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特許6408993タイプII抗CD20抗体と選択的Bcl−2インヒビターの併用療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6408993
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】タイプII抗CD20抗体と選択的Bcl−2インヒビターの併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20181004BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61K39/395 NZMD
   A61K31/496
   A61P35/00
   A61K39/395 D
   A61P35/02
   A61P43/00 121
   A61P43/00ZNA
【請求項の数】21
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-531246(P2015-531246)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公表番号】特表2015-529225(P2015-529225A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】US2013058557
(87)【国際公開番号】WO2014039855
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年9月5日
(31)【優先権主張番号】61/698,379
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンパス,ディーパーク
(72)【発明者】
【氏名】クライン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フェアブラザー,ウェイン・ジョン
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−500521(JP,A)
【文献】 JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY,2012年,vol.30, no.25,p.3127-3135
【文献】 MACAULEY D,AMERICAN ASSOCIATION FOR CANCER RESEARCH (AACR) 103RD ANNUAL MEETING 以下省略,DRUGS OF THE FUTURE,PROUS SCIENCE ESP,2012年 6月,V37 N6,P451-455
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 31/496
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を要するヒトにおいてがんを治療するための医薬組成物であって、前記組成物は、GA101抗体、及び/または2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミド(GDC−0199)またはその医薬的に許容され得る塩を含み、前記治療は、有効量の前記GA101抗体及びGDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩を複数の投与期間中ヒトに共投与した後、GA101抗体の非存在下でGDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩の有効量のみを1つ以上の投与期間中前記ヒトに投与することを含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
治療を要するヒトにおいてがんを治療するための医薬組成物であって、前記組成物は、GA101抗体、及び/または2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミド(GDC−0199)またはその医薬的に許容され得る塩を含み、前記治療は、有効量の前記GA101抗体及びGDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩を複数の投与期間中ヒトに共投与した後、GA101抗体の非存在下でGDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩のみを、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間前記ヒトに投与することを含む、前記医薬組成物。
【請求項3】
前記複数の投与期間の各投与期間が4週間を含み、前記GA101抗体が投与期間毎に1回投与され、及び、前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩が前記複数の投与期間中毎日投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記治療が、有効量の前記GA101抗体を投与期間毎に1回、及び、前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中1日1、2または3回共投与した後、有効量の前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩のみを1、2、3、4、5または6つの投与期間中1日1、2または3回投与することを含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記GA101抗体の有効量は約500mg〜約3000mgであり、前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩の有効量は約20mg〜約500mgである請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記GA101抗体の有効量は800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgであり、前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩の有効量は50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290または300mgである請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記治療が、前記GA101抗体及び前記GDC−0199またはその医薬的に許容され得る塩を各投与期間中順次共投与することを含み、各投与期間は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間である請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記GA101抗体は配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2、及び配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗ヒトCD20抗体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記GA101抗体は更に配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記GA101抗体は配列番号9のアミノ酸配列及び配列番号10のアミノ酸配列を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記GA101抗体はオビヌツズマブである請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記GA101抗体は配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記がんはCD20発現がんである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記がんは非固形腫瘍である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記がんはリンパ腫または白血病である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記がんは白血病であり、前記白血病は慢性リンパ球性白血病(CLL)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ヒトは再発性、難治性または未治療の慢性リンパ球性白血病を患っている請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記がんは非ホジキンリンパ腫(NHL)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記がんは急性骨髄性白血病(AML)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記がんは濾胞性リンパ腫である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記がんは大細胞リンパ腫であり、当該大細胞リンパ腫がB細胞びまん性大細胞リンパ腫である請求項13に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌、特にCD20発現癌を患っている患者を治療するためのタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを伴う併用療法に関する。
【背景技術】
【0002】
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原またはBp35とも称される)はプレB及び成熟Bリンパ球上に位置する約35kDの分子量を有する疎水性膜貫通タンパク質である(Valentine,M.A.ら,J.Biol.Chem.,264(19)(1989)11282−11287;及びEinfield,D.A.ら,EMBO J.,7(3)(1988)711−717)。CD20は末梢血またはリンパ系器官由来のB細胞の90%以上の表面上に存在し、初期プレB細胞発生中に発現し、プラズマ細胞分化まで残る。CD20は正常B細胞及び悪性B細胞の両方上に存在している。特に、CD20はB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%以上で発現している(Anderson,K.C.ら,Blood,63(6)(1984)1424−1433)が、造血幹細胞、プロB細胞、正常プラズマ細胞または他の正常組織上には存在していない(Tedder,T.F.ら,J,Immunol.,135(2)(1985)973−979)。
【0003】
CD20タンパク質の85アミノ酸カルボキシ末端領域は細胞質内に位置している。この領域の長さは他のB細胞特異的表面構造、例えばそれぞれ3、3、28、15及び16アミノ酸の比較的短い細胞質内領域を有するIgM、IgD及びIgG重鎖、または組織適合性抗原クラスI1aまたはβ細胞の長さと対照的である(Komaromy,M.ら,NAR,11(1983)6775−6785)。最後の61個のカルボキシル末端アミノ酸のうち、21個は酸性残基であるのに対して、2個しか塩基性でなく、この領域が強い正味陰電荷を有していることを示している。GenBank受託番号はNP−690605である。CD20はB細胞の活性化及び分化プロセスの初期段階の調節に関与しており(Tedder,T.F.ら,Eur.J.Immunol.,16(1986)881−887)、カルシウムイオンチャネルとして機能し得ると考えられている(Tedder,T.F.ら,J.Cell.Biochem.,14D(1990)195)。
【0004】
抗CD20抗体には、CD20結合のモード及び生物学的活性の点で大きく異なる2つの異なるタイプがある(Cragg,M.S.ら,Blood,103(2004)2738−2743;及びCragg,M.S.ら,Blood,101(2003)1045−1052)。タイブI抗体、例えばリツキシマブは補体媒介細胞傷害性の点で強力であるのに対して、タイプII抗体、例えばトシツモマブ(B1)、11B8、AT80またはヒト化B−Ly1抗体はホスファチジルセリン暴露を伴ってカスパーゼ非依存性アポトーシスを介して標的細胞死を効果的に開始させる。
【0005】
タイプI及びタイプII抗CD20抗体の共通する一般的特徴を下表1に要約する。
【0006】
【表1】
【0007】
タンパク質のBcl−2ファミリーは、複数のストレスシグナルに応答して発生刺激によりトリガーされるプログラム細胞死を調節する(Cory,S.,and Adams,J.M.,Nature Reviews Cancer,2(2002)647−656;Adams,Genes und Development,17(2003)2481−2495;Danial,N.N.,and Korsmeyer,S.J.,Cell,116(2004)205−219)。細胞生存はBcl−2それ自体、及び3または4個の保存Bcl−2ホモロジー(BH)領域を持つ幾つかの近親物(Bcl−xL、Bcl−W、Mcl−1及びAl)により促進されるのに対して、アポトーシスは2つの他のサブファミリーにより動かされる。細胞死の初期シグナルは、Bad、Bid、Bim、Puma及びNoxaを含めて共通して小さなBH3相互作用ドメインのみを有しているBH3オンリータンパク質の多様群により伝達される(Huang and Strasser,Ce11,103(2000)839−842)。しかしながら、細胞死への関与のためにはBH1〜BH3を含有しているBaxまたはBakマルチドメインタンパク質が必要である(Chengら,Molecular Cell,8(2001)705−711;Wei,M.C.ら,Science,292(2001)727−730;Zong,W.X.ら,Genes and Development,15,148(2001)1−1486)。活性化されると、これらのタンパク質はミトコンドリアの外膜を透過処理し、細胞を壊すカスパーゼを活性化するために必要であるプロアポトーシス誘導因子(例えば、シトクロムC)を放出し得る(Wang,K.,Genes and Development,15(2001)2922−2933;(上褐のAdams,2003);Green,D.R.,and Kroemer,G.,Science,305(2004)626−629)。
