パラメータは、異なる動作状態のそれぞれを示す信号範囲を有する。たとえば駆動トランスミッション(駆動伝達装置)に関連する車両動作パラメータは、駆動トランスミッションが、現時点ではパーク、リバース、ニュートラル、ドライブ、4速、3速、低速レンジ、または不定であることを示すことができる。さらに各車両システムは、ドライバの中度作業負荷状態および高度作業負荷状態に対するシングル事象トリガまたはマルチ事象トリガとして分類される。作業負荷推定装置19は、現時点での車両システムの分類に基づいてドライバの作業負荷状態を特定する。
【0040】
作業負荷推定装置19は、高度作業負荷状態および中度作業負荷状態のいずれも適用されない場合に、ドライバが低度作業負荷状態にあると推定する。さらに、ある特定の車両動作システムがアクティブである(作動中である)とき、作業負荷推定装置19は、低度作業負荷状態に強制的に移行する。
【0041】
作業負荷推定装置19は、(a)中度作業負荷のマルチ事象トリガとして分類された2つ以上の車両システムがアクティブである(いわゆる中度デュアルモード)か、または(b)中度作業負荷のシングル事象トリガとして分類された1つまたはそれ以上の車両システムがアクティブである(いわゆる中度シングルモード)であるとき、ドライバが中度作業負荷状態にあると推定する。作業負荷推定装置19は、複数の中度作業負荷事象トリガの所定の組み合わせがアクティブである場合にのみ、中度デュアルモードを起動させるように要求する判断基準(すなわちアルゴリズム)を適用することができる。
【0042】
作業負荷推定装置19は、(a)高度作業負荷のマルチ事象トリガとして分類された2つ以上の車両システムがアクティブである(いわゆる高度デュアルモード)か、または(b)高度作業負荷のシングル事象トリガとして分類された1つまたはそれ以上の車両システムがアクティブである(いわゆる高度シングルモード)であるとき、ドライバが高中度作業負荷状態にあると推定する。作業負荷推定装置19は、複数の高度作業負荷事象トリガの所定の組み合わせがアクティブである場合にのみ、高度デュアルモードを起動させるように要求する判断基準(すなわちアルゴリズム)を適用することができる。
【0043】
[メッセージ分類]
メッセージ表示は、作業負荷推定装置19により推定された作業負荷に基づく。とりわけ異なるグループのメッセージの利用可能性は、メッセージ参照テーブル43内で定義される。異なるグループのメッセージは、任意の瞬間において作業負荷推定装置19の所与の出力に依存して、閾値により分類される。本実施形態では、メッセージは、グループ1、グループ2、およびグループ3の3つのグループに分類される(理解されるように、4つ以上の分類グループを用いることもできる)。本実施形態によれば、各グループに割り当てられた例示的なメッセージの要約は以下の通りである。
【0044】
グループ1のメッセージは、法律により要請されたメッセージ、製造業者により要請されたメッセージ、警告レベルメッセージ、アクティブメッセージ、フィードバックメッセージ、サービスメッセージ、緩衝不可メッセージ、およびグループ2とグループ3とは異なる合理的な例外メッセージのうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0045】
グループ2のメッセージは、注意喚起レベルメッセージ、最大30秒間猶予可能なメッセージ、およびグループ1とグループ3とは異なる合理的な例外メッセージのうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0046】
グループ3のメッセージは、最大60秒間猶予可能なメッセージ、およびグループ1とグループ3とは異なる合理的な例外メッセージのうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0047】
グループ1に分類されるメッセージは、推定された作業負荷に関わらず(すなわち推定作業負荷が低度、中度、または高度であることが出力されるが)、最も高い優先順位で提供されるものである。グループ2に分類されるメッセージは、推定作業負荷が高度でないとき(すなわち推定作業負荷が低度または中度であることが出力されたとき)、中程度の優先順位で提供されるものである。グループ3に分類されるメッセージは、推定作業負荷が低度であるとき(すなわち推定作業負荷が低度であることが出力されたとき)、最も低い優先順位で提供されるものである。
【0048】
