特許第6408911号(P6408911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408911生物学的調律障害に関連付けられた規則性を決定する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408911
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】生物学的調律障害に関連付けられた規則性を決定する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20181004BHJP
   A61B 5/0452 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 312C
【請求項の数】42
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-546163(P2014-546163)
(86)(22)【出願日】2012年12月8日
(65)【公表番号】特表2015-505695(P2015-505695A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】US2012068640
(87)【国際公開番号】WO2013086469
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/569,132
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/470,705
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(73)【特許権者】
【識別番号】512088486
【氏名又は名称】トペラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブリッグス, カーリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン, サンジブ
【審査官】 佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表平05−502816(JP,A)
【文献】 特開2003−220044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0059237(US,A1)
【文献】 特表2013−523345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓信号を処理するように構成されたコンピュータデバイスを備えるシステムを作動させる方法であって、前記方法は、
前記コンピュータデバイスが、複数の第2の時点での第2の場所に関連付けられた第2の心臓信号の導関数に対して複数の周期内の複数の第1の時点での第1の場所に関連付けられた第1の心臓信号の導関数を処理することにより、前記複数の周期に対する複数の座標対を定義することであって、各座標対は、前記複数の周期内の対応する時点での前記第1の心臓信号の導関数および前記第2の心臓信号の導関数に関連付けられている、ことと、
前記コンピュータデバイスが、閾値を越える規則性の指数を決定することであって、前記規則性の指数は、前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号の間の前記複数の座標対の近似合同を示す、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、それぞれ、第1の電圧時系列および第2の電圧時系列を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記コンピュータデバイスが、前記複数の座標対をプロットすることと、
前記コンピュータデバイスが、前記複数の座標対を接続することにより、複数のループを生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記規則性の指数は、前記複数のループの間の前記近似合同を示す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の心臓信号の導関数および前記第2の心臓信号の導関数は、一次導関数および高次の導関数のうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、異なる場所に関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の第1の時点は、前記複数の第2の時点と同時期である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第1の時点および前記複数の第2の時点は、調律障害の少なくとも1つの拍動に関連付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記規則性の指数は、時間領域、周波数領域、空間領域のうちの1つにおいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記コンピュータデバイスが、前記複数の座標対に関連付けられている選択されたパラメータを使用して周波数分析を行うことにより、周波数スペクトルを生成することと、
前記コンピュータデバイスが、前記周波数スペクトル内の少なくとも1つのピークを決定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのピークは、前記基本周波数の1つ以上の高調波をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数の1つ以上の高調波を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記選択されたパラメータは、振幅、角度、ベクトル、面積、導関数のうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記周波数分析は、フーリエ分析である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記コンピュータデバイスが、前記周波数スペクトル内の前記少なくとも1つのピークの面積の合計を計算することと、
前記コンピュータデバイスが、前記少なくとも1つのピークの前記面積の前記合計を、所定の周波数範囲内の前記周波数スペクトルの総面積で割ることから、結果を計算することと、
前記コンピュータデバイスが、前記結果が前記閾値を超えるかどうかを決定することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記コンピュータデバイスが、複数の心臓信号から前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号を反復して選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記コンピュータデバイスが、前記規則性の指数を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記コンピュータデバイスが、複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことと、
前記コンピュータデバイスが、前記反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して、前記処理することおよび前記決定することと、
前記コンピュータデバイスが、前記反復して選択される複数の対の心臓信号に対して規則性の指数のマップを構築することと、
前記コンピュータデバイスが、前記規則性の指数の前記マップを使用して、調律障害の1つ以上の発生源を決定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の発生源を決定することは、前記コンピュータデバイスが、前記マップから、隣接場所での規則性の指数と比較して、高い規則性の指数に関連付けられている1つ以上の場所を識別することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
心臓の調律障害に関連付けられている心臓信号を処理することに関連付けられているシステムであって、前記システムは、少なくとも1つのコンピュータデバイスを備え、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
複数の周期内の複数の第2の時点での第2の場所に関連付けられた第2の心臓信号の導関数に対して前記複数の周期内の複数の第1の時点での第1の場所に関連付けられた第1の心臓信号の導関数を処理することにより、前記複数の周期に対する複数の座標対を定義することであって、各座標対は、前記複数の周期内の対応する時点での前記第1の心臓信号の導関数および前記第2の心臓信号の導関数に関連付けられている、ことと、
閾値を超える規則性の指数を決定することであって、前記規則性の指数は、前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号の間の前記複数の座標対の近似合同を示す、ことと
