【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の例において、ジャケット/コートは、コア及び該コアに取り付けられたスリーブ
を有する、第1のパーシャルシュラッグ状部(胸部を覆うフロントピースを有しない)を
備えることができる。スリーブは、長袖、半袖、3/4分袖、又はジャケットの特定のス
タイル及び使用目的に応じて任意の他の長さとすることができる。第1のパーシャルシュ
ラッグ状部は、全体的及び/又は部分的に弾性材料から構築することができる。パーシャ
ルシュラッグ状部及びスリーブは、連続した材料から作ることができる。または、スリー
ブは、歪を引き起こす可能性のある肩部に継ぎ目が生じることを回避するべく、肩部より
下の所定の位置に縫い付けてもよい。
【0005】
パーシャルシュラッグ状部は、選択的に、歪取り用切欠き部を背面部に有することがで
きる。切欠き部は、例えば三角形状とすることができ、選択的に、該切欠き部を安定させ
るための弾性スタビライザを有することができる。例えば、切欠き部は、その形状を下向
きの三角形状として、ジャケット/コートの襟に近い該三角形の広い方の端を横切る安定
用のゴムバンドを有することができる。
【0006】
さらに、ジャケット/コートは、パーシャルシュラッグ状部よりも丈が長く、該パーシ
ャルシュラッグ状部に重ねられるべスト部を備えることができる。パーシャルシュラッグ
状部は、該シュラッグ状部の下端部に位置する継ぎ目、該パーシャルシュラッグ状部とべ
スト部の襟元に位置する継ぎ目、及びスリーブのそれぞれの正面領域に対応したアームホ
ールの各々の前縁部に位置する継ぎ目にて、べスト部に取り付けることができる。換言す
ると、ジャケットの背面には、パーシャルシュラッグ状部とべスト部とを付け合わせる継
ぎ目が存在しないため、両スリーブは本質的に自由浮動状態にある。従って、着用者が背
中を曲げたり腕を前方又は任意の他の方向に延ばしたりする必要がある際、これらの動作
を自由に行うことができる。
【0007】
べスト部は、パーシャルシュラッグ状部と同様の材料から構築すること、又は代替的に
異なる材料から構築することができ、該材料は、弾性及び/又は伸縮性を有するものとす
ることができる。伸縮性材料は、4方向ストレッチのテキスタイル、2方向ストレッチの
テキスタイル、複合材料、シート状材料等とすることができる。パーシャルシュラッグ状
部及びべスト部はともに、本質的に又は防水処理によって耐水性又は防水性とすることが
できる。代替的に、防水性を求める場合、ジャケット/コートの製造に先立ち、材料の内
面に弾性且つ耐水性のあるポリマー材料層を適用することができる。
【0008】
考えられるところでは、雨又は環境降水、又は他の水源の場合、スリーブが自由浮動状
態にある背面の隙間から水が進入する可能性が潜在的にあり、その水はパーシャルシュラ
ッグ状部とべスト部との間に蓄積され得る。従って、本発明に従うジャケット/コートに
おいては、べスト部の、パーシャルシュラッグ状部とべスト部との間の、下端部の継ぎ目
のわずかに上方に複数の穿孔を設けることができ、これによって水を蓄積させずに流出さ
せることができる。さらに、継ぎ目が形成されたパーシャルシュラッグ状部の下端部は、
排水プロセスにおいて、存在する水を複数の穿孔により効率的に誘導するべく、完全に水
平にするのではなく僅かに角度をつけることができる。複数の穿孔の配置場所に応じて、
審美的及び/又は機能的な観点から上記継ぎ目の角度が調節される。例えば、ジャケット
/コートの背面の中央に穿孔がある場合、継ぎ目の形状は、水を該中央へと誘導するのに
十分な角度の付いた、わずかな半円形又はわずかにフラットな「V」字状とすることがで
き、水は重力によって下方へと引かれてジャケットの外に排水される。このような構造が
用いられる場合、上記「V」字状は、ストラップ、メッシュ状の挿入物、剛性端部又は半
