特許第6409040号(P6409040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409040身体動作を自由にするジャケット/コート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409040
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】身体動作を自由にするジャケット/コート
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/02 20060101AFI20181004BHJP
   A41D 1/04 20060101ALI20181004BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20181004BHJP
   A41D 31/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A41D1/02 A
   A41D1/02 E
   A41D1/04 E
   A41D13/002
   A41D31/00 501C
   A41D31/00 501E
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-209424(P2016-209424)
(22)【出願日】2016年10月26日
(62)【分割の表示】特願2015-541943(P2015-541943)の分割
【原出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2017-53080(P2017-53080A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】13/673,260
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ファロン
(72)【発明者】
【氏名】シェイラ エイ ヴァン シセレン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リンジー ヴィ ジェイ
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−015210(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3167570(JP,U)
【文献】 特開2002−339120(JP,A)
【文献】 実公昭42−017929(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/02− 1/04
A41D13/00−13/12
A41D31/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャケット/コートであって、
スリーブ及びベストシュラッグ状部から構成されるシュラッグ状部と、アームホールを有するベスト部であって、該ベスト部は、前記シュラッグ状部上に延在する前記べスト部と、を備え、
前記ベスト部は、前記シュラッグ状部の下端部及び前記シュラッグ状部の前記ジャケット/コートを開閉する2つの前縁部に縫い付けられ、
前記べスト部は、該べスト部のアームホールでは前記シュラッグ状部に縫い付けられておらず、該シュラッグ状部の前記スリーブは、自由浮動状態にあり、
前記ベストシュラッグ状部は、弾性及び柔軟性のあるメッシュタイプの材料からなるジャケット/コート。
【請求項2】
請求項1に記載のジャケット/コートであって、前記べスト部及び前記スリーブに熱充填材をさらに備えるジャケット/コート。
【請求項3】
ジャケット/コートであって、少なくとも人の体幹を覆うことのできるボディ部であって、該ボディ部は、第1のアームホール及び第2のアームホールを備え、前記ボディ部は、さらに熱充填材を備える、前記ボディ部と、第1の複合スリーブ及び第2の複合スリーブと、を備え、
