(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409063
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】歪み修正面活性領域を有するIII族窒化物ナノワイヤLED及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/24 20100101AFI20181004BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20181004BHJP
H01L 33/02 20100101ALI20181004BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20181004BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20181004BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20181004BHJP
【FI】
H01L33/24ZNM
H01L33/32
H01L33/02
H01L21/205
B82Y20/00
B82Y40/00
【請求項の数】36
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-526939(P2016-526939)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-503333(P2017-503333A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2014070347
(87)【国際公開番号】WO2015095049
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/917,046
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511001585
【氏名又は名称】グロ アーベー
【氏名又は名称原語表記】GLO AB
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】ロマーノ, リンダ
(72)【発明者】
【氏名】イ, サンスー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンソン, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー, ネイサン
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−004661(JP,A)
【文献】
特開2004−207610(JP,A)
【文献】
特開平10−215029(JP,A)
【文献】
特表2011−527825(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0225526(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0276664(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/062644(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面から垂直に延びる半導体ナノワイヤコアと、
前記半導体ナノワイヤコアの周囲に半径方向に配置された活性領域シェルと、
垂直な表面である{10−10}m面と角錐形の傾斜上面である{1−101}p面とを含み、前記半導体ナノワイヤコアと前記活性領域シェルとの間に半径方向に配置された中間シェルと、
を含むナノワイヤデバイスであって、
前記活性領域シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出し、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、少なくとも部分的に前記{1−101}p面に沿って突出する前記活性領域シェルの前記{10−10}m面に沿ったナノメートルスケールの不連続構造を含み、
前記ナノワイヤデバイスが発光ダイオード(LED)デバイスを含み、前記活性領域シェルが活性領域量子ウェルシェルを含み、
前記中間シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出することを特徴とするナノワイヤデバイス。
【請求項2】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルの下部層の障壁シェルを含むことを特徴とする請求項1に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項3】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルから内側の半径方向に配置された下部層のシェルを含むことを特徴とする請求項1に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項4】
前記活性領域シェルの半径方向厚さは、ナノワイヤ軸方向に前記山と前記谷との間で少なくとも15%変化し、
前記ナノワイヤ軸方向の前記活性領域シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出し、
前記活性領域シェルは、前記半径方向に5nmを超える厚さを有し、
ナノワイヤ軸方向の前記中間シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記中間シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出する
ことを特徴とする請求項1に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項5】
支持体の半導体表面の上に配置された絶縁マスク層であって、前記半導体ナノワイヤコアは、前記絶縁マスク層の開口部を通り、前記支持体の前記半導体表面から実質的に垂直に延出する第1の導電型の半導体ナノワイヤコアを含む、絶縁マスク層と、
前記活性領域量子ウェルシェルの上及び周囲に延出する少なくとも1つの第2の導電型の半導体シェルと、
前記第2の導電型の半導体シェルに接触する第1の電極層と、
