(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409066
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】永久磁石モーター、冷凍圧縮機および空気調和装置
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20181004BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K1/20 Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-533797(P2016-533797)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-528864(P2016-528864A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】CN2014083551
(87)【国際公開番号】WO2015021870
(87)【国際公開日】20150219
【審査請求日】2017年2月3日
(31)【優先権主張番号】201310352017.9
(32)【優先日】2013年8月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ヤビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン イン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ホアイツァン
【審査官】
三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−111319(JP,A)
【文献】
実開昭56−102946(JP,U)
【文献】
特開平07−322565(JP,A)
【文献】
特開昭54−159610(JP,A)
【文献】
実開昭54−001103(JP,U)
【文献】
特開平06−034238(JP,A)
【文献】
特開2005−185025(JP,A)
【文献】
米国特許第05866959(US,A)
【文献】
米国特許第04182137(US,A)
【文献】
特開平03−020575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体、固定子および回転子を備え、
前記固定子および前記回転子は、前記筐体内に設けられ、前記筐体の内側空洞部を、第1の内側空洞部および第2の内側空洞部に分割し、
前記固定子は固定子コアを備え、
前記第1の内側空洞部および前記第2の内側空洞部と連通する軸方向通気孔が前記固定子コアの歯に配置され、
各前記軸方向通気孔は、その全てが、各前記歯の高さ方向に延びる先細り形のテーパ孔であり、
前記歯のヘッドの付近にある前記軸方向通気孔の一端の幅は、前記歯の根元の付近にある前記軸方向通気孔の他端の幅より大きいと共に、
前記軸方向通気孔の横断面の輪郭線は、前記歯のヘッド付近にある円弧状の第1の輪郭線と、前記歯の根元付近にある円弧状の第2の輪郭線と、直線形である第3の輪郭線から成り、前記第3の輪郭線の各々は一端で前記第1の輪郭線と、他端では前記第2の輪郭線と接続され、かつ、前記第2の輪郭線の中心O2と、前記第1の輪郭線の前記中心O1間の距離L1が、前記第1の輪郭線の半径R1以上である
ことを特徴とする、永久磁石モーター。
【請求項2】
前記第1の輪郭線の半径R1は、前記歯の幅L2の1/3以下であることを特徴とする、
請求項1記載の永久磁石モーター。
【請求項3】
前記第1の輪郭線の中心O1から前記固定子の内円面までの距離Lが0.5mmより大きいことを特徴とする請求項1記載の永久磁石モーター。
【請求項4】
前記第2の輪郭線の半径R2が、前記第1の輪郭線の半径R1の1/3以下であることを特徴とする請求項1記載の永久磁石モーター。
【請求項5】
前記回転子は、回転子コアと、前記回転子コアの両側軸方向に配置される回転子押輪とを備え、
前記回転子コアと少なくとも1つの前記回転子押輪との間に仕切りが設けられ、
前記仕切りの外縁部がエアギャップ内に延び、
前記エアギャップは、前記固定子の内円面と前記回転子の外円面との間に形成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の永久磁石モーター。
