(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409025
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】無煙電子タバコ
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-121568(P2016-121568)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-225357(P2017-225357A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】509231330
【氏名又は名称】株式会社ステップ・ケイ・スリー
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3413208(JP,B2)
【文献】
特開2006−320286(JP,A)
【文献】
特表2015−504652(JP,A)
【文献】
特表2013−511962(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/177264(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/177263(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/150068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を内包し吸い口を備えた吸引部と、
前記吸引部と連通し、空気を所定の温度に加熱する蓄熱体と、前記蓄熱体の外周を覆う断熱体と、前記蓄熱体及び前記断熱体とを内包するケーシングと、前記吸い口の吸引により外部から流入する空気を前記吸引部に導く流路とを含む加熱部、とを備えた無煙電子タバコであって、
前記流路は、前記蓄熱体と前記断熱体との間の空隙であって、前記空隙には前記蓄熱体の熱量で前記空気が所望の温度となるよう前記空気の流速を制限する流路抵抗が設けられていることを特徴とする無煙電子タバコ。
【請求項2】
前記流路は、蓄熱体の外表面に設けられた複数の突起であることを特徴とする請求項1に記載の無煙電子タバコ。
【請求項3】
前記流路は、前記蓄熱体の外表面に彫られた複数列の溝であることを特徴とする請求項1に記載の無煙電子タバコ。
【請求項4】
前記蓄熱体は多孔質体であって、前記多孔質体の細孔が前記流路の一部を兼ねていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無煙電子タバコ。
【請求項5】
前記蓄熱体の外周にヒータ又は誘導加熱体を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無煙電子タバコ。
【請求項6】
前記蓄熱体が、前記ヒータ又は誘導加熱体により150℃から250℃に加熱され、前記流路を流れる空気が前記蓄熱体により60℃以上に加熱されることを特徴とする請求項5に記載の無煙電子タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無煙電子タバコに関し、特にタバコを燃焼させずに喫煙材成分を揮発させるのに適した温度(約60℃〜100℃)で喫煙材を加熱し、その成分(香味成分,化合物)を所定の喫煙回数(数回から十数回)だけ放出させることで、タバコ依存性を緩和可能な無煙電子タバコ、及びその無煙電子タバコ用加熱機能を備えた無煙電子タバコユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコはアルコールとともに身近な依存性薬物の代表であり、喫煙をやめたくてもやめられない人は、日本には1300万人いるといわれている。これはタバコに含まれるニコチン依存性によるためである。タバコ依存症が進むと、同じ刺激では同じ快感が得られず、大量のニコチンを求めるようになり、身近な薬物依存症が形成される。
【0003】
タバコによる害は依存症に限らず、肺ガンをはじめとする様々な健康被害が報告され、国によってはタバコのコマーシャルが規制されている。さらに、タバコは喫煙者自身が吸う煙よりも、副流煙に多くの有害物質が含まれる。このため非喫煙者にとってもタバコによる健康被害は大きな課題である。一方において、イライラしているときに吸うと気分が落ち着く、あるいはゆっくり吸うことで頭をすっきりさせる等、タバコには幾つかの効能もあることが知られている。
【0004】