前記半導体ナノワイヤコアに電気的に接続する第2の電極層と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項6】
前記第1の導電型はn型を含み、
前記第2の導電型はp型を含み、
前記支持体は、基板の上のn−GaN又はn−AlGaNのn型半導体バッファ層を含み、
前記半導体ナノワイヤコアは、n−GaNナノワイヤコアを含み、
前記活性領域量子ウェルシェルは、GaN障壁シェルの間のInGaNシェルを含み、
前記第1の電極層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む
ことを特徴とする請求項5に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項7】
前記活性領域量子ウェルシェルは、前記谷に配置された低濃度インジウム領域よりも少なくとも5原子パーセント多いインジウム含有量を有する前記山に配置された高濃度インジウム領域を含むIn(Al)GaN半導体シェルを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項8】
前記活性領域量子ウェルシェルは、前記高濃度インジウム領域が10原子パーセントよりも多いインジウムを含み、前記低濃度インジウム領域が10原子パーセント未満のインジウムを含むInGaN半導体シェルを含むことを特徴とする請求項7に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項9】
高濃度インジウム領域は15〜30原子パーセントのインジウムを含み、前記低濃度インジウム領域は1〜5原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項8に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項10】
前記LEDは、495〜590nmのピーク発光波長又は591〜650nmのピーク発光波長を有することを特徴とする請求項9に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項11】
前記LEDは約520nmのピーク発光波長を有し、前記高濃度インジウム領域は約20原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項10に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項12】
前記LEDは約610nmのピーク発光波長を有し、前記高濃度インジウム領域は約30原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項10に記載のナノワイヤデバイス。
【請求項13】
基板の表面から垂直に延びる半導体ナノワイヤコアと、
前記半導体ナノワイヤコアの周囲に配置され、垂直な表面である{10−10}m面と角錐形の傾斜上面である{1−101}p面とを含む中間シェルと、
前記中間シェルの周囲に半径方向に配置されたIn(Al)GaN活性領域量子ウェルシェルを含む活性領域シェルと、
を含む発光ダイオード(LED)デバイスであって、
前記活性領域量子ウェルシェルは、前記活性領域量子ウェルシェルの低濃度インジウム領域よりも少なくとも5原子パーセント多いインジウム含有量を有する高濃度インジウム領域を含み、
前記活性領域量子ウェルシェルの前記高濃度インジウム領域の各々は、少なくとも部分的に前記{1−101}p面に沿って突出する前記活性領域シェルの前記{10−10}m面に沿ったナノメートルスケールの不連続構造を含み、
前記高濃度インジウム領域は、前記活性領域量子ウェルシェルに埋め込まれた個別のナノ粒子ではなく、前記活性領域量子ウェルシェルの一体の部分を含み、
前記中間シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出することを特徴とするLEDデバイス。
【請求項14】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルの下部層の障壁シェルを含むことを特徴とする請求項13に記載のLEDデバイス。
【請求項15】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルから内側の半径方向に配置された下部層のシェルを含むことを特徴とする請求項13に記載のLEDデバイス。
【請求項16】
前記活性領域シェルの半径方向厚さは、ナノワイヤ軸方向に前記山と前記谷との間で少なくとも15%変化し、
前記ナノワイヤ軸方向の前記活性領域シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出し、
前記活性領域シェルは、前記半径方向に5nmを超える厚さを有し、
ナノワイヤ軸方向の前記中間シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記中間シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出する
ことを特徴とする請求項13に記載のLEDデバイス。
【請求項17】
支持体の半導体表面の上に配置された絶縁マスク層であって、前記半導体ナノワイヤコアは、前記絶縁マスク層の開口部を通り、前記支持体の前記半導体表面から実質的に垂直に延出する第1の導電型の半導体ナノワイヤコアを含む、絶縁マスク層と、
前記活性領域量子ウェルシェルの上及び周囲に延出する少なくとも1つの第2の導電型の半導体シェルと、
前記第2の導電型の半導体シェルに接触する第1の電極層と、
前記半導体ナノワイヤコアに電気的に接続する第2の電極層と、
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載のLEDデバイス。
【請求項18】
前記第1の導電型はn型を含み、
前記第2の導電型はp型を含み、
前記支持体は、基板の上のn−GaN又はn−AlGaNのn型半導体バッファ層を含み、
前記半導体ナノワイヤコアは、n−GaNナノワイヤコアを含み、
前記活性領域量子ウェルシェルは、GaN障壁シェルの間のInGaNシェルを含み、
前記第1の電極層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む
ことを特徴とする請求項17に記載のLEDデバイス。
【請求項19】
基板の表面から垂直に延びる半導体ナノワイヤコアを形成する工程と、