前記第1の複合スリーブ及び前記第2の複合スリーブの各々は、下側スリーブ、上側スリーブ及びカバースリーブを含み、さらに、前記上側スリーブは、該上側スリーブの全周囲にわたって延在する、弾性及び柔軟性のあるメッシュタイプの材料からなり、前記第1の複合スリーブの前記上側スリーブは、前記ボディ部の前記第1のアームホールの周囲の第1の継ぎ目において前記ボディ部に取り付けられ、前記第2の複合スリーブの前記上側スリーブは、前記ボディ部の前記第2のアームホールの周囲の第2の継ぎ目において前記ボディ部に取り付けられ、前記下側スリーブは、着用者の肘よりも上方の継ぎ目によって前記上側スリーブに取り付けられ、前記第1の複合スリーブの前記カバースリーブは、前記ボディ部の前記第1のアームホールの周囲の前記第1の継ぎ目において前記ボディ部に取り付けられ、前記第2の複合スリーブの前記カバースリーブは、前記ボディ部の前記第2のアームホールの周囲の前記第2の継ぎ目において前記ボディ部に取り付けられ、且つ、前記カバースリーブは、前記着用者の腕が前記着用者の身体と平行な休止位置にある場合に、前記着用者の肩から前記上側スリーブよりも下側まで延在して、前記上側スリーブを完全に隠している、ジャケット/コート。
【請求項4】
請求項3に記載のジャケット/コートであって、前記下側スリーブ及び前記カバースリーブに熱充填材をさらに備えるジャケット/コート。
【請求項5】
請求項4に記載のジャケット/コートであって、前記ボディ部、前記下側スリーブ及び前記カバースリーブが、同様の布地/テキスタイル材料からなるジャケット/コート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の動作域が広がるジャケット及び/又はコートに関する。本発明は、当
該技術分野におけるいくつかの実用的な応用を提供するものであり、アスリート用ウェア
やカジュアルウェア等に限定されるものではない。より具体的には、本発明は、着用者の
肩や腕周りの動作を自由にするアウターウェア、特には、肉体的要求の高い活動や、着用
者の腕や肩の動作域が大きいことが利点となる任意の活動に用いられるアウターウェアに
関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外では、天気によって追加の衣類を重ね着する必要がある。追加の衣類を重ね着する
と、特に運動又は他の身体活動中に、着用者の身体を締め付ける場合がある。例えば、ゴ
ルフでは、クラブを適切にスイングするためにかなりの動作域が求められるが、降水時や
気候が寒い場合には追加の衣類を重ね着する必要があるため動作域が縮小される。ジャケ
ット/コートは、多用途であって通常はゆったりとしていること、開閉可能な開口部があ
り着脱し易いこと、また、雨や風、雪や温度変化等の環境要素から身体を保護する素材か
ら作られていること等から重ね着用の衣類として人気がある。革、又は撥水性及び/又は
防風性をもたらす材料で処理された合成繊維のような素材を用いることの欠点は、これら
の素材には十分な伸縮性や通気性がないこと、もしくは、あったとしても伸縮性や通気性
が最小限であることにある。そのような限られた伸縮性では、衣服に備わる伸縮性よりも
高い伸縮性を要する活動において非実用的となり得る。さらに、ゴルフのようなスポーツ
では、例えば、動作中に衣服から生じるノイズを制限したい等といった要望を考慮するた
め、ジャケット等に用いることのできる素材が限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、雨や風のような環境要素から身体を保護でき、且つ着心地の良いジャ
ケット/コートを提供することにある。本発明に従うジャケット/コートはレイヤー構造
を有することができ、このレイヤー構造では、ジャケット/コートの層間で種類の異なる
布地や材料を用いることができる。これによって、ジャケット/コートにより提供される
保護レベルを損なうことなく、着用者にとって着心地の良いウェアを実現することができ
る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の例において、ジャケット/コートは、コア及び該コアに取り付けられたスリーブ
を有する、第1のパーシャルシュラッグ状部(胸部を覆うフロントピースを有しない)を
備えることができる。スリーブは、長袖、半袖、3/4分袖、又はジャケットの特定のス
タイル及び使用目的に応じて任意の他の長さとすることができる。第1のパーシャルシュ
ラッグ状部は、全体的及び/又は部分的に弾性材料から構築することができる。パーシャ
ルシュラッグ状部及びスリーブは、連続した材料から作ることができる。または、スリー