こうしたタバコの有害な面を少なくしたタバコとして、近年、タバコを燃焼させることなく、タバコに似た喫煙成分を嗜好するための様々なタイプの電子タバコが提案されている。例えば、特許文献1には本物のタバコを吸っているように見える充電可能な電子タバコに関する技術が開示されている。特許文献1に記載の電子タバコは、先端にLEDを備え電源部を内包するケーシングと、ケーシングと連結し薬液を霧状とするヒータユニットと、ヒータユニットと連結する薬液容器と、薬液容器の他端と連結する吸口とから形成されている。電子タバコの吸口を吸い込んだり、吸い込むことを止めたりすることで、LEDがタバコの火のように、赤くなったり赤みが消えたりする。このため本物のタバコを吸っているように見える。さらに、吸い込むことを止め、咥えた電子タバコを口から離すと、口腔内に吸い出されていた霧状の薬液が口から吐き出され、あたかも本物のタバコの煙のように見える、というものである。
【0005】
特許文献2には、エアロゾル(煙)を発生させることなく香味を吸引して味わうことができる無煙型香味吸引具に関する技術が開示されている。特許文献2に記載の技術は、ユーザが香味吸引具の一端に設けられた炭素熱源に着火した後、他の一端に設けられたマウスピースを咥えて吸引する。これにより、炭素熱源により加熱された空気を途中に設けられた冷却要素でタバコ原料を加熱する適温(50℃〜200℃)まで冷却し、その熱によりタバコ原料を加熱する。これにより揮発するタバコ原料成分を吸引する、というものである。
【0006】
また、特許文献3には、タバコ煙を発生させずに化合物を放出する製品として、タバコを燃焼させずに加熱によって化合物を放出するいわゆる発熱するが燃焼しないタバコに関する技術が開示されている。この技術は、喫煙材に隣接して位置する加熱材からの熱移動によって喫煙材を加熱する。加熱材は、電磁誘導加熱工程中に抵抗加熱される。これにより喫煙材を燃焼させずに電磁誘導の効果によって加熱チェンバー内でニコチンおよび芳香族化合物などの喫煙材の成分を揮発させそれを吸い込む、というものである。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術は、口腔内からの吐き出される霧状の薬液が非喫煙者に副流煙を想起させるため、無煙化が完全に達成されているとはいえない。また、特許文献2に記載の技術は、本物のタバコと同じように炭素熱源に着火するため熱源の温度は数百度を超える高温となり火災の問題や、吸引する煙の温度による口腔内の低温火傷の問題がある。また、熱源で発生した高熱を冷却するための冷却部が必須となり、その構造が複雑になる、という問題がある。
【0008】
これらに対して特許文献3に記載の電子タバコは、タバコを燃焼させずに加熱によって化合物を放出する、いわゆる発熱するが燃焼しないタバコである。このため、特許文献1、特許文献2のような副煙流や火災発生の懸念は少ない。しかし特許文献3に記載の技術は、香味成分を発生させる喫煙材を加熱材と共に加熱チェンバー内に設け、誘導加熱により加熱される加熱材により加熱・揮発させている。このため、喫煙材から揮発する香味成分中に加熱材の成分が混入する可能性がある。また、喫煙材の香味成分が全て揮発した場合、加熱チェンバーごと交換しなければならない、という問題がある。さらに、特許文献1から特許文献3に記載の電子タバコは、いずれも喫煙者が陥りやすいタバコ依存症を回避するための手段が講じられていない。このため、喫煙をやめたくてもやめられなくなるタバコ依存症の問題が解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−87569
【特許文献2】特開2013−532953
【特許文献3】特表2015−531601
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、非喫煙者に副流煙の危惧を抱かせない、また火災の懸念の無い無煙電子タバコであって、気分を落ち着かせる、あるいは頭をスッキリさせるといったタバコの効能を活かしつつ、喫煙に伴うタバコ依存性が緩和される無煙電子タバコ、及び無煙電子タバコ用加熱機能を備えた無煙電子タバコユニット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、喫煙材を内包し吸い口を備えた吸引部と、
前記吸引部と連通し、空気を所定の温度に加熱する蓄熱体と、前記蓄熱体の外周を覆う断熱体と、前記蓄熱体及び前記断熱体とを内包するケーシングと、前記吸い口の吸引により外部から流入する空気を前記吸引部に導く流路とを含む加熱部、とを備えた無煙電子タバコであって、