前記半導体ナノワイヤコアの周囲に半径方向に配置された活性領域シェルを形成する工程と、
前記活性領域シェルを形成する工程の前に、前記半導体ナノワイヤコアの周囲に半径方向に垂直な表面である{10−10}m面と角錐形の傾斜上面である{1−101}p面とを含む中間シェルを形成する工程と、
を含むナノワイヤデバイスの製造方法であって、
前記活性領域シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出し、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、少なくとも部分的に前記{1−101}p面に沿って突出する前記活性領域シェルの前記{10−10}m面に沿ったナノメートルスケールの不連続構造を含み、
前記ナノワイヤデバイスが発光ダイオード(LED)デバイスを含み、前記活性領域シェルが活性領域量子ウェルシェルを含み、
前記中間シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出し、
前記活性領域シェルが、前記中間シェルの上に形成され、前記中間シェルの前記不均一な表面輪郭形状を呈することを特徴とする製造方法。
【請求項20】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルの下部層の障壁シェルを含むことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルから内側の半径方向に配置された下部層のシェルを含むことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記活性領域シェルの半径方向厚さは、ナノワイヤ軸方向に前記山と前記谷との間で少なくとも15%変化し、
前記ナノワイヤ軸方向の前記活性領域シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出し、
前記活性領域シェルは、前記半径方向に5nmを超える厚さを有し、
ナノワイヤ軸方向の前記中間シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記中間シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出する
ことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項23】
支持体の半導体表面の上に配置された絶縁マスク層を形成する工程であって、前記半導体ナノワイヤコアを形成する工程は、前記絶縁マスク層の開口部を通り、前記支持体の前
記半導体表面から実質的に垂直に延出する第1の導電型の半導体ナノワイヤコアをエピタキシャル成長する工程を含む、工程と、
前記活性領域量子ウェルシェルの上及び周囲に延出する少なくとも1つの第2の導電型の半導体シェルを形成する工程と、
前記第2の導電型の半導体シェルに接触する第1の電極層を形成する工程と、
前記半導体ナノワイヤコアに電気的に接続する第2の電極層を形成する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項24】
前記第1の導電型はn型を含み、
前記第2の導電型はp型を含み、
前記支持体は、基板の上のn−GaN又はn−AlGaNのn型半導体バッファ層を含み、
前記半導体ナノワイヤコアは、n−GaNナノワイヤコアを含み、
前記活性領域量子ウェルシェルは、GaN障壁シェルの間のInGaNシェルを含み、
前記第1の電極層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む
ことを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記活性領域量子ウェルシェルは、前記谷に配置された低濃度インジウム領域よりも少なくとも5原子パーセント多いインジウム含有量を有する前記山に配置された高濃度インジウム領域を含むIn(Al)GaN半導体シェルを含む
ことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項26】
前記活性領域量子ウェルシェルは、前記高濃度インジウム領域が10原子パーセントよりも多いインジウムを含み、前記低濃度インジウム領域が10原子パーセント未満のインジウムを含むInGaN半導体シェルを含むことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
高濃度インジウム領域は15〜30原子パーセントのインジウムを含み、前記低濃度インジウム領域は1〜5原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記LEDは、495〜590nmのピーク発光波長又は591〜650nmのピーク発光波長を有することを特徴とする請求項27に記載の製造方法。
【請求項29】
前記LEDは約520nmのピーク発光波長を有し、前記高濃度インジウム領域は約20原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記LEDは約610nmのピーク発光波長を有し、前記高濃度インジウム領域は約30原子パーセントのインジウムを含むことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項31】
基板の表面から垂直に延びる半導体ナノワイヤコアを形成する工程と、
前記半導体ナノワイヤコアの周囲に配置された、垂直な表面である{10−10}m面と角錐形の傾斜上面である{1−101}p面とを含む中間シェルを形成する工程と、
前記中間シェルの周囲に半径方向に配置された活性領域シェルを形成する工程であって、前記活性領域シェルは、前記活性領域シェルの形成中にその場で一体に形成される高濃度インジウム領域を含むIn(Al)GaN活性領域量子ウェルシェルを含む、工程と、
を含む発光ダイオード(LED)デバイスの製造方法であって、
前記活性領域シェルの低濃度インジウム領域よりも少なくとも5原子パーセント多いインジウム含有量を有する高濃度インジウム領域を有し、
前記活性領域量子ウェルシェルの前記高濃度インジウム領域の各々は、少なくとも部分的に前記{1−101}p面に沿って突出する前記活性領域シェルの前記{10−10}m面に沿ったナノメートルスケールの不連続構造を含み、
前記デバイスが発光ダイオード(LED)デバイスを含み、前記活性領域シェルが活性領域量子ウェルシェルを含み、