ブは、歪を引き起こす可能性のある肩部に継ぎ目が生じることを回避するべく、肩部より
下の所定の位置に縫い付けてもよい。
【0005】
パーシャルシュラッグ状部は、選択的に、歪取り用切欠き部を背面部に有することがで
きる。切欠き部は、例えば三角形状とすることができ、選択的に、該切欠き部を安定させ
るための弾性スタビライザを有することができる。例えば、切欠き部は、その形状を下向
きの三角形状として、ジャケット/コートの襟に近い該三角形の広い方の端を横切る安定
用のゴムバンドを有することができる。
【0006】
さらに、ジャケット/コートは、パーシャルシュラッグ状部よりも丈が長く、該パーシ
ャルシュラッグ状部に重ねられるべスト部を備えることができる。パーシャルシュラッグ
状部は、該シュラッグ状部の下端部に位置する継ぎ目、該パーシャルシュラッグ状部とべ
スト部の襟元に位置する継ぎ目、及びスリーブのそれぞれの正面領域に対応したアームホ
ールの各々の前縁部に位置する継ぎ目にて、べスト部に取り付けることができる。換言す
ると、ジャケットの背面には、パーシャルシュラッグ状部とべスト部とを付け合わせる継
ぎ目が存在しないため、両スリーブは本質的に自由浮動状態にある。従って、着用者が背
中を曲げたり腕を前方又は任意の他の方向に延ばしたりする必要がある際、これらの動作
を自由に行うことができる。
【0007】
べスト部は、パーシャルシュラッグ状部と同様の材料から構築すること、又は代替的に
異なる材料から構築することができ、該材料は、弾性及び/又は伸縮性を有するものとす
ることができる。伸縮性材料は、4方向ストレッチのテキスタイル、2方向ストレッチの
テキスタイル、複合材料、シート状材料等とすることができる。パーシャルシュラッグ状
部及びべスト部はともに、本質的に又は防水処理によって耐水性又は防水性とすることが
できる。代替的に、防水性を求める場合、ジャケット/コートの製造に先立ち、材料の内
面に弾性且つ耐水性のあるポリマー材料層を適用することができる。
【0008】
考えられるところでは、雨又は環境降水、又は他の水源の場合、スリーブが自由浮動状
態にある背面の隙間から水が進入する可能性が潜在的にあり、その水はパーシャルシュラ
ッグ状部とべスト部との間に蓄積され得る。従って、本発明に従うジャケット/コートに
おいては、べスト部の、パーシャルシュラッグ状部とべスト部との間の、下端部の継ぎ目
のわずかに上方に複数の穿孔を設けることができ、これによって水を蓄積させずに流出さ
せることができる。さらに、継ぎ目が形成されたパーシャルシュラッグ状部の下端部は、
排水プロセスにおいて、存在する水を複数の穿孔により効率的に誘導するべく、完全に水
平にするのではなく僅かに角度をつけることができる。複数の穿孔の配置場所に応じて、
審美的及び/又は機能的な観点から上記継ぎ目の角度が調節される。例えば、ジャケット
/コートの背面の中央に穿孔がある場合、継ぎ目の形状は、水を該中央へと誘導するのに
十分な角度の付いた、わずかな半円形又はわずかにフラットな「V」字状とすることがで
き、水は重力によって下方へと引かれてジャケットの外に排水される。このような構造が
用いられる場合、上記「V」字状は、ストラップ、メッシュ状の挿入物、剛性端部又は半
剛性端部等によって維持することができる。
【0009】
本発明に従うジャケット/コートの他の例において、ジャケット/コートは、強靭且つ
柔軟なメッシュ状材料又は他の所望の通気性のある材料から作られた、シュラッグ状部を
備えることができる。シュラッグ状部を構成する材料は、合成繊維及び/又は天然繊維と
することができ、さらに、該材料に弾性を付加するよう弾性繊維を含めることもできる。
ジャケット/コートのスリーブは、該シュラッグ状部のアームホールにて、シュラッグ状
部に取り付けできる。スリーブの長さは、半袖、3/4分丈、長袖等、ジャケット/コー
トに所望の長さとすることができ、弾性や弾力性のような異なる特性を有する異種材料を
繋ぎ合わせてもよい。
【0010】
ジャケット/コートは、シュラッグ状部の上に、該シュラッグ状部よりも剛性が高く丈の長いベスト部をさらに備えることができる。シュラッグ状部は、該シュラッグ状部の襟部、下端部、及び前縁部における縫い目を除いて、べスト部内で自由浮動状態とすることができる。このようなジャケット/コート構造、すなわち、スリーブが肩部にて、比較的剛性の高いべスト部から自由浮動状態にある構造によって、特には、着用者が腕を前方に引っ張った際や腕を肩より上に持ち上げた際における身体の動作域が広がるのみならず通気性を確保できる。
