(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前処理工程で処理された伸縮し易い基材からなる帯状体の1枚毎に区切られた各区間を被印刷物とし、この帯状体の搬送されてくる各被印刷物に印刷胴と対向胴との対接点において電子回路の印刷を行う電子回路の印刷方法において、
前記前処理工程で前記被印刷物に、第1の基準マークとこの第1の基準マークよりも小さな第2の基準マークとを付加する基準マーク付加工程と、
前記印刷胴と対向胴との対接点への前記被印刷物の搬送経路の途中に設けられている第1の撮像手段で前記被印刷物の前記第1の基準マークを含む領域を撮像する第1基準マーク領域撮像工程と、
前記第1基準マーク領域撮像工程で撮像された前記被印刷物の画像から前記第1の基準マークの位置を検出する第1基準マーク位置検出工程と、
前記印刷胴と対向胴との対接点への前記被印刷物の搬送経路の途中の前記第1の撮像手段よりも前記対接点に近い位置に設けられた前記第1の撮像手段よりも撮像範囲が狭い第2の撮像手段で、前記被印刷物の前記第2の基準マークを含む領域を撮像する第2基準マーク領域撮像工程と、
前記第1基準マーク位置検出工程で検出された第1の基準マークの位置に応じて前記第2基準マーク領域撮像工程における前記第2の撮像手段で前記被印刷物を撮像するタイミングを求めるタイミング演算工程と
を備えることを特徴とする電子回路の印刷方法。
前処理工程で処理された伸縮し易い基材からなる帯状体の1枚毎に区切られた各区間を被印刷物とし、この帯状体の搬送されてくる各被印刷物に印刷胴と対向胴との対接点において電子回路の印刷を行う電子回路の印刷装置において、
前記前処理工程で、前記被印刷物に、第1の基準マークとこの第1の基準マークよりも小さな第2の基準マークとを付加する基準マーク付加手段と、
前記印刷胴と対向胴との対接点への前記被印刷物の搬送経路の途中に設けられ、前記被印刷物の前記第1の基準マークを含む領域を撮像する第1の撮像手段と、
前記第1の撮像手段で撮像された前記被印刷物の画像から前記第1の基準マークの位置を検出する第1基準マーク位置検出手段と、
前記印刷胴と対向胴との対接点への前記被印刷物の搬送経路の途中の前記第1の撮像手段よりも前記対接点に近い位置に設けられ、その撮像範囲が前記第1の撮像手段よりも狭く、前記被印刷物の前記第2の基準マークを含む領域を撮像する第2の撮像手段と、
前記第1基準マーク位置検出手段で検出された第1の基準マークの位置に応じて前記第2の撮像手段で前記被印刷物を撮像するタイミングを求めるタイミング演算手段と
を備えることを特徴とする電子回路の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る電子回路の印刷方法の実施に用いる電子回路の印刷装置の一実施の形態の要部を示す図である。
【0020】
この電子回路の印刷装置は、版胴1とゴム胴2と圧胴3とを備えた印刷機100と、この印刷機100に対して設けられた駆動制御装置200と、駆動制御装置200からの指令を受けて動作するずれ量検出装置300とを備えている。
【0021】
印刷機100において、版胴1,ゴム胴2および圧胴3は回転可能に支持されており、版胴1には被印刷物に電子回路を印刷するための版が装着されている。この印刷機100において、版胴1,ゴム胴2および圧胴3の構成は通常の印刷機とほゞ同じであるのでその説明は省略するが、ロールに巻かれた印刷用紙ではなく、フィルムの1枚毎に区切られた各区間に印刷された1度目の回路が被印刷物として、ゴム胴2と圧胴3との対接点Iに搬送されてくる。以下、この1度目の回路が印刷されたフィルムをウェブと呼ぶ。
図1ではこのウェブを符号4で示している。
【0022】
この印刷機100において、版胴1とゴム胴2とが本発明で言う印刷胴に相当し、圧胴3が本発明で言う対向胴に相当する。印刷機によっては、ゴム胴2を用いずに、版胴1と圧胴3とを対接させて印刷するタイプもある。このため、本発明では版胴とゴム胴との組み合わせを含めて印刷する側の胴を印刷胴、この印刷胴に対向する側の胴を対向胴と名付けている。
【0023】
なお、
図1において、5はウェブ4の搬送を案内する大小のローラであり、これらのローラ5に案内されながら前後(天地方向)に張られた状態でウェブ4が搬送され、ゴム胴2と圧胴3との対接点Iにおいて、ウェブ4上の被印刷物への電子回路(2度目の回路)の印刷が行われて行く。以下、ゴム胴2と圧胴3との対接点Iを印刷点とも呼ぶ。
【0024】
また、ウェブ4は、同じ印刷機100で1度目の回路を印刷し、乾燥させた後、絶縁膜をその上に塗布した状態で、再度この印刷機100にセットされている。すなわち、ウェブ4には前処理工程で、1度目の回路の印刷や絶縁膜の塗布が行われている。
【0025】
また、本実施の形態では、このウェブ4の2度目の回路の印刷を行う前の前処理工程において、1度目の回路の印刷と同時に、
図2に示すように、ウェブ4上の先頭の被印刷物(最初の被印刷物)#1に、第1のレジスタマークRM1と、この第1のレジスタマークRM1よりも小さな第2のレジスタマークRM2とを印刷している。すなわち、第2のレジスタマークRM2よりも大きな第1のレジスタマークRM1と、第1のレジスタマークRM1よりも小さな第2のレジスタマークRM2とを、1度目の回路の印刷と同時に印刷している。
【0026】
この例において、第1のレジスタマークRM1は三角形とされ、第2のレジスタマークRM2は円形とされているが、このような形のマークに限られるものではない。また、この第1のレジスタマークRM1や第2のレジスタマークRM2は、必ずしも1度目の回路の印刷と同時に印刷されたものでなくてもよく、後から塗布されたようなものであっても構わない。
【0027】
なお、本発明でいう第1の基準マークは第1のレジスタマークRM1に相当し、本発明でいう第2の基準マークは第2のレジスタマークRM2に相当する。以下、本実施の形態における第1のレジスタマークRM1を第1レジスタマーク、第2のレジスタマークRM2を第2レジスタマークと呼ぶ。
【0028】
また、本実施の形態では、被印刷物の印刷点I(ゴム胴2と圧胴3との対接点)への搬送経路の途中に第1のカメラ(以下、WGカメラと呼ぶ)304を設けている。また、被印刷物の印刷点Iへの搬送経路の途中のWGカメラ304よりも印刷点Iに近い位置に第2のカメラ(以下、FFカメラと呼ぶ)305を設けている。この実施の形態において、WGカメラ304が本発明でいう第1の撮像手段に相当し、FFカメラ305が本発明でいう第2の撮像手段に相当する。
【0029】
WGカメラ304は、被印刷物#1に付加されている第1レジスタマークRM1を含む広い領域を撮像するカメラとして、撮像範囲が広いカメラ(低分解能のカメラ)が用いられている。FFカメラ305は、被印刷物#1に付加されている第2レジスタマークRM2を含む狭い領域を撮像するカメラとして、撮像範囲が狭いカメラ(高分解能のカメラ)が用いられている。
【0030】
図3にWGカメラ304とFFカメラ305と印刷点Iとの位置関係を示す。WGカメラ304とFFカメラ305との間は、ウェブ4の搬送距離にしてL1だけ離れており、FFカメラ305と印刷点Iとの間は、ウェブ4の搬送距離にしてL2だけ離れている。
【0031】
本実施の形態において、WGカメラ304とFFカメラ305との間の距離L1は、ウェブ4上の被印刷物の枚数にして4枚以上(この例では、≒4.3枚)とされ、FFカメラ305と印刷点Iとの間の距離L2は、ウェブ4上の被印刷物の枚数にして1枚以上(この例では、≒1.16枚)とされている。
【0032】
図4に駆動制御装置200の要部のブロック図を示す。駆動制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、入力装置204、表示器205、出力装置(FDドライブ、プリンタ等)206、圧胴駆動用モータ207、圧胴駆動用モータドライバ208、圧胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ209、圧胴回転位相検出用カウンタ210、D/A変換器211、圧胴の原点位置検出用センサ212、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213、版胴・ゴム胴駆動用モータ214、版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215、版胴・ゴム胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ216、版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217、D/A変換器218、メモリ219、入出力インターフェイス(I/O,I/F)220−1〜220−8を備えている。
【0033】
この駆動制御装置200において、CPU201は、インターフェイス220−1〜220−8を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM203やメモリ219にアクセスしながら、ROM202に格納されたプログラムに従って動作する。
