特許第6408684号(P6408684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6408684
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】危険物等の回収システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20181004BHJP
【FI】
   G06Q50/26
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-228136(P2017-228136)
(22)【出願日】2017年11月28日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】595058808
【氏名又は名称】日本瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 眞治
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−40593(JP,A)
【文献】 特開2009−140185(JP,A)
【文献】 特開2004−252551(JP,A)
【文献】 特開2005−189985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理するための危険物等の回収システムにおいて、
前記顧客の端末に通信可能に接続された基幹サーバを備え、
前記基幹サーバは、前記顧客の端末から受付フォームに入力された情報を取得し、前記受付フォームに入力された前記危険物等の数量から、前記危険物等を運送する際の個口数を算出し、前記危険物等を回収して処理する処理業者に関する情報が格納されたデータベースを参照して、前記数量と前記個口数とに基づいて処理業者を決定する主制御部と、
前記決定された処理業者のサーバに集荷指示ファイルを送信する通信処理部とを含むことを特徴とする危険物等の回収システム。
【請求項2】
前記基幹サーバには、前記処理業者が一日に処理できる量、および一日単位で受け入れた本数と処理した本数とを集計した配送枠が格納され、
前記基幹サーバは、前記配送枠を参照して、前記決定された処理業者において最短の受入可能日を決定することを特徴とする請求項1に記載の危険物等の回収システム。
【請求項3】
前記基幹サーバは、前記最短の受入可能日が前記受付フォームに入力された配送希望日時と同日か、それ以前であれば、前記最短の受入可能日−1日を、配送が可能な最短の配送日付として前記顧客の端末に提示することを特徴とする請求項2に記載の危険物等の回収システム。
【請求項4】
危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理するための危険物等の回収システムにおいて、前記顧客の端末に通信可能に接続された基幹サーバが実行する方法であって、
前記顧客の端末から受付フォームに入力された情報を取得するステップと、
前記受付フォームに入力された前記危険物等の数量から、前記危険物等を運送する際の個口数を算出するステップと、
前記危険物等を回収して処理する処理業者に関する情報が格納されたデータベースを参照し、前記数量と前記個口数とに基づいて処理業者を決定するステップと、
前記決定された処理業者のサーバに集荷指示ファイルを送信するステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記基幹サーバには、前記処理業者が一日に処理できる量、および一日単位で受け入れた本数と処理した本数とを集計した配送枠が格納され、
前記決定するステップは、さらに、前記配送枠を参照して前記決定された処理業者において最短の受入可能日を決定することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最短の受入可能日が前記受付フォームに入力された配送希望日時と同日か、それ以前であれば、前記最短の受入可能日−1日を、配送が可能な最短の配送日付として前記顧客の端末に提示するステップをさらに備えた請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険物等の回収システムおよびその方法に関し、より詳細には、可燃物などの危険物を一般家庭から回収し、処理業者による廃棄処理を行うまでの運用を効率的に行うための危険物等の回収システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、卓上コンロ用のカセットボンベ、使い捨てライターなどの可燃物、マッチなどの軽火工品、揮発油を含む塗料、強酸を含む鉛蓄電池などの危険物等は、一般家庭において、大量ではないが、必要な数が定常的に使用されている。これら危険物等について、例えば、リコールが発生した場合には、製造業者は、各家庭で保管されている危険物等、または一部使用されている危険物等を回収しなければならない。