【0011】
また、本発明に従うジャケット/コートの他の例では、厚手の冬用ジャケット/コート
を提供することができる。冬用ジャケットは、寒気を絶縁するべく嵩が大きい傾向にある
ため、必然的に通気性が制限されるとともに、着用者の動作域いっぱいの動きが許容され
ない。従って、本発明に従うジャケット/コートでは、寒冷な気候からの絶縁性を損なう
ことなく、通気性をもたらし及び/又は着用者の身体の動作域を広げることのできる、複
合スリーブを提供することができる。換言すると、スリーブは、下側スリーブ、上側スリ
ーブ、及びカバースリーブの3つの異なるセクションから構成可能である。下側スリーブ
は、絶縁繊維を含むジャケット/コートの他の部分と同様の方法で、且つ同様の材料を用
いて構成することができ、手首から肘までの任意の部分を覆うことができる。また、上側
スリーブは、柔軟且つ弾性のあるメッシュタイプの材料、又は他の通気性のある任意の材
料を含み、継ぎ目によって下側スリーブに取り付けでき、肩までを覆ってアームホール周
りの継ぎ目にてジャケット/コートに取り付け可能である。最後に、カバースリーブは、
絶縁繊維を含むジャケット/コートの他の部分と同様の材料から構成することができ、ち
ょうど上側スリーブのように、スリーブをジャケット/コートのアームホールに接続させ
る継ぎ目にて該ジャケット/コートに取り付け可能である。カバースリーブは、肩部から
、上側スリーブのわずかに下側まで延在して、着用者の腕が身体と平行となる休止位置に
腕がある際に、上側スリーブを完全に隠すことができる。上側スリーブと下側スリーブと
の長さ比は上記したもの以外とすることができ、かかる比に従ってカバースリーブの長さ
も同様に変化させることができる。
【0012】
本発明に従う複合スリーブを有するジャケット/コートによれば、該ジャケット/コー
トの内側・外側間の通気性を改善することができ、且つ、上側スリーブの柔軟性によって
着用者に提供される柔軟性が高まるため快適性を維持できる。換言すると、本発明に従う
複合スリーブ構造は、着用者の動作に応じてスリーブを伸縮させる(伸長させる)ことに
よって、着用者の動作域を広げるだけでなく、優れた温度調節機能を提供することができ
る。
【0013】
本発明のさらなる目的、利点、及び新規の特徴を、以下の説明に部分的に記載する。そ
の一部は、当業者が以下の記載を検討することによって明らかになるであろうし、本発明
の実施によって知ることができるであろう。
【0014】
本発明を、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に従う例示的ジャケット/コートの解体図である。
図2図1のジャケット/コートを重ねた正面図である。
図3図1のジャケット/コートを重ねた背面図である。
図4図1のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図5図1のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図6図1のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図7】本発明に従う、他の構造を有する例示的ジャケット/コートの正面図である。
図8A図7のジャケット/コートの解体図である。
図8B図7のジャケット/コートの解体図である。
図9図7のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図10図7のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図11】上側スリーブ及び下側スリーブを備えるスリーブ構造を示す、本発明に従う他のジャケット/コートの図である。
図12図11のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図13図11のジャケット/コートの着用状態を示す図である。
図14】本発明に従うジャケット/コートにおける、代替的な歪取り用切欠き部の例を示す図である。
図15】本発明に従うジャケット/コートにおける、代替的な歪取り用切欠き部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、肩及び腕周りの動作域が広がるジャケット/コートを提供する。動作域を大