【0008】
Bcl−2ファミリーのこれらの3つの因子のメンバー間の相互作用により、細胞が生きるか死ぬかどうかが決まる。BH3オンリータンパク質が例えばDNA損傷に応答して活性化されると、これらはそのBH3ドメインを介して生存促進性関連物上のグローブに結合し得る(Sattlerら,Science,275(1997)983−986)。しかしながら、どのようにBH3オンリー及びBcl−2様タンパク質がBax及びBakの活性化をコントロールするかは余り理解されていない(上褐のAdams,2003)。多くの注目がBaxに向けられている。この可溶性モノマータンパク質(Hsu,Y.T.ら,Journal of Biological Chemistry,272(1997)13289−13834;Wolter,K.G.ら,Journal of Cell Biology,139(1997)1281−92)は通常、多分その細胞質ゾル局在化のためにそのグローブに挿入されたその膜標的化ドメインを有している(Nechushtan,A.ら,EMBO Journal,18(1999)2330−2341;Suzukiら,Cell,103(2000)645−654;Schinzel,A.ら,J.Cell Bio1,164(2004)1021−1032)。Lucken−Ardjomande,S.,and Martinou,J.C.,J.Cell Sci.,118(2005)473−483で概説されているように幾つかの非関連ペプチド/タンパク質がBax活性をモジュレートするために提案されてきたが、この生理学的関連性はまだ確立されていない。また、Baxは特定のBH3オンリータンパク質による直接関与により活性化され得(上褐のLucken−Ardjomande,S.,and Martinou,J.C,2005)、最も良く立証されているのはBidの切頭形態のtBidである(Wei,M.C.ら,Genes und Development,14(2000)2060−2071;Kuwana,T.ら,Cell,111(2002)331−342;Roucou,X.ら,Biochemical Journal,368(2002)915−921;Cartron,P.F.ら,Mol Cell,16(2004)807−818)。他でも検討されているように(上褐のAdams,2003)、Bcl−2が直接Baxに関与する最も古いモデル(Oltvai,Z.N.ら,Cell,74(1993)609−619)は、Baxが細胞質ゾルである間Bcl−結合しており、その相互作用が細胞溶解のために使用される洗浄剤に十分に依存しているようなので、問題となった(上褐のHsu,Y.T.,and Youle,1997)。にもかかわらず、BaxのBH3領域がBcl−2との結合を媒介し得ること(Zha,H.,and Reed,J.,Journal of Biological Chemistry,272(1997)31482−88;Wang,K.ら,Molecular und Cellular Biology,18(1998)6083−6089)、及びヘテロダイマーが全く検出されないにもかかわらずBcl−2がBaxのオリゴマー化を防止することが十分確立されている(Mikhailov,V.ら,Journal of Biological Chemistry,276(2001)18361−18374)。よって、生存促進性タンパク質が直接または間接的にBax活性化を制限するかどうかは不確かなままである。
【0009】
Bax及びBakは多くの環境において機能的に同等であるようである(Lindsten,T.ら,Molecular Cell,6(2000)1389−1399;上褐のWei,M.C.ら,2001)が、その調節での実質的な差は健康な細胞におけるはっきりした局在化から予想される。大部分細胞質であるBaxとは異なり、Bakはミトコンドリアの外膜及び健康細胞の小胞体上の複合体中にある(上褐のWei,M.C.ら,2000;Zong,W.X.ら,Journal of Ce11 Biology,162(2003)59−69)。にもかかわらず、細胞傷害シグナルを受け取ると、Bax及びBakはいずれもコンフォメーションを変化させ、Baxは細胞小器官膜に転移し、その後Bax及びBakは結合して膜透過化をもたらし得るホモオリゴマーを形成する(Hsu,Y.T.ら,PNAS,94(1997)3668−3672;上褐のWolter,K.G.ら,1997;Antonsson,B.ら,Journal of Biological Chemistry,276(2001)11615−11623;Nechushtan,A.ら,Journal of Cell Biology,153(2001)1265−1276;上褐のWei,M.C.ら,2001;Mikhailov,V.ら,Journal of Biological Chemistry,278(2003)5367−5376)。
【0010】
いずれもタンパク質のBcl−2ファミリーの生存促進性メンバーを抑制する同一性質を有しており、従って癌を治療するための有望な候補者である各種Bcl−2インヒビターが存在している。前記したBcl−2インヒビターは、例えばオブリメルセン、SPC−2996、RTA−402、ゴシポール、AT−101、オバトクラックスメシレート、A−371191、A−385358、A−438744、ABT−737、ABT−263、AT−101、BL−11、BL−193、GX−15−003、2−メトキシアンチマイシンA、HA−14−1、KF−67544、プルプロガリン、TP−TW−37、YC−137及びZ−24であり、例えばZhai,D.ら,Cell Death and Differentation,13(2006)1419−1421に記載されている。
【0011】
Smith,M.R.ら,Molecular Cancer Therapeutics,3(12)(2004)1693−1699;及びRamanarayanan,J.ら,British Journal of Haematology,127(5)(2004)519−530は、タイプI抗CD20抗体(リツキシマブ)とアンチセンスBcl−2オリゴヌクレオチド(オブリメルセン)の併用を言及している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Valentine,M.A.ら,J.Biol.Chem.,264(19)(1989)11282−11287
【非特許文献2】Einfield,D.A.ら,EMBO J.,7(3)(1988)711−717
【非特許文献3】Anderson,K.C.ら,Blood,63(6)(1984)1424−1433
【非特許文献4】Tedder,T.F.ら,J,Immunol.,135(2)(1985)973−979
【非特許文献5】Komaromy,M.ら,NAR,11(1983)6775−6785
【非特許文献6】Tedder,T.F.ら,Eur.J.Immunol.,16(1986)881−887
【非特許文献7】Tedder,T.F.ら,J.Cell.Biochem.,14D(1990)195
【非特許文献8】Cragg,M.S.ら,Blood,103(2004)2738−2743
【非特許文献9】Cragg,M.S.ら,Blood,101(2003)1045−1052
【非特許文献10】Cory,S.,and Adams,J.M.,Nature Reviews Cancer,2(2002)647−656
【非特許文献11】Adams,Genes und Development,17(2003)2481−2495
【非特許文献12】Danial,N.N.,and Korsmeyer,S.J.,Cell,116(2004)205−219
【非特許文献13】Huang and Strasser,Ce11,103(2000)839−842
【非特許文献14】Chengら,Molecular Cell,8(2001)705−711
【非特許文献15】Wei,M.C.ら,Science,292(2001)727−730
【非特許文献16】Zong,W.X.ら,Genes and Development,15,148(2001)1−1486
【非特許文献17】Wang,K.,Genes and Development,15(2001)2922−2933
【非特許文献18】Green,D.R.,and Kroemer,G.,Science,305(2004)626−629
【非特許文献19】Sattlerら,Science,275(1997)983−986
【非特許文献20】Hsu,Y.T.ら,Journal of Biological Chemistry,272(1997)13289−13834
【非特許文献21】Wolter,K.G.ら,Journal of Cell Biology,139(1997)1281−92
【非特許文献22】Nechushtan,A.ら,EMBO Journal,18(1999)2330−2341
【非特許文献23】Suzukiら,Cell,103(2000)645−654
【非特許文献24】Schinzel,A.ら,J.Cell Bio1,164(2004)1021−1032
【非特許文献25】Lucken−Ardjomande,S.,and Martinou,J.C.,J.Cell Sci.,118(2005)473−483
【非特許文献26】Wei,M.C.ら,Genes und Development,14(2000)2060−2071
【非特許文献27】Kuwana,T.ら,Cell,111(2002)331−342
【非特許文献28】Roucou,X.ら,Biochemical Journal,368(2002)915−921
【非特許文献29】Cartron,P.F.ら,Mol Cell,16(2004)807−818
【非特許文献30】Oltvai,Z.N.ら,Cell,74(1993)609−619
【非特許文献31】Zha,H.,and Reed,J.,Journal of Biological Chemistry,272(1997)31482−88
【非特許文献32】Wang,K.ら,Molecular und Cellular Biology,18(1998)6083−6089
【非特許文献33】Mikhailov,V.ら,Journal of Biological Chemistry,276(2001)18361−18374
【非特許文献34】Lindsten,T.ら,Molecular Cell,6(2000)1389−1399
【非特許文献35】Zong,W.X.ら,Journal of Ce11 Biology,162(2003)59−69
【非特許文献36】Hsu,Y.T.ら,PNAS,94(1997)3668−3672
【非特許文献37】Antonsson,B.ら,Journal of Biological Chemistry,276(2001)11615−11623
【非特許文献38】Nechushtan,A.ら,Journal of Cell Biology,153(2001)1265−1276
【非特許文献39】Mikhailov,V.ら,Journal of Biological Chemistry,278(2003)5367−5376
【非特許文献40】Zhai,D.ら,Cell Death and Differentation,13(2006)1419−1421
【非特許文献41】Smith,M.R.ら,Molecular Cancer Therapeutics,3(12)(2004)1693−1699
【非特許文献42】Ramanarayanan,J.ら,British Journal of Haematology,127(5)(2004)519−530
【発明の概要】
【0013】
本発明では、治療を要する患者に対してタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを共投与することを含む癌を患っている患者の治療方法を提供する。共投与は同時投与であっても、任意の順序での順次投与であってもよい。
【0014】
本発明において使用するためのタイプII抗CD20抗体の例はGA101抗体である。
【0015】
実施形態では、タイプII抗CD20抗体は高い抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有している。
【0016】
実施形態では、タイプII抗CD20抗体のFc領域のオリゴ糖の少なくとも40%はフコシル化されていない。
【0017】
実施形態では、選択的Bcl−2インヒビターはGDC−0199(ABT−199としても公知)またはその医薬的に許容され得る塩である。
【0018】
実施形態では、癌は非固形腫瘍である。
【0019】
ある実施形態では、治療を要するヒトに対してGA101抗体及び/またはGDC−0199を複数の投与サイクルで投与することを含む前記ヒトにおける癌の治療方法が提供される。実施形態では、複数の投与サイクルの各投与サイクルは少なくとも1週間である。実施形態では、複数の投与サイクルの各投与サイクルは少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、または少なくとも6週間である。
【0020】
