特許第6409021号(P6409021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409021昇華ガス供給システムおよび昇華ガス供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409021
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】昇華ガス供給システムおよび昇華ガス供給方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20181004BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20181004BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20181004BHJP
   C30B 25/14 20060101ALN20181004BHJP
   C30B 23/06 20060101ALN20181004BHJP
   H01L 21/205 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
   B01J4/00 102
   C23C16/448
   B01J7/00 Z
   !C30B25/14
   !C30B23/06
   !H01L21/205
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-101661(P2016-101661)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-205736(P2017-205736A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2016年12月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紫垣 千佳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清香
(72)【発明者】
【氏名】小浦 輝政
(72)【発明者】
【氏名】野澤 史和
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−141192(JP,A)
【文献】 特開2014−108395(JP,A)
【文献】 特開昭60−244332(JP,A)
【文献】 特開平08−000980(JP,A)
【文献】 特開2004−223431(JP,A)
【文献】 実開昭57−056769(JP,U)
【文献】 特開2003−117380(JP,A)
【文献】 特開平10−158843(JP,A)
【文献】 特開2013−028854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00 − 7/02
B01D 7/00
H01L 21/205
H01L 21/31
C23C 16/00 − 16/56
C30B 23/00 − 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給システムであって、
固体材料を収納する容器と、
弁(17)を閉じた状態で、前記固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温部と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、前記昇華ガス供給システムが備える制御部によって前記弁(17)を開ける制御をすることで、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で導入するように構成される真空容器であって、前記制御部によって前記容器圧力計の圧力値が前記飽和蒸気圧よりも低い所定圧力になった場合あるいは真空容器内の圧力が一定圧になった場合に、前記弁(17)を閉じて前記昇華ガスの導入を完了するように構成される真空容器と、
前記真空容器に希釈用ガスを導入する希釈用ガスラインと、
前記真空容器内の圧力を測定する圧力計と、
前記圧力計で測定された、前記真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記真空容器内の圧力と、固体材料によって予め設定されている圧力と濃度の相関関係に基づいて、前記真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスの濃度を算出する昇華ガス濃度算出部と、
前記昇華ガス濃度算出部で求められた希釈用ガス中の昇華ガス濃度が、後段プロセスにおいて所望される所定濃度になるように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御部と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出ラインと、
前記真空容器を真空状態にする真空ポンプと、
を有する昇華ガス供給システム。
【請求項2】
前記容器、前記容器加温部および容器圧力計がn(n=1以上)個、
前記真空容器がnの2倍または3倍以上の数、および、
前記圧力計がnの2倍または3倍以上の数であって、前記真空容器の数と前記圧力計の数が同じに構成してあり、
前記流量制御部は、nの2倍または3倍以上の数の真空容器のそれぞれに導入される前記希釈用ガスの流量を制御する、請求項1に記載の昇華ガス供給システム。
【請求項3】
