特許第6408980号(P6408980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6408980電気機械デバイスおよび動き検出器を備える装置ならびに装置を動作させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408980
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】電気機械デバイスおよび動き検出器を備える装置ならびに装置を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20181004BHJP
   H02P 8/12 20060101ALI20181004BHJP
   H02P 8/16 20060101ALI20181004BHJP
   H02P 8/34 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61M5/145 500
   H02P8/12
   H02P8/16
   H02P8/34
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-507517(P2015-507517)
(86)(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公表番号】特表2015-514527(P2015-514527A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013058498
(87)【国際公開番号】WO2013160351
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年4月11日
(31)【優先権主張番号】12165544.3
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ネッセル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ムーア
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−028894(JP,A)
【文献】 特開2011−058941(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/067187(WO,A1)
【文献】 特開平09−009666(JP,A)
【文献】 特開2001−078477(JP,A)
【文献】 特開平11−341854(JP,A)
【文献】 特開2011−139582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
H02P 8/12
H02P 8/16
H02P 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械デバイス(4、70、86)と、
制御信号(8)により、前記電気機械デバイス(4、70、86)を制御するように構成された制御ユニット(2)と、
動き検出器信号(12、16)を提供するように構成された動き検出器(6、6a、6b)とを備え、
ここで、前記動き検出器(6、6a、6b)は、前記電気機械デバイス(4、70、86)の前記機械的運動が決定されるように構成される、装置であって、
前記制御ユニット(2)が、前記制御信号(8)と前記動き検出器信号(12、16)との間の位相差に応じて制御信号の電流を変えることができるように構成されており、前記装置が、経時的に取得された制御信号(8)と動き検出器信号(12、16)の間の複数の位相差を前記制御信号の電流を変える前に平均するよう構成されたユニットをさらに備えること
を特徴とし、前記電気機械デバイス(4、70、86)は、ステッピングモータである、前記装置。
【請求項2】
前記動き検出器(6、6a、6b)は、少なくとも遮断器(32)と、放出源(34)と、検出器(28、30)とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御信号(8)は、前記電気機械デバイス(4、70、86)の印加トルクが、前記電気機械デバイス(4、70、86)に対する抵抗トルクを常に超えるように調整される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの流体を送達するための医用デバイス、特に可搬型の医用デバイスであり、特に薬物送達デバイスである、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
第1の流体を含む少なくとも第1の貯蔵器(58)と、
少なくとも前記第1の貯蔵器に連結された流体チャネルとをさらに備え、
ここで、前記電気機械デバイス(4、70、86)は、少なくとも前記第1の貯蔵器(
58)の前記第1の流体に対して圧力を加えて、前記流体を、前記流体チャネルを通して導くことができるように構成される、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
動力伝達装置(50)をさらに備え、ここで、前記電気機械デバイス(4、70、86)は、前記動力伝達装置(50)を駆動して前記第1の流体に圧力を加える、請求項1〜のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
求項1〜のいずれかに記載の装置の作動方法であって、
制御ユニットが、電気機械デバイスを動作させる制御信号を生成する工程と、
制御ユニットが、前記電気機械デバイスの機械的運動から、動き検出器信号を生成する工程と、
制御ユニットが、制御信号と動き検出器信号の間の複数の位相差を平均化する工程と、
制御ユニットが、前記制御信号と前記動き検出器信号の間の前記位相差に応じて前記制御信号の電流を変える工程と
を含、前記方法。
【請求項8】
記印加トルクが前記電気機械デバイスの前記抵抗トルクを常に超えるように、制御ユニットが前記制御信号を調整することにより、前記電気機械デバイスの失速が阻止されるものである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記位相差が閾値を超えた場合、前記制御信号の前記電流が増加する、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械デバイスと、制御信号により電気機械デバイスを制御するように構成された制御ユニットと、動き検出器信号を提供するように構成された動き検出器とを備える装置に関し、前記動き検出器が、前記電気機械デバイスの前記機械的運動を決定するように構成される。本発明はまた、電気機械デバイスを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術水準からは、電気機械デバイスを使用して、たとえば、電気エネルギーにより機械的運動を提供することが知られている。このような機械的運動を、動き検出器を用いて監視することも知られている。こうすることにより、電気機械デバイスの特定の運動が実際に生じているという確実性を高め、したがって、このような電気機械デバイスが使用されるデバイスの検知されないエラーの可能性を低減することができる。本明細書では、エラーとは、たとえば、制御信号が送られたにもかかわらず、電気機械デバイスが動作していないこと、またはその逆の場合を意味するものとする。そうではあるが、その場合、エラーが生じた後に検出されるだけであることは不利である。
【0003】
何らかの機械的な駆動システムを用いて、いくつかの異なる機能を達成したいと望むことがある。1つの一般的な機能目的は「位置制御」であり、その場合、入力された位置要求があり、その位置要求に出力が従う。他の機能目的は「力制御」とすることができ、その場合、入力された力(またはトルク)要求があり、駆動システムは、この力(またはトルク)を出力に対して正確に適用する必要がある。これらのいずれの場合であっても、位置要求または力要求に従うためのデバイスの能力は、駆動システムの出力される力(またはトルク)の能力により制限されることになる。明らかに、出力に大きな負荷が存在する場合、モータが、大きな(過大な)負荷を駆動できない可能性があり、出力は、位置要求または力要求に従わないことになる。
