特許第6408968号(P6408968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408968
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】磁気情報記録媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20181004BHJP
   G11B 5/49 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G06K7/08 040
   G11B5/49 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-161803(P2015-161803)
(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2017-41052(P2017-41052A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】桑木 博史
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−121845(JP,A)
【文献】 特開2003−044787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00− 7/14
G11B 5/48− 5/53
G11B 25/00−25/10
G06K 13/00−13/30
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気データが記録される磁気情報記録媒体が搬送される媒体搬送路を備えるとともに、前記媒体搬送路で搬送される前記磁気情報記録媒体の厚さ方向の一方を第1方向とすると、前記第1方向側から前記媒体搬送路に臨むように配置される磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールと、前記媒体搬送路の前記第1方向側の搬送面が形成されるフレームとを備え、
前記フレームには、前記磁気ヘッドが配置される開口部と、前記磁気ヘッドモジュールが固定されるモジュール固定部とが形成され、
前記磁気ヘッドモジュールは、前記媒体搬送路で搬送される前記磁気情報記録媒体の搬送方向を回動の軸方向とする前記磁気ヘッドの回動が可能となるように、かつ、前記磁気情報記録媒体の厚さ方向へ前記磁気ヘッドが移動可能となるように前記磁気ヘッドを保持するヘッド保持部を備え、前記第1方向側から前記モジュール固定部に固定されていることを特徴とする磁気情報記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記ヘッド保持部は、前記モジュール固定部に固定される被固定部材を備え、
前記被固定部材には、前記磁気情報記録媒体の搬送方向において前記磁気ヘッドの両側に配置されるガイド部が形成され、
前記ガイド部は、前記媒体搬送路に臨むように前記開口部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の磁気情報記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記磁気ヘッドモジュールは、前記第1方向側から前記モジュール固定部に係合するネジによって前記モジュール固定部に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の磁気情報記録媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体に記録される磁気データの読取りや磁気情報記録媒体への磁気データの記録を行う磁気情報記録媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気情報記録媒体に記録される磁気データの読取りや磁気情報記録媒体への磁気データの記録を行う磁気情報記録媒体処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気情報記録媒体処理装置には、磁気情報記録媒体が搬送される媒体搬送路が形成されている。また、この磁気情報記録媒体処理装置は、磁気ヘッド組を備えている。磁気ヘッド組は、磁気ヘッドと、磁気ヘッドを保持するヘッドブラケットと、ヘッドブラケットに形成されるピン孔に挿通されるガイドピンと、ガイドピンが固定される枠体とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の磁気情報記録媒体処理装置では、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の搬送方向と磁気情報記録媒体の厚さ方向とに直交する方向を磁気情報記録媒体の幅方向とすると、磁気情報記録媒体の幅方向における枠体の側面に、磁気ヘッド組を装置フレームに固定するためのネジ孔が形成されている。磁気ヘッド組は、磁気情報記録媒体の幅方向の一方から枠体のネジ孔に係合するネジによって装置フレームに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−66023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の磁気情報記録媒体処理装置では、磁気情報記録媒体処理装置を制御するための電子部品等が実装された回路基板が、磁気情報記録媒体の幅方向における装置フレームの側面に沿って配置されて取り付けられることが多い。そのため、特許文献1に記載の磁気情報記録媒体処理装置では、回路基板が取り付けられた状態でもドライバー等の工具を用いて装置フレームに磁気ヘッド組をネジ止めすることができるように、工具を通すための作業用の孔が回路基板に形成される場合がある。
