特許第6408719号(P6408719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408719
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】製袋包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/213 20120101AFI20181004BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20181004BHJP
   B65B 51/26 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B65B9/213
   B65B51/10 200
   B65B51/26
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-551762(P2017-551762)
(86)(22)【出願日】2016年10月3日
(86)【国際出願番号】JP2016079337
(87)【国際公開番号】WO2017086038
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-224886(P2015-224886)
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 良一
(72)【発明者】
【氏名】長島 良太
(72)【発明者】
【氏名】小池 伸治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 涼
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/011334(WO,A1)
【文献】 特開2007−76719(JP,A)
【文献】 特開2001−180621(JP,A)
【文献】 特開平8−230807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00−9/24
B65B 51/10−51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状の包材をシールして袋を形成しながら、前記袋の中に被包装物を充填する製袋包装機であって、
前記包材を下方に搬送する搬送部と、
前記包材を挟み込んで前記包材を横方向にシールする第1部材と、前記包材を所定の隙間を空けて挟み込む第2部材とを有する横シール部と、
前記横シール部の位置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2部材で前記包材を挟み込みながら、基準位置にある前記横シール部を、前記搬送部によって下方に搬送される前記包材よりも速く下降させる第1制御工程と、
前記第1制御工程の後、前記第1部材に前記包材をシールさせながら前記横シール部を上昇させる第2制御工程と、
前記第2制御工程の後、前記第1部材が前記包材から離れるように前記横シール部を移動させ、その後、前記横シール部を前記基準位置に戻す第3制御工程と
を行う、
製袋包装機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2制御工程において、前記横シール部の上昇が始まる時点から、前記横シール部の上昇が終わる時点までの間に、前記袋の中に気体を吹き込む、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3制御工程において、前記横シール部の上昇が終わる時点から、前記第1部材が前記包材から離れる時点までの間に、前記袋の中に気体を吹き込む、
請求項1または2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記制御部は、前記横シール部を移動させるためのモータの正転および逆転を切り替えることで、前記横シール部の位置を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2制御工程において、前記第1部材が前記包材をシールしている間、前記搬送部に前記包材の搬送を停止させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記包材の搬送が停止している間に、前記包材に印字させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1制御工程において、前記第2部材に前記包材をしごかせる、
請求項1からのいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2部材が前記包材をしごき始める時に、前記搬送部に前記包材の搬送を停止させる、
請求項7に記載の製袋包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状の包材をシールして袋を形成しながら、袋の中に被包装物を充填する製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋を形成しながら食品等の被包装物をその袋に充填して密閉包装する製袋包装機として、縦型のピロー製袋包装機が用いられている。この製袋包装機は、シート状のフィルムである包材をフォーマおよびチューブによって筒状(チューブ状)に成形し、縦シール機構によりチューブ状の包材の重なり合った縦方向の縁をシールする。次に、製袋包装機は、横シール機構により袋の下部をシールした後、被包装物をチューブ状の包材の内部に充填する。次に、製袋包装機は、横シール機構により袋の上部をシールした後、横シールされた部分の中央をカッターで切断する。製袋包装機は、袋の形成、および、袋内への被包装物の充填という上記の動作を、繰り返し連続的に行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被包装物が充填されて密封された袋は、その後、箱詰めされて出荷される。ここで、袋内の気体の封入量が多いと一定数の袋を箱に収納することができず、袋内の気体の封入量が少ないと箱の内部で包装物が動いてしまう。そのため、製袋包装機を作動させる度に、オペレータが、袋内に封入される気体の量を制御して、袋の厚みを調節する必要がある。袋の厚みを調節するために、特許文献1(特開平5−65144号公報)には、シールされた袋に過剰な空気が入らないようにする機構を備える製袋包装機が開示されている。しかし、袋内に封入される気体の量を制御するためには、横シール機構により袋の下部をシールした後、適切な量の気体を袋の中に吹き込む工程が必要となる。そのため、袋内に被包装物を充填して密閉包装する一連の動作にかかる時間を短くするために、横シール機構によって包材を効率的にシールすることができる技術が求められている。
【0004】