【0034】
圧胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ209は、圧胴駆動用モータ207の所定回転角毎にクロックパルスを発生して、圧胴駆動用モータドライバ208および圧胴回転位相検出用カウンタ210に出力する。また、圧胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ209は、圧胴駆動用モータ207の所定回転角度位置毎にゼロパルスを発生して、圧胴回転位相検出用カウンタ210にゼロパルスを出力する。圧胴の原点位置検出用センサ212は、圧胴の1回転毎の原点位置を検出し、原点位置検出信号を発生して印刷機の回転回数カウント用カウンタ213に出力する。
【0035】
版胴・ゴム胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ216は、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の所定回転角毎にクロックパルスを発生して、版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215および版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217に出力する。また、版胴・ゴム胴駆動用モータ用ロータリエンコーダ216は、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の所定回転角度位置毎にゼロパルスを発生して、版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217にゼロパルスを出力する。
【0036】
図5、
図6および
図7にメモリ219の内容を分割して示す。メモリ219にはメモリM1〜M31が設けられる。メモリM1には印刷速度Vsが記憶されている。メモリM2には基準の圧胴駆動用モータの回転速度VIrが記憶される。メモリM3には基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrが記憶される。メモリM4には第1レジスタマークによる位相偏差補正の完了の有無を示す値が記憶される。メモリM5には第2レジスタマークによる位相偏差補正の完了の有無を示す値が記憶される。
【0037】
メモリM6には圧胴回転位相検出用カウンタのカウント値が記憶される。メモリM7には圧胴の現在の回転位相ψ
Rが記憶される。メモリM8にはWGカメラの基準撮像位置PWGrが記憶されている。メモリM9には第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1が記憶される。メモリM10には第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1が記憶される。メモリM11にはWGカメラの撮像位置PWGが記憶される。メモリM12にはWGカメラ−FFカメラ間の距離L1が記憶されている。メモリM13にはFFカメラの撮像位置PFFが記憶される。
【0038】
メモリM14には印刷機の回転回数カウント用カウンタのカウント値が記憶される。メモリM15には現在のウェブの巻き出し長さlが記憶される。メモリM16には補正した圧胴の現在の回転位相ψ
R’が記憶される。メモリM17にはあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmが記憶される。メモリM18には版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタのカウント値が記憶される。メモリM19には版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rが記憶される。メモリM20には版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rが記憶される。メモリM21には版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が記憶される。
【0039】
メモリM22には版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1が記憶されている。メモリM23には版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルが記憶されている。メモリM24には版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度の補正値ΔVが記憶される。メモリM25には補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’が記憶される。メモリM26には第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2が記憶される。メモリM27には第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2が記憶される。メモリM28には第2レジスタマークの位置PM2が記憶される。メモリM29にはFFカメラ−印刷点間の距離L2が記憶されている。メモリM30には最初の被印刷物の印刷点到達位置PIが記憶される。メモリM31には版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2が記憶されている。
【0040】
図8にずれ量検出装置300の要部のブロック図を示す。ずれ量検出装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、WGカメラ304、FFカメラ305、メモリ306、入出力インターフェイス(I/O,I/F)307−1〜307−5を備えている。WGカメラ304およびFFカメラ305は、
図1に示されるように、被印刷物の搬送経路の途中に設けられている。このWGカメラ304およびFFカメラ305については既に説明した。
【0041】
このずれ量検出装置300において、CPU301は、インターフェイス307−1〜307−5を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM303やメモリ306にアクセスしながら、ROM302に格納されたプログラムに従って動作する。
【0042】
図9および
図10にメモリ306の内容を分割して示す。メモリ306にはメモリM41〜M62が設けられる。メモリM41にはカウント値Yが記憶される。メモリM42にはカウント値Xが記憶される。メモリM43にはWGカメラの撮像データが記憶される。メモリM44にはWGカメラの左右方向の画素数aが記憶されている。メモリM45にはWGカメラの天地方向の画素数bが記憶されている。メモリM46にはカウント値Nが記憶される。メモリM47にはカウント値Mが記憶される。
【0043】
メモリM48には第1レジスタマークの画素データが記憶されている。メモリM49には第1レジスタマークの左右方向の画素数cが記憶されている。メモリM50には第1レジスタマークの天地方向の画素数dが記憶されている。メモリM51には第1レジスタマークの測定位置が記憶される。メモリM52には第1レジスタマークの基準位置が記憶されている。メモリM53には第1レジスタマークのずれ量Δx1,Δy1が記憶される。
【0044】
メモリM54にはFFカメラの撮像データが記憶される。メモリM55にはFFカメラの左右方向の画素数eが記憶されている。メモリM56にはFFカメラの天地方向の画素数fが記憶されている。メモリM57には第2レジスタマークの画素データが記憶されている。メモリM58には第2レジスタマークの左右方向の画素数gが記憶されている。メモリM59には第2レジスタマークの天地方向の画素数hが記憶されている。メモリM60には第2レジスタマークの測定位置が記憶される。メモリM61には第2レジスタマークの基準位置が記憶されている。メモリM62には第2レジスタマークのずれ量Δx2,Δy2が記憶される。
【0045】
〔駆動制御装置の動作〕
次に、この電子回路の印刷装置における駆動制御装置200の動作について、ずれ量検出装置300の動作を交えながら説明する。
【0046】
なお、以下の動作において、駆動制御装置200のCPU201やずれ量検出装置300のCPU301は、演算により求めた各種データのメモリMへの書き込みやメモリMからの各種データの読み込みなどを必要に応じて行うが、ここでは説明が煩雑となることを避けるために、またメモリMの名称やそのメモリM中に付記した記号などからも明らかであるので、メモリMへのリードライト動作の説明を省略する場合もある。
【0047】
駆動制御装置200のCPU201は、メモリM1から印刷速度Vsを読み込み(
図11:ステップS101)、この読み込んだ印刷速度Vsより基準の圧胴駆動用モータの回転速度VIrを演算し(ステップS102)、この演算した基準の圧胴駆動用モータの回転速度VIrをメモリM2に書き込むと共に(ステップS102)、圧胴駆動用モータドライバ208にD/A変換器211を介して出力する(ステップS103)。これにより、圧胴3が基準の回転速度VIrで回転する。