【請求項6】
前記仕切りは環状であり、
前記仕切りの外径は前記回転子の外円面の直径より大きく、前記固定子の内円面の直径より小さいことを特徴とする請求項5記載の永久磁石モーター。
【請求項7】
前記筐体は流体入口および流体出口を備えており、
前記流体入口は前記第1の内側空洞部と連通し、前記流体出口は前記第2の内側空洞部と連通することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の永久磁石モーター。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の永久磁石モーターを備えたことを特徴とする冷凍圧縮機。
【請求項9】
前記冷凍圧縮機は、冷凍遠心式圧縮機または冷凍スクリュー式圧縮機であることを特徴とする、請求項8記載の冷凍圧縮機。
【請求項10】
圧縮機、凝縮器、メイン配管路のスロットル部材および蒸発器を備え、
前記圧縮機、前記凝縮器、前記メイン配管路の前記スロットル部材および前記蒸発器は、冷媒の循環回路を形成する配管によって接続され、
前記圧縮機は、請求項8又は請求項9記載の冷凍圧縮機であり、
前記流体入口は、分岐配管路の前記スロットル部材を介して凝縮器の出口と連通し、前記流体出口は、圧縮機の吸気口と連通することを特徴とする空気調和装置。
【請求項11】
フラッシュ蒸発器を更に備え、
前記フラッシュ蒸発器は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に接続されるか、または、
前記流体入口が、前記分岐配管路の前記スロットル部材を介して前記フラッシュ蒸発器の液体出口と連通することを特徴とする、請求項10記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーターに関し、より詳しくは、永久磁石モーター、永久磁石モーターを有する冷凍圧縮機、および前記圧縮機を有する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石モーターが作動する際には、主に固定子の銅損および鉄損により、最高温度および熱が生じる。
固定子の歯の磁束密度が最も高く、それ故、損失もより大きくなり、固定子の内面と、モーターの回転子の外面とで、最高温度となる。
回転子は永久磁石で構成され、回転子により生じる熱は、実験および研究により、無視して良いと分かっている。
従って、モーター動作時は、主に熱伝導により回転子の温度上昇が生じる。
永久磁石モーターに関しては、回転子の温度があまりにも高い場合、モーターは、例えば、回転子の消磁、モーターの絶縁による熱損失、その他の隠れた危険性をはらむ。
【0003】
冷凍圧縮機のための永久磁石モーターでは、通常、冷却水を噴霧するか、固定子と筐体との間に螺旋流路を備えることにより冷却がなされる。
実使用上は、以下の課題がある。
モーターにおける回転子の冷却効果は不十分である。
モーター内部の温度場は均一でない。すなわち、温度は、ある領域では高くなり、他の領域では低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の状況からみて、本発明の1つの目的は、モーターの熱交換効率を高め、熱が最も集中して発生する歯で、熱交換流体(例えば冷媒)により熱交換させることができる永久磁石モーターを提供することであり、それにより、安定してモーターの温度を制御し、永久磁石モーターの不均一な冷却という課題を解決する。
【0005】
本発明のもう1つの目的は、永久磁石モーターを備えた冷凍圧縮機および、冷凍圧縮機を有する空気調和装置を提供することである。
【0006】
上記の技術的な問題を解決するために、本発明は、
筐体、固定子、および回転子を備え、
固定子および回転子が筐体内に設けられ、筐体の内側空洞部を、第1の内側空洞部および第2の内側空洞部に分割し、
固定子は固定子コアを備え、第1の内側空洞部および第2の内側空洞部と連通する軸方向通気孔が固定子コアの歯に配置され、
各軸方向通気孔は、各歯の高さ方向に延びるテーパー形状孔であり、歯のヘッド付近にある軸方向通気孔の一端の幅は、歯の根元の近くにある軸方向通気孔の他端の幅より大きい、
永久磁石モーターを提供する。
【0007】
