(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409072
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】主要ストラットと小型ストラットを備えた排気ガスディフューザ
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20181004BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
F02C7/00 B
F01D25/30 B
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-557144(P2016-557144)
(86)(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公表番号】特表2017-518454(P2017-518454A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】PL2014000024
(87)【国際公開番号】WO2015142200
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ナンダ,ディーペシュ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャヤン,サントシュ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】マンジュナス,チェーンガッパ
(72)【発明者】
【氏名】イェンジェイェフスキ,トマシュ
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0121301(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0158684(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103195572(CN,A)
【文献】
特表2008−501091(JP,A)
【文献】
特開2014−122622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F01D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向外方周辺のケーシング(46)と、
前記半径方向外方周辺のケーシング(46)内に前記ケーシング(46)の中心軸と同軸に位置付けされたハブ(42)と、
前記ハブ(42)の周りの周方向隔置位置に位置付けされ且つ半径方向外方に前記半径方向外方周辺のケーシング(46)まで延びる主要ストラット(44)と、
前記主要ストラット(44)間の周方向隔置位置に位置付けされた小型ストラット(52)と、を含み、前記主要ストラット(44)と前記小型ストラット(52)が、実質上平行な長手方向の翼弦線(54、56)を有し、前記小型ストラット(52)のそれぞれが、前記主要ストラット(44)のうちの少なくとも1つの断面積よりも小さい断面積を有し、
前記小型ストラット(52)はそれぞれ、前記ハブ(42)から前記ケーシング(46)まで延び、
前記小型ストラット(52)はそれぞれ、前縁と後縁を有し、前記翼弦線(54)は、前記前縁と後縁の間に延び、また、前記主要ストラット(44)のうちの隣接する1つの前記翼弦線(56)と平行であり且つ前記ディフューザ(38)の前記中心軸と平行である、排気ガスディフューザ(38)。
【請求項2】
少なくとも前記小型ストラット(52)は、スワールと流れ剥離を低下させるために空気力学的に形作られる、請求項1記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項3】
前記主要ストラット(44)と前記小型ストラット(52)は、周方向に整列した前縁を有する、請求項1または2に記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項4】
前記主要ストラット(44)の前縁は、前記小型ストラット(52)の前縁から周方向にずれている、請求項1または2に記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項5】
前記主要ストラット(44)の前記前縁は、前記小型ストラット(52)の前記前縁から軸方向にずれている、請求項4記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項6】
前記主要ストラット(44)の左右の一方のみに隣接して前記小型ストラット(52)が配置され、
前記主要ストラット(44)の左右の他方に隣接して前記小型ストラット(52)が配置されない、請求項1乃至5のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項7】
前記小型ストラット(52)はそれぞれ、一対の隣接する主要ストラット(44)のうちの一方の吸込み側のより近くに一様に位置付けされ、前記吸込み側は、前記ガスディフューザ(38)が部分負荷の条件下で動作する間に決定される、請求項1乃至6のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項8】
前記小型ストラット(52)のそれぞれと、前記主要ストラット(44)の2つの隣接するもののうちのより近い方と、の周方向距離は、前記小型と大型のストラット(52、44)のそれぞれの中心軸から測って、4インチと10インチの間である、請求項7記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項9】
前記小型ストラット(52)のそれぞれと、前記主要ストラット(44)の2つの隣接するもののうちのより近い方と、の周方向間隔は、前記ストラットのそれぞれの中心軸から測って、10インチを越えない、請求項1乃至8のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項10】