を行うように構成されている、システム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して、前記処理することおよび前記決定することを行うことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号に対して規則性の指数の係数のマップを構築することと、
前記規則性の指数の前記マップを使用して、前記調律障害の1つ以上の発生源を決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、前記マップから、隣接場所での規則性の指数と比較して、高い規則性の指数に関連付けられている1つ以上の場所を識別するようにさらに構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムは、前記規則性の指数を表示するように構成されている表示デバイスをさらに備えている、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムは、コンピュータ読み取り可能な媒体をさらに備え、前記コンピュータ読み取り可能な媒体は、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスによって実行されると、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスに処理することおよび決定することを行わせる命令を備えている、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、前記複数の心臓信号から前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号を反復して選択するようにさらに構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記システムは、前記複数の心臓信号を検出するように構成されている複数のセンサを含むカテーテルをさらに備えている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、それぞれ、第1の電圧時系列および第2の電圧時系列を表す、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスが、
前記複数の座標対をプロットすることと、
前記複数の座標対を接続することにより、複数のループを生成することと
を行うようにさらに構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記規則性の指数は、前記複数のループの間の前記近似合同を示す、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の心臓信号の導関数および前記第2の心臓信号の導関数は、一次導関数および高次の導関数のうちの1つである、請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、異なる場所からのものである、請求項21に記載のシステム。
【請求項33】
前記複数の第1の時点は、前記複数の第2の時点と同時期である、請求項21に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の第1の時点および前記複数の第2の時点は、前記調律障害の少なくとも1つの拍動に関連付けられている、請求項21に記載のシステム。
【請求項35】
前記規則性の指数は、時間領域、周波数領域、空間領域のうちの1つにおいて決定される、請求項21に記載のシステム。
【請求項36】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスが、
前記複数の座標対に関連付けられている選択されたパラメータを使用して周波数分析を行うことにより、周波数スペクトルを生成することと、
前記周波数スペクトル内の少なくとも1つのピークを決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項37】
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記少なくとも1つのピークは、前記基本周波数の1つ以上の高調波をさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数の1つ以上の高調波を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記選択されたパラメータは、振幅、角度、ベクトル、面積、導関数のうちの1つである、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
前記周波数分析は、フーリエ分析である、請求項36に記載のシステム。
【請求項42】
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスが、
前記周波数スペクトル内の前記少なくとも1つのピークの面積の合計を計算することと、
前記少なくとも1つのピークの前記面積の前記合計を、所定の周波数範囲内の前記周波数スペクトルの総面積で割ることから、結果を計算することと、
前記結果が前記閾値を超えるかどうかを決定することと
を行うようにさらに構成されている、請求項36に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦補助金)
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された補助金HL83359およびHL103800の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願の引用)
本願は、米国出願第13/470,705号(2012年5月14日出願)、および米国仮出願第61/569,132号(2011年12月9日出願)の利益を主張する。これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に引用される。
【0003】
(発明の分野)
本願は、概して、生物学的調律障害に関する。より具体的には、本願は、心拍障害等の生物学的調律障害の発生源(または複数の発生源)を識別するシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
心調律障害は、一般的であり、世界中における病的状態および死亡の有意な原因である。心臓内の電気系の機能不全は、心調律障害の近因を表す。心調律障害は、多くの形態で存在し、そのうち、最も複雑で治療し難いものは、心房細動(AF)、心室頻脈(VT)、および心室細動(VF)である。心房頻脈(AT)、上室性頻脈(SVT)、心房粗動(AFL)、早期心房波形/拍動(SVE)、および早期心室波形/拍動(PVC)を含む、他の調律障害は、治療することがより単純であるが、臨床的に重要であり得る。正常条件下では、洞結節が洞律動で心臓を保つが、ある条件下では、正常な洞結節の急速な活性化が、不適切な洞頻脈または洞結節リエントリーを引き起こし得、その両方も心調律障害を表す。
【0005】
心調律障害、具体的には、AF、VF、およびVTという複雑な調律障害の治療は、非常に困難であり得る。複雑な調律障害に対する薬理療法は、最適ではない。心調律障害を軽減し場合によって排除するために、切除が、センサ/プローブを血管を通して心臓まで、または手術時に直接操作すること、エネルギーを心臓の場所に送達することによって、心調律障害と関連してますます使用されている。しかしながら、複雑な調律障害では、心調律障害の原因(発生源)を識別して場所を特定するツールが不良であり、障害を排除するようにエネルギーを心臓の正しい領域に送達する試行を妨げるので、切除は、多くの場合、困難で効果がない。
【0006】
あるシステムおよび方法が、単純な心調律障害を治療するために知られている。単純な心調律障害(例えば、心房頻脈)では、最初期の場所まで活性化を遡ることによって、疾患の発生源を識別することができ、発生源は、障害を軽減し場合によって排除するように切除されることができる。単純な心調律障害でさえも、心調律障害の原因を切除することは困難であり、経験豊富な施術者は、多くの場合、心房頻脈等の一貫した心拍間隔のパターンを有する単純な調律障害を切除するために数時間を必要とする。
【0007】
AF、VF、または多形VT等の複雑な調律障害の発生源または原因を識別することに関して成功している、いくつかの既知のシステムおよび方法があるが、その数は、少ない。複雑な調律障害では、活性化発現パターンが心拍ごとに変化するので、活性化発現の最初期の場所を識別することができない。
【0008】
心調律障害を診断および治療することは、概して、患者の血管を通した心臓の中への複数のセンサ/プローブを有するカテーテルの導入を伴う。センサは、心臓内のセンサ場所で心臓の電気活性を検出する。電気活性は、概して、センサ場所での心臓の活性化を表す、心電図信号に処理される。
【0009】
単純な心調律障害では、各センサ場所での信号は、概して、心拍ごとに一貫しており、最初期の活性化の識別を可能にする。しかしながら、複雑な調律障害では、心拍ごとの各センサ場所での信号は、種々の形状の1つ、いくつか、および複数の振れの間で遷移し得る。例えば、AFでのセンサ場所の信号が、5、7、11、またはそれ以上の振れを含むとき、心臓内の近くのセンサ場所(すなわち、遠距離活性化発現)、または単純に、患者の心臓の別の部分、他の解剖学的構造、あるいは外部電子システムからの雑音と対比して、信号のどの振れが心臓内のセンサ場所に対して局所的であるか(すなわち、局所活性化発現)を識別することが、不可能ではないにしても困難である。先述の振れは、センサ場所での信号の心拍の活性化発現時間を識別することを不可能ではないにしても困難にする。
