【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の目的を達成するため(a)ラクトバシルスラムノサスを培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;(c)前記(a)段階で分離された菌体を熱死させる段階;及び(d)前記(c)段階で熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法を提供する。
【0022】
本発明の他の目的を達成するため、本発明は前記製造方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを提供する。
【0023】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。
【0024】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー性皮膚炎治療剤製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー治療又は予防を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを投与することを特徴とするアトピー治療又は予防方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー性皮膚炎改善用食品を製造するための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の目的を達成するため、本発明はアトピー予防又は改善を必要とする個体に有効量の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させることを特徴とするアトピー予防又は改善方法を提供する。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明は
(a)ラクトバシルスラムノサスを培養して製造した発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する段階;
(b)前記(a)段階の発酵濾液と高分子多糖を混合して高分子多糖バインダーを製造する段階;
(c)前記(a)段階で分離された菌体を熱死させる段階;及び
(d)前記(c)段階で熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる段階を含む、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの製造方法を提供する。
【0031】
(a)段階はラクトバシルスラムノサスを培養した結果物である発酵培養液を菌体と発酵濾液に分離する過程である。
【0032】
本発明の前記ラクトバシルスラムノサス乳酸菌株はラクトバシルスラムノサスストレイン全てを含み、好ましくはラクトバシルスラムノサスKCTC10833BPでもある。
【0033】
前記ラクトバシルスラムノサスKCTC10833BPは本出願人の既出願(10-2006-0038066)特許で“ラクトバシルスラムノサスIDCC 3201”と命名されたこともあって、本明細書に前記名称が混用もされることもある。
【0034】
本発明で前記用語“培養”とは、発酵を含む概念である。本発明の前記培養過程は公知の乳酸菌培養方法によることもでき、これに制限されないが、例えば、培養培地又は培養基質に菌体を接種して好気的又は嫌気的環境で一定した成育温度を維持させて一定時間放置する方法でもある。
【0035】
本発明で用語“培養培地”とは、動物細胞や植物細胞又は微生物などを飼育に必要な栄養素が含まれている固体又は液体の培養基質を意味する。本発明で培養培地は公知の乳酸菌培養培地によるものでもあって、これに制限されないが例えば、MRS(deMan Rogosa Sharpe)液体培地、APT(All Purpose with Tween)培地又はBHI(Brain Heart Infusion)培地でもあって、好ましくはMRS液体培地でもある。前記培地などは当業者が意図することによって、培地を構成する物質の組成及び物質含量を選択調節して変形された培地(例えば、変形されたMRS培地)形態で使用することもできる。
【0036】
本発明の前記培養培地には、培養基質として乳酸菌生育に必要な炭素原と窒素原、無機塩類及び生長素などを含む。前記炭素原と窒素原、無機塩類及び生長素は乳酸菌生育に上昇作用を引起こす物質であればその種類が制限されず、これは該当分野に公知されている。例えば、炭素原には多様な炭水化物が利用されることもあり、好ましくはグルコース、スクロース、マルトース、プラクトース、ラクトース、キシロース、ガラクトース又はアラビノースでもある。さらに、窒素原には多様な有機窒素原が利用されることもあって、好ましくは酵母抽出物、ソイトン(soytone)、ペプトン、牛肉抽出物、トリプトン又はカシトン(casitone)でもある。無機塩類原には当業界に公知された乳酸菌成育用無機塩類であればその種類が制限されず、例えば、硫酸マグネシウム (MgSO
4)、硫酸マンガン (MnSO
4)、リン酸水素二カリウム(K