GA101抗体及びGDC−0199をヒトに対して複数の投与サイクルで投与する実施形態では、GA101抗体は複数の投与サイクルの1つ以上の投与サイクル中に1投与サイクルあたり1回投与し得る。1回で投与されるGA101の量は、例えば約300mg〜約3000mg、約500mg〜約3000mg、または約500mg〜約1200mgの範囲であり得る。
【0021】
GA101抗体及びGDC−0199をヒトに対して複数の投与サイクルで投与する実施形態では、GDC−0199は例えば複数の投与サイクルの1つ以上の投与サイクル中に1投与サイクルあたり毎日投与し得る。実施形態では、GDC−0199は初期投与サイクルの全ての日数よりも少ない日数投与され、初期投与サイクルに続く複数の投与サイクルの投与サイクルでは毎日投与する。1日あたりに投与されるGDC−0199の量は約10mg〜約1,000mg、約20mg〜約800mg、約20mg〜約500mg、または約50mg〜約300mgの範囲であり得る。
【0022】
実施形態では、GA101抗体及びGDC−0199を患者に対して複数の投与サイクルの少なくとも2、3、4、5、6、7、8、または8を超える投与サイクルで投与する。
【0023】
治療を要するヒトに対してGA101抗体及びGDC−0199の両方を複数の投与サイクルの最後の投与サイクル後複数の投与サイクルで投与することを含む前記ヒトにおいて癌を治療するために提供されている方法のある実施形態では、GA101抗体の非存在下でGDC−0199のみをヒトに対して投与しても、GDC−0199の非存在下でGA101抗体のみを患者に対して投与してもよい。例えば、(例えば、GDC−0199及びGA101抗体の両方をヒトに対して投与する複数の投与サイクルの最後のサイクルの後に)GDC−0199のみをヒトに対して投与する場合、GDC−0199をヒトに対して少なくとも3、4、5、6、7、8または9日間、または10日間以上、20日間以上、または30日間以上投与し得る。
【0024】
GA101抗体及びGDC−0199を患者に対して複数の投与サイクルで投与する提供されている方法の更に別の実施形態では、複数の投与サイクルはGDC−0199を患者対して段階的投与サイクルの間、漸増1日用量で投与する段階的投与サイクルを含む。
【0025】
本発明では、癌の治療用薬剤を製造するためのGDC−0199とGA101抗体との併用を提供する。本発明では、癌の治療用薬剤を製造するためのGA101抗体とGDC−0199の併用をも提供する。
【0026】
別の態様で、本発明では、ヒトにおいて癌を治療するためのGA101抗体及びGDC−0199の組合せを提供する。この組合せは例えばヒトに対して下記に記載する投与スケジュールに従って投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】タイプII抗CD20抗体(GA101抗体、この場合オビヌツズマブ)とBcl−2インヒビター(ABT−199,GDC−0199としても公知)の併用療法の抗腫瘍活性。x軸の下の矢印及び線はそれぞれGA101及びGDC−0199の投与の日を示す。
図2】GDC−199をオビヌツズマブと共に投与するための例示的投与スケジュール。
図3】GDC−199をオビヌツズマブと共に投与するための例示的投与スケジュール。
図4】単独でまたはGDC−0199と一緒に使用されるタイプII抗CD20抗体(オビヌツズマブ,RO5072759としても公知)、及び単独でまたはGDC−0199と一緒に使用されるタイプI抗CD20抗体(リツキシマブ)のヒトZ138マントル細胞リンパ腫細胞に対する抗腫瘍活性。
図5】GDC−0199とタイプII抗CD20抗体(GA101抗体、この場合オビヌツズマブ)を併用後のGDC−0199を用いる単剤治療が腫瘍再増殖を遅らすことを立証する侵襲性リンパ腫の異種移植片モデルからの結果。
【0028】
本発明は上記に記載した方法に関する。
【0029】
本発明は、治療を要するヒトに対して有効量のGA101抗体、または2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中投与した後、有効量のGA101抗体及び2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中共投与することを含む前記ヒトの治療方法にも関する。
【0030】
本発明は、治療を要するヒトに対して有効量のGA101抗体または2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドを0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間を投与した後、有効量のGA101抗体及び2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中共投与することを含む前記ヒトの治療方法にも関する。
【0031】
本発明は、有効量のGA101抗体を1、2、3、4、5、6または7日間投与した後、有効量のGA101抗体及び2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中共投与することを含むその必要があるヒトの治療方法にも関する。
【0032】
本発明は、有効量の2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1、2、3、4、5、6または7日間投与した後、有効量のGA101抗体及び2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中共投与することを含む治療を要するヒトの治療方法にも関する。
【0033】
本発明は、有効量のGA101抗体を1、2、3、4、5または6つのサイクル中投与期間毎に1回投与した後、有効量のGA101抗体を投与期間毎に1回、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中1日1〜3回共投与することを含むその必要があるヒトの治療方法にも関する。
【0034】
本発明は、有効量の2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1、2、3、4、5または6つの投与期間中1日1〜3回投与した後、有効量のGA101抗体を投与期間毎に1回、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を1つ以上の投与期間中1日1〜3回共投与することを含むその必要があるヒトの治療方法にも関する。
【0035】
本発明は、GA101抗体の有効量が500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900または3000mgであり、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩の有効量が10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990または1000mgである上記に記載した方法のいずれか1つにも関する。
【0036】
本発明は、GA101抗体の有効量が800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgであり、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩の有効量が50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290または300mgである上記に記載した方法のいずれか1つにも関する。
【0037】
本発明は、癌がNHLであり、GA101抗体の有効量が800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgであり、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩の有効量が50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790及び800mgである上記に記載した方法のいずれか1つにも関する。
【0038】
本発明は、癌がAMLであり、GA101抗体の有効量が800、900、1000、1100、1200、1300、1400または1500mgであり、2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩の有効量が50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790及び800mgである上記に記載した方法のいずれか1つにも関する。
【0039】
本発明は、GA101抗体及び2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミドまたはその医薬的に許容され得る塩を各投与期間中順次共投与し、各投与期間は5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日間である上記に記載した方法のいずれか1つにも関する。
【0040】
用語「抗体」は本明細書中で広義に使用されており、各種抗体構造が包含され、これらには、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を発揮する限り抗体断片が含まれる。
【0041】
本明細書中で使用されている用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち天然に存在する変異を含んでいるかまたはモノクローナル抗体調製物の作成中に生ずる考えられる変異抗体を除いて、集団を構成する個々の抗体は同一であり及び/または同一エピトープに結合し、前記変異体は通常少量存在している。典型的には各種決定基(エピトープ)に対する各種抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は抗原上の1つの決定基に向いている。よって、修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質の集団から得られる抗体の特徴を指し、特定の方法による抗体の作成を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用しようとするモノクローナル抗体は各種技術により作成され得、これらにはハイブリドーマ方法、組換えDNA方法、ファージディスプレー方法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含んでいるトランスジェニック動物を利用する方法が含まれるが、これらに限定されない。モノクローナル抗体を作成するためのこれらの方法及び他の例示的方法は本明細書中に記載されている。
【0042】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体はモノクローナル抗体である。
【0043】
用語「キメラ抗体」は、通常組換えDNA技術により作成される1つのソースまたは種由来の可変領域、すなわち結合領域及び異なるソースまたは種から誘導される定常領域の少なくとも一部を含むモノクローナル抗体を指す。マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が特に好ましい。前記したマウス/ヒトキメラ抗体はマウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメント及びヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む発現免疫グロブリン遺伝子の産物である。本発明に包含される他の形態の「キメラ抗体」は、クラスまたはサブクラスが元の抗体の形態のものから修飾または改変されているものである。「キメラ抗体」は「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体を作成する方法は当業界で公知の慣用の組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison,S.L.ら,Proc.Natl.Acad Sci.USA,81(1984)6851−6855;US 5,202,238及びUS 5,204,244を参照されたい。
【0044】
用語「ヒト化抗体」は、フレームワークまたは「相補性決定領域」(CDR)が親免疫グロブリンと比較して異なる特異性を有する免疫グロブリンのCDRを含むように修飾されている抗体を指す。好ましい実施形態では、「ヒト化抗体」を作成するためにマウスCDRがヒト抗体のフレームワーク領域にグラフト化されている。例えば、Riechmann,L.ら,Nature,332(1988)323−327;及びNeuberger,M.S.ら,Nature,314(1985)268−270を参照されたい。特に好ましいCDRは、キメラ及び二官能性抗体について上述した抗原を認識する配列を示すCDRに相当する。
【0045】
本明細書中で使用されている用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有する抗体を含むと意図される。ヒト抗体は当業界で公知である(van Dijk,M.A.,and van de Winkel,J.G.,Curr.Opin.Pharmacol.,5(2001)368−374)。前記テクノロジーに基づいて、多種多様の標的に対するヒト抗体を作成し得る。ヒト抗体の例は、例えばKellermann,S.A.ら,Curr Opin Biotechnol.,13(2002)593−597に記載されている。
【0046】
