(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
他方の前記シリンダの前記スライドーベーンの尾部にスライドーベーン制動装置が設けられ、前記スライドーベーンの尾部の圧力と前記スライドーベーンの頭部の圧力との差が、前記スライドーベーン制動装置の前記スライドーベーンに対する制動力より大きい場合、前記スライドーベーンが前記スライドーベーン制動装置と分離され、且つ前記スライドーベーンの頭部が、対応する前記ピストンの外周壁に当接される請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転式圧縮機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術における少なくとも一つの技術的課題を解決することである。そのため、本発明は、構造が簡単で且つ合理的であり、作動効率が高く、適用範囲が広く、低温加熱効果が優れる等のメリットを有する回転式圧縮機を提供する。
【0004】
本発明は、上記回転式圧縮機を備える冷凍サイクル装置を更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様に係る回転式圧縮機は、貯液器と、該貯液器の外側に設けられ、排出口が設けられたハウジングと、該ハウジング内に設けられ、主軸受と、シリンダアセンブリと、副軸受と、二つのピストンと、二つのスライドーベーンとを有する圧縮機構とを備え、前記主軸受及び前記副軸受が、それぞれ前記シリンダアセンブリの軸方向の両端に設けられ、前記シリンダアセンブリが、圧縮室を備える二つのシリンダと、二つの該シリンダの間に設けられる仕切り板とを有し、前記シリンダ毎に、スライドーベーン溝と、吸気口と、排気口とが設けられ、各前記ピストンが、対応する前記圧縮室内に設けられ、且つ前記圧縮室の内壁に沿って転動可能であり、各前記スライドーベーンは、対応する前記スライドーベーン溝内に移動可能に設けられ、二つの前記シリンダのうち一方の前記シリンダの前記スライドーベーンの頭部が、対応する前記ピストンの外周壁に当接され、二つの前記シリンダのうち他方の前記シリンダの前記スライドーベーンが、対応する前記ピストンと選択可能に接触又は分離し、前記圧縮機構には、一方の前記シリンダの前記圧縮室内へ冷媒を流入させるための第1気体吐出口と、他方の前記シリンダの前記圧縮室内へ一方向に前記冷媒を流入させるための第2気体吐出口と、第1弁口、第2弁口及び第3弁口を有し、前記第1弁口が他方の前記シリンダの前記吸気口に接続され、前記第2弁口が前記貯液器に接続され、前記第3弁口が前記排気口に連通され、前記第2弁口または前記第3弁口のうちの一方が前記第1弁口に連通される第1方向切替アセンブリとが設けられている。
【0006】
本態様に係る回転式圧縮機には、作動効率が高い、適用範囲が広い、低温加熱効果が優れている等のメリットがある。
【0007】
なお、本発明の上記実施態様に係る回転式圧縮機は、下記の付加的な技術的特徴を更に備えていてもよい。
【0008】
本発明の変形例として、前記第1気体吐出口及び前記第2気体吐出口が、前記仕切り板に形成されていてもよい。
【0009】
本発明の変形例として、前記第1気体吐出口及び前記第2気体吐出口が、それぞれ前記主軸受及び前記副軸受に形成されていてもよい。
【0010】
本発明の変形例として、前記第2気体吐出口が、前記第1気体吐出口の前記ピストンの転動方向に沿う、前記排気口に近接する側に位置していてもよい。
【0011】
本発明の変形例として、前記回転式圧縮機が、前記第2気体吐出口に設けられ、他方の前記シリンダの前記圧縮室内へ一方向に前記冷媒を流入させるための逆止弁を更に備えていてもよい。
【0012】
本発明の変形例として、他方の前記シリンダの前記スライドーベーンの尾部にスライドーベーン制動装置が設けられ、前記スライドーベーンの尾部の圧力と前記スライドーベーンの頭部の圧力との差が、前記スライドーベーン制動装置の前記スライドーベーンに対する制動力より大きい場合、前記スライドーベーンが前記スライドーベーン制動装置と分離され、且つ前記スライドーベーンの頭部が、対応する前記ピストンの外周壁に当接されていてもよい。
【0013】
本発明の変形例として、前記制動力が2N〜10Nであってもよい。
【0014】
本発明の変形例として、前記第3弁口が前記排出口又は前記ハウジングの内部に直接接続されてもよい。
【0015】
本発明の変形例として、前記第1方向切替アセンブリが三方弁であってもよい。
【0016】