2HPO
4)、塩化アンモニウム(NH
4Cl)、炭酸カルシウム (CaCO
3)、アセト酸ナトリウム (CH
3COONa)でもある。さらに、前記培養培地には当業者の必要に応じて多様な食品原料粉末又は抽出物を任意に追加して使用することができて、例えば、トウモロコシ粉末又は抽出物、乳清粉末又は抽出物、脱脂粉乳又は抽出物、緑茶粉末又は抽出物、キノコ粉末又は抽出物などでもあってこれに制限されない。
【0037】
前記培養過程で温度は乳酸菌種類によって当業者が変更することができ、これに制限されないが、例えば、30℃乃至45℃でもあり、好ましくは33乃至40℃でもあって、最も好ましくは35乃至39℃でもあり得る。
【0038】
前記培養過程で培養時間は当業者が目的とする作業効率によって変更することができて、これに制限されないが例えば、12時間乃至96時間でもある。
【0039】
本発明で用語“発酵培養液”とは、液体培地に菌株を接種して発酵(又は培養)したことを意味し、用語“発酵濾液”とは、前記発酵培養液から菌株を除去した培養濾液を意味する。
【0040】
前記菌体と発酵濾液の分離は公知の菌体分離方法によることができ、例えば、遠心分離又は限外濾過方法でもあるが、これに制限されない。
【0041】
(b)段階は前記(a)段階で分離した発酵濾液と高分子多糖類物質を混合して高分子多糖バインダーを製造する過程である。
【0042】
本発明の前記“高分子多糖バインダー”とは、発酵濾液と高分子多糖類物質の混合物又はこれの濃縮物を意味し、バインダーの組成及び製造工程によって腸粘膜に対する付着能及び免疫細胞における多様なサイトカイン生成能を調節することができる。
【0043】
本発明の前記(b)段階の高分子多糖類物質は、当業界に公知された高分子多糖物質であればその種類が制限されないが、例えば、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルジナート(alginate)、マルトデキストリン(maltodextrin)、キトサン(chitosan)、カラギーナン(carrageenan)、ガラクトマンナン(galactomannan)、グルコマンナン(glucomannan)、デキストラン(dextran)、フコイダン(fucoidan)、寒天、ポーフィラン(porphyran)、キチン(chitin)などを含む。前記本発明の高分子多糖は好ましくはヒアルロン酸、アルジナート、マルトデキストリン、キトサンでもある。
【0044】
前記高分子多糖物質の添加比は当業者が目的とする粘度又は付着力によって選択的に変更することができ、例えば、発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至10%(w/v)の比で添加することができてこれに制限されない。
【0045】
本発明で前記(b)段階の好ましい実施形態は高分子多糖物質としてヒアルロン酸を発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至10%(w/v)の比で添加して混合するものでもあって、最も好ましくはヒアルロン酸を発酵濾液に0.0001%(w/v)乃至0,01%(w/v)の比で添加するものでもある。
【0046】
前記ヒアルロン酸はアミノ酸とウロン酸からなる複雑な多糖類の一つであって、N-アセチールグルコサミンとグルクロン酸からなる高分子化合物である。前記本発明のヒアルロン酸はその分子量がこれに制限されないが例えば、100万、200万、300万、400万、450万分子量を有するヒアルロン酸などを含み、好ましくは100万、200万分子量のヒアルロン酸であり、より好ましくは100万分子量のヒアルロン酸でもある。
【0047】
前記(b)段階では高濃度の高分子多糖バインダーを収得するため、濃縮過程を追加して含むことができる。
【0048】
前記濃縮は当業界に公知された濃縮装置又は濃縮法によることができ、これに制限されないが、例えば、沈殿濃縮、蒸発濃縮、減圧濃縮、限外濾過法、逆浸透法、遠心分離法でもあって、好ましくは減圧濃縮でもある。
【0049】
(c)段階は(a)段階で分離された菌体を熱死させる過程である。
【0050】
前記“熱死”とは、一定時間加熱処理を通じて生菌を死菌化することを意味し、熱死条件によって菌体が内包する有効成分の組成、菌体構造、腸付着能力に影響を及ぼす。細菌を熱死させて死菌化する最も重要な目的はラクトバシルスラムノサス細胞構造物に含まれている代表成分のリポチコ酸(lipoteichoic acid)、ペプチドグリカンなどを誘導させ腸粘膜の免疫細胞とよく付着される構造を形成することにある。つまり、前記細胞構造物を形成するリポチコ酸、ペプチドグリカンなどは腸粘膜の樹枝状細胞のTLR-2と結合して免疫関連したサイトカイン類の生成を促進するメカニズムを有しているので付着効率が最も良好な形態で調製することが重要である。
【0051】
前記本発明の熱死温度は菌体が内包している機能性成分が変質しない温度範囲であればこれに制限されないが、例えば、60℃乃至100℃の温度範囲でも有り得て、好ましくは70℃乃至90℃のでもあって、最も好ましくは75乃至85℃でもある。
【0052】