【0048】
また、CPU201は、印刷速度Vsより基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを演算し、この演算した基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrをメモリM3に書き込むと共に(ステップS104)、版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力する(ステップS105)。これにより、版胴1およびゴム胴2が基準の回転速度VPrで回転する。
【0049】
また、CPU201は、初期設定として、メモリM4に第1レジスタマークによる位相偏差補正が完了していないことを示す値として「2」を書き込み(ステップS106)、メモリM5に第2レジスタマークによる位相偏差補正が完了していないことを示す値として「2」を書き込む(ステップS107)。
【0050】
〔駆動制御装置からのずれ量検出装置へのWGカメラの撮像指令〕
そして、CPU201は、圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(
図12:ステップS108)、この読み込んだ圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より圧胴の現在の回転位相ψ
Rを演算する(ステップS109)。そして、メモリM8よりWGカメラの基準撮像位置PWGrを読み込み(ステップS110)、圧胴の現在の回転位相ψ
RがWGカメラの基準撮像位置PWGrにあるか否かを確認する(ステップS111)。
【0051】
CPU201は、ステップS108〜S111の処理動作を繰り返し、圧胴の現在の回転位相ψ
RがWGカメラの基準撮像位置PWGrに達したことを確認すると(ステップS111のYES)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213にイネーブル信号およびリセット信号を出力し(ステップS112)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213へのリセット信号の出力を停止する(ステップS113)。これにより、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213が零からのカウントを開始する。
【0052】
CPU201は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213の零からのカウントの開始と同時に、ずれ量検出装置300にWGカメラの撮像指令を送信し(ステップS114)、ずれ量検出装置300からの応答を待つ(ステップS115、S117(
図13))。
【0053】
ここで、ずれ量検出装置300から第1レジスタマーク無しの信号が送信されてくれば(ステップS115のYES)、CPU201は、ずれ量検出装置300へ第1レジスタマーク無しの信号受信完了信号を送信し(ステップS116)、ステップS108へ戻る。
【0054】
ずれ量検出装置300から第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1が送信されてくれば(ステップS117のYES)、CPU201は、ずれ量検出装置300から送信されてきた第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1をメモリM9およびM10に書き込む(ステップS118)。
【0055】
〔WGカメラによる被印刷物の撮像(ずれ量検出装置での第1レジスタマークのずれ量の検出)〕
ずれ量検出装置300のCPU301は、駆動制御装置200からWGカメラの撮像指令が送られてくると(
図26:ステップS301のYES)、WGカメラ304へ撮像指令を出力する(ステップS302)。これにより、駆動制御装置200からWGカメラの撮像指令が送られてきたタイミングで、すなわち圧胴の現在の回転位相ψ
RがWGカメラの基準撮像位置PWGrに位置しているタイミングで、WGカメラ304が搬送されてくるウェブ4上の被印刷物の撮像を行う。
【0056】
CPU301は、WGカメラ304から撮像データが送られてくると(ステップS303のYES)、メモリM41中のカウント値Yを1とし(ステップS304)、メモリM42中のカウント値Xを1とし(ステップS305)、WGカメラ304からのカウント値X,Yで特定される画素位置の撮像データをメモリM43の(X,Y)のアドレス位置に書き込む(ステップS306)。
【0057】
そして、CPU301は、メモリM42中のカウント値Xに1を加算し(
図27:ステップS307)、メモリM44中のWGカメラの左右方向の画素数aを読み込み(ステップS308)、ステップS309でカウント値XがWGカメラの左右方向の画素数aを超えるまで、ステップS306〜S309の処理動作を繰り返す。
【0058】
そして、カウント値XがWGカメラの左右方向の画素数aを超えれば(ステップS309のYES)、メモリM41中のカウント値Yに1を加算し(ステップS310)、メモリM45中のWGカメラの天地方向の画素数bを読み込み(ステップS311)、ステップS312でカウント値YがWGカメラの天地方向の画素数bを超えるまで、ステップS305〜S312の処理動作を繰り返す。
【0059】
これにより、メモリM43中に、WGカメラ304からのa×bの画素の撮像データが記憶されるものとなる。ここでは、
図40(a)に示すように、最初の被印刷物#1の第1レジスタマークRM1を含む広い領域の撮像データがa×bの画素の撮像データとしてメモリM43中に記憶されたものとする。
【0060】
なお、メモリM48には、
図40(b)に示すように、第1レジスタマークRM1のc×dの画素データがパターンマッチング用のデータとして記憶されている。また、WGカメラ304の天地方向はウェブ4の流れ方向とされ、WGカメラ304の左右方向はウェブ4の流れ方向に直交する方向とされている。
【0061】
次に、CPU301は、メモリM41中のカウント値Yを1とし(ステップS313)、メモリM42中のカウント値Xを1とし(ステップS314)、メモリM46中のカウント値Nを1とし(
図28:ステップS315)、メモリM47中のカウント値Mを1とする(ステップS316)。
【0062】
そして、メモリM43中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のWGカメラの撮像画素データを読み込み(ステップS317)、メモリM48中の(M,N)のアドレス位置の第1レジスタマークの画素データを読み込み(ステップS318)、この読み込んだメモリM43中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のWGカメラの撮像画素データとメモリM48中の(M,N)のアドレス位置の第1レジスタマークの画素データとが一致しているか否かを確認する(ステップS319、
図40(a),(b)参照)。
【0063】
ここで、メモリM43中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のWGカメラの撮像画素データとメモリM48中の(M,N)のアドレス位置の第1レジスタマークの画素データとが一致していなければ(ステップS319のNO)、その時の(X、Y)のアドレスから(X+c−1、Y+d−1)のアドレスまでのWGカメラ304の撮像データのいずれかの画素データが第1レジスタマークの画素データと異なり、(X、Y)のアドレスから始まる範囲に第1レジスタマークが無いことになるので、CPU301は、メモリM42中のカウント値Xに1を加算し(
図29:ステップS320)、メモリM44中のWGカメラの左右方向の画素数aとメモリM49中の第1レジスタマークの左右方向の画素数cとを読み込み(ステップS321,S322)、ステップS323でカウント値Xが「a−c+1」を超えるまで、ステップS315〜S323の処理動作を繰り返す。
【0064】
この処理動作中、カウント値Xが「a−c+1」を超えれば(ステップS323のYES)、WGカメラ304の撮像データの左右方向の端を越えたことになるので、CPU301は、メモリM41中のカウント値Yに1を加算し(ステップS324)、メモリM45中のWGカメラの天地方向の画素数bとメモリM50中の第1レジスタマークの天地方向の画素数dとを読み込み(ステップS325,S326)、ステップS327でカウント値Yが「b−d+1」を超えるまで、ステップS314〜S327の処理動作を繰り返す。
【0065】
この処理動作中、メモリM43中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のWGカメラの撮像画素データとメモリM48中の(M,N)のアドレス位置の第1レジスタマークの画素データとが一致していることが確認されると(