【0004】
電気機械デバイスが制御信号に従わないことになる理由は数多くある。動作不良の可能性もあるが、電気機械デバイスを期待通り動作させるには、機械的なデバイスに対する負荷が大きすぎる可能性もある。特に後者の問題を克服するために、たとえば、このようなシステムに過剰な機能を持たせて、あらゆる場合において、負荷を駆動するのに十分強力な電気機械デバイスを提供することが可能である。しかし、これは、非常に高いコストが生じ、エネルギーおよび空間を非常に多く消費する結果となりうる。
【0005】
特にステッピングモータの場合、いわゆるスリップ(slipping)および失速(stalling)の問題がある。ステッピングモータ(およびブラシ付きDCモータ)の場合、モータが駆動している負荷の大きさを示す容易に測定されるモータパラメータがない。モータ位相により示される電流は、モータが駆動している負荷とは無関係に、ほぼ一定である。加えられる位相電圧、モータ位相電流、さらにモータ速度に依存しうるモータの逆起電力の間には、複雑な相互作用がある。モータ位相電流および位相電圧はまた、不連続(たとえば、ステップごとに変化する)であり、正確に測定するのが困難である。
【0006】
ステッピングモータがあるステップをスリップした場合、そのステップに対する制御信号が送られたとしてもそのステップを実施することはない。極端な場合には、ステッピングモータは失速する。その場合、負荷が高すぎて、ステッピングモータは、単に1つまたはそれ以上のステップをスリップするだけではなく、全く動かなくなる。ステッピングモータ、さらにブラシレスDCモータは、低電流(または電圧)で駆動できるが、その場合には低トルクで失速し、あるいは高い(または最大)電流(または電圧)で駆動できるが、その場合には高トルク(またはさらに最大のトルク)で失速する。明らかに、電流(または電圧)が高い場合、失速が生ずる可能性は低いが、高電流(または電圧)は、より多くの電力を使用し、モータのさらなる温度上昇も生ずる。いくつかの場合では、高電流(または電圧)は、モータを過度に加熱させるため、長時間維持することはできない。
【0007】
いくつかの実施形態では、モータは、たとえば、4、8、または12ステップなど、4グループのステップでスリップする可能性がある。
【0008】
しかし、多くの用途で、特に医用デバイスの分野においては、非常に低い故障率を有し、たとえば、スリップおよび失速を阻止することによってエラーおよび動作不良の影響を受けにくく、同時に、電力消費を可能な限り低く維持するデバイスを提供することが非常に重要である。可搬型電源が消耗されて再充電が必要になる前においては、限られた量のエネルギーがその電源により提供されうるに過ぎないので、これは、可搬型デバイスにとって適切なことでありうる。
【0009】
1つまたはそれ以上の貯蔵部から、1つまたはそれ以上の薬作用物質を送達できる医用デバイスの場合は特にそうである。このような薬作用物質は、第1の薬剤を、場合により、第2の薬剤を含むことができる。医用デバイスは、自動的に、またはユーザにより手動で薬作用物質を送達するための用量設定機構を含む。
【0010】
医用デバイスは、たとえば、特にペン型注射器のような手持ち式注射器などの注射器とすることができ、それは、1つまたはそれ以上の多数回投与カートリッジから、薬用製品を注射することにより投与する種類の注射器である。特に本発明は、ユーザが用量を設定できるような注射器に関する。
【0011】
薬作用物質は、1つ、2つ、またはそれ以上の複数の用量貯蔵器、容器、またはパッケージに含むことができ、それぞれが、独立した(単一の薬物化合物)、または事前に混合した(同時に処方された複数の薬物化合物)薬作用物質を含む。
【0012】
いくつかの病状は、1つまたはそれ以上の異なる薬剤を用いて治療することを必要とする。いくつかの薬物化合物は、最適な治療用量を送達するために、互いに特有の関係で送達する必要がある。本特許出願は、これだけに限らないが、安定性、治療効果が損なわれること、および毒性などの理由から、併用治療が望ましく、単一の調合物では可能ではない場合に特に有益である。
【0013】
たとえば、いくつかの場合では、GLP−1またはGLP−1類似体などのグルカゴン様ペプチド−1(第2の薬物または二次(secondary)薬剤と呼ぶこともできる)と共に、長時間作用型インスリン(第1のまたは一次(primary)薬剤と呼ぶこともできる)を用いて糖尿病を治療することが有益でありうる。
【0014】
したがって、ユーザが、薬物送達デバイスの複雑な物理的操作を行うことなく実施するのに簡単な、単一の注射または送達工程で2つ以上の薬剤を送達するためのデバイスを提供する必要がある。提案の薬物送達デバイスは、2つ以上の活性薬作用物質のために、別々の収納容器またはカートリッジ保持器を提供する。これらの活性薬作用物質は、次いで、単一の送達手順中に組み合わされ、かつ/または患者に送達される。これらの活性薬作用物質は、組み合わされた用量で一緒に投与できるが、代替的に、これらの活性作用物質を順次、1つずつ組み合わせることもできる。
【0015】
薬物送達デバイスはまた、薬剤の量を変える機会を与えることができる。たとえば、1つの流体量を、注射デバイスの特性を変えること(たとえば、ユーザ可変の用量を設定する、またはデバイスの「固定された」用量を変えるなど)により変更することができる。第2の薬剤量は、様々な二次薬物を含むパッケージを製造することにより変えることができ、変更したものはそれぞれ、第2の活性作用物質の異なる容量および/または濃度を含んでいる。
【0016】
薬物送達デバイスは、単一の投薬インターフェースを有することができる。このインターフェースは、少なくとも1つの薬作用物質を含む薬剤の一次貯蔵器および二次貯蔵器と流体連通するように構成することができる。薬物投薬インターフェースは、2つ以上の薬剤がシステムを出て、患者に送達されうるようにする出口の一種とすることができる。
【0017】
別々の貯蔵器からの化合物を組み合わせたものは、両頭針組立体を介して体に送達することができる。こうすることにより、ユーザ側から見ると、標準の針組立体を使用する現在利用可能な注射デバイスとほぼ一致する方法で薬物送達を達成する組み合わせた薬物注射システムが提供される。1つの可能な送達手順は、以下の工程を含むことができる:
1.投薬インターフェースを電気機械注射デバイスの遠位端に取り付ける。投薬インターフェースは、第1および第2の近位針を備える。第1および第2の針は、一次化合物を含む第1の貯蔵器と、二次化合物を含む第2の貯蔵器とをそれぞれせん孔する。
2.投薬インターフェースの遠位端に両頭針組立体などの用量投薬器を取り付ける。この方法では、針組立体の近位端は、一次化合物と二次化合物の両方と流体連通している。
3.たとえば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、注射デバイスから一次化合物の望ましい用量をダイヤルアップ(dial up)する/設定する。
4.ユーザが一次化合物の用量を設定した後、マイクロプロセッサ制御の制御ユニットは、二次化合物の用量を決定または計算することができ、また前に保存された治療の用量プロファイルに基づいてこの第2の用量を決定または計算することができることが好ましい。この計算された薬剤の組合せが、次いでユーザにより注射されることになる。治療の用量プロファイルは、ユーザに選択可能にすることができる。代替的には、ユーザは、二次化合物の望ましい用量をダイヤルする、または設定することができる。
5.場合により、第2の用量が設定された後、デバイスを、作動可能(armed)状態に置くことができる。任意選択の作動可能状態は、制御パネル上の「OK」または「作動可能(Arm)」ボタンを押す、かつ/または保持することにより達成することができる。作動可能状態は、組み合わせた用量を投薬するためにデバイスを使用できる所定期間にわたって提供することができる。
