特許第6408694号(P6408694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408694高分子多糖バインダーにコンジュゲートされたラクトバシラスラムノサスRHT−3201、及びこれのアトピー予防及び治療用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408694
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】高分子多糖バインダーにコンジュゲートされたラクトバシラスラムノサスRHT−3201、及びこれのアトピー予防及び治療用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20181004BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20181004BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61K35/747
   A61P17/00
   A61P37/08
   A61K47/36
   A61K47/61
   A23L33/135
【請求項の数】17
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-511126(P2017-511126)
(86)(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公表番号】特表2017-514922(P2017-514922A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2015003914
(87)【国際公開番号】WO2015170839
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0054237
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 10833BP
(73)【特許権者】
【識別番号】513312225
【氏名又は名称】イルドン・ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ILDONG PHARMACEUTICAL CO. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、スン−フン
(72)【発明者】
【氏名】カン、デ−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジェ−フン
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 韓国特許第2010−0742900(KR,B1)
【文献】 韓国特許第2010−1166798(KR,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0125359(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0068851(KR,A)
【文献】 特開2006−225380(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/047779(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00−35/768
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ラクトバシルスラムノサスを培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;
(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;
(c)前記(a)で分離された菌体を熱死させる段階;及び
(d)前記(c)段階の熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項2】
前記ラクトバシルスラムノサスはラクトバシルスラムノサスIDCC-3201(KCTC 10833BP)であることを特徴とする請求項1記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項3】
前記(b)段階の高分子多糖はヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上であることを特徴とする請求項1記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項4】
前記(b)段階の高分子多糖はヒアルロン酸であることを特徴とする請求項1記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項5】
前記ヒアルロン酸は発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至1%(w/v)の比率で混合することを特徴とする請求項4記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項6】
前記(c)段階の熱死は60℃乃至100℃の温度範囲で行われることを特徴とする請求項1記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項7】
前記(c)段階の熱死は10分乃至120分間行われることを特徴とする請求項1記載の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法。
【請求項8】
高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスであって、前記高分子多糖バインダーはラクトバシルスラムノサスの発酵濾液と高分子多糖を含む、前記熱死ラクトバシルスラムノサス。
【請求項9】
請求項8の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、前記アトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物。
【請求項10】
前記組成物は高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを108CFU/g乃至1010CFU/g濃度で含むことを特徴とする請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
動物(ヒトを除く)のアトピー性皮膚炎治療のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの使用であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、前記熱死ラクトバシルスラムノサスの使用。
【請求項12】
アトピー治療又は予防を必要とする動物(ヒトを除く)に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを投与することを特徴とするアトピー治療又は予防方法であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、前記アトピー治療又は予防方法。
【請求項13】
請求項8の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、前記予防及び改善用食品組成物。
【請求項14】
前記食品は発酵乳、ヨーグルト、飲料水、牛乳飲料、食品添加物及び特定保健用食品からなる群より選ばれることを特徴とする請求項13記載の食品組成物。
【請求項15】
前記組成物は高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを108CFU/g乃至1010CFU/g濃度で含むことを特徴とする請求項13記載の食品組成物。
【請求項16】
アトピー性皮膚炎予防及び改善用食品を製造するための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの使用であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、熱死ラクトバシルスラムノサスの使用。
【請求項17】
アトピー予防又は改善を必要とする動物(ヒトを除く)に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させることを特徴とするアトピー予防又は改善方法であって、前記高分子多糖がヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン及びキトサンからなる群より選ばれた一つ以上である、前記アトピー予防又は改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2014年5月7日付で出願された大韓民国特許出願第10-2014-0054237号を優先権主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス、これの製造方法及びこれの用途に関するものであって、より詳しくは高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法、前記方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス及び前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物及び食品組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
アトピー性皮膚炎は痒み症を示す慢性の再発性炎症性皮膚状態を意味し、主に幼児と小児において多発する。アトピーはアレルギー性鼻炎、気管支喘息と共に最も代表的なアレルギー性疾患であって子供では10〜30%の罹病率を示し、大人では1〜3%の罹病率を示すと知られている。
【0004】
アトピー性皮膚炎は体内に侵入した埃やダニなどの抗原に対して、免疫体系が過敏反応を示すもので、抗原はマクロファージを通じてT細胞に伝達されてT細胞は抗原の種類や反応する受容体によってTh1細胞又はTh2細胞に分化される。Th2細胞はIL-4,IL-5,IL-10などのcytokinesを通じて体液性免疫を活性化させ、B細胞が活性化されて1gE生産が多くなり、アトピー性皮膚炎を誘発するようになる。反面、Th1細胞はIL-12,IFN-γを通じて細胞性免疫を活性化させ、IFN-γはIgE生成を抑制する作用をする。従って、Th1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節が維持されてアトピー症状を緩和することができる。
【0005】
このようなアトピー性皮膚炎の治療法として、今まで確実な治療方法が提示されていないが、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などの薬剤が使用されている。この内、アトピー性皮膚疾患に軟膏剤として多く使用されているステロイド剤薬剤は免疫応答性を弱化させて炎症を軽減させるもので、長期間使用の際各種の副作用が報告されている。
【0006】
一方、免疫調節作用を有する食品素材として多くの乳酸菌、又は乳酸菌を含有する乳製品が市販されている。乳酸菌にはラクトバシルスラ属、ラクトコクス属、ストレプトコクス属、ペジオコクス属、エンテロコクス属などを挙げることができて、これら乳酸菌が免疫復活又は抗アレルギー作用を有することは知られている。ここで本発明は長期間使用する際、副作用がなく根本的にアトピー性皮膚炎が治療可能な新規な物質であって、Th1細胞とTh2細胞の均衡的免疫調節機能があるラクトバシルスラムノサスアIDCC-3201を特許出願して登録を受けたことがある[大韓民國特許 10-0742900]。