図28:ステップS319のYES)、CPU301は、メモリM47中のカウント値Mに1を加算し(ステップS330)、メモリM49から第1レジスタマークの左右方向の画素数cを読み込み(ステップS331)、ステップS332(
図30)でカウント値Mが第1レジスタマークの左右方向の画素数cを超えるまで、ステップS317〜S332の処理動作を繰り返す。
【0066】
カウント値Mが第1レジスタマークの左右方向の画素数cを超えると(ステップS332のYES)、CPU301は、メモリM46中のカウント値Nに1を加算し(ステップS333)、メモリM50から第1レジスタマークの天地方向の画素数dを読み込み(ステップS334)、ステップS335でカウント値Nが第1レジスタマークの天地方向の画素数dを超えるまで、ステップS316〜S335の処理動作を繰り返す。
【0067】
このようにして、CPU301は、メモリM43中のa×bの画素の撮像データに対してメモリM48中のc×dの第1レジスタマークの画素データのパターンマッチングを行い、カウント値Nが第1レジスタマークの天地方向の画素数dを超えると(ステップS335のYES)、メモリM43中のa×bの画素の撮像データの(X、Y)のアドレスから(X+c−1、Y+d−1)のアドレスまでの範囲にメモリM48中のc×dの第1レジスタマークの画素データが含まれていたと判断する。すなわち、WGカメラ304が撮像した画像の中に第1レジスタマークRM1が含まれていたと判断する。
【0068】
なお、ステップS327(
図29)でカウント値Yが「b−d+1」を超えた場合には(ステップS327のYES)、WGカメラ304の撮像データの天地方向の端を越えたことになり、CPU301は、WGカメラ304が撮像した画像の中には第1レジスタマークRM1が含まれていなかったと判断し、駆動制御装置200に第1レジスタマーク無しの信号を送信する(ステップS328)。そして、駆動制御装置200からの第1レジスタマーク無しの信号受信完了信号を受けて(ステップS329のYES)、ステップS301(
図26)へ戻り、駆動制御装置200からの次のWGカメラの撮像指令に備える。
【0069】
CPU301は、WGカメラ304が撮像した画像の中に第1レジスタマークが含まれていたと判断すると(
図30:ステップS335のYES)、その時のメモリM42中のカウント値Xを読み込み(ステップS336)、その読み込んだカウント値Xより第1レジスタマークのX方向の測定位置を演算し、メモリM51中のX方向のアドレス位置に書き込む(ステップS337)。そして、メモリM52のX方向のアドレス位置より第1レジスタマークのX方向の基準位置を読み込み(ステップS338)、第1レジスタマークのX方向の測定位置から第1レジスタマークのX方向の基準位置を減算し、第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1を求め(
図40(c)参照)、この求めた第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1をメモリM53のX方向のアドレス位置に書き込む(ステップS339)。
【0070】
また、CPU301は、その時のメモリM41中のカウント値Yを読み込み(
図31:ステップS340)、その読み込んだカウント値Yより第1レジスタマークのY方向の測定位置を演算し、メモリM51中のY方向のアドレス位置に書き込む(ステップS341)。そして、メモリM52のY方向のアドレス位置より第1レジスタマークのY方向の基準位置を読み込み(ステップS342)、第1レジスタマークのY方向の測定位置から第1レジスタマークのY方向の基準位置を減算し、第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1を求め(
図40(c)参照)、この求めた第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1をメモリM53のY方向のアドレス位置に書き込む(ステップS343)。
【0071】
そして、CPU301は、駆動制御装置200に、メモリM53に書き込んだ第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1を送信する(ステップS344)。そして、駆動制御装置200からの第1レジスタマークのずれ量受信完了信号を受けて(ステップS345のYES)、駆動制御装置200への第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1の送信を停止し(ステップS346)、ステップS301(
図26)へ戻って、駆動制御装置200からの次のWGカメラの撮像指令に備える。
【0072】
〔駆動制御装置での第1レジスタマークの位置の検出〕
駆動制御装置200のCPU201は、ずれ量検出装置300から送信されてくる第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1を受信すると(
図13:ステップS117のYES)、その受信した第1レジスタマークのX方向のずれ量Δx1およびY方向のずれ量Δy1をメモリM9およびM10に書き込み(ステップS118)、ずれ量検出装置300に第1レジスタマークのずれ量受信完了信号を送信する(ステップS119)。
【0073】
そして、CPU201は、メモリM8からWGカメラの基準撮像位置PWGrを読み込み(ステップS120)、メモリM10から第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1を読み込み(ステップS121)、WGカメラの基準撮像位置PWGrおよび第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1よりWGカメラの今回の本来の撮像位置(WGカメラの撮像位置)PWGを求め、その求めたWGカメラの撮像位置PWGをメモリM11に書き込む(ステップS122)。
【0074】
尚、上記WGカメラの今回の本来の撮像位置PWGは第1レジスタマークがWGカメラの撮像データの中央等の基準位置に撮像されるタイミングを示し、それ以後のFFカメラでの第2レジスタマークの撮像タイミングの基準となる。
【0075】
また、CPU201は、メモリM12からWGカメラ−FFカメラ間距離L1を読み込み(ステップS123)、ステップS122で求めたWGカメラの撮像位置PWGおよびWGカメラ−FFカメラ間距離L1よりFFカメラの撮像位置PFFを求め、その求めたFFカメラの撮像位置PFFをメモリM13に書き込む(ステップS124)。
【0076】
図39に、WGカメラの基準撮像位置PWGrと、WGカメラの基準撮像位置PWGrおよび第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1より求められたWGカメラの撮像位置(WGカメラの今回の本来の撮像位置)PWGと、WGカメラの撮像位置PWGおよびWGカメラ−FFカメラ間距離L1より求められたFFカメラの撮像位置PFFを示す。
【0077】
なお、
図39において、PFFrはFFカメラの基準撮像位置、PIrは最初の被印刷物の基準の印刷点到達位置であり、WGカメラの基準撮像位置PWGrとFFカメラの基準撮像位置PFFrとは被印刷物の枚数にして4枚以上(この例では、≒4.3枚)離れており、FFカメラの基準撮像位置PFFrと被印刷物の基準の印刷点到達位置PIrとは被印刷物の枚数にして1枚以上(この例では、≒1.16枚)離れている。なお、PIは最初の被印刷物の印刷点到達位置であり、この最初の被印刷物の印刷点到達位置PIについては後述する。
【0078】
CPU201は、FFカメラの撮像位置PFFをメモリM13に書き込んだ後(
図13:ステップS124)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213よりカウント値を読み込み(
図14:ステップS125)、また圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(ステップS126)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213のカウント値および圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より現在のウェブ4の巻き出し長さlを求める(ステップS127)。そして、メモリM13からFFカメラの撮像位置PFFを読み込み(ステップS128)、現在のウェブ4の巻き出し長さlがFFカメラの撮像位置PFFに達したか否かを確認する(ステップS129)。
【0079】
〔版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整〕
CPU201は、ステップS129でウェブ4の巻き出し長さlのFFカメラの撮像位置PFFへの到達が確認されるまでの間、ステップS130(
図15)〜S149(