排気ガスディフューザ(38)であって、
外側ケーシング(46)と、
前記外側ケーシング(46)内に中心決めされ、前記ディフューザ(38)と同軸の中心線を有するハブ(42)と、
前記ハブ(42)から前記外側ケーシング(46)に周方向隔置アレイ状に延びるエーロフォイルに形作られた主要ストラット(44)であって、前記主要ストラット(44)
がそれぞれ、前記ハブ(42)の前記中心線からの半径方向線と同軸の軸を有する、主要ストラット(44)と、
前記主要ストラット(44)の隣接する対間の周方向に位置付けされたオキシフォイル(52)であって、前記オキシフォイル(52)のそれぞれが、前記主要ストラット(44)のうちの1つの断面積よりも小さい断面積を有し、前記オキシフォイル(52)がそれぞれ、前記ハブ(42)の前記中心線からの半径方向線と同軸の軸を有し、最近接の主要ストラット(44)から少なくとも2インチ隔置され、前記最近接の主要ストラット(44)の前縁と後縁の間に延びる翼弦線(56)に平行である前記オキシフォイル(52)の前縁と後縁の間の翼弦線(54)を有する、オキシフォイル(52)と、
を含み、
前記オキシフォイル(52)はそれぞれ、前記ハブ(42)から前記外側ケーシング(46)まで延び、
前記オキシフォイル(52)はそれぞれ、前縁と後縁を有し、前記翼弦線(54)は、前記前縁と後縁の間に延び、また、前記主要ストラット(44)のうちの隣接する1つの前記翼弦線(56)と平行であり且つ前記排気ガスディフューザ(38)の前記中心軸と平行である、排気ガスディフューザ(38)。
【請求項11】
前記オキシフォイル(52)は、前記最近接の主要ストラット(44)よりも長さと幅の寸法が小さい、請求項10記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項12】
前記オキシフォイル(52)のそれぞれと、前記最近接の主要ストラット(44)と、の周方向距離は、約2〜10インチの範囲にある、請求項10または11に記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項13】
前記オキシフォイル(52)は、対称に又は非対称に形作られる、請求項10乃至12のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項14】
前記主要ストラット(44)と前記オキシフォイル(52)は、周方向に整列した前縁を有する、請求項10乃至13のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項15】
前記主要ストラット(44)の前記前縁は、前記オキシフォイル(52)の前記前縁から前記ハブ(42)の軸に沿ってずれている、請求項10乃至13のいずれかに記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項16】
前記主要ストラット(44)の前記前縁は、前記排気ガスディフューザ(38)を通る流れに対して上流方向に前記オキシフォイル(52)の前記前縁を越えて軸方向に延びる、請求項15記載の排気ガスディフューザ(38)。
【請求項17】
圧縮機、燃焼器、1つ又は複数のタービン段、及びタービン回転軸に沿って配列された排気ダクトを含み、前記排気ダクトが、半径方向外方周辺のケーシング(46)を有するディフューザ(38)を組み込み、
前記半径方向外方周辺のケーシング(46)内に位置付けされた中心本体又はハブ(42)と、
前記中心本体又はハブ(42)の周りの周方向隔置位置に位置付けされ且つ半径方向外方に外方周辺のケーシング(46)まで延びる主要ストラット(44)と、
前記主要ストラット(44)間の周方向隔置位置に位置付けされた第2の複数の小型ストラット(52)と、
を含み、
前記小型ストラット(52)のそれぞれが前記主要ストラット(44)のうちの少なくとも1つの断面積よりも小さい断面積を有し、前記主要ストラット(44)と前記小型ストラット(52)が前記タービンロータ軸に平行な実質上長手方向の中心軸を有し、前記小型ストラット(52)のそれぞれと、前記主要ストラット(44)のうちの最近接の1つと、の周方向距離が10インチを越えず、
前記小型ストラット(52)はそれぞれ、前記ハブ(42)から前記半径方向外方周辺のケーシング(46)まで延びる、産業用のガスタービン。
【請求項18】
前記主要ストラット(44)と前記小型ストラット(52)は、周方向に整列した前縁を有する、請求項17記載の産業用のガスタービン。
【請求項19】
前記主要ストラット(44)の前縁は、前記小型ストラット(52)の前縁からずれており、前記ずれは、前記タービンロータ軸に平行に沿っている、請求項17記載の産業用のガスタービン。
【請求項20】
前記ずれは、前記周方向距離の約10〜20パーセントの範囲にある、請求項19記載の産業用のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービン排気ガスダクト又はディフューザに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンなどは典型的に、タービンセクションの最終段の下流に排気ダクト又はディフューザを含む。一般に述べられているように、ディフューザは、最終タービン段を退出する高温流ガスの運動エネルギを増加した静圧の形式の位置エネルギに変換する。ディフューザは、増加領域のケーシングを通して高温流ガスを流れ方向に向ける。ディフューザは一般に、ハブ上に実装されて外側ケーシングに対して半径方向に延びるストラットをいくつか含むが、他の構成も知られている。多くの場合、ストラットは、エーロフォイル構成を有することになろう。
【0003】
部分負荷動作の間、最終段バケット出口の接線方向流れ角度(スワール)は、増加することがあり、また、ディフューザのストラットとハブ上に流れ剥離(flow separation)をもたらすことがある。流れ剥離とスワールの増加は、その後にディフューザの静圧回復を低下させることがある。より具体的には、部分負荷での流れ剥離は、中心ハブからそれぞれの吸込み側上のエーロフォイルに形作られたストラットの先端までほぼ一様に起きる。そういった静圧回復の低下は、全体的なガスタービンエンジン性能と効率に対して影響力を有することがある。