【0007】
しかしながら、ヒトの腸内には約500余種100兆以上の腸内細菌が棲息していて、大腸菌のような有害菌と乳酸菌のような有益菌が常在菌叢で均衡を維持しており、乳酸菌生菌剤投与の際、腸粘膜に競争的付着をするに限界点があって、その効果も付着率によって相異する。さらに、胃腸管通過の際、一定部分が死滅されるか又は付着競争から脱落した乳酸菌生菌は排便とともに排出されるので重症度のアトピー治療の限界点を有している。
【0008】
さらに、生菌剤の腸粘膜付着効率を高めるために基準菌数以上に過剰投与方式で摂取しなければならず、腸到着前、多くの人体内障害物を乗り越えなければならないので、摂取菌数とアトピー治療効率を予測することが難しく、このような問題点によりステロイド系薬剤水準の効果を示す乳酸菌剤が殆どなく、複合剤でその効果を高めようとする努力があるものの、菌株保管中経時的死滅が自然的に発生するので効果に対する定型化された基準を定めることができない問題点が依然として提起されてきた。
【0009】
最近ではヒトの腸粘膜免疫体系に関する研究が進行されながら、宿主であるヒトの腸管免疫細胞と乳酸菌細胞壁成分間の相互作用と付着能に対する報告などがあった。その内樹枝状細胞(Dendritic cells,DC)のToll-like receptor-2(TLR-2)が乳酸菌の細胞壁に存在するリポチコ酸(lipoteichoic acid)、ペプチドグリカン(peptidoglycan)などと結合して免疫関連信号を伝達する。
【0010】
さらに、免疫調節機能をする乳酸菌は特異的で固有の培地で発酵させると菌体の他にshort chain fatty acid(SCFA)、免疫タンパク質(immuno protein)を生産してTh1細胞からIFN-γ、IL-12の分泌を促進させて、アトピー性皮膚炎を好転させる作用をする。しかしながら、大多数の乳酸菌発酵産物がアトピー性皮膚炎を好転させる作用をせず、一部選択的乳酸菌だけがこのような物質を生産するのでこれに対する開発価値が高い。
【0011】
このような背景下でアトピー性皮膚炎に使用されているステロイド系薬剤の副作用と乳酸菌生菌剤の付着率によるアトピー性皮膚炎の限界点を克服して、より根本的なアトピー性皮膚炎の治療に有用な組成物が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これに、本発明者は、ステロイド系薬剤と同等な水準で高い効果を維持しながらも副作用のないアトピー性皮膚炎治療物質を開発するため、研究を重ねる中で培養濾液に高分子多糖類を混合して製造したバインダーと熱死(heat-killed)させたラクトバシルスラムノサスのコンジュゲートが腸粘膜免疫細胞と付着能が優れたばかりでなく、副作用がなく重症度アトピー性皮膚炎の治療効果があることを確認して本発明を完成した。
【0013】
従って、本発明の目的は(a)ラクトバシルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)を培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;(c)前記(a)段階で分離された菌体を熱死させる段階;(d)前記(c)段階の熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記製造方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされたラクトバシルスラムノサスを提供することである。
【0015】
本発明のさらに、他の目的は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、アトピー性皮膚炎治療剤製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、アトピー治療又は予防を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを投与することを特徴とするアトピー治療又は予防方法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、アトピー性皮膚炎改善用食品を製造するための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、アトピー予防又は改善を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させることを特徴とするアトピー予防又は改善方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的を達成するため(a)ラクトバシルスラムノサスを培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;(c)前記(a)段階で分離された菌体を熱死させる段階;及び(d)前記(c)段階で熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法を提供する。
【0022】
本発明の他の目的を達成するため、本発明は前記製造方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを提供する。
【0023】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
【0024】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー性皮膚炎治療剤製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー治療又は予防を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを投与することを特徴とするアトピー治療又は予防方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー性皮膚炎改善用食品を製造するための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー予防又は改善を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させることを特徴とするアトピー予防又は改善方法を提供する。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明は
(a)ラクトバシルスラムノサスを培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;
(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;
(c)前記(a)段階で分離された菌体を熱死させる段階;及び
(d)前記(c)段階で熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法を提供する。
【0031】
(a)段階はラクトバシルスラムノサスを培養した結果物である発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する過程である。
【0032】
本発明の前記ラクトバシルスラムノサス乳酸菌株はラクトバシルスラムノサスストレイン全てを含み、好ましくはラクトバシルスラムノサスKCTC10833BPでもある。
【0033】
前記ラクトバシルスラムノサスKCTC10833BPは本出願人の既出願(10-2006-0038066)特許で“ラクトバシルスラムノサスIDCC 3201”と命名されたこともあって、本明細書に前記名称が混用もされることもある。
【0034】
本発明で前記用語“培養”とは、発酵を含む概念である。本発明の前記培養過程は公知の乳酸菌培養方法によることもでき、これに制限されないが、例えば、培養培地又は培養基質に菌体を接種して好気的又は嫌気的環境で一定した成育温度を維持させて一定時間放置する方法でもある。
【0035】
本発明で用語“培養培地”とは、動物細胞や植物細胞又は微生物などを飼育に必要な栄養素が含まれている固体又は液体の培養基質を意味する。本発明で培養培地は公知の乳酸菌培養培地によるものでもあって、これに制限されないが例えば、MRS(deMan Rogosa Sharpe)液体培地、APT(All Purpose with Tween)培地又はBHI(Brain Heart Infusion)培地でもあって、好ましくはMRS液体培地でもある。前記培地などは当業者が意図することによって、培地を構成する物質の組成及び物質含量を選択調節して変形された培地(例えば、変形されたMRS培地)形態で使用することもできる。
【0036】
本発明の前記培養培地には、培養基質として乳酸菌生育に必要な炭素原と窒素原、無機塩類及び生長素などを含む。前記炭素原と窒素原、無機塩類及び生長素は乳酸菌生育に上昇作用を引起こす物質であればその種類が制限されず、これは該当分野に公知されている。例えば、炭素原には多様な炭水化物が利用されることもあり、好ましくはグルコース、スクロース、マルトース、プラクトース、ラクトース、キシロース、ガラクトース又はアラビノースでもある。さらに、窒素原には多様な有機窒素原が利用されることもあって、好ましくは酵母抽出物、ソイトン(soytone)、ペプトン、牛肉抽出物、トリプトン又はカシトン(casitone)でもある。無機塩類原には当業界に公知された乳酸菌成育用無機塩類であればその種類が制限されず、例えば、硫酸マグネシウム (MgSO4)、硫酸マンガン (MnSO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、炭酸カルシウム (CaCO3)、アセト酸ナトリウム (CH3COONa)でもある。さらに、前記培養培地には当業者の必要に応じて多様な食品原料粉末又は抽出物を任意に追加して使用することができて、例えば、トウモロコシ粉末又は抽出物、乳清粉末又は抽出物、脱脂粉乳又は抽出物、緑茶粉末又は抽出物、キノコ粉末又は抽出物などでもあってこれに制限されない。
【0037】
前記培養過程で温度は乳酸菌種類によって当業者が変更することができ、これに制限されないが、例えば、30℃乃至45℃でもあり、好ましくは33乃至40℃でもあって、最も好ましくは35乃至39℃でもあり得る。
【0038】
前記培養過程で培養時間は当業者が目的とする作業効率によって変更することができて、これに制限されないが例えば、12時間乃至96時間でもある。
【0039】
本発明で用語“発酵培養液”とは、液体培地に菌株を接種して発酵(又は培養)したことを意味し、用語“発酵濾液”とは、前記発酵培養液から菌株を除去した培養濾液を意味する。
【0040】
前記菌体と発酵濾液の分離は公知の菌体分離方法によることができ、例えば、遠心分離又は限外濾過方法でもあるが、これに制限されない。
【0041】
(b)段階は前記(a)段階で分離した発酵濾液と高分子多糖類物質を混合して高分子多糖バインダーを製造する過程である。
【0042】
本発明の前記“高分子多糖バインダー”とは、発酵濾液と高分子多糖類物質の混合物又はこれの濃縮物を意味し、バインダーの組成及び製造工程によって腸粘膜に対する付着能及び免疫細胞における多様なサイトカイン生成能を調節することができる。
【0043】