【0003】
しかしながら、運送約款上、これら危険物等を通常の郵送、小荷物による方法では運ぶことができないので、顧客または製造業者において、所定の要件を満たす運送方法を手配しなければならない。また、危険物等が一定量を超えると、公共交通機関に持ち込むことができないので、顧客が、製造業者の営業所等の拠点に持ち込む場合にも、難しい場合がある。このように、危険物等の運送には制約があることから、製造業者がリコールによる商品の回収を企図しても、顧客の協力が得られず、回収効率が上がらない場合があった。
【0004】
また、危険物等や有害物質などを取扱う業者は、所定の許認可を受けていなければならない。また、危険物等や有害物質を運送する際にも、所定の荷姿が規定されていたり、別途、運送のための許認可を受ける必要もある。従って、危険物等や有害物質を回収して処理する場合には、顧客宅からの回収から処理業者による処理までの全工程を、一元的に管理できることが望ましい(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−282902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、上述したリコールに際して、危険物等を回収する場合には、一時的に大量の危険物等を運送、処理しなければならないので、製造業者においては、運送業者、処理業者を含めた一連の処理フローを効率的に運用する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、危険物等を一般家庭から回収し、処理業者による廃棄処理を行うまでの工程を効率的に行うための危険物等の回収システムおよびその方法を提供することにある。
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、一実施態様は、危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理するための危険物等の回収システムにおいて、前記顧客の端末に通信可能に接続された基幹サーバを備え、前記基幹サーバは、前記顧客の端末から受付フォームに入力された情報を取得し、前記受付フォームに入力された前記危険物等の数量から、前記危険物等を運送する際の個口数を算出し、前記危険物等を回収して処理する処理業者に関する情報が格納されたデータベースを参照して、前記数量と前記個口数とに基づいて処理業者を決定する主制御部と、前記決定された処理業者のサーバに集荷指示ファイルを送信する通信処理部とを含むことを特徴とする。
【0009】
前記基幹サーバには、前記処理業者が一日に処理できる量、および一日単位で受け入れた本数と処理した本数とを集計した配送枠が格納され、前記基幹サーバは、前記配送枠を参照して、前記決定された処理業者において最短の受入可能日を決定することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、基幹サーバに処理業者を管理するためのデータベースを有しているために、一時的に大量の危険物等を運送、処理する場合であっても、危険物等の数量と個口数とに基づいて、最適な、運送業者、処理業者を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる危険物等の回収システムを示す構成図である。
図2】本実施形態の危険物等の回収システムにおける基幹サーバの構成を示す図である。
図3】本実施形態の基幹サーバにおける処理の流れを示す図である。
図4】基幹サーバにおける処理業者を管理するためのデータレコードの一例を示す図である。
図5】基幹サーバにおける配送枠を管理するためのデータレコードの一例を示す図である。
図6】基幹サーバにおける危険物等の回収依頼を受け付けるための画面を示す図である。
図7】基幹サーバにおける申込受付を管理するためのデータレコードの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、危険物として卓上コンロ用のカセットボンベを例に、リコールが発生して、これを一般家庭から回収し、処理業者による廃棄処理を行う場合を説明する。
【0013】