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給システムであって、
固体材料を収納する容器と、
弁(17)を閉じた状態で、前記固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温部と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、前記昇華ガス供給システムが備える制御部によって前記弁(17)および弁(18)を開ける制御をすることで、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で導入するように構成される第1真空容器であって、前記制御部によって前記容器圧力計の圧力値が前記飽和蒸気圧よりも低い所定圧力になった場合あるいは真空容器内の圧力が一定圧になった場合に、前記弁(17、18)を閉じて前記昇華ガスの導入を完了するように構成される第1真空容器と、
前記第1真空容器内の圧力を測定する第1圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、前記制御部によって前記弁(17)および弁(19)を開ける制御をすることで、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で導入するように構成される第2真空容器であって、前記制御部によって前記容器圧力計の圧力値が前記飽和蒸気圧よりも低い所定圧力になった場合あるいは真空容器内の圧力が一定圧になった場合に、前記弁(17、19)を閉じて前記昇華ガスの導入を完了するように構成される第2真空容器と、
前記第2真空容器内の圧力を測定する第2圧力計と、
前容器から前記第1真空容器または前記第2真空容器に、前記昇華ガスを切り替え可能に導出する昇華ガス導出ラインと、
前記第1真空容器または前記第2真空容器に希釈用ガスを切り替え可能に導入する希釈用ガスラインと、
前記第1圧力計で測定された、前記第1真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記第1真空容器内の圧力と、固体材料によって予め設定されている圧力と濃度の相関関係に基づいて、前記第1真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスの濃度を算出する第1昇華ガス濃度算出部と、
前記第2圧力計で測定された、前記第2真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記第2真空容器内の圧力と、固体材料によって予め設定されている圧力と濃度の相関関係に基づいて、前記第2真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスの濃度を算出する第2昇華ガス濃度算出部と、
前記第1昇華ガス濃度算出部で求められた前記第1真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度が、後段プロセスにおいて所望される所定濃度になるように、前記希釈用ガスの流量を制御し、および/または、前記第2昇華ガス濃度算出部で求められた前記第2真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度が、後段プロセスにおいて所望される所定濃度になるように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御部と、
前記第1真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記第1真空容器から後段のプロセスに切り替え可能に導出し、または、前記第2真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記第2真空容器から後段のプロセスに切り替え可能に導出する導出ラインと、
真空ポンプが設けられ、かつ前記第1真空容器または前記第2真空容器を切り替え可能に真空状態にする真空ポンプラインと、を有する、昇華ガス供給システム。
【請求項4】
前記希釈用ガスラインに配置され、前記希釈用ガスの温度を制御するガス加温部と、を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇華ガス供給システム。
【請求項5】
前記導出ラインに配置される濃度計測部で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、昇華ガス濃度を監視する監視部を有する、請求項1〜4に記載の昇華ガス供給システム。
【請求項6】
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給方法であって、
弁(17)を閉じた状態で、容器に収容されている固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温工程と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力測定工程と、
前記容器圧測定工程で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、前記弁(17)を開ける制御をすることで、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態にある真空容器に導入し、前記容器圧力測定工程での圧力値が前記飽和蒸気圧よりも低い所定圧力になった場合あるいは真空容器内の圧力が一定圧になった場合に、前記弁(17)を閉じて前記昇華ガスの導入を完了するバッファ工程と、