図17)の処理動作を繰り返す。このステップS130〜S149の処理では版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整を行う。この版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整は次のようにして行われる。
【0080】
CPU201は、圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(
図15:ステップS130)、この読み込んだ圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より圧胴の現在の回転位相ψ
Rを求める(ステップS131)。そして、メモリM10より第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1を読み込み(ステップS132)、圧胴の現在の回転位相ψ
Rに第1レジスタマークのY方向のずれ量Δy1を加算し、補正した圧胴の現在の回転位相ψ
R’を求める(ステップS133)。
【0081】
そして、CPU201は、補正した圧胴の現在の回転位相ψ
R’よりあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmを求め(ステップS134)、版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217よりカウント値を読み込み(ステップS135)、この読み込んだ版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217のカウント値より版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを求める(ステップS136)。そして、ステップS134で求めたあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmより版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを減算し、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを求め、この求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
RをメモリM20に書き込む(ステップS137)。
【0082】
次に、CPU201は、ステップS137で求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値を求め(
図16:ステップS138)、メモリM22より版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1を読み込み(ステップS139)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1以下であるか否かを確認する(ステップS140)。
【0083】
ここで、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1以下でなければ(ステップS140のNO)、CPU201は、メモリM23より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを読み込み(ステップS141)、またメモリM20より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを読み込み(ステップS142)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを用いて版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより回転速度の補正値ΔVを求める(ステップS143)。
【0084】
そして、CPU201は、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(ステップS144)、基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrに回転速度の補正値ΔVを加算し、補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を求め(ステップS145)、この求めた補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS146)、ステップS125(
図14)に戻って、同様動作を繰り返す。
【0085】
これにより、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の回転速度が調整され、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1以下に合わせ込まれるようになる。
【0086】
そして、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1以下になると(
図16:ステップS140のYES)、CPU201は、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(
図17:ステップS147)、この読み込んだ版胴・ゴム胴駆動用モータの基準の回転速度VPrを版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS148)、メモリM4に第1レジスタマークによる位相偏差の補正が完了したことを示す値として「1」を書き込む(ステップS149)。
【0087】
CPU201は、ウェブ4の巻き出し長さlがFFカメラの撮像位置PFFに達するまで、このステップS130〜S149の処理動作を繰り返すが、ステップS140において版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第1の許容値α1以下にならない場合には、ステップS147〜S149への処理には進まない。この場合、メモリM4には第1レジスタマークによる位相偏差の補正が完了していないことを示す値として「2」が書き込まれたままとなる。
【0088】
CPU201は、ウェブ4の巻き出し長さlがFFカメラの撮像位置PFFに達したことを確認すると(
図14:ステップS129のYES)、メモリM4に書き込まれている値を読み込み(ステップS150)、メモリM4に書き込まれている値が「1」であるか否かを確認する(ステップS151)。ここで、メモリM4に書き込まれている値が「1」でなければ(ステップS151のNO)、ステップS106(
図11)に戻るが、メモリM4に書き込まれている値が「1」であれば(ステップS151のYES)、第1レジスタマークによる位相偏差の補正が完了した状態にあると判断する。
【0089】
このようにして、本実施の形態では、WGカメラ304で撮像された最初の被印刷物#1の画像から第1レジスタマークRM1の位置が検出されてから(
図39に示すt1点)、遅くとも、ウェブ4の巻き出し長さlがFFカメラの撮像位置PFFに達するまでの間に(
図39に示すt2点)、すなわちFFカメラ305によって最初の被印刷物#1の第2レジスタマークRM2を含む領域の撮像が行われるまでの間に、第1レジスタマークRM1の位置に応じて版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整が行われるものとなる。本発明では、この版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整を第2の見当合わせと名付けている。
【0090】
〔駆動制御装置からのずれ量検出装置へのFFカメラの撮像指令〕
CPU201は、第1レジスタマークによる位相偏差の補正が完了している状態にあると判断すると(
図14:ステップS151のYES)、ずれ量検出装置300にFFカメラの撮像指令を送信し(
図18:ステップS152)、ずれ量検出装置300からの第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2およびY方向のずれ量Δy2の送信を待つ(ステップS153)。
【0091】
〔FFカメラによる被印刷物の撮像(ずれ量検出装置での第2レジスタマークのずれ量の検出)〕
ずれ量検出装置300のCPU301は、駆動制御装置200からFFカメラの撮像指令が送られてくると(
図32:ステップS348のYES)、FFカメラ305へ撮像指令を出力する(ステップS349)。これにより、駆動制御装置200からFFカメラの撮像指令が送られてきたタイミングで、すなわちウェブ4の巻き出し長さlがFFカメラの撮像位置PFFに達したタイミングで、FFカメラ305が搬送されてくるウェブ4上の被印刷物の撮像を行う。
【0092】
CPU301は、FFカメラ305から撮像データが送られてくると(ステップS350のYES)、メモリM41中のカウント値Yを1とし(ステップS351)、メモリM42中のカウント値Xを1とし(ステップS352)、FFカメラ305からのカウント値X,Yで特定される画素位置の撮像データをメモリM54の(X,Y)のアドレス位置に書き込む(ステップS353)。