【0010】
活性化発現時間を識別して連続拍動の信号に割り当てることとは無関係に、心調律障害の発生源(または複数の発生源)を識別することができている、既知のシステムおよび方法はない。活性化発現時間を識別することの困難を考慮すると、これは、特に、複雑な調律障害について、心調律障害の発生源(または複数の発生源)の診断を有意に限定しており、それらの排除時の治療試行を限定している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、正常および不規則な心調律、ならびに神経学的発作、食道痙攣、膀胱の不安定性、過敏性腸症候群、および障害の原因(または発生源)の決定、診断、および/または治療を可能にするように生物学的信号を記録することができる、他の生物学的障害等の他の生物学的調律および調律障害を含む、種々の調律源を識別することに適用可能である。本発明は、任意のセンサ場所での信号の活性化の発現に依存せず、またはそれを計算せず、したがって、複雑な活性化パターンおよび複雑な変化する拍動信号を提供する、複雑な調律障害で特に有用である。それは特に、それらが適切に治療されることができるように、心調律の障害の原因を識別することにおいて有用である。
【0012】
複雑な心調律障害は、典型的には、心拍の正確な活性化を決定する能力が以前には可能ではなかったように、解読することが極めて困難である活性化パターンのアレイをもたらす。本発明の利点の中には、センサ場所での信号の特定の活性化発現時間の割り当て(拍動を識別すること)とは無関係に、隣接センサ場所での信号に対して、これらのセンサ場所での信号の規則性から複雑な調律障害の発生源を識別する能力がある。このようにして、本発明は、治療のために心調律障害の発生源(または複数の発生源)の決定を可能にする。別の利点として、本発明は、その上にセンサを有するカテーテル等の感知デバイスが、患者の中または近傍で使用され、後に、障害を改善し、多くの場合では、障害を治療するように心臓組織の治療が続いている間に、迅速に実行することができる方法およびシステムを提供する。したがって、本発明が心調律障害の発生源の場所を提供するであろうため、治療が即時に起こり得る。
【0013】
以前の方法およびシステムは、調律障害の発生源を決定することができないことに悩まされ、その結果として、有意義な治癒的治療の発生源を標的にする手段を提供しなかった。加えて、以前の方法およびシステムは、治療の多数の複雑なステップを必要としたが、依然として、心調律障害の発生源を決定する手段を提供することができなかった。対照的に、本発明は、心房および心室細動の複雑な調律障害を含む、心調律障害の発生源を決定する比較的少数のステップを提供する。
【0014】
実施形態によると、心調律に関連付けられる規則性を測定するシステムが開示される。本システムは、少なくとも1つのコンピュータデバイスを含む。少なくとも1つのコンピュータデバイスは、複数の第2の時点での第2の心臓信号の導関数に対して複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を処理して、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の複数の座標対を定義するように構成される。少なくとも1つのコンピュータデバイスはさらに、閾値を超える規則性の指数を決定するように構成され、規則性の指数は、第1の心臓信号および第2の心臓信号の間の複数の座標対の近似合同を示す。
【0015】
少なくとも1つのコンピュータデバイスはさらに、各対が、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択するように構成される。少なくとも1つのコンピュータデバイスはまた、反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して処理することおよび決定することを行うように構成される。少なくとも1つのコンピュータデバイスはさらに、反復して選択される複数の対の心臓信号の規則性の指数の係数の行列を構築するように、および規則性の指数の行列を使用して、調律障害の1つ以上の発生源を決定するように構成される。調律障害の1つ以上の発生源を決定するために、少なくとも1つのコンピュータデバイスは、行列から、心臓の隣接領域での規則性の指数と比較して、高い規則性の指数に関連付けられている心臓の1つ以上の領域を識別するように構成される。
【0016】
別の実施形態によると、心臓の調律障害に関連付けられている規則性を測定する方法。本方法は、コンピュータデバイスによって、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の複数の座標対を定義するように、複数の第2の時点での第2の心臓信号の導関数に対して複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を処理することを含む。本方法はコンピュータデバイスによって、閾値を超える規則性の指数を決定することをさらに含み、規則性の指数は、第1の心臓信号および第2の心臓信号の間の複数の座標対の近似合同を示す。
【0017】
本方法はさらに、複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことを含む。本方法はまた、反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して処理することおよび決定することを行うことも含む。本方法はさらに、反復して選択される複数の対の心臓信号の規則性に対して指数の行列を構築することと、規則性の指数の行列を使用して、調律障害の1つ以上の発生源を決定することとを含む。
【0018】
調律障害の1つ以上の発生源を決定するために、本方法はさらに、行列から、心臓の隣接領域での規則性の指数と比較して、高い規則性の指数に関連付けられている心臓の1つ以上の領域を識別することを含む。
【0019】
さらなる実施形態によると、心調律障害を治療する方法が提供される。本方法は、複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことを含む。本方法はさらに、各選択された対の異なる2の心臓信号に対して第1の心臓信号の複数の座標対を定義するように、複数の第2の時点での異なる第2の心臓信号の導関数に対して複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を処理することを含む。その後、本方法は、各選択された対の閾値を超える規則性の指数を決定することを含み、規則性の指数は、第1の心臓信号と異なる第2の心臓信号との間の複数の座標対の近似合同を示す。
【0020】
本方法はさらに、選択された複数の対の規則性の指数の行列を構築することと、指数の行列を使用して、心調律障害の1つ以上の発生源を決定することとを含む。本方法はまた、心調律障害を抑制または排除するように、1つ以上の発生源における心臓組織を治療することを含む。心臓組織を治療するために、本方法は、切除、電気エネルギー、機械エネルギー、薬剤、細胞、遺伝子、および生物剤のうちの1つ以上を1つ以上の発生源における心臓組織に送達することを含む。
【0021】
本願のこれらおよび他の目的、目標、および利点は、添付図面と関連して読まれる、実施形態例の以下の詳細な説明から明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
心臓の調律障害に関連付けられている規則性を決定する方法であって、前記方法は、
コンピュータデバイスによって、複数の第2の時点での第2の心臓信号の導関数に対して複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を処理することにより、前記第2の心臓信号に対する前記第1の心臓信号の複数の座標対を定義することと、
前記コンピュータデバイスによって、閾値を越える規則性の指数を決定することであって、前記規則性の指数は、前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号の間の前記複数の座標対の近似合同を示す、ことと
を含む、方法。
(項目2)
前記近似合同は、定義された信頼区間内の前記複数の座標対の少なくとも一部分の再発を示す、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、それぞれ、第1の電圧時系列および第2の電圧時系列を表す、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記第1の信号の前記導関数および前記第2の信号の前記導関数は、時間および空間のうちの1つにおけるものである、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記方法は、
前記複数の座標対をプロットすることと、