各グループ内のメッセージは、候補メッセージが提供される順序を特定するために、優先値(P値)が割り当てられる。優先値は、メッセージ参照テーブル43内に記憶され、メッセージ管理モジュール41により解釈されて、同時に生じる複数のメッセージが調停(調整)される。各メッセージに優先値を付与することにより、メッセージの優先値に基づいてメッセージの提示(音声出力)を管理することができる。さらに、作業負荷推定装置19からの補足的な情報に基づいて、メッセージの提示を動的に管理することができる。一例として、メッセージの提示に関する異なる優先値を有する一連のメッセージを
図3に示す。第1のメッセージAの優先値が第2のメッセージBの優先値より小さいとき、メッセージ管理モジュール41は、第1のメッセージAより前に第2のメッセージBを提示するように順序付ける。
【0049】
[作業負荷状態]
作業負荷調整モジュール21は、複数のメッセージの間の時間的な分離を維持するために設けられている。上述のように、メッセージ参照テーブル43は、メッセージを3つのグループ(グループ1、グループ2、およびグループ3)に分類し、推定作業負荷(低度、中度、または高度)に基づいてメッセージ提示するために上記グループを利用することができる。とりわけ、(安全および/または衝突システム等の)アクティブ情報の提示と(非安全システム等の)低優先情報との間を緩衝するために、不応期間が導入される。
【0050】
時間的なメッセージ分離を維持するために、ステップダウン・サイクル(減少変動)マップを実施して、メッセージ参照テーブル43に定義された異なるメッセージグループからのメッセージの提示を時間的に分離する。ステップダウン・サイクルマップは、(作業負荷推定装置19からの作業負荷信号55に関係なく)中度および低度の作業負荷状態の期間を人為的に維持するものである。さらに、高度の作業負荷入力が存在した場合にのみ、高度作業負荷が出力される。
【0051】
長期間の高度作業負荷に対する第1のステップダウン・サイクルマップAを
図4Aに示す。作業負荷推定装置19が高度作業負荷信号55を出力しているとき、作業負荷調整モジュール21は高度作業負荷に関する信号を出力する。作業負荷推定装置19からの高度作業負荷の開始点から30秒で(変化がない場合)、作業負荷調整モジュール21は、1秒間だけ中度作業負荷に信号を調整した後、(作業負荷推定装置19が高度作業負荷を継続して出力する場合)60秒経過するごとに1秒間だけ調整出力が中度作業負荷となる。作業負荷推定装置19からの高度作業負荷の開始点から60秒で(変化がない場合)、1秒間だけ調整された信号が低度作業負荷となる。その後(作業負荷推定装置19が高度作業負荷を継続して出力する場合)、調整出力は高度作業負荷となり、その後さらに60秒経過するごとに(作業負荷推定装置19が高度作業負荷を継続して出力する場合)、1秒間だけ調整信号が低度作業負荷となる。
【0052】
長期間の中度作業負荷に対する第2のステップダウン・サイクルマップBを
図4Bに示す。作業負荷推定装置19が所定の長期間、中度作業負荷信号を出力しているとき、作業負荷推定装置19からの中度作業負荷の開始点から60秒で(変化がない場合)、1秒間だけ調整された信号が低度作業負荷となる。その後(作業負荷推定装置19が中度作業負荷を継続して出力する場合)、調整出力は中度作業負荷となり、その後さらに60秒経過するごとに(作業負荷推定装置19が中度作業負荷を継続して出力する場合)、1秒間だけ調整信号が低度作業負荷となる。
【0053】
作業負荷推定装置19が長期間、低度作業負荷信号を出力しているとき、作業負荷調整モジュール21からの調整された出力は、作業負荷推定装置19の状態を反映する。
【0054】
また作業負荷調整モジュール21は、高度作業負荷から低度作業負荷へ変化する移行位相(期間)を導入する。
図4Cで示す第3のステップダウン・サイクルマップCで表されているように、作業負荷推定装置19が高度作業負荷から低度作業負荷への変化を出力するとき、調整された出力は、30秒間だけ中度作業負荷となり、その後に低度作業負荷となる。
【0055】
作業負荷推定装置19の出力が高度作業負荷から中度作業負荷へ変化したとき、作業負荷調整モジュール21で調整された出力は中度作業負荷に変化する。
図4Dで示す第4のステップダウン・サイクルマップで表されているように、調整された出力は、60秒間、中度作業負荷で維持される。
【0056】