本発明の第2態様に係る冷凍サイクル装置は、本発明の第1実施形態に係る回転式圧縮機と、第1接続口、第2接続口、第3接続口及び第4接続口を有し、前記第1接続口が前記回転式圧縮機の前記排出口に接続され、前記第4接続口が前記貯液器に接続される第2方向切替アセンブリと、第1端が前記第2接続口に接続される室外熱交換器と、第1端が前記第3接続口に接続され、第2端が前記室外熱交換器の第2端に接続される室内熱交換器と、前記室内熱交換器の前記第2端と前記室外熱交換器の前記第2端との間に接続され、前記回転式圧縮機の前記第1気体吐出口及び前記第2気体吐出口に接続されるフラッシュタンクとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る冷凍サイクル装置に、第1態様の回転式圧縮機を設けることにより、冷凍サイクル装置全体の性能が向上される。
【0018】
本発明の付加的な特徴及び利点は、一部が下記の説明の中で示され、一部が下記の説明により明らかになり、本発明の実践により理解される。
【符号の説明】
【0020】
1000:冷凍サイクル装置
100:第2方向切替アセンブリ、101:第1接続口、102:第2接続口、
103:第3接続口、104:第4接続口、
200:室外熱交換器、300:室内熱交換器、400:フラッシュタンク、
500:第1絞り部品、600:第2絞り部品、
700:回転式圧縮機、
1:貯液器、11:第1吸気管、12:第2吸気管、
2:ハウジング、21:排出口、22:排気管、3:モータ、
41:クランク軸、
421:主軸受、4211:第1排気弁、
422:副軸受、4221:第2排気弁、
431:第1消音器、432:第2消音器、
44:気体吐出管、441:第1気体吐出口、442:第2気体吐出口、443:逆止弁、
451:第1シリンダ、4511:第1圧縮室、4512:第1スライドーベーン溝、4513:第1吸気口、4514:第1排気口、
452:第2シリンダ、4521:第2圧縮室、4522:第2スライドーベーン溝、4523:第2吸気口、4524:第2排気口、
453:仕切り板、4531:第1仕切り板、4532:第2仕切り板、
461:第1ピストン、462:第2ピストン、
471:第1スライドーベーン、472:第2スライドーベーン、
481:バネ、482:スライドーベーン制動装置、
49:第1方向切替アセンブリ、491:第1弁口、492:第2弁口、493:第3弁口。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。前述の実施形態の一例が図面に示されるが、同一または類似する符号は、常に、相同又は類似の部品、或いは、相同又は類似の機能を有する部品を表す。以下に、図面を参照しながら説明される実施形態は例示的なものであり、本発明を解釈するためだけに用いられ、本発明を限定するものと理解されてはならない。
【0022】
以下の説明において、多くの異なる実施形態または一例を提供することにより本発明の異なる構造を実現する。本発明の説明を簡素化するため、以下に特定の例の部材及び配置について説明する。勿論、これらは一例に過ぎず、本発明を限定することを意図していない。また、本発明は、異なる実施形態において符号の数字及び/または符号のアルファベットを重複することができる。このような重複は、簡素化及び明瞭化するためであり、その自体は、検討される各種の実施形態及び/または配置の関係を示すものではない。また、本発明は、さまざまな特定のプロセス及び材料の一例を挙げているが、当業者は、他のプロセスの適用及び/または他の材料の使用も考慮することが可能である。
【0023】
以下に、
図1から
図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る回転式圧縮機700を説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る回転式圧縮機700は、貯液器1と、ハウジング2と、圧縮機構と、第1方向切替アセンブリ49とを備える。
【0025】
具体的に、ハウジング2は貯液器1の外側に設けられ、ハウジング2に排出口21が設けられる。
図1に示すように、回転式圧縮機700は直立式圧縮機であってもよい。この場合、ハウジング2は、大体中空で且つ密閉された略円柱筒形であり、中心軸線が鉛直方向に沿って延伸するように形成される。排出口21は、ハウジング2の上壁を上下方向に沿って貫通することができ、排出口21には、鉛直方向に延伸するように排気管22が挿設され、ハウジング2内部の気体状態の冷媒(又は、一部の液体状態の冷媒及び潤滑油が混合される)を排出する。貯液器1は、ハウジング2の外部に設けられる。無論、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る回転式圧縮機700は横型圧縮機であってもよい。この場合、ハウジング2の中心軸線は、水平方向に沿って延伸可能である。以下、回転式圧縮機700が直立式圧縮機であるものを一例として説明する。
【0026】
具体的には、圧縮機構はハウジング2内に設けられ、圧縮機構は、主軸受421と、シリンダアセンブリと、副軸受422とを有し、主軸受421及び副軸受422が、それぞれシリンダアセンブリの軸方向の両端に設けられる。また、