【0006】
この場合には、回路基板が取り付けられた状態でも、回路基板に形成される作業用の孔を利用して、装置フレームに対する磁気ヘッド組の着脱を行うことが可能になるため、磁気ヘッド組を容易に交換することが可能になる。しかしながら、回路基板に作業用の孔が形成されると、作業用の孔の分だけ回路基板の実装面積が減るため、実装面積の減少分、回路基板を大きくしなければならない場合が生じる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の搬送方向と磁気情報記録媒体の厚さ方向とに直交する磁気情報記録媒体の幅方向におけるフレームの側面に沿って配置される回路基板が取り付けられた状態でも、また、回路基板に作業用の孔が形成されていなくても、磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールを容易に交換することが可能な磁気情報記録媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の磁気情報記録媒体処理装置は、磁気データが記録される磁気情報記録媒体が搬送される媒体搬送路を備えるとともに、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の厚さ方向の一方を第1方向とすると、第1方向側から媒体搬送路に臨むように配置される磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールと、媒体搬送路の第1方向側の搬送面が形成されるフレームとを備え、フレームには、磁気ヘッドが配置される開口部と、磁気ヘッドモジュールが固定されるモジュール固定部とが形成され、磁気ヘッドモジュールは、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の搬送方向を回動の軸方向とする磁気ヘッドの回動が可能となるように、かつ、磁気情報記録媒体の厚さ方向へ磁気ヘッドが移動可能となるように磁気ヘッドを保持するヘッド保持部を備え、第1方向側からモジュール固定部に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の磁気情報記録媒体処理装置は、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の厚さ方向の一方を第1方向とすると、第1方向側から媒体搬送路に臨むように配置される磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールと、媒体搬送路の第1方向側の搬送面が形成されるフレームとを備えており、磁気ヘッドモジュールは、フレームのモジュール固定部に第1方向側から固定されている。そのため、本発明では、第1方向側からフレームに対して磁気ヘッドモジュールを着脱することが可能になる。したがって、本発明では、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の幅方向におけるフレームの側面に沿って配置される回路基板が取り付けられた状態でも、また、回路基板に作業用の孔が形成されていなくても、磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールを容易に交換することが可能になる。
【0010】
本発明において、ヘッド保持部は、モジュール固定部に固定される被固定部材を備え、被固定部材には、磁気情報記録媒体の搬送方向において磁気ヘッドの両側に配置されるガイド部が形成され、ガイド部は、媒体搬送路に臨むように開口部に配置されていることが好ましい。このように構成すると、媒体搬送路に向かって突出する磁気ヘッドの、ガイド部からの突出量を精度良く設定することが可能になる。したがって、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体に対する磁気ヘッドの接触圧を精度良く設定することが可能になり、その結果、磁気情報記録媒体に記録された磁気データの読取りや磁気情報記録媒体への磁気データの記録を適切に行うことが可能になる。
【0011】
本発明において、磁気ヘッドモジュールは、たとえば、第1方向側からモジュール固定部に係合するネジによってモジュール固定部に固定されている。この場合には、第1方向側からネジを着脱することで、第1方向側からフレームに対して磁気ヘッドモジュールを着脱することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明では、媒体搬送路で搬送される磁気情報記録媒体の搬送方向と磁気情報記録媒体の厚さ方向とに直交する磁気情報記録媒体の幅方向におけるフレームの側面に沿って配置される回路基板が取り付けられた状態でも、また、回路基板に作業用の孔が形成されていなくても、磁気ヘッドを有する磁気ヘッドモジュールを容易に交換することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態にかかる磁気情報記録媒体処理装置の概略構成を説明するための側面図である。
図2図1に示すカードの平面図である。
図3図1に示す磁気情報記録媒体処理装置を上面側から示す斜視図である。
図4図1に示す磁気情報記録媒体処理装置を下面側から示す斜視図である。
図5図4に示す磁気ヘッドモジュールを下フレームから取り外した状態の分解斜視図である。
図6図5に示す下フレームの開口部に磁気ヘッドおよびガイド部が配置された状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる磁気情報記録媒体処理装置1の概略構成を説明するための側面図である。図2は、図1に示すカード2の平面図である。図3は、図1に示す磁気情報記録媒体処理装置1を上面側から示す斜視図である。図4は、図1に示す磁気情報記録媒体処理装置1を下面側から示す斜視図である。