きくすることに加えて、本発明に従うジャケット/コートのさらなる利点は、環境要素か
らの保護を損なうことなく通気性を提供することにある。
【0017】
図1を参照すると、本発明に従うジャケット/コート100の分解図が示されている。
図1に示すように、ジャケット/コート100は、2つの主要な構成要素、すなわち、ス
リーブ126を備えるパーシャルシュラッグ状部(背面のみを覆う)120と、ジャケッ
ト/コート100の全長をなすべスト部110と、を備えている。
【0018】
パーシャルシュラッグ状部120は、べスト部110よりも弾性のある材料を含むこと
ができる。さらに、パーシャルシュラッグ状部120は、該パーシャルシュラッグ状部1
20の丸みを帯びた下端部122の上方、例えば、およそ1.27〜12.7cmの位置
から、当該パーシャルシュラッグ状部120の襟端部124までを含む、歪取り用切欠き
部130を備えることができる。歪取り用切欠き部130は、切り欠かれた襟端部124
の下方およそ1.27〜12.7cmの位置に配置された、弾性スタビライザ132によ
って固定することができる。歪取り用切欠き部130は、図示するように「V」字型とす
ることや、所期する目的に適した他の形状とすることができる。弾性スタビライザ132
は、省略してもよく、又はメッシュと置換してもよい。歪取り用切欠き部のいくつかの代
替例を、図14及び図15に示す。図14は、伸縮性のあるメッシュインサート1432
で固定された襟端部1424を有する、V字型の歪取り用切欠き部1430を示している
図15は、使用中に形状を維持するよう補強された襟端部1524を有する、V字型の
歪取り用切欠き部1530を示している。補強された襟端部1524は、レイヤリング、
ラミネート、プラスチックインサート、金属インサート、シームテープ、エラストマ等を
用いて形成することができる。本発明に従うジャケット/コートに用いる歪取り用切欠き
部としては、例示的にV字型のものが図示されているが、U字型のような他の形状のもの
を用いてもよい。
【0019】
本発明に従うジャケット/コートのスリーブ126は、必要に応じて、パーシャルシュ
ラッグ状部120と一体化させ、該部分120と連続させることができる。スリーブ12
6は、少なくとも該スリーブ126の肘上の上腕部を覆う領域と、肘領域(図示せず)と
、にパーシャルシュラッグ状部120と同様の弾性材料を具えることができる。他の例に
おいて、スリーブ126は、手首部分までパーシャルシュラッグ状部と同様の弾性材料を
備えることができる。本発明のさらに他の例において、スリーブ126は、半袖・長袖に
転換可能であり、例えば、スリーブ126を上側スリーブと下側スリーブとに分割する、
ジッパーフラップ付きのジッパーを肘上部分に備えることができる。ジッパーは、着用者
の都合に合せて、下側スリーブ部分をジャケット/コート100の上側スリーブ部分に取
付け又は取外しするよう用いられる。
【0020】
本発明に従うジャケット/コート100の構造について説明する。ジャケット/コート
100の全長をなすべスト部110は、パーシャルシュラッグ状部120の上に配置して
、該パーシャルシュラッグ状部120の丸みを帯びた下端部122及び側端部123にて
取り付けすることができる。スリーブ126の前縁部127は、べスト部110に設けら
れたアームホール112の前縁部113にのみ取り付け可能である。換言すると、本発明
に従うジャケット/コート100の背面部及び肩部には、継ぎ目がないということである
。従って、パーシャルシュラッグ状部120とべスト部110との間に「ポケット」(背
面部から肩部にアクセス可能)が本質的に形成されるため、べスト部110の、パーシャ
ルシュラッグ状部120の丸みを帯びた下端部122との継ぎ目のわずかに上側に、穿孔
114が設けられている。穿孔部114は、ジャケット/コートを雨天時に着用して上記
「ポケット」に水が入った場合に、排水機構として機能し得る。
【0021】
本発明に従うジャケット/コート100は、弾性を付加する等、異なる特性を付加し得
る撥水性布地を組合せて形成することができる。撥水性布地における弾性は、実質的に多
方向に作用し得るが、いくつかの方向のみに作用するものとすることができる。例えば、
本発明に従う衣服の構成に用いられる1つ以上の材料は、4方向ストレッチのテキスタイ