6.次いで、ユーザは、用量投薬器(たとえば、両頭針組立体)の遠位端を望ましい注射部位の中に挿入または適用することになる。一次化合物および二次化合物(さらに第3の薬剤の可能性もある)を組み合わせた用量が、注射ユーザインターフェース(たとえば、注射ボタン)を活動化することにより投与される。
【0018】
薬剤は共に、1つの注射針または用量投薬器を介して、かつ1回の注射工程で送達することができる。こうすることは、2つの別々の注射を投与することに比べてユーザ工程が低減される点で、ユーザに便利さの利点を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前述の内容に鑑みて、本発明は、その信頼性ならびに消費電力が向上された電気機械デバイスを備える装置を提供するという技術的問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
技術的な問題は、制御信号と動き検出器信号の間の位相差によって制御信号に影響を及ぼすことができるように、制御ユニットを構成することにより解決される。
【0021】
ステッピングモータまたはブラシレスDCモータなどのいくつかの電気機械デバイスは、制御信号とモータの実際の運動との間に遅延または位相差が存在する特性を示す可能性がある。ステッピングモータの場合、制御信号は、個々のパルス、またはたとえば、一連のパルスから構成することができ、それぞれが、ステッピングモータに機械的運動を行わせる、またはより正確には、ステッピングモータのロータを一定数の角度で回転させる、いわゆるステップを示している。したがって、制御信号は、モータのステップが実施する、時間または予測時間に関係する位相情報を、暗黙的であれ、明示的であれ、たとえば、信号のエッジにより担持している。
【0022】
このような電気機械デバイスに対する負荷がない場合、制御信号と電気機械デバイスの実際の運動との間で実質的に遅延が存在しない、またはわずかな遅延があるに過ぎない。モータに対する負荷が増加した場合、制御信号と実際の運動との間の遅延は増加する。動き検出器を用いると、電気機械デバイスのこの動作または運動は、動き検出器信号へと変換または符号化することができる。制御信号と電気機械デバイスの実際の運動との間の遅延は、次いで、これらの2信号間の位相差により表現することができる。
【0023】
ステッピングモータの場合は特に、抵抗トルクまたは運動量によりモータに対して増加した負荷と、制御信号と動き検出器信号の間の位相差との間には関連性のあることが見出された。ステッピングモータの場合、この関係は実質的に直線である。
【0024】
したがって、制御ユニットが、電気機械デバイスに対する負荷または抵抗トルクに合わせて最適に調整された制御信号を電気機械デバイスに提供するために、位相差により制御信号に影響を及ぼすことができる。こうすることにより、電気機械デバイスは、抵抗トルクに打ち勝つのに十分な印加トルク(exerted torque)を与える必要があるに過ぎないため、電気機械デバイスを動作させる信頼性が向上すると同時に、エネルギーを節約する結果が得られる。
【0025】
制御信号に影響を及ぼす、またはそれを調整することにより、制御信号は、たとえば、その周波数に対して、またはそのパルス(信号がパルスからなる場合)の振幅もしくは形状に対して調整されることを理解されたい。たとえば、電気機械デバイスに対する負荷が高すぎる場合、安全のために制御信号を完全に切り、さらなるパルスを送らないことも可能である。制御信号が調整される方法は、電気機械デバイスの特定のタイプに、かつ特定の電気機械デバイスがどのように制御または駆動されるかに依存している。
【0026】
少なくともステッピングモータが提供される場合、位相差に対する影響の理由は、電気機械デバイスに対する負荷によるトルクに起因して、電気機械デバイスにおける磁場が歪むためである。このことにより、ステッピングモータが制御信号により指示されたステップを実際に実施するのに一定の遅延を生ずる。この遅延は、モータに対する(トルクの点で)機械的な負荷に依存しており、またほぼ負荷に比例している。
【0027】
制御信号と動き検出器信号の間の位相差によって制御信号に影響を及ぼすことができるように、本発明による制御ユニットを構成することにより、一方では、電気機械デバイスのエラーまたはスリップを検出できるだけではなく、本発明による装置の望ましくない動作不良を阻止することができる。遅延の増加は、抵抗トルクの増加として解釈できるので、たとえば、電気機械デバイスにスリップまたは失速の形の何らかのエラーが生ずるのを阻止するための対抗措置を、十分早期に開始することができる。このような対抗措置は、たとえば、モータの印加トルクを増加させるために電流を増加させること、またはユーザへの警告信号とすることができる。それと同時に、他方では、本発明による装置の電力消費を調整し、かつそれにより電力消費を低減することが可能であるが、それは、わずかな位相差が、たとえば、放散により失われる無駄なエネルギーを生ずる電気機械デバイスの不必要な大電流を指示するおそれがあるためである。したがって、モータの運動のためにより少量であるが、なお十分なエネルギーを提供するために、パルス電流を低減することができる、あるいはパルスの長さもしくは形状を低減することができる。さらに、電気機械デバイスが最大の、または高レベルの電力で常に動作されることはない場合、これらの部材に対する応力、歪み、および動作要求は低いので、調整された制御信号はまた、構成要素、特に電気機械デバイスおよびたとえば、動力伝達装置などの負荷を受ける部材の寿命が長くなる。
【0028】
電気機械デバイスが、たとえば、リチウムイオン電池などの電池により電力が供給される場合は特に、低電力消費が重要である。
【0029】
電気機械デバイスは、回転モータであることが好ましいが、たとえば、リニアモータを提供することも考えられる。
【0030】
マイクロプロセッサを、電気機械デバイスのための制御ユニットとして使用することができる。マイクロプロセッサはまた、他のタスクに対して使用することもできる。当然であるが、モータドライバなど、電気機械デバイスに対する専用の制御ユニットを提供することも可能である。
【0031】
本発明による装置の実施形態によれば、制御ユニットは、制御信号と動き検出器信号の間の位相差に応じて、制御信号の電流を変更できるように構成される。
【0032】
電流(または電圧)が変わるように制御信号に影響を及ぼすことにより、電気機械デバイスへの電力を調整する容易な方法が提供される。ステッピングモータまたはブラシレスDCモータなどの大部分の電気機械デバイスは、この方法で調整することができる。電流を変える様々な方法が存在する。ステッピングモータの場合、単一パルスの電流の振幅は、ステッピングモータがステップを駆動し、さらにそれを出力できる最大トルクまたは負荷に直接影響する。電流の振幅を変えることに代えて、ステッピングモータを制御するための単一のパルスはまた、ステッピングモータに送られる有効電力(またはステップ当たりのエネルギー)が低下するように、低減させることもできる。このようなパルス幅の低減は、パルス幅変調により実現することができる。パルス幅変調を変更することにより、有効な電力(またはステップ当たりのエネルギー)をそれに従って調整することができる。ステッピングモータの別個のステップにより、制御信号と動き検出器信号(それらは共に別個のステップを示す)を相互に関係付けることは、他のモータと比較して容易である。
【0033】
モータにより出力されるトルクまたは運動量が、抵抗トルクに打ち勝つのに十分なものであること、同時に、供給される電流が、いずれのエネルギーも無駄にしないように十分小さいことを確実に行うための最小であるが十分な電流を使用することができる。その結果、信頼性ならびに電力消費がさらに改善される。
【0034】
電気機械デバイスは、動力伝達装置を駆動することができる。このような動力伝達装置は、歯車伝達機構および/または駆動ロッドを含むことができる。この方法では、電気機械デバイスの回転運動は、横方向運動へと変換することができる。歯車伝達機構を提供することにより、モータの正確さおよび印加トルクにはまた、たとえば、電気機械デバイスを最適な動作点で動作させることにより、信頼性および電力消費をさらに改善するように影響を及ぼすことができる。