本明細書中で使用されている用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段により産生、発現、作成または単離されるすべてのヒト抗体、例えば宿主細胞(例えば、NS0またはCHO細胞)またはヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックな動物(例えば、マウス)から単離した抗体、または宿主細胞にトランスフェクトした組換え発現ベクターを用いて発現させた抗体を含むと意図される。組換えヒト抗体は再配列形態のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有している。本発明に従う組換えヒト抗体はインビボ体細胞超変異を受けている。よって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VH及びVL配列に由来し、これらに関連しているが、インビボでヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に本来存在していないことがある配列である。
【0047】
本明細書中で使用されている「特異的に結合する」または「に対して特異的に結合する」は、望ましくないまたは非特異的な標的(例えば、ヒトCD20に特異的に結合する抗体)に対する結合から区別されるように標的に対して十分選択的である結合を指す。1つの実施形態では、本発明のGA101抗体はヒトCD20に対して≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば10−8M〜10−13M、例えば10−9M〜10−13M)の結合親和性(Kd)を有している。更に別の実施形態では、KDは10−10mol/l以下(例えば、10−12mol/l)である。結合親和性は標準結合アッセイ、例えばCD20発現細胞でのスキャッチャードプロット分析で調べられる。
【0048】
本明細書中で使用されている用語「核酸分子」は、DNA分子及びRNA分子を含むと意図される。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得る。1つの実施形態では、核酸分子は二本鎖DNAである。
【0049】
「定常ドメイン」は、抗体の抗原への結合に直接に関与しないが、エフェクター機能(ADCC、補体結合及びCDC)に関与している。
【0050】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。自然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は通常類似の構造を有しており、各ドメインは4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む(例えば、Kindtら,Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,p.91(2007)を参照されたい)。
【0051】
本明細書中で使用されている用語「超可変領域」または「HVR」は、配列が超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」)、及び/または構造的に規定されているループ(「超可変ループ」)を形成し、及び/または抗原含有残基(「抗原コンタクト」)を含有している抗体可変ドメインの領域の各々を指す。通常、抗体は6つのHVRを含み、すなわちVH中に3つ(H1、H2、H3)のHVR、VL中に3つ(L1、L2、L3)のHVRを含む。本発明におけるHVRの例には、
(a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3)に存在する超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987));
(b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3)に存在するCDR(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda、MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)及び93−101(H3)に存在する抗原コンタクト(MacCallumら,J.Mol.Biol.,262:732−745(1996));及び
(d)HVRアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)及び94−102(H3)を含めた(a)、(b)及び/または(c)の組合せ;
が含まれる。
【0052】
当業界で認識されているCD20の同義語には、Bリンパ球抗原CD20、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16、Bp35、BM5及びLF5が含まれる。
【0053】
本発明に従う用語「抗CD20抗体」はCD20抗原に特異的に結合する抗体である。抗CD20抗体のCD20抗原に対する結合特性及び生物学的活性に応じて、2つのタイプの抗CD20抗体(タイプI及びタイプII抗CD20抗体)がCragg,M.S.ら,Blood,103(2004)2738−2743;及びCragg,M.S.ら,Blood,101(2003)1045−1052に従って区別され得る(表2を参照されたい)。
【0054】
【表2】
【0055】
タイプI及びタイプII抗CD20抗体の1つの特性はその結合モードである。タイプI及びタイプII抗CD20抗体は、ラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)上のCD20に対する結合能をリツキシマブと比較した抗CD20抗体の比により分類され得る。
【0056】
タイプII抗CD20抗体は、0.3〜0.6、1つの実施形態では0.35〜0.55、別の実施形態では0.4〜0.5のラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)上のCD20に対する結合能をリツキシマブと比較した抗CD20抗体の比を有している。タイプII抗CD20抗体の例には、例えばトシツモマブ(B1 IgG2a)、GA101抗体IgG1(WO 2005/044859に開示されているキメラヒト化IgG1抗体)、11B8 IgG1(WO 2004/035607に開示されている)及びAT80 IgG1が含まれる。1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体(WO 2005/044859に開示されている)はGA101抗体と同一のエピトープに結合しているモノクローナル抗体である。
【0057】
「ラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)上のCD20に対する結合能をリツキシマブと比較した抗CD20抗体の比」は、実施例2に記載されているようにラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)を用いるFACSArray(Becton Dickinson)においてCy5とコンジュゲートした抗CD20抗体及びCy5とコンジュゲートしたリツキシマブを用いて直接免疫蛍光測定(平均蛍光強度(MFI)を測定する)により調べ、以下のように計算する:
【0058】
【数1】
【0059】
MFIは平均蛍光強度を意味する。本明細書中で使用されている「Cy5標識比」は分子抗体あたりのCy5標識分子の数を意味する。
【0060】
典型的には、タイプII抗CD20抗体は、0.3〜0.6、1つの実施形態では0.35〜0.55、更に別の実施形態では0.4〜0.5のラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)上のCD20に対する結合能をリツキシマブと比較した第2抗CD20抗体の比を有している。
【0061】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体、例えばGA101抗体は高い抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有している。
【0062】
「高い抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有する抗体」とは、当業者に公知の適当な方法により測定して高いADCCを有している抗体を意味し、抗体の用語は本明細書中に規定されている。1つの認められているインビトロADCCアッセイは次の通りである:
1)アッセイは、抗体の抗原結合領域により認識される標的抗原を発現することが公知の標的細胞を使用する;
2)アッセイは、ランダムに選択した健康なドナーの血液から単離したヒト末梢血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として使用する;
3)アッセイは以下のプロトコルに従って実施する:
i)PBMCを標準の密度遠心手順を用いて単離し、RPMI細胞培地中に5×10細胞/mlで懸濁させる;
ii)標的細胞を標準組織培養方法により増殖させ、90%を超える生存度で指数的増殖期から収集し、RPMI細胞培地で洗浄し、100マイクロキューリーの51Crで標識し、細胞培地で2回洗浄し、細胞培地に10細胞/mlの密度で再懸濁させる;
iii)100μlの上記最終標的細胞懸濁液を96ウェルのマイクロタイタープレートの各ウェルに移す;
iv)抗体を細胞培地で4000ng/mlから0.04ng/mlに連続希釈し、50μlの生じた抗体溶液を96ウェルのマイクロタイタープレート中の標的細胞に添加し、上記に記載した全濃度範囲をカバーする各種抗体濃度で3回試験する;
v)最大放出(MR)対照のために、標識標的細胞を収容しているプレート中の3つの追加ウェルに抗体溶液(上のポイントiv)の代わりに50μlの非イオン性洗剤(Nonidet,セントルイスに所在のSigma)の2%(VN)水溶液を入れる;
vi)自然放出(SR)対照のために、標識標的細胞を収容しているプレート中の3つの追加ウェルに抗体溶液(上のポイントiv)の代わりに50μlのRPMI細胞培地を入れる;
vii)次いで、96ウェルのマイクロタイタープレートを50×gで1分間遠心し、4℃で1時間インキュベートする;
viii)25:1のエフェクター:標的細胞比を生ずるように各ウェルに50μlのPBMC懸濁液(上のポイントi)を添加し、プレートをインキュベータ中に5% CO雰囲気下37℃で4時間置く;
ix)各ウェルからの無細胞上清を収集し、実験的に放出させた放射能(ER)をガンマカウンターを用いて定量化する;
x)抗体濃度毎に特異的溶解のパーセンテージを式(ER−MR)/(MR−SR)×100に従って計算する。ここで、ERはその抗体濃度について定量した平均放射能(上のポイントixを参照されたい)であり、MRはMR対照(上のポイントVを参照されたい)について定量した平均放射能(上のポイントixを参照されたい)であり、SRはSR対照(上のポイントviを参照されたい)について定量した平均放射能(上のポイントixを参照されたい)である。
4)「高いADCC」は、上で試験した抗体濃度範囲内で観察された特異的溶解の最大パーセンテージの増加、及び/または上で試験した抗体濃度範囲内で観察された特異的溶解の最大パーセンテージの半分を達成するのに必要な抗体の濃度の減少として定義される。1つの実施形態では、ADCCの増加は、コンパレーター抗体(高いADCCを欠く)をGnTIIIを過剰発現するように工学処理した及び/またはフコシルトランスフェラーゼ8(FUT8)遺伝子からの低い発現を有するように工学処理した(例えば、FUT8ノックアウトについて工学処理したものを含む)宿主細胞より産生されなかったことを除いて、当業者に公知の同一の標準産生、精製、処方及び保存方法を用いて上記アッセイで調べ、同一抗体により媒介され、同一タイプの宿主細胞により産生されたADCCに対している。
【0063】
「高いADCC」は、例えば前記抗体を突然変異させる及び/または糖鎖工学処理することにより得られ得る。1つの実施形態では、抗体を、例えばWO 2003/011878(Jean−Mairetら);US特許No.6,602,684(Umanaら);US 2005/0123546(Umanaら);Umana,P.ら,Nature Biotechnol.,17(1999)176−180においてGlcNAcにより二分される抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖を有するように糖鎖工学処理する。別の実施形態では、抗体をタンパク質フコシル化を欠く宿主細胞(例えば、Lec13 CHO細胞またはα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子(FUT8)欠失またはFUT遺伝子発現ノックダウンを有する細胞(例えば、Yamane−Ohnukiら,Biotech.Bioeng.,87:614(2004);Kanda,Y.ら,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680−688(2006);及びWO 2003/085107を参照されたい)において抗体を発現させることによりFc領域に結合させた炭水化物上にフルコースを欠くように糖鎖工学処理する。更に別の実施形態では、抗体配列をそのFc領域においてADCCを強化するように工学処理されている(例えば、1つの実施形態では、前記工学処理した抗体バリアントはFc領域の298、333及び/または334(残基のEUナンパリング)に1つ以上のアミノ酸置換を有しているFc領域を含む)。
【0064】
用語「補体依存性細胞傷害性(CDC)」は、補体の存在下での本発明に従う抗体によるヒト腫瘍標的細胞の溶解を指す。CDCは、CD20発現細胞の調製物を補体の存在下で本発明に従う抗CD20抗体を用いて処理することにより調べられ得る。抗体が100nMの濃度で4時間後腫瘍細胞の20%以上の溶解(細胞死)を誘発するならば、CDCが見られる。1つの実施形態では、アッセイは51CrまたはEu標識腫瘍細胞を用いて実施され。放出された51CrまたはEuを測定する。対照は補体を含むが、抗体を含まない腫瘍標的細胞のインキュベーションを含む。
【0065】