前記流路は、前記蓄熱体と前記断熱体との間の空隙であって、前記空隙には前記蓄熱体の熱量で前記空気が所望の温度となるよう前記空気の流速を制限する流路抵抗が設けられていることを特徴とする無煙電子タバコ、である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無煙電子タバコであって、
前記流路は、蓄熱体の外表面には設けられた複数の突起であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の無煙電子タバコ
前記流路は、前記蓄熱体の外表面に彫られた複数列の溝であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の無煙電子タバコであって、
前記蓄熱体は多孔質体であって、前記多孔質体の細孔が前記流路の一部を兼ねていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項5又は6に記載の無煙電子タバコであって、
前記蓄熱体が、前記ヒータ又は誘導加熱体により150℃から250℃に加熱され、前記流路を流れる空気が前記蓄熱体により60℃以上に加熱されることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の無煙電子タバコであって、前記蓄熱体が、前記ヒータ又は誘導加熱体により150℃から250℃に加熱され、前記流路を流れる空気が前記蓄熱体により60℃以上に加熱されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、非喫煙者に副流煙の危惧を抱かせない、また火災の懸念の無い無煙電子タバコであって、気分を落ち着かせる、あるいは頭をスッキリさせるといったタバコの効能を活かしつつ、喫煙に伴うタバコ依存性が緩和される無煙電子タバコ、及び無煙電子タバコ用加熱機能を備えた無煙電子タバコユニット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、実施例の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明する。
図1は、本発明の第一の実施例である無煙電子タバコ1の構成を示した斜視図である。
図1(a)に示すように無煙電子タバコ1は、加熱部10と吸引部11とから構成され、加熱部10と吸引部11とは着脱可能に構成されている。
図1(b)は、
図1(a)に示す無煙電子タバコ1の分解斜視図である。
図1(b)に示すように、加熱部10は、その先端部に外部から空気を取り入れる細孔が設けられたキャップ101、温度センサー102、ヒータ103が巻かれた蓄熱体106、断熱体104、加熱部ケーシング105とから構成されている。吸引部11は、吸口ケーシング112、喫煙材を収納しているカートリッジ110とから構成されている。
【0024】
図2は無煙電子タバコ1の断面を示した図である。無煙電子タバコ1の外周は、加熱部ケーシング105と吸口ケーシング112とにより覆われている。加熱部ケーシング105の内側には断熱体104と蓄熱体106とがあり、断熱体104により蓄熱体106は、その全周を覆われている。断熱体104により、蓄熱体106の熱は外部に伝わり難いため、喫煙者は加熱部ケーシング105を保持できる。また、断熱体104は、蓄熱体106の熱エネルギーを外部に伝熱させ難くしている。このため蓄熱体106の内部あるいは周辺を流れる空気は、効率よく所望の温度に加熱される。
【0025】
喫煙者が吸口111を吸引すると、キャップ101から空気が流入する。流入した空気は、蓄熱体106の蓄熱により加熱され、加熱された空気は喫煙材カートリッジ110に収納されている喫煙材成分(香味成分、ニコチン等の化合物)を揮発させる。喫煙者は、揮発した喫煙材成分を吸口111から吸引する。このように本発明の一実施例である無煙電子タバコ1は、燃焼させずに加熱によって喫煙材成分を揮発させているので煙が発生せず、また火災の危険性もない。
【0026】
図2(c)に示すように、加熱部10の先端に取り付けられているキャップ101には、吸口111により吸引された際に空気が内部に流入する流入孔である細孔1011が設けられている。また、温度センサーの外部との接続電極である温度センサー用電極1021、及びヒータ103を外部電源と接続するためのヒータ用電極1031が露出している。
【0027】
図3(a)は蓄熱体106の外表面にヒータ103を巻き付けた状態を示した図である。ヒータ103の両端であるヒータ用電極1031は、上述したようにキャップ101を介して目立たないように外部に露出しており、
図6、
図7に示す電源ユニットの無煙電子タバコ挿入口51に挿入すると、