図1の一例において主軸受421はシリンダアセンブリの頂部に設けられてもよく、副軸受422はシリンダアセンブリの底部に設けられてもよい。
【0027】
更に、シリンダアセンブリは、圧縮室を備える二つのシリンダと、二つのシリンダの間に設けられる仕切り板453とを有する。すなわち、シリンダアセンブリは二つのシリンダを有し、仕切り板453は二つのシリンダの間に設けられ、シリンダ毎に圧縮室を備える。また、
図1及び
図2に示すように、シリンダアセンブリは、仕切り板453の上方に設けられる第1シリンダ451と、仕切り板453の下方に設けられる第2シリンダ452とを有し、主軸受421と、第1シリンダ451と、仕切り板453との間は、第1圧縮室4511を限定して得る。仕切り板453と、第2シリンダ452と、副軸受422との間は、第2圧縮室4521を限定して得る。
【0028】
また、圧縮機構は、二つのピストンと二つのスライドーベーンとを更に備える。シリンダ毎に、スライドーベーン溝と、吸気口と、排気口とが設けられる。各ピストンは、対応する圧縮室内に設けられ、且つ圧縮室の内壁に沿って転動可能である。各スライドーベーンは、対応するスライドーベーン溝の内部に移動可能に設けられ、各排気口は、いずれもハウジング2の内部に直接的または間接的に連通されて、排出口21に連通されるようになる。
【0029】
例えば、
図1及び
図2の例において、二つのスライドーベーンは、それぞれ第1スライドーベーン471及び第2スライドーベーン472であり、二つのピストンは、それぞれ第1ピストン461及び第2ピストン462である。第1シリンダ451には、第1スライドーベーン溝4512と、第1吸気口4513と、第1排気口4514とが設けられる。第1ピストン461は、第1圧縮室4511内に設けられ、第1圧縮室4511の内壁に沿って転動可能であり、第1スライドーベーン溝4512は、第1シリンダ451の径方向に沿って延伸することができる。第1スライドーベーン471は、第1スライドーベーン溝4512内に第1スライドーベーン溝4512の長手方向に沿って移動可能に設けられる。第2シリンダ452には、第2スライドーベーン溝4522と、第2吸気口4523と、第2排気口4524とが設けられる。第2ピストン462は、第2圧縮室4521内に設けられ、第2圧縮室4521の内壁に沿って転動可能であり、第2スライドーベーン溝4522は、第2シリンダ452の径方向に沿って延伸することができ、第2スライドーベーン472は、第2スライドーベーン溝4522内に第2スライドーベーン溝4522の長手方向に沿って移動可能に設けられる。
【0030】
二つのシリンダのうち一方のシリンダのスライドーベーンの頭部は、対応するピストンの外周壁に当接され、二つのシリンダのうち他方のシリンダのスライドーベーンは、対応するピストンと選択可能に接触又は分離することができる。すなわち、以下のような二つの可能性がある。一つ目の可能性は、第1シリンダ451の第1スライドーベーン471の頭部が第1ピストン461の外周壁に当接される場合、第2シリンダ452の第2スライドーベーン472が第2ピストン462と選択可能に接触又は分離することができる。二つ目の可能性は、第2シリンダ452の第2スライドーベーン472の頭部が第2ピストン462の外周壁に当接される場合、第1シリンダ451の第1スライドーベーン471が第1ピストン461と選択可能に接触又は分離することができる。以下、一つ目の可能性を一例として説明するが、無論、当業者は下記の技術案を読むことにより、二つ目の可能性をも明らかに理解することができる。なお、スライドーベーンの頭部が、スライドーベーンの、相応する圧縮室の中心軸線に近い一端であり、この反対の他端がスライドーベーンの尾部である。すなわち、スライドーベーンの、相応する圧縮室の中心軸線から離れた一端であると理解してもいい。
【0031】
好ましくは、
図2に示すように、第1スライドーベーン471の尾部とハウジング2の内側壁との間に、バネ481が設けられてもよい。バネ481は、第1スライドーベーン471の頭部を常に推し進めて第1ピストン461の外周壁に当接するようにする。第2スライドーベーン472の尾部とハウジング2の内側壁との間に、スライドーベーン制動装置482が設けられてもよい。スライドーベーン制動装置482は、ある作動状態において、第2スライドーベーン472の頭部が第2ピストン462の外周壁に当接されるように制御し、他の作動状態において、第2スライドーベーン472の頭部が第2ピストン462の外周壁と分離されるように制御する。なお、第1スライドーベーン471及び第2スライドーベーン472を制御する装置は、バネ481及びスライドーベーン制動装置482に限定されない。なお、スライドーベーン制動装置482について、以下に詳細に説明するので、ここでは省略する。
【0032】