【0093】
そして、CPU301は、メモリM42中のカウント値Xに1を加算し(
図33:ステップS354)、メモリM55中のFFカメラの左右方向の画素数eを読み込み(ステップS355)、ステップS356でカウント値XがFFカメラの左右方向の画素数eを超えるまで、ステップS353〜S356の処理動作を繰り返す。
【0094】
そして、カウント値XがFFカメラの左右方向の画素数eを超えれば(ステップS356のYES)、メモリM41中のカウント値Yに1を加算し(ステップS357)、メモリM56中のFFカメラの天地方向の画素数fを読み込み(ステップS358)、ステップS359でカウント値YがFFカメラの天地方向の画素数fを超えるまで、ステップS352〜S359の処理動作を繰り返す。
【0095】
これにより、メモリM54中に、FFカメラ305からのe×fの画素の撮像データが記憶されるものとなる。ここでは、
図41(a)に示すように、被印刷物#1の第2レジスタマークRM2を含む領域の撮像データがe×fの画素の撮像データとしてメモリM54中に記憶されたものとする。
【0096】
なお、メモリM57には、
図41(b)に示すように、第2レジスタマークのg×hの画素データがパターンマッチング用のデータとして記憶されている。また、FFカメラ305の天地方向はウェブ4の流れ方向とされ、FFカメラ305の左右方向はウェブ4の流れ方向に直交する方向とされている。
【0097】
次に、CPU301は、メモリM41中のカウント値Yを1とし(
図34:ステップS360)、メモリM42中のカウント値Xを1とし(ステップS361)、メモリM46中のカウント値Nを1とし(ステップS362)、メモリM47中のカウント値Mを1とする(ステップS363)。
【0098】
そして、メモリM54中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のFFカメラの撮像画素データを読み込み(ステップS364)、メモリM57中の(M,N)のアドレス位置の第2レジスタマークの画素データを読み込み(ステップS365)、この読み込んだメモリM54中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のFFカメラの撮像画素データとメモリM57中の(M,N)のアドレス位置の第2レジスタマークの画素データとが一致しているか否かを確認する(ステップS366、
図41(a),(b)参照)。
【0099】
ここで、メモリM54中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のFFカメラの撮像画素データとメモリM57中の(M,N)のアドレス位置の第2レジスタマークの画素データとが一致していなければ(ステップS366のNO)、その時の(X、Y)のアドレスから(X+g−1、Y+h−1)のアドレスまでのFFカメラ305の撮像データのいずれかの画素データが第2レジスタマークの画素データと異なり、(X、Y)のアドレスから始まる範囲に第2レジスタマークが無いことになるので、CPU301は、メモリM42中のカウント値Xに1を加算し(
図35:ステップS367)、メモリM55中のFFカメラの左右方向の画素数eとメモリM58中の第2レジスタマークの左右方向の画素数gとを読み込み(ステップS368,S369)、ステップS370でカウント値Xが「e−g+1」を超えるまで、ステップS362〜S370の処理動作を繰り返す。
【0100】
この処理動作中、カウント値Xが「e−g+1」を超えれば(ステップS370のYES)、FFカメラ305の撮像データの左右方向の端を越えたことになるので、CPU301は、メモリM41中のカウント値Yに1を加算し(ステップS371)、メモリM56中のFFカメラの天地方向の画素数fとメモリM59中の第2レジスタマークの天地方向の画素数hとを読み込み(ステップS372,S373)、ステップS374でカウント値Yが「f−h+1」を超えるまで、ステップS361〜S374の処理動作を繰り返す。
【0101】
この処理動作中、メモリM54中の(X+M−1、Y+N−1)のアドレス位置のFFカメラの撮像画素データとメモリM57中の(M,N)のアドレス位置の第2レジスタマークの画素データとが一致していることが確認されると(
図34:ステップS366のYES)、CPU301は、メモリM47中のカウント値Mに1を加算し(
図36:ステップS376)、メモリM58から第2レジスタマークの左右方向の画素数gを読み込み(ステップS377)、ステップS378でカウント値Mが第2レジスタマークの左右方向の画素数gを超えるまで、ステップS364〜S378の処理動作を繰り返す。
【0102】
カウント値Mが第2レジスタマークの左右方向の画素数gを超えると(ステップS378のYES)、メモリM46中のカウント値Nに1を加算し(ステップS379)、メモリM59から第2レジスタマークの天地方向の画素数hを読み込み(ステップS380)、ステップS381でカウント値Nが第2レジスタマークの天地方向の画素数hを超えるまで、ステップS363〜S381の処理動作を繰り返す。
【0103】
このようにして、CPU301は、メモリM54中のe×fの画素の撮像データに対してメモリM57中のg×hの第2レジスタマークの画素データのパターンマッチングを行い、カウント値Nが第2レジスタマークの天地方向の画素数hを超えると(ステップS381のYES)、メモリM54中のe×fの画素の撮像データの(X、Y)のアドレスから(X+g−1、Y+h−1)のアドレスまでの範囲にメモリM57中のg×hの第2レジスタマークの画素データが含まれていたと判断する。すなわち、FFカメラ305が撮像した画像の中に第2レジスタマークRM2が含まれていたと判断する。
【0104】
なお、ステップS374(
図35)でカウント値Yが「f−h+1」を超えた場合には(ステップS374のYES)、FFカメラ305の撮像データの天地方向の端を越えたことになり、CPU301は、FFカメラ305が撮像した画像の中には第2レジスタマークが含まれていなかったと判断し、不図示の表示器に「第2レジスタマーク無し」のエラー表示を行う(ステップS375)。
【0105】
CPU301は、FFカメラ305が撮像した画像の中に第2レジスタマークが含まれていたと判断すると(ステップS381のYES)、その時のメモリM42中のカウント値Xを読み込み(ステップS382)、その読み込んだカウント値Xより第2レジスタマークのX方向の測定位置を演算し、メモリM60中のX方向のアドレス位置に書き込む(
図37:ステップS383)。そして、メモリM61のX方向のアドレス位置より第2レジスタマークのX方向の基準位置を読み込み(ステップS384)、第2レジスタマークのX方向の測定位置から第2レジスタマークのX方向の基準位置を減算し、第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2を求め(
図41(c)参照)、この求めた第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2をメモリM62のX方向のアドレス位置に書き込む(ステップS385)。
【0106】
また、CPU301は、その時のメモリM41中のカウント値Yを読み込み(ステップS386)、その読み込んだカウント値Yより第2レジスタマークのY方向の測定位置を演算し、メモリM60中のY方向のアドレス位置に書き込む(ステップS387)。そして、メモリM61のY方向のアドレス位置より第2レジスタマークのY方向の基準位置を読み込み(
図38:ステップS388)、第2レジスタマークのY方向の測定位置から第2レジスタマークのY方向の基準位置を減算し、第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2を求め(
図41(c)参照)、この求めた第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2をメモリM62のY方向のアドレス位置に書き込む(ステップS389)。
【0107】
そして、CPU301は、駆動制御装置200に、求めた第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2およびY方向のずれ量Δy2を送信する(ステップS390)。そして、駆動制御装置200からの第2レジスタマークのずれ量受信完了信号を受けて(ステップS391のYES)、駆動制御装置200への第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2およびY方向のずれ量Δy2の送信を停止し(ステップS392)、ステップS301(
図26)へ戻り、駆動制御装置200からの次のWGカメラの撮像指令に備える。
【0108】
〔駆動制御装置での第2レジスタマークの位置の検出〕
駆動制御装置200のCPU201は、ずれ量検出装置300から送信されてきた第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2およびY方向のずれ量Δy2を受信すると(