本明細書中で使用されている用語「GA101抗体」は、ヒトCD20に結合する以下の抗体:(1)配列番号1のアミノ酸配列を含むHVR−H1、配列番号2のアミノ酸配列を含むHVR−H2、配列番号3のアミノ酸配列を含むHVR−H3、配列番号4のアミノ酸配列を含むHVR−L1、配列番号5のアミノ酸配列を含むHVR−L2及び配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR−L3を含む抗体;(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号8のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む抗体;(3)配列番号9のアミノ酸配列及び配列番号10のアミノ酸配列を含む抗体;(4)オビヌツズマブとして公知の抗体;または(5)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体;のいずれか1つを指す。1つの実施形態では、GA101抗体はIgG1イソタイプ抗体である。
【0066】
オリゴ糖成分は、治療用糖タンパク質の効果に関連する特性、例えば物理的安定性、プロテアーゼ攻撃に対する耐性、免疫系との相互作用、薬物動態及び具体的生理学的活性に大きく影響を及ぼし得る。前記特性はオリゴ糖の存在または不在だけでなく、オリゴ糖の特殊構造に依存し得る。オリゴ糖構造と糖タンパク質間で幾つかの普遍化がなされ得る。例えば、あるオリゴ糖構造は特定の炭水化物結合タンパク質との相互作用による血流からの糖タンパク質の急速クリアランスを媒介するが、他のオリゴ糖構造は抗体により結合し、望ましくない免疫反応をトリガーし得る(Jenkins,N.,ら,Nature Biotechnol.,14(1996)975−981)。
【0067】
哺乳動物細胞は、ヒト適用のために最も適合性の形態でタンパク質をグリコシル化する能力のために治療用糖タンパク質の製造のための好ましい宿主である(Cumming,D.A.,ら,Glycobiology,1(1991)115−130;Jenkins,N.,ら,Nature Biotechnol.,14(1996)975−981)。細菌は非常にまれにしかタンパク質をグリコシル化せず、酵母、糸状菌、昆虫及び植物細胞のような類似の他のタイプの宿主は血流からの迅速クリアランス、望ましくない免疫相互作用、幾つかの特定の場合の低い生物学的活性に関連するグリコシル化パターンを生ずる。哺乳動物細胞の中で、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞が最近20年の間最も一般的に使用されている。適当なグリコシル化パターンを与えることに加えて、これらの細胞により、遺伝的に安定で高い産生性のクローン細胞株が常に作成される。これらは無血清培地を用いて簡単なバイオリタクターで高密度まで培養され得、安全且つ再現性あるバイオプロセスを開発することができる。他の通常使用される動物細胞には、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、NSO−及びSP2/0−マウスミエローマ細胞が含まれる。より最近では、トランスジェニック動物からの産生も試験されている(Jenkins,N.ら,Nature Biotechnol.,14(1996)975−981)。
【0068】
すべての抗体が重鎖定常領域中の保存位置に炭水化物構造を含んでおり、各イソタイプはタンパク質集合、分泌または機能活性に不定に影響を与えるN結合炭水化物構造の別個のアレーを有している(Wright,A.,and Monison,S.L.,Trends Biotech.,15(1997)26−32)。結合しているN結合炭水化物の構造はプロセッシングの程度に応じて大きく異なり、高マンノース、多分岐及び二分岐複合オリゴ糖が含まれ得る(Wright,A.,and Morrison,S.L.,Trends Biotech.,15(1997)26−32)。典型的には、モノクローナル抗体が複数の糖型として存在するように特定のグリコシル化部位で結合しているコアオリゴ糖構造の不均一プロセッシングがある。同様に、細胞株間で抗体グリコシル化に大きな違いがあり、異なる培養条件下で増殖させた所与の細胞株で小さな差も見られることが判明している(Lifely,M.R.ら,Glycobiology,5(1995)813−822)。
【0069】
簡単な産生方法を維持し、重要な望ましくない副作用を潜在的に避けながら、効力を大きく増加させるための1つの方法は、Umana,P.,ら,Nature Biotechnol.,17(1999)176−180及びUS 6,602,684に記載されているようにオリゴ糖成分を工学処理することによりモノクローナル抗体の天然細胞媒介エフェクター機能を強化することである。癌免疫療法において最も一般的に使用されている抗体であるIgG1タイプ抗体は各CH2ドメイン中のAsn297に保存N結合グリコシル化部位を有している糖タンパク質である。Asn297に結合している2つの複合型二分岐オリゴ糖はCH2ドメイン間で埋められて、ポリペフーチド骨格を有する広いコンタクトを形成し、その存在は抗体依存性細胞傷害性(ADCC)のようなエフェクター機能を媒介するために抗体にとって必須である(Lifely,M.R.ら,Glycobiology,5(1995)813−822;Jefferis,R.ら,Immunol.Rev.,163(1998)59−76;Wright,A.,and Morrison,S.L.,Trends Biotechnol.,15(1997)26−32)。
【0070】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において二分オリゴ糖の形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼであるβ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(”GnTIII)を過剰発現させると、工学処理したCHO細胞により産生される抗神経芽腫キメラモノクローナル抗体(chCE7)のインビトロADCC活性が大きく増加することは既に判明していた(全文を参照により本明細書に組み入れるUmana,P.ら,Nature Biotechnol.,17(1999)176−180;及びWO 99/154342を参照されたい)。抗体chCE7は、高い腫瘍親和性及び特異性を有するが、GnTIII酵素を欠く標準の産業細胞株において産生したとき臨床的に有用である可能性が少ないコンジュゲートされていないモノクローナル抗体の大きなクラスに属している(Umana,P.ら,Nature Biotechnol.,17(1999)176−180)。この研究は、まずADCC活性の大きな増加がGnTIIIを発現するように抗体産生細胞を工学処理することにより得られ得、二分非フコシル化オリゴ糖を含めた定常領域(Fc)に関連する二分オリゴ糖の割合を天然に存在する抗体で見られるレベル以上に増加させる。
【0071】
1つの実施形態では、本発明のGA101抗体を含む組成物は高いADCC活性を有するように工学処理したGA101抗体を含む。
【0072】
本明細書中で使用されている用語「Bcl−2」は、タンパク質のBcl−2ファミリーのメンバーであるBcl−2タンパク質(Swiss Prot ID No.P10415)を指す(Cory,S.,and Adams,J.M.,Nature Reviews Cancer,2(2002)647−656;Adams,Genes und Development,17(2003)2481−2495;Danial,N.N.,and Korsmeyer,S.J.,Cell,116(2004)205−219;Petros、A.M.,Biochim Biophys Acta,1644(2004)83−94)。
【0073】
本明細書中で使用されている用語「選択的Bcl−2インヒビター」は、参照により本明細書に組み入れる国際公開WO2010/138588及び米国特許公開NO.US2010/0305122に記載されている式IのBcl−2インヒビターである2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)−4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチルシクロヘキサ−1−エニル)メチル)ピペラジン−1−イル)−N−(3−ニトロ−4−((テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)メチルアミノ)フェニルスルホニル)ベンズアミド(ABT−199またはGDC−0199としても公知)を指す。
【0074】
【化1】
【0075】
用語「CD20抗原の発現」は、細胞、例えばTまたはB細胞におけるCD20抗原の有意なレベルの発現を示すと意図される。1つの実施形態では、本発明の方法に従って治療しようとする患者はB細胞腫瘍または癌上のCD20を有意なレベルで発現する。「CD20発現癌」を有している患者は当業界で公知の標準アッセイにより調べられ得る。例えば、CD20抗原発現は免疫組織化学的(IHC)検出、FACSを用いて、または対応するmRNAのPCRベース検出により調べられ得る。
【0076】
本明細書中で使用されている用語「CD20発現癌」は、癌細胞がCD20抗原の発現を示す全ての癌を指す。CD20発現癌は、例えばリンパ腫、リンパ球性白血病、肺癌、非小細胞性肺(NSCL)癌、細気管支肺胞性細胞肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸部癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中皮腫、肝細胞癌、胆道癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、脊髄軸の腫瘍、脳幹グリオーマ、多形性膠芽細胞腫、星状膠細胞腫、神経鞘腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌、下垂体腺腫であり得、上記癌のいずれかの難治性のもの、或いは1つ以上の上記癌の組合せが含まれる。
【0077】
1つの実施形態では、本明細書中で使用されているCD20発現癌は、リンパ腫(例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))及びリンパ球性白血病を指す。リンパ腫及びリンパ球性白血病には、他のタイプのリンパ腫及びリンパ球性白血病の中で、例えばa)濾胞性リンパ腫、b)小型非切れ込み核細胞リンパ腫/バーキットリンパ腫(地方病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫及び非バーキットリンパ腫を含む)、c)辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(粘膜関連リンパ組織リンパ腫,MALT)、節性辺縁帯B細胞リンパ腫及び脾臓辺縁帯リンパ腫を含む)、d)マントル細胞リンパ腫(MCL)、e)大細胞リンパ腫(B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、びまん性混合細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫−肺B細胞リンパ腫を含む)、f)ヘアリーセル白血病、g)リンパ球性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、h)急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、i)プラズマ細胞腫瘍、プラズマ細胞ミエローマ、多発性骨髄腫、プラズマ細胞腫、j)ホジキン病、k)急性骨髄性白血病(AML)が含まれる。
【0078】
1つの実施形態では、CD20発現癌はB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。別の実施形態では、CD20発現癌はマントル細胞リンパ腫(MCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、B細胞びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、急性骨髄性白血病(AML)、バーキットリンパ腫、ヘアリーセル白血病、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、移植後リンパ球増殖性疾患(PTLD)、HIV関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症または原発性CNSリンパ腫である。
【0079】
本明細書中で使用されている「再発性または難治性」CLLには、少なくとも1つの事前の化学療法含有治療レジメンを受けたCLL患者が含まれる。再発性患者は、通常事前の化学療法含有治療レジメンに応答した後発現した進行性疾患を有している。難治性患者は通常6ヶ月以内に最後の事前の化学療法含有レジメンに対して応答しなかったか、または再発した。
【0080】
本明細書中で使用されている「未治療の」CLLには、CLLと診断されたが、通常事前の化学療法または免疫療法を受けていない患者が含まれる。救急、局所限局放射線療法(例えば、圧迫サインまたは症状を軽減するために)、またはコルチコステロイドの病歴を有する患者はまだ治療を受けていないとみなされ得る。
【0081】
本明細書中で使用されている用語「治療する」は、別の指示がない限り、患者において腫瘍の増殖、腫瘍転移、または他の発癌性または腫瘍性細胞の進行を部分的または完全に逆転、緩和、抑制すること、或いはそれらを部分的または完全に防止することを意味する。本明細書中で使用されている用語「治療」は、別の指示がない限り、治療行為を指す。
【0082】