図1に、本発明の一実施形態にかかる危険物等の回収システムを示す。本実施形態では、製造業者が所有する業務用システム1の中のサブシステムとして、危険物等の回収システムが構築されている。業務用システム1には、顧客の端末、外部の業者のシステムとのインタフェースとなるフロントエンドサーバ14に、危険物等の回収システムの基幹サーバ11、顧客管理サーバ12、商品管理サーバ13などが接続されている。フロントエンドサーバ14は、インターネット2などの通信回線を介して、顧客の端末3a,3b、処理業者のサーバ4、運送業者のサーバ5に接続されている。危険物等の回収システムは、基幹サーバ11が主となり、他のサーバと連携して、危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理する。
【0014】
図2に、本実施形態の危険物等の回収システムにおける基幹サーバの構成を示す。危険物等の回収システムの基幹サーバ11は、危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理するためのサーバプログラムと種々のデータベースが格納された記憶部22と、業務用システム1内の通信インタフェースとなる通信処理部23とが接続された主制御部21を備えている。
【0015】
記憶部22には、危険物等を回収して処理する処理業者に関する情報等が格納された危険物処理DB221、顧客宅から処理業者まで危険物等を運送する運送業者の情報等が格納された運送管理DB222、および顧客からの回収依頼を受け付けた際の受付フォームが格納された申込受付DB223とが含まれる。
【0016】
図3に、本実施形態の基幹サーバにおける処理の流れを示す。最初に、基幹サーバ11は、処理業者のサーバ4から各データベースのデータレコードに必要な情報を取得して記録しておく(S31)。
【0017】
図4に、基幹サーバにおける処理業者を管理するためのデータレコードの一例を示す。危険物処理DB221のデータレコードには、処理業者に関する設備データとして、受け入れ可能な危険物の種類(本実施形態では、カセットボンベに限るので図示を省略)、受け入れ可能な1個口当りの処理数(カセットボンベの本数)、一日に処理できる危険物等の量(カセットボンベの処理可能本数)、受け入れ可能な日時などが記録されている。
【0018】
処理業者の処理設備、例えば、カセットボンベからガスを抜き取る設備では、所定の治具に複数本のカセットボンベを収容して、まとめて処理する方法が取られる。従って、カセットボンベを回収する際にも、所定の治具にそのまま収容可能な荷姿で回収できれば、処理効率が向上する。本実施形態では、カセットボンベの6本入り容器と24本入り容器とを使用する場合を例に説明する。
【0019】
図5に、基幹サーバにおける配送枠を管理するためのデータレコードの一例を示す。処理業者は、設備に応じて一日に処理できる量、すなわちカセットボンベの処理本数(処理可能本数)が決められている。基幹サーバは、一日単位で、受け入れた本数(受入本数)と処理した本数(処理本数)とを集計して、日々更新し、「配送枠」として危険物処理DBに記録している。各設備の処理本数の最大値が、処理可能本数であり、受入本数がその日の処理可能本数を上回ると、翌日に処理することになる。
【0020】
そこで、向こう2月程度、各設備ごとに「配送枠」を参照して、その日に受け入れることができるカセットボンベの本数を算出し、運送管理DB222のデータレコードに記録しておく。
【0021】
図6に、基幹サーバにおける危険物等の回収依頼を受け付けるための画面を示す。顧客は、スマートフォン、PCなどの端末3a,3bから業務用システム1にアクセスし、フロントエンドサーバ14が提示する受付フォーム60に従って、カセットボンベの回収を申し込む(S32)。
【0022】
危険物等を運送する場合には、所定の荷姿に梱包して運送しなければならない。カセットボンベの場合には、製品出荷時に取り付けられていたキャップを取り付けた上で、キャップが外れないように梱包する必要がある。また、上述したように、処理設備に適した荷姿の容器を使用するために、受付フォーム60には、カセットボンベの本数61と不足するキャップ数62とを入力する欄を設けている。
【0023】
なお、図示していないが、受付フォーム60には、カセットボンベの種類、製品名を入力する欄、または選択させる欄、購入日、使用状態などを入力する欄を設けてもよい。これらの情報を、商品管理サーバ13に転送し、商品管理のために使用してもよい。また、危険物等によっては、製造時の容器とは異なる容器に入れられている場合もあり、このような情報を入力する欄も設けておくことができる。
【0024】
受付フォーム60には、その他に顧客の氏名63、住所64、連絡先65、配送希望日時66を入力する欄を設けている。これらの情報は、顧客管理サーバ12に転送してもよいし、予め顧客管理サーバ12に格納された情報から一部を抽出してもよい。なお、本実施形態では、カセットボンベの本数が30本を超える場合には、さらに異なる要件を満たす運送方法を取る必要があるため、ここでは、製造業者の営業窓口での対応としている。また、他の危険物等であって、製造時の容器とは異なる容器に入れられている場合も営業窓口での対応とする。