本発明の前記(b)段階の高分子多糖類物質は、当業界に公知された高分子多糖物質であればその種類が制限されないが、例えば、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルジナート(alginate)、マルトデキストリン(maltodextrin)、キトサン(chitosan)、カラギーナン(carrageenan)、ガラクトマンナン(galactomannan)、グルコマンナン(glucomannan)、デキストラン(dextran)、フコイダン(fucoidan)、寒天、ポーフィラン(porphyran)、キチン(chitin)などを含む。前記本発明の高分子多糖は好ましくはヒアルロン酸、アルジナート、マルトデキストリン、キトサンでもある。
【0044】
前記高分子多糖物質の添加比は当業者が目的とする粘度又は付着力によって選択的に変更することができ、例えば、発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至10%(w/v)の比で添加することができてこれに制限されない。
【0045】
本発明で前記(b)段階の好ましい実施形態は高分子多糖物質としてヒアルロン酸を発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至10%(w/v)の比で添加して混合するものでもあって、最も好ましくはヒアルロン酸を発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至0,01%(w/v)の比で添加するものでもある。
【0046】
前記ヒアルロン酸はアミノ酸とウロン酸からなる複雑な多糖類の一つであって、N-アセチールグルコサミンとグルクロン酸からなる高分子化合物である。前記本発明のヒアルロン酸はその分子量がこれに制限されないが例えば、100万、200万、300万、400万、450万分子量を有するヒアルロン酸などを含み、好ましくは100万、200万分子量のヒアルロン酸であり、より好ましくは100万分子量のヒアルロン酸でもある。
【0047】
前記(b)段階では高濃度の高分子多糖バインダーを収得するため、濃縮過程を追加して含むことができる。
【0048】
前記濃縮は当業界に公知された濃縮装置又は濃縮法によることができ、これに制限されないが、例えば、沈殿濃縮、蒸発濃縮、減圧濃縮、限外濾過法、逆浸透法、遠心分離法でもあって、好ましくは減圧濃縮でもある。
【0049】
(c)段階は(a)段階で分離された菌体を熱死させる過程である。
【0050】
前記“熱死”とは、一定時間加熱処理を通じて生菌を死菌化することを意味し、熱死条件によって菌体が内包する有効成分の組成、菌体構造、腸付着能力に影響を及ぼす。細菌を熱死させて死菌化する最も重要な目的はラクトバシルスラムノサス細胞構造物に含まれている代表成分のリポチコ酸(lipoteichoic acid)、ペプチドグリカンなどを誘導させ腸粘膜の免疫細胞とよく付着される構造を形成することにある。つまり、前記細胞構造物を形成するリポチコ酸、ペプチドグリカンなどは腸粘膜の樹枝状細胞のTLR-2と結合して免疫関連したサイトカイン類の生成を促進するメカニズムを有しているので付着効率が最も良好な形態で調製することが重要である。
【0051】
前記本発明の熱死温度は菌体が内包している機能性成分が変質しない温度範囲であればこれに制限されないが、例えば、60℃乃至100℃の温度範囲でも有り得て、好ましくは70℃乃至90℃のでもあって、最も好ましくは75乃至85℃でもある。
【0052】
前記熱死時間は菌体が内包している機能性成分が変質しない時間範囲であればこれに制限されないが、例えば、10分乃至120分でもあって、好ましくは30分乃至90分でもあって、最も好ましくは50分乃至70分でもある。
【0053】
前記熱死過程以後に、当業者の必要に応じて冷却過程を任意で追加できる。前記冷却は公知の冷却方法によることができ、当業者が目的とすることにより冷却温度を選択変更することができ、これに制限されないが例えば、10℃乃至40℃の温度範囲で冷却することでできて、好ましくは25℃乃至35℃の温度範囲で冷却することでもある。
【0054】
(d)段階は前記(c)段階の熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる過程である。
【0055】
前記“コンジュゲート”とは、2個以上の物質がカップリング(coupling)結合されて一つの単位体を形成することを意味する。前記(d)段階では前記(b)段階で製造されたバインダーに(c)段階の熱死させた菌体を浸透又は混合させることにより誘発される一連の反応などにより前記バインダーと熱死された菌体がコンジュゲートされる。
【0056】
前記(a)乃至(d)段階を含む製造方法は、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス製造時に処理、保管などが容易であるため、当業者の必要に応じて賦形剤添加、乾燥過程、粉末化過程が任意で追加できる。
【0057】
前記賦形剤は当業界に公知の賦形剤であればその種類が制限されないが、例えば、澱粉でもある。
【0058】
前記乾燥過程は公知の乾燥方法によることができ、これに制限されないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥又は熱風乾燥でもある。
【0059】
本発明は前記製造方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを提供する。
【0060】
本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、前記(a)乃至(d)段階を含む製造方法により製造されたことを特徴とする。前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは本発明者により“RHT-3201”と命名され、本明細書に前記用語などを混用して記載した。
【0061】
本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、アトピー疾患の治療効果が優れ、特に従来の乳酸菌剤が有している腸粘膜付着の競争力を改善し(実施例6参照)、従来のステロイド系薬剤(例えば、デキサメタゾン)と同等な水準でアトピー性皮膚炎の予防、改善又は治療効果を示した(実施例9、10参照)。
【0062】
さらに、乳酸菌生菌剤の経口摂取の際、問題となる胃腸管環境に対する安定性においても、本願発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、生菌剤に比べて高い水準でその機能(効能)が維持される。つまり、人工胃液(胃酸)及び人工腸液(胆汁酸)に露出されても腸粘膜に対する付着効率が高い水準で維持され(実施例7参照)、多様な温度における保管安定性も確認された(実施例8参照)。
【0063】
アトピーはアトピー素因を有している個人において皮膚、呼吸器粘膜、眼粘膜、腸粘膜などに現れる一連のアレルギー症状を意味し、このようなアトピー素因(アレルギー体質)は遺伝し、家族的に現れ、アトピー素因によるアレルギー性疾患には、アレルギー皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性結膜炎、アトピー性じんま疹などがあり、これらの疾患は単独又はさまざまな疾患が同時に現れることもある。アトピー性皮膚炎はアトピーアレルギーを有するヒトに現れる代表的な皮膚疾患にして、広く胎熱とも言われる慢性皮膚疾患であり、皮膚乾燥症及び痒み症が主症状であって、免疫学的特性を示し、他のアレルギー性疾患のじんま疹、金属アレルギー、喘息やアレルギー性鼻炎などを同伴する場合があって、家族的な傾向がある。
【0064】
本発明のアトピー性皮膚炎は、痒み症を示す慢性の再発性炎症性皮膚状態であり、体内に侵入したダニなどの抗原に対して免疫体系が過敏反応を示すものである。体内に侵入した抗原はマクロファージを通じてT細胞に伝達され、T細胞は抗原の種類や反応する受容体によってTh1細胞又はTh2細胞に分割されるが、この際、Th2細胞はIL-4,IL-5,IL-10などのcytokinesを通じて体液性免疫を活性化させ、B細胞が活性化されてIgE生産が多くなってアトピー性皮膚炎を誘発するようになる。つまり、アトピー性皮膚炎で免疫異常は免疫グロブリン(IgE)が人体内の血管周囲や皮膚にある肥満細胞の表面に付いていたものが再び抗原が人体に浸透すると免疫グロブリンと結合して肥満細胞を活性化させて、ヒスタミンなどの化学物質を分泌させ、このような化学物質が血管と皮膚を刺戟して、皮膚に赤い斑点と浮腫、痒み症を引起こしアトピー性皮膚炎を誘発、悪化させるようになる。
【0065】
反面、Th1細胞はIL-12、IFN-γを通じて細胞性免疫を活性化させ、IFN-γはIgE生成を抑制する作用をする。
【0066】
従って、Th1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節はアトピー症状の予防又は治療において、核心的な部分であって、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは前記Th1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節に卓越であり、特に、アトピー皮膚炎の重症度によって相異する免疫調節機作を通じて、Th1 typeサイトカインとTh2 typeサイトカインの均衡的免疫調節をなすことが特徴である(実施例9,10参照)。つまり、軽症度アトピー性皮膚炎においてはTh1とTh2細胞の免疫学的均衡を調節及び維持する役割をする反面、重症度アトピー性皮膚炎においては調節T細胞の刺戟を通じてTh1とTh2細胞の活性を抑制して重症度アトピー性皮膚炎疾患を治療、改善する。
【0067】
従って、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。さらに、アトピー性皮膚炎の治療剤製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途とアトピー治療又は予防を必要とする個体に高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効量投与してアトピーを治療又は予防する方法を提供する。
【0068】
本発明の前記アトピー性皮膚炎は病症の進行程度によって軽症、中等症、重症などに分類され、本発明はアトピー性皮膚炎は好ましくは重症度アトピー性皮膚炎でもある。
【0069】
本発明の前記“個体”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもある。
【0070】
アトピー性皮膚炎に対する臨床経過及び治療効果に対する尺度は、多くの尺度が報告されている。代表的なものにはEASI(Eczema Area and Severity Index)、SCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)、POEM(Patient Oriented Eczema Measure)、and TIS(Thres Item Severity)などが知られている。本発明のアトピー性皮膚炎は好ましくはSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)によってその重症度を分類する。
【0071】
本発明に伴う薬学的組成物は薬学的に有効な量の前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを単独で含むか又は一つ以上の薬学的に許容される担体を追加して含むことができる。本発明の薬学的組成物は単一投与量で患者に投与することができ、多重投与量が長期間投与される分割治療方法により投与できる。前記にて薬学的に有効な量とは、陰性対照群に比べてそれ以上の反応を示す量を意味し、好ましくはアトピー性皮膚炎を治療又は予防に十分な量を意味する。本発明に伴う高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの有効な量には0.001乃至1000mg/kg b.w./dayでもあり、好ましくは0.055乃至16.65mg/kg b.w./dayでもあり、これに限定されるものではない。しかしながら、前記薬学的に有効な量は疾患及びこれの重症度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路及び治療期間などのような多様な因子によって適切に変化することができる。