例えば癌に対して適用される場合、用語「治療方法」またはその均等用語は、患者の癌細胞の数を減少させるか除去するか、或いは癌の症状を緩和することを意図している作用の手順または過程を指す。癌または別の増殖性疾患の「治療方法」は、必ずしも癌細胞または他の疾患が実際に除去されること、細胞の数または疾患が実際に減ること、または癌または他の疾患が実際緩和されることを意味しない。多くの場合、癌の治療方法は成功の可能性が低くても実施されるが、患者の病歴及び推定平均余命を考えれば作用の全体的に有利な過程を誘導すると見なされている。用語「共投与」または「共投与する」は、タイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを2つの別々の製剤として投与することを指す。共投与は同時でも、いずれかの順序での順次でもよい。1つの更なる実施形態では、両方(または、全ての)活性物質が同時にその生物学的活性を発揮している期間がある。タイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを同時にまたは順次静脈内(i.v.)により共投与する(例えば、連続注入中(抗体に対して、最終的にはBcl−2インヒビターに対して;またはBcl−2インヒビターは経口投与する)。両治療薬を順次共投与する場合、これらの治療薬を「特定期間」あけて2つの別々の投与で投与する。用語「特定期間」は1時間〜15日間を意味する。例えば、治療薬の1つを他の治療薬の投与から約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1日、または24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1時間以内に投与し得、1つの実施形態では特定期間は10、9、8、7、6、5、4、3、2または1日間、または24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1時間である。
【0083】
用語「同時に」は、同時に、または短期間内、通常1時間未満内を意味する。
【0084】
本明細書中で使用されている投与期間は、各治療薬を少なくとも1回投与する期間を意味する。投与サイクルは通常約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30日間であり、1つの実施形態では6、7、8、9、10、11、12、13または14日間、例えば7または14日間である。
【0085】
ある実施形態では、投与期間は投与サイクルである。
【0086】
抗体を患者に対して研究者、獣医、医師または他の臨床医が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す各化合物または組合せの量である「治療有効量」(または、単に「有効量」)で投与することは自明である。有効量の治療薬の投与は1回投与または分割用量投与であり得る。「分割用量投与」は、有効量を複数の用量に、好ましくは2つに分割し、好ましくは1または2日以内に投与することを意味する。例えば、100mgの選択的BCL−2インヒビターが有効であると見なされたならば、100mgを1回投与しても、50mgを2回投与してもよい。副作用を減らすために分割用量を投与期間の始めに投与することが時々望ましい。有効用量を分割用量で投与する場合でも、有効量の1回投与も考えられる。例えば、100mgが選択的Bcl−2インヒビターの有効量であり、ある期間にわたり、例えば2日間にわたって50mg用量を2回投与する場合、有効量を期間中に1回しか投与しない。
【0087】
タイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビターの共投与の量及び共投与のタイミングは、治療対象の患者のタイプ(種、性別、年齢、体重等)及び状態、及び治療対象の疾患または状態の重症度に依存する。適当には、タイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビターを患者に対して1回で、または一連の治療にわたって共投与する。疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜50mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)のタイプII抗CD20抗体及び0.1mg/kg〜200mg/kg(例えば、10〜150mg/kg)の選択的Bcl−2インヒビターが患者に対して両薬物を共投与するための初期候補用量である。投与が静脈内であるならば、タイプII抗CD20抗体またはBcl−2インヒビターの初期注入時間はその後の注入時間より長くてもよく、例えば初期注入では約90分、その後の注入では約30分である(初期注入が十分に耐えられるならば)。
【0088】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体の好ましい用量は約0.05mg/kg〜約30mg/kg、好ましくは1mg/kg〜30mg/kgの範囲であり、または500mg〜3000mg均一用量である。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、10mg/kgまたは30mg/kgの1つ以上の用量、或いは500mg〜3000mg均一用量(または、その組合せ)を患者に対して共投与し得る。Bcl−2インヒビターの好ましい用量は20mg/kg〜約150mg/kg、好ましくは1mg/kg〜10mg/kgの範囲であり得る。患者のタイプ(種、性別、年齢、体重等)及び状態、並びに抗CD20抗体及びBcl−2インヒビターのタイプに応じて、抗CD20抗体の用量及び投与スケジュールはBcl−2インヒビターの用量とは異なり得る。例えば、抗CD20抗体を例えば1〜3週間毎に1回、Bcl−2インヒビターを毎日または2〜7日毎に投与し得る。最初に高い負荷量、次いで1つ以上のより低い用量を投与してもよい。
【0089】
本発明は、一部、タイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを含む組成物に関する。
【0090】
好ましい実施形態では、本発明の組成物はCD20発現癌を患っている患者における転移または更なる播種を予防または抑制するために有用である。この組成物は前記患者の生存期間の延長、前記患者の無憎悪生存期間の延長、応答期間の延長のために有用であり、その結果生存期間、無憎悪生存期間、応答率または応答期間により調べて治療患者の統計的に有意であり且つ臨床的に有意義な改善が生ずる。好ましい実施形態では、組成物は患者群の応答を高めるために有用である。
【0091】
本発明では、CD20発現癌のタイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビター併用療法において前記物質(例えば、サイトカイン)の効果を高める追加の細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤または化合物を使用し得る。好適には、前記分子は意図する目的のために有効である量で組み合わせて存在させる。好ましくは、前記物質の効果を高める追加の細胞傷害剤、化学療法剤または抗癌剤または化合物なしで、タイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビター併用療法を使用する。
【0092】
前記物質には、例えばアルキル化作用を有するアルキル化剤、例えばシクロホスファミド(CTX;例えばシトキサン(R))、クロラムブシル(CHL;例えばロイケラン(R))、シスプラチン(CisP;例えばプラチノール(R))、ブスルファン(例えば、マイレラン(R))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンC等;代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート(MTX)、エトポシド(VP16;例えばベペシド(R))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えばゼローダ(R))、ダカルバジン(DTIC)等;抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR;例えばアドリアマイシン(R))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン等;アルカロイド、例えばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチン等のようなビンアルカロイド;及び他の抗腫瘍剤、例えばパクリタキセル(例えばタキソール(R))及びパクリタキセル誘導体、細胞増殖抑制剤、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン(DEX;例えばデカドロン(R)))及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、ヌクレオシド酵素阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素)、アミノ酸枯渇酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、ロイコボリン及び他の葉酸誘導体、並びに類似の各種抗腫瘍剤が含まれる。追加物質として、アミホスチン(例えばエチヨル(R))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ニトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えばドキシル(R))、ゲムシタビン(例えばジェムザール(R))、ダウノルビシンリポ(例えばダウノキソーム(R))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えばタキソテレ(R))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT 11(イリノテカン)、10−ヒドロキシ7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンβ、インターフェロンα、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペグアスパラガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルも使用し得る。好ましくは、前記追加物質なしでタイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビター併用療法を使用する。
【0093】
化学療法レジメンにおける上記に記載した細胞傷害剤及び抗癌剤、並びにタンパク質キナーゼ阻害剤のような抗増殖性標的特異的抗癌剤の使用は通常癌治療業界で十分に特徴づけられており、本発明でのその使用は若干の調節はあるが、耐性及び有効性をモニターするため及び投与ルート及び用量をコントロールするために同様に考慮される。例えば、細胞傷害剤の実際の用量は、組織培養方法を用いて調べられる患者の培養細胞応答に依存して異なり得る。通常、用量は追加の他の物質の非存在下で使用される量に比して低減される。
【0094】
有効な細胞傷害剤の典型的な用量は製造業者が推奨している範囲であり得、動物モデルでの1つ以上のインビドロ応答が示されている場合には最高約1桁の濃度または量まで低減され得る。よって、実際の用量は医師の判断、患者の状態、及び初代培養した悪性細胞または組織培養した組織サンプルのインビトロ応答性または適切な動物モデルで観察される応答に基づく治療方法の有効性に依存している。
【0095】
本発明では、CD20発現癌のタイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビター併用療法に加えて、有効量の電離放射線を実施し得及び/または放射性医薬品を使用し得る。放射線源は治療対象の患者の外部または内部のいずれでもよい。放射線源が患者の外部の場合には、治療は体外放射線療法(EBRT)として公知である。放射線源が患者の内部の場合には、治療は小線源治療(BT)と呼ばれている。本発明で使用するための放射性原子は、非限定的にラジウム、セシウム137、イリジウム192、アメリシウム241、金198、コバルト57、銅67、テクネチウム99、ヨウ素123、ヨウ素131及びインジウム111を含む群から選択され得る。抗体を放射性同位元素で標識することも可能である。電離放射線なしでタイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビター併用療法を使用することが好ましい。
【0096】
放射線療法は、切除不能または手術不能な腫瘍及び/または腫瘍転移をコントロールするための標準治療である。放射線療法を化学療法と併用すると、向上した結果が見られた。放射線療法は、高量の放射線を標的エリアにデリバリーすると腫瘍及び正常組織の両方中の生殖細胞が死亡するという原理に基づいている。放射線投与レジメンは通常放射線吸収用量(Gy)、時間及び分割の点で規定されており、腫瘍医により注意深く規定されなければならない。患者が受ける放射線の量は各種の考慮すべき要件に依存するが、2つの最も重要なことは身体の他の重要な構造または臓器に対する腫瘍の位置、及び腫瘍が広がっている程度である。放射線療法を受けている患者に対する典型的な治療コースは1〜6週間にわたる治療スケジュールであり、患者に対して10〜80Gyの範囲の全量を約1.8〜2.0Gyの1回の1日分量で1週間に5日投与する。本発明の好ましい実施形態では、ヒト患者の腫瘍を本発明の併用療法と放射線で治療するときに相乗的である。換言すると、本発明の組合せを含む物質を用いる腫瘍増殖の抑制が放射線、場合により追加の化学療法剤または抗癌剤と組み合わせたときに増強される。アジュバント放射線療法のパラメーターは、例えばWO 99/60023に含まれている。
【0097】