前記真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記真空容器内の圧力と、固体材料によって予め設定されている圧力と濃度の相関関係に基づいて、前記真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスの濃度を算出し、希釈用ガス中の昇華ガス濃度が、後段プロセスにおいて所望される所定濃度になるように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御工程と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出工程と、
前記真空容器を真空状態にする真空工程と、を含む昇華ガス供給方法。
【請求項7】
前記容器が1つ、前記真空容器が2つである場合に、一方の真空容器で前記導出工程が完了する前に、他方の真空容器で前記流量制御工程が完了する、請求項6に記載の昇華ガス供給方法。
【請求項8】
前記希釈用ガスの温度を制御するガス加温工程を含む、請求項6または7に記載の昇華ガス供給方法。
【請求項9】
前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出ラインに配置される濃度計測部で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、昇華ガス濃度を監視する監視工程を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の昇華ガス供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体材料の昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給システムおよび昇華ガス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積デバイスや液晶パネル等のマイクロ・エレクトロニクス・デバイスを製造するためには、基板上に様々な材料の膜を成膜する必要がある。また、さまざまな部材にドライコーティングを行い、その部材の強度などの特性を改善することが近年行われている。この成膜方法、コーティング方法としてはPVD(物理的気相堆積)法、CVD(化学的気相堆積)法、ALD(原子層堆積)法等が広く知られている。
【0003】
半導体産業の進歩に伴い、厳しい膜の要件を満たすため、成膜に使用する前駆体の有する蒸気圧は低くなる傾向にある。成膜用の前駆体としては、例えばアルミニウム、バリウム、ビスマス、クロム、コバルト、銅、金、ハフニウム、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、マグネシウム、モリブデン、ニッケル、ニオブ、白金、ルテニウム、銀、ストロンチウム、タンタル、チタン、タングステン、イットリウム及びジルコニウムの無機化合物及び有機金属化合物などが挙げられる。また、ドライコーティング用の前駆体としては、カーボンフリーの成膜のため、一般的に無機金属化合物が使用される。
【0004】
これらの材料は蒸気圧が低いため、成膜チャンバへの導入にあたり固体材料の場合には昇華させて供給する必要がある。従来の方法では、容器の内部のトレーに固体材料をセットした状態で、固体材料を加温し、飽和蒸気を発生させるとともに固体材料自身にキャリアガスを接触させることにより、固体材料成分(昇華ガス)を含んだキャリアガスを供給する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−28854
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の方法では、固体材料の残量が変化すると、昇華ガス量も変化し、後段のプロセスに供給するガス中の昇華ガス濃度が変化し、安定した濃度の昇華ガスを供給することが困難な場合もあった。
【0007】
本発明の目的は、供給される固体材料の昇華ガス濃度を安定させること、さらに安定した濃度の昇華ガスを連続供給させることができる、昇華ガス供給システムおよび昇華ガス供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給システムであって、
固体材料を収納する容器と、
前記固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温部と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に(または容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に)、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で(真空状態または所定負圧の状態で)導入するように構成される真空容器と、
前記真空容器に希釈用ガスを導入する希釈用ガスラインと、
前記真空容器内の圧力を測定する圧力計と、
(前記真空容器に前記昇華ガスを導入する前の初期圧力と、)前記真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記真空容器内の圧力に基づいて、前記真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御部(例えば、マスフローコントローラ)と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出ラインと、