上記説明した各ステップダウン(減少変動)サイクルにおいて異なる作業負荷状態間で移行するために特定された時間間隔は、必要に応じて修正または調整することができる。たとえば異なるシステムに対して時間間隔を変更することができる。
【0057】
[メッセージ提示]
車室環境の最適化の一部として、作業負荷モニタシステム1は、推定作業負荷に応じて車室オーディオの音量を制御する。システム相互作用挙動モジュール17は、車室オーディオシステム31に制御信号を出力する。警告通報(枯渇したオイルレベル等)が出力された場合、オーディオHMIがアクティブである場合(たとえば、前方警告通報が警告チャイムを鳴らし、オーディオ警告中、車室オーディオを消音する。)、オーディオフィードバック(音響フィードバック)を提供するシステムの種類および数に基づいて、車室オーディオの3つのレベルのミューティング(消音)が提案される。同様に、複数のオーディオ部品を含む2つまたはそれ以上のシステムがメッセージを提示する場合(たとえば衝突警告システムおよび駐車支援システムが警告音を発している場合)、車室オーディオを部分的または完全に消音する。
【0058】
車室オーディオをモニタすることは、作業負荷モニタシステム1が定義する判断を行うことである。作業負荷モニタシステム1は、車室オーディオの音量を少し、大きく、または完全(100%)に消音するか否か判断する。クラスタ・スケジューラ45により提示される各メッセージに対して、オーディオ消音属性が参照テーブル43に記憶され、これは任意の所与のメッセージに付随するオーディオ消音レベルを規定するものである。機器クラスタ・スケジューラ内で生成されなかったシステムメッセージについて、所与のCAN信号に対し、特定のオーディオ消音レベルの要求を出力する必要がある。CANメッセージに対して相互参照するために、独立した参照テーブルを提供することができる。
【0059】
一例として、特定の状況において、ナビゲーションシステムからオーディオ指示を出力することが好ましくない場合がある。システム相互作用挙動モジュール17は、オーディオ指示の提示(音声出力)を作動/非作動させるようにナビゲーションシステム33に制御信号を出力する。たとえば駐車支援システムを用いて駐車操作を試みている場合には、オーディオ指示の提示を禁止してもよい。障害物が近接しつつあることを駐車支援システムがドライバに能動的に情報提示しているならば、すべてのオーディオナビゲーションメッセージより優先して、駐車支援システムの情報を提示する必要がある。
【0060】
また作業負荷モニタシステム1は、かかってきた電話コールをドライバに直接的に転送すべきか、または管理すべきかについて判断することができる。作業負荷1は、作業負荷推定装置19が高度作業負荷であるとしたとき、かかってきた電話コールを管理する。システムからの出力は、ブルートゥース(登録商標)に対するCANメッセージである。
【0061】
(具体例)
ここで一連の具体例を参照しながら、作業負荷推定装置19の動作について以下説明する。
【0062】
[低度作業負荷]
低度作業負荷は、中度作業負荷および高度作業負荷でもない状態にあるときの期間として定義される。これにより、低度作業負荷状態をシステムのデフォルト状態とすることができる。
【0063】
作業負荷推定装置19が低度作業負荷を出力するように強制する場合(要件)がある。たとえば、トランスミッションが駐車モードにあるとき、作業負荷は低度に設定される。ドライバが駐車モードを選択したとき、これは車両を走行させる意図がないことを示すので、作業負荷推定装置19の出力を低度作業負荷に強制する適当な機会があると考えられる。ドライバが交差点でドライブギアに入れながらハンドブレーキを引くことがあるので、電子制御駐車ブレーキ(EPB)/ハンドブレーキは、低度作業負荷を強制する要件の一部とは考えない。
【0064】
[中度作業負荷]
中度作業負荷は、数多くの監視車両パラメータの状態に基づいたレベルの高い作業負荷である。中度作業負荷は、数多くのシングル事象トリガ(シングル中度モード)に基づいて推定され、または判断基準を満たす数多くのパラメータの組み合わせの結果として(デュアル中度モード)推定される。3つまたはそれ以上の中度作業負荷事象が本当であるならば、高度作業負荷事象が推定されるが、これらの中度作業負荷事象のいずれも、高度作業負荷を起動することはできない。中度作業負荷状態について、以下の段落でより詳細に説明する。
【0065】