ル、2方向ストレッチのテキスタイル、又は所望の特性を有する他の材料を含むことがで
きる。使用するテキスタイルにより、スパンデックス及び/又はスパンデックスブレンド
のような材料選択に基づき、及び/又は、機械的なストレッチ度合いを提供するニットの
ような機械的特性に基づき、所望のストレッチ性を提供することができる。主に単軸に沿
う双方向ストレッチのテキスタイルが選択された場合、ジャケットの着用時における上記
軸は、参照番号160で示すように実質的に水平な向き、又は参照番号162,164で
示すように水平から偏った向きとなる。選択的に、本発明に従うジャケットに用いる他の
テキスタイル部分は、異なるストレッチ特性及び/又は異なる配向を有することができる
。さらに、布地は、エラストマ防水コーティング材を含むことができ、選択的に、少なく
とも布地自体と同様の弾性特性を備えるエラストマ防水コーティング材を備えることがで
きる。本発明に従うジャケット/コート100を構築する別の継ぎ目は、ステッチング、
よう着(接着材料を使用)又はこれら両方の組合せにより形成することができる。
【0022】
図2及び図3は、本発明に従うジャケット/コート100を構築した状態の、正面図及
び背面図をそれぞれ示している。図3は、とりわけ、部分的なシュラッグ状部120及び
べスト部110が互いにどのように整列して、本発明に従うジャケット/コートに整うの
かを示している。さらに、図4〜6は、本発明に従うジャケット/コート100を、ユー
ザが着用した状態を示している。図4〜6に見られるように、本発明に従うジャケット/
コート100は、歪取り用切欠き部130を有する弾性のパーシャルシュラッグ状部12
0を設けること、及び肩部とスリーブと間の継ぎ目を除去することによって、着用者の腕
及び背中の動作域を広げることができる。従って、本発明に従うジャケット/コート構造
は、着用者の任意の動きに対し、必要に応じて衣服の背面を伸縮させることができる。
【0023】
本発明に従うジャケット/コートの長さは、該ジャケット/コートのべスト部110に
よって決まるため、べスト部は、所望のジャケット/コートの特定のスタイルに望ましい
任意の長さとすることができる。例えば、べスト部110は、任意の所望の長さとするこ
とができ、例えば、ウエスト位置、ヒップ位置、太股位置、もしくはこれらの間の長さ、
又はこれらよりも長くすることができる。
【0024】
図7を参照すると、本発明に従うジャケット/コート200の他の例が示されている。
図7に示されるように、ジャケット/コート200は、スリーブ226が取り付けられた
べストシュラッグ状部220(図示せず)上に、べスト部210を有することができる。
ジャケット/コート200は、薄く、熱繊維(合成又はダウン)でキルティングされ、寒
冷な気候を絶縁することができる。さらに、ジャケット/コート200の外側シェルは、
耐水性や防水性のある生地と、防水性又は防水性でない弾性布地との組み合わせによって
構成することができる。
【0025】
図8Aに、べストシュラッグ状部220を示す。べストシュラッグ状部220は、弾力性があり且つ柔軟なメッシュ型材料を備えることができる。べストシュラッグ状部220は、スリーブ226を取り付けるための2つのアームホール240を有する。さらに、べストシュラッグ状部220は、ジャケット/コートが構築される際に、外側のべスト部210との接続点となる、下端部221、襟端部222、及び2つの前縁部223を備え図8Bには、スリーブ226が取り付けられたべストシュラッグ状部220が示されている。図8Bに明記されるように、スリーブ226は、べスト部210と同様の薄いキルティング構造であり、べスト部210と同等の絶縁性を提供する。さらに、スリーブ226は、柔軟且つ伸縮可能な布地材料を、腕の下側に肘領域まで備えることができ、これによってかかる領域における、特には腕を上げたり肘を曲げたりする際の柔軟性が高まる。
【0026】
さらに、図9及び図10に示されるように、着用者が本発明に従うジャケット/コート
200を着用している際、ジャケット/コート200は、着用者を寒冷な気候から保護す
るのみならず、動作範囲を妨げることがない。これは、べストシュラッグ状部220及び
べスト部210間のスリーブと肩部に継ぎ目がないためである。また、べストシュラッグ
状部220の柔軟なメッシュ構造により、ジャケット/コート200の内外間で通気がで