前記真空容器を真空状態にする真空ポンプと、を有する。
上記において、容器から真空容器に昇華ガスを1回送るごとに、真空容器に希釈用ガスを送り込んで昇華ガス濃度を調整し、所定濃度の昇華ガス(希釈用ガスを含む)を真空容器から後段のプロセスに送り込み、その後に真空容器を所定の負圧状態(例えば真空状態)にし、次の昇華ガスを容器から真空容器に送り込む構成でもよい。
また、上記おいて、容器から真空容器に昇華ガスを2回または2回以上送ってから、真空容器に希釈用ガスを送り込んで昇華ガス濃度を調整し、所定濃度の昇華ガス(希釈用ガスを含む)を真空容器から後段のプロセスに送り込み、その後に真空容器を所定の負圧状態(例えば真空状態)にし、次の昇華ガスを(2回または2回以上)容器から真空容器に送り込む構成でもよい。
【0009】
この構成によれば、固体材料を加温して生じた昇華ガスが、負圧状態の真空容器に送られる。真空容器内において、昇華ガスに希釈用ガスを加えることで所定濃度に希釈する。これにより、所定濃度で安定された昇華ガスを後段のプロセスに送ることができる。
【0010】
上記発明において、固体材料を収納する容器は、加温される前の状態において予め不活性ガス(例えば希釈用ガス)が封入されていてもよく、真空状態であってもよい。また、容器を加温することで固体材料から得られた昇華ガスを真空容器へ送った後において、そのまま加温を継続して固体材料を昇華させ、容器内圧力が所定値(例えば飽和蒸気圧)になったら真空容器へ昇華ガスを送る構成であり、この工程を繰り返す。
【0011】
上記発明において、
前記容器、前記容器加温部および容器圧力計がn(n=1以上)個、
前記真空容器がnの2倍または3倍以上の数、
前記圧力計がnの2倍または3倍以上の数であり、
前記流量制御部は、nの2倍または3倍以上の数の真空容器のそれぞれに導入される前記希釈用ガスの流量を制御する構成でもよい。
【0012】
この構成によれば、後段のプロセスに対応して必要数の装置で構成された供給システムを構築でき、安定した濃度の昇華ガスを連続供給できる。
【0013】
上記発明において、n=1の場合のシステム構成を示す。
昇華ガス供給システムは、
固体材料を収納する容器と、
前記固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温部と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に(または容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に)、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で(真空状態または所定負圧の状態で)導入するように構成される第1真空容器と、
前記第1真空容器内の圧力を測定する第1圧力計と、
前記容器圧力計で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に(または容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に)、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態で(真空状態または所定負圧の状態で)導入するように構成される第2真空容器と、
前記第2真空容器内の圧力を測定する第2圧力計と、
前容器から前記第1真空容器または前記第2真空容器に、前記昇華ガスの飽和蒸気を切り替え可能に導出する昇華ガス導出ラインと、
前記第1真空容器または前記第2真空容器に希釈用ガスを切り替え可能に導入する希釈用ガスラインと、
前記第1真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記第1真空容器内の圧力に基づいて、前記第1真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、前記希釈用ガスの流量を制御し、および前記第2真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記第2真空容器内の圧力に基づいて、前記第2真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御部と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記第1真空容器または前記第2真空容器から後段のプロセスに切り替え可能に導出する導出ラインと、
真空ポンプが設けられ、かつ前記第1真空容器または前記第2真空容器を切り替え可能に真空状態にする真空ポンプラインと、を有する。
【0014】
この構成によれば、後段のプロセスに対応して、容器1つに対し真空容器を2つとして、昇華ガスを容器から第1真空容器と第2真空容器へ交互に送り込むことができる。また単一の流量制御部で、希釈用ガスを第1、第2真空容器へ送り込み、第1、第2真空容器内の昇華ガスの濃度を調整できる。また、単一の真空ポンプで第1、第2真空容器を真空状態にできる。
【0015】
上記発明において、前記希釈用ガスラインに配置され、前記希釈用ガスの温度を制御するガス加温部(例えば、熱交換器)を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、希釈用ガスの温度をコントロールし、真空容器の温度および真空容器内の昇華ガス温度の低下を防止または抑制し、昇華した固体材料の析出を効果的に防止でき、昇華ガスの濃度を安定化させることができる。ガス加温部は、希釈用ガスの温度を昇華ガスの温度と同じになるように温度コントロールすることが好ましい。