【0035】
本発明による装置の他の実施形態による動き検出器が、少なくとも放出源(たとえば、光源)と、検出器と、その2つの間に置かれた遮断プレートとを備えるとき、低電力消費の空間を節約する動き検出器を提供することができる。放出源と検出器の間に配置された遮断プレートを用いると、放出源は、電気機械デバイスの機械的運動により、交互に覆われ、かつ露出させることができる。これは、電気機械デバイスのピニオンに取り付けられたフラグ(flag)を配置することにより、または検出器または放出源を覆い、かつ露出させるようなフラグを有する別個の円板により実現することができる。当然であるが、機械的運動はまた、動力伝達装置内の他の位置で検出することもできる。フラグの数に応じて、制御信号のパルスと、動き検出器信号のパルスとの間に1対1の関係が必ずしも存在する必要はない。検出器はこの意味で、エンコーダ(encoder)であり、機械的運動または光信号を電気信号へと符号化する。
【0036】
2つの検出器が使用され、かつ1つの放出源が使用されることが好ましい。したがって、単一の遮断フラグは、1つのフラグが検出器を通過すると、動き検出器信号に4つのエッジを生成することができる。2つの検出器と、フラグの2つのエッジとがあるので、これは、フラグが2つの検出器を通過したとき、2つの検出器から4つの識別可能な信号を生ずることになる。このように、動き検出器の分解能を増加させることができ、したがって、電気機械デバイスに対する両方向に変化する負荷を検出する正確さおよび速度が改善される。
【0037】
モータの1回転当たりの、動き検出器から受け取る識別可能な信号の数は、モータの1回転を生成する制御ユニットからのパルス数に等しいことが好ましい。代替的に、簡単な比では2である。たとえば、制御ユニットからの1回転当たりパルス数は、動き検出器から受け取った識別可能な信号の数の整数倍である。
【0038】
放出源は、たとえば、LEDなどの光源であり、検出器が光検出器であることが好ましい。
【0039】
制御信号と動き検出器信号の間の複数の位相差を平均するユニットが提供される場合、制御信号と動き検出器信号の間の位相差を決定する信頼性が改善される。このようなユニットは必ずしも別個のユニットである必要はなく、このようなユニットはまた、たとえば、制御ユニット内に存在することができる。
【0040】
位相差の測定における誤差およびジッターのために、平均する間に統計的誤差および許容差が互いに大きく打ち消し合うので、平均された位相差には、このような統計的誤差または製造許容差が生じにくい。したがって、さらに信頼性があり、安定した位相差を決定することができ、制御信号に対してより正確な影響を及ぼすことになる。このような手段は、たとえば、任意の種類の処理ユニットとすることができるが、あるいは制御ユニット内に含めることもできる。
【0041】
光学的エンコーダの遮断フラグ当たり4つの信号が存在するとき、4、8、または12個の位相差を平均することが好ましい。この場合、4の倍数は、測定誤差を最もよく低減させることが示されてきた。平均する位相差の数を増加させることは正確さを高めるが、位相差を決定する速度が低下する。
【0042】
制御信号と動き検出器信号の間の位相に関する尺度としてステップ関数間の面積が決定されるときは特に好ましく、ステップ関数におけるステップは、制御信号により指示されたステップと、動き検出器により検出されたステップとを表している。位相差が増加した場合、ステップ関数間の面積も増加し、その逆も同様である。複数の位相差の平均化は、このように有効に実施することができ、計算電力を節約する。
【0043】
本発明の他の実施形態によれば、制御信号は、前記電気機械デバイスの印加トルクが、前記電気機械デバイスに対する抵抗トルクを常に超えるように調整される。したがって、電気機械デバイスは失速することはない。電気機械デバイスにより加えられるトルクまたは運動量が、常に抵抗トルクまたは運動量を確実に超えるようにすることにより、電気機械デバイスは、失速が有効に阻止される。したがって、装置の信頼性が最大化されると同時に、負荷が低いとき失速しないように最大電力で電気機械デバイスを動作させる必要がなくなる。
【0044】
他の実施形態によれば、装置は、少なくとも1つの流体を送達するための医用デバイス、特に可搬型の医用デバイスであり、特に薬物送達デバイスである。医用デバイスの場合は特に、過不足のある投与量は望ましくないため、ある薬剤の正確な用量送達を行うことが非常に重要である。したがって、特に薬剤または薬物である流体が、電気機械デバイスの運動により送達される場合、電気機械デバイスの信頼性があり、かつ予測可能な運動を提供することが重要である。同様に、可搬型の医用デバイスの場合は特に、経済的な電力使用が重要である。ユーザの便宜のために、再充電の頻度が少ないことを目ざすべきであり、同時に可搬型の医用デバイスの適正な作動が保証される必要がある。
【0045】
本発明による装置の他の実施形態によれば、装置は、第1の流体を含む少なくとも第1の貯蔵器と、少なくとも第1の貯蔵器に連結された流体チャネルとをさらに備える。電気機械デバイスは、少なくとも第1の貯蔵器の第1の流体に対して圧力を加えて、流体を、流体チャネルを通して導くことができるように構成される。必要なトルクは、たとえば、流体の粘性、チャネルの直径、または周囲温度など、複数の因子に依存しているので、電気機械デバイスが流体に対して圧力を加えるために、正しい量のトルクまたは力を予測し、かつ提供することには特に問題が多い。制御信号と動き検出器信号の間の位相差により影響を受けた調整された制御信号は、低い電力消費で信頼性のある動作を可能にする。
【0046】
装置は、第2の流体を含む第2の貯蔵器と、少なくとも第2の貯蔵器に連結された流体チャネルとをさらに備えることがさらに好ましい。電気機械デバイスは、第2の貯蔵器中の第2の流体に対して圧力を加えて、流体チャネルを通って第2の流体を導くことができるように構成される。この場合、同様に第2の電気機械デバイスおよび/または第2の制御ユニットおよび/または第2の動き検出器が使用されることが特に好ましい。この方法では、特に薬物または薬剤である2つの異なる流体を、好ましくは互いに独立して、ユーザに送達することができる。貯蔵器は、交換可能なカートリッジの形で提供されることが好ましい。
【0047】
他の実施形態によれば、装置は、動力伝達装置をさらに備えることが好ましく、前記電気機械デバイスは、前記動力伝達装置を駆動して前記第1の流体に圧力を加える。このような動力伝達装置は、たとえば、ピニオンおよび/またはピストンロッドおよび/または歯車伝達機構を含むことができる。この方法では、回転運動は、直線運動へと容易に変換することができるが、同時に、印加トルクおよび抵抗トルクのさらなる調整は、たとえば、歯車比により達成することができる。ピストンロッドは、特に、流体に対して圧力を加えるために使用されるプランジャまたは栓(bung)に力を与えるために使用することができる。
【0048】
技術的な問題はまた、装置、特に本発明による装置を動作させるための方法により解決され、本方法は、制御信号を用いて電気機械デバイスを動作させる工程と、前記電気機械デバイスの機械的運動から、動き検出器信号を生成する工程と、前記制御信号と前記動き検出器信号の間の前記位相差に応じて前記制御信号に影響を及ぼす工程とを含む。
【0049】
位相差を、抵抗トルクまたは運動量、または負荷の尺度として、制御信号に対して影響を及ぼすことができるようにすることにより、他方で、失速を動き検出器により検出できるだけではなく予想できるので、デバイスの信頼性が改善されることになる。制御信号の電流を増加させることなど、適切な対抗措置をとることができる。他方で、電気機械デバイスは最大または高水準の電力で動作する必要がないため、また電気機械デバイスを動作させるのに必要な制御信号、したがって電力は、電気機械デバイスの実際の瞬間的な負荷に適合できるため、エネルギーを節約することができる。さらにこうすることにより、電気機械デバイスが最大または高水準の電力で常に動作されない場合、構成要素の、たとえば、特に電気機械デバイスおよび動力伝達装置などの負荷を受ける部材の寿命は、これらの部材に対する応力、歪み、および動作要求は低くなりうるので、長くすることもできる。