中度作業負荷ブロックは、低度作業負荷が強制されてアクティブ状態にあるか否か、および高度作業負荷が推定されているか否かについて判断する。低度作業負荷が強制されておらず、高度作業負荷が推定されていない場合に限り、このような場合は中度作業負荷に優先するので、中度作業負荷を推定することができる。
【0066】
[シングル事象(中度作業負荷)]
作業負荷推定装置19が推定中度作業負荷を出力する原因となるシングルトリガ事象が数多く存在する。これらのシングルトリガ事象について以下説明する。
【0067】
・クルーズ中断(無効化)事象
クルーズコントロールの動作中に、ドライバがアクセルペダルを踏み込んだとき、クルーズ中断事象が生じる。ドライバが自動システムを中断する意図的な決定であるので、この期間、中度作業負荷が推定される。
【0068】
・クルーズ中止(キャンセル)事象
ドライバがクルーズ中止(キャンセル)ボタン(ステアリングホイール)を押下し、またはブレーキペダルを踏み込んだとき、これらはドライバが自動システムを中断する意図的な決定であるので、中度作業負荷が推定される。
【0069】
・インジケータ(方向指示器)状態
インジケータ(方向指示器)がアクティブであるとき、中度作業負荷が推定される。インジケータを使用すると、操作を実行しようとして、作業負荷を高いレベルに増大させるドライバの意図を信号出力する。このトリガは、インジケータのオン状態が継続する場合であっても、中度作業負荷がもはや推定されなくなった後のタイムアウト期間を有する。このタイムアウト期間は調整(修正)することができる。
【0070】
・バックギアの選択
バックギアが選択されると、中度作業負荷が推定される。バックギアを使用することは、ドライバが複雑な操作を行っていることを意味する。ドライバが一時的に駐車ギアからドライブギア、またはドライブギアから駐車ギアに変更した結果、推定作業負荷が変化することを防止するために、ギア状態のためのタイマを設けることが必要である。
【0071】
・車両アドバイザリ(助言的、黄色)通報
アドバイザリ通報がドライバに提示された場合、アドバイザリ通報の必要性が高いことを提示すべき重大事件により、ドライバの注意を喚起するシステム状態またはシステム事象が生じた可能性が高い。アドバイザリ通報がドライバに提示されると、作業負荷推定装置19により中度作業負荷が推定される。
【0072】
ウィンドスクリーン洗浄ワイパ処理
ウィンドスクリーンに対して洗浄処理が要求されると、中度作業負荷を設定すべきである。この洗浄動作があると、前方視界が瞬可的に遮られ、中度作業負荷を設定することが適当である。
【0073】
[マルチ事象(中度作業負荷)]
作業負荷推定装置19が推定中度作業負荷を出力する原因となるマルチトリガ事象がいくつか存在する。これらのマルチトリガ事象について以下説明する。
【0074】
・車間距離の維持および車両走行
車間距離が維持され、車速が0km/時より大きいと車両が検知したとき、中度作業負荷が推定される。車間距離を維持して走行することは、故意的であり、または意図的でない行為である。したがって、安全が確保される場合でも、所定期間の経過した後は、もはや中度作業負荷は推定されない。
【0075】
・ワイパおよびライトが動作
車両ウィンドスクリーンのワイパおよびヘッドライトの両方が動作中であるとき、中度作業負荷が推定される。理解されるように、これらのパラメータが合致したとき、車両は、ドライバの作業負荷が増大した状態にあるため、中度作業負荷を推定する必要がある。この事象において、たとえば間欠式、連続的、高速連続的なワイパ速度に調整することができる。
【0076】
・高度作業負荷への累積
作業負荷推定装置19が3つまたはそれ以上の中度作業負荷を推定しているとき、高度作業負荷が推定される。高度作業負荷に移行するための中度作業負荷事象の全体数の値は、調整することができる。
【0077】
[高度作業負荷]
高度作業負荷は、最も高い(重要な)作業負荷レベルである。高度作業負荷は、数多くのシングルトリガ事象(シングル高度モード)に基づいて推定され、または判断基準を満たす数多くのパラメータの組み合わせの結果として(デュアル高度モード)推定される。
【0078】
[シングルモード(高度作業負荷)]
推定高度作業負荷を出力させるシングルトリガ事象が数多くある。これらのシングルトリガ事象について以下説明する。
【0079】
・車両警告(赤色)通報
警告通報がドライバに提示されると、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。警告通報がドライバに提示されると、アドバイザリ通報がドライバに提示されると、警告通報の必要性が高いことを提示すべき重大事件により、ドライバの注意を喚起するシステム状態またはシステム事象が生じた可能性が高い。