図18:ステップS153のYES)、その受信した第2レジスタマークのX方向のずれ量Δx2およびY方向のずれ量Δy2をメモリM26およびM27に書き込み(ステップS154)、ずれ量検出装置300に第2レジスタマークのずれ量受信完了信号を送信する(ステップS155)。
【0109】
そして、CPU201は、メモリM13からFFカメラの撮像位置PFFを読み込み(ステップS156)、FFカメラの撮像位置PFFおよび第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2より第2レジスタマークの位置PM2を求め、その求めた第2レジスタマークの位置PM2をメモリM28に書き込む(ステップS157)。
【0110】
また、CPU201は、メモリM29からFFカメラ−印刷点間距離L2を読み込み(ステップS158)、ステップS157で求めた第2レジスタマークの位置PM2およびFFカメラ−印刷点間距離L2より最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIを求め、その求めた最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIをメモリM30に書き込む(ステップS159)。
【0111】
次に、CPU201は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213よりカウント値を読み込み(
図19:ステップS160)、また圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(ステップS161)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ213のカウント値および圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より現在のウェブ4の巻き出し長さlを求める(ステップS162)。そして、メモリM30から最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIを読み込み(ステップS163)、現在のウェブ4の巻き出し長さlが最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIに達したか否かを確認する(ステップS164)。
【0112】
〔版胴・ゴム胴の初期の厳密な回転位相の調整〕
CPU201は、ステップ164でウェブ4の巻き出し長さlの最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIへの到達が確認されるまでの間、ステップS165(
図20)〜S184(
図22)の処理動作を繰り返す。このステップS165〜S184の処理では版胴・ゴム胴の初期の厳密な回転位相の調整を行う。この版胴・ゴム胴の初期の厳密な回転位相の調整は次のようにして行われる。
【0113】
CPU201は、圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(
図20:ステップS165)、この読み込んだ圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より圧胴の現在の回転位相ψ
Rを求める(ステップS166)。そして、メモリM27より第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2を読み込み(ステップS167)、圧胴の現在の回転位相ψ
Rに第2レジスタマークのY方向のずれ量Δy2を加算し、補正した圧胴の現在の回転位相ψ
R’を求める(ステップS168)。
【0114】
そして、CPU201は、補正した圧胴の現在の回転位相ψ
R’よりあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmを求め(ステップS169)、版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217よりカウント値を読み込み(ステップS170)、この読み込んだ版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217のカウント値より版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを求める(ステップS171)。そして、ステップS169で求めたあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmより版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを減算し、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを求め、この求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
RをメモリM20に書き込む(
図21:ステップS172)。
【0115】
次に、CPU201は、ステップS172で求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値を求め(ステップS173)、メモリM31より版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2を読み込み(ステップS174)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下であるか否かを確認する(ステップS175)。本実施の形態において、第2の許容値α2は、版胴・ゴム胴の初期の粗い回転位相の調整で用いた第1の許容値α1よりも小さな値(α2<α1)として定められている。
【0116】
ここで、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下でなければ(ステップS175のNO)、CPU201は、メモリM23より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを読み込み(ステップS176)、またメモリM20より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを読み込み(ステップS177)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを用いて版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより回転速度の補正値ΔVを求める(ステップS178)。
【0117】
そして、CPU201は、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(ステップS179)、基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrに回転速度の補正値ΔVを加算し、補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を求め(ステップS180)、この求めた補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS181)、ステップS160(
図19)に戻って同様動作を繰り返す。
【0118】
これにより、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の回転速度が調整され、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下に合わせ込まれるようになる。
【0119】
そして、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下になると(
図21:ステップS175のYES)、CPU201は、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(
図22:ステップS182)、この読み込んだ版胴・ゴム胴駆動用モータの基準の回転速度VPrを版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS183)、メモリM5に第2レジスタマークによる位相偏差の補正が完了したことを示す値として「1」を書き込む(ステップS184)。
【0120】
CPU201は、ウェブ4の巻き出し長さlが最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIに達するまで、このステップS160〜S184の処理動作を繰り返すが、ステップS175において版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下にならない場合には、ステップS182〜S184への処理には進まない。この場合、メモリM5には第2レジスタマークによる位相偏差の補正が完了していないことを示す値として「2」が書き込まれたままとなる。