前記複数の座標対を接続し、複数のループを生成することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記規則性の指数は、前記複数のループ間の前記近似合同を示す、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記第1の信号の前記導関数および前記第2の信号の前記導関数は、ゼロ次導関数および高次の導関数のうちの1つである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号は、前記心臓の異なる領域からのものである、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記複数の第1の時点は、前記複数の第2の時点と同時期である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記複数の第1の時点および前記複数の第2の時点は、前記調律障害の少なくとも1つの拍動に関連付けられている、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記規則性の指数は、時間領域、周波数領域、および空間領域のうちの1つにおいて決定される、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記方法は、
前記複数の座標対に関連付けられている選択されたパラメータを使用して周波数分析を行うことにより、周波数スペクトルを生成することと、
前記周波数スペクトル内の少なくとも1つのピークを決定することと、
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数を含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記少なくとも1つのピークは、前記基本周波数の1つ以上の高調波をさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1つのピークは、基本周波数の1つ以上の高調波を含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記選択されたパラメータは、振幅、角度、ベクトル、面積、および導関数のうちの1つである、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記周波数分析は、フーリエ分析である、項目12に記載の方法。
(項目18)
前記周波数スペクトル内の前記少なくとも1つのピークの面積の合計を計算することと、
前記少なくとも1つのピークの前記面積の前記合計を、所定の周波数範囲内の前記周波数スペクトルの総面積で割ることから、結果を計算することと、
前記結果が前記閾値を超えるかどうかを決定することと
をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目19)
前記方法は、複数の心臓信号から前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号を反復して選択することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記方法は、
複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して、前記処理することおよび前記決定することを行うことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号に対する規則性の指数の行列を構築することと、
前記規則性の指数の前記行列を使用して、前記調律障害の1つ以上の発生源を決定することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記1つ以上の発生源を決定することは、前記心臓の隣接領域での規則性の指数と比較して、前記行列から、高い規則性の指数に関連付けられている前記心臓の1つ以上の領域を識別することを含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
心臓の調律障害に関連付けられている規則性を決定するシステムであって、前記システムは、少なくとも1つのコンピュータデバイスを備え、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
複数の第2の時点での第2の心臓信号の導関数に対して複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を処理することにより、前記第2の心臓信号に対する前記第1の心臓信号の複数の座標対を定義することと、
閾値を超える規則性の指数を決定することであって、前記規則性の指数は、前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号の間の前記複数の座標対の近似合同を示す、ことと
を行うように構成されている、システム。
(項目23)
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、
複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号の各対に対して、前記処理することおよび前記決定することを行うことと、
前記反復して選択される複数の対の心臓信号に対して規則性の指数の係数の行列を構築することと、
前記規則性の指数の前記行列を使用して、前記調律障害の1つ以上の発生源を決定することと
を行うようにさらに構成されている、項目22に記載のシステム。
(項目24)
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、前記心臓の隣接領域での規則性の指数と比較して、前記行列から、高い規則性の指数に関連付けられている前記心臓の1つ以上の領域を識別するようにさらに構成されている、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記規則性の指数を表示するように構成されている表示デバイスをさらに備えている、項目22に記載のシステム。
(項目26)
コンピュータ読み取り可能な媒体をさらに備え、前記コンピュータ読み取り可能な媒体は、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスによって実行されると、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスに処理することおよび決定すること行わせる命令を備えている、項目22に記載のシステム。
(項目27)
前記少なくとも1つのコンピュータデバイスは、前記複数の心臓信号から前記第1の心臓信号および前記第2の心臓信号を反復して選択するようにさらに構成されている、項目22に記載のシステム。
(項目28)
前記複数の心臓信号を検出するように構成されている複数のセンサを含むカテーテルをさらに備えている、項目27に記載のシステム。
(項目29)
心調律障害を治療する方法であって、前記方法は、
複数の心臓信号から複数の対の心臓信号を反復して選択することであって、各対は、第1の心臓信号および異なる第2の心臓信号を有する、ことと、
複数の第1の時点での第1の心臓信号の導関数を複数の第2の時点での異なる第2の心臓信号の導関数に対して処理することによって、各選択された対に対して、前記第1の心臓信号の複数の座標対を前記異なる2の心臓信号に対して定義することと、
各選択された対の閾値を超える規則性の指数を決定することであって、前記規則性の指数は、前記第1の心臓信号と前記異なる第2の心臓信号との間の前記複数の座標対の近似合同を示す、ことと、
前記選択された複数の対に対して規則性の指数の行列を構築することと、
前記指数の行列を使用して、前記心調律障害の1つ以上の発生源を決定することと、
前記1つ以上の発生源における心臓組織を治療することにより、前記心調律障害を抑制または排除することと
を含む、方法。
(項目30)
治療することは、切除、電気エネルギー、機械エネルギー、薬剤、細胞、遺伝子、および生物剤のうちの1つ以上を前記1つ以上の発生源における前記心臓組織に送達することを含む、項目29に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0022】
いくつかの実施形態は、添付図面の図に、限定ではなく一例として図示されている。
図1図1は、心調律障害の発生源(または複数の発生源)を識別するシステム例を図示する。
図2図2は、図1の心調律障害の発生源を識別するために使用することができる、カテーテル例を図示する。
図3図3A−Bは、図1で図示される心臓内のセンサ場所に位置付けられたセンサからの心調律障害の単純な心電図信号例および心調律障害の複雑な心電図信号例を図示する。
図4図4A−Eは、図1で図示される心臓内の隣接または遠隔センサ場所(空間位相ロック)での信号の周期的な反復活性に基づいて、心調律障害の発生源を識別する方法例を図示する。
図5図5は、心調律障害の発生源を識別するように周期的な反復活性(空間位相ロック)を決定する方法例を図示する、フローチャートである。
図6A図6A〜Eは、心調律障害の発生源(部位)の移動例および心調律障害のそのような発生源を識別するための空間位相ロックの使用を図示する。
図6B図6A〜Eは、心調律障害の発生源(部位)の移動例および心調律障害のそのような発生源を識別するための空間位相ロックの使用を図示する。
図6C図6A〜Eは、心調律障害の発生源(部位)の移動例および心調律障害のそのような発生源を識別するための空間位相ロックの使用を図示する。
図6D図6A〜Eは、心調律障害の発生源(部位)の移動例および心調律障害のそのような発生源を識別するための空間位相ロックの使用を図示する。
図6E図6A〜Eは、心調律障害の発生源(部位)の移動例および心調律障害のそのような発生源を識別するための空間位相ロックの使用を図示する。