本発明の目的は、包材を効率的にシールすることができる製袋包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る製袋包装機は、チューブ状の包材をシールして袋を形成しながら、袋の中に被包装物を充填する。この製袋包装機は、搬送部と、横シール部と、制御部とを備える。搬送部は、包材を下方に搬送する。横シール部は、第1部材と、第2部材とを有する。第1部材は、包材を挟み込んで包材を横方向にシールする。第2部材は、包材を所定の隙間を空けて挟み込みながら包材をしごく。制御部は、横シール部の位置を制御する。制御部は、第1制御工程と、第2制御工程と、第3制御工程とを行う。第1制御工程は、基準位置にある横シール部を、搬送部によって下方に搬送される包材よりも速く下降させることで、第2部材に包材をしごかせる工程である。第2制御工程は、第1制御工程の後、第1部材に包材をシールさせながら横シール部を上昇させる工程である。第3制御工程は、第2制御工程の後、第1部材が包材から離れるように横シール部を移動させ、その後、横シール部を基準位置に戻す工程である。
【0006】
この製袋包装機は、横シール部によって包材をシールしている間に、横シール部を上昇させる。これにより、横シール部が基準位置から下降して包材をしごき始めてから、横シール部が上昇しながら包材をシールして基準位置に戻るまでの時間が短くなるので、横シール動作を効率的に行うことができる。従って、この製袋包装機は、包材を効率的にシールすることができる。
【0007】
また、制御部は、第2制御工程において、横シール部の上昇が始まる時点から、横シール部の上昇が終わる時点までの間に、袋の中に気体を吹き込むことが好ましい。
【0008】
この製袋包装機は、横シール部によって包材をシールしている間に、横シール部を上昇させることによって、袋をふくらませることができる。また、この製袋包装機は、横シール部を上昇させている間に、袋の中に気体を吹き込んで、袋内の気体の封入量を制御することができる。従って、この製袋包装機は、袋内に封入される気体の量を制御して、袋の厚みを適切に調節することができる。
【0009】
また、制御部は、第3制御工程において、横シール部の上昇が終わる時点から、第1部材が包材から離れる時点までの間に、袋の中に気体を吹き込むことが好ましい。
【0010】
この製袋包装機は、横シール部を上昇させ終わった時点から、横シール部を包材から離す時点までの間に、袋の中に気体を吹き込んで、袋内の気体の封入量を制御することができる。従って、この製袋包装機は、袋内に封入される気体の量を制御して、袋の厚みを適切に調節することができる。
【0011】
また、制御部は、横シール部を移動させるためのモータの正転および逆転を切り替えることで、横シール部の位置を制御することが好ましい。
【0012】
この製袋包装機は、モータの正転および逆転を切り替えることによって、横シール部の下降および上昇を容易に切り替えることができる。
【0013】
また、制御部は、第2制御工程において、第1部材が包材をシールしている間、搬送部に包材の搬送を停止させることが好ましい。
【0014】
この製袋包装機は、横シール部によって包材をシールしている間に、包材の搬送を停止させることで、包材にラベルを印字する際等のトラブルを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る製袋包装機は、包材を効率的にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態である製袋包装機の斜視図である。
図2】製袋包装ユニットの概略的な構成を示す斜視図である。
図3】横シール機構を右側から見た側面図である。
図4図3のア−ア線に沿う矢視図である。
図5図3のイ−イ線に沿う部分切欠きの矢視図である。
図6】シールジョーが対接した(閉じた)状態の横シール機構の平面図である。
図7】シールジョーが下死点まで降下した状態の横シール機構の右側面図である。
図8】スプライン軸と支持ユニットとの係合部を示す概略拡大縦断面図である。
図9】横シール機構を右側から見た場合における、一対のシールジョーの軌跡を表す図である。
図10図9の点Iにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図11図9の点IIにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図12図9の点IIIにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図13図9の点IVにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図14図9の点Vにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図15図9の点VIにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図16図9の点VIIにおける、横シール機構の状態を表す図である。
図17】横シール機構による横シール動作のタイミングチャートである。
図18】変形例Aにおける、製袋包装ユニットの概略的な構成を示す斜視図である。
図19】変形例Aにおける、横シール機構による横シール動作のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
(1)製袋包装機の構成
図1は、本発明の一実施形態である製袋包装機1の斜視図である。製袋包装機1は、食品等の被包装物を袋詰めするための機械である。製袋包装機1は、主として、組合せ計量ユニット92と、製袋包装ユニット93と、フィルム供給ユニット94とから構成される。
【0019】
組合せ計量ユニット92は、製袋包装ユニット93の上方に配置される。組合せ計量ユニット92は、被包装物の重量を複数の計量ホッパで計量し、所定の合計重量になるように各計量ホッパで計量された重量の値を組み合わせる。組合せ計量ユニット92は、組み合わせた所定の合計重量の被包装物を下方に排出して、製袋包装ユニット93に供給する。
【0020】
製袋包装ユニット93は、組合せ計量ユニット92から被包装物が供給されるタイミングに合わせて、被包装物を袋の中に入れて、袋をシールする。製袋包装ユニット93の詳細な構成および動作については後述する。
【0021】
フィルム供給ユニット94は、製袋包装ユニット93に隣接して設置され、袋に成形される包装用のフィルムを製袋包装ユニット93に供給する。フィルム供給ユニット94は、フィルムが巻かれたフィルムロールがセットされている。フィルムは、フィルムロールからフィルム供給ユニット94に繰り出される。
【0022】
製袋包装機1は、操作スイッチ95および液晶ディスプレイ96を備える。操作スイッチ95および液晶ディスプレイ96は、製袋包装機1本体の前面に取り付けられている。液晶ディスプレイ96は、操作スイッチ95の操作者が視認できる位置に配置されている、タッチパネル式のディスプレイである。操作スイッチ95および液晶ディスプレイ96は、製袋包装機1に対する指示、および、製袋包装機1に関する設定を受け付ける入力装置として機能する。液晶ディスプレイ96は、製袋包装機1に関する情報を表示する出力装置として機能する。
【0023】