【0017】
上記発明において、システムの構成装置(例えば、真空容器、昇華ガスが移動する配管など)を温度制御してもよい。これによって、昇華ガスの温度低下による固体材料の析出をより効果的に防止でき、昇華ガスの濃度を安定化させることができる。
【0018】
上記発明において、前記圧力計で測定された真空容器内の圧力から、真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する昇華ガス濃度算出部と、
前記昇華ガス算出部で算出された昇華ガス濃度を監視する監視部とを有していてもよい。
【0019】
別実施形態として、前記導出ラインに配置される濃度計測部(例えば熱伝導検出器(TCD))で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、昇華ガス濃度を監視する監視部とを有していてもよい。
【0020】
上記の発明において、
容器加温部の温度を制御する温度調節器(TIC)と、
前記導出ラインに配置され、かつ昇華ガスの流量を制御する流量計と、を有していてもよい。
【0021】
他の発明は、
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給方法であって、
容器に収容されている固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温工程と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力測定工程と、
前記容器圧測定工程で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に(または容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に)、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態にある(真空状態または所定負圧の状態にある)真空容器に導入するバッファ工程と、
前記真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記真空容器内の圧力に基づいて、前記真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御工程と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出工程と、
前記真空容器を真空状態にする真空工程と、を含む。
上記において、容器から真空容器に昇華ガスを1回送るごとに(バッファ工程が1回ごとに)、真空容器に希釈用ガスを送り込んで昇華ガス濃度を調整し、所定濃度の昇華ガス(希釈用ガスを含む)を真空容器から後段のプロセスに送り込み、その後に真空容器を所定の負圧状態(例えば真空状態)にし、次の昇華ガスを容器から真空容器に送り込む構成でもよい。
また、上記おいて、容器から真空容器に昇華ガスを2回または2回以上送ってから(バッファ工程を2回または2回以上した後で)、真空容器に希釈用ガスを送り込んで昇華ガス濃度を調整し、所定濃度の昇華ガス(希釈用ガスを含む)を真空容器から後段のプロセスに送り込み、その後に真空容器を所定の負圧状態(例えば真空状態)にし、次の昇華ガスを(2回または2回以上)容器から真空容器に送り込む構成でもよい。
【0022】
上記の発明において、
前記容器が1つ、前記真空容器が2つである場合に、一方の真空容器で前記導出工程が完了する前に、他方の真空容器で前記流量制御工程が完了するように実行してもよい。
【0023】
上記の発明において、
前記希釈用ガスの温度を制御するガス加温工程を含んでいてもよい。
【0024】
上記の発明において、
前記真空容器内の圧力から、真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する濃度算出工程と、
濃度算出工程で算出された昇華ガス濃度を監視する監視工程を含んでいてもよい。
別実施形態として、前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出ラインに配置される濃度計測部(例えば熱伝導検出器(TCD))で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、昇華ガス濃度を監視する監視工程を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1に係る昇華ガス供給システムの概略を示す説明図。
図2】実施形態2に係る昇華ガス供給システムの概略を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、昇華ガス供給システム1の概略を示す。本実施形態は、容器1つに対し、真空容器が1つの構成である。
【0028】
容器11は、固体材料S1が収容されている。容器11は、単数または複数のトレーを内蔵し、固体材料S1をトレーに載置するトレータイプでもよく、トレーがなく容器内部に固体材料S1をそのまま載置するトレーレスタイプでもよい。
【0029】
ヒータ12(容器加温部に相当する)は、容器11を直接加温し、固体材料S1の昇華ガスを生じさせる。なお、容器加温部として、ヒータ12に代替し、容器11をオーブンに入れて容器11を加温するオーブンタイプでもよい。ヒータ温度調節器13は、ヒータ12の温度を測定し、ヒート温度を制御する。仕切弁17を閉じ、容器11を密閉状態にして、容器11を加温し、昇華ガスを発生させる。容器圧力計14は、容器11内の圧力を測定する。