【0016】
本形態の磁気情報記録媒体処理装置1は、磁気データが記録される磁気情報記録媒体としてのカード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録を行うための装置である。したがって、以下では、磁気情報記録媒体処理装置1を「カードリーダ1」とする。このカードリーダ1は、ATM等の所定の上位装置に搭載されて使用される。また、カードリーダ1は、カード2を搬送するカード搬送機構3を備えるカード搬送式のカードリーダであり、カードリーダ1の内部には、カード2が搬送される媒体搬送路としてのカード搬送路4が形成されている。なお、図1では、カード搬送機構3の図示を省略している。
【0017】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。図2に示すように、カード2の裏面には、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。また、カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2のおもて面には、ICチップの外部接続端子2bが形成されている。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0018】
図1に示すように、カード搬送路4で搬送されるカード2は、X方向へ移動する。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。X方向に直交するZ方向は、カード搬送路4で搬送されるカード2の厚さ方向であり、Z方向とX方向とに直交するY方向は、カード搬送路4で搬送されるカード2の幅方向である。本形態のカードリーダ1は、カード2の厚さ方向と上下方向(鉛直方向)とが一致するように配置されている。
【0019】
以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、X方向の一方であるX1方向を「手前」方向とし、その反対方向であるX2方向を「奥」方向とし、Z方向の一方であるZ1方向を「上」方向とし、その反対方向であるZ2方向を「下」方向とする。本形態の下方向(Z2方向)は、カード2の厚さ方向の一方である第1方向となっている。
【0020】
カードリーダ1は、磁気ストライプ2aに記録された磁気データの読取りや磁気ストライプ2aへの磁気データの記録を行う磁気ヘッド5を有する磁気ヘッドモジュール6(図4参照)と、外部接続端子2bに接触してカード2と通信を行うためのIC接点バネ7を有するIC接点モジュール8(図3参照)と、カード搬送路4で搬送されるカード2を検知するための光学式センサ9(図1参照)と、カードリーダ1を制御するための電子部品等が実装される回路基板10(図4参照)とを備えている。光学式センサ9は、上下方向でカード搬送路4を挟むように対向配置される発光素子12および受光素子13を備えている。
【0021】
また、カードリーダ1は、発光素子12が実装される回路基板14と、受光素子13が実装される回路基板15とを備えている。回路基板14、15は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。さらに、カードリーダ1は、カード搬送機構3、磁気ヘッドモジュール6、IC接点モジュール8および回路基板14、15が取り付けられる本体フレーム16を備えている。
【0022】
本体フレーム16は、本体フレーム16の下側部分を構成する下フレーム17と、本体フレーム16の上側部分を構成する上フレーム18とから構成されている。すなわち、下フレーム17と上フレーム18とが互いに固定されることで、本体フレーム16が構成されている。下フレーム17および上フレーム18は、樹脂材料で形成されている。すなわち、本形態の本体フレーム16は、樹脂材料のみによって形成されている。下フレーム17と上フレーム18との間には、カード搬送路4が形成されている。下フレーム17には、カード搬送路4の下側の搬送面17aが形成され、上フレーム18には、カード搬送路4の上側の搬送面18aが形成されている。
【0023】
カード搬送機構3は、カード2の上面に当接してカード2を搬送する搬送ローラ23(図3参照)と、搬送ローラ23を駆動するモータ21と、モータ21の動力を搬送ローラ23に伝達する動力伝達機構22と、搬送ローラ23に対向配置されるパッドローラ20(図4参照)とを備えている。動力伝達機構22は、複数のプーリやベルト等によって構成されている。
【0024】
回路基板10は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。この回路基板10は、本体フレーム16に固定されている。また、回路基板10は、回路基板10の厚さ方向と左右方向とが一致するように、左右方向における本体フレーム16の側面に沿って配置されている。本形態では、図4に示すように、左右方向における本体フレーム16の一方の側面に沿って回路基板10が配置され、左右方向における本体フレーム16の他方の側面に動力伝達機構22を構成するプーリやベルト等が配置されている。なお、図3では、回路基板10の図示を省略している。
【0025】
IC接点モジュール8は、IC接点バネ7を保持するIC接点ブロック38(図1参照)と、IC接点バネ7が電気的に接続される平板状の回路基板39(図3参照)とを備えている。このIC接点モジュール8は、IC接点バネ7が上側からカード搬送路4に臨むように配置されている。IC接点モジュール8は、IC接点バネ7がカード搬送路4から退避する退避位置とIC接点バネ7がカード2の外部接続端子2bに接触可能な接触位置との間でIC接点モジュール8を移動させるソレノイド40に連結されている(図3参照)。具体的には、IC接点モジュール8は、図示を省略するレバー部材を介して、ソレノイド40に連結されている。