前記中間シェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面輪郭形状を有し、
前記少なくとも3つの山の各々は、前記少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷によって分離され、
前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に少なくとも2nm延出することを特徴とする製造方法。
【請求項32】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルの下部層の障壁シェルを含むことを特徴とする請求項31に記載の製造方法。
【請求項33】
前記中間シェルは、前記活性領域量子ウェルシェルから内側の半径方向に配置された下部層のシェルを含むことを特徴とする請求項31に記載の製造方法。
【請求項34】
前記活性領域シェルの半径方向厚さは、ナノワイヤ軸方向に前記山と前記谷との間で少なくとも15%変化し、
前記ナノワイヤ軸方向の前記活性領域シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記活性領域シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出し、
前記活性領域シェルは、前記半径方向に5nmを超える厚さを有し、
ナノワイヤ軸方向の前記中間シェルの山から隣接する谷までの離間距離は10〜30nmであり、
前記中間シェルの前記少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から離れる半径方向に3〜5nm延出する
ことを特徴とする請求項31に記載の製造方法。
【請求項35】
支持体の半導体表面の上に配置された絶縁マスク層を形成する工程であって、前記半導体ナノワイヤコアを形成する工程は、前記絶縁マスク層の開口部を通り、前記支持体の前記半導体表面から実質的に垂直に延出する第1の導電型の半導体ナノワイヤコアをエピタキシャル成長する工程を含む、工程と、
前記活性領域量子ウェルシェルの上及び周囲に延出する少なくとも1つの第2の導電型の半導体シェルを形成する工程と、
前記第2の導電型の半導体シェルに接触する第1の電極層を形成する工程と、
前記半導体ナノワイヤコアに電気的に接続する第2の電極層を形成する工程と、
を更に含むことを特徴とする請求項31に記載の製造方法。
【請求項36】
前記第1の導電型はn型を含み、
前記第2の導電型はp型を含み、
前記支持体は、基板の上のn−GaN又はn−AlGaNのn型半導体バッファ層を含み、
前記半導体ナノワイヤコアは、n−GaNナノワイヤコアを含み、
前記活性領域量子ウェルシェルは、GaN障壁シェルの間のInGaNシェルを含み、
前記第1の電極層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む
ことを特徴とする請求項35に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2013年12月17日に出願された米国仮特許出願番号第61/917,046の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、一般にナノワイヤ発光ダイオード(LED)などの半導体デバイスに関し、特に不均一な活性領域を有するナノワイヤLEDに関する。
【背景技術】
【0003】
ナノワイヤ発光ダイオード(LED)は、プレーナLEDに代わるものとして大きな関心を集めている。従来のプレーナ技術によって製造されたLEDと比較して、ナノワイヤLEDは、ナノワイヤが一次元の性質を有するため独自の特性を提供し、格子整合の制約が少ないため材料の組み合わせの自由度の改善を提供し、より大きな基板での処理の機会を提供する。
【0004】
本明細書に参照によって全内容が組み込まれる2012年3月20日発行の米国特許第8,138,493号は、GaN系で従来のプレーナ技術を使用して赤外線波長から緑色波長の領域の発光ダイオードを製造することは難しく、その効率は青色発光LEDよりもはるかに低くなると述べている。これは、a)ほぼ0.4<x<0.8であるIn
xGa
1−xNが理論的に安定した材料ではないと予測されるために、赤色波長及び緑色波長の領域でInGaN材料の溶解度ギャップが存在すること、及びb)青色LEDで使用されるIn含有量の少ないInGaNと比較して、In含有量の多いInGaNでは、LED構造のプレーナ層の高い固有欠陥密度が、非常に高い程度でフォトニック組み換え効率を低下させること、に起因しうる。第8,138,493号特許は、ナノワイヤコアとナノワイヤシェルとの間に、赤外線波長から緑色波長の領域で改善された発光を提供するInGaN量子ドットを含むナノ構造化LEDデバイスを提供することによって、この問題を解決する。一例として、そのようなナノ構造化LEDデバイスは、GaN系シェルに埋め込まれたGaN及びInGaN量子ドットから形成されるナノワイヤコアを含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態は、発光ダイオード(LED)デバイス及びそのLEDデバイスを製造する方法を提供する。デバイスは、半導体ナノワイヤコアと、半導体ナノワイヤコアの周囲に半径方向に配置されたIn(Al)GaN活性領域量子ウェルシェルと、を含む。一実施形態において、活性量子ウェルシェルは、同じシェルの低濃度インジウム領域よりも少なくとも5原子パーセント多いインジウム含有量を有する高濃度インジウム領域を含む。別の実施形態では、活性領域量子ウェルシェルは、少なくとも3つの山を有する不均一な表面の輪郭形状を有する。少なくとも3つの山の各々は、少なくとも3つの山のうち隣接する山から谷により分離され、少なくとも3つの山の各々は、隣接する谷から半径方向に少なくとも2nm延出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、ナノワイヤLEDの基礎を概略的に示す側方断面図である。
【
図2】
図2は、バッファ層上のナノワイヤLED構造を概略的に示す側方断面図である。
【
図3B】
図3A及び
図3Bは、滑らかで均一な半径方向面の上に活性領域シェルが形成されたナノワイヤLEDデバイスの電子顕微鏡写真の形式的線図である。
【
図4】