【0030】
真空容器T1は、容器11から昇華ガスが導入される。真空容器T1は、昇華ガスが導入される前において、真空状態(実質的な真空状態)に維持される。第1圧力計25は、真空容器T1内の圧力を測定する。真空ポンプVPは、仕切り弁61を介して真空容器T1と接続される。仕切弁61を開けて、真空ポンプVPを稼働させて、真空容器T1を真空状態にする。この時に第1圧力計25の測定値から真空容器T1内が真空状態になったか否かを判断してもよい。真空ポンプVPを稼働させる時は、ラインL4のみ開け、真空容器T1に接続される他のライン(L1,L2,L3)の仕切弁(17、24、51)は全て閉じた状態である。
【0031】
容器圧力計14で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、容器11から昇華ガスを、真空容器T1に接続される他のライン(L2,L3、L4)の仕切弁(24、51、61)を閉じた状態で、仕切弁17を開けて、真空状態下の真空容器T1へ導入する。第1圧力計25の圧力値が一定圧になった場合に、昇華ガスの飽和蒸気の移動が完了したと判断し、仕切弁17を閉じてもよく、容器圧力計14の圧力値が所定圧力以下になった場合に、昇華ガスの飽和蒸気の移動が完了したと判断し、仕切弁17を閉じてもよい。昇華ガスを移動させている間や仕切弁17を閉じた後でもヒータ12で容器11を加温しており、容器11内では昇華ガスを生成している。
【0032】
真空容器T1には、希釈用ガスを導入する希釈用ガスラインL2が接続されている。希釈用ガスは不活性ガスを用いる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス等の不活性ガス、アルゴンガス等の希ガスを用いてもよい。また、熱伝導性が良い水素ガスを使用してもよい。
【0033】
希釈用ガスラインL2に、例えば、圧量調節弁21、マスフローコントローラ22、熱交換器23、仕切弁24が配置される。圧力調節弁21は、容器11内の圧力を一定にする機能を有する。マスフローコントローラ22は、希釈用ガスの流量を測定し流量を制御する。マスフローコントローラ22は、第1圧力計25の圧力あるいは昇華ガス濃度算出部で算出された第1真空容器内の昇華ガス濃度に基づいて、希釈用ガスの流量を制御してもよい。熱交換器23(ガス加温部に相当する)は、所定温度になるように希釈用ガスを加温する。
【0034】
真空容器T1内の昇華ガスは飽和蒸気の状態である。後段のプロセスにおいて所望される昇華ガスの濃度になるように、昇華ガスの濃度を真空容器T1で調整する。具体的には、真空容器T1に接続される他のライン(L1,L3,L4)の仕切弁を閉じた状態で、仕切弁24を開ける。マスフローコントローラ22で希釈用ガスの流量を制御しながら、希釈用ガスを真空容器T1へ送る。
【0035】
昇華ガス濃度算出部(不図示)は、第1圧力計25で測定された圧力に基づいて、真空容器T1内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する。昇華ガス濃度は、例えば、固体材料によって予め設定されている圧力と濃度の相関係から求めてもよい。監視部(不図示)は、昇華ガス算出部で算出された昇華ガス濃度を監視する機能を有し、そのデータを外部装置に送信したり、モニターに表示してもよい。昇華ガス濃度が所定の濃度に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよく、第2圧力計27で測定された圧力が所定の圧力に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよい。「所定の圧力」から昇華ガスの濃度を換算してもよい。かかる停止で、仕切弁26を閉じる。
【0036】
以下の通り、昇華ガス濃度を算出方法してもよい。
昇華ガス導入した時の第1圧力計25で測定された真空容器T1の圧力P1、希釈用ガス導入した後の第1圧力計25で測定された真空容器T1の圧力P2とすると、
昇華ガス濃度[Vol%]=100×(P1/P2)である。
【0037】
真空容器T1における希釈用ガスの導入タイミングは、容器11から昇華ガスを1回単位で導入するごとに実行されてもよく、所定回数の導入の後で実行されてもよく、真空容器T1の圧力が所定圧を超えるまで、昇華ガスを容器11から送り込み、その後に実行されてもよい。
【0038】
真空容器T1から後段のプロセルへ昇華ガスを導出する導出ラインL3が設けられている。希釈用ガス中の昇華ガスが所定濃度に達した場合に、昇華ガスを真空容器T1から導出ラインL3を通じて後段のプロセスに送る。真空容器T1に接続される他のライン(L1,L2,L3)の仕切弁を閉じた状態で仕切り弁51を開ける。マスフローメータ55(流量計に相当する)は、導出ラインL3に配置され、昇華ガスの流量を制御する。熱伝導検出器54は、導出ラインL3に配置される。熱伝導検出器54で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、監視部(不図示)が昇華ガス濃度を監視する構成でもよい。
【0039】
真空容器T1から昇華ガスが送り出された後、導出ラインL3の仕切り弁51を閉じる。第1圧力計25の圧力値が所定値に以下になった場合に、昇華ガスの送り込みが終了したと判断してもよい。真空容器T1を真空状態にするために、真空容器T1に接続される他のライン(L1,L2、L3)の仕切弁は閉じた状態で仕切弁61を開け、真空ポンプVPを稼働する。真空容器T1を真空状態にし、上記と同様に、容器11内の昇華ガスを真空容器T1へ移動させることを繰り返す。