圧縮機構に、上記の一方のシリンダ(すなわち、内部にスライドーベーンの頭部がピストンの外周壁に当接されるように設けられるシリンダ)の圧縮室内へ冷媒を流入させるための第1気体吐出口441と、上記の他方のシリンダ(すなわち、内部にスライドーベーンが、対応するピストンと選択可能に接触又は分離するように設けられるシリンダ)の圧縮室内へ一方向に冷媒を流入させるための第2気体吐出口442とが設けられる。例えば、
図2の一例において、圧縮機構には、第1シリンダ451の第1圧縮室4511内へ冷媒を流入させるための第1気体吐出口441が設けられ、第2シリンダ452の第2圧縮室4521内へ一方向に冷媒を流入させるための第2気体吐出口442が更に設けられる。ここで、一方向に流入させるとは、第2圧縮室4521内の冷媒が第2気体吐出口442へ逆流することはないと理解してもよい。なお、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442の具体的な構造は、以下に詳細に説明するので、ここでは省略する。
【0033】
好ましくは、逆止弁443を設けることによって逆止め機能を実現することができる。即ち、回転式圧縮機700は、逆止弁443を更に備えていてもよい。逆止弁443は第2気体吐出口442に設けられ、上記の他方のシリンダ(即ち、内部にスライドーベーンが、対応するピストンと選択可能に接触又は分離するように設けられるシリンダ)の圧縮室内へ一方向に冷媒を流入させる。
図2の一例において、逆止弁443は第2気体吐出口442に設けられ、第2シリンダ452の第2圧縮室4521内へ一方向に冷媒を流入させ、第2圧縮室4521内の冷媒が第2気体吐出口442へ逆流することを防止する。無論、本発明はこれに限定されず、その他の装置を設置することによって逆止め機能を実現することもできる。
【0034】
更に、
図2及び
図3を参照して、第1方向切替アセンブリ49は、第1弁口491、第2弁口492及び第3弁口493を有し、第1弁口491が、上述の他方のシリンダ(即ち、内部にスライドーベーンが、対応するピストンと選択可能に接触又は分離するように設けられるシリンダ)の吸気口に接続され、第2弁口492が、貯液器1に接続され、第3弁口493が、排気口(第1排気口4514及び第2排気口4524のどちらでもよい)に連通され、第2弁口492または第3弁口493のうちの一方が、第1弁口491に選択可能に連通される。即ち、ある作動状態において、第2弁口492が第1弁口491に連通され(
図2参照)、他の作動状態において、第3弁口493が第1弁口491に連通される(
図3参照)。第1方向切替アセンブリ49が三方弁であることが好ましい。無論、本発明はこれに限定されない。第1方向切替アセンブリ49は三方の切り替え効果を実現可能なその他の構造形態として構成されてもよい。
【0035】
なお、第3弁口493が排気口に連通され、排気口がハウジング2の内部及び排出口21に連通されるため、第3弁口493がハウジング2の内部及び排出口21に連通されるようになる。即ち、第3弁口493は、排気圧力を排気管22又は密閉されたハウジング2から排出することができる。
図1から
図3に示すように、第3弁口493が排出口21に接続されることにより、排気口との連通が実現される。または、好ましくは、
図6に示すように、第3弁口493がハウジング2の内部に直接接続されることにより、排気口との連通が実現される。よって、加工及び実現が便利となる。
【0036】
例えば、
図1から
図3の一例において、第1シリンダ451上の第1吸気口4513が、貯液器1に接続且つ連通され、第2シリンダ452上の第2吸気口4523が、第1方向切替アセンブリ49の第1弁口491に接続且つ連通される。第1シリンダ451の第1排気口4514は、ハウジング2の内部に直接連通されるか、又は下記第1消音器431を介して間接連通される。第2シリンダ452上の第2排気口4524は、ハウジング2の内部に直接連通されるか、又は下記第2消音器432を介して間接連通される。そうすると、第1排気口4514及び第2排気口4524は、ハウジング2の内部を介して排出口21まで連通される。
【0037】
図2に示すように、第1方向切替アセンブリ49の第2弁口492は貯液器1に接続且つ連通され、第2弁口492が第1弁口491に連通される場合、貯液器1は第2吸気口4523を介して第2圧縮室4521へ冷媒を輸送することができる。
図3に示すように、第1方向切替アセンブリ49の第3弁口493は、第1排気口4514又は第2排気口4524に連通される。言い換えると、第1方向切替アセンブリ49の第3弁口493がハウジング2の内部と排出口21とに連通されるため、第3弁口493が第1弁口491に連通された場合、第2吸気口4523がハウジング2の内部と排出口21とに連通されるようになる。
【0038】