前記熱死時間は菌体が内包している機能性成分が変質しない時間範囲であればこれに制限されないが、例えば、10分乃至120分でもあって、好ましくは30分乃至90分でもあって、最も好ましくは50分乃至70分でもある。
【0053】
前記熱死過程以後に、当業者の必要に応じて冷却過程を任意で追加できる。前記冷却は公知の冷却方法によることができ、当業者が目的とすることにより冷却温度を選択変更することができ、これに制限されないが例えば、10℃乃至40℃の温度範囲で冷却することでできて、好ましくは25℃乃至35℃の温度範囲で冷却することでもある。
【0054】
(d)段階は前記(c)段階の熱死させた菌体を前記(b)段階で製造されたバインダーにコンジュゲートさせる過程である。
【0055】
前記“コンジュゲート”とは、2個以上の物質がカップリング(coupling)結合されて一つの単位体を形成することを意味する。前記(d)段階では前記(b)段階で製造されたバインダーに(c)段階の熱死させた菌体を浸透又は混合させることにより誘発される一連の反応などにより前記バインダーと熱死された菌体がコンジュゲートされる。
【0056】
前記(a)乃至(d)段階を含む製造方法は、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサス製造時に処理、保管などが容易であるため、当業者の必要に応じて賦形剤添加、乾燥過程、粉末化過程が任意で追加できる。
【0057】
前記賦形剤は当業界に公知の賦形剤であればその種類が制限されないが、例えば、澱粉でもある。
【0058】
前記乾燥過程は公知の乾燥方法によることができ、これに制限されないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥又は熱風乾燥でもある。
【0059】
本発明は前記製造方法で製造された高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを提供する。
【0060】
本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、前記(a)乃至(d)段階を含む製造方法により製造されたことを特徴とする。前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは本発明者により“RHT-3201”と命名され、本明細書に前記用語などを混用して記載した。
【0061】
本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、アトピー疾患の治療効果が優れ、特に従来の乳酸菌剤が有している腸粘膜付着の競争力を改善し(実施例6参照)、従来のステロイド系薬剤(例えば、デキサメタゾン)と同等な水準でアトピー性皮膚炎の予防、改善又は治療効果を示した(実施例9、10参照)。
【0062】
さらに、乳酸菌生菌剤の経口摂取の際、問題となる胃腸管環境に対する安定性においても、本願発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは、生菌剤に比べて高い水準でその機能(効能)が維持される。つまり、人工胃液(胃酸)及び人工腸液(胆汁酸)に露出されても腸粘膜に対する付着効率が高い水準で維持され(実施例7参照)、多様な温度における保管安定性も確認された(実施例8参照)。
【0063】
アトピーはアトピー素因を有している個人において皮膚、呼吸器粘膜、眼粘膜、腸粘膜などに現れる一連のアレルギー症状を意味し、このようなアトピー素因(アレルギー体質)は遺伝し、家族的に現れ、アトピー素因によるアレルギー性疾患には、アレルギー皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息、アレルギー性結膜炎、アトピー性じんま疹などがあり、これらの疾患は単独又はさまざまな疾患が同時に現れることもある。アトピー性皮膚炎はアトピーアレルギーを有するヒトに現れる代表的な皮膚疾患にして、広く胎熱とも言われる慢性皮膚疾患であり、皮膚乾燥症及び痒み症が主症状であって、免疫学的特性を示し、他のアレルギー性疾患のじんま疹、金属アレルギー、喘息やアレルギー性鼻炎などを同伴する場合があって、家族的な傾向がある。
【0064】
本発明のアトピー性皮膚炎は、痒み症を示す慢性の再発性炎症性皮膚状態であり、体内に侵入したダニなどの抗原に対して免疫体系が過敏反応を示すものである。体内に侵入した抗原はマクロファージを通じてT細胞に伝達され、T細胞は抗原の種類や反応する受容体によってTh1細胞又はTh2細胞に分割されるが、この際、Th2細胞はIL-4,IL-5,IL-10などのcytokinesを通じて体液性免疫を活性化させ、B細胞が活性化されてIgE生産が多くなってアトピー性皮膚炎を誘発するようになる。つまり、アトピー性皮膚炎で免疫異常は免疫グロブリン(IgE)が人体内の血管周囲や皮膚にある肥満細胞の表面に付いていたものが再び抗原が人体に浸透すると免疫グロブリンと結合して肥満細胞を活性化させて、ヒスタミンなどの化学物質を分泌させ、このような化学物質が血管と皮膚を刺戟して、皮膚に赤い斑点と浮腫、痒み症を引起こしアトピー性皮膚炎を誘発、悪化させるようになる。
【0065】
反面、Th1細胞はIL-12、IFN-γを通じて細胞性免疫を活性化させ、IFN-γはIgE生成を抑制する作用をする。