図4は、不均一な半径方向面の上に活性領域シェルが形成され、活性領域シェルが高濃度インジウム領域を含むナノワイヤLEDデバイスを概略的に示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態において、活性領域シェルが不均一な輪郭形状(例えば、真っ直ぐではない半径方向側壁及び/又は垂直方向の高さの関数として水平方向に不均一な厚さ)を有するように、不均一な表面に活性領域シェルが形成される。この「凹凸」表面は、外側シェルの欠陥(例えば、積層欠陥)を減少させるか又は排除する。
【0008】
不均一な面に1つ以上のIn(Al)GaN/(Al)GaN量子ウェルを含む活性領域シェルの形成は、活性領域の形成中に自己組織化によって高濃度インジウムIn(Al)GaN領域(例えば、15〜35原子パーセントのインジウムのように10原子パーセントを超えるインジウムを含むInGaN又はInAlGaN領域)が形成される原因となる。それらの高濃度インジウム領域は、領域のインジウム含有量に応じて、長波長スペクトル領域(例えば、緑色から黄色495〜590nmのピーク発光波長領域及び/又は橙色から赤色591〜650nmのピーク発光波長領域)で高輝度、高効率の発光をもたらすと考えられる。
【0009】
しかし、活性領域シェルの各部分の間に個別に形成される個別形成量子ドットとは対照的に、高濃度インジウム領域は、活性領域シェルの形成中にその場で一体に形成される。そのため、高濃度インジウム領域は、活性領域量子ウェルシェルに埋め込まれた個別のナノ粒子又は量子ドットではなく、活性領域量子ウェルシェルの一体の部分を含む。例えば、個別のナノ粒子は、多くの場合、周囲の半導体層とは異なる粒子構造及び/又は粒子配向を有し、ナノ粒子と周囲の層の粒子との間の鮮鋭な遷移又は粒子境界を電子顕微鏡写真で見ることができる。これに対し、一体の高濃度インジウム領域は、周囲の活性領域シェルの周囲低濃度インジウム領域と異なる結晶配向を持つとは限らず、鮮鋭な遷移又は粒子境界を有するとは限らない。
【0010】
例えば、約10原子パーセントのインジウムを含有するInGaN活性領域は、青色スペクトル範囲で約450nmのピーク波長の光を発光し、約20原子パーセントのインジウムを含有するInGaN活性領域は、緑色スペクトル範囲で約520nmのピーク波長の光を発光し、約30原子パーセントのインジウムを含有するInGaN活性領域は、赤色スペクトル範囲で約610nmのピーク波長の光を発光する。当然、In(Al)GaN活性領域のインジウム濃度は、450〜620nmのように約430nmと約650nmとの間の所望の色の発光(例えば、青色、緑色、黄色、橙色又は赤色)を実現するために、15〜30原子パーセントのように5原子パーセントと35原子パーセントとの間で変更できる。
【0011】
尚、量子ウェル自体が不均一な厚さを有する(すなわち、凹凸のある半径方向量子ウェルシェルである)ならば、高濃度インジウムIn(Al)GaN領域は、量子ウェルの下方の不均一な表面を使用せずに活性領域量子ウェルに形成されてもよい。
【0012】
InN(a=0.354nm)とGaN(a=0.319nm)との間の大きな(約10%)格子不整合は、形成後のInGaN層に構造欠陥を生じることなくGaN格子に高濃度のインジウムを取り込むことを難しくする。しかし、GaN/InGaNコア/半径方向シェルナノワイヤのm面(すなわち、垂直方向面)と平行な半径方向量子ウェルなどの、低濃度インジウム(例えば、5〜10at%のインジウムのように10原子パーセント以下のインジウムを含む)活性領域In(Al)GaN量子ウェルに高濃度インジウムIn(Al)GaN領域を形成することによって、形成後のInGaN活性領域シェルの構造欠陥を減少させることができる。
【0013】
本発明の一実施形態は、In(Al)GaN活性領域シェルのナノワイヤの長さに沿ってインジウムの成膜を向上させるために、m面に沿って一連のナノメートルスケールの不連続構造を含む。これは、m面と平行な真っ直ぐの量子ウェル面が維持される代わりに、m面に沿ってナノメートルスケールの山(高濃度インジウム領域を含む)と、谷(低濃度インジウム領域を含む)とから構成される「凹凸」表面となる。例えば、この「凹凸」表面では、m面と平行である活性領域量子ウェルの垂直部分から、斜めのp面、10−11、に沿って少なくとも部分的にナノスケールのフィーチャーが突出する。
【0014】
ナノテクノロジーの分野では、ナノワイヤは、横寸法(例えば、円筒形のナノワイヤの場合は直径、角錐形又は六角形のナノワイヤの場合は幅)がナノ単位すなわちナノメートル単位であるようなナノ構造として通常解釈されるが、縦寸法は制約されない。そのようなナノ構造は、通常ナノウィスカー、一次元ナノエレメント、ナノロッド、ナノチューブなどとも呼ばれる。ナノワイヤは約2ミクロンまでの直径又は幅を有してもよい。ナノワイヤの小さなサイズは、独自の物理的特性、光学的特性及び電子的特性を提供する。例えば、量子力学効果を利用する(例えば、量子ワイヤを使用する)デバイスを形成するために、又は格子不整合が大きいために通常は組み合わせできない組成の異なる材料のヘテロ構造を形成するために、それらの特性を利用できる。ナノワイヤという用語が示唆する通り、一次元の性質は細長い形状と関連付けられてもよい。ナノワイヤは種々の断面形状を有してもよいので、直径は有効直径を表すことを意図する。有効直径とは、構造の断面の長軸と短軸との平均である。
【0015】
上部、最上部、下部、下方などの言及は、基板が底部に位置し且つナノワイヤが基板から上に向かって延在するように構成される。垂直は基板によって形成される面と直角の方向を言い、水平は基板によって形成される面と平行な方向を言う。この表記法は単に理解を容易にするために導入され、アセンブリを特定の向きなどに限定するなどと考えられるべきではない。
【0016】
本発明の方法において、当該技術で知られている任意の適切なナノワイヤLED構造が使用されてよい。ナノワイヤLEDは、通常、1つ以上のpn接合又はp−i−n接合に基づく。pn接合とp−i−n接合との間の相違は、後者の方が広い活性領域を有することである。広い活性領域は、i領域における再結合のより高い確率を可能にする。動作中に光を発生する活性領域を構成するpn接合又はpin接合を形成するために、各ナノワイヤは、第1の導電型(例えば、n型)のナノワイヤコアと、取り囲む第2の導電型(例えば、p型)のシェルとを含む。本明細書において、第1の導電型のコアはn型半導体コアであると記述され且つ第2の導電型のシェルはp型半導体シェルであると記述されるが、それらの導電型を逆にしてもよいことを理解すべきである。
【0017】