製袋包装機1は、制御部(図示せず)を備える。制御部は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されるコンピュータである。制御部は、組合せ計量ユニット92、製袋包装ユニット93、フィルム供給ユニット94、操作スイッチ95および液晶ディスプレイ96に接続されている。制御部は、操作スイッチ95および液晶ディスプレイ96からの入力に基づいて、組合せ計量ユニット92、製袋包装ユニット93およびフィルム供給ユニット94を制御し、液晶ディスプレイ96に各種の情報を出力する。
【0024】
(2)製袋包装ユニットの構成
図2は、製袋包装ユニット93の概略的な構成を示す斜視図である。以下の説明において、「前(正面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「左」および「右」からなる6つの方向を、図2に示されるように定義する。
【0025】
製袋包装ユニット93は、主として、成形機構73と、プルダウンベルト機構74と、縦シール機構4と、横シール機構5とから構成される。成形機構73は、フィルム供給ユニット94から搬送されてくるシート状のフィルムFaを筒状に成形する。プルダウンベルト機構74は、筒状に成形されたフィルムFaを下方に搬送する。縦シール機構4は、筒状に成形されたフィルムFaの両端部の重なり部分を、搬送方向と平行な縦方向にシールして、筒状フィルムFを形成する。横シール機構5は、筒状フィルムFを、搬送方向と直交する横方向にシールして、上端部および下端部が横シールされた袋Xを形成する。
【0026】
(2−1)成形機構
成形機構73は、チューブ2とフォーマ2aとを有する。チューブ2は、上端および下端が開口している、円筒形状の部材である。チューブ2の上端の開口には、組合せ計量ユニット92から供給される被包装物Cが投入される。フォーマ2aは、チューブ2を取り囲むように配置されている。フィルム供給ユニット94のフィルムロールから繰り出されてきたフィルムFaは、チューブ2とフォーマ2aとの間の隙間を通過する際に、チューブ2に巻き付いて筒状に成形される。チューブ2およびフォーマ2aは、製造する袋Xの大きさに応じて取り替えることができる。
【0027】
(2−2)プルダウンベルト機構
プルダウンベルト機構74は、チューブ2に巻き付いたフィルムFaを吸着しながら下方に搬送する。プルダウンベルト機構74は、主として、プーリ3a,3aおよび一対のプルダウンベルト3,3を有する。一対のプルダウンベルト3,3は、図2に示されるように、チューブ2の左右両側においてチューブ2を挟むように配置され、筒状に成形されたフィルムFaを吸着する機構を有する。プルダウンベルト機構74は、プーリ3a,3aによって一対のプルダウンベルト3,3が回転駆動することで、筒状に成形されたフィルムFaを下方に搬送する。
【0028】
プルダウンベルト機構74は、フィルムFaを間欠送りする。すなわち、プルダウンベルト機構74は、筒状に成形されたフィルムFaを、1つの袋Xの成形に必要な分(1袋分)ごとに下方に搬送する。より具体的には、プルダウンベルト機構74は、1袋分のフィルムFaを搬送した後、所定の時間だけフィルムFaの搬送を停止して、その後、1袋分のフィルムFaを搬送する一連の動作を繰り返す。プルダウンベルト機構74がフィルムFaの搬送を停止している間、フィルムFaにラベル等が印字される。
【0029】
(2−3)縦シール機構
縦シール機構4は、筒状に成形されたフィルムFaを縦方向(図2では、上下方向)にシールする。縦シール機構4は、チューブ2の正面側に配置される。縦シール機構4は、駆動機構(図示せず)によって、チューブ2に近づくように、あるいは、チューブ2から遠ざかるように前後方向に移動する。
【0030】
縦シール機構4が駆動機構によってチューブ2に近づくように駆動することで、チューブ2に巻き付いたフィルムFaの縦方向の重なり部分は、縦シール機構4とチューブ2との間に挟まれる。縦シール機構4は、駆動機構によってフィルムFaの重なり部分を一定の圧力でチューブ2に押し付けながら加熱して、フィルムFaの重なり部分を縦方向にシールして、筒状フィルムFを形成する。縦シール機構4は、フィルムFaの重なり部分を加熱するヒータ、および、フィルムFaの重なり部分と接触するヒータベルト等を有している。
【0031】
(2−4)横シール機構
(2−4−1)全体構成
図3は、横シール機構5を右側から見た側面図である。筒状フィルムFはチューブ2の左右側方に配設された1対のプルダウンベルト3,3(図3には左側のもののみ図示)の走行により下方に引き降ろされつつ、チューブ2の正面側に配設された縦シール機構4により重なり合った両側縁部が縦シールされ、且つ、チューブ2の下方に配設された横シール機構5により幅方向に横シールされて袋Xとなる。その間、横シールと横シールとの間にチューブ2の上方から投入された物品(被包装物C)が袋Xに充填される。袋Xは横シール機構5に内蔵された図示しないカッターにより1つずつ切り離され、さらに生産ラインの下流に運ばれる。
【0032】
製袋包装機1では、プルダウンベルト3,3、および、プルダウンベルト3,3を巻き掛けたプーリ3a,3a、および、プーリ3a,3aを矢印d,d方向に回転させるフィルム搬送用サーボモータ(図示せず)等によって、上下に延びる筒状フィルムFを縦方向に搬送する搬送手段が構成されている(図5参照)。
【0033】
図4に示すように、横シール機構5は前後1対のシールジョー11a,11bを備える。シールジョー11a,11bは左右に水平に延び、それぞれベース12a,12bに取り付けられている。ベース12a,12bは支持ユニット13に前後に水平に移動自在に支持されている。例えば後側のジョーベース12bにはカッターが収容されている。
【0034】
支持ユニット13は接続フレーム14で接続された左右1対の支持ブロック15,15を有する。各ブロック15を前後に延びる支持ロッド16が摺動自在に挿通している。支持ロッド16,16の前端部に前側のジョーベース12aが掛け渡され、後端部に接続用のベース17が掛け渡されている。各支持ロッド16はブロック15から前方に延設されたアーム部18で支えられて水平姿勢が保たれている。後側のジョーベース12bがこのアーム部18,18とブロック15,15との間において支持ロッド16,16に摺動自在に嵌合している。
【0035】
シールジョー11a,11bはクランク機構により前後に往復移動される。すなわち、図5に示すように、接続フレーム14の上面からスプライン軸20の上端部が上方に突出し、スプライン軸20の突出端部にクランク21が嵌合している。図4に示すように、クランク21の一方の回転端部と接続用ベース17との間に前側ジョー11aのためのリンク22aが備えられ、クランク21の他方の回転端部と後側ジョーベース12bとの間に後側ジョー11bのためのリンク22bが備えられている。
【0036】