このように、回転式圧縮機700の作業過程において、第1方向切替アセンブリ49の二つの連通モードを切り替えることにより、二つの作業モードを実現することができる。即ち、全負荷作業モードと一部負荷作業モードを実現することができる。
【0039】
具体的に、
図1及び
図2に示すように、回転式圧縮機700が全負荷作業モードを採用する場合、第1弁口491と第2弁口492とが連通するように第1方向切替アセンブリ49が設置され、第2シリンダ452の第2吸気口4523が貯液器1に連通されるようになる。この場合、冷凍サイクル装置1000(以下に詳細に説明する)からの蒸発側圧力がPsである低圧冷媒が、貯液器1を経由してから、第1吸気口4513を介して第1シリンダ451に流入し、同時に第1方向切替アセンブリ49及び第2吸気口4523を介して第2シリンダ452に流入し、この場合、第1シリンダ451及び第2シリンダ452のいずれも正常的に作動する。低圧冷媒が、それぞれ第1シリンダ451及び第2シリンダ452により圧縮され、圧力がPdまで上げられた後、それぞれ第1排気口4514及び第2排気口4524を経由して、密閉されたハウジング2の内部に流入し、排出口21の排気管22から排出される。この場合、回転式圧縮機700はダブルシリンダ作動であり、回転式圧縮機700は全負荷作業モードで作動する。
【0040】
全負荷作業モードにおいて、第2吸気口4523の圧力が低圧力Psであり、第2スライドーベーン472の尾部背圧が密閉ハウジング2内部の高圧力Pdであるため、第2スライドーベーン472が圧力差の作用下でスライドーベーン制動装置482から離れ(
図2参照)、第2スライドーベーン472の頭部が第2ピストン462の外周壁に接触して作動し、第2シリンダ452は正常的に作動することができる。この場合、冷凍サイクル装置1000からの圧力がPmであるエンタルピ増加冷媒は、第1気体吐出口441を介して第1圧縮室4511へ気体吐出するのと同時に、エンタルピ増加冷媒が第2気体吐出口442を介して第2圧縮室4521へ一方向に気体吐出することにより、回転式圧縮機700のダブルシリンダの気体吐出作動を実現することができる。
【0041】
具体的に、
図1及び
図3に示すように、回転式圧縮機700が一部負荷作業モードを採用する場合、第1弁口491と第3弁口493とが連通するように第1方向切替アセンブリ49が設置され、第2シリンダ452の第2吸気口4523がハウジング2の内部及び排出口21に連通されるようになる。この場合、冷凍サイクル装置1000からの蒸発側圧力がPsである低圧冷媒が、貯液器1を経由してから、第1吸気口4513のみを介して第1シリンダ451に流入し、第1シリンダ451は正常的に作動する。同時に、第2吸気口4523がハウジング2の内部及び排出口21に連通されるため、第2圧縮室4521内が高圧冷媒であり、第2吸気口4523の圧力が高圧力Pdであり、同時に第2スライドーベーン472の尾部背圧が密閉ハウジング2内部の高圧力Pdである。第2スライドーベーン472は、充分な圧力差の作用がないため、スライドーベーン制動装置482により第2スライドーベーン溝4522内にストップされて静止している(
図3参照)。また、第2スライドーベーン472の頭部が第2ピストン462の外周壁から離れ、第2シリンダ452は停止するようになり、この場合、回転式圧縮機700は一部負荷作業モードで作動する。
【0042】
一部負荷作業モードにおいて、冷凍サイクル装置1000からの圧力がPmであるエンタルピ増加冷媒は、第1気体吐出口441を介して第1圧縮室4511へ気体吐出するのと同時に、第2圧縮室内の圧力がPdである高圧冷媒は、逆止弁443によって逆止され、第2気体吐出口442へ流れることができなく、回転式圧縮機700のシングルシリンダの気体吐出作動が実現される。
【0043】
本発明の第1実施形態に係る回転式圧縮機700は、可変容量EVI型圧縮機であり、二つの連通モード間で切り替え可能な第1方向切替アセンブリ49を設けることにより、回転式圧縮機700は、全負荷作業モードと一部負荷作業モードといった二つの作業モード間で、便利に切り替えることができる。具体的には、回転式圧縮機700は、システムの負荷が小さい場合、一部負荷作業モードで作動し、システムの作動効率が高められる。回転式圧縮機700が全負荷作業モードで作動する場合、回転式圧縮機700の気体輸送能力が向上され、低温加熱応用場合の加熱効果が大いに向上され、回転式圧縮機700の構造がより合理的で、作動効率がより高く、適用範囲がより広く、低温加熱効果がより優れるようになる。
【0044】
以下、
図1から
図6を参照して、本発明の第1実施形態の具体的な一例に係る回転式圧縮機700を簡単に説明する。
【0045】
図1及び
図2を参照して、回転式圧縮機700は、ハウジング2と、ハウジング2内に設けられた電機3と圧縮機構とを備えている。電機3は、圧縮機構に接続され、圧縮機構は、第1シリンダ451と、第2シリンダ452と、仕切り板453とを備えている。仕切り板453は、第1仕切り板4531と、第2仕切り板4532とを備えている。第1シリンダ451の頂部に主軸受421が設けられ、第2シリンダ452の底部に副軸受422が設けられる。