【0026】
発光素子12は、カード搬送路4の下側に配置されている。この発光素子12は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板である回路基板14の上面に実装されている。受光素子13は、カード搬送路4の上側に配置されている。また、受光素子13は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板である回路基板15の下面に実装されている。
【0027】
(磁気ヘッドモジュールおよびその周辺部分の構成)
図5は、図4に示す磁気ヘッドモジュール6を下フレーム17から取り外した状態の分解斜視図である。図6は、図5に示す下フレーム17の開口部17fに磁気ヘッド5およびガイド部29dが配置された状態の断面図である。
【0028】
磁気ヘッド5は、下側からカード搬送路4に臨むように配置されている。具体的には、磁気ヘッド5は、磁気ヘッド5の磁気ギャップがカード搬送路4に下側から臨むように配置されている。磁気ヘッドモジュール6は、図4に示すように、左右方向において、回路基板10が配置される側に配置されている。この磁気ヘッドモジュール6は、前後方向を回動の軸方向とする磁気ヘッド5の回動が可能となるように、かつ、上下方向へ磁気ヘッド5が移動可能となるように磁気ヘッド5を保持するヘッド保持部25を備えている。ヘッド保持部25は、磁気ヘッド5が固定される板バネ26と、板バネ26に形成される挿通孔および挿通溝のそれぞれに挿通される2本の支持ピン27、28と、支持ピン27、28が固定されるとともに下フレーム17に固定される被固定部材29と、板バネ26を上側へ付勢する圧縮コイルバネ30とを備えている。
【0029】
被固定部材29は、樹脂材料で形成されている。また、被固定部材29は、前後方向に細長い略長方形の平板状に形成される上面部29aと、上面部29aの外周端から下側に向かって伸びる側壁部29bとから構成されている。上面部29aは、上面部29aの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。上面部29aには、磁気ヘッド5の上端側部分が配置される切欠き部29cが形成されている。前後方向における切欠き部29cの両側には、ガイド部29dが形成されている。すなわち、上面部29aには、前後方向において磁気ヘッド5の両側に配置されるガイド部29dが形成されている。
【0030】
上面部29aの、ガイド部29d以外の部分の上面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。ガイド部29dの上面は、上面部29aの、ガイド部29d以外の部分の上面よりも上側に配置されている。また、図6に示すように、ガイド部29dの上面は、上下方向に直交する直交面29eと、直交面29eに対して傾斜する傾斜面29fとから構成されている。直交面29eは、前後方向における切欠き部29cの両側に配置されている。切欠き部29cの手前側に配置されるガイド部29dでは、傾斜面29fは、直交面29eの手前端に繋がるように形成されており、この傾斜面29fは、手前側に向かうにしたがって下がるように傾斜している。切欠き部29cの奥側に配置されるガイド部29dでは、傾斜面29fは、直交面29eの奥端に繋がるように形成されており、この傾斜面29fは、奥側に向かうにしたがって下がるように傾斜している。
【0031】
支持ピン27、28は、支持ピン27、28の軸方向と上下方向とが一致するように、かつ、上面部29aから下側へ突出するように上面部29aに固定されている。すなわち、支持ピン27、28の上端側部分は、上面部29aに固定されている。また、支持ピン27は、上面部29aの奥端側に固定されており、磁気ヘッド5よりも奥側に配置されている。支持ピン28は、上面部29aの手前端側に固定されており、磁気ヘッド5よりも手前側に配置されている。支持ピン27と支持ピン28とは、左右方向において同じ位置に配置されている。支持ピン27、28は、支持ピン27、28の上端側部分の外径が支持ピン27、28の下端側部分の外径よりも大きくなった細長い段付きの円柱状に形成されている。
【0032】
板バネ26は、前後方向に細長い略長方形状に形成されており、板バネ26の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。板バネ26の奥端側部分には、支持ピン27が挿通される丸孔状の挿通孔が形成されている。この挿通孔の内径は、支持ピン27の下端側部分の外径とほぼ等しくなっている。板バネ26の手前端側部分には、支持ピン28が挿通される挿通溝が形成されている。この挿通溝は、前後方向に細長いスリット状に形成されている。また、この挿通溝の左右方向の幅は、支持ピン28の下端側部分の外径とほぼ等しくなっている。板バネ26は、上面部29aの下側に配置されている。板バネ26を上面部29aの下側に配置する際には、支持ピン27が上側から板バネ26の挿通孔に挿通され、支持ピン28が上側から板バネ26の挿通溝に挿通される。
【0033】
板バネ26には、磁気ヘッド5が固定される貫通孔が形成されている。この貫通孔は、板バネ26の手前端側であって、かつ、板バネ26の挿通溝よりも奥側に形成されている。磁気ヘッド5は、磁気ギャップが形成される磁気ヘッド5の上端側が板バネ26よりも上側へ突出するように板バネ26に固定されている。
【0034】