【0072】
本発明の組成物は前記薬学的に許容される担体とともに、当業界に公知の方法により投与経路によって多様に剤形化できる。前記にて“薬学的に許容される”とは、生理学的に許容され、ヒトに投与される時、活性成分の作用を阻害せず、通常的に胃腸障碍、眩気症のようなアレルギー反応又はこれと類似した反応を起こさない非毒性の組成物を意味する。本発明の組成物は前記薬学的に許容される担体と共に当業界に公知の方法で投与経路によって多様に剤形化することができる。投与経路としてはこれに限定はされないが、経口的又は非経口的に投与することができ、好ましくは経口投与でもある。
【0073】
本発明の薬学的組成物を経口投与する場合、本発明の薬学的組成物は適合した経口投与用担体と共に、当業界に公知の方法により粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウェファーなどの形態で剤形化することができる。例えば、経口用製剤は活性成分を個体賦形剤と配合した後、これを粉砕して適合した補助剤を添加して顆粒混合物に加工することにより錠剤又は糖衣錠剤を収得することができる。適合した賦形剤の例にはラクトース、デキストロス、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトールなどを含む糖類とトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びジャガ芋澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤が含まれる。さらに、場合によっては架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はナトリウムアルギナートなどを崩解剤として添加することができる。さらには、本発明の薬学的組成物は抗擬集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加して含め得る。
【0074】
さらに、非経口的に投与する場合、本発明の薬学的組成物は適合した非経口用担体と共に当業界に公知の方法により剤形化することができる。その他の薬学的に許容される担体には下記の文献に記載されているものを参考にすることができる(Remigton's Pharmaceutical Sciences,19th ed.,1995,Mack Publishing Company,Easton,PA)。
【0075】
さらには、本発明の薬学的組成物はアトピー疾患乃至アトピー性皮膚炎を予防及び治療する効果を有する公知の化合物と並行して投与することができる。
【0076】
さらに、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物を提供する。さらに、アトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途と、アトピー予防又は改善を必要とする個体に高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させアトピーを予防又は改善する方法を提供する。
【0077】
本発明の前記“個体”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもある。
【0078】
本発明の食品組成物は機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤、乳酸菌飲料、発酵乳など全ての形態を含む。前記類形の食品組成物は当業界に公知の一般的な方法により多様な形態で製造することができる。好ましくは本願発明の前記食品は発酵乳、ヨーグルト、飲料水、牛乳飲料、食品添加物及び特定保健用食品でもある。
【0079】
例えば、健康食品には本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを乳酸菌飲料、発酵乳、茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するようにするか又は顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取することができる。さらに、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスとアトピー疾患(具体的にアトピー性皮膚炎)の改善効果があると知られた公知の物質又は活性成分と共に混合して組成物の形態で製造することができる。
【0080】
さらに、機能性食品には飲料(アルコール性飲料を含む)、果物及びその加工食品(例:果物缶詰、瓶詰、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソセージ、コーンビーフなど)、パン類及び麺類(例:うどん、ソバ、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソースなど)などに本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを添加して製造することができる。
【0081】
本発明の食品組成物の内、前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの好ましい含有量はこれに限定されないが、好ましくは最終的に製造された食品の内0.001乃至50重量%である。
【0082】
さらに、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを食品添加剤の形態で使用するには粉末又は濃縮液形態で製造して使用することができる。
【0083】
前記本発明の薬学的組成物及び食品組成物において、有効成分の混合量はその使用目的(予防:健康又は症状緩和)によって適合に決定することができ、これに制限されないが、例えば、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを108CFU/g乃至1010CFU/g濃度で含まれ得る。本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの有効用量は前記濃度範囲に準じて使用できるが、健康及び衛生を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下でもあって、有効成分は安全性の面で何等の問題がないので前記範囲以上の量でも使用することができる。
【発明の効果】
【0084】
本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスはアトピー疾患の治療効果が優れ、特に従来の乳酸菌剤が有している腸粘膜付着競争力を改善し、ステロイド系薬剤と同等な水準でアトピー性皮膚炎の予防、改善又は治療効果を示す。さらに、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスはTh1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節に卓越で、特にアトピー性皮膚炎の重症度によって相異する免疫調節機作を通じて、Th1 typeサイトカインとTh2 typeサイトカインの均衡的免疫調節をなすことが特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1はヒアルロン酸構造を示す電子顕微鏡写真である。
図2はヒアルロン酸濃縮バインダーの構造を示す電子顕微鏡写真である。
図3は熱死前ラクトバシルスラムノサスIDCC-3201の構造を示す電子顕微鏡写真である。
図4は熱死後ラクトバシルスラムノサスIDCC-3201の構造を示す電子顕微鏡写真である。
図5は本発明RHT-3201の構造を示す電子顕微鏡写真である。
図6は重症度アトピー性皮膚炎モデルから本発明のRHT-3201の治療効果に対するSCORAD index評価点数を示す。
図7は重症度アトピー性皮膚炎モデルから本発明のRHT-3201の治療効果に対する裸眼で観察した結果を示す。
図8は本発明のRHT-3201投与に伴う、scratching behaviorの変化を示す。
図9は本発明のRHT-3201投与に伴う、体重の変化を示す。
図10は本発明のRHT-3201投与に伴う、血中のIgE含量変化を示す。
図11は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うマウスのリンパ節の変化を裸眼で観察した結果を示す。
図12は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うマウスのリンパ節の大きさ変化を示す。
図13は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うマウスのリンパ節の重さの変化を示す。
図14は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIFN-γ生成率変化を示す。
図15は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-12生成率変化を示す。
図16は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-4生成率変化を示す。
図17は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-10生成率変化を示す。
図18は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-4/IFN-γ比率を示す。
図19は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIFN-γ/IL-10比率を示す。
図20は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-4/IL-10比率を示す。
図21は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴うIL-12/IL-10比率を示す。
図22は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴う背皮膚組織の病理学的特徴を裸眼で観察した結果(上段)と、皮膚組織を採取及び、H&E染色して光学顕微鏡で観察した結果(下段)を示す。
図23は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴う背皮膚組織の表皮の厚みを示す。
図24は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴う背皮膚組織の真皮の厚みを示す。
図25は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴う背皮膚組織の肥満細胞の浸潤状態をトルイジン青染色で観察した結果を示す。
図26は重症度アトピー性皮膚炎モデルから、本発明のRHT-3201投与に伴う背皮膚組織の肥満細胞の數の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
以下、本発明を詳細に説明する。
ただし、下記実施例は本発明を例示するのみであり、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0087】
実施例1.