実施例の1つにおいて、軸方向通気孔の断面の輪郭線は、歯のヘッド付近にある円弧状の第1の輪郭線と、歯の根元付近の円弧状の第2の輪郭線と、各々一端が第1の輪郭線と、他端が第2の輪郭線と接続している直線状の第3の輪郭線とからなる。
【0008】
実施例の1つにおいて、第1の輪郭線の半径R1は、歯の幅L2の1/3以下である。
【0009】
実施例の1つにおいて、第1の輪郭線の中心O
1から固定子の内円面までの距離Lは、0.5mmより大きい。
【0010】
実施例の1つにおいて、第2の輪郭線の中心O
2と、第1の輪郭線の中心O
1間の距離L1は、第1の輪郭線の半径R1以上である。
【0011】
実施例の1つにおいて、第2の輪郭線の半径R2は、第1の輪郭線の半径R1の1/3以下である。
【0012】
実施例の1つにおいて、回転子は、回転子コアおよび、回転子コアの両側軸方向に配置される回転子押輪を備え、仕切りが、回転子コアと少なくとも1つの回転子押輪との間に設けられており、仕切りの外縁部はエアギャップ内に延び、前記エアギャップは、固定子の内円面と回転子の外円面との間に形成される。
【0013】
実施例の1つにおいて、仕切りは環状であり、そして、仕切りの外径は回転子の外円面の直径より大きく、固定子の内円面の直径より小さい。
【0014】
実施例の1つにおいて、筐体は、流体入口および流体出口を備えている。流体入口は第1の内側空洞部と、流体出口は第2の内側空洞部と連通する。
【0015】
本発明は、モーターを備えた冷凍圧縮機を提供し、そのモーターは上記の永久磁石モーターである。
【0016】
実施例の1つにおいて、冷凍圧縮機は、遠心式冷凍圧縮機またはスクリュー式冷凍圧縮機である。
【0017】
本発明は、空気調和装置を提供する。空気調和装置は、圧縮機(コンプレッサ)、凝縮器(コンデンサ)、メイン配管路のスロットル部材、および蒸発器を備える。
圧縮機、凝縮器、メイン配管路のスロットル部材および蒸発器は、冷媒の循環回路を形成する配管によって接続されている。
圧縮機は、上記の冷凍圧縮機である。
上記流体入口は、分岐配管路のスロットル部材を介して凝縮器の出口と、そして上記流体出口は、圧縮機の吸気口(気体取り入れ口)と連通する。
【0018】
実施例の1つにおいて、空気調和装置は、フラッシュ蒸発器をさらに備える。フラッシュ蒸発器が凝縮器と蒸発器との間に接続されるか、または、上記流体入口が、分岐配管路のスロットル部材を介してフラッシュ蒸発器の液体出口と連通する。
【0019】
本発明の永久磁石モーターにおいて、固定子コアの歯に配置される軸方向通気孔は、歯の高さ方向に延びるテーパー形状孔であるので、この軸方向通気孔のおかげで、熱が最も集中的に発生する歯で、熱交換流体が熱交換することが可能となる。それにより、安定してモーターの温度を制御し、永久磁石モーターの不均一な冷却といった課題を解決し、モーター内の温度場を一定に保つ。
【0020】
しかも、軸方向通気孔がテーパー形状孔であるおかげで、浸漬塗装工程中の塗料の残りは、表面張力の作用で、通気孔の狭い方の端に集まり、通気孔の広い方の端は開いたままになる。それにより、モーターを浸漬塗装する際に、軸方向通気孔が、確実に塞がれることを防止する。
【0021】
本発明の追加的特徴の有益な効果については、「発明を実施するための形態」においてさらに詳細に後述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例における、永久磁石モーターを例示する概略断面図である。
【
図2】
図1に示される永久磁石モーターの固定子コアを例示する構造図である。
【
図3】
図1に示される永久磁石モーターの固定子コア部分を例示する拡大図である。
【
図4】
図1に示される永久磁石モーターの仕切りを例示する構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の詳細は、添付の図面および実施例を参照しながら後述される。種々の実施例およびその特徴が相反しない場合は、それらを組み合わせ得る点に留意する必要がある。
【0024】
本発明の一実施例において、永久磁石モーターが提供される。
図1に示すように、永久磁石モーターは、筐体10、固定子20、および回転子30を含む。