【0046】
図1及び
図2に示すように、第1シリンダ451内に第1圧縮室4511が設けられ、第1シリンダ451内に第1ピストン461(転動ピストン)及び第1スライドーベーン471が設けられ、第1ピストン461は、第1シリンダ451の第1圧縮室4511内で偏心回転する。第1スライドーベーン471は第1スライドーベーン溝4512内に収納され、第1スライドーベーン471の頭部(前端)は第1ピストン461の外周壁に接触され、第1スライドーベーン471の尾部(後端)にバネ481が設けられる。
【0047】
図1及び
図2に示すように、第2シリンダ452内に第2圧縮室4521が設けられ、第2シリンダ452内に偏心的に載置された第2ピストン462(転動ピストン)及び第2スライドーベーン472が設けられ、第2ピストン462は、第2シリンダ452の第2圧縮室4521内で偏心回転する。第2スライドーベーン472は第2スライドーベーン溝4522内に収納され、第2スライドーベーン472の頭部は第2ピストン462の外周壁に選択可能に接触又は分離し、第2スライドーベーン472の尾部にスライドーベーン制動装置482が設けられる
【0048】
図1及び
図2に示すように、圧縮機構はクランク軸41を更に備え、第1ピストン461及び第2ピストン462はいずれもクランク軸41に嵌めて設けられ、クランク軸41を介して第1ピストン461及び第2ピストン462が、対応する圧縮室内で転動するように同時に駆動する。
【0049】
図1及び
図2に示すように、第1シリンダ451に第1吸気口4513及び第1排気口4514が設けられ、第1シリンダ451に第1吸気管11が更に設けられ、第1吸気管11の一端が第1吸気口4513に接続され、他端が貯液器1に接続される。第1排気口4514は、主軸受421上の第1排気弁4211及び第1消音器431を介して密閉されたハウジング2の内部に連通される。
【0050】
図1及び
図2に示すように、第2シリンダ452に第2吸気口4523及び第2排気口4524が設けられ、第2シリンダ452に第2吸気管12が更に設けられ、第2吸気管12の一端が第2吸気口4523に接続され、他端が第1方向切替アセンブリ49(例えば、三方弁)を介して貯液器1及び排出口21(または、ハウジング2の内部)にそれぞれ連通される。第2排気口4524は、副軸受422上の第2排気弁4221及び第2消音器432を介して密閉されたハウジング2の内部に連通される
【0051】
更に、仕切り板453に第1圧縮室4511に連通される第1気体吐出口441と、第2圧縮室4521に連通される第2気体吐出口442とを設けることができる。即ち、第1気体吐出口441と第2気体吐出口442とは、仕切り板453に形成されることができる。この場合、
図2に示すように、回転式圧縮機700は気体吐出管44を更に備え、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442は、それぞれ気体吐出管44に接続され、第2気体吐出口442と気体吐出管44との間に逆止弁443が設けられ、気体は気体吐出管44から逆止弁443を経由して第2気体吐出口442へ一方向に流れる。この場合、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442は、それぞれ第1ピストン461及び第2ピストン462の転動に伴い、周期的に開閉することができる。よって、加工が便利となり、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442の開閉制御も便利となる。
【0052】
回転式圧縮機700は、二つの作業モードにおいて、第1シリンダ451がずっと作業状態にあり、即ち、第1シリンダ451は、負荷が小さい場合に作動する必要があるため、回転式圧縮機700の負荷が小さい場合、気体吐出の終了が早いため、第1気体吐出口441が早めに閉められるべきである。一方、第2シリンダ452は、負荷が大きい場合に作動すると、気体吐出量を高めるために、第2気体吐出口442が遅めに閉められてもよい。よって、
図4に示すように、第2気体吐出口442は、第1気体吐出口441のピストンの転動方向に沿う、相応する排気口(第1排気口4514と第2排気口4524とは、下記基準平面上への投影がほぼ重なるため、ここの排気口は第1排気口4514及び第2排気口4524のどちらに理解されでもよい)に近接する側に配置すべきである。言い換えると、第2気体吐出口442は、第1気体吐出口441に対して、圧縮機の回転方向に沿って排気口に更に近い位置にある。よって、回転式圧縮機700は、全負荷作業モード及び一部負荷作業モードという二つの作業モードをよりよく且つより効率的に切り替えることができ、作動効率がより高く、適用範囲がより広く、低温加熱効果がより優れるようになる。