【0050】
本方法の実施形態によれば、制御信号の電流は、制御信号と動き検出器信号の間の位相差に応じて変化する。
【0051】
制御信号の電流を変えることにより、電気機械デバイスへの電力を調整する容易な方法が提供される。ステッピングモータの場合、位相電流の振幅は、電気機械デバイスにより加えられるトルクまたは運動量に直接影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、モータの位相電圧の振幅を調整することができる。電流(または電圧)の振幅を変える代わりに、ステッピングモータに加えられる有効電力を低減するために、ステッピングモータを制御するパルス長または形状を調節することもできる。
【0052】
出力されるトルクまたは運動量が、電気機械デバイスに対する抵抗トルクに打ち勝つのに十分なものであること、同時に、電気機械デバイスの印加トルクが、いずれのエネルギーも無駄にしないように十分小さいことを確実に行うために、最小化されているがなお十分な電流を使用することができる。その結果、信頼性ならびに電力消費が改善される。
【0053】
制御信号と動き検出器信号の間のいくつかの位相差を平均することにより、制御の品質を改善することができる。位相差の測定における誤差およびジッターのために、統計的または電気機械的な誤差が、平均化中に互いに概ね打ち消し合うので、平均した位相差は、統計的な誤差または構成要素の許容差を生じにくい。したがって、より信頼性があり、安定な位相差が決定され、制御信号に対してより正確な影響を及ぼすことができる。時間内に位相差のサンプルを多く取れば取るほど、位相測定における誤差が小さくなる。しかし、平均化のために少ないサンプルが採取された場合、電気機械デバイスに対する負荷の測定値がより速く決定され、電気機械デバイスに対して変化する負荷へのより速い反応が可能になる。
【0054】
動き検出器が遮断フラグを備えている場合であって、2つの検出器が使用される場合、4の倍数であるいくつかのサンプルを平均することが特に効率的でありうる。
【0055】
電気機械デバイスは、前記印加トルクが前記電気機械デバイスの前記抵抗トルクを常に超えるように、前記制御信号を調整することにより失速が阻止される場合、装置を動作させる信頼性が最大化されるが、同時に電力消費が最小化される。送達する予定の薬剤の用量を電気機械デバイスが規定する医用デバイスの場合は特に、電気機械デバイスの正確な動きが保証されることは不可欠である。
【0056】
位相差が閾値を超える場合、制御信号の電流が増加することがさらに好ましい。閾値は、事前に決めることができる。閾値は実験データを利用することができ、したがって、電気機械デバイスに対する駆動トルクは位相差から計算できるが、あるいは限界位相差を直接決定することもできる。閾値はまた、可変の閾値とすることもできる。位相差と電気機械デバイスに対するトルクまたは負荷との間の相関関係の正確さをさらに最適化するように、状況依存の変数を考慮に入れることができる。このような変数は、たとえば、駆動される負荷の慣性、または測定される温度とすることができる。装置が医用デバイス、特に可搬型の医用デバイスである場合、送達される流体または薬剤の特性を考慮に入れことができる。電池の充電状況も同様である。
【0057】
本発明の様々な態様のこれらの、ならびに他の利点は、当業者であれば、添付図面を適切に参照し、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】制御ユニット、電気機械デバイス、および動き検出器を備える装置の例示的な実施形態の概略図である。
図2】例示的な制御信号および例示的な動き検出器信号の概略図である。
図3】制御信号による電気機械デバイスの望ましい運動を表すステップ関数と、動き検出器信号による電気機械デバイスの運動を表すステップ関数との他の概略図である。
図4】2つの検出器を備えた動き検出器の例示的な実施形態を示す図である。
図5】ステッピングモータに対する測定された抵抗トルクの関数として、制御信号と動き検出器信号の間の測定された位相差の3つの一連の測定を示す図である。
図6】薬物送達デバイスと共に使用される駆動機構の概略図である。
図7図6で示された駆動機構の他の概略図である。
図8】a〜bは、図6で示された駆動機構で使用できる動き検出器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1および図2は、装置1の例示的な実施形態の概略図と、例示的な制御信号8および例示的な動き検出器信号12、16の概略図とを示している。装置1は、制御ユニット2、電気機械デバイス4、および動き検出器6を備える。この場合、制御ユニット2は、制御信号8(図2で見ることができる)を、連結部3を介して電気機械デバイス4に送る。電気機械デバイスの機械的運動は、矢印5により示され、動き検出器6により検出される。動き検出器6は次いで、連結部7を介して動き検出器信号12、16(図2で見ることができる)を提供し、制御ユニット2に影響を及ぼす。
【0060】
制御ユニット2は、たとえば、任意の種類のマイクロプロセッサとすることができる。それは、特に電気機械デバイス4を制御するための専用マイクロプロセッサとすることができるが、あるいは他のタスクに専用の汎用マイクロプロセッサとすることもできる。制御ユニット2は、ケーブルなどの任意の典型的な連結部3により電気機械デバイス4に制御信号を送信できるが、制御ユニット2および電気機械デバイス4はまた、無線で通信することもできる。
【0061】
図1の概略図における動き検出器6は、制御ユニット2に直接、動き検出器信号12、16を提供する。当然であるが、動き検出器信号12、16はまた、たとえば、他の処理ユニットを介して制御ユニット2に間接的に提供することができる。
【0062】
図1から分かるように、示された装置1は、制御ユニット2、電気機械デバイス4、および動き検出器6を備え、したがって、閉ループ制御システムを構成する。
【0063】
次に図2を参照すると、信号8、12、16が、x軸で時間を、また送られたステップとステップ応答をy軸で示した座標系で示されている。分かりやすくするために、信号をy方向にシフトさせてそれらを分離し、それによりパルスの時間および位相関係を示している。制御信号8は、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを備え、単一のパルス10を生成する。パルス10の立ち上がりエッジは、この例では時間tである。このようなパルス10が制御ユニット2から電気機械デバイス4に送られる。ステッピングモータの場合、パルス10の立ち上がりエッジは、単一のステップを構成する。電気機械デバイス4が、実質的に自由に動作できる場合、それは、電気機械デバイス4に対する負荷または抵抗トルクが存在しないことを意味するが、動き検出器6は、たとえば、パルス14を含む動き検出器信号12を生成する。理解されるように、制御信号8のパルス10と、動き検出器信号12のパルス14との間にすでに遅延が存在している。パルス14の立ち上がりエッジは時間tである。当然であるが、電子回路があるため、また制御信号8は、動き検出器信号12を受け取ることができる前に送られる必要があるため、常に遅延が存在する。この遅延が無視できる場合であっても、パルス10とパルス14の間には遅延が存在する可能性がある。この遅延は、動き検出器6、6a、6bが動き検出器信号12、16を提供する方法に依存し、かつ動き検出器信号12、16の分解能に依存する。たとえば、遮断フラグ32が動き検出器6、6a、6bの一部として使用された場合、パルス10および14が、互いに対してどのように時間でシフトされるかは、遮断器(interruptor)32のフラグ32a、32bの位置および提供されるフラグの数に依存する(動き検出器に関するさらなる詳細は図4図8a、および図8bを参照のこと)。エンコーダのフラグの回転方向は、ピニオン/エンコーダがモータ軸に取り付けられたとき、組立プロセス中に設定される。したがって、モータに対する負荷がない場合であっても、制御信号のパルス10と動作検出信号のパルス14との間で実質的に位相差が存在しうる。
【0064】