【0080】
・「ドライバ介入」メッセージ
「ドライバ介入」メッセージは、ドライバに代わって所定の車両機能を制御するために前方視認レーダを用いたシステムにより提示される。システムが「ドライバ介入」メッセージを起動すると、もはや所定のパラメータ内で車両機能を制御することができなくなり、制御をドライバに戻すためである。この点において作業負荷は増大すると考えられ、高度作業負荷を推定することが適当である。「ドライバ介入」メッセージは、短時間(約4秒間)の瞬間的な通報である。その通報後の短い時間期間、高度作業負荷を出力し続ける必要があるが、この時間期間は調整(修正)することができる。
【0081】
・アクセルペダルのキックダウンの検知
アクセルペダルのキックダウンは、ドライバの故意の操作であり、車両から得られる最大加速度を要求する車両に対する入力である。キックダウンは、通常運転の特徴ではなく、アクセルペダルを継続していっぱいに(完全に)踏み込む状況において起動されることが予想される。最大車両加速度位置にある間、高度作業負荷が推定される。
【0082】
・ギア状態および速度
所定速度で走行中に、不適当なギアにシフトさせることがあり得る。こうした場合、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0083】
・ステアリングホイールの角速度
ステアリングホイールの角速度は、ドライバにより入力されるステアリングホイール角の変化率として測定される。通常運転の状況では、ドライバにより入力されるステアリングホイール角の変化率は小さいが、複雑な運転操作を行っている場合、または攻撃的な(過激な)ステアリング入力が要求されている場合、ステアリングホイール角の変化率は実質的に増大する。したがってステアリングホイールの角速度が所定の閾値を超える場合、高度作業負荷が推定される。
【0084】
インテリジェント・エマージェンシ・ブレーキ(IEB)
IEBシステムが介入の必要性が高いと判断し、プリチャージレベル(予備充填レベル)を設定した場合、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0085】
・動的安定性制御(DSC)
DSCシステムが介入の必要性が高いと判断すると、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0086】
・アドバンスト後方走行支援(ARA、別名:クロストラフィックアラート(CTA))
ARAシステムが警告の必要性が高いと判断した場合、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0087】
・電子式トラクションコントロール(ETC)
ETCシステムが介入の必要性が高いと判断した場合、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0088】
・ヒルディセントコントロール(HDC)
HDCシステムが作動すると、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0089】
・電話呼(テレフォンコール)
(ブルートゥース(登録商標)の)通信システムがコールすると、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0090】
・法律上のメッセージ
法的に要請されるメッセージがドライバに提示されると、作業負荷推定装置19により高度作業負荷が推定される。法的に要請されるメッセージがドライバに提示される場合、
法的に要請される重大事件により、ドライバの注意喚起を要求するシステム状態またはシステム事象が生じた可能性が高い。
【0091】
・アクティブシステムエラー
アクティブシステムは、エラーメッセージをドライバに提示すると、作業負荷推定装置19により高度作業負荷が推定される。アクティブシステムがドライバにメッセージを提示したとすると、アクティブシステムが出力を表示する重大事件により、ドライバの注意喚起を要求するシステム状態またはシステム事象が生じた可能性が高い。
【0092】
・高速モードにあるウィンドスクリーンワイパ
ワイパが高速ワイパモードに設定されると、高度作業負荷が推定される。こうした設定が視界を遮る劣悪な天候条件に起因するものとして、高度作業負荷を設定することが適当である。