【0040】
容器圧力計、第1圧力計などの圧力計で測定された圧力に基づいて、各仕切弁の開閉制御を行い、昇華ガスが飽和蒸気圧であるか否かの判断を実行し、希釈用ガスの導入タイミングの判断を実行し、熱交換器23の温度制御(希釈用ガスの温度制御)を実行するなどの各種制御は、主制御部(不図示)が実行してもよく、各種制御単位ごとの制御モジュールが実行してもよい。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2は、図2に示すように、容器1つに対し、真空容器2つを有する構成である。同一の符号は実施形態1と同様の構成であるので、その説明を省略するか簡単に説明する。
【0042】
実施形態2では、第1真空容器T1から昇華ガスを後段のプロセスに導出するのが完了する前に、容器11から昇華ガスを第2真空容器T2に送り、そして希釈用ガスを送り込んで昇華ガスの濃度を調整する。昇華ガスの濃度調整が完了し、第1真空容器T1から後段のプロセスに昇華ガスを送り終えたら、仕切弁の開閉を制御して、第2真空容器T2から昇華ガスを後段のプロセスに送り込む。一方、第2真空容器T2から昇華ガスを後段のプロセスに導出するのが完了する前に、容器11から昇華ガスを第1真空容器T1に送り、そして希釈用ガスを送り込んで昇華ガスの濃度を調整する。昇華ガスの濃度調整が完了し、第2真空容器T2から後段のプロセスに昇華ガスを送り終えたら、仕切弁の開閉を制御して、第1真空容器T1から昇華ガスを後段のプロセスに送り込む。すなわち、2つの真空容器を備えることで、交互に希釈用ガスで昇華ガスの濃度調整を行えるので、昇華ガスの供給を連続的に行える。
【0043】
上記の通り、2つの真空容器を交互に用いるため、昇華ガス導出ラインL1は、2つのサブラインを有し、2つのサブラインのそれぞれに一つの仕切弁(18、19)が配置される。また、希釈ガスを第1、第2真空容器T1,T2へ導入する希釈用ガスラインL2は、2つのサブラインを有し、2つのサブラインのそれぞれに一つの仕切弁(24、26)が配置される。真空容器から後段のプロセスに昇華ガスを送る導出ラインL3は、2つのサブラインを有し、2つのサブラインのそれぞれに一つの仕切弁(51、52)が配置される。
【0044】
第1真空容器T1から濃度調整された昇華ガスを後段のプロセスに導出するのが完了する前に、第2真空容器T2では以下の処理が実行される。
【0045】
容器圧力計14で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、容器11から昇華ガスを、第2真空容器T2に接続される他のライン(L2、L3、L4)の仕切弁(26、52、62)および仕切弁18を閉じた状態で、仕切弁17、仕切弁19を開け、真空状態にある第2真空容器T2へ導入する。次いで、後段のプロセスにおいて所望される昇華ガスの濃度になるように、昇華ガスの濃度を第2真空容器T2で調整する。仕切弁24と他の第2真空容器T2に接続されるライン(L1,L3,L4)の仕切弁(19、52、62)を閉じた状態で、仕切弁26を開ける。マスフローコントローラ22で希釈用ガスの流量を制御しながら、希釈用ガスを第2真空容器T2へ送る。
【0046】
昇華ガス濃度算出部(不図示)は、第2圧力計27で測定された圧力に基づいて、第2真空容器T2内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する。監視部(不図示)は、昇華ガス算出部で算出された昇華ガス濃度を監視する機能を有し、そのデータを外部装置に送信したり、モニターに表示してもよい。なお、監視部(不図示)が熱伝導検出器54で検知された昇華ガス濃度を監視する構成でもよい。昇華ガス濃度が所定の濃度に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよく、第2圧力計27で測定された圧力が所定の圧力に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよい。「所定の圧力」から昇華ガスの濃度を換算できる。かかる停止で、仕切弁26を閉じる。
【0047】
第2真空容器T2における希釈用ガスの導入タイミングは、容器11から昇華ガスを1回単位で導入するごとに実行されてもよく、所定回数の導入の後で実行されてもよく、第2真空容器T2の圧力が所定圧を超えるまで、昇華ガスを容器11から送り込み、その後に実行されてもよい。
【0048】
第1真空容器T1において、昇華ガスを後段のプロセスに送り込む処理が完了したタイミングで、導出ラインL3の仕切弁51を閉じ、仕切弁52を開く。これによって、第2真空容器T2から濃度調整された昇華ガスを、導出ラインL3を通じて後段のプロセスに送り込むことができる。
【0049】
次いで、第2真空容器T2から濃度調整された昇華ガスを後段のプロセスに導出するのが完了する前に、第1真空容器T1では以下の処理が実行される。仕切弁51が閉じられた後で、仕切弁61を開き、第1真空容器T1を真空ポンプVPで真空状態にする。
【0050】
容器圧力計14で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に、容器11から昇華ガスを、第1真空容器T1と接続される他のライン(L2、L3、L4)の仕切弁(24、51、61)および仕切弁19を閉じた状態で、仕切弁17、仕切弁18を開けて、真空状態にある第1真空容器T1へ導入する。次いで、後段のプロセスにおいて所望される昇華ガスの濃度になるように、昇華ガスの濃度を第1真空容器T1で調整する。仕切弁26と第1真空容器T1と接続される他のライン(L1,L3,L4)の仕切弁(18、51、61)を閉じた状態で、仕切弁24を開ける。マスフローコントローラ22で希釈用ガスの流量を制御しながら、希釈用ガスを第1真空容器T1へ送る。