バインダー種類別効能評価
<1−1>多様な種類のバインダーサンプル調製
ラクトバシルスラムノサスIDCC-3201(KCTC 10833BP)を0.1-1%の乳清粉末が含まれたMRS培地で37℃、24時間培養した。培養後、遠心分離で菌体と発酵濾液を分離して、発酵濾液にヒアルロン酸、アルギナート、マルトデキストリン、キトサン、ポリエチレングリコールをそれぞれ0.1%(w/v)の量を添加後、1時間撹拌後濃縮してバインダーを調製して凍結乾燥した。それぞれのサンプルをリン酸塩緩衝溶液で希釈して最終1μg/mlのサンプルを調製した。対照群には脱脂粉乳を使用した。
【0088】
<1−2>脾臓細胞調製
5週令の雌BALB/cマウスに水酸化アルミニウム2mgとオバルブミン(ovalbumin)1mgを腹腔注射でブスティングさせ、6日経過後同一に2次ブスティングをした。13日目マウスから脾臓を摘出して脾臓細胞を抽出し、脾臓細胞液を調製した。好ましくは脾臓細胞液調製は下記の方法に従う。
【0089】
マウスの脾臓を無菌的に摘出して Hanks balanced salt solution(HBSS)10mlを滴下して60 mesh金網の上でピンセットで破裂させ、細胞懸濁液を集めて、2.5mlの牛胎児血清に重疊させて10分間放置し、大きい塊を沈める。NH4Cl溶液(pH7.0)に3〜4分間懸濁して、赤血球を溶血させ、2.5mlの牛胎児血清に混合して1,500RPMで5分間遠心分離した。沈殿物をHBSSで2回洗浄後、10%の牛胎児血清とオバルブミンが1mg/ml含まれたDMEM培地に 5x106 cells/mlの濃度で懸濁して脾臓細胞を準備した。
【0090】
<1−3>脾臓細胞培養及びサイトカイン測定
96-well plateの各wellに脾臓細胞懸濁液 (5x106 cells/ml)200μlと前記実施例<1−1>で製造した各試料液10μl(1μg/ml)を添加して、5%CO2培養器で7日間培養した。培養終了後培養液中のIL-4とIL-12をサイトセットキット(Biosource)を利用して測定した。各試料によるIL-4とIL-12の生成程度は表1の通り、対照群対比増加率で示した。
【0091】
【表1】
【0092】
実験結果、ヒアルロン酸バインダーはIL-4は5%増加され、IL-12は52%増加された。アルギナートバインダーはIL-4は15%増加され、IL-12は29%増加されて、マルトデキストリンバインダーはIL-4は9%増加され、IL-12は36%増加され、キトサンバインダーはIL-4は17%増加され、IL-12は38%増加された。ポリエチレングリコールバインダーはIL-4は13%増加し、IL-12は22%増加された。従って、高分子多糖類を使用してバインダーを調製した際、IL-12増加率が高いながらもIL-4は相対的に低い結果を示し、その内でも最もヒアルロン酸バインダーが最もIL-12の増加率が高いながらもIL-4の増加は相対的に低い結果を示した。ヒアルロン酸の次にはマルトデキストリン、キトサン、アルギナートの順で良い結果を示した。
【0093】
<実施例2>
バインダー濃度別効能評価
【0094】
<2−1>濃度別サンプル調製
高分子多糖類物質の中で、前記実施例1で最も良い効果を示したヒアルロン酸を代表物質として、バインダー濃度別効能を評価した。発酵濾液にヒアルロン酸をそれぞれ0.0001%〜1%(w/v)の量をそれぞれ添加後、1時間撹拌後、減圧濃縮して添加濃度別ヒアルロン酸バインダーを調製して、凍結乾燥した。それぞれのサンプルをリン酸塩緩衝溶液で希釈して最終 1μg/mlのサンプルを調製した。対照群には脱脂粉乳を使用した。
【0095】
<2−2>サイトカイン生成実験
前記実施例1−3と同一な方法で、前記実施例2−1で製造したバインダーサンプルなどの脾臓細胞に対するサイトカイン生成率を確認した。その結果は下記表2で示す。
【0096】
【表2】
【0097】
実験結果、前記表2に示した通り、ヒアルロン酸バインダーを調製するためのヒアルロン酸の最終濃度は0.001%(w/v)であり、この際、IL-4の生成率が対照群に比べて減少し、IL-12は生成率が対照群に比べて増加した。
【0098】
<実施例3>
熱死条件別菌体の効能評価
最適菌体熱死条件を決定するため、温度と時間による熱死条件を最適化して、これをCaco-2 cellに対する付着能を評価して最適条件を選抜した。より詳細な試験方法は下記の通りである。
【0099】
<3−1>熱死菌体サンプル製造
ラクトバシルスラムノサス菌体を60〜120℃まで10分、20分、30分、40分、50分、60分まで細分化して熱死させた後、30℃に冷却させ試験サンプルに使用した。それぞれのサンプルはリン酸緩衝溶液で2回洗浄後、1ml同一緩衝溶液に再懸濁してserum-free DMEMに1x108cells/mlに希釈して実験に使用した。
【0100】
<3−2>腸細胞に対する付着能評価
Caco-2 cell monolayerはCaco-2 cells(韓国細胞株銀行)を10%(v/v)fetal calf serumと20μl/mlのゲンタマイシン(gentamycin)を添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM,Hyclone,USA)に1.2 x105 cells/ml濃度で接種し、6-well tissue culture plateを使用して、well当り1ml分株して7日間培養後、リン酸緩衝溶液で2回洗浄して製造した。
【0101】
Caco-2 cell monolayerが形成された各wellsに前記実施例3−1で製造したサンプル液1mlを入れて90分間反応させた。対照群には熱死させた乳酸菌体の代わりにDMEM 1mlを使用した。反応後、上層液を除去して、Tween 80 0.04%(w/v)1mlを加えてCaco-2 cellsに付着した熱死乳酸菌を回収して、ヘモサイトメータを利用した観察菌数を測定した。初期菌数対比した付着菌数の比率で付着効率を計算した(表3参照)。
【0102】
【表3】
【0103】
表3に示した通り、80℃、60分間熱死条件を加えた時、付着率が最も良好であった。これは乳酸菌の細胞壁に存在するlipoteichoic acidなどの構成成分は、腸内有害細菌の大腸菌とサルモネラなどが腸膜表面に付着することを阻害する特性を有し、腸膜細胞の内、dentritic cellsの受容体の内の一つであるTLR-2と結合して、ヒトの腸管免疫活性化に関与する。従って、最適菌体熱死条件を確立して細胞壁に存在する関連因子らの排出を容易ならしめることにより、腸管内の常在菌叢と競争して付着することができて、究極的には腸管免疫の活性化を期待できる。
【0104】
<実施例4>
高分子多糖バインダーに結合された熱死ラクトバシルスラムノサス製造
前記実施例2で製造されたラクトバシルスラムノサス発酵濾液が濃縮された0.001%ヒアルロン酸バインダーに、前記実施例3で製造された80℃、60分間熱死させた菌体を混合して反応させた。賦形剤として澱粉のようなキャリア(carrier)を混合して乾燥過程を経て、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス(“RHT-3201”と表記)を製造した。前記のようにRHT-3201と生菌剤であるラクトバシルスラムノサスIDCC3201に対して実施例1−3と同一な方法で免疫増進効果を相対比較した。(表4参照)。
【0105】
【表4】
【0106】