【0066】
従って、Th1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節はアトピー症状の予防又は治療において、核心的な部分であって、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスは前記Th1細胞とTh2細胞の均衡的な免疫調節に卓越であり、特に、アトピー皮膚炎の重症度によって相異する免疫調節機作を通じて、Th1 typeサイトカインとTh2 typeサイトカインの均衡的免疫調節をなすことが特徴である(実施例9,10参照)。つまり、軽症度アトピー性皮膚炎においてはTh1とTh2細胞の免疫学的均衡を調節及び維持する役割をする反面、重症度アトピー性皮膚炎においては調節T細胞の刺戟を通じてTh1とTh2細胞の活性を抑制して重症度アトピー性皮膚炎疾患を治療、改善する。
【0067】
従って、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び治療用薬学的組成物を提供する。さらに、アトピー性皮膚炎の治療剤製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途とアトピー治療又は予防を必要とする個体に高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効量投与してアトピーを治療又は予防する方法を提供する。
【0068】
本発明の前記アトピー性皮膚炎は病症の進行程度によって軽症、中等症、重症などに分類され、本発明はアトピー性皮膚炎は好ましくは重症度アトピー性皮膚炎でもある。
【0069】
本発明の前記“個体”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもある。
【0070】
アトピー性皮膚炎に対する臨床経過及び治療効果に対する尺度は、多くの尺度が報告されている。代表的なものにはEASI(Eczema Area and Severity Index)、SCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)、POEM(Patient Oriented Eczema Measure)、and TIS(Thres Item Severity)などが知られている。本発明のアトピー性皮膚炎は好ましくはSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)によってその重症度を分類する。
【0071】
本発明に伴う薬学的組成物は薬学的に有効な量の前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを単独で含むか又は一つ以上の薬学的に許容される担体を追加して含むことができる。本発明の薬学的組成物は単一投与量で患者に投与することができ、多重投与量が長期間投与される分割治療方法により投与できる。前記にて薬学的に有効な量とは、陰性対照群に比べてそれ以上の反応を示す量を意味し、好ましくはアトピー性皮膚炎を治療又は予防に十分な量を意味する。本発明に伴う高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの有効な量には0.001乃至1000mg/kg b.w./dayでもあり、好ましくは0.055乃至16.65mg/kg b.w./dayでもあり、これに限定されるものではない。しかしながら、前記薬学的に有効な量は疾患及びこれの重症度、患者の年齢、体重、健康状態、性別、投与経路及び治療期間などのような多様な因子によって適切に変化することができる。
【0072】
本発明の組成物は前記薬学的に許容される担体とともに、当業界に公知の方法により投与経路によって多様に剤形化できる。前記にて“薬学的に許容される”とは、生理学的に許容され、ヒトに投与される時、活性成分の作用を阻害せず、通常的に胃腸障碍、眩気症のようなアレルギー反応又はこれと類似した反応を起こさない非毒性の組成物を意味する。本発明の組成物は前記薬学的に許容される担体と共に当業界に公知の方法で投与経路によって多様に剤形化することができる。投与経路としてはこれに限定はされないが、経口的又は非経口的に投与することができ、好ましくは経口投与でもある。
【0073】
本発明の薬学的組成物を経口投与する場合、本発明の薬学的組成物は適合した経口投与用担体と共に、当業界に公知の方法により粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウェファーなどの形態で剤形化することができる。例えば、経口用製剤は活性成分を個体賦形剤と配合した後、これを粉砕して適合した補助剤を添加して顆粒混合物に加工することにより錠剤又は糖衣錠剤を収得することができる。適合した賦形剤の例にはラクトース、デキストロス、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトールなどを含む糖類とトウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びジャガ芋澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤が含まれる。さらに、場合によっては架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はナトリウムアルギナートなどを崩解剤として添加することができる。さらには、本発明の薬学的組成物は抗擬集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加して含め得る。