圧縮コイルバネ30の内周側には、被固定部材29の上面部29aに形成される突起部(図示省略)が挿入されている。この突起部は、上面部29aの下面の、前後方向の略中心から下側へ突出する円柱状に形成されており、板バネ26には、この突起部が挿通される貫通孔(図示省略)が形成されている。この突起部の下端面には、座金32が当接しており、この座金32はネジ33によって固定されている。圧縮コイルバネ30の下端は、座金32の上面に当接し、圧縮コイルバネ30の上端は、座金34を介して板バネ26の下面に当接している。
【0035】
下フレーム17は、搬送面17aが形成される平板状の搬送ガイド部17dを備えている。搬送ガイド部17dは、搬送ガイド部17dの厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。搬送ガイド部17dには、磁気ヘッド5が配置される開口部17fが形成されている。開口部17fは、上下方向で搬送ガイド部17dを貫通するように形成されている。本形態の下フレーム17は、カード搬送路4の下側の搬送面17aが形成されるフレームである。
【0036】
搬送ガイド部17dの、前後方向における開口部17fの両側部分は、磁気ヘッドモジュール6の被固定部材29が固定されるモジュール固定部17gとなっている。モジュール固定部17gの下面は、被固定部材29が下側から当接する当接面17hとなっている。当接面17hは、上下方向に直交する平面状に形成されている。また、モジュール固定部17gの下面側には、磁気ヘッドモジュール6を固定するためのネジ35が係合するメネジ17jが形成されている。メネジ17jは、開口部17fの前後方向の両側の2箇所に形成されている。
【0037】
磁気ヘッドモジュール6は、下側からモジュール固定部17gに固定されている。具体的には、モジュール固定部17gのメネジ17jに下側から係合する2本のネジ35によって磁気ヘッドモジュール6がモジュール固定部17gに固定されている。磁気ヘッドモジュール6がモジュール固定部17gに固定された状態のカードリーダ1を下側から見ると、図4に示すように、2本のネジ35の全体が見える。また、磁気ヘッドモジュール6がモジュール固定部17gに固定された状態では、上面部29aの、ガイド部29d以外の部分の上面が当接面17hに当接している。また、磁気ヘッド5およびガイド部29dは、カード搬送路4に臨むように開口部17fに配置されている。図6に示すように、ガイド部29dの直交面29eは、搬送面17aよりも上側に配置されている。また、磁気ヘッド5の上端は、直交面29eよりも上側に配置されている。
【0038】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、下側からカード搬送路4に臨むように配置される磁気ヘッドモジュール6が、モジュール固定部17gのメネジ17jに下側から係合する2本のネジ35によって、下側からモジュール固定部17gに固定されており、カードリーダ1を下側から見ると2本のネジ35の全体が見える。そのため、本形態では、下側からネジ35を着脱して、下側から下フレーム17に対して磁気ヘッドモジュール6を着脱することが可能になる。したがって、本形態では、左右方向における本体フレーム16の一方の側面に沿って回路基板10が取り付けられた状態でも、また、回路基板10に作業用の孔が形成されていなくても、磁気ヘッドモジュール6を容易に交換することが可能になる。
【0039】
本形態では、磁気ヘッドモジュール6を構成する被固定部材29に、前後方向において磁気ヘッド5の両側に配置されるガイド部29dが形成されており、ガイド部29dは、磁気ヘッド5と一緒にカード搬送路4に臨むように、下フレーム17の開口部17fに配置されている。そのため、本形態では、カード搬送路4に向かって突出する磁気ヘッド5の、ガイド部29dからの突出量を精度良く設定することが可能になる。また、本形態では、ガイド部29dの直交面29eが搬送面17aよりも上側に配置されているため、カード搬送路4で搬送されるカード2に対する磁気ヘッド5の接触圧を精度良く設定することが可能になる。したがって、本形態では、カード2に記録された磁気データの読取りやカード2への磁気データの記録を適切に行うことが可能になる。
【0040】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0041】
上述した形態では、板バネ26は、圧縮コイルバネ30によって上側に付勢されているが、板バネ26は、板バネ等の他のバネ部材によって上側に付勢されても良い。また、上述した形態では、下フレーム17の開口部17fの中にガイド部29dが配置されているが、開口部17fの中にガイド部29dが配置されていなくても良い。この場合には、被固定部材29にガイド部29dが形成されていなくても良い。
【0042】
上述した形態では、カード2の厚さ方向と上下方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されているが、たとえば、カード2の厚さ方向と水平方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されても良い。また、上述した形態では、磁気情報記録媒体はカード2であるが、磁気情報記録媒体は通帳等のカード2以外の媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 カードリーダ(磁気情報記録媒体処理装置)
2 カード(磁気情報記録媒体)
4 カード搬送路(媒体搬送路)
5 磁気ヘッド
6 磁気ヘッドモジュール
17 下フレーム(フレーム)
17a 搬送面
17f 開口部
17g モジュール固定部
25 ヘッド保持部
29 被固定部材
29d ガイド部
35 ネジ
X 磁気情報記録媒体の搬送方向
Z 磁気情報記録媒体の厚さ方向
Z2 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6