【0093】
[マルチモード(高度作業負荷)]
シングルモードの高度作業負荷事象に加え、デュアルモードの高度作業負荷の基準を満たす数多くのパラメータの組み合わせが特定されている。作業負荷推定装置19は、1つまたはそれ以上のブール演算子を適用する。これらのブール演算子が合致すると、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。こうしたマルチモード(高度作業負荷)状況の具体例について以下説明する。
【0094】
・外れたシートベルト
締め金で締めていたシートベルトが外れると、システムは高度作業負荷を推定する。理解されるように、車両走行中にシートベルトが外れることは好ましい状況ではなく、ドライバは是正処置を取ることを望む傾向がある。車両速度が0km/時より大きく、シートベルトが外れたことが検知されると、高度作業負荷が推定される。こうした検知は、タイムアウト期間があり、その後、こうした状態が継続していたとしても、もはや高度作業負荷は推定されない。このタイムアウト期間は調整(修正)することができる。
【0095】
・アンチロックブレーキシステム(ABS)のブレーキ
ABSブレーキ−デュアルモード事象は、ABSブレーキ事象およびドライバによるブレーキ要求の組み合わせである。ABSシステムが介入の必要性が高いと判断し、ブレーキ要求があった場合、車両がスリップする可能性が高い。したがって、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0096】
・高頻度アンチロックブレーキ
高頻度ABS−デュアルモード事象は、数多くのABSが短期間に検知された結果によるものである。高頻度ABSは、オフロード上または過酷な路面上の走行を示すことがあり、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。要求されるABS事象の数および計算のための時間の両方について調整(修正)することができる。
【0097】
・死角
死角−デュアルモード事象は、ステアリングホイール角およびブレーキ圧要求の組み合わせである。ステアリングホイール角が閾値を超え、ブレーキ圧要求が閾値を超えると、高度作業負荷事象として検知される。理解されるように、所与の組み合わせにおいてパラメータが合致すると、車両は、ドライバが複雑なハンドル操作を試みているという状態にある可能性が高いので、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。ステアリングホイール角およびブレーキ圧要求の閾値の両方について調整(修正)することができる。
【0098】
・死角スポットモニタ(BSM)
死角スポットモニタ(BSM)システムおよびアドバンスト・死角スポットモニタ(ABSM)システムは、死角スポット内にある車両または隣接レーン内で急速に接近する車両の存在をそれぞれ検知する。このシステムは、ドライバに警告を与える必要性が高く、かつドライバが対応する方向に車両インジケータ(方向指示器)を作動させたと判断した場合(左方からの脅威があるときに左方に指示器を出した場合、または右方からの脅威があるときに右方に指示器を出した場合)、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。
【0099】
・ブレーキ要求マップ
ブレーキ要求マップ−デュアルモード事象は、高度作業負荷の推定を決定する速度に対するブレーキ圧を用いて確立された。本実施形態に係るブレーキマップは、
図5の表1に示すように、高度作業負荷を出力するための、速度に反比例するブレーキ圧を提供するものであってもよい。ブレーキ要求マップは、(斜線を付したセルで示すように)高度作業負荷が推定される閾値を定義する。ブレーキ要求マップは、中度作業負荷が推定される閾値を定義するように修正することもできる。
【0100】
・車両横方向加速度および速度
車両横方向加速度は、水平面において車両が受ける力の測定値である。これらの力が増大するとき、その力は車両の挙動の直接的な結果として測定される。車両が受ける水平方向の力は、車両速度の関数であり、ドライバのコーナリング要求に関係する。
図6の表2に示すように、横方向加速度および速度のマップを用いて、(斜線を付したセルで示すように)作業負荷推定装置が高度作業負荷を推定する場合を決定する。マップは修正することができる。車両横方向加速度・速度マップは、中度作業負荷が推定される閾値を定義するように修正することもできる。