図8に示す電源供給用電極54と接続し、
図3に示すヒータ103が通電し蓄熱体106が加熱される。
【0028】
図3(b)は蓄熱体106の内部に挿入される温度センサー102の斜視図である。本実施例においては、蓄熱体106は多孔質体、例えばカーボン、二酸化ケイ素等のセラミックス、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ベークライト等の樹脂材、金属酸化物等の材料を圧縮成形したもの等であるが、かかる多孔質体の細孔に温度センサーを埋め込み配置することは好ましい。温度センサー102は、加熱されている蓄熱体106の温度を測定し、蓄熱体106が所定の温度、約150℃〜250℃に達したときにヒータ電源にオフの信号を出す。
【0029】
蓄熱体106は蓄熱容量の大きい材料、例えば、鉄、銅、アルミ、ステンレス、合金、ベークライト等の樹脂など、必ずしも多孔質体でなくても良い。蓄熱体106として多孔質体を用いない場合には、キャップ101からの空気を流す流路を蓄熱体自身及び/又はその周辺に形成することが好ましい。
【0030】
図4は多孔質体ではない蓄熱体306と、その外周に形成される断熱体304との間の空隙を流路とし、蓄熱体306の外表面に空気の流れを阻害する流路抵抗310を設けた流路301の構成斜視図である。このような流路301を形成することにより、吸口111から吸引された空気9の流速が制限される。これにより、流路301を流れる空気9は、蓄熱体106により所定の熱量を受けることができ、所望の温度(60℃以上)に加熱された後、吸引部11に導入される。60℃以上に加熱された空気により喫煙材カートリッジ110に収納されている喫煙材が揮発される。
【0031】
図5は流路301−1を蓄熱体306の外表面に形成した場合を示した図である。本実施例においては、流路をV字に形成しているが、その形状はV字に限定されず、例えば、スネーク形状や螺旋形状であっても良い。また、流路の幅を適宜変えることで流路抵抗を制御することができ、これにより空気9の流速を所望の流速とすることができる。なお、流路形状は蓄熱体306の熱容量と流速とを勘案し決定することが好ましい。また、多孔質体の内部の細孔を流路として用い、かつ蓄熱体と断熱体との空隙も流路として利用しても良い。
【0032】
図6、
図7、
図8は無煙電子タバコ1の電源ユニット5の構成を示した図である。電源ユニット5は無煙電子タバコ1の蓄熱体106を加熱するヒータ103に電気を供給する電源ユニットである。無煙電子タバコ1は挿入孔51に挿入されることで、ヒータ用電極1031が電源ユニットの電極と接続し通電する。
【0033】
電源ユニット5の外蓋52の下部側面には外部からの電源供給の差込口53が設けられている。差込口53にUSBケールを差し込むことで、
図8に示す回路基板56を介して接続されているバッテリー55を充電するとともに、バッテリー55、回路基板56、電源供給部54を介してヒータ103に電気を流す。また、回路基板56は温度センサー102からの信号によりヒータ103に通電するか否かの制御を行う。
【0034】
電源ユニット5は、内部にバッテリー55を備え、その形状を通常のタバコサイズとすることで携帯利便性が確保できる。また、バッテリー55の容量を特定することで加熱回数を制限(喫煙者の吸引回数を制限)でき、タバコ依存性を緩和させることができる。
【0035】
図9は本発明の第二の実施例である無煙電子タバコ2の構成を示した斜視図である。無煙電子タバコ2は、加熱部20と吸引部21とからなる。加熱部20の外周は、加熱部ケーシング205により覆われており、加熱部ケーシング205の内側には誘導加熱体204が蓄熱体206の全周を覆うように形成されている。なお、喫煙者が加熱部ケーシング205を保持できるよう、誘導加熱体204と加熱部ケーシング205との間には断熱体あるいは空気層を設け、誘導加熱体204の熱と蓄熱体206との熱が伝熱され難くすることが好ましい。また、断熱体や空気層を設けることにより、蓄熱体206の熱エネルギーが外部に放出され難くなり、流路を流れる空気を安定して所望の温度に加熱することができる。
【0036】
図10は無煙電子タバコ2の断面を示した図である。無煙電子タバコ2の外周は、加熱部ケーシング205と吸口ケーシング212とにより覆われている。加熱部ケーシング205の内側には誘導加熱体204が蓄熱体206の全周を覆うように配置されている。誘導加熱体204と加熱部ケーシング205の間には断熱体203、あるいは断熱体としての空気層を設けることが好ましい。
【0037】