図4に示すように、シールジョー11a,11bが相互に離間した状態から、スプライン軸20が矢印a方向に回転すると、クランク21も一体に同方向aに回転し、その回転がリンク22a,22bによって前後方向の直線運動に変換される。そのうち前側ジョー用リンク22aは接続用ベース17を後方に押圧し、これにより、接続用ベース17と左右1対の支持ロッド16と前側ジョーベース12aとで構成される枠構造全体を後方に移動させ、前側のシールジョー11aを後方に水平移動させる。一方、後側ジョー用リンク22bは後側ジョーベース12bを前方に押圧し、これにより、後側のシールジョー11bを前方に水平移動させる。
【0037】
クランク21の回転中心から各リンク22a,22bの連結点までの距離は同じであり、且つ、リンク22a,22bの形状も同じである。よって、単一のスプライン軸20の回転により、前後1対のシールジョー11a,11bは、同時に、相互に逆方向に、同距離だけ移動する。その結果、図6に実線で示すように、シールジョー11a,11bは筒状フィルムFを間に挟み込んで対接する(閉じる)。そして、この対接時に熱と圧とによって筒状フィルムFを横シールする。
【0038】
この状態から、スプライン軸20が矢印b方向に回転すると、上述したものとは逆に、前側のシールジョー11aは前方に水平移動し、後側のシールジョー11bはこれと同時に同距離だけ後方に水平移動する。その結果、図4に示すように、シールジョー11a,11bは相互に離間する(開く)。
【0039】
製袋包装機1では、クランク21およびリンク22a,22b等によって、シールジョー11a,11bを水平に移動させる(開閉させる)水平移動機構(符号hとする)が構成されている。そして、支持ユニット13は、この水平移動機構hとシールジョー11a,11bとを支持している。
【0040】
図5に示すように、スプライン軸20は直立し、支持ユニット13の接続フレーム14を上下に貫通している。製袋包装機1の本体1aの正面に上下1対の水平ビーム42a,42bが架設され、そのうちの下側のビーム42bの内面に軸受27が設けられて、軸受27によりスプライン軸20の下部が回転自在に支持されている。
【0041】
図3に示すように、スプライン軸20の下端部にタイミングプーリ26が取り付けられ、タイミングプーリ26と、水平移動用(ジョー開閉用)サーボモータ23の出力軸に取り付けられたタイミングプーリ24との間に、タイミングベルト25が巻き掛けられている。すなわち、サーボモータ23の駆動によりスプライン軸20がa,b方向に回転し、シールジョー11a,11bが開閉する。サーボモータ23は図示しないブラケット等により包装機本体1aに据え付けられている。
【0042】
製袋包装機1では、水平移動機構hとサーボモータ23とによって、1対のシールジョー11a,11bを水平方向に移動させて対接及び離間させる横移動手段(符号Hとする)が構成されている。
【0043】
図5に示すように、上下の水平ビーム42a,42bに取付ブロック43,43,44,44を介して左右1対のガイドロッド45,45が備えられている。各ガイドロッド45はスプライン軸20と平行に直立し、それぞれ支持ユニット13の支持ブロック15を上下に貫通している。これにより、支持ユニット13は2本のガイドロッド45,45と1本のスプライン軸20とで3点支持されている。しかも、図4に示すように、これらのガイドロッド45,45及びスプライン軸20が平面視で3角形の頂点に位置しているから、支持ユニット13は面で安定に支持されている。
【0044】
支持ユニット13はクランク−リンク機構によりロッド45,45及び軸20に沿って上下に往復移動される。すなわち、図5に示すように、包装機本体1aから左右1対の縦壁36,36が立設されている。図4に示すように、縦壁36,36間にクランクシャフト35が回転自在に掛け渡されている。クランクシャフト35の両端にクランクアーム37,37が取り付けられている。図3に示すように、各クランクアーム37の回転端部に中間リンク40の一端が連結されている。中間リンク40の他端は揺動リンク39の長さ方向中ほどに連結されている。
【0045】
図5に示すように、縦壁36,36間に揺動支点用のシャフト38もまた回転自在に掛け渡されている。この揺動支点用シャフト38の両端に揺動リンク39,39の一端が取り付けられている。図3に示すように、各揺動リンク39の揺動端部に第2の中間リンク41を介して支持ユニット13の支持ブロック15が連結されている。
【0046】
包装機本体1a上に上下移動用(ジョー昇降用)サーボモータ31が据え付けられ、サーボモータ31の出力軸に取り付けられたタイミングプーリ32と、クランクシャフト35に取り付けられたタイミングプーリ34との間に、タイミングベルト33が巻き掛けられている。すなわち、サーボモータ31の駆動によりクランクシャフト35がc方向に回転し、支持ユニット13が上下移動する。その際、クランクアーム37の回転により、中間リンク40が上下に移動し、揺動リンク39を上下に揺動させる。揺動リンク39は、第2の中間リンク41で円弧運動と直線運動とのこじれを吸収させながら、支持ユニット13全体、ひいては横シールジョー11a,11bおよび水平移動機構H等を上下に往復移動させる。
【0047】
図3は支持ユニット13が上死点にある状態を示し、図7は下死点にある状態を示す。なお、詳しくは図示していないが、上死点では、シールジョー11a,11bは、例えばすぐに横シールが開始するのでやや閉じ気味である。また、下死点では、シールジョー11a,11bは、例えばすでに横シールが終了したのでやや開き気味である。
【0048】
製袋包装機1では、クランクアーム37および複数のリンク39〜41等によって、支持ユニット13を上下に移動させる(昇降させる)上下移動機構(符号vとする)が構成されている。そして、上下移動機構vとサーボモータ31とによって、1対のシールジョー11a,11bを筒状フィルムFの搬送方向に沿う縦方向に移動させる縦移動手段(符号Vとする)が構成されている。
【0049】
なお、スプライン軸20と、支持ユニット13の接続フレーム14との係合部(図5に符号Aで示す)には、周知のボールスプラインが用いられている。すなわち、図8にやや詳しく示すように、クランク21がボールスプライン81と直接つながり、スプライン軸20の回転伝達にあずかる。スプライン軸20と接続フレーム14との間には、クロスローラベアリング82と外側ハウジング83とが存在し、スプライン軸20と接続フレーム14とは直接接触していない。つまり、スプライン軸20の回転については縁切りされている。ただし、上下の直動方向にのみ摺動自在である。これにより、スプライン軸20は、水平移動機構hへの駆動力の伝達と、支持ユニット13の上下移動のガイドとを支障なく達成できる。
【0050】
製袋包装機1では、シールジョー11a,11bは、横移動手段Hによって対接又は離間(開閉)するように水平移動され、縦移動手段Vによって支持ユニット13と共に上下移動される。これにより、シールジョー11a,11bは、図3に符号S,Sで軌跡を示すように、側面視で四辺形ないし長円形の形状を含むボックスモーションを実行することができる。なお、後述するように、本実施形態におけるシールジョー11a,11bの実際の軌跡は、ボックスモーションであるが、図3に示される軌跡Sとは異なる。
【0051】