タイプII抗CD20抗体は患者に対して公知方法に従って、ボーラスとして静脈内投与により、長期間にわたる連続注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内または髄腔内ルートにより投与される。抗体の静脈内または皮下投与が好ましい。
【0098】
Bcl−2インヒビターは患者に対して公知方法に従って、例えばボーラスとして静脈内投与により、長期間にわたる連続注入により、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内または経口ルートにより投与される。Bcl−2インヒビターの静脈内、皮下または経口投与が好ましい。
【0099】
本発明は、CD20発現癌を患っている患者の併用療法のためのタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを含むキットにも関する。
【0100】
本発明の実施形態では、キットは更に医薬的に許容され得る担体を含む。キットは更に、好ましくは別の追加容器中に保存されている滅菌希釈剤を含み得る。キットは更に、
CD20発現癌疾患、好ましくはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する方法としての併用療法の使用に関する添付文書を含み得る。
【0101】
用語「添付文書」は、医薬品の使用に関する適応症、使用法、用量、投与、禁忌及び/または警告についての情報を含み得る医薬品の市販の箱の中に通常入っている指示書を指す。
【0102】
好ましい実施形態では、製品容器は更に医薬的に許容され得る担体を含み得る。製品は更に、好ましくは別の追加容器中に保存されている滅菌希釈剤を含み得る。
【0103】
本明細書中で使用されている「医薬的に許容され得る担体」は、医薬投与に適合している全ての材料、例えば溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌及び抗真菌剤、等張・吸収遅延剤、並びに医薬投与に適合している他の材料及び化合物を含むと意図される。慣用の媒体または物質が活性化合物と適合性でない限りを除いて、本発明の組成物中でのその使用も考えられる。補助の活性化合物を組成物中に配合してもよい。
【0104】
医薬組成物及び方法
医薬組成物は、本発明に従うタイプII抗CD20抗体または抗Bcl−2活性物質を医薬的に許容され得る無機または有機担体を用いて加工することにより得られ得る。錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用の担体として、例えばラクートース、トウモロコシ澱粉またはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩等が使用され得る。軟ゼラチンカプセル剤用の適当な担体は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である。しかしながら、軟ゼラチンカプセル剤の場合活性物質の種類に応じて担体は通常必要でない。溶液剤及びシロップ剤を製造するための適当な担体は、例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。座剤用の適当な担体は、例えば天然または硬化油、ワックス、脂肪、半液体または液体ポリオール等である。
【0105】
医薬組成物は更に保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤または抗酸化剤を含有し得る。医薬組成物は更に他の治療上有用な物質をも含有し得る。
【0106】
医薬組成物は更に1つ以上の医薬的に許容され得る担体を含み得る。
【0107】
本発明は更に、(i)有効な第1量のタイプII抗CD20抗体または(ii)有効な第2量の選択的Bcl−2インヒビターを含む特に癌に使用するための医薬組成物を提供する。前記組成物は場合により医薬的に許容され得る担体及び/または賦形剤を含む。
【0108】
本発明に従って単独で使用されるタイプII抗CD20抗体の医薬組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液剤の場合には保存のために所望の純度を有する抗体を任意の医薬的に許容され得る担体、賦形剤または安定化剤と混合することにより製造される(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol、A.Ed.(1980))。許容され得る担体、賦形剤または安定化剤は使用される用量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、その中には緩衝剤、例えばリン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びメチオニン;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシン;単糖、二糖及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノースまたはデキストリン;キレート化剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成性対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn−タンパク質複合体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン(TM)、プルロニックス(TM)またはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0109】
抗Bcl−2活性物質単独、例えばBcl−2インヒビターの医薬組成物はその医薬特性に依存する。例えば、ABT−737、ABT−199またはABT−263のような小化合物の場合、1つの処方物は例えば以下のものであり得る。
【0110】
a)錠剤処方物(湿式造粒):
【0111】
【表3】
【0112】
製造手順:
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水を用いて造粒する;
2.顆粒を50℃で乾燥する;
3.顆粒を適当な粉砕装置に通す;
4.品目5を添加し、3分間混合し、適当なプレスを用いて圧縮する。
【0113】
b)カプセル処方物:
【0114】
【表4】
【0115】
製造手順:
1.品目1、2及び3を適当なミキサーを用いて30分間混合する;
2.品目4及び5を添加し、3分間混合する;
3.適当なカプセルに充填する。
【0116】
本発明の1つの更なる実施形態では、本発明に従う医薬組成物はタイプII抗CD20抗体及びBcl−2インヒビターに対する2つの別々の製剤である。
【0117】
活性成分は例えばコアセルベーション技術により、または界面重合により製造されるマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−ミクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)ミクロカプセル中に、コロイド状ドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中にも閉じ込められ得る。前記技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0118】
徐放性製剤を製造してもよい。徐放性製剤の適当な例には、抗体を含有している固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、前記マトリックスはフィルムまたはミクロカプセルのような成形品の形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(US 3,773,919)、L−グルタミン酸及びγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、リュープロン・デポット(TM)(乳酸−グリコール酸コポリマー及び酢酸リュープロリドから構成される注射用ミクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0119】
インビボ投与のために使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を介して濾過することにより容易に達成される。
【0120】
ある実施形態では、癌を治療するために有効量のGA−101抗体を有効量のGDC−0199と一緒に製造される製造方法が提供される。
【0121】
幾つかの実施形態では、癌を治療するために有効量のGDC−0199を有効量のGA−101抗体と一緒に製造される製造方法が提供される。
【0122】
提供される製造方法では、製造されるGA−101抗体の有効量は例えば500mg〜1gの範囲であり得、または例えば上欄で検討されている有効量であり得る。提供される製造方法では、GDC−0199の有効量は例えば20mg〜1gの範囲であり得、または例えば上欄で検討されている有効量であり得る。治療しようとする癌は、例えば本明細書中の他のところで検討されている癌であり得る。
【0123】
本発明は一部、治療を要する癌、特にCD20発現癌を患っている患者に対してタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを共投与することを含む前記患者の治療方法に関する。タイプII抗CD20抗体及び抗Bcl−2活性物質を有効量で投与する。
【0124】
ある実施形態では、投与サイクルは28日間である。
【0125】
本発明において提供される患者の癌を治療する方法のある実施形態では、この方法は患者に対してタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2を1つ以上の投与サイクル中に投与することを含む。1つの実施形態では、1つ以上の投与サイクルの各々は少なくとも1週間続く。別の実施形態では、1つ以上の投与サイクルの各々は少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間以上である。1つの実施形態では、各投与サイクルは4週間である。
【0126】
1つの実施形態では、治療薬を患者に対して1つの投与サイクル中に投与する。
【0127】
別の実施形態では、治療薬を患者に対して2つ以上の投与サイクル中、例えば2、3、4、5、6、7、または8つ以上の投与サイクル中に投与する。一例として、投与サイクルが4週間であり、患者に対して片方または両方の治療薬を6つの投与サイクルにわたって投与する場合、治療レジメンは図3に示す投与スキームに例示されているように24週間である。
【0128】
ある実施形態では、治療を要するヒトに対してGA101抗体及び/またはGDC−0199を複数の投与サイクルで投与することを含む前記患者における癌の治療方法が提供される。
【0129】
ある実施形態では、GA101抗体及びGDC−199の両方を患者に対して複数の投与サイクルの1つ以上の投与サイクルで投与し、GA101抗体及びGDC−0199の一方を複数の投与サイクルの1つ以上の投与サイクルで投与する。
【0130】
本発明において提供される治療方法のある実施形態では、治療薬を患者に対して2または3つの治療相を含む投与スキームで投与し、各治療相は他の治療相の投与サイクルとは異なる少なくとも1つの投与サイクルを含む。例えば、投与サイクルが4週間である1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体を患者に対して第1投与サイクル(例えば、第1治療相)の2週間以上の間1週間に1回投与し、第1投与サイクルに続く投与サイクル(例えば、第2治療相)では1投与サイクルあたり1回投与し得る。
【0131】
本発明において提供される治療方法のある実施形態では、タイプII抗CD20抗体を患者に対して投与サイクルの少なくとも1週間の間1週間に1回投与する。幾つかの実施形態では、投与サイクルが2週間以上の場合、タイプII抗CD20抗体を患者に対して1投与サイクルあたり1回投与する。
【0132】
本発明において提供される治療方法のある実施形態では、GDC−0199を投与サイクル中に1日1回投与する。
【0133】
GDC−0199及びタイプII抗CD20抗体の両方を例えば患者に対して投与サイクルで投与し得る。ある投与サイクルでは、1つの治療薬のみを患者に対して投与する。
【0134】
治療薬を患者に対して複数の投与サイクルを含む投与スキームで投与する本発明において提供される方法のある実施形態では、複数の投与サイクルは投与サイクルを有する第1治療相を含み、各投与サイクルではタイプII抗CD20抗体を1投与サイクルあたり1回投与し、GDC−0199を投与サイクル中毎日投与する。第1治療相における投与サイクルの各々は、例えば4週間であり得る。幾つかの実施形態では、複数の投与サイクルは更に、タイプII抗CD20抗体のみを患者に対して投与するか、またはGDC−0199のみを患者に対して投与する第2治療相(例えば、維持相)を含み得る。
【0135】
タイプII抗CD20抗体及びGDC−0199の両方を患者に対して1つ以上の投与サイクル中に(例えば、治療相において)投与する本発明において提供される方法の幾つかの実施形態では、その後患者に対してGDC−0199のみを(例えば、維持相において)投与し得る。
【0136】
併用療法後GDC−0199のみを患者に対して投与するある実施形態では、GDC−0199を患者に対して例えば1日1回、1日おきに1回、3日、4日、5日または6日毎に1回、または1週間に1回投与し得る。
【0137】
併用療法後タイプII抗CD20抗体のみを患者に対して投与するある実施形態では、タイプII抗CD20抗体を患者に対して例えば1週間に1回、2週間毎に1回、または1ヶ月に1回投与し得る。
【0138】
本発明において提供される治療方法のある実施形態では、患者に対して投与される1回投与あたりのGDC−0199の量を第1投与サイクル中増加させる。例えば、第1投与サイクルにおいて患者に対して投与されるGDC−0199の量を第1週の50mg用量から、第2週に100mg用量まで、第3週に300mg用量まで漸増させる例示的投与スキームについて図2を参照されたい。