図7図7は、心調律障害の発生源を識別する周期的な反復活性(規則性)の指数のマップ例を図示する。
図8図8は、汎用コンピュータシステムの例証的実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
心調律障害の発生源を識別するためのシステムおよび方法例を本明細書に開示する。以下の説明では、説明の目的で、実施形態例の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的詳細が記載される。しかしながら、開示された具体的詳細の全てを伴わずに、実施形態例が実践され得ることが、当業者に明白となるであろう。
【0024】
図1は、心調律障害の発生源(または複数の発生源)を識別するシステム例100を図示する。具体的には、システム例100は、心調律障害と関連して患者の心臓から収集/検出される心臓情報(信号)を検出するように構成される。システム100はさらに、閾値を超え、患者の心臓内の組織の複数の隣接領域の規則性の程度とは異なる、規則性の特定の程度に関連付けられる患者の心臓内の組織の領域(または複数の領域)を決定するために、信号を処理するように構成される。このようにして決定される領域(または複数の領域)は、心調律障害の発生源を示す。心臓は、右心房122、左心房124、右心室126、および左心室128を含む。
【0025】
システム例100は、カテーテル102と、信号処理デバイス114と、コンピュータデバイス16と、分析データベース118とを含む。
【0026】
カテーテル102は、心臓内の心臓活性化情報を検出するように、ならびに無線接続、有線接続、または有線および無線接続の両方の組み合わせを介して、検出された心臓活性化情報を信号処理デバイス114に伝送するように構成される。カテーテルは、患者の血管を通して心臓に挿入することができる、複数のプローブ/センサ104−112を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、センサ104−112のうちの1つ以上は、患者の心臓に挿入されなくてもよい。例えば、いくつかのセンサは、患者の表面を介して(例えば、心電図、ECG)または患者と接触することなく遠隔で(例えば、心磁図)、心臓活性化を検出し得る。別の実施例として、いくつかのセンサはまた、非電気的感知デバイス(例えば、心エコー図)の心臓運動から心臓活性化情報を導出し得る。種々の実施形態では、これらのセンサは、別々に、または異なる組み合わせで使用することができ、さらに、これらの別個または異なる組み合わせはまた、患者の心臓に挿入されたセンサと組み合わせて使用することもできる。
【0028】
考慮中の心臓内のセンサ場所に位置付けられる、センサ104−112は、センサ場所で心臓活性化情報を検出することができ、さらに、センサ場所で心臓を切除するようにエネルギーを送達することができる。センサ104−112はまた、心臓の重複領域(例えば、右心房122および左心房124)から心臓活性化情報を検出することもできることに留意されたい。
【0029】
信号処理デバイス114は、センサ場所でセンサ104−112によって検出される心臓活性化情報を心電図信号に処理する(例えば、明確化および増幅する)ように、および本明細書で開示される方法に従って分析のために処理された信号をコンピュータデバイス116に提供するように構成される。センサ104−112からの心臓活性化情報を処理する際、信号処理デバイス114は、分析のために処理された信号をコンピュータデバイス116に提供するように、心臓120の重複領域からの心臓活性化情報を差し引くことができる。いくつかの実施形態では、信号処理デバイス114は、単極信号を提供するように構成される一方で、他の実施形態では、信号処理デバイス114は、双極信号を提供することができる。
【0030】
心調律障害の発生源の場所を特定するために、および発生源を排除するために使用することができる規則性のマップ(表現)を生成することが可能であるように、コンピュータデバイス116は、信号処理デバイス114から検出/処理された信号を受信するように構成され、さらに、本明細書で開示される方法に従って信号を分析し、患者の心臓内の隣接領域中の規則性を決定するように構成される。
【0031】
分析データベース118は、コンピュータデバイス116による信号の分析を支援するように、またはそれに役立つように構成される。いくつかの実施形態では、分析データベース118は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、経時的に複数の隣接センサ場所での信号に関連付けられる規則性のマップ、または信号に基づいて生成される規則性のマップを記憶することができる。分析データベース118はまた、規則性のマップに関連付けられる中間データの記憶も提供することができる。
【0032】
図2は、考慮中の心臓120内のセンサ場所における複数のセンサ240を介して電気信号を検出するカテーテル例200を図示する。カテーテル200は、カテーテル102に類似するか、またはそれとは異なり得、センサ240は、図1のセンサ104−112に類似するか、またはそれらとは異なり得る。
【0033】
カテーテル200は、各々が複数のセンサ(またはプローブ)240を含むことができる、複数のスプライン(または経線)220を含む。シャフト軸245に沿って回転することによって、スプラインまたは経線220は、230で描写されるように、より広く空間的に離間または分離され得、あるいは235で描写されるように、より近く空間的に離間され得る。
【0034】
(スプライン220の空間的分離を介した)センサ240の異なる空間的配列は、考慮中の心臓120の領域を空間的に拡張するという効果を有することができる。考慮中の心臓120のセンサ場所に空間的配列で位置付けられるセンサ240は、センサ場所で心臓電気信号を検出することができ、さらに、センサ場所で心臓を切除するエネルギー(または心臓を治療する他の治療)を送達することができる。
【0035】
螺旋、放射状スポーク、または他の空間的配列等のセンサ240の種々の空間的配列を伴う、異なるカテーテルを使用することができる。
【0036】
図3Aは、心臓120内のセンサ場所に位置付けられたセンサからの心調律障害の単純な心電図信号の実施例を図示する。
【0037】
実施例として、心調律障害は、複雑な調律障害AF、VF、および多形VT、または別の心調律障害であり得る。この実施例では、信号は、概して、(例えば、心拍の)識別可能な活性化発現を示す。心拍は、典型的には、約100ミリ秒から250ミリ秒継続する、再分極を表す穏やかな低偏差傾斜の期間が後に続く、脱分極を表す急な変曲点および高傾斜を伴う活性化発現によって特徴付けられることができる。
【0038】
図3Aの単純な信号間の規則性または位相関係は、概して、容易に識別可能である。
【0039】
図3Bは、心臓120内のセンサ場所に位置付けられたセンサからの心調律障害の複雑な心電図信号の実施例を図示する。実施例として、心調律障害は、複雑な調律障害AF、VF、および多形VT、または別の心調律障害であり得る。
【0040】
図3Bの信号は、概して、(例えば、心拍の)識別可能な活性化発現を示さない。信号は、活性化発現(脱分極)の識別を非常に困難にする、心調律障害によって引き起こされる短い持続時間の複数の振れを含む。同様に、図3Bの複雑な信号間の規則性または位相関係は、容易に識別されない。
【0041】
図4は、図1で図示される心臓120内の隣接(または遠隔)センサ場所(例えば、空間位相ロック)での信号の周期的な反復活性(規則性)に基づいて、心調律障害の発生源を識別する方法例を図示する。
【0042】
図4のパネル(A)は、カテーテル102、200内の電極を介して等、図1の心臓120内の3つの隣接センサ場所(部位1、2、および3)から得られる3つの信号例(例えば、ECG信号)を図示する。複数の信号、例えば、64、128、または別の数の信号をカテーテル102、200から考慮できることに留意されたい。信号の各々は、電圧時系列である。3つの信号は、カテーテル102、200のセンサによって検出されるような信号に沿った様々な振幅(例えば、電圧)を有する。4つの時点例(A、B、C、およびD)が、以下で説明されるような方法例に従った信号の処理を説明する際に、明確かつ簡単にするために、信号で図示されている。しかしながら、本明細書で開示される方法例に従って処理することができる信号例の各々に沿って多数の時点があることに留意されたい。
【0043】
方法例によると、各信号の導関数が複数の時点で決定される。導関数は、ゼロ次導関数または高次の導関数(例えば、一次導関数または二次導関数)であり得る。例えば、第1の(分析)心臓信号の導関数が、複数の第1の時点(例えば、A、B、C、およびD)で決定される。別の実施例として、第2の(参照)心臓信号の導関数が、複数の第2の時点(例えば、A、B、C、およびD)で決定される。同様に、第3の心臓信号の導関数が、複数の第3の時点(例えば、A、B、C、およびD)で決定される。いくつかの実施形態では、異なる信号での複数の時点は同時期である。再度、信号は、本明細書で説明されるような方法例に従って処理することができる多数の時点を含むことに留意されたい。
【0044】