なお、製袋包装機1では、支持ユニット13の上下方向の移動を案内する1対のガイドロッド45,45を備えた上に、水平移動機構hを駆動させるために本来備えたスプライン軸20が1対のガイドロッド45,45と平行に支持ユニット13を上下に貫通していてガイドロッドとしても機能している。ゆえに、余分な部材を新設することなく、部材の共通化、部品点数の削減、構造の簡素化を達成しつつ、支持ユニット13を3点で、しかも面で支持することができ、支持ユニット13の姿勢の安定化ないし上下移動の円滑化が図られ、ひいては支持ユニット13及びシールジョー11a,11bの上下の高速運転が確保される。
【0052】
(2−4−2)シールジョーの構成
次に、本実施形態におけるシールジョー11a,11bの軌跡について説明する。以下、必要に応じて、一対のシールジョー11a,11bを、それぞれ、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bと呼ぶ。図9は、横シール機構5を右側から見た場合における、第1シールジョー11a、および、第2シールジョー11bの軌跡を表す図である。図9において、一対のシールジョー11a,11bの基準点の軌跡は、点線で示されている。
【0053】
第1シールジョー11aには、第1しごき部材55と、第1シャッタ58とが取り付けられている。第2シールジョー11bには、第2しごき部材75と、第2シャッタ78とが取り付けられている。製袋包装機1の制御部は、横シール機構5を制御して、シールジョー11a,11b、しごき部材55,75およびシャッタ58,78の位置を調節する。
【0054】
しごき部材55,75は、図9の紙面に垂直な方向(図2では、左右方向)に沿って延びるように配置される。しごき部材55,75は、弾性材料からなる板である。第1しごき部材55および第2しごき部材75は、それぞれ、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bの下方に配置される。一対のしごき部材55,75は、前後方向に沿って、互いに近接および離間するようにスライド可能である。すなわち、第1しごき部材55と第2しごき部材75との間の間隔は、調整可能である。
【0055】
第1しごき部材55および第2しごき部材75は、それぞれ、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bが筒状フィルムFを横シールする直前において、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bよりも先に筒状フィルムFに当たる。そして、第1しごき部材55および第2しごき部材75は、筒状フィルムFの内側に若干の隙間が開いている状態で、下方に向かって移動する。これにより、しごき部材55,75は、筒状フィルムFを下方に向かってしごいて、筒状フィルムFの内側表面に付着している被包装物Cを強制的に下方へ落下させる。その結果、筒状フィルムFの横シールされる部分において、シールジョー11a,11bが被包装物C等の異物を噛み込むことが回避される。従って、しごき部材55,75は、シールジョー11a,11bによるシール不良の発生を抑制することができる。
【0056】
シャッタ58,78は、図9の紙面に垂直な方向(図2では、左右方向)に沿って延びるように配置される。シャッタ58,78は、弾性材料からなる板である。第1シャッタ58および第2シャッタ78は、それぞれ、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bの上方に配置される。一対のシャッタ58,78は、前後方向に沿って、互いに近接および離間するようにスライド可能である。すなわち、第1シャッタ58と第2シャッタ78との間の間隔は、調整可能である。なお、一対のシャッタ58,78は、一対のしごき部材55,75と連動して、前後方向にスライド可能である。
【0057】
第1シャッタ58および第2シャッタ78は、それぞれ、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bが筒状フィルムFを横シールする直前において、第1シールジョー11aおよび第2シールジョー11bよりも先に筒状フィルムFに当たり、筒状フィルムFの内側に若干の隙間を開けた状態で、筒状フィルムFを挟み込む。この状態において、シャッタ58,78によって挟み込まれている部分より上方の筒状フィルムFの中に、組合せ計量ユニット92から供給された被包装物Cが投入される。シャッタ58,78は、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟み込んで横方向に熱シールした後に、互いに離れ始める。
【0058】
シャッタ58,78は、筒状フィルムFの横シールされる部分において、筒状フィルムFの内部に被包装物Cが上方から落下することを回避する。これにより、筒状フィルムFの横シールされる部分において、シールジョー11a,11bが被包装物C等の異物を噛み込むことが回避される。従って、シャッタ58,78は、シールジョー11a,11bによるシール不良の発生を抑制することができる。
【0059】
(3)製袋包装機の動作
(3−1)全体的な動作
最初に、製袋包装機1が被包装物Cを袋Xに充填する動作の概略について説明する。フィルム供給ユニット94から成形機構73に供給されたフィルムFaは、チューブ2に巻き付けられて筒状に成形され、プルダウンベルト機構74によって下方に搬送される。チューブ2に巻き付けられた筒状のフィルムFaは、上下方向に延びる両端部が重ね合わせられている。筒状に成形されたフィルムFaの重なり部分は、縦シール機構4によって縦方向にシールされ、筒状フィルムFが形成される。
【0060】
縦シールされた筒状フィルムFは、チューブ2から抜けて、横シール機構5まで下方に搬送される。横シール機構5では、一対のシールジョー11a,11bが筒状フィルムFを横シールする前に、一対のシャッタ58,78および一対のしごき部材55,75が互いに近付いて筒状フィルムFを挟み込む。このとき、一対のシャッタ58,78が互いに近付いて筒状フィルムFを挟み込むのと同時に、一対のしごき部材55,75も互いに近付いて筒状フィルムFを挟み込む。一対のシャッタ58,78によって挟み込まれている部分の下方には、一対のシールジョー11a,11bによって横シールされる直前の筒状フィルムFが存在する。また、横シールされる部分の下方には、前回投入された被包装物Cが存在する。また、一対のシャッタ58,78および一対のしごき部材55,75が筒状フィルムFを挟み込むのと同時に、筒状フィルムFの搬送が停止する。
【0061】
次に、筒状フィルムFを挟み込んでいる一対のしごき部材55,75によって、筒状フィルムFが下方に向かってしごかれる。これにより、筒状フィルムFの横シールされる部分において、筒状フィルムFの内側表面に付着している被包装物Cが下方へ落下する。
【0062】
次に、筒状フィルムFが下方に向かってしごかれた後に、一対のシールジョー11a,11bによって筒状フィルムFが挟まれて横シールされる。この横シール動作によって、一対のシールジョー11a,11bの下方では、被包装物Cが封入された袋Xが形成される。この袋Xは、後続する筒状フィルムFと連結されている。後で説明するように、横シール機構5は、上昇しながら、一対のシールジョー11a,11bによって筒状フィルムFを横シールする。