図1は、本発明のいくつかの実施形態に従って変更されたナノワイヤLED構造の基礎を概略的に示す。理論上、1つのナノワイヤLEDを形成するために、1つのナノワイヤがあれば十分であるが、ナノワイヤは極小であるので、LED構造を形成するために何百、何千、何万、あるいはそれ以上の数のナノワイヤを並べてアレイとして配置するのが好ましい。説明のため、本明細書では、個別のナノワイヤLEDデバイスは、n型ナノワイヤコア2と、ナノワイヤコア2及び中間活性領域4を少なくとも部分的に取り囲むp型シェル3とを有するナノワイヤLED1から構成されるものとして記述され、中間活性領域4は、1つの真性半導体層又は低濃度不純物添加(例えば、10
16cm
−3未満のドーピングレベル)半導体層を備えるか、あるいはバンドギャップの異なる複数の半導体層から構成される3〜10個の量子ウェルなどの1つ以上の量子ウェルを備えてもよい。しかし、本発明の実施形態に関して、ナノワイヤLEDはこの構造に限定されない。例えば、ナノワイヤコア2、活性領域4及びp型シェル3は、多数の層又はセグメントから構成されてもよい。別の実施形態において、コア2のみが2ミクロン以下の幅又は直径を有することによってナノ構造すなわちナノワイヤを含み、シェル3は1ミクロンを超える幅又は直径を有してもよい。
【0018】
高速、低電力の電子回路、レーザーやLEDなどの光電デバイスを容易にするそれらの特性のため、III−V族半導体が特に関心を集めている。ナノワイヤはどのような半導体材料を含んでもよく、ナノワイヤに適する材料は、GaAs(p)、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN、AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb、Siなどなどを含むが、それらに限定されない。例えばGaPに対して使用可能なドナー不純物はSi、Sn、Te、Se、Sなどであり、同じ材料に対するアクセプタ不純物はZn、Fe、Mg、Be、Cdなどである。尚、GaN、InN及びAlNなどの窒化物の使用が可能になったナノワイヤ技術は、従来の技術では簡単に入手し難かった波長領域の光を発するLEDの製造を容易にする。商業的に特に重要である他の材料の組み合わせは、GaAs、GaInP、GaAlInP、GaPの各系を含むが、それらに限定されない。典型的な不純物添加レベルは10
18〜10
20cm
−3の範囲である。当業者は上記の材料及び他の材料を周知しており、他の材料及び材料の組み合わせも可能であることを理解している。
【0019】
ナノワイヤLEDに好適な材料は、III族窒化物半導体(例えば、GaN、AlInGaN、AlGaN及びInGaNなど)又は他の半導体(例えば、InP、GaAs)のようなIII−V族半導体である。LEDとして機能するためには、各ナノワイヤLED1のn側及びp側が接続されなければならず、本発明は、LED構造のナノワイヤのn側及びp側の接続に関する方法及び組成を提供する。
【0020】
本明細書において説明される例示的な製造方法は、ナノワイヤ製造方法に関連して本明細書に参照によって組み込まれる、例えばSeifert他の米国特許第7,829,443号で説明されるように、コア−シェルナノワイヤを形成するためにコア上に半導体シェル層を成長させるようにナノワイヤコアを利用するのが好ましいが、尚、本発明はそれに限定されない。
【0021】
例えば、別の実施形態において、コアのみがナノ構造(例えば、ナノワイヤ)を構成し、シェルは、典型的なナノワイヤシェルより大きい寸法を任意に有してもよい。更に、デバイスは、多くのファセットを含むように形成可能であり、異なる種類のファセットの間の面積比が制御されてもよい。このことは「角錐」形ファセット及び垂直側壁ファセットによって例示される。主要な角錐形ファセット又は側壁ファセットを備えるテンプレート上に発光層が形成されるように、LEDが製造可能である。発光層の形状とは独立して、コンタクト層についても同じことが言える。
【0022】
図2は、ナノワイヤの支持体を提供する例示的な構造を示す。ナノワイヤの位置を規定し且つ底部界面領域を確定するために成長マスク、すなわち誘電体マスク層6(例えば、窒化シリコン誘電体マスク層などの窒化物層)を任意に使用して、成長基板5上にナノワイヤを成長させることにより、基板5は少なくとも処理中に基板5から突出するナノワイヤの支持体として機能する。ナノワイヤの底部界面領域は、誘電体マスク層6の各開口部の内側にあるコア2の根元領域を含む。基板5は、本明細書に参照によって全内容が組み込まれるスウェーデン特許出願第SE1050700−2号(GLO ABに譲渡されている)に記載されるように、III−V族半導体又はII−VI族半導体、Si、Ge、Al
2O
3、SiC、石英、ガラスなどの異なる材料を含んでもよい。基板に適する他の材料は、GaAs、GaP、GaP:Zn、GaAs、InAs、InP、GaN、GaSb、ZnO、InSb、SOI(Silicon−On−Insulator)、CdS、ZnSe、CdTeなどであるが、それらに限定されない。一実施形態において、ナノワイヤコア2は成長基板5上で直接成長する。
【0023】
好ましくは、基板5は、各ナノワイヤLED1のn側に接続する電流搬送層として機能するように更に構成される。これは
図2に示されるように、基板5のナノワイヤLED1に面する面に配置された半導体バッファ層7、例えばSi基板5上のGaN及び/又はAlGaNバッファ層7のようなIII族窒化物層を含む基板5を有することにより実現可能である。バッファ層7は、通常所望のナノワイヤ材料に適合され、従って製造処理中に成長テンプレートとして機能する。n型コア2の場合、バッファ層7も好ましくは不純物添加n型である。バッファ層7は、単一の層(例えば、GaN)、いくつかの部分層(例えば、GaN及びAlGaN)、又は、Al含有量の多いAlGaNからAl含有量の少ないAlGaN又はGaNまで漸次変化する傾斜層を含んでもよい。
【0024】
第7,829,443号特許に記載される方法は、支持体上に(例えば、バッファ層7上に)成長マスク6を設けることを含む。次に、バッファ層を露出させるために成長マスク6に開口部が形成される。開口部は、好ましくはその直径及び相対位置の双方に関して十分に制御される。電子ビームリソグラフィ(EBL)、ナノインプリントリソグラフィ、光学リソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE)又はウエット化学エッチングの各方法を含むが、それらに限定されない当該技術で知られているいくつかの技術をこの手順に使用可能である。好ましくは、開口部は、約100nmのように約75〜125nmの直径を有し、0.5〜5μmのピッチで離間する。開口部は、製造されるべきナノワイヤコア2の位置及び直径を規定する。