【0121】
CPU201は、ウェブ4の巻き出し長さlが最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIに達したことを確認すると(
図19:ステップS164のYES)、メモリM5に書き込まれている値を読み込み(ステップS185)、メモリM5に書き込まれている値が「1」であるか否かを確認する(ステップS186)。ここで、メモリM5に書き込まれている値が「1」でなければ(ステップS186のNO)、ステップS106(
図11)に戻るが、メモリM5に書き込まれている値が「1」であれば(ステップS186のYES)、第2レジスタマークによる位相偏差の補正が完了した状態にあると判断する。
【0122】
このようにして、本実施の形態では、FFカメラ305で撮像された最初の被印刷物#1の画像から第2レジスタマークRM2の位置が検出されてから(
図39に示すt2点)、遅くとも、ウェブ4の巻き出し長さlが最初の被印刷物#1の印刷点到達位置PIに達するまでの間に(
図39に示すt3点)、第2レジスタマークRM2の位置に応じて版胴・ゴム胴の初期の厳密な回転位相の調整が行われるものとなる。本発明では、この版胴・ゴム胴の初期の厳密な回転位相の調整を第1の見当合わせと名付けている。
【0123】
〔印刷中の圧胴と版胴・ゴム胴の回転位相の同期〕
CPU201は、第2レジスタマークによる位相偏差の補正が完了している状態にあると判断すると(
図19:ステップS186のYES)圧胴回転位相検出用カウンタ210よりカウント値を読み込み(
図23:ステップS187)、この読み込んだ圧胴回転位相検出用カウンタ210のカウント値より圧胴の現在の回転位相ψ
Rを求める(ステップS188)。
【0124】
そして、この求めた圧胴の現在の回転位相ψ
Rよりあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmを求め(ステップS189)、版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217よりカウント値を読み込み(ステップS190)、この読み込んだ版胴・ゴム胴回転位相検出用カウンタ217のカウント値より版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを求める(ステップS191)。
【0125】
そして、ステップS189で求めたあるべき版胴・ゴム胴の回転位相φmより版胴・ゴム胴の現在の回転位相φ
Rを減算し、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを求め、この求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
RをメモリM20に書き込む(ステップS192)。
【0126】
そして、CPU201は、ステップS192で求めた版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値を求め(
図24:ステップS193)、メモリM31より版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2を読み込み(ステップS194)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下であるか否かを確認する(ステップS195)。
【0127】
ここで、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下でなければ(ステップS195のNO)、CPU201は、メモリM23より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを読み込み(
図25:ステップS196)、またメモリM20より版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rを読み込み(ステップS197)、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差−回転速度の補正値変換テーブルを用いて版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rより回転速度の補正値ΔVを求める(ステップS198)。
【0128】
そして、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(ステップS199)、基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrに回転速度の補正値ΔVを加算し、補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を求め(ステップS200)、この求めた補正した版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPr’を版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS201)、ステップS187(
図23)に戻る。
【0129】
これにより、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の回転速度が調整され、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下に合わせ込まれるようになる。
【0130】
CPU201は、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下になると(
図24:ステップS195のYES)、メモリM3より基準の版胴・ゴム胴駆動用モータの回転速度VPrを読み込み(ステップS202)、この読み込んだ版胴・ゴム胴駆動用モータの基準の回転速度VPrを版胴・ゴム胴駆動用モータドライバ215にD/A変換器218を介して出力し(ステップS203)、ステップS187(
図23)に戻る。
【0131】
このようにして、本実施の形態では、印刷中においても、版胴・ゴム胴駆動用モータ214の回転速度が調整され、版胴・ゴム胴の現在の回転位相差Δφ
Rの絶対値が版胴・ゴム胴の回転位相差の第2の許容値α2以下に常に合わせ込まれるものとなり、印刷中の圧胴と版胴・ゴム胴の回転位相の同期が図られるものとなる。
【0132】
以上の説明から分かるように、本実施の形態によれば、WGカメラ304で被印刷物#1の第1レジスタマークRM1を含む領域を撮像するようにし、FFカメラ305で被印刷物#1の第2レジスタマークRM2を含む領域を撮像するようにし、WGカメラ304で撮像された最初の被印刷物#1の画像から第1レジスタマークRM1の位置を検出するようにし、この検出した第1レジスタマークRM1の位置に応じてFFカメラ305で最初の被印刷物#1を撮像するタイミングを求めるようにしているので、撮像範囲が広いWGカメラ(低分解能のカメラ)304で最初の被印刷物(1度目の回路)#1の広範囲を撮像して比較的大きい第1レジスタマークRM1の大体の位置を検出し、その検出した第1レジスタマークRM1の検出位置に応じて撮像範囲が狭いFFカメラ(高分解能のカメラ)305で最初の被印刷物(1度目の回路)#1の狭い範囲を撮像して小さな第2レジスタマークRM2の位置を検出するようにして、高価な高精細のカメラを複数設けることなく、各被印刷物(1度目の回路)への電子回路(2度目の回路)の印刷を正確に行うようにすることができるようになる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、第1レジスタマークRM1の位置が検出されてから遅くともその第1レジスタマークRM1の位置が検出された被印刷物#1のFFカメラ305による撮像が行われるまでの間に、WGカメラ304で撮像した最初の被印刷物#1の画像から検出された第1レジスタマークRM1の大体の位置に応じて版胴・ゴム胴の回転位相が調整され(初期の粗い回転位相の調整が行われ)、第2レジスタマークRM2の位置が検出されてから遅くともその第2レジスタマークRM2の位置が検出された最初の被印刷物#1がゴム胴2と圧胴3との対接点(印刷点)Iに達するまでの間に、FFカメラ305で撮像した最初の被印刷物#1の画像から検出された第2レジスタマークRM2の位置に応じて版胴・ゴム胴の回転位相が調整され(初期の厳密な回転位相の調整が行われ)、版胴・ゴム胴の初期の回転位相の調整をスムーズに行うようにして、各被印刷物(1度目の回路)への電子回路(2度目の回路)の印刷を正確に行うようにすることができるようになる。
【0134】
なお、上述した実施の形態では、ウェブ4の先頭の被印刷物(最初の被印刷物)#1だけに第1レジスタマークRM1と第2レジスタマークRM2とを付加するようにしたが、全ての被印刷物に第1レジスタマークRM1と第2レジスタマークRM2とを付加するようにしてもよい。
【0135】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。