【0025】
図7に、基幹サーバにおける申込受付を管理するためのデータレコードの一例を示す。基幹サーバ11の主制御部21は、フロントエンドサーバ14から受付フォーム60に入力されたデータを取得して、記憶部22の申込受付DB223のデータレコードに申込データを記録していく(S33)。ここで、受け付けた顧客ごとに、処理業者を決定する手順について説明する。処理業者を決定するキーには、運送の際の個口数、処理する本数、配送希望日時を含む。
【0026】
a)主制御部21は、受付フォーム60のカセットボンベの本数61から、運送の際の個口数を算出する。
本数24−30本:24本入り容器1個+6本入り容器1個
本数 1−23本:6本入り容器1−4個(本数を6で割って小数点以下切り上げ)
b)24本入り容器を使用する場合は、危険物処理DBを参照して、24本入り容器に対応した処理業者に優先的に割り当てる(図4,5を参照すると、処理業者FF)。運送管理DB222を参照して、受付フォーム60のカセットボンベの本数61を処理することができる最短の受入可能日を決定する。
c)6本入り容器のみを使用する場合は、危険物処理DBを参照して、受付フォーム60のカセットボンベの本数61を処理することができ、かつ配送枠から算出された最短の受入可能日が最も早い処理業者に割り当てる。
d)次に、主制御部21は、処理業者の受入可能日と受付フォーム60の配送希望日時66とを比較し、受入可能日が配送希望日時の翌日以降であれば、決定した処理業者を申込データに記録し、配送枠を更新する(S34)。すなわち、処理業者は、受入可能日に当該顧客から回収したカセットボンベを処理する。
e)受入可能日が配送希望日時と同日か、それ以前であれば、受入可能日−1日を、配送が可能な最短の配送日付として顧客に提案する。顧客への提案は、例えば、フロントエンドサーバ14を介して、顧客の端末のブラウザ上に表示する。
f)顧客の端末から、配送が可能な最短の配送日付に対する同意が得られれば、決定した処理業者を申込データに記録し、当該処理業者の受入可能日の配送枠を更新する。同意が得られなければ、配送希望日時+1日を当該処理業者にて処理するものとして配送枠を更新する(S34)。
【0027】
図3に戻り、基幹サーバ11の主制御部21は、バッチ処理によって、申込受付DB223の申込データを参照して、当日に受け付けた申込をまとめて集荷指示ファイルとして、通信処理部23を介して処理業者のサーバ4および運送業者のサーバ5に送信する(S35,S36)。
【0028】
運送業者は、配送希望日時または配送が可能な最短の配送日付に、顧客宅に向かい、カセットボンベを集荷し(S37)、翌日までに処理業者に配送する(S38)。
【0029】
危険物等の回収システムは、基幹サーバに処理業者を管理するためのデータレコードを有しているために、一時的に大量の危険物等を運送、処理する場合であっても、危険物等の数量と個口数とに基づいて、最適な、運送業者、処理業者を決定することができる。
【0030】
また、危険物等の回収システムは、受入可能日が配送希望日時と同日か、それ以前であれば、新たに配送が可能な最短の日付を顧客に提案することができ、顧客は、危険物等の回収システムへの1回のアクセスで、配送日時の決定を行うことができる。
【0031】
製造業者のコールセンター等による受付では、顧客との間で、危険物等の運送に関わる制約を考慮して、やり取りを行い、配送日時を決定しなければならないので、本システムによれば、リコールの受付業務を、コールセンター等に較べて安価に、正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 業務用システム
2 インターネット
3a,3b 顧客の端末
4 処理業者のサーバ
5 運送業者のサーバ
11 基幹サーバ
12 顧客管理サーバ
13 商品管理サーバ
14 フロントエンドサーバ
【要約】
【課題】危険物等を一般家庭から回収し、処理業者による廃棄処理を行うまでの工程を効率的に行う。
【解決手段】危険物等を顧客から回収し、処理する工程を管理するための危険物等の回収システムにおいて、前記顧客の端末に通信可能に接続された基幹サーバを備え、前記基幹サーバは、前記顧客の端末から受付フォームに入力された情報を取得し、前記受付フォームに入力された前記危険物等の数量から、前記危険物等を運送する際の個口数を算出し、前記危険物等を回収して処理する処理業者に関する情報が格納されたデータベースを参照して、前記数量と前記個口数とに基づいて処理業者を決定する主制御部と、前記決定された処理業者のサーバに集荷指示ファイルを送信する通信処理部とを含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7