【0101】
・半ドア
半ドア−デュアルモード事象は、車両ドアが閉まっていないこと(ぴったりと閉まっていない場合も含む)、および車両速度が0km/時より大きいことの組み合わせである。ドアが開いて運転することは、意図的な行動でなく、是正処置を取る必要があると考えられるので、作業負荷推定装置19により高度作業負荷が推定される。
【0102】
・傾斜
傾斜−デュアルモード事象は、車両速度と、EPB縦方向加速度計により閾値を超えたものと判断された車両の傾斜との組み合わせである。この組み合わせにおいてパラメータが合致すると、車両は、ドライバが複雑なオフロード運転操作を試み、最大の注意力が必要であるという状態にある可能性が高いので、作業負荷推定装置19は高度作業負荷を推定する。異なる車両について閾値を調整(修正)することができる。
【0103】
・アーティキュレイション(振動)
アーティキュレイション−デュアルモード事象は、車両速度と、エアサスペンションシステムにより閾値を超えたものと判断された車両のアーティキュレイション(振動)との組み合わせである。理解されるように、所与の組み合わせにおいてパラメータが合致すると、車両は、ドライバが複雑なオフロード運転操作を試み、最大の注意力が必要であるという状態にある可能性が高い。異なる車両について閾値を調整(修正)することができる。
【0104】
・交差点
交差点−デュアルモード事象は、インジケータ(指示器)がアクティブであること、またはブレーキペダルが動作していることの組み合わせである。このデュアルモード事象は、ブレーキペダルが解放された後のインジケータがアクティブである期間において、または所定の数秒間より長い時間、ステアリング角がニュートラルとなるまでの期間において維持される。理解されるように、これらのパラメータが合致するとき、車両は、複雑な交差点に進入している。事象維持機能は、たとえばコーナを曲がろうとする際、交差点での操作を補償しようとするものである。
【0105】
・レーン変更
レーン変更−デュアルモード事象は、インジケータ(指示器)がアクティブであること、およびスロットル要求が所定の閾値より大きいことの組み合わせである。理解されるように、これらのパラメータが合致するとき、車両は、複雑な運転操作を行っている。
【0106】
・駐車支援複合
駐車支援複合−デュアルモード事象は、駐車支援システムの任意の検知(たとえば障害物の検出)、および車両のバックギアの組み合わせである。理解されるように、これらのパラメータが合致するとき、ドライバは複雑な運転操作を行っている。ドライバが一時的に駐車ギアからドライブギア、またはドライブギアから駐車ギアに変更した結果、推定作業負荷が変化することを防止するために、ギア状態のためのタイマを設けることが必要である。
【0107】
・トレーラ逆行
トレーラ逆行−デュアルモード事象は、トレーラが連結されていること、および車両がバックギアに入っていることの組み合わせである。理解されるように、これらのパラメータが合致するとき、ドライバは複雑な運転操作を行っている。ドライバが一時的に駐車ギアからドライブギア、またはドライブギアから駐車ギアに変更した結果、推定作業負荷が変化することを防止するために、ギア状態のためのタイマを設けることが必要である。
【0108】
・狭小道路
狭小道路−デュアルモード事象は、半自律的広範囲側方超音波センサを用いて障害物までの横方向の距離を検出すること、および車両速度の組み合わせである。理解されるように、これらのパラメータが合致するとき、ドライバは、他の障害物に接近した状態で複雑な運転操作を行っている。
【0109】
・アクセルペダル解放
アクセルペダル解放−デュアルモード事象は、アクセルペダルを急な解放を検知したこと、および実質的な速度で車両が走行していることの組み合わせである。これらのパラメータが合致するとき、ドライバは所定速度で走行している際、前方の道路状況の変化に起因して、速度を落とす必要性を予想し、またはブレーキ操作を行うために、足をアクセルペダルから速やかに持ち上げたことが理解される。
【0110】
・高度作業負荷の維持
高度作業負荷を起動する事象が完了した後、高度作業負荷状態がさらに2秒間(この時間は調整できる)人為的に維持される。高度作業負荷の起動事象は、比較的に短い時間であり、たとえば前方衝突警告は、ドライバに3秒間の警告を与え、この時間は、ドライバに警告を与えるには十分ではあるが、ドライバが事象の結果として必要とされる是正処置を完了するには十分な時間ではない。したがって、作業負荷推定装置が高度作業負荷状態をさらに数秒間維持する機能は、起動事象から元に戻すための不応時間をドライバに与えるものである。