表4に示した通り、本願発明のRHT-3201乳酸菌が従来の生菌剤よりTh1/Th2に関与するサイトカインの調節効果が17倍高いものと確認された。これは工程過程でTLR-2のような腸粘膜の受容体に容易に結合される形態で製造されたためと判断される。
【0107】
<実施例5>
電子顕微鏡(FE-SEM)構造分析
前記実施例4で製造されたRHT-3201の性状に対して、各調製工程により電子顕微鏡(FE-SEM,モデル:LEO SUPRA 55,GENESIS 2000(Carl Zeiss,EDAX))撮影を通じて構造的分析をした。前記RHT-3201調剤工程を段階的に電子顕微鏡を構造分析して図1乃至図5に示した。
【0108】
図1及び図2に示された通り、バインダー調製過程でヒアルロン酸にラクトバシルスラムノサスIDCC-3201の培養濾液を混合して濃縮するとヒアルロン酸粒子が稠密になりながらバインダー構造が作られることを観察することができた(図2参照)。さらに、図3及び図4に示した通り、特定条件における菌体熱死過程により、乳酸菌の細胞壁が破片化されずに、腸粘膜に容易に付着可能な露出された構造が作られることを観察することができた(図4参照)。最後に熱死菌体をヒアルロン酸バインダーと混合しながら腸粘膜の付着が容易にした(図5参照)。
【0109】
<実施例6>
RHT-3201大量生産
前記実施例4の製造方法でRHT-3201の大量生産の際、再現性を確認するため、生菌剤と大量生産されたRHT-3201との腸内付着率を比較した(表5参照)。
【0110】
具体的にラクトバシルスラムノサスIDCC-3201は生産規模1ton発酵タンクで37℃、overnight培養した。遠心分離により培養濾液と菌体を分離して、発養濾液は培養液嵩の0.001%(w/v)のヒアルロン酸を加え、50℃で減圧濃縮して熱死された菌体表面に結合させるバインダーを製作し、菌体は別に80℃、60分間熱処理して熱死された菌体を調製した。さらに、前記バインダーと熱死菌体を混合及び均質化した後、乾燥してRHT-3201を調製した。対照群として使用したラクトバシルスラムノサスIDCC-3201生菌剤は一般的な生菌剤原料調製工程により調製し、具体的に同一培養液から菌体を収得した後、リン酸塩緩衝溶液20mlに懸濁して凍結乾燥して菌体粉末を製造した。
【0111】
【表5】
【0112】
表5に示した通り、RHT-3201の付着率がラクトバシルスラムノサス生菌剤より57%改善されたものと確認された。
【0113】
<実施例7>
摂取安定性評価
<7−1>酸安定性(Acid stability)
消化管の内、胃腸に乳酸菌製剤が通過する時、胃酸に露出されるが、このような環境を試験管条件で再現して生菌と本願発明のRHT-3201に対して酸安定性を比較した。より詳細にはMRS培地に10%HCLを滴下してpHを2.3、2.5に滴定した後、滅菌して使用し、生菌剤及びRHT-3201それぞれの試料 1gをそれぞれのpHで補正されたMRS培地に入れて0時間、1時間、2時間のあいだ反応させ、前記実施例3−2と同じ方法でCaco-2 cellsに対する付着菌数を測定して付着率を分析した。この際、実験に使用した乳酸菌はラクトバシルスラムノサスIDCC-3201であって、実施例6の製造工程により製造されたRHT-3201と生菌剤それぞれを実験に使用した。
【0114】
【表6】
【0115】
表6に示した通り、生菌剤より本願発明のRHT-3201の付着効率が酸に2時間露出された時にも付着効率が維持されることと確認された。
【0116】
<7−2>胆汁酸安定性
胆汁酸は肝臓で作られて胆道を抜け出て小腸に流れ、小腸末端の回腸でさらに95%吸収されて再び肝臓に戻る腸管循環をする。この過程で小腸に定着した乳酸菌の付着能に影響を及ぼす。従って、生菌と本願発明のRHT-3201が胆汁酸に露出された時の付着率の差を比較した。より詳細には胆汁酸 0.3%が添加されていないMRS 培地と添加していたMRS培地を滅菌して使用し、それぞれの培地に生菌と本願発明のRHT-3201試料1gをそれぞれ接種して2時間反応後、前記実施例3−2と同じ方法でCaco-2 cellsの付着菌数を測定して付着率を分析した。
【0117】
この際、実験に使用した乳酸菌はラクトバシルスラムノサスIDCC-3201であり、実施例6の製造工程によって製造されたRHT-3201と生菌剤それぞれを実験に使用した。
【0118】
【表7】
【0119】
表7に示した通り、胆汁酸に2時間露出させた時、付着効率が57%維持されるものと確認され、生菌より約2.5倍高く効率が維持された。
【0120】
<実施例8>
温度別経時的安定性評価
<8−1>本願発明RHT-3201と生菌剤の4℃経時的安定性比較実験
前記実施例6で製造された本発明のRHT-3201と生菌剤を365日間4℃冷蔵保管後、時間経過によって原料1g当り付着菌数を測定してその結果を表8に記載した。付着菌数測定は前記実施例3−2と同じ方法で行われ、Caco-2 cellsに対する付着菌数を測定して付着率を分析した。
【0121】
【表8】
【0122】
<8−2>本願発明のRHT-3201と生菌剤の15℃経時的安定性比較実験
前記実施例6で製造された本発明によるRHT-3201と生菌剤を365日間15℃で冷蔵保管後、時間経過によって原料1g当り付着菌数を測定して、その結果を表9に記載した。付着菌数測定は前記実施例3−2と同じ方法で行われ、Caco-2 cellsに対する付着菌数を測定して付着率を分析した。
【0123】
【表9】
【0124】
<8−3>本願発明のRHT-3201と生菌剤の25℃経時的安定性比較実験
前記実施例6で製造された本発明によるRHT-3201と生菌剤を365日間25℃で冷蔵保管後、時間経過によって原料1g当り付着菌数を測定してその結果を表10に記載した。付着菌数測定は前記実施例3−2と同じ方法で行われ、Caco-2 cellsに対する付着菌数を測定して付着率を分析した。
【0125】
【表10】
【0126】
<8−4>本願発明のRHT-3201と生菌剤の37℃経時的安定性比較実験
前記実施例6で製造された本発明によるRHT-3201と生菌剤を365日間37℃で保管後、時間経過によって原料1g当り付着菌数を測定してその結果を表11に記載した。付着菌数測定は前記実施例3−2と同じ方法で行われ、Caco-2 cellsに対する付着菌数を測定して付着率を分析した。
【0127】
【表11】
【0128】
<実施例9>
軽症度アトピー性皮膚炎誘発 in vitroモデルから本発明RHT-3201のサイトカイン生成調節
軽症度アトピー性皮膚炎誘発したマウスモデルにおいて、同一な乳酸菌から生成された本願発明のRHT-3201、生菌剤及び死菌剤に対してその効能を評価し、具体的な実験方法は下記の通りである。
【0129】
<9−1>試料調製
ラクトバシルスラムノサスIDCC-3201を0.1〜1%の乳清粉末が含まれたMRS培地で37℃、24時間培養して準備した培養液を利用して、前記実施例6と同一な方法で本願発明のRHT-3201及び生菌剤を調製した。
【0130】
死菌体は前記培養液から菌体を収得した後、リン酸塩緩衝溶液 500μlに懸濁して凍結乾燥して菌体を乾燥し、乾燥された菌体の重さを測定して300mg/mlになるように滅菌されたリン酸塩緩衝溶液に懸濁した。懸濁液を100℃で30分間熱処理して死菌化させて準備した。前記3種の類形のサンプルをリン酸塩緩衝溶液で希釈して最終1μg/mlのサンプルを調製した。対照群には脱脂粉乳を使用した。
【0131】
<9−2>脾臓細胞培養及びサイトカイン測定