【0053】
例えば、
図4に示すように、クランク軸41の中心軸線に垂直する基準平面上に、第1排気口4514と第2排気口4524との投影は重なり、クランク軸41の中心軸線と基準平面との交点を原点をとし、第1排気口4514(又は、第2排気口4524)が基準平面上に投影する中点と原点との接続線と、第1気体吐出口441が基準平面上に投影する端点と原点との接続線と、の間が限定して得た夾角Aは、第1気体吐出口441の第1排気口4514(又は第2排気口4524)に対する夾角を示すことができる。第1排気口4514(又は、第2排気口4524)が基準平面上に投影する中点と原点との接続線と、第2気体吐出口442が基準平面上に投影する端点と原点との接続線と、の間が限定して得た夾角Bは、第2気体吐出口442の第1排気口4514(又は、第2排気口4524)に対する夾角を示すことができる。夾角Bは夾角Aより小さいため、第2気体吐出口442は、第1気体吐出口441のピストンの転動方向に沿う、第1排気口4514(又は、第2排気口4524)に近接する側に位置する。
【0054】
無論、本発明はこれに限定されるものではない。
図5に示すように、第1気体吐出口441と第2気体吐出口442は、それぞれ主軸受421と副軸受422に設けられることができる。即ち、第1気体吐出口441が主軸受421に設けられ、第2気体吐出口442が副軸受422に設けられる。この場合、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442は、同じく、それぞれ第1ピストン461及び第2ピストン462の転動に伴い、周期的に開いたり閉じたりすることができる。同じく、
図4に示すように、第2気体吐出口442は、第1気体吐出口441のピストンの回動方向に沿う、相応する排気口に近接する側に位置する。即ち、第2気体吐出口442は、第1気体吐出口441に対して、圧縮機の回転方向に沿って排気口にさらに近い。よって、加工が便利となり、第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442の開閉制御を実現する。
【0055】
本発明の第1実施形態の好ましい一例において、上記の他方のシリンダ(すなわち、内部にスライドーベーンが、対応するピストンと選択可能に接触又は分離するように設けられるシリンダ)のスライドーベーンの尾部にスライドーベーン制動装置482が設けられる。スライドーベーンの尾部の圧力とスライドーベーンの頭部の圧力との差が、スライドーベーン制動装置482のスライドーベーンに対する制動力より大きい場合、スライドーベーンはスライドーベーン制動装置482と分離され、スライドーベーンの頭部は、対応するピストンの外周壁に当接される。制動力は、2N〜10Nであることが好ましい。よって、回転式圧縮機700が全負荷作業モード及び一部負荷作業モードという二つの作業モードを切り替えることを確実に確保することができる。
【0056】
例えば、
図2及び
図3に示すように、スライドーベーン制動装置482が磁石であってもよく、第2シリンダ452内において第2スライドーベーン472の後端とハウジング2の内側壁との間に固定される。第2スライドーベーン472は、後端と先端との間の圧力差により第2スライドーベーン溝4522内で摺動する。第2スライドーベーン472の後端の圧力と第2スライドーベーン472の先端の圧力との差が制動力より大きい場合、第2スライドーベーン472が第2圧縮室4521内に向かって摺動してスライドーベーン制動装置482と分離され、第2スライドーベーン472の先端が第2ピストン462の外周壁に当接される(
図2参照)。第2スライドーベーン472の後端の圧力と第2スライドーベーン472の先端の圧力との差が制動力より小さい場合、第2スライドーベーン472がスライドーベーン制動装置482と相対的に静止するようにスライドーベーン制動装置482に密着され、第2ピストン462の外周壁と分離されるようになる(
図3参照)。
【0057】
本発明の第2実施形態に係る冷凍サイクル装置1000は、本発明の上記第1実施形態に係る回転式圧縮機700と、第2方向切替アセンブリ100(例えば、四方切換弁)と、室外熱交換器200と、室内熱交換器300と、フラッシュタンク400とを備える。なお、フラッシュタンク400が気液分離機能を有することは、当業者に熟知されるべきものであり、ここでは省略する。
【0058】
具体的には、