【0051】
昇華ガス濃度算出部(不図示)は、第1圧力計25で測定された圧力に基づいて、第1真空容器T1内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する。監視部(不図示)は、昇華ガス算出部で算出された昇華ガス濃度を監視し、そのデータを外部装置に送信したり、モニターに表示してもよい。なお、監視部(不図示)が熱伝導検出器54で検知された昇華ガス濃度を監視する構成でもよい。昇華ガス濃度が所定の濃度に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよく、第1圧力計25で測定された圧力が所定の圧力に達したら、希釈用ガスの送り込みを停止してもよい。「所定の圧力」から昇華ガスの濃度を換算できる。かかる停止で、仕切弁24を閉じる。
【0052】
第1真空容器T1における希釈用ガスの導入タイミングは、容器11から昇華ガスを1回単位で導入するごとに実行されてもよく、所定回数の導入の後で実行されてもよく、第1真空容器T2の圧力が所定圧を超えるまで、昇華ガスを容器11から送り込み、その後に実行されてもよい。
【0053】
第2真空容器T2において、昇華ガスを後段のプロセスに送り込む処理が完了したタイミングで、導出ラインL3の仕切弁52を閉じ、仕切弁51を開く。これによって、第1真空容器T1から濃度調整された昇華ガスを、導出ラインL3を通じて後段のプロセスに送り込むことができる。そして、仕切弁52が閉じられた後で、仕切弁62を開き、第2真空容器T2を真空ポンプVPで真空状態にする。以上の処理を繰り返す。
【0054】
(実施形態3)
上記実施形態1または実施形態2を一つの構成単位として複数備えたシステムを構築できる。これによって、後段のプロセスの要求、固体材料の特性、容器のコンパクト化に対応できる。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態は、昇華ガス供給方法である。
固体材料から生じる昇華ガスを後段のプロセスに供給するための昇華ガス供給方法は、
容器に収容されている固体材料の昇華ガスを生じさせるように、前記容器を加温する容器加温工程と、
前記容器内の圧力を測定する容器圧力測定工程と、
前記容器圧測定工程で測定された圧力が、昇華ガスの飽和蒸気圧である場合に(または容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に)、前記容器から前記昇華ガスを、所定の負圧範囲の状態にある(真空状態または所定負圧の状態にある)真空容器に導入するバッファ工程と、
前記真空容器に前記昇華ガスを導入している際の前記真空容器内の圧力に基づいて、前記真空容器内の前記希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、前記希釈用ガスの流量を制御する流量制御工程と、
前記希釈用ガス中の昇華ガスが前記所定濃度に達した場合に、前記昇華ガスを前記真空容器から後段のプロセスに導出する導出工程と、
前記真空容器を真空状態にする真空工程と、を含む。
【0056】
前記容器が1つ、前記真空容器が2つである場合に、一方の真空容器で前記導出工程が完了する前に、他方の真空容器で前記流量制御工程が完了するように実行してもよい。また、前記希釈用ガスの温度を制御するガス加温工程を含んでいてもよい。また、前記真空容器内の圧力から、真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガス濃度を算出する濃度算出工程と、濃度算出工程で算出された昇華ガス濃度を監視する監視工程を含んでいてもよい。また、真空容器から後段のプロセスに導出する導出ラインに配置される濃度計測部(例えば熱伝導検出器(TCD))で、希釈用ガス中の昇華ガス濃度を検出し、昇華ガス濃度を監視する監視工程を含んでいてもよい。
【0057】
(別実施形態)
上記実施形態において、昇華ガスが飽和蒸気圧において容器から真空容器に送られていたが、これに制限せれず、略飽和蒸気圧の場合にあるいは飽和容器内の昇華ガス圧力が所定値以上である場合に、容器から真空容器に昇華ガスが送られてもよい。
また、上記実施形態において、昇華ガスが真空状態下で真空容器に送られていたが、これに制限されず、略真空状態下または内部圧力を所定負圧下で昇華ガスを導入する構成でもよい。
また、流量制御部(マスフローコントローラ)は、真空容器内の圧力に基づいて、真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、希釈用ガスの流量を制御する構成であったが、これに制限されず、真空容器に昇華ガスを導入する前の初期圧力と、真空容器内の圧力に基づいて、真空容器内の希釈用ガス中の昇華ガスを所定濃度に制御するように、希釈用ガスの流量を制御してもよい。真空容器における昇華ガス導入前の内部圧力(初期圧力)と圧力変動に基づく流量制御を行っても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 昇華ガス供給システム
11 容器
12 ヒータ
13 温度調節器
14 容器圧力計
21 圧力調節弁
22 マスフローコントローラ
23 熱交換器
25 第1圧力計
27 第2圧力計
55 マスフローメータ
T1 第1真空容器
T2 第2真空容器
VP 真空ポンプ
図1
図2