いくつかの構成では、パルス10とパルス14の間の遅延は、たとえば、フラグの数が、ステッピングモータの1回転に対するパルス数と同じである場合、固定することができる。1回転に対するステッピングモータへのパルス数が、動き検出器のフラグの数の整数倍nである場合、ステッピングモータへのn番目ごとのパルス10と、動き検出器からのパルス14との間に固定された遅延が存在する。この固定された遅延は、たとえば、モータが負荷なしで駆動されるときに決定することができる。
【0065】
信号16はまた、動き検出器信号である。この場合、電気機械デバイス4には負荷がかけられている。電気機械デバイス4に対する抵抗トルクは、電気機械デバイス4の運動に、負荷がかけられていない電気機械デバイス4と比較して運動が実質的に時間でシフトするように影響を及ぼす。これは、時間tで立ち上がりエッジを備えるパルス18を含む信号16から分かる。信号12のパルス14と、信号16のパルス18との間の差は、図2のパルス14と18の立ち上がりエッジ間の時間差t−tとして示されている。当然であるが、立ち下がりエッジなどのパルスの他の特性を使用して位相差を決定することができる。この時間差はまた、周期信号の点から位相差として表現することができるが、その周期信号の完全な周期は、具体的には360度に相当する。
【0066】
通常、時間差t−tは、遅延t−tを含んで測定される。しかし、遅延t−tは、上記で述べたように固定した遅延とすることができるため、負荷のない電気機械デバイスと負荷を受けている電気機械デバイスとの間の位相差に対する尺度として時間差t−tを得るために、測定された時間差t−tからt−tを減算することにより決定することができる。
【0067】
制御信号8と動き検出器信号16の間の時間または位相差は、電気機械デバイス4に対する負荷の尺度として使用することができる。したがって、制御ユニット2は、この場合は電流または電圧であるが、時間または位相差に応じて制御信号8の振幅を変えることができる。電気機械デバイス4がステッピングモータである場合、電気機械デバイス4がスリップし始める、またはさらに失速する前に、たとえば、経験的に決定された値など、制御信号8と動き検出器信号12、16の間の最大の時間または位相差に関する値が存在しうる。この最大の時間または位相差はまた、理論的な計算に基づくこともできる。このような理論的な計算は、たとえば、ステッピングレート、または駆動されている負荷の慣性を含むことができる。最大の位相差は、たとえば、90度とすることができる。電気機械デバイスの信頼性のある動作を提供するために、このように高い位相差(スリップまたは失速状態に近い)を回避することができ、もっと低い位相差が維持されることが好ましい。
【0068】
図3は、制御信号8による電気機械デバイス4の望ましい運動を表しているステップ関数20と、動き検出器信号12、16による電気機械デバイス4の運動を表しているステップ関数22との他の概略図を示している。信号は、x軸で時間を、また特にステップの動きである振幅をy軸で示す座標系で描かれている。理解しやすくするために、信号をy方向にシフトさせて、それらを分離している。ステップ関数20、22における各ステップは、電気機械デバイスの運動を表している。理解されるように、制御ユニット2により指示されたステップと、動き検出器6により検出されたステップとの間の比は、1:1である。たとえば、1回転当たりの動き検出器の遮断器のフラグ数を変えることによる他の比も可能である。この例では、ステッピングモータが使用され、またステップ関数の各ステップは、ステッピングモータのステップを表している。逆も同様であるが、制御信号20により示されたステップと、動き検出器信号22により示されたステップとの間の時間差24、26、28、30が増加したとき、2つの関数20、22の間の面積が増加することが図3から分かる。したがって、関数20、22の間の面積23はまた、時間差または位相差に対する尺度として、したがって、電気機械デバイス4に対する負荷または抵抗トルクに対する尺度としても使用することができる。
【0069】
図3で示すように、2つの関数20、22の2つの相関性のあるステップ間における時間差または位相差は、連続するステップで変化する可能性がある。たとえば、位相差30は、位相差28よりも大きい。これは、電気機械デバイスに対して変化する負荷に起因しているだけではなく、測定の不正確さにもよる。電気機械デバイスに対する負荷または抵抗トルクの尺度として複数のステップ間の面積23を使用することにより、図3のたとえば、tとtの間で平均化を行って、より低い統計的誤差で時間差または位相差を提供することができる。
【0070】
たとえば、位相差24、26、28、および30が、それぞれ、φ24、φ26、φ28、およびφ30を示している場合、平均位相差φavは次のように計算することができる。
φav=(φ24+φ26+φ28+φ30)/4
または、一般に:φav=1/nΣφ (i=1・・・n)
【0071】
信号の測定可能な時間差デルタt(Δt)と、φ24、φ26、φ28、およびφ30などの信号の位相差デルタファイ(Δφ)との間の関係は、次のように計算できる。
Δφ=2π×Δt/tSTEP
【0072】
ここで、tSTEPは、制御信号のパルス間の時間間隔であり、制御信号の各パルスは、1つのステップをモータに送る。
【0073】
代替的に、Δφは次のように計算することができる。
Δφ=Δt/tcyc×2π×k
【0074】
ここで、tcycは、1つの完全なモータサイクルの時間であり、またkは、通常、遮断器のフラグ数に相当する、1回のモータ回転に対して動き検出器で生成されたパルス数である。
【0075】
上記のφavの式における位相差の数nを増加することにより、φavの計算に対する
より高い平均効果を得ることができる。
【0076】
決定された位相差または平均位相差に基づいて、たとえば、モータに加えられる電流(または電圧)を制御することにより、またはパルス信号を変調することにより、モータへのエネルギーを制御することができる。変調によりモータに加えられる電圧または電流を制御する一例は、パルス幅変調「PWM」である。これは、電圧が、いくつかのより小さなパルスでモータに加えられて、小さなパルスの(合成された)パルス幅が、モータにおける望ましいエネルギーレベルに従って変化することを意味する。代替の実施形態では、モータへの電流(したがって電力)を増加させるために、モータの回路電圧を直接増加させる。
【0077】
モータの駆動する負荷が増加すると、時間差tは、デルタt(Δt)の量だけ増加し、かつ位相差ファイ(φ)は、デルタファイ(Δφ)の量だけ増加する。パラメータである時間差Δtおよび/または位相差Δφは、モータが駆動している負荷トルクを測定するために使用される。
【0078】
さらに他の実施形態では、トルク負荷は、モータ速度に依存する可能性がある。このような場合、より高い負荷に対処するために、たとえば、制御信号のパルスの周波数、すなわち、ステップがモータに送られる周波数を低下させることにより、モータ速度を低下させることができる。
【0079】
図4は、2つの検出器28、30を備えた動き検出器26の例示的な実施形態を示している。検出器28、30は、実質的に平面を画定する光遮断器32の一方の側に配置されている。たとえば、単一の検出器など、任意の他の数の検出器も動作するはずである。(しかし、単一の検出器は、運動方向を検出できない可能性がある。)光遮断器32は、この場合、ブレード、フラグ、または翼の形のブロック要素32a、32bを有する実質的に平坦な円板である。これらのブロック要素32a、32bの数は、制御信号のステップと、動き検出器6の検出されたステップとの間の比に影響を及ぼす。光遮断器32により画定される平面の他の側には、たとえば、光源などの放出源34がある。放出源34、検出器28、30、および光遮断器32は、光遮断器32のフラグ32a、32bが、光遮断器32のフラグ32a、32bなどの位置に応じて、放出源34と検出器28、30の間の光路36、38を塞ぐことができる。放出源34は、検出器28、30が放出源34の放射エネルギーを検出できる限り、任意の種類のものとすることができる。
【0080】