固定子20は、筐体10内部に固定して設けられる。固定子は、固定子コア21、およびコイル巻線22を含む。回転子30は、固定子コア21内部に設けられる。固定子20および回転子30は、筐体10の内側空洞部を、左の第1の内側空洞部10aおよび右の第2の内側空洞部10bに分割し、そして、エアギャップ10cが固定子の内円面23と回転子の外円面35との間に形成されている。回転子30は、回転軸34と、回転軸34に設けられる回転子コア31と、回転子コア31の両側に軸方向に配置される回転子押輪32を含む。
【0025】
図2および3に示すように、固定子コア21は、継鉄(ヨーク)211、および、放射状かつ内向きに延びる複数の歯212を有する。
第1の内側空洞部10aおよび第2の内側空洞部10bと連通するために、軸方向通気孔213が、固定子コア21の各歯212に配置される。軸方向通気孔213は、歯の高さ方向に延びるテーパー形状孔である。
歯212のヘッド212a付近にある軸方向通気孔213の一端の幅は、歯212の根元212b付近にある軸方向通気孔の他端の幅より大きい。
歯212の熱は、熱交換流体(例えば空気または冷媒)により、軸方向通気孔213を介して取り去られる。
【0026】
軸方向通気孔213はテーパー形状であるので、歯212は熱交換流体に完全に接触し、それにより、モーターの熱交換効率を高め、安定してモーターの温度を制御し、永久磁石モーターの不均一な冷却という課題を解決する。
さらにまた、軸方向通気孔213がテーパー形状であるため、浸漬塗装工程中に生じる塗料の残は、表面張力の作用で、通気孔の狭い方の端に集まり、通気孔213の広い方の端は開いたまま(開口状態)になる。そのことが、モーターが浸漬塗装される際に、軸方向通気孔213が確実に塞がれないようにする。
【0027】
好ましくは、軸方向通気孔213の横断面の輪郭線は、歯212のヘッド212a付近の円弧状の第1の輪郭線213aと、歯212の根元212b付近の円弧状の第2の輪郭線213bと、各々一端が第1の輪郭線213aと、他端が第2の輪郭線213bと繋がっている直線形状の第3の輪郭線213cとから構成される。
【0028】
軸方向通気孔213の両輪郭線は、互いに円弧状に繋がっており、このことにより、歯212の強度を保持する一方、電荷が鋭利な角部で蓄積するのを防止する。
【0029】
好ましくは、固定子コア21の歯212の強度を保持するために、第1の輪郭線213aの半径R1は、歯の幅L2の1/3以下である。
【0030】
軸方向通気孔213をエアギャップに最大限に近づけるよう、好ましくは、第1の輪郭線213aの中心O
1から固定子20の内円面23までの距離Lは0.5mmより大きい。
【0031】
軸方向通気孔213を最大限にテーパー形状とするために、好ましくは、第2の輪郭線213bの中心O
2と、第1の輪郭線213aの中心O
1間の距離L1は、第1の輪郭線213aの半径R1以上である。
【0032】
モーターが浸漬塗装される際に、軸方向通気孔213が塞がれないように、表面張力の作用で、塗料が通気孔の狭い方の端に確実に集まるよう、好ましくは、第2の輪郭線213bの半径R2は、第1の輪郭線213aの半径R1の1/3以下である。
【0033】
好ましくは、回転子30は、回転子コア31および、回転子コア31の両側で軸方向に配置される回転子押輪32を含む。仕切り(
図1および
図4に示される)は、回転子コア31と1つの回転子押輪32との間に設けられるか、または回転子コア31と各回転子押輪32との間に設けられる。仕切り33の外縁部33aは、エアギャップ10c内に延びる。
【0034】
回転子30が高速で回転する時にエアギャップ10cで空気抵抗が生じ、また仕切り33の外縁部33aはエアギャップ10c内に延びている。それにより、空気抵抗の効果が強化され、熱交換流体が、過多にエアーギャップ10cに入るのを防ぎ、軸方向通気孔213が全回路の唯一の経路となり、モーターの冷却に必要となる熱交換流体の量を減少させ、冷却効率が最大限に発揮され、さらに空気摩擦損失を減少させる。
【0035】
図2に示すように、仕切り33は環状であり、仕切り33の外径は回転子30の外円面35の直径より大きく、固定子20の内円面23の直径より小さい。
【0036】
好ましくは、仕切り33は断熱材で作られる。熱交換流体(例えば空気または冷媒)が第1の内側空洞部に流れ込むとき、回転子押輪32上に低温面が形成され、そして回転子押輪32の表面で凝縮効果が起こる。
回転子30は高速回転するので、凝縮した冷媒がコイル巻線22の端部まで飛翔し、コイル巻線22の端部を冷却する。