無煙電子タバコ2の先端にあるキャップ201には空気が流入する流入細孔2011が設けられ、温度センサー用電極2021が露出している。
図11は、蓄熱体206の外周が誘導加熱体204で覆われ、蓄熱体206の内部には温度センサー302が埋め込まれている様子を示した斜視図である。本実施例における温度センサー202は熱電対2022、外部電極2021、これらを接続する接続線とからなる。
【0038】
第二の実施例で示す無煙電子タバコ2と第一の実施例で示した無煙電子タバコ1との違いは、蓄熱体の加熱方式の違いである。無煙電子タバコ1は、蓄熱体106の外表面に巻き付けられたヒータ103により加熱するのに対し、無煙電子タバコ2は誘導加熱体204により蓄熱体206を加熱する。
【0039】
図12、
図13は、無煙電子タバコ2の電源ユニット6の構成を示した図である。電源ユニット6と先に説明した電源ユニット5との違いは、電源ユニット5が無煙電子タバコ1の蓄熱体106を加熱するのがヒータであり、係るヒータに電気を供給する電源ユニットであったのに対し、電源ユニット6は誘導加熱により誘導加熱体206を通して蓄熱体を加熱するところにある。
【0040】
このため、
図13に示すように電源ユニット6の挿入孔61の下部から、ほぼ無煙電子タバコ2の加熱部20の長さで、回路基板66と接続する誘電回路基板67が設けられている。
【0041】
回路基板66は温度センサー102からの信号により、誘電回路基板67に通電するか否かを制御し、通電により電磁誘導により誘導加熱体204を所定の温度に加熱する。誘導加熱による蓄熱体の加熱以外は、第一の実施例で説明したことと同じである。
【0042】
本発明の第一実施例、及び第二実施例に示す無煙電子タバコの構成を模擬したサンプルにより、蓄熱体の加熱温度と吸口の吸引により加熱される空気の温度との関係について実証実験を行った。その結果、蓄熱体を到達温度200℃まで加熱すると、吸引を10回まで繰り返しても喫煙材に流入する空気の温度は、60℃から80℃の範囲に収まることが確認できた。また、蓄熱体の加熱到達温度を150℃から250℃の範囲で可変することで、吸引可能回数(喫煙材に流入する空気の温度を60℃以上に保持できる吸引回数)を20%程度増減できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第一実施例である無煙電子タバコ1の分解斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施例である無煙電子タバコ1の断面を示した図である。
【
図3】本発明の第一実施例における蓄熱体106の外表面にヒータ103を巻き付けた状態を示した図等である
【
図4】本発明の第一実施例における蓄熱体が多孔質体ではない蓄熱体306と、その外周に形成される断熱体304との間の空隙を流路とし、蓄熱体306の外表面に流路抵抗310を設けた流路301の斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施例における蓄熱体306の外表面に形成された流路301−1の斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施例である無煙電子タバコ1の電源ユニット5の構成を示した図である。
【
図7】本発明の第一実施例である無煙電子タバコ1の電源ユニット5の構成を示した図である。
【
図8】本発明の第一実施例である無煙電子タバコ1の電源ユニット5の構成を示した図である。
【
図9】本発明の第二の実施例である無煙電子タバコ2の構成を示した斜視図である。
【
図10】無煙電子タバコ2の断面を示した図である。
【
図11】本発明の第二実施例である無煙電子タバコ2を構成する誘導加熱体204、蓄熱体206、及び温度センサー202の構成を示した斜視図である。
【
図12】本発明の第二実施例である無煙電子タバコ2の電源ユニット6の構成を示した図である。
【
図13】本発明の第二実施例である無煙電子タバコ2の電源ユニット6の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0044】
1 無煙電子タバコ
10 加熱部
11 吸引部
101 キャップ
102 温度センサー
103 ヒータ
104 断熱体
105 ケーシング1
106 蓄熱体
110 カートリッジ(喫煙材)
111 吸口
112 ケーシング2
2 無煙電子タバコ
20 加熱部
21 吸引部
201 キャップ
202 温度センサー
203 断熱体(空気層)
204 誘導加熱体
205 加熱部ケーシング
206 蓄熱体
210 カートリッジ(喫煙材)
211 吸口
212 吸口ケーシング