【0139】
ある実施形態では、タイプII抗CD20抗体を投与する前に、漸増用量のGDC−0199を患者に対して投与する。他の実施形態では、タイプII抗CD20抗体を患者に対して投与した後に、漸増用量のGDC−0199を患者に対して投与する。
【0140】
本発明において提供される治療方法の幾つかの実施形態では、患者に対して投与される1回投与あたりのGDC−0199の量を第1投与サイクル中に10mg〜80mgの範囲の初期用量から190mg〜400mgの範囲の最終用量まで増加させる。ある実施形態では、患者に対して投与される1回投与あたりのGDC−0199の初期量は50mgまたは100mgであり、1回投与あたり300mgまで増加させる。幾つかの実施形態では、患者に対してGDC−0199の初期量は、例えば20mg〜60mgの範囲(例えば20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mgまたは60mg用量)であり、その後100mg、200mg、300mgまたはそれ以上のGDC−0199であり得る。
【0141】
本発明において提供される方法のある実施形態では、タイプII抗CD20抗体の第1投与の前に、GDC−0199の用量を患者に対して増加量で投与する。幾つかの実施形態では、タイプII抗CD20抗体の第1投与の後に、GDC−0199の用量を患者に対して増加量で投与する。
【0142】
本明細書中で使用されている用語「患者」は、典型的にはいずれかの目的でタイプII抗CD20抗体での治療を要するヒト(例えば、CD20発現癌を患っている患者)を指し、1つの実施形態では前記癌、或いは前癌状態または病巣を治療するために該治療を要するヒトを指す。しかしながら、用語「患者」は、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、例えば特にイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ及び非ヒト霊長類をも指し得る。
【0143】
本発明は更に、CD20発現癌を治療するために選択的Bcl−2インヒビターと共にタイプII抗CD20抗体を含む。
【0144】
本発明は更に、CD20発現癌を患っている患者を治療するために選択的Bcl−2インヒビターと共にタイプII抗CD20抗体を含む。
【0145】
本発明は更に、CD20発現癌の治療に使用するためにタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを含む。
【0146】
本発明は更に、CD20発現癌を患っている患者の治療に使用するためにタイプII抗CD20抗体及び選択的Bcl−2インヒビターを含む。
【0147】
1つの実施形態では、選択的Bcl−2インヒビターはABT−199である。
【0148】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体は、0.3〜0.6、1つの実施形態では0.35〜0.55、別の実施形態では0.4〜0.5のラージ細胞(ATCC−No.CCL−86)上のCD20に対する結合能をリツキシマブと比較したタイプII抗CD20抗体の比を有している。
【0149】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体はGA101抗体である。
【0150】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体は高い抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有している。
【0151】
本発明において提供される患者における癌の治療方法のある実施形態では、癌は非固形腫瘍である。1つの実施形態では、非固形腫瘍はCD20発現非固形腫瘍である。本発明において提供される方法で治療され得る非固形腫瘍の例には、例えば白血病またはリンパ腫が含まれる。1つの実施形態では、非固形腫瘍はB細胞リンパ腫である。
【0152】
1つの実施形態では、CD20発現癌はB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0153】
1つの実施形態では、タイプII抗CD20抗体はモノクローナル抗体である。
【0154】
以下の実施例、配列表及び図面は本発明の理解を助けるために提示されており、その真の範囲は添付されている特許請求の範囲に記載されている。記載されている手順に本発明の趣旨を逸脱することなく改変を加え得ることと理解されたい。
【実施例】
【0155】
[実施例1] リンパ腫のGDC−0199及びオビヌツズマブの組合せを用いる治療
非臨床データから、GDC−0199及びGA101(この場合、オビヌツズマブ)の組合せが各薬物を単独で投与したときよりも高い抗腫瘍活性を示すという仮説が裏付けられる。本研究は、侵襲性リンパ腫の非ホジキンリンパ腫(NHL)異種移植片モデル、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)由来細胞株SU.DHL−4を使用した。オビヌツズマブを1mg/kgの用量で1週間に1回、3週間IV投与し、腫瘍静止後増殖の遅延が見られた。GDC−0199を100mg/kg QDで21日間投与し、同様に腫瘍静止後増殖の遅延が見られた。しかしながら、GDC−0199及びオビヌツズマブの組合せは相加効果を超える効果を誘導して、腫瘍が退縮した(8例のうち5例で部分退縮(PR);図1を参照されたい)。3週間の併用療法により、単剤投与で76%(GA101)及び80%(GDC 0199)の腫瘍増殖抑制(TGI)が観察されたのに比して高いTGI(118% TGI)が生じた(図1を参照されたい)。GA101をGDC 0199と組み合わせたときには、単剤投与に比して高い腫瘍退縮(5PR)も観察された。加えて、31日目(投与終了から10日後)に単剤としてのGA101で30% TGI、GDC 0199で25% TGIであったのに対して116% TGIが観察されたので、併用療法群ではTGIが治療を21日目に終了させた後持続された。要するに、NHL異種移植片モデルにおいて各剤を別々に投与したときに比してGA101をGDC 0199と組み合わせると高いTGI及び腫瘍退縮が生じた。
【0156】
本研究では、GA−101及びGDC−0199のためのビヒクルはそれぞれ生理食塩水及び60% フォーサルであった。図1には、GDC−0199の用量を遊離塩基当量としてmg/kg体重で表示している。結果は、各治療群についての線型混合効果モデリングにより測定した近似腫瘍体積対時間(日)として表示されている。0日は治療の第1日である。
【0157】
[実施例2] 再発性、難治性または未治療の慢性リンパ球性白血病を患っている患者におけるGDC−0199及びオビヌツズマブの相Ib多施設研究
2つのスケジュールを評価する:スケジュールA(図2)では最初のオビヌツズマブ注入前にGDC−0199を漸増用量で3週間投与し、スケジュールB(図3)ではまずオビヌツズマブを投与した後漸増用量レベルのGDC−0199を投与した。スケジュールA及びスケジュールBのコホート1は平行して登録する。加えて、用量設定段階は、最初のオビヌツズマブ注入前にGDC−0199を投与する(スケジュールA)と注入反応の頻度が低下し、それによりオビヌツズマブ及びコルチコステロイドの前投薬の分割用量の必要性が減らせるかどうかを評価する。
【0158】
拡大段階は、各々20人の患者(再発性/難治性及び未治療のCLL)の2つの拡大コホートを含め、選択した併用用量及びスケジュールの安全性及び予備有効性を評価する。
【0159】
スケジュールAでは、GDC−0199及びオビヌツズマブの併用療法を全部で各28日の7サイクル中に投与し、全部で8回のオビヌツズマブ注入及びGDC−0199 QDを含む。
【0160】
スケジュールBでは、GDC−0199及びオビヌツズマブの併用療法を全部で各28日の6つのサイクル中に投与し、全部で9回のオビヌツズマブ注入(8回投与;第1用量を2つの注入に分割する)及びGDC−0199 QDを含む。
【0161】
(例えば、許容できる毒性を有し、最大の臨床応答(すなわち、少なくとも2ヶ月間未だ安定していない担腫瘍の継続している改善/減少を有している)が未だ得られていないならば)GDC−0199単剤療法を患者において上記に記載した併用療法の6〜7サイクルを超えて継続し得る。前記患者は、最大応答が得られるか、または最後の患者が参加してから最長1年のいずれか早い方までGDC−0199単剤両方を継続し得る。
【0162】
[実施例3] GDC−0199及びタイプI抗CD20抗体(リツキシマブ)の併用療法と比較したGDC−0199及びタイプII抗CD20抗体(オビヌツズマブ)の併用療法の抗腫瘍活性
【0163】
試験物質:
タイプII抗CD20抗体はGA101抗体IgG1(WO 2005/044859に開示されているキメラヒト化IgG1抗体(ここでは、B−HH6−B−KV1 GEと称されており、オビヌツズマブまたはRO5072759としても公知)であり、スイス国シュリーレンのRoche GlycArtからストック溶液(濃度9.4mg/ml)として提供された。抗体バッファーはヒスチジン、トレハロース及びポリソルベート20を含んでいた。注入前に抗体溶液をストックからPBSで適切に希釈した。GDC−0199は米国カリフォルニア州のGenentech Inc.から入手した。
【0164】
細胞株及び培養条件:
ヒトZ138マントル細胞リンパ腫細胞株を10% ウシ胎児血清(オーストリアのPAA Laboratories)及び2mM L−グルタミンを補充したDMEMにおいて37℃、5% COで水飽和雰囲気中でルーチン通りに培養する。細胞をMATRIGELと共注射した。
【0165】
動物:
到着時(ドイツ国ズルツフェルトのCharles Riverから購入)5〜6週令の雌SCIDベージュマウスを関係しているガイドライン(GV−Solas;Felasa;TierschG)に従って12時間の明暗の1日周期で特別の病原体を含まない条件下で維持した。実験研究プロトコルを再検討し、地方自治体(Regierung von Oberbayern;登録番号55.2−1−54−2531.2−26−09)により容認された。到着後、新しい環境に慣らし、観察のために、動物を動物施設の隔離部分で1週間維持した。継続的健康モニタリングを定期的に実施した。餌(英国Altromin Spezialfutter GmbH & Co.)及び(濾過した)水は自由に与えた。
【0166】
モニタリング:
臨床症状及び副作用の検出のために動物を毎日管理した。実験を通してモニターするために、動物の体重を1週間に2回記録し、腫瘍体積をステージング後カリバスにより測定した。
【0167】
動物の治療:
動物治療を腫瘍細胞接種から18日後にランダム化の日に開始した。RO5072759またはリツキシマブを単剤として1mg/kgの用量で1週間に1回(18、25、32日目)、3週間i.p.投与した。対応するビヒクルは同日に投与した。GCD−0199を100mg/kgの用量で1日1回、17日間にわたり(18日目から34日目まで)p.o.投与した。併用療法群では、抗体及びGDC−0199を同一用量で同日に投与した。
【0168】
インビボでの腫瘍増殖抑制研究:
治療の腫瘍体積拡大に対する結果を図4に示す。腫瘍細胞接種から35日目に、リツキシマブ、GDC−0199、RO5072759、GDC−0199+リツキシマブの組合せ、またはGDC−0199+RO5072759の組合せを投与された動物において対照群と比較してそれぞれ32%、59%、73%、96%または106%の腫瘍増殖抑制が観察された。
【0169】
[実施例4] オビヌツズマブとの併用投与後、単剤としてGDC−0199の投与により腫瘍再増殖の有意な遅延が生じる
本実施例は上記実施例1に検討したDLBCL SU−DHL−4異種移植片モデルを用いて結果を記載する。最初、GDC−0199を1mg/kgのGA101(この例では、オビヌツズマブ)と一緒に連続21日間、3週間経口投与した。後者により、各々の薬剤のみで観察された54%(GA101)及び24%(GDC−0199) TGIと比較して高いTGI(91%)が生じた(図5)。22日目に、併用コホートの担腫瘍マウスにGDC−0199のみを100mg/kgで更に24日間投与し続けた。後者により、GA101及びGDC−0199の組合せで21日間治療したマウスと比較して腫瘍再増殖の有意な遅延が生じた(併用コホートの腫瘍進行までの時間=38日対GDC−0199での継続治療=45日(図5)。よって、GA101との併用後のGDC−0199での単剤治療はインビボで有効性を持続している。これらの結果により、GDC−0199での維持治療に対するベネフィットが裏付けられる。
【0170】
図5には、対照はGA101に対する生理食塩水ビヒクル+GDC−0199に対する60% フォーサルビヒクルである。GA101を1週間に1回(QW)、3週間静脈内投与し、GDC−0199は単剤または組合せで毎日(QD)、21日間(QD×21)経口投与した。上で説明したように、担腫瘍マウスのコホートには併用療法を21日目に終了した後GDC−0199のみを更に24日間投与した(QD×45)。x軸の下に、治療期間は併用コホートに対して黒実線
【0171】
【化2】
により示し、継続単剤GDC−0199治療は黒破線
【0172】
【化3】
で示す。
【0173】
本明細書中で引用されている刊行物及び特許文献はすべて、各個々の刊行物または特許文献が具体的に個別に参照により組み入れられていると示されているように本明細書に参照により組み入れられる。上述した発明は理解を明瞭にする目的で例及び実例として少し詳しく記載してきたが、本発明の教示にてらして添付されている特許請求の範囲の趣旨または範囲を逸脱することなくある改変及び修飾を加え得ることは当業者には容易に明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]