図7に示すように、第2方向切替アセンブリ100は、第1接続口101と、第2接続口102と、第3接続口103と、第4接続口104とを有する。第1接続口101は回転式圧縮機700の排出口21に接続され、第4接続口104は貯液器1に接続される。室外熱交換器200の第1端は第2接続口102に接続され、室内熱交換器300の第1端は第3接続口103に接続され、室内熱交換器300の第2端は室外熱交換器200の第2端に接続される。フラッシュタンク400は室内熱交換器300の第2端と室外熱交換器200の第2端との間に接続され、フラッシュタンク400は回転式圧縮機700の第1気体吐出口441及び第2気体吐出口442に接続される。なお、室外熱交換器200とフラッシュタンク400との間に、第1絞り部品500が直列接続可能であり、フラッシュタンク400と室内熱交換器300との間に第2絞り部品600が直列接続可能である。よって、冷媒の循環流れを実現し、冷凍サイクル装置1000は冷凍、加熱作業を行うことができる。また、冷凍サイクル装置1000の作業原理は当業者に熟知されるべきものであり、ここでは省略する。なお、
図7における矢印は、冷凍サイクル装置1000の一種の作業モードでの冷媒の流れ方向を指す。
【0059】
本実施形態に係る冷凍サイクル装置1000は、上記第1実施形態に係る回転式圧縮機700を設置することにより、作動効率がより高く、適用範囲がより広くなる。
【0060】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本発明を便利にまたは簡単に説明するために使用されるものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり且つ特定の方位において構造され操作されると指示又は暗示するものではないので、本発明に対する限定と理解されるものではない。
【0061】
一方、「第1」、「第2」との用語は目的を説明するためだけに使用されるものであり、相対的な重要性を指示又は示唆する、或いは指定された技術的特徴の数量を暗黙的に指定すると理解されるものではない。よって、「第1」、「第2」と限定されている特徴は、一つ又は複数の当該特徴を含んでいることを、明示又は暗黙的に指定している。本発明の説明で、特に明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」の意味は二つまたは二つ以上である。
【0062】
本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」、「固定」などの用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、二つの部品の内部が連通することや、あるいは二つの部品の間に相互の作用関係があること等も可能である。当業者おいては、具体的な場合に応じて上記用語の本発明においての具体的な意味を理解することができる。
【0063】
本発明において、明確な規定と限定がない限り、第一特徴が第二特徴の「上」又は「下」にあることは、第一特徴と第二特徴とが直接的に接触することであってもよいし、第一特徴と第二特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第一特徴が第二特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真上及び斜め上にあることを含む、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より高いことだけを表す。第一特徴が第二特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真下及び斜め下にあることを含む、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より低いことだけを表す。
【0064】
本発明の説明において、「一実施形態」、「他の実施形態」、「一例」、「具体的な一例」、或いは「変形例」などの用語を参考した説明は、該実施形態或いは一例に合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴が、本発明の少なくとも一つの実施形態或いは一例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施形態或いは一例を示すことではない。又、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特徴は、いずれか一つ或いは複数の実施形態又は一例において適切に結合することができる。なお、お互いに矛盾しない場合、当業者は本明細書で説明された異なる実施形態或いは一例、及び異なる実施形態或いは一例の特徴を結合且つ組み合わせることができる。
【0065】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者は、本発明の原理及び主旨から逸脱することなく、これらの実施例に対して各種の変化、修正、切り替え及び変形を行うことができる。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物により限定される。