前記実施例1−2と同じ方法で脾臓細胞を収得して準備した。96well plateの各wellに脾臓細胞懸濁液 (5x106 cells/ml)200μlと前記実施例9−1で製造されたそれぞれの試料液 10μl(1μg/ml)を添加して 5%CO2培養器で7日間培養した。培養終了後、培養液中のIL-4とIL-12をサイトセット キット(Biosource)を利用して測定した。各試料によるIL-4とIL-12の生成程度は表12のように対照群対比増加率で示した。
【0132】
【表12】
【0133】
実験結果、ラクトバシルスラムノサスIDCC-3201生菌剤はIL-4は20%増加され、IL-12は29%増加された。死菌体はIL-4は12%増加し、IL-12は34%増加された。RHT-3201はIL-4は3%増加し、IL-12は67%増加された、従って、IL-12の増加率が高く、IL-4の増加は相対的に低い本願発明のRHT-3201が最もサイトカイン生成調節効能が優れていることを確認した。
【0134】
<実施例10>
重症度アトピー性皮膚炎誘発in vivoモデルから本願発明のRHT-3201の治療効果
<10−1>試験物質及び誘発抗原の調製
試験物質で本願発明のRHT-3201を使用して、陽性対照物質は重症度アトピー性皮膚炎の主治療剤として使用されるステロイド系のデキサメタゾン(dexamethasone、Sigma Co.Ltd)を使用した。アトピー誘発物質はダニの主要種(species)であるデルマトファゴイデス ファリナ(Dermatophagoides farina)の抽出物を使用し、これは軟膏形態で中央実験動物から購買して使用した。
【0135】
デキサメタゾンは 0.1%(w/v)濃度になるようにエタノールに溶かして調製し、本発明のRHT-3201はそれぞれ1x108 CFU/0.5ml/mouse、1x109 CFU/0.5ml/mouse、1x1010CFU/0.5ml/mouse容量になるように蒸留水に溶かして調製した。投与サンプル全て当日調製して使用した。デキサメタゾンは週2回各個体当り100μlずつ皮膚塗布し、本発明のRHT-3201は1日1回マウスゾンデを利用して個体当り0.5mlずつ経口投与した。正常群とアトピー対照群は蒸留水を経口投与し、全ての試験群は8週間投与した。
【0136】
<10−2>試験動物の準備及び飼育
中央実験動物からNC/Nga雌6週令を購入して1週間適応させて使用し、飼育環境は恒温 (22± 2℃)、恒湿(50〜60%)を維持し、光周期(08:00〜20:00)及び暗周期(20:00〜08:00)を12時間間隔に調節した。動物はポリスルホン ケージ(polysulfone cage)に3匹ずつ分離して飼育し、実験食餌と水は24時間自由給食で供給した。
【0137】
<10−3>重症度アトピー性皮膚炎誘発
7週令のNC/Ngaマウスの背部分、耳殻の上の部分まで綺麗に除毛した後、4%SDS(sodium dodecyl sulfate)水溶液を除毛部位に150μl噴霧した。完全に乾燥させて、ダニ軟膏10mgを除毛部位に均一に塗布した。ダニ軟膏塗布は週2回、3週間総6回実施し、重症度以上の皮膚炎を誘発させ、以降実験群投与期間(8週)中は週1回塗布して重症度アトピー性皮膚炎を維持させた。
【0138】
【表13】
【0139】
前記表13に示した通り、NC/Ngaマウスにダニ軟膏を3週間塗布して重症度アトピー性皮膚炎を誘発させた結果、各群当り平均点数が10点以上に重症度アトピー性皮膚炎を有するNC/Ngaマウスを完成した。
【0140】
<10−4>アトピー性皮膚炎評価
本評価方法はアトピー皮膚炎で一般的に使用される臨床的肉眼評価法であるSCORAD(scoring Atopic Dermatitis)インデックスであって、アトピー皮膚炎の深刻程度を下記5項目をそれぞれ評価した点数の総合で示した。評価項目は紅斑、皮膚乾燥、浮腫、爛れ、さらに、苔癬化である。それぞれの項目に対して症状がなし(0点)、症状軽い(1点)、普通(2点)、深刻(3点)で採点した後、5項目の点数を合算することにより最小0点(何の症状もない状態)から最高15点(全ての項目症状が深刻な状態)間の評価点数を付与した。マウス皮膚病変の重症度評価は毎週実施した(図6参照)。
【0141】
図6で vehicleはダニ誘導重症度アトピー性皮膚炎を有するマウス群に対する結果であって、dexamethasoneは陽性対照群のデキサメタゾンで薬剤的処置を8週間皮膚塗布治療マウス群に対する結果である。RHT-3201 10^8,RHT-3201 10^9,RHT-320110^10はダニ誘導重症度アトピー性皮膚炎を有するマウス群に本発明のRHT-3201を濃度別に投与した結果であって、RHT-3201 10^8は1x108 CFU/mouseの濃度で8週間経口投与治療マウス群の結果であって、RHT-3201 10^9 1x109 CFU/mouseの濃度で8週間経口投与治療マウス群の結果であって、RHT-3201 10^10は1x1010CFU/mouseの濃度で8週間経口投与治療マウス群の結果を示す。
【0142】
図6の結果から、8週処置後、重症度アトピー性皮膚炎改善効果を確認した結果、なんらの薬剤的処置をとらない vehicleの重症度アトピー性皮膚炎点数は平均8.0点で、初期重症度状態を維持した。マウス皮膚病変の重症度評価をダニ誘導アトピー性皮膚炎を有するマウス群と比較した時、RHT-3201 10^8, RHT-3201 10^9,RHT-3201 10^10の濃度で処理した全ての群において有意性のある減少をした。より詳細には RHT-3201 10^8投与群の重症度アトピー性皮膚炎点数は4.2点に測定され、47.5%の重症度アトピー性皮膚炎改善効率を示した。RHT-3201 10^9投与群の重症度アトピー性皮膚炎点数は2.3点に測定され、71.25%の重症度アトピー性皮膚炎改善効率を示した。RHT-3201 10^10投与群の重症度アトピー性皮膚炎点数は2.7点に測定され、66.25%の重症度アトピー性皮膚炎改善効率を示した。
【0143】
一般的に、乳酸菌製剤の重症度アトピー性皮膚炎改善効果に対する薬剤の最適濃度に対する報告がなく、多量を摂取すべきと知られている。これは乳酸菌生菌剤の場合、胃腸管通過の際、多量の胃散及び胆汁酸により死滅されて免疫作用を現せる腸粘膜の付着効率が落ちて排泄されるからである。これとは別に本発明のRHT-3201は濃度別に治療効果が明らかでx109摂取単位とx1010摂取単位が重症度アトピー性皮膚炎改善効率において、誤差範囲内で類似性を現すことは腸粘膜のdentritic cellsに分布するToll-like receptorと結合数が飽和されて閾値を有すものでる。
【0144】
図7はラクトバシルスRHT-3201の経口投与に伴う重症度アトピー性皮膚炎効果に対する肉眼的観察を示したものであって、vehicle群の皮膚病変の形態は皮膚乾燥、紅斑、浮腫、苔癬化及び掻痒症による持続的な scratchingによる擦過傷が明らかに観察された。全ての濃度のRHT-3201投与群からアトピー性皮膚炎重症度が改善されたことを肉眼で確認した。
【0145】
<10−5>掻いた回数(Scratching behavior)及び体重測定
実験薬剤投与最初の週から週1回ずつ15分間掻く回数を測定した。掻く行動は掻痒感による行動ばかりでなく、他の原因による掻く行動の算定を避けるため、後脚を利用した掻く行動の回数だけを測定した。さらに、重症度アトピー性皮膚炎誘発の際、薬剤の副作用及びストレスなどにより体重減少が発生するが、本発明の実験薬剤により体重減少の副作用が発生するか否かを調べるため実験薬剤投与期間のあいだ実験動物の体重を測定した。