好ましくは、仕切り33の反対側の回転子押輪32の表面には、凝縮効果と帯液(保液)効果をさらに高めるため、溝または突出部(図示せず)を有する。
【0037】
好ましくは、仕切り33は、絶縁材で作られる。絶縁材は磁気的に非伝導性であり、磁化されることがなく、モーターの磁界を変えない。よって、付加損が生じない。
【0038】
好ましくは、筐体10は、流体入口(図示せず)および流体出口(図示せず)を備える。流体入口は第1の内側空洞部10aと連通し、流体出口は第2の内側空洞部10bと連通する。
【0039】
モーターが作動するとき、熱交換流体(好ましくは液冷媒)が、流体入口を介して第1の内側空洞部10aに入り、その熱交換流体が軸方向通気孔213を通過する時に熱交換が行われ、このプロセスの間、熱交換流体は、相転移のために熱を吸収し、相転移によって熱を取り去り、更に、モーターの熱交換効率を高める。
【0040】
本発明の第2実施例において、冷凍圧縮機が提供される。冷凍圧縮機は、モーターを含み、前記モーターは、上記の実施例に記載される永久磁石モーターである。
筐体10は、第1の内側空洞部10aと連通する冷媒入口(図示せず)、および、第2の内側空洞部10bと連通する冷媒出口(図示せず)を備える。
【0041】
このようにして、熱交換流体は、冷媒入口を介して第1の内側空洞部10aに入り、そして、熱交換流体が軸方向通気孔213を通過するときに、歯212の熱交換を行い、それから熱交換流体は第2の内側空洞部10bに流れ込み、最後に、冷媒出口から放出される。
このように、モーター内部の冷媒は、圧縮機の動作下では、独立循環システムで循環する。好ましくは、冷凍圧縮機は、遠心式冷凍圧縮機またはスクリュー式冷凍圧縮機である。
【0042】
本発明の第3実施例において、空気調和装置(図示せず)が提供される。空気調和装置は、圧縮機、凝縮器、メイン配管路のスロットル部材、フラッシュ蒸発器および蒸発器を含む。
圧縮機、凝縮器、メイン配管路のスロットル部材、フラッシュ蒸発器および蒸発器は、冷媒の循環回路を形成する配管を介して接続される。圧縮機は、上記の冷凍圧縮機である。
【0043】
冷媒入口は、分岐配管路のスロットル部材を介して凝縮器の液体出口と連通するか、または分岐配管路のスロットル部材を介してフラッシュ蒸発器の液体出口と連通する。
冷媒出口は、圧縮機の吸気口(気体取り入れ口)と連通する。
【0044】
液冷媒が分岐配管路に配置されたスロットル部材を通過したあと、液冷媒は低温の気冷媒となり、第1の内側空洞部10aに吹き付けられる。
低温の気冷媒の一部は、直接、軸方向通気孔213を通って歯212の熱交換を行い、固定子の熱を取り去る。
モーターが作動するとき、主に固定子の銅損および鉄損によって熱が生じる。回転子30は永久磁石で作られているので、回転子30によって生じる熱は無視して良い。従って、永久磁石モーターが作動するときに、回転子30の温度上昇は主に熱伝達によって生じる。
【0045】
この実施例によれば、永久磁石モーターの固定子からの熱が直接交換され、それにより、永久磁石モーター内部の温度場を均一にし、そして、例えば、高温により消磁される永久磁石回転子、永久磁石モーターの絶縁による熱損失といった隠れた危険性を除去する。
低温の気冷媒の残りの部分は、回転子押輪32の表面上で凝縮液化する。
回転子30は高速で回転するので、凝縮液冷媒はコイル巻線22の端まで飛翔し、コイル巻線22の末端を冷却する。
【0046】
上記記載は本発明のいくつかの実施例である。そして、上記記載は具体的で詳細であるが、本発明の範囲を制限しない。さまざまな修正および改良が本発明の概念を逸脱しない範囲でなされることができることは当業者によく理解されており、すべてのこれらの修正および改良は本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0047】
10 筐体
10a 第1の内側空洞部
10b 第2の内側空洞部
10c エアギャップ
20 固定子
21 固定子コア
211 継鉄
212 歯
212a ヘッド
212b 根元
213 軸方向通気孔
213a 第1の輪郭線
213b 第2の輪郭線
213c 第3の輪郭線
22 コイル巻線
23 固定子の内円面
30 回転子
31 回転子コア
32 回転子押輪
33 仕切り
33a 仕切りの外縁部
34 回転軸
35 固定子の外円面