きるため温度調節機能が向上する。
【0027】
図1に示されるジャケット/コート100のように、図7におけるジャケット/コート
200の長さもべスト部210の長さによって決定される。このように、べスト部210
は、ジャケットの特定のスタイル又は要求に応じて任意の所望の長さとすることができる
【0028】
本発明に従うジャケット/コートのさらに他の例には、図11図13に示される厚手
の冬用ジャケット/コート300がある。冬用ジャケットは、寒冷な気候を絶縁するべく
嵩が大きい傾向にあり、必然的に、通気性が制限されるとともに、着用者の腕や肩の最大
限の動きを許容せず制限的になり得る。従って、本発明に従うジャケット/コート300
においては、複合スリーブ330が設けられ、該複合スリーブ330によれば、寒冷な気
候からの絶縁性を損なうことなく、通気性をもたらすとともに着用者の動作範囲を広げる
ことができる。換言すると、スリーブ330は3つの異なるセクション、すなわち、下側
スリーブ332、上側スリーブ334、及びカバースリーブ336を備えることができる
。下側スリーブ332は、ジャケット/コート300の他の部分と同様の材料を用いて、
同様の方法で構築することができ、手首から肘を含む腕部分をカバーすることができる。
また、上側スリーブ334は、柔軟且つ弾力性のあるメッシュタイプの材料を備え、肘上
の継ぎ目によって下側スリーブ332に取り付け可能であり、肘から上の腕部分をカバー
することができるとともに、アームホール320周りの継ぎ目にてジャケット/コート3
00に取り付けできる。
【0029】
最後に、カバースリーブ336は、絶縁繊維を含むジャケット/コート300の他の部
分と同様の材料から構築することもできる。カバースリーブ336は、ジャケット/コー
ト300のアームホールに接続する継ぎ目320によって、該ジャケット/コート300
の他の部分に取り付けできる。カバースリーブ336は、肘部から上側スリーブ334の
わずかに下まで延在して、着用者の腕が身体と平行な休止位置にあるときに、該上側スリ
ーブ334を完全に隠すことができる。上側スリーブ334と下側スリーブ332の長さ
比は、上述した比以外であってもよい。また、カバースリーブ336の長さは、上側スリ
ーブ334が隠れる長さに応じて変えることも可能である。
【0030】
図12は、ジャケット/コート300を着用した着用者の腕が、休止位置にある状態を
示す図である。図示されるように、スリーブ330の上側スリーブ334は、カバースリ
ーブ336によって完全に隠れている。図13は、上側スリーブ334を構成するメッシ
ュタイプの材料が、着用者が腕を曲げた際にどのように伸縮でき、それによって衣類の歪
がどのように解消されるのかを示している。
【0031】
本発明に従う複合スリーブ330を有するジャケット/コート300では、該ジャケッ
ト/コート300内側・外側間の通気性が改善されるとともに、上側スリーブ334を構
成するメッシュ材料の柔軟性によって着用者に対する柔軟性が高まり、快適な着心地を保
つことができる。換言すると、本発明に従う複合スリーブ構造は、温度調節機能を高める
とともに、着用者の動作範囲を広げることができる。
【0032】
さらに、ちょうど上述したジャケットのように、本発明に従うジャケット/コート30
0は、所望のスタイル及び被覆率に応じてその長さを異にすることができる。例えば、ジ
ャケット/コート300を、ウエスト位置、ヒップ位置、太股位置、膝位置、もしくはこ
れらの間の任意の長さ、又はこれらよりも長くすることができる。
【0033】
以上のことから、本発明が、当該構造に明白且つ固有の他の利点を伴って、本明細書に
記載されたすべての目標及び目的を達成するよう適合されていることが理解されよう。
【0034】
いくつかの特徴及びサブコンビネーションが有用であり、他の特徴及びサブコンビネー
ションを参照することなく採用できることが理解されよう。これは、本発明の特許請求の
範囲の想定内であり、本特許請求の範囲に含まれるものである。
【0035】
様々なスタイルのジャケット/コートを、本発明の範囲から逸脱することなく製造する
ことができる。本明細書に記載される事項、又は添付の図面に示される事項はすべて例示
であり、発明を制限するものではないと理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15