【0025】
次に、原料の前駆体の流れが連続しているCVD系処理によってナノワイヤコア2が成長する。原料の前駆体の流量は、成長ゾーンにおける過飽和度が低くなるように調整される。V族/III族比は、1〜100の範囲のように100以下であるべきであり、好ましくは1〜50の範囲であり、更に好ましくは5〜50の範囲である。尚、このV族/III族比はバルクフィルム成長に使用される比より相当に低い。言い換えれば、ナノワイヤコア2は、低いV族/III族比で相対的に低い温度(例えば、800℃未満)で成長する。
【0026】
次に、温度を900〜1,200℃のように800℃を超える温度に上げ且つV族/III族比をコア成長に使用される比よりも高い値(例えば、200〜1,000のように100を超えるV族/III族比)に増加させることによって、コア2上に
図1及び
図2に示される1つ以上のシェル3、4が成長する。例えば、n−GaNナノワイヤコア2は、アンモニア及びTMG(トリメチルガリウム)ガス原料と任意にドーピング原料ガス(例えば、Mgを含有する原料ガス)とを使用して、MOCVDによって成長されてもよい。コア2の成長中のNH
3の流量は0.2〜3.0sccmであってもよく、シェル3、4の成長中の流量は50〜100sccmであってもよい。TMG(トリメチルガリウム)の流量は0.12〜1.2μmol/minの間であってもよい。
【0027】
必要に応じて、活性領域シェル4を形成する前に、n−GaNコア2上に中間n−GaNシェル8が形成されてもよい。n−GaNシェル8は、高温(900〜1,200℃のように800℃を超える温度)で、200〜1,000のように100よりも高いV族/III族比で形成されてもよい。このシェル8は
図3A及び
図3Bに示され、滑らかな(すなわち、真っ直ぐの)外側側壁(すなわち、m面半径方向側壁)を有する。
【0028】
一実施形態において、中間n−GaNシェル8の滑らかな半径方向面に量子ウェル活性領域シェル4が形成される場合、
図3A及び
図3Bに示されるように、活性領域シェル4を取り囲む外側シェル3(例えば、p型GaN及び/又はAlGaNシェル)に、水平方向積層欠陥9であると考えられる複数の欠陥が形成される。
【0029】
従って、
図4に示される一実施形態では、活性領域シェル4が不均一な輪郭形状を有し、局所的な高濃度インジウムIn(Al)GaN領域21を有するように、活性領域シェルは不均一な(例えば、「凹凸のある」)表面に形成される。「凹凸」表面は、中間シェル又は活性領域量子ウェルシェル4の下方の障壁層などの、活性領域量子ウェルシェル4の下方(例えば、半径方向内側)の下部層8で始まることが可能である。これは、歪みの修正された表面の活性領域シェル4を形成する。好ましくは、量子ウェル発光の吸収を回避するために、下部層8は活性領域ウェル4よりも低いインジウム含有量を有する(すなわち、下部層8は活性領域量子ウェル4より広いバンドギャップを有する)。例えば、下部層8はインジウムを含まなくてもよく(例えば、GaN又はAlGaNから構成されてもよい)、1〜5at%のインジウムのように10at%未満のインジウムを有するInGaN又はInAlGaN下部層を含んでもよい。
【0030】
下部層8の凹凸の程度を制御することによって、欠陥を発生することなく更に均質で、インジウム含有量の多い活性量子ウェル層4をその後に成長させることができる。下部層8の凹凸の程度は、温度、MOCVD圧力、MOCVD反応物質の流量及び/又は下部層のIn/Ga比などの成長条件によって制御可能である。例えば、インジウム含有量が増加し、成長温度が低下するにつれて、凹凸の程度は増加する。
【0031】
下部層8の凹凸の程度及び成長条件は、量子ウェル活性領域4の組成を均質な状態からインジウム含有量の少ないIn(Al)GaN量子ウェルに埋め込まれた個別の高濃度インジウム領域の形成へと制御してもよい。量子ウェルの厚さは、以下に説明される山−谷間高さと同様であるか又はそれ未満でもよい。
【0032】
図4には1つの量子ウェル活性領域4が示されるが、多数の量子ウェル活性領域4が形成されてもよい。凹凸のGaN又はIn含有量の少ないInGaN又はInAlGaN障壁層で凹凸の量子ウェル4を分離することは、欠陥の量を低減し且つ各量子ウェルが局所的高濃度インジウム領域21を有するナノワイヤの外側シェル8に多数の量子ウェル活性領域4を含む構造の成長を提供する。
【0033】
例えば、下部層8及び/又は活性領域シェル4の不均一な表面又は輪郭形状は、山12から隣接する谷13まで10〜30nmの離間距離を有してもよく、山12から隣接する谷13まで3〜5nmの深さ(すなわち、厚さの変化)を有してもよい。好ましくは、積層欠陥の発生を回避するために、活性層領域シェル4は5nmを超える厚さを有する。下部層8が15%を超えるインジウムを含有する場合、積層欠陥の発生を回避するために、下部層8は好ましくは5nmを超える厚さを有する。
【0034】
本明細書において使用される不均一な表面は、水平方向に沿って半径方向面(すなわち、m面)で少なくとも1つの谷(例えば、くぼみ)13から3〜5nmのように少なくとも2nm延出する少なくとも3つの山(例えば、膨出部)12を有する真っ直ぐではない又は滑らかではない(すなわち、凹凸があるか又は粗い)表面を意味する。不均一な輪郭形状は、活性領域シェルの量子ウェルが、真っ直ぐではない半径方向面(すなわち、側壁)及び/又は半径方向(すなわち、水平方向)に沿って垂直方向の高さの関数として不均一な厚さを有することを意味する。不均一な厚さは、活性領域シェル(例えば、量子ウェル)4の半径方向(すなわち、水平方向)厚さがシェル4の異なる垂直方向位置で20〜40%のように少なくとも15%変化し、ほぼ平行ではない半径方向側壁を有することを意味する。
【0035】
Inを含有する凹凸層(例えば、活性領域シェル)の膜厚を5nmを超えるまで増加させることは、山12には谷13と比較して不均一にインジウムを成膜し、下部層8の山12で、活性領域シェル4に局所的高濃度インジウムIn(Al)GaN領域21を形成する。