【0111】
理解されるように、本発明の精神および範疇を逸脱することなく、上記実施形態に対するさまざまな変形例および変更例を想到することができる。本発明に係る更なる態様は、以下の番号が付与された段落に記載されている。
【0112】
段落1:ドライバに対する情報の出力を制御する方法であって、
車両の少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップと、
少なくとも1つの動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するステップと、
推定されたドライバ作業負荷に基づいて、ドライバへの情報の出力を制御するステップとを有し、
ドライバの作業負荷は、複数のドライバ作業負荷の評定を定義する複数の閾値を参照して推定され、
この方法は、現在の推定されたドライバ作業負荷の評定より低い評定を有するいくつかまたはすべての定義されたドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるステップを有する、方法。
【0113】
段落2:少なくとも1つの動作パラメータは、1つまたはそれ以上の関連車両システムの動作状態または動作範囲を特定する、段落1に記載の方法。
【0114】
段落3:情報の出力は、1つまたはそれ以上のメッセージの提示を含む、段落1に記載の方法。
【0115】
段落4:各メッセージは、複数のメッセージの提示を順序付けるための関連優先指標を有する、段落3に記載の方法。
【0116】
段落5:ドライバへの情報の出力を制御するステップは、1つまたはそれ以上のメッセージの提示のタイミングを制御するステップ、および/または1つまたはそれ以上のメッセージの出力形式を制御するステップを有する、段落1に記載の方法。
【0117】
段落6:少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップは、少なくとも1つの車両システムの動作頻度および/または動作重要度を判断するステップを含む、段落1に記載の方法。
【0118】
段落7:少なくとも1つの動作パラメータをモニタするステップは、車両に関する少なくとも1つの動的な動作パラメータを測定するステップを含む、段落1に記載の方法。
【0119】
段落8:車両のための作業負荷モニタシステムであって、
車両の少なくとも1つの動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成された作業負荷推定装置と、
ドライバ作業負荷の評定を定義し、推定されたドライバ作業負荷に基づいて、ドライバへの情報の出力を制御するように構成された制御モジュールと、
現在の推定されたドライバ作業負荷の評定より低い評定を有するいくつかまたはすべての定義されたドライバ作業負荷の評定の中で、周期的に変動させるように構成された調整モジュールとを備えた、作業負荷モニタシステム。
【0120】
段落9:作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの能動性レベルを決定するように構成された、段落8に記載の作業負荷モニタシステム。
【0121】
段落10:作業負荷モニタシステムは、1つまたはそれ以上の車両システムの動作頻度および/または動作重要度をモニタするように構成された、段落8に記載の作業負荷モニタシステム。
【0122】
段落11:作業負荷モニタシステムは、情報の出力を順序付けるための優先指標を含む記憶デバイスをさらに有する、段落8に記載の作業負荷モニタシステム。
【0123】
段落12:作業負荷推定装置は、車両に関する少なくとも1つの動的な動作パラメータに基づいて、ドライバ作業負荷を推定するように構成された、段落8に記載の作業負荷モニタシステム。
【0124】
段落13:段落8に記載の作業負荷モニタシステムを有する、車両。
【0125】
段落14:コンピュータシステムであって、
プログラム可能な回路と、
段落1に記載の方法を実行するようにプログラム可能な回路をプログラムするための少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上で符号化されたソフトウェアとを有する、コンピュータシステム。