光遮断器32は、たとえば、電気機械デバイス4のピニオン92に取り付けることができるが、電気機械デバイス4の機械的運動を検出するのに適した任意の他の機械的に動作する部材上にも同様に取り付けることができる。光遮断器32は、矢印40で示すように回転する。検出器および放出源は、この実施形態では固定された位置を有する。しかし、光遮断器32が、放出源34と検出器28、30に対して動いていることが重要であるに過ぎない。単一のブロック要素32a、32bの場合、検出器28、30と放出源34を通過する間に、4つの検出可能な状態:検出器28、30が共に光信号を受け取る、検出器28だけが光信号を受け取る、どちらの検出器も光信号を受け取らない、最後に、検出器30だけが信号を受け取るの4つの状態がある。実質的にこれらの4つの段階により、4の倍数である検出されたステップ数に対して平均することは特に効率的である。
【0081】
検出器28、30は、制御ユニット2に、または検出器28、30の出力を処理できる任意の他の種類の処理ユニットに直接連結することができる。放出源34は、連結部46により電源に連結される。
【0082】
実験結果は、位相遅延が負荷に比例することを示している。失速は、たとえば、位相遅延が約90度であるとき生ずる可能性がある。
【0083】
図5は、x軸におけるステッピングモータの形の電気機械デバイス4に対する測定された抵抗トルクの関数として、y軸上で、制御信号8と動き検出器信号12、16の間の位相差に関する3つの一連の測定を示した図である。
【0084】
図5で、位相差は、ステッピングモータ軸の回転角として示される。この例では、モータは、1回転当たり8ステップを有するので、位相角φは、モータ軸の回転角の8倍の大きさである。
【0085】
図5で、ステッピングモータ軸の最大角は、約10.8度であり、これは、10.8×8=86.4度の位相角φに相当する。これは90度に非常に近い。モータ負荷がさらに増加した場合、位相差は、90度を超えて増加することになり、モータは失速するはずである。
【0086】
したがって、モータを制御するためのルールを導出することができ、以下のように示すことができる:
− モータにp個のパルスを送る;
− エンコーダからq個のパルスを受け取る;
− (平均化した)位相遅延を決定する;
− 位相遅延<70度である場合:モータ電力をXだけ低下させる;
− 位相遅延>80度である場合:モータ電力をYだけ増加させる。
【0087】
XおよびYは、絶対的な尺度(モータ電流に対する0.01アンペアなど)、または相対的な尺度(2%など)とすることができる。70度および80度の閾値は、たとえば、全体的なシステム要件に依存することができ、それらは、信頼性があり、電力効率のよいモータの動作と、制御系の安定性を保証するように選択することができる。
【0088】
抵抗トルクが約0.1から約0.8mNmへと上昇する間に、度で示す位相差は、実質的に直線的に上昇し、約1度から90度まで反復することができる。この明快な関係により、トルクを位相差から結論付けることができる。
【0089】
以下の図では、2つの薬物を送達するための薬物送達デバイスの構成要素が示されている。特定の薬剤または薬物の正確な用量送達は非常に重要であり、過不足のある投与量は、最悪の場合生命にかかわるおそれがあるため、本発明による装置および方法を使用することは、このような医用デバイスでは特に有利である。したがって、特に薬剤または薬物などの流体が、電気機械デバイス4の運動により送達される場合、電気機械デバイス4の信頼性があり、予測可能な運動を提供することが重要である。
【0090】
図6は、動力伝達装置50の好ましい一構成を含む薬物送達デバイスの様々な内部構成要素を示している。図6はまた、電源または電池56と共に、デジタルディスプレイ52と、プリント回路板組立体(PCBA)54とを示している。PCBA54は、デジタルディスプレイ52と動力伝達装置50の間に配置することができ、電池または電源56は、動力伝達装置50の下に配置される。電池または電源56は、デジタルディスプレイ52、PCBA54、および動力伝達装置50に電力を提供するように電子的に連結される。図示のように、第1のカートリッジ58と第2のカートリッジ60が共に使用済み状態で示されている。すなわち、第1および第2のカートリッジは、ストッパ62、64が最も遠位の位置にある空の状態で示されている。たとえば、第1のカートリッジ58(通常、第1の薬剤を含む)は、そのストッパ62が遠位の位置にあるように示されている。第2のカートリッジ60(通常、第2の薬剤を含む)のストッパ64も同様の位置で示されている。
【0091】
図6を参照すると、交換可能な電池など、電源56のための適切な場所を画定する第1の領域が提供されていることが分かる。電源56は、再充電可能な電源を含むことができ、また電源56がデバイス中に残っている間に再充電することができる。代替的には、電源56は、薬物送達デバイスから取り外すことができ、たとえば、遠隔の充電器により、外部から再充電することができる。この電源は、リチウムイオンまたはリチウムポリマー電源を含むことができる。この好ましい構成では、電池56は、概して平坦かつ長方形の形状をした電源を含む。
【0092】
図7は、図6で示した電気機械システムの構成を、デジタルディスプレイ52およびPCBA54を共に除外して示している。図7で示すように、動力伝達装置50は、一次薬剤を含む第1のカートリッジ58、および二次薬剤を含む第2のカートリッジ60からの用量を排出するように動作する。再度、図7で示すように、第1のカートリッジ58および第2のカートリッジ60は、ストッパが最も遠位の位置にある空の状態で示されている。
【0093】
この好ましい動力伝達装置50では、システムは、各カートリッジ58、60に対して独立した電気機械デバイスを備える。すなわち、独立した機械的な駆動装置66は、第1のカートリッジ58から用量を排出するように動作し、また独立した機械的な駆動装置68は、第2のカートリッジ60から用量を排出するように動作する。3つの異なる薬剤に作用する代替の動力伝達装置50では、3つの独立した機械的な駆動装置を設けることができる。独立した機械的な駆動装置は、制御ユニット2(たとえば、図1を参照のこと)のモータドライバの制御下で動作することができる。
【0094】
第1の独立した機械的な駆動装置66は、第1のカートリッジ58から用量を排出するように働く。第1の駆動装置66は、第1の歯車伝達機構72に動作可能に連結されたモータ70の形の第1の電気機械デバイス4を備える。このモータ70を付勢するために、モータドライバに電気的に連結する手段として、コネクタ74が提供される。この第1の歯車伝達機構72は、第1の伸縮式ピストンロッド76の近位部分に機械的に連結される。第1の伸縮式ピストンロッド76は、遠位端78を第1のカートリッジ58のストッパ62に作用させた状態の完全に延びた位置で示されている。
【0095】
この歯車伝達機構72は、第1のモータ70の出力軸により駆動されるので、この機構72は、第1の伸縮式ピストンロッド76の近位部分80を回転させる。ピストンロッド76のこの近位部分80が回転すると、ピストンロッド76の第2の、または遠位部分82が遠位方向に駆動される。
【0096】
伸縮式ピストンロッド76の近位部分80は、外部のねじ山84を備えることが好ましい。このねじ山84は、遠位部分82の近位端に、短いねじが切られたセクションを備える一体化されたナットを有する遠位部分82に係合する。この遠位部分82は、キー溝に作用するキーにより回転が阻止される。このようなキー溝は、第1の伸縮部76の中央部を通ることができる。
【0097】
したがって、第1のギアボックス機構72が、近位セクション80を回転させたとき、近位部分80の回転は、遠位端78に作用し、したがって、伸縮ピストンロッドの遠位部分を駆動して長手方向軸に沿って延びるようにする。この遠位方向に移動させることにより、ピストンロッド76の第2の部分82の遠位端78は、第1のカートリッジ58内に含まれるストッパ62に力を加える。ピストンロッド76のこの遠位端78がストッパに力を加えると、第1の薬剤のユーザ選択による用量が、カートリッジ58から押し出されて、たとえば、取り付けられた投薬インターフェースの中に入り、次いで、ユーザに薬剤を注射可能にする取り付けられた針組立体から押し出される。