【0146】
図8に示した通り、全ての実験物質投与群のscrathcingは8週のあいだ100回/hr以下に測定され、vehicle群と比較してスクレチング回数が毎週減少する傾向を示した。3,6,8週次に全ての濃度のRHT-3201投与群でvehicle対比有意性を確保した。
さらに、図9に示した通り、陽性対照群のデキサメタゾンの8週経皮投与時には4週間体重減少が発生したが、本発明のRHT-3201投与時には正常群と同一なパターンの体重増加を示し、体重減少副作用は現れなかったので安全なものと確認された。
【0147】
<10−6>血清内IgE含量測定
実験薬剤投与8週後、眼窩採血を通じて血液を採取し、これを12000RPM、10分間遠心分離して血清分離し、血清内IgEの量をELISA kitを利用して測定した。
【0148】
図10に示した通り、重症度アトピー性皮膚炎誘発時、特異的に増加するIgEに対して本発明のRHT-3201投与群で有意性のある抑制効果を示し、特に、投与濃度別比較では、x109摂取単位から最も高い抑制効果を示した。
【0149】
<10−7>リンパ節細胞のサイトカイン生成能
実験薬剤投与終了後それぞれの重症度アトピー性皮膚炎が誘発されたNC/Ngaマウスモデルを犠牲させ、腋窩リンパ節の大きさ及び重さを測定した。さらに、前記腋窩リンパ節から得た細胞浮遊液をRPMI-1640培地(10%FBS、1%penicillin、1%streptomycin含む)に5x106cells/ml濃度になるように分株した。ダニ抽出物を最終濃度 10μg/mlになるように入れて、37℃、5%CO2培養器で48時間培養後、上層液を採りIFN-γ、IL-4、IL-10、IL-12生成量をELISA kitを利用して測定した。
【0150】
図11に示した通り、腋窩リンパ節はNC/Ngaマウスの背皮膚の免疫反応を引起こすことに関与して、11週間のダニ抗原の露出によりvehicle 群のリンパ節の大きさが拡大され、図12図13に示した通り、リンパ節に対する嵩及び重さ測定値もやはりそれぞれ70mm3と35mgに正常菌に比べて5倍と7倍程高くなった。反面、本発明のRHT-3201投与群では重症度アトピー性皮膚炎が誘発されたNC/Ngaマウスの腋窩リンパ節の大きさが有意的に減少された。
【0151】
本発明のRHT-3201投与に伴うサイトカイン生成能を確認するため、重症度アトピー性皮膚炎が誘発されたNC/Ngaマウスの腋窩リンパ節からダニ抗原を露出させ、免疫反応に関与するサイトカイン含量を測定してその結果は図14乃至図21で示す。Th1 typeサイトカインであるIFN-γ(図14参照)とこれのinducerであるIL-12(図15参照)が本発明のRHT-3201投与によりvehicle 対比有意的に減少されたことを確認した。Th2-typeサイトカインであるIL-4もまたRHT-3201投与によりvehicle 対比有意的な減少を確認した(図16参照)。リンパ節に存在するIL-10の主要分泌細胞は調節T細胞(Regulatory T cell,Treg)であって、これはTh1とTh2反応を阻害する免疫抑制作用をする。IL-10又はRHT-3201投与によりvehicle 対比有意的に減少されたことを確認した(図17参照)。
【0152】
重症度アトピー性皮膚炎に対する本発明のRHT-3201の作用機作を比較するため、それぞれの投与群で発現されたサイトカイン水準をTh1-typeサイトカイン/Th2-typeサイトカインの比率で表現して表した。その結果、図18に示した通り、IL-4/IFN-γの比率はvehicle 対比RHT-3201投与群において差がなかった。これは実施例9における重症度アトピー性皮膚炎に対する本発明のRHT-3201のTh1-typeサイトカイン/Th2-typeサイトカイン調節反応とは異なるもので、本発明のRHT-3201が重症度アトピー性皮膚炎に対しては異なる作用機作を有することを示す。つまり、アトピー性皮膚炎の重症度によって本発明のRHT-3201の作用機作が異なることを確認した。
【0153】
重症度アトピー性皮膚炎に対する本発明のRHT-3201のさらに他の作用機作が調節T細胞抑制に関与するサイトカインIL-10の作用変数であることを確認するため、IFN-γ/IL-10 (図19参照)、IL-4/IL-10(図20参照)、IL-12/IL-10(図21参照)を比較分析した結果、本発明のRHT-3201投与群においてvehicle対比有意的に数値が減少することを確認した。これにより、重症度アトピー性皮膚炎の治療に関与する作用変数はIL-10であり、このサイトカインはTregの活性を増加させて重症度アトピー性皮膚炎の治療効果を発揮するようになる。
【0154】
<10−8>組織病理学的観察
NC/Ngaマウスの背皮膚を摘出して10%ホルマリンに固定し、パラフィン包埋して4μm厚みで薄切してスライドを製作した。以後、ヘマトキシリン&エオシン染色を実施して表皮及び真皮層の厚み変化を観察し、トルイジン青で染色して肥満細胞を確認した。光学顕微鏡を利用して100倍及び400倍で観察して皮膚の厚み及び肥満細胞数を算出した。
【0155】
NC/Ngaマウス背側皮膚組織を H&E染色して観察した結果、図22に示した通り、ダニ露出に伴うアトピー性皮膚炎が誘発されたvehicle群は、正常群と比較して表皮層が真皮層側に厚く下がり拡張された肥厚化と炎症細胞の浸潤増加のような組織病理学的所見を示した。本発明のRHT-3201投与群は顕微鏡観察の際、炎症細胞の浸潤が減少される様相を示し、アトピー性皮膚炎誘発時際観察される表皮厚みの拡張性(図23参照)と真皮の厚みの拡張性(図24参照)を、vehicle 群対比して有意的に抑制することを確認した。
【0156】
NC/Ngaマウスの背側皮膚組織をトルイジン青で染色して確認した結果、アトピー性皮膚炎誘発合抗原物質であるダニ露出に伴うアトピー性皮膚炎が誘発されたvehicle 群の肥満細胞が正常群と比較して皮膚組織に多く浸潤されていることを確認した(図25参照)。一般的に、重症度アトピー性皮膚炎の場合、その期間によって肥満細胞数が増加するようになる。図26に示した通り、11週間ダニに露出したマウスの皮膚組織において肥満細胞数は増加されたものと確認され、重症度アトピー性皮膚炎が誘発されたマウスに8週間RHT-3201を投与した群では肥満細胞数が有意的に減少されたことを確認した。これにより、重症度アトピー性皮膚炎に有意的に効果を示すものと判断される。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上説明した通り、本発明は高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス、これの製造方法及びこれの用途に関するものであって、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、アトピー疾患の治療効果が優れ、特に従来の乳酸菌剤が有している腸粘膜付着競争力を並外れて改善して、ステロイド系薬剤と同等な水準でアトピー性皮膚炎の予防、改善又は治療効果を表すので産業上の利用可能性が高い。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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