【0074】
さらに、非経口的に投与する場合、本発明の薬学的組成物は適合した非経口用担体と共に当業界に公知の方法により剤形化することができる。その他の薬学的に許容される担体には下記の文献に記載されているものを参考にすることができる(Remigton's Pharmaceutical Sciences,19th ed.,1995,Mack Publishing Company,Easton,PA)。
【0075】
さらには、本発明の薬学的組成物はアトピー疾患乃至アトピー性皮膚炎を予防及び治療する効果を有する公知の化合物と並行して投与することができる。
【0076】
さらに、本発明は前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含むアトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品組成物を提供する。さらに、アトピー性皮膚炎の予防及び改善用食品製造のための高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの用途と、アトピー予防又は改善を必要とする個体に高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを有効成分として含む食品を摂取させアトピーを予防又は改善する方法を提供する。
【0077】
本発明の前記“個体”とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物でもある。
【0078】
本発明の食品組成物は機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤、乳酸菌飲料、発酵乳など全ての形態を含む。前記類形の食品組成物は当業界に公知の一般的な方法により多様な形態で製造することができる。好ましくは本願発明の前記食品は発酵乳、ヨーグルト、飲料水、牛乳飲料、食品添加物及び特定保健用食品でもある。
【0079】
例えば、健康食品には本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを乳酸菌飲料、発酵乳、茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するようにするか又は顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取することができる。さらに、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスとアトピー疾患(具体的にアトピー性皮膚炎)の改善効果があると知られた公知の物質又は活性成分と共に混合して組成物の形態で製造することができる。
【0080】
さらに、機能性食品には飲料(アルコール性飲料を含む)、果物及びその加工食品(例:果物缶詰、瓶詰、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソセージ、コーンビーフなど)、パン類及び麺類(例:うどん、ソバ、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソースなど)などに本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを添加して製造することができる。
【0081】
本発明の食品組成物の内、前記高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの好ましい含有量はこれに限定されないが、好ましくは最終的に製造された食品の内0.001乃至50重量%である。
【0082】
さらに、本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを食品添加剤の形態で使用するには粉末又は濃縮液形態で製造して使用することができる。
【0083】
前記本発明の薬学的組成物及び食品組成物において、有効成分の混合量はその使用目的(予防:健康又は症状緩和)によって適合に決定することができ、これに制限されないが、例えば、高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスを10
8CFU/g乃至10
10CFU/g濃度で含まれ得る。本発明の高分子多糖バインダーにコンジュゲートされた熱死ラクトバシルスラムノサスの有効用量は前記濃度範囲に準じて使用できるが、健康及び衛生を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記範囲以下でもあって、有効成分は安全性の面で何等の問題がないので前記範囲以上の量でも使用することができる。