【0098】
最初に制御装置が第2の薬剤の用量が必要とされていると決定し、かつこの投与量を決定したとき、第2の独立した駆動装置68を用いて、同様の注射動作が行われる。状況によっては、制御装置は、第2の薬剤の用量は必要とされておらず、したがって、この第2の用量が「0」用量に「設定」されると決定することができる。
【0099】
モータ70、86は、電子通信に適したモータを含むことが好ましい。このようなモータが、ステッピングモータまたはブラシレスDCモータを含みうることが最も好ましい。
【0100】
一次および二次薬剤の用量を注射するために、ユーザはまず、ディスプレイ52(たとえば、図6を参照のこと)上のヒューマンインターフェース構成要素により、一次薬剤の用量を選択することになる。
【0101】
第1および第2の薬剤の用量サイズが確立されたとき、モータドライバは、第1のモータ70および第2のモータ86を共に付勢して、上記で述べた注射プロセスを開始する。
【0102】
ピストンロッド76、88は、第1の完全に後退した位置(図示せず)と(図6および図7で示された)第2の完全に延ばした位置との間で移動可能であることが好ましい。ピストンロッド76、88が後退した位置にある場合、ユーザは、各カートリッジ保持器を開いて、空のカートリッジを取り除くことができる。
【0103】
好ましい一構成では、第1のモータ70と第2のモータ86は共に、第1の薬剤のユーザ選択による用量を投薬し、かつ続いて第2の薬剤の計算された用量を同時に投薬するために同時に動作する。すなわち、第1の独立した機械的な駆動装置66と第2の独立した機械的な駆動装置68は共に、同時に、または異なる時間に、各ピストンロッド76、88を駆動することができる。
【0104】
第1および/または第2のピストンロッドを巻き戻す工程など、1つまたはそれ以上の注射工程は、たとえば、マイクロコントローラにより、たとえば、制御ユニット2により制御されて、自動的に行うことができる。代替の構成では、マイクロコントローラは、第1および第2の独立した機械的な駆動装置66、68が、他の薬剤の前に、第1の薬剤または第2の薬剤を投薬すべく動作できるようにプログラムすることができる。その後、第2の、または一次薬剤を投薬することができる。好ましい一構成では、二次薬剤は、一次薬剤の前に投薬される。
【0105】
モータ70、86は共に、逆方向に動作できることが好ましい。この機能は、ピストンロッド76、88を第1の位置と第2の位置の間で移動できるようにするために必要になりうる。
【0106】
図7で示された第1の独立した機械的な駆動装置66は、第1の動き検出器6aを備える。図8aは、図7で示された第1のモータ70の斜視図を示している。図8bは、デジタルエンコーダ90の形の検出器28、30と共に、図8aで示された第1のモータ70を備える好ましい動き検出器6aを示している。
【0107】
図8aおよび図8bで示すように、このような動き検出器6aは、薬物送達デバイスの制御ユニットに、第1の独立した駆動装置66から、動作および位置的フィードバックを提供するために使用されるので有益でありうる。たとえば、第1の独立した駆動装置66に関して、好ましい動き検出器6aは、第1のモータピニオン92を使用することにより達成される。この第1のピニオン92は、第1のモータ70の出力軸94に動作可能に連結される。第1のピニオン92は、第1の歯車伝達機構72(たとえば、図7を参照のこと)の第1の歯車を駆動する、回転する歯車伝達部分96を備える。第1のモータピニオン92はまた、複数のフラグ98a〜bを備える。この第1の動き検出器6aでは、第1のピニオン92は、第1のフラグ98aおよび第2のフラグ98bを備える。これらの2つのフラグ98a〜bは、モータピニオン92上に配置されて、モータが駆動されたとき、モータ出力軸94が、したがって、連結された第1のピニオン92が回転すると、第1の光エンコーダ90を通過する。
【0108】
好ましくは、第1および第2のフラグ98a〜bが第1の光エンコーダ90を通過したとき、エンコーダ90は、いくつかの電気パルスを、たとえば、制御ユニット2などのマイクロコントローラに送ることができる。光エンコーダ90は、モータ出力軸の1回転当たり2つの電気パルスをマイクロコントローラに送ることが好ましい。したがって、マイクロコントローラは、モータ出力軸の回転を監視することができる。これは、動力伝達装置の故障などの用量投与工程中に生ずる可能性のある位置的エラーまたは事象、投薬インターフェースまたは針組立体の誤った取付け、あるいは閉塞された針が存在する場合などを検出するために有利である。
【0109】
モータの1回転ごとに動き検出器から受け取る識別可能な信号の数は、モータの1回転を生成する制御ユニットからのパルス数に等しいことが好ましい。たとえば、モータは、20ステップに対して1つの完全な回転を行うことができる。この場合、遮断器のフラグの数は、5(遮断器を通るフラグの各遷移に対して4つの信号エッジの場合)、または10(2つの信号エッジの場合)とすることができる。
【0110】
第1のピニオン92は、プラスチックで射出成形されたピニオンを含むことが好ましい。プラスチックで射出成形されたこのような部材を出力モータ軸94に取り付けることができる。光エンコーダ90は、ギアボックスハウジングに配置され、取り付けることができる。このようなハウジングは、光エンコーダ90と共に第1の歯車伝達機構72を含むことができる。エンコーダ90は、場合によってはPCBの可撓性部分を介して制御ユニット2と電気通信できることが好ましい。好ましい構成では、図6および図7で示された第2の独立した機械的な駆動装置68は、第1の機械的な駆動装置66の第1の動き検出器6aと類似するように、好ましくは同じように動作する第2の動き検出器6bを備える。
【0111】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキンセジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0112】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0113】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0114】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0115】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0116】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0117】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0118】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0119】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもありうる。
【0120】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0121】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0122】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0123】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0124】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0125】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0126】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0127】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8