図4のパネル(B)を参照すると、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の複数の座標対を定義するように、複数の第1の時点での第1の(分析)心臓信号の導関数が、複数の第2の時点での第2の(参照)心臓信号の導関数に対して処理される。これらの座標対は、メモリに維持し、および/またはデータベース118に保存することができる。いくつかの実施形態では、複数のループを生成するように、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の処理に関連付けられる複数の座標対をプロットし、接続することができる。例えば、図4のパネル(B)の左部分に示されるような第1のループを生成するように、時点例A−Dに関連付けられる座標対をプロットし、接続することができる。
【0045】
図4のパネル(B)をさらに参照すると、パネル(B)の右部分に示されるような複数のループを生成するように、プロットおよび接続を複数の第1および第2の時点について繰り返すことができる。この実施例では、単一のループが、例証目的で時点A−Dに基づいてパネル(B)の左部分に示されている。単一のループが、心調律の単一の周期を表すことができる一方で、複数のループは、心調律の複数の周期を表すことができる。図示されるように、高度な規則性が、パネル(B)の右部分の中のループの間で観察される。同一の処理を、異なる第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号、すなわち、隣接する64または128の信号のうちの他の信号について繰り返すことができることに留意されたい。
【0046】
図4のパネル(C)では、第3の心臓信号に対する第2の心臓信号の複数の座標対を定義するように、複数の第1の時点での第2の(分析)心臓信号の導関数が、複数の第3の時点での第3の(参照)心臓信号の導関数に対して処理される。これらの座標対は、メモリに維持し、および/またはデータベース118に保存することができる。いくつかの実施形態では、複数のループを生成するように、第3の心臓信号に対する第2の心臓信号の処理に関連付けられる複数の座標対をプロットし、接続することができる。同一の処理を、異なる第3の(参照)心臓信号に対する第2の(分析)心臓信号、すなわち、隣接する64または128の信号のうちの他の信号について繰り返すことができることに留意されたい。
【0047】
さらに図4のパネル(C)を参照すると、パネル(C)の右部分に示されるような複数のループを生成するように、プロットおよび接続を複数の第2および第3の時点について繰り返すことができる。この実施例では、単一のループが、例証目的で時点A−Dに基づいてパネル(C)の左部分に示されている。単一のループが、心調律の単一の周期を表すことができる一方で、複数のループは、心調律の複数の周期を表すことができる。図示されるように、低度な規則性(高度な変動性)が、パネル(C)の右部分の中のループの間で観察される。
【0048】
図4のパネル(D)では、規則性の指数が、第2の(参照)心臓信号に対する第1の心臓信号(分析信号)に関して決定される。規則性の指数は、第1の心臓信号と第2の心臓信号との間の複数の座標対の近似合同(approximate congruence)(例えば、数学的合同)を示す。規則性の指数は、時間領域、周波数領域、および空間領域のうちの1つにおいて決定することができる。図4のパネル(D)の規則性の指数が閾値を超えるかどうかに関して、さらなる決定を行うことができる。いくつかの実施形態では、閾値は、第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号、すなわち、64または128のセンサ場所からの信号について繰り返される、隣接する8つの信号の全ての規則性の指数の上位パーセンタイル値(例えば、最高5位のパーセンタイル値)を示すように定義することができる。異なるパーセンタイル値、例えば、第10位のパーセンタイル値、または別のパーセンタイル数を使用することができる。
【0049】
周波数領域を参照すると、図4のパネル(D)に示されるように、周波数スペクトルを生成するように、複数の座標対(またはループ)に関連付けられる選択されたパラメータを使用して、周波数分析(例えば、フーリエ分析)を行うことができる。選択されたパラメータは、振幅(例えば、電圧)、角度、ベクトル、面積、および導関数であり得る。その後、少なくとも1つのピークが、パネル(D)の周波数スペクトル内で決定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数を含むことができる。他の実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数、およびまた、基本周波数の1つ以上の高調波も含むことができる。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数の高調波のうちの1つ以上のみを含むことができ、すなわち、基本周波数を除外することができる。
【0050】
周波数分析を行う際に、図4のパネル(D)の中の周波数スペクトル内の少なくとも1つのピークの面積の合計が計算される。少なくとも1つのピークの面積の合計を、約4Hzから約12Hzの間等の所定の周波数範囲内の周波数スペクトルの総面積で割ることによって、結果(すなわち、規則性の指数)が計算される。いくつかの実施形態では、他の周波数範囲を定義することができる。その後、結果(規則性の指数)が、第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号、すなわち、64または128のセンサ場所からの信号について繰り返される、隣接する8つの信号の全ての規則性の指数の上位パーセンタイル値(例えば、最高5位のパーセンタイル値)等の閾値を超えるかどうかを決定することができる。例えば、図4のパネル(D)に示されるような図4のパネル(B)のループの規則性の指数は、0.178であり、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の高度な規則性(または空間関係)を示す。周波数分析では、規則性の指数は、約0.0から約1.0の間の範囲内であろう。
【0051】
図4のパネル(E)では、規則性の指数が、第3の(参照)心臓信号に対する第2の(分析)心臓信号に関して決定される。規則性の指数は、第2の心臓信号と第3の心臓信号との間の複数の座標対の近似合同(例えば、数学的合同)を示す。以前に説明されたように、規則性の指数は、時間領域、周波数領域、および空間領域のうちの1つにおいて決定することができる。図4のパネル(E)の規則性の指数が閾値を超えるかどうかに関して、さらなる決定を行うことができる。いくつかの実施形態では、閾値は、第3の(参照)心臓信号に対する第2の(分析)心臓信号、すなわち、64または128のセンサ場所からの信号について繰り返される、隣接する8つの信号の全ての規則性の指数の上位パーセンタイル値(例えば、最高5位のパーセンタイル値)を示すように定義することができる。同様に、異なるパーセンタイル値、例えば、第10位のパーセンタイル値、または別のパーセンタイル数を使用することができる。
【0052】
また、図4のパネル(E)に示されるように、周波数スペクトルを生成するように、複数の座標対(またはループ)に関連付けられる選択されたパラメータを使用して、周波数分析(例えば、フーリエ分析)を行うことができる。選択されたパラメータは、振幅(例えば、電圧)、角度、ベクトル、面積、および導関数であり得る。その後、少なくとも1つのピークを、パネル(E)の周波数スペクトル内で決定することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数を含むことができる。他の実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数、およびまた、基本周波数の1つ以上の高調も含むことができる。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのピークは、基本周波数の高調波のうちの1つ以上のみを含むことができ、すなわち、基本周波数を除外することができる。
【0053】
周波数分析を行う際に、図4のパネル(E)の中の周波数スペクトル内の少なくとも1つのピークの面積の合計が計算される。少なくとも1つのピークの面積の合計を、約4Hzから約12Hzの間等の所定の周波数範囲内の周波数スペクトルの総面積で割ることによって、結果(すなわち、規則性の指数)が計算される。いくつかの実施形態では、他の周波数範囲を定義することができる。その後、結果(規則性の指数)が、閾値、すなわち、第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号、すなわち、64または128のセンサ場所からの信号について繰り返される、隣接する8つの信号の全ての規則性の指数の上位パーセンタイル値(例えば、最高5位のパーセンタイル値)を超えるかどうかを決定することができる。例えば、図4のパネル(E)に示されるような図4のパネル(C)のループの規則性の指数は、0.073であり、第3の心臓信号に対する第2の心臓信号の低度な規則性(または空間関係)を示す。
【0054】
信号の合同(規則性または位相関係)は、選択されたパラメータまたは特性(例えば、角度、ベクトル、振幅、面積、導関数、および/または他の特性)を使用し、閾値を超える、FFT(フーリエ変換)を使用して選択されたパラメータに関連付けられる規則性を定量化することによって、経時的に定量化することができる。図4のパネル(B)は、第1の心臓信号と第2の心臓信号との間の合同(規則性または位相関係)を示す。パネル(D)では、FFTの個別的なピークは、閾値を超える規則性を反映する。図4のパネル(C)は、第2の心臓信号と第3の心臓信号との間の合同(規則性または位相関係)の欠如を示す。図4のパネル(E)では、FFTは、閾値を超える個別的なピークを示さず、第2の心臓信号と第3の心臓信号との間の有意な変動性を反映する。