【0063】
次に、筒状フィルムFが横シールされている間、組合せ計量ユニット92で計量された被包装物Cがチューブ2内を落下して、シャッタ58,78によって挟み込まれている部分より上方の筒状フィルムFの中に被包装物Cが投入される。
【0064】
次に、シールジョー11a,11bによる横シールが完了すると、一対のシャッタ58,78および一対のしごき部材55,75が、互いに離れる。このとき、一対のシャッタ58,78が互いに離れるのと同時に、一対のしごき部材55,75も互いに離れる。
【0065】
次に、第2シールジョー11bが取り付けられるジョーベース12bに収容されているカッターによって、筒状フィルムFの横シールされた部分が横方向に切断される。これにより、被包装物Cが封入された袋Xは、後続の筒状フィルムFから切り離される。また、シールジョー11a,11bによる横シールが完了した後、シールジョー11a,11bは互いに離れ、筒状フィルムFの搬送が再開される。
【0066】
以上のようにして、被包装物Cが封入された袋Xは、連続的に製造される。製造された袋Xは、その後、ベルトコンベア(図示せず)によって導かれ、厚みチェッカーおよび重さチェッカー等の、後工程で使用される装置に移送される。
【0067】
(3−2)横シール機構の詳細な動作
次に、製袋包装機1の横シール機構5の詳細な動作について、図10〜16を参照しながら説明する。図10〜16は、それぞれ、図9に示される軌跡上の点I〜VIIにおける横シール機構5を右側から見た状態を表す。図10〜16では、横シール機構5の動作を理解しやすくするために、横シール機構5の構成要素として、一対のシールジョー11a,11b、一対のしごき部材55,75および一対のシャッタ58,78のみが示されている。横シール機構5は、図10〜16に示される順番で駆動することで、袋Xの上端部と、後続の袋の下端部とを同時に横シールする。一対のしごき部材55,75および一対のシャッタ58,78は、同じタイミングで開閉する。
【0068】
横シール機構5では、シールジョー11a,11b、しごき部材55,75およびシャッタ58,78が移動する。図10〜13は、筒状フィルムFが横シールされる前であって、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFに当たっていない状態を表す。図14〜15は、筒状フィルムFが横シールされている時であって、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟み込んでいる状態を表す。図16は、筒状フィルムFの横シールが完了した後であって、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFから離れた状態を表す。
【0069】
図9に示されるように、一対のシールジョー11a,11bは、その軌跡の一部が矩形であるボックスモーションを行う。具体的には、一対のシールジョー11a,11bは、図9に示されるように互いに最も離れた状態から、所定の第1距離だけ離れた状態になるまで互いに接近する(点I〜II)。次に、一対のシールジョー11a,11bは、第1距離だけ互いに離れた状態を維持したまま下降する(点II〜IV)。次に、一対のシールジョー11a,11bは、下降を停止して、所定の第2距離だけ離れた状態になるまで、互いにさらに接近して筒状フィルムFを挟み込む(点IV〜V)。次に、一対のシールジョー11a,11bは、第2距離だけ離れた状態を維持したまま上昇する(点V〜VI)。このとき、一対のシールジョー11a,11bは、上昇しながら、筒状フィルムFを横シールする。次に、筒状フィルムFの横シールが完了した後、一対のシールジョー11a,11bは、互いに離れていく(点VI〜VII)。その後、一対のシールジョー11a,11bは、図10に示される状態に戻る(点VII〜I)。なお、一対のシールジョー11a,11bのボックスモーションは、水平移動用サーボモータ23および上下移動用サーボモータ31の変速制御と、上下移動用サーボモータ31の正転および逆転の切替制御とによって行われる。
【0070】
図17は、図10〜16に示される横シール機構5による横シール動作のタイミングチャートである。図17(a)〜(e)に示される複数のタイミングチャートは、共通の時間軸(横軸)を有する。図17において縦方向の点線で示される、共通の時間軸上の時刻t1〜t7は、それぞれ、図9に示される各点I〜VIIの状態(図10〜16に示される状態)に対応する。
【0071】
図17(a)は、筒状フィルムFの搬送のタイミングを表すチャートである。図17(a)において、「on」は、筒状フィルムFの搬送が行われている状態を表し、「off」は、筒状フィルムFの搬送が停止している状態を表す。
【0072】
図17(b)は、シールジョー11a,11bの開閉のタイミングを表すチャートである。図17(b)において、「閉」は、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟んでいる状態、または、シールジョー11a,11bが第1距離だけ互いに離れた状態から第2距離だけ互いに離れた状態に移行している状態(図9における点IV〜Vの状態)を表す。図17(b)において、「開」は、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟んでいない状態を表す。
【0073】
図17(c)は、しごき部材55,75の開閉のタイミングを表すチャートである。図17(c)において、「閉」は、しごき部材55,75が筒状フィルムFを挟んでいる状態を表し、「開」は、しごき部材55,75が筒状フィルムFを挟んでいない状態を表す。
【0074】
図17(d)は、シャッタ58,78の開閉のタイミングを表すチャートである。図17(d)において、「閉」は、シャッタ58,78が筒状フィルムFを挟んでいる状態を表し、「開」は、シャッタ58,78が筒状フィルムFを挟んでいない状態を表す。
【0075】
図17(e)は、被包装物Cの投入のタイミングを表すチャートである。図17(e)では、被包装物Cが投入される時刻t5が、太線で示されている。
【0076】
製袋包装機1では、プルダウンベルト機構74は、フィルムFaを間欠送りする。そのため、図17に示されるように、筒状フィルムFの搬送は、連続的ではなく、所定の周期で所定の時間だけ停止する。具体的には、しごき部材55,75が筒状フィルムFをしごき始める時に、筒状フィルムFの搬送が停止する。筒状フィルムFの搬送が停止している間、シールジョー11a,11bが、筒状フィルムFを横シールする。その後、筒状フィルムFの横シールが完了し、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFから離れた後に、筒状フィルムFの搬送が再開する。
【0077】