剛性端部等によって維持することができる。
【0009】
本発明に従うジャケット/コートの他の例において、ジャケット/コートは、強靭且つ
柔軟なメッシュ状材料又は他の所望の通気性のある材料から作られた、シュラッグ状部を
備えることができる。シュラッグ状部を構成する材料は、合成繊維及び/又は天然繊維と
することができ、さらに、該材料に弾性を付加するよう弾性繊維を含めることもできる。
ジャケット/コートのスリーブは、該シュラッグ状部のアームホールにて、シュラッグ状
部に取り付けできる。スリーブの長さは、半袖、3/4分丈、長袖等、ジャケット/コー
トに所望の長さとすることができ、弾性や弾力性のような異なる特性を有する異種材料を
繋ぎ合わせてもよい。
【0010】
ジャケット/コートは、シュラッグ状部の上に、該シュラッグ状部よりも剛性が高く丈の長いベスト部をさらに備えることができる。シュラッグ状部は、該シュラッグ状部の襟部、下端部、及び前縁部
における縫い目を除いて、べスト部内で自由浮動状態とすることができる。このようなジャケット/コート構造、すなわち、スリーブが肩部にて、比較的剛性の高いべスト部から自由浮動状態にある構造によって、特には、着用者が腕を前方に引っ張った際や腕を肩より上に持ち上げた際における身体の動作域が広がるのみならず通気性を確保できる。
【0011】
また、本発明に従うジャケット/コートの他の例では、厚手の冬用ジャケット/コート
を提供することができる。冬用ジャケットは、寒気を絶縁するべく嵩が大きい傾向にある
ため、必然的に通気性が制限されるとともに、着用者の動作域いっぱいの動きが許容され
ない。従って、本発明に従うジャケット/コートでは、寒冷な気候からの絶縁性を損なう
ことなく、通気性をもたらし及び/又は着用者の身体の動作域を広げることのできる、複
合スリーブを提供することができる。換言すると、スリーブは、下側スリーブ、上側スリ
ーブ、及びカバースリーブの3つの異なるセクションから構成可能である。下側スリーブ
は、絶縁繊維を含むジャケット/コートの他の部分と同様の方法で、且つ同様の材料を用
いて構成することができ、手首から肘までの任意の部分を覆うことができる。また、上側
スリーブは、柔軟且つ弾性のあるメッシュタイプの材料、又は他の通気性のある任意の材
料を含み、継ぎ目によって下側スリーブに取り付けでき、肩までを覆ってアームホール周
りの継ぎ目にてジャケット/コートに取り付け可能である。最後に、カバースリーブは、
絶縁繊維を含むジャケット/コートの他の部分と同様の材料から構成することができ、ち
ょうど上側スリーブのように、スリーブをジャケット/コートのアームホールに接続させ
る継ぎ目にて該ジャケット/コートに取り付け可能である。カバースリーブは、肩部から
、上側スリーブのわずかに下側まで延在して、着用者の腕が身体と平行となる休止位置に
腕がある際に、上側スリーブを完全に隠すことができる。上側スリーブと下側スリーブと
の長さ比は上記したもの以外とすることができ、かかる比に従ってカバースリーブの長さ
も同様に変化させることができる。
【0012】
本発明に従う複合スリーブを有するジャケット/コートによれば、該ジャケット/コー
トの内側・外側間の通気性を改善することができ、且つ、上側スリーブの柔軟性によって
着用者に提供される柔軟性が高まるため快適性を維持できる。換言すると、本発明に従う
複合スリーブ構造は、着用者の動作に応じてスリーブを伸縮させる(伸長させる)ことに
よって、着用者の動作域を広げるだけでなく、優れた温度調節機能を提供することができ
る。
【0013】
本発明のさらなる目的、利点、及び新規の特徴を、以下の説明に部分的に記載する。そ
の一部は、当業者が以下の記載を検討することによって明らかになるであろうし、本発明
の実施によって知ることができるであろう。
【0014】
本発明を、以下の図面を参照して詳細に説明する。