【0055】
図5は、心調律障害の発生源を識別するように周期的な反復活性(空間位相ロック)を決定する方法例500を図示する、フローチャートである。本方法は、動作502から始まる。動作504、506では、一対の心臓信号が、複数の心臓信号から選択される。具体的には、動作504では、第1の(分析)信号が複数の信号から選択され、動作506では、第2の(参照)信号が複数の信号から選択される。本明細書で説明されるように、64、128、または別の数の信号があり得る。信号は、図1の信号処理デバイス114を介して処理されるECG信号であり得る。
【0056】
動作508では、信号対の第2の心臓信号に関する第1の心臓信号の処理に関し、時点が選択される。動作510では、時点を使用して、関係特性が計算される。この特性は、データベース118の中等に記憶することができる。特性は、時点間の関係を識別することができる。例えば、各信号の導関数を選択された時点で決定することができる。具体的には、第2の心臓信号に対する第1の心臓信号の座標対を定義するように、第1の心臓信号の導関数を、選択された時点での第2の心臓信号の導関数に対して処理することができる。
【0057】
動作512では、全ての時点が処理されたかどうかに関して決定が行われる。全ての時点が処理されていないと決定される場合、本方法は、全ての時点が処理されるまで動作508−512を行い続ける。全ての時点が処理されたと決定される場合、方法500は、動作514で継続する。
【0058】
動作514では、関係特性を使用して、規則性の指数が、選択された信号間で計算される。動作516では、全ての所望の第2の(参照)信号が、選択された第1の(分析)信号に関して使用されたかどうかが決定される。全ての所望の第2の信号が使用されていないと決定される場合、方法500は、全ての所望の第2の信号が第1の選択された信号に関して使用されるまで、動作506−516で継続する。いくつかの実施形態では、図4のパネル例(B)に示されるように複数のループを生成するように、複数の時点での全ての第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号の処理に関連付けられる座標対をプロットし、接続することができる。
【0059】
全ての所望の第2の信号が処理されたと決定される場合、方法500は、全ての所望の第1の(分析)信号が使用されたかどうかが決定される、動作518で継続する。全ての所望の第1の信号が使用されていないと決定される場合、方法500は、全ての所望の第1の信号が使用されるまで動作504−516で継続する。
【0060】
動作520では、複数の第1および複数の第2の信号が使用されたかどうかが決定される。複数の信号が使用されなかったと決定される場合には、動作522で、規則性の指数を、選択された第1および第2の信号について返信することができる。しかしながら、複数の第1の信号および複数の第2の信号が使用されたと決定される場合には、動作524で、規則性の指数のグラフ(マップ)を、各対の第1および第2の信号について生成することができる(図7のマップを参照)。いくつかの実施形態では、規則性の指数をメモリに維持し、および/またはデータベース118に記憶することができる。閾値を超える1つ以上の規則性の指数を識別する(または示す)ように、決定を行うことができる。以前に説明されたように、閾値は、第2の(参照)心臓信号に対する第1の(分析)心臓信号、すなわち、隣接する64または128の信号の全ての規則性の指数の上位パーセンタイル値(例えば、最高5位のパーセンタイル値)を示すように定義することができる。同様に、異なるパーセンタイル値、例えば、第10位のパーセンタイル値、または別のパーセンタイル数を使用することができる。閾値を超えない信号の隣接する規則性の指数を包囲する、(例えば、最高5位のパーセンタイル値以内の)閾値を超える信号のこれらの規則性の指数は、心調律障害の発生源を示すために使用することができる。方法は、動作526で終了する。
【0061】
図6は、心調律障害の発生源(部位)の移動例および患者において心調律障害のそのような発生源を識別するための規則性の指数(例えば、空間位相ロック)の使用を図示する。具体的には、図6は、規則性の指数(例えば、空間位相ロック)によって識別される、人間の心房細動の発生源の切除によるAFの終了を示す。パネル(A)では、活性化時間の輪郭(例えば、等時線)を使用して、AF中の左心房の回転発生源が、従来的に可視化されている。パネル(B)は、パネル(A)の発生源の移動の軌跡を示す。パネル(C)では、規則性の指数(例えば、空間位相ロック)が、高い規則性(より暖色)の隣接領域に対し、それによって包囲されている、低い規則性(矢印によって示される寒色)の領域を図示する。この領域は、心調律障害の発生源であり、パネル(A)の回転発生源と正確に一致する。パネル(C)の患者特有の幾何学形状で示されるように、AFの発生源は、低い左心房の中にある。パネル(D)では、低い規則性の領域(すなわち、パネル(A)の回転発生源)の周囲の高い規則性の領域での切除後1分以内までの洞律動の終了とともに、電極信号がAF中に示されている(ECGリードaVF、および切除カテーテルにおける電極、冠状静脈洞)。パネル(E)では、洞律動の等時線マップが、参照された患者について示されている。この患者は、埋込心臓モニタ上でAFがないままである(スケールバー:1cm)。
【0062】
図7は、心調律障害の発生源を識別する規則性の指数のマップ例を図示する。
【0063】
処理される各信号の規則性の指数のマップは、サブマップのグリッドとして生成することができ、各サブマップは、異なる第1の(分析)信号、および第1の信号に対して処理される全ての第2の(参照)信号を使用して、規則性の指数を示す。
【0064】
その後、サブマップの組み合わせとしてマップを生成することができる。マップは、他の信号との近似空間関係で各信号を配列する。信号対の規則性の指数の値を表す色が、各センサ場所でピクセルに割り当てられる(例えば、より高い値は赤で、より低い値は青でコード化される)。次いで、各第1の(分析)信号のサブマップを、他の処理された第1の(分析)信号とともに、その第1の信号の空間的場所を表す、より大きいマップの中へ配置することができ、図7に示されるような8×8マップを作成する。
【0065】
図7に示されるように、低い規則性(寒色)の隣接領域を包囲する、高い規則性(暖色)の領域を決定することができる。黒い矢印は、高い規則性の領域上または内の成功した切除の部位を示す。同様に、心調律障害の発生源を排除する切除のために、高い規則性の領域によって包囲されている、低い規則性の領域も決定することができる。
【0066】
図8は、汎用コンピュータシステム800の例証的実施形態のブロック図である。コンピュータシステム800は、図1の信号処理デバイス114およびコンピュータデバイス116であり得る。コンピュータシステム800は、コンピュータシステム800に、本明細書で開示される方法またはコンピュータベースの機能のうちのいずれか1つ以上を果たさせるように実行することができる、一組の命令を含むことができる。コンピュータシステム800、またはその任意の部分は、独立型デバイスとして動作し得るか、または、例えば、ネットワークあるいは他の接続を使用して、他のコンピュータシステムまたは周辺デバイスに接続され得る。例えば、コンピュータシステム800は、信号処理デバイス114および分析データベース118に動作可能に接続され得る。
【0067】
図1−7において説明されるような動作では、治療が有効であり得る患者を識別するため、ならびに心臓の識別された発生源の少なくとも一部分への切除、電気エネルギー、機械エネルギー、薬剤、細胞、遺伝子、および生物剤のうちの1つ以上の送達を含むことができる、そのような治療の誘導に役立つために、本明細書で説明されるような心調律障害の発生源の識別を使用することができる。
【0068】
コンピュータシステム800はまた、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、携帯情報端末(PDA)、モバイルデバイス、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、通信デバイス、制御システム、ウェブアプライアンス、またはそのマシンによって講じられる措置を特定する一組の命令を(連続的または別様に)実行することが可能な任意の他のマシン等の種々のデバイスとして実装され、またはそれに組み込まれ得る。さらに、単一のコンピュータシステム800が図示されているが、「システム」という用語はまた、1つ以上のコンピュータ機能を果たすように、一組または複数組の命令を個別に、または合同で実行する、システムまたはサブシステムの任意の集合を含むように解釈されるものとする。
【0069】