図4に示されるように、活性領域シェル4の高濃度インジウム領域21は活性領域シェル4の山22に対応し、高濃度インジウム領域21は、活性領域シェル4の谷23に対応する低濃度インジウム領域24によって分離される。好ましくは、シェル4の高濃度インジウム領域と低濃度インジウム領域との間のインジウム含有量の差は、10〜25原子パーセントのように少なくとも5原子パーセントである。
【0036】
この結果、ナノワイヤのm面14に電気コンタクトが直接配置された場合、多数の発光ピークを提供できる不均質な活性層4が得られる。
図4に示されるように、好ましくは、p型GaNシェル3へのp側電気コンタクト16は、シェル3の先端部の傾斜したp平面15に形成され、n側電気コンタクト17は、n型GaN又はAlGaN基板7を介してn型GaNナノワイヤコア2のc面に形成される。従って、ELスペクトルでは、m面14に由来する弱い発光ピークは見られない。従って、有害な積層欠陥を導入することなく、波長の長い緑色、黄色、橙色又は赤色の光を発光するIn含有量の多い材料(例えば、領域21)の体積が増加できる。
【0037】
例えば、
図5A及び
図5Bに示されるように、不均一な表面は、高いV族/III族比を維持しつつ、低温(例えば、800℃以下)で中間シェル8を形成することによって実現されてもよい。これは、中間シェル8の外側半径方向面10が不均一になる原因となる。次に、中間シェル8の上に活性領域シェル4及び外側p型シェル(又はシェル群)3が形成される。
図5A及び
図5Bからわかるように、不均一な表面におけるこの成長は、不均一な輪郭形状を有する活性領域シェル4を形成し、外側シェル3の欠陥(例えば、積層欠陥)9を減少させる又は排除する。
【0038】
図5A及び
図5Bに示されるように、活性領域シェル4は不均一な厚さを有する。例えば、量子ウェルを含むシェル4は、場所#5の7.6nmから場所#3の12.2nmまでの範囲の厚さを有する。従って、シェル4の半径方向厚さは30%を超えて変化し(すなわち、30〜38%)、垂直方向に沿って4nmを超えて変化する。
【0039】
不均一な表面10での1つ以上のInGaN/GaN量子ウェルを含む不均一な輪郭形状の活性領域シェル4の形成は、活性領域シェルの形成中に局所的高濃度インジウムInGaN領域21が自己組織化によって形成されることを結果として生じる。特に、領域21は活性領域シェル4のより厚い(すなわち、膨出する)領域に形成されると考えられる。
図6A及び
図7Aは、
図6B及び
図7Bにそれぞれ示されるナノワイヤLEDの様々な場所におけるAl、Ga及びInの含有量を原子パーセント単位で示す表を示す。
図6A及び
図6Bに示されるように、InGaN/GaN量子ウェル活性領域4の領域#1、2、3及び7は、17.5〜23.9at%(すなわち、それぞれ20.5、17.5、19.9及び23.9)のように15原子パーセントを超える量のインジウムを含有する。従って、領域#2と領域#7との間で、インジウム濃度は5原子パーセントを超えて(例えば、5〜6.4原子パーセント)変化する。領域#4〜6はAlGaN外側シェルに位置し、インジウムを含まず、不定濃度のアルミニウムを有する。
【0040】
図7A及び
図7Bに示されるように、InGaN/GaN量子ウェル活性領域4の領域#1、2及び3は、14.1〜18.3at%(すなわち、それぞれ18.0、18.3及び14.1)のインジウムのように14原子パーセントを超える量のインジウムを含有する。従って、インジウム濃度は、領域#2と領域#3との間で4原子パーセントを超えて変化する。領域#4〜7はAlGaN外側領域に位置し、インジウムを含まず、不定濃度のアルミニウムを有する。
【0041】
それらの高濃度インジウム領域21は、緑色波長から黄色波長のスペクトル領域で高い効率で高輝度の発光を示すと考えられる。
【0042】
更に、不均一な表面10での活性領域シェル4の形成は、中間シェル8の角錐形の傾斜上面(すなわち、半極性{1−101}p面)よりも、半径方向面(すなわち、無極性{10−10}m面)における活性領域4のはるかに大きな厚さを結果的に生じると考えられる。中間シェル8のm面の上の活性領域シェル4の半径方向厚さは、デバイスの上面における中間シェル8のp面、10−11、の上の厚さの少なくとも3倍、例えば、3〜10倍の厚さになる。これは、同じ量子ウェルのp面、10−11、部分からの発光と比較して、InGaN量子ウェルのm面部分からの改善された発光のため、LEDデバイスの性能を改善する。従って、量子ウェルのp面、10−11、と比較して量子ウェルのm面を厚くすることは、量子ウェルのp面、10−11、のほうが厚い従来のデバイスと比較して、m平面部分から量子ウェルのp面、10−11、部分よりも高い比の放射が発生することを意味する。
【0043】
図8は、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態では、デバイスは3つの中間シェル8A、8B及び8Cを含む。内側の中間シェル8Aはn−GaNシェルを含む。中央のシェル8Bは、不均一な表面を有するn−InGaNシェルを含み、外側のシェル8Cは、不均一な表面を有するn−GaNシェルを含む。活性領域シェル4を成長させる不均一な面を外側中間シェル8の上に形成するために、シェル8B及び8Cの両方は、共に高いV族/III族流量比及び低温(例えば、800℃未満)で形成されてもよい。
【0044】
図8に示されるように、活性領域シェル4は不均一な厚さを有する。例えば、量子ウェルを含むシェル4は、場所#4の6.8nmから場所#3の12.5nmの範囲の厚さを有する。従って、シェル4の半径方向厚さは、40%を超えて(すなわち、40〜45.6%)且つ5nmを超えて(例えば、5〜5.7nm)変化する。
【0045】
ナノワイヤLEDに関して本発明を記述したが、電界効果トランジスタ、ダイオード、特に光検出器、太陽電池、レーザーなどの吸光又は発光を含むデバイスのようなナノワイヤを利用する他の半導体デバイスに関しても任意のナノワイヤ構造で実現できることを理解すべきである。
【0046】
本明細書で引用されるすべての文献及び特許は、個々の文献又は特許が特定して且つ個別に参照として組み込まれると指示されたかのように参照として本明細書に組み込まれており且つ引用されたそれらの文献と関連して方法及び/又は材料を開示し且つ説明するために本明細書に組み込まれている。どの文献の引用も、本出願の出願日以前に開示されたための引用であり、そのような先行発明があることによって本発明の日付がその文献に先行する権利を持たないことの承認であると解釈されるべきではない。更に、提示される文献の公表の日付は、独自に確認される必要があり実際の公表の日付とは異なる場合もある。