次に、図10〜16に示される各状態について説明する。なお、図9に示される軌跡上の点I〜VIIは、それぞれ、図10〜16に示されるシールジョー11a,11bに含まれる点I〜VIIに対応する。図10〜16では、シールジョー11a,11bが移動している途中の場合には、移動方向が白抜きの矢印で示され、筒状フィルムFが移動している途中の場合には、移動方向がハッチングされた矢印で示されている。
【0078】
図10は、図9に示される点I、および、図17に示される時刻t1における横シール機構5の状態を表す。図10は、しごき部材55,75が、筒状フィルムFを下方に向かってしごき始める直前の状態を表す。以下、図10に示されるシールジョー11a,11bの位置を、基準位置と呼ぶ。基準位置では、シールジョー11a,11bは、最も高い位置にある。このとき、一対のしごき部材55,75、一対のシールジョー11a,11b、および、一対のシャッタ58,78は、それぞれ、互いに離れている。図10に示される状態の後、一対のシャッタ58,78が互いに近付き、同時に、一対のしごき部材55,75が互いに近付く。そして、時刻t2において、一対のシャッタ58,78、および、一対のしごき部材55,75は、筒状フィルムFと接触して筒状フィルムFを挟み込む。このとき、一対のシールジョー11a,11bも、図10に示される状態から、互いに近付いている。
【0079】
図11は、図9に示される点II、および、図17に示される時刻t2における横シール機構5の状態を表す。図11は、しごき部材55,75が、筒状フィルムFを下方に向かってしごき始める時点の状態を表す。このとき、一対のシールジョー11a,11bは、所定の距離(第1距離)だけ、互いに離れている。この時以降、筒状フィルムFの横シールが完了するまで、一対のシャッタ58,78、および、一対のしごき部材55,75は、筒状フィルムFを挟み込んでいる状態にある。また、時刻t2において、筒状フィルムFの搬送が停止する。
【0080】
図12は、図9に示される点III、および、図17に示される時刻t3における横シール機構5の状態を表す。図12は、しごき部材55,75が、筒状フィルムFを下方に向かってしごいている時の状態を表す。このとき、しごき部材55,75の先端部は、下方に向かって移動する。これにより、筒状フィルムFは、しごき部材55,75によって下方に向かってしごかれる。
【0081】
図13は、図9に示される点IV、および、図17に示される時刻t4における横シール機構5の状態を表す。図13は、しごき部材55,75が、下方への移動を停止し、筒状フィルムFをしごき終わる時点の状態を表す。すなわち、一対のしごき部材55,75が筒状フィルムFをしごいている期間は、時刻t2から時刻t4までの期間である。また、図13は、一対のシールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟み始めて、横シールを開始する時点の状態を表す。
【0082】
図14は、図9に示される点V、および、図17に示される時刻t5における横シール機構5の状態を表す。図14は、一対のシールジョー11a,11bが筒状フィルムFを挟み込んで横シールを行っている状態を表す。このとき、一対のシールジョー11a,11bは、筒状フィルムFと接触している。一対のしごき部材55,75、および、一対のシャッタ58,78は、依然として、筒状フィルムFを挟み込んでいる。時刻t5で、組合せ計量ユニット92で計量された被包装物Cが上方から供給される。
【0083】
図15は、図9に示される点VI、および、図17に示される時刻t6における横シール機構5の状態を表す。図15は、一対のシールジョー11a,11bが、筒状フィルムFを横シールしながら上方に向かって移動した後、移動を停止して横シールを完了させた時点の状態を表す。すなわち、一対のシールジョー11a,11bが筒状フィルムFを横シールしている期間は、時刻t4から時刻t6までの期間である。筒状フィルムFの搬送は既に停止しており、かつ、筒状フィルムFを挟み込んでいるシールジョー11a,11bが上昇したので、シールジョー11a,11bより上方の筒状フィルムFが持ち上がっている。その結果、図15に示されるように、横シールされた部分より上方の筒状フィルムFが水平方向に膨らむ。なお、シールジョー11a,11bの上昇および下降の切り替えは、上下移動用サーボモータ31の正転および逆転の切り替えにより行われる。また、時刻t6において、一対のしごき部材55,75は、互いに離れ始め、一対のシャッタ58,78も、互いに離れ始める。
【0084】
図16は、図9に示される点VII、および、図17に示される時刻t7における横シール機構5の状態を表す。図16は、筒状フィルムFの横シールが完了した後に、シールジョー11a,11bが互いに離れている状態を表す。その後、図16に示される状態から、シールジョー11a,11bは、図10に示される基準位置に戻される。このとき、しごき部材55,75およびシャッタ58,78も、シールジョー11a,11bと共に元の位置に戻される。また、時刻t7において、筒状フィルムFの搬送が再開される。
【0085】
製袋包装機1では、筒状フィルムFが横シールは、水平移動用サーボモータ23および上下移動用サーボモータ31の出力を調節することによって、シールジョー11a,11bから筒状フィルムFに所定の熱および圧力が加えられることで行われる。これにより、図15に示されるように、シールジョー11a,11bによって横シールされた部分の下方において、被包装物Cを内部に有する袋Xが、後続の筒状フィルムFと連結された状態で形成される。横シールが完了した後、ジョーベース12bに収容されているカッターによって、筒状フィルムFの横シールされた部分が横方向に切断される。これにより、図16に示されるように、袋Xが、後続の筒状フィルムFから切り離される。
【0086】
(4)特徴
(4−1)
製袋包装機1は、筒状フィルムFの搬送が停止している状態で、横シール機構5の一対のシールジョー11a,11bを上昇させながら、シールジョー11a,11bによって筒状フィルムFを横シールする。これにより、シールジョー11a,11bは、筒状フィルムFを横シールしている間に、基準位置に近付く。すなわち、シールジョー11a,11bが横シールをしている間に、シールジョー11a,11bは、図9に示される軌跡上の点Vから点VIに移動して、基準位置である点Iにより近付くことができる。
【0087】
そのため、シールジョー11a,11bを横シール中に上昇させることによって、シールジョー11a,11bが横シールを完了した位置(図9では点VI)から基準位置に戻るまでに必要な時間が短くなる。従来の製袋包装機では、筒状フィルムは、下方に搬送されながら、シールジョーによって横シールされる。そのため、従来の製袋包装機では、本実施形態の製袋包装機1と比較して、横シールが完了した後に、シールジョーが元の位置(次回の横シールが開始できる位置)に戻るために必要な時間がより長い。
【0088】
従って、製袋包装機1は、横シール機構5が筒状フィルムFの横シールを完了してから次回の横シールを開始するまでの時間を短くすることで、筒状フィルムFを効率的に横シールすることができる。
【0089】
(4−2)