図8で図示されるように、コンピュータシステム800は、プロセッサ802、例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、または両方を含み得る。また、コンピュータシステム800は、バス826を介して相互と通信することができる、メインメモリ804と、スタティックメモリ806とを含み得る。示されるように、コンピュータシステム800はさらに、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フラットパネルディスプレイ、ソリッドステートディスプレイ、または陰極線管(CRT)等のビデオ表示ユニット810を含み得る。加えて、コンピュータシステム800は、キーボード等の入力デバイス812と、マウス等のカーソル制御デバイス814とを含み得る。コンピュータシステム800はまた、ディスクドライブユニット816と、スピーカまたはリモートコントロール等の信号生成デバイス822と、ネットワークインターフェースデバイス808とを含むこともできる。
【0070】
図8で描写されるような特定の実施形態では、ディスクドライブユニット816は、1組以上の命令820、例えば、ソフトウェアを組み込むことができる、コンピュータ読み取り可能な媒体818を含み得る。さらに、命令820は、本明細書で説明されるような方法または論理のうちの1つ以上を具現化し得る。特定の実施形態では、命令820は、コンピュータシステム800による実行中に、完全に、または少なくとも部分的に、メインメモリ804、スタティックメモリ806内に、および/またはプロセッサ802内に存在し得る。メインメモリ804およびプロセッサ802もまた、コンピュータ読み取り可能な媒体を含み得る。
【0071】
代替実施形態では、本明細書で説明される方法のうちの1つ以上を実装するように、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウェアデバイス等の専用ハードウェア実装を構築することができる。種々の実施形態の装置およびシステムを含み得る、アプリケーションは、種々の電子機器およびコンピュータシステムを広く含むことができる。本明細書で説明される1つ以上の実施形態は、モジュールの間で、およびそれらを通して伝達することができる、関連制御およびデータ信号とともに、2つ以上の相互接続されたハードウェアモジュールまたはデバイスを使用して、または特定用途向け集積回路の複数部分として、機能を実装し得る。したがって、本システムは、ソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェア実装を包含する。
【0072】
種々の実施形態によると、本明細書で説明される方法は、プロセッサ読み取り可能な媒体で有形に具現化されるソフトウェアプログラムによって実装され得、かつプロセッサによって実行され得る。さらに、例示的な限定されていない実施形態では、実装は、分散処理、構成要素/オブジェクト分散処理、および並列処理を含むことができる。代替として、本明細書で説明されるような方法または機能性のうちの1つ以上を実装するように、仮想コンピュータシステム処理を構築することができる。
【0073】
また、ネットワーク824に接続されたデバイスが、ネットワーク824を経由して音声、ビデオ、またはデータを伝達することができるように、コンピュータ読み取り可能な媒体は、命令820を含むか、または伝搬信号に応答して命令820を受信して実行することも考慮される。
【0074】
さらに、命令820は、ネットワークインターフェースデバイス808を介して、ネットワーク824を経由して伝送または受信され得る。
【0075】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、単一の媒体であることが示されているが、「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、1組以上の命令を記憶する、集中または分散データベース、および/または関連キャッシュおよびサーバ等の単一の媒体または複数の媒体を含む。「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語はまた、プロセッサによる実行のための、またはコンピュータシステムに本明細書で開示される方法または動作のうちのいずれか1つ以上を行わせる、一組の命令を記憶、符号化、または搬送することが可能である任意の媒体を含むものとする。
【0076】
特定の非限定的な実施形態例では、コンピュータ読み取り可能な媒体は、1つ以上の不揮発性読み取り専用メモリを格納する、メモリカードまたは他のパッケージ等のソリッドステートメモリを含むことができる。さらに、コンピュータ読み取り可能な媒体は、ランダムアクセスメモリまたは他の揮発性書き換え可能メモリであり得る。加えて、コンピュータ読み取り可能な媒体は、伝送媒体を経由して伝達される信号等の搬送波信号を捕捉するように、ディスクまたはテープまたは他の記憶デバイス等の磁気光学または光学媒体を含むことができる。Eメールへのデジタルファイル添付、または他の内蔵型情報アーカイブあるいは一組のアーカイブが、有形記憶媒体と同等である配布媒体と見なされ得る。したがって、データまたは命令が記憶され得る、コンピュータ読み取り可能な媒体または配布媒体、ならびに他の同等物および後継媒体のうちのいずれか1つ以上が、本明細書に含まれる。
【0077】
種々の実施形態によると、本明細書で説明される方法は、コンピュータプロセッサ上で作動する1つ以上のソフトウェアプログラムとして実装され得る。本明細書で説明される方法を実装するように、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウェアデバイスを含むが、それらに限定されない、専用ハードウェア実装を同様に構築することができる。さらに、本明細書で説明される方法を実装するように、分散処理または構成要素/オブジェクト分散処理、並列処理、または仮想マシン処理を含むが、それらに限定されない、代替的なソフトウェア実装も構築することができる。
【0078】
また、開示される方法を実装するソフトウェアは、随意に、ディスクまたはテープ等の磁気媒体、ディスク等の磁気光学または光学媒体、あるいは1つ以上の読み取り専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、または他の書き換え可能(揮発性)メモリを格納するメモリカードまたは他のパッケージ等のソリッドステート媒体等の有形媒体上に記憶され得ることにも留意されたい。ソフトウェアはまた、コンピュータ命令を含有する信号を利用し得る。Eメールへのデジタルファイル添付、または他の内蔵型情報アーカイブあるいは一組のアーカイブが、有形記憶媒体と同等である配布媒体と見なされる。したがって、本明細書のソフトウェア実装が記憶され得る、本明細書で記載されるような有形記憶媒体または配布媒体、ならびに他の同等物および後継媒体が、本明細書に含まれる。
【0079】
したがって、心臓活性化情報を再構成するシステムおよび方法が説明されている。具体的実施形態例が説明されているが、本発明のより広い範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更がこれらの実施形態に行われてもよいことが明白となるであろう。したがって、本明細書および図面は、制限的よりむしろ例証的な意味で見なされるものである。その一部を形成する添付図面は、限定ではなく例証として、主題が実践され得る具体的実施形態を示す。例証される実施形態は、当業者が本明細書で開示される教示を実装することを可能にするように、十分詳細に説明される。本開示の範囲から逸脱することなく、構造および論理的置換および変更が行われ得るように、他の実施形態が利用され、そこから導出され得る。したがって、本発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されるものではなく、種々の実施形態の範囲は、添付の請求項が享有できる同等物の全範囲とともに、そのような請求項のみによって定義される。
【0080】
本発明の主題のそのような実施形態は、1つよりも多くが実際に開示される場合に、本願の範囲をいずれか1つの発明または発明の概念に自発的に限定するように意図することなく、便宜のためだけに、「発明」という用語によって、個別および/または集合的に本明細書で参照され得る。したがって、具体的実施形態が本明細書で例証および説明されているが、同一の目的を達成するように計算される任意の配列が、示される具体的実施形態に置換され得ることを理解されたい。本開示は、種々の実施形態のありとあらゆる適合または変形例を対象とすることを目的としている。上記の実施形態のうちのいずれか、および本明細書で具体的に説明されていない他の実施形態の組み合わせが、使用され得、本明細書で完全に考慮される。
【0081】
要約は、37 C.F.R.§1.72(b)に準拠するように提供され、読者が技術的開示の本質および要旨を迅速に確認することを可能にするであろう。これは、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないであろうという理解とともに思量される。
【0082】
実施形態の先述の説明では、本開示を簡素化する目的で、種々の特徴が単一の実施形態でともにグループ化される。本開示の方法は、請求された実施形態が各請求項で明示的に記載されるよりも多くの特徴を有することを反映するものとして、解釈されるものではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される実施形態の全てに満たない特徴にある。したがって、以下の請求項は、本明細書で発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態例として独立する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8