製袋包装機1は、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを横シールしている間に、シールジョー11a,11bを上昇させる。これにより、図15に示されるように、シールジョー11a,11bより上方の筒状フィルムFが、シールジョー11a,11bによって持ち上げられることによって水平方向に膨らむ。そのため、シールジョー11a,11bより上方において、筒状フィルムF内の空間の容積が増加するので、被包装物Cが筒状フィルムF内に効率的に収容される。また、シールジョー11a,11bより上方において、筒状フィルムF内に収容されている被包装物Cの最大高さ位置が低くなるので、次回の横シール時において、シールジョー11a,11bが被包装物Cを噛み込むことが回避される。従って、製袋包装機1は、シールジョー11a,11bによるシール不良の発生を抑制することができる。
【0090】
(4−3)
製袋包装機1では、しごき部材55,75が筒状フィルムFをしごいている間に、シールジョー11a,11bは下降し、その後、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを横シールしている間に、シールジョー11a,11bは上昇する。このように、製袋包装機1は、必要に応じて、シールジョー11a,11bを上昇または下降させる。製袋包装機1は、横シール機構5の上下移動用サーボモータ31の正転および逆転を適宜に切り替えることによって、シールジョー11a,11bの上昇および下降を容易に切り替えることができる。
【0091】
(4−4)
製袋包装機1は、シールジョー11a,11bが筒状フィルムFを横シールしている間に、筒状フィルムFの搬送を停止させる。そのため、製袋包装機1は、筒状フィルムFの搬送が停止している間に、筒状フィルムFにラベル等を安定的に印字することができる。従って、製袋包装機1は、筒状フィルムFに印字する際のトラブルを抑制することができる。
【0092】
(4−5)
製袋包装機1では、しごき部材55,75は、筒状フィルムFの内側の被包装物Cを強制的に落下させることができる。そのため、製袋包装機1は、筒状フィルムFの横シールされる部分において、被包装物C等の異物がシールジョー11a,11bに噛み込まれることを回避することができる。従って、製袋包装機1は、シールジョー11a,11bによるシール不良の発生を抑制することができる。
【0093】
(5)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0094】
(5−1)変形例A
実施形態の製袋包装機1は、気体吹き込み機構をさらに備えてもよい。気体吹き込み機構は、横シール機構5によって横シールされる筒状フィルムFの内部に気体を吹き込む機構である。気体吹き込み機構は、例えば、成形機構73のチューブ2の内部において上方から下方に向かって気体を流し込むことができる部材である。気体吹き込み機構は、筒状フィルムFの内部に気体を吹き込むことで、筒状フィルムFの内部の気体の量を増加させて、筒状フィルムFを膨らませることができる。すなわち、気体吹き込み機構は、筒状フィルムFから成形された袋Xの厚みを調節することができる。
【0095】
図18は、本変形例の製袋包装ユニット93の概略的な構成を示す斜視図である。図18において、チューブ2の上端の開口からは、チューブ2の内部にガスジェット管13cが挿入されている。ガスジェット管13cは、チューブ2の内部において、下方向に向かって空気等の気体を噴出する。ガスジェット管13cから噴出された気体は、筒状フィルムFの内部の中に送られて、シールジョー11a,11bによって横シールされた部分より上方の筒状フィルムFを水平方向に膨らませる。これにより、シールジョー11a,11bより上方において、筒状フィルムF内に被包装物Cが効率的に収容される。また、これにより、筒状フィルムF内に収容されている被包装物Cの最大高さ位置が低くなるので、次回の横シール時において、シールジョー11a,11bが被包装物Cを噛み込むことが回避される。従って、製袋包装機1は、ガスジェット管13cによって筒状フィルムFの中に気体を噴出することによって、シールジョー11a,11bによるシール不良の発生を抑制することができる。
【0096】
図19は、本変形例の製袋包装ユニット93の動作に関するタイムチャートである。図19(a)〜(e)のタイムチャートは、図17と同じである。図19には、ガスジェット管13cが気体を吹き込む時間帯p1,p2が、ハッチングされた領域として示されている。ガスジェット管13cは、これらの時間帯p1,p2に、筒状フィルムF内に気体を吹き込む。具体的には、ガスジェット管13cは、被包装物Cが上方から供給される時点t5に気体の吹き込みを開始して、シールジョー54,74の上昇が終わる時点t6より前の任意の時点に気体の吹き込みを終了する。また、ガスジェット管13cは、シールジョー54,74の上昇が終わる時点t6に気体の吹き込みを開始して、シールジョー54,74が筒状フィルムFcから離れて筒状フィルムFcの搬送が再開される時点t7より前の任意の時点に気体の吹き込みを終了する。
【0097】
また、本変形例の製袋包装機は、ガスジェット管13cから筒状フィルムF内に吹き込まれる気体の量を制御することで、袋Xに封入される気体の量を制御して、袋Xの厚みを適切に調節することができる。
【0098】
(5−2)変形例B
実施形態の製袋包装機1は、製袋後の袋Xの厚みを計測する厚み計測機構に接続されてもよい。製袋包装機1および厚み計測機構からなる製袋包装システムは、製袋包装機1によって製造された袋Xの厚みを、厚み計測機構によって計測する。
【0099】
また、製袋包装機1の制御部は、計測された袋Xの厚みに応じて、変形例Aの製袋包装機1が備える気体吹き込み機構が筒状フィルムF内に吹き込む気体の量を調節してもよい。
【0100】
例えば、厚み計測機構によって計測された袋Xの厚みが所定の基準値より大きい場合、製袋包装機1の制御部は、製袋後の袋Xの厚みを小さくするために、気体吹き込み機構が筒状フィルムF内に吹き込む気体の量を減少させる制御を自動的に行ってもよい。逆に、厚み計測機構によって計測された袋Xの厚みが所定の基準値より小さい場合、製袋包装機1の制御部は、製袋後の袋Xの厚みを大きくするために、気体吹き込み機構が筒状フィルムF内に吹き込む気体の量を増加させる制御を自動的に行ってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 製袋包装機
4 縦シール機構
5 横シール機構(横シール部)
11a 第1シールジョー(第1部材)
11b 第2シールジョー(第1部材)
31 上下移動用サーボモータ(モータ)
55 第1しごき部材(第2部材)
73 成形機構
74 プルダウンベルト機構(搬送部)
75 第2しごき部材(第2部材)
C 被包装物
F 筒状フィルム(チューブ状の包材)
Fa フィルム(包材)
X 袋
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開平5−65144号公報
図1
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