【0004】
ハブから延びる小型ストラット又はベーンをいくつか設けることも知られており、米国特許出願公開第2013/0170969号に示されているように、小型ストラットが主要ストラットと交互に周方向に現れる。
【0005】
伝統的には、エーロフォイルに形作られることもある小型ストラットは、主要ストラットに対してある角度で位置決めされてきたが、この構成は、最適な部分負荷の動作条件を提供しない。かくして、小型ストラット/エーロフォイルを利用することをもってしても、望ましくない後流と剥離模様が存続する。
【0006】
したがって、他の動作条件下で別のやり方でディフューザ及び/又はタービンの性能不利益を招くことなく、所望の部分負荷性能を提供する排気ガスディフューザを設けることが望ましいことになろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2004/228726号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の例示であって限定でない実施形態に従い、本発明は、排気ガスディフューザに関し、半径方向外方周辺のケーシングと、半径方向外方周辺のケーシング内にディフューザの中心軸と同軸に位置付けされたハブと、ハブの周りの周方向隔置位置に位置付けされ且つ半径方向外方に半径方向外方周辺のケーシングまで延びる第1の複数の相対的に大きいストラットと、第1の複数の相対的に大きいストラット間の周方向隔置位置に位置付けされた第2の複数の相対的に小さいストラットと、を含み、第1の複数の相対的に大きいストラットと第2の複数の相対的に小さいストラットが、実質上平行な長手方向の中心軸又は翼弦線を有する。
【0009】
別の態様では、本発明は、外側ケーシングを含む排気ガスディフューザを提供し、外側ケーシング内に中心決めされたハブと、ハブから外側ケーシングに周方向隔置アレイ状に延びる複数のエーロフォイルに形作られたストラットと、複数のストラット間の周方向に位置付けされた複数のオキシフォイル(auxifoil)と、を含み、複数のオキシフォイルのそれぞれが、エーロフォイルに形作られたストラットの隣接する対のうちの一方の吸込み側のより近くに位置付けされ、複数のオキシフォイルが、複数のストラットの前縁と後縁の間に延びる対応翼弦線に平行な中心軸を有する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、産業用のガスタービンに関し、圧縮機、燃焼器、1つ又は複数のタービン段、及びタービン回転軸に沿って配列された排気ダクトを含み、排気ダクトが、半径方向外方周辺のケーシングを有するディフューザを組み込み、半径方向外方周辺のケーシング内に位置付けされた中心本体又はハブと、中心本体又はハブの周りの周方向隔置位置に位置付けされ且つ半径方向外方に外方周辺のケーシングまで延びる第1の複数の相対的に大きいストラットと、第1の複数の相対的に大きいストラット間の周方向隔置位置に位置付けされた第2の複数の相対的に小さいストラットと、を含み、第1の複数の相対的に大きいストラットと第2の複数の相対的に小さいストラットとが、タービンロータ軸に実質上平行な長手方向の中心軸を有し、相対的に小さいストラットのそれぞれと2つの隣接する相対的に大きいストラットのうちのより近い方との周方向間隔が、相対的に大きいストラットの翼弦線と相対的に小さいストラットの中心軸とから測って、10インチを越えない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】圧縮機、燃焼器、タービン、及びディフューザを示しているガスタービンエンジンの概略図である。
【
図2】公知のディフューザ構成の一部の部分斜視図である。
【
図3】別の公知のディフューザ構成の部分斜視図である。
【
図4】本発明の例示であって限定でない実施形態に従ったディフューザの一部の概略破断平面図である。
【
図5】本発明の例示であって限定でない実施形態に従ったディフューザ構成の部分斜視図である。
【
図6】
図5に示すストラット構成を組み込んでいるディフューザの端面図である。
【
図7】オキシフォイル具備と不具備のディフューザ用のディフューザの軸に沿った静圧の回復のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に概略示したものは、例示的な産業用のガスタービンエンジン10であり、周囲空気12を受容して、排気又は燃焼ガス14を環状ディフューザ16の中に従来方式で放出するために構成されている。燃焼ガスは、その後に従来の排気組立体又はスタック18を通して大気に放出される。
【0013】
典型的には、エンジン10は、1つ又は複数の圧縮機と、圧縮空気が燃料と混合されて点火されて燃焼又は排気ガス14が発生する燃焼器(図示せず)と、を備えたシングル又はデュアルロータエンジンにすることができる。燃焼器の下流に配置されるのは、1つ又は複数のタービン段(図示せず)であり、エンジン10に動力供給するため並びに出力シャフト20を介して出力動力を提供するため、排気ガス14からエネルギを抽出する。エンジン10とディフューザ16は典型的に、タービンロータ/シャフト20と一致する中心線軸22に関して軸対称である。
【0014】
図1に示すディフューザ16は、その上流端に環状のディフューザ枠24を含み、このディフューザ枠24は、環状の外壁又はケーシング28から半径方向内方に隔置した環状の中心本体又はハブ26を有し、かくして環状の排気ガス流チャネル30が開設される。
【0015】
中心本体又はハブ26(ハブ壁26とも呼ぶ)と外壁28は、実質上円筒の本体であり、外壁又はケーシング28は、その長さに沿って、典型的には、排気ガス流の方向外方に、先細のことがあると理解されよう。
【0016】
図2は、内壁又はハブ26と外壁又はケーシング28の間に延びるストラット/エーロフォイル組立体の単一の周方向列を示すようにディフューザ枠24を拡大している。
【0017】
典型的には、ストラット又はエーロフォイル組立体は、内側の構造的な主要ストラット32と、内側のストラットの周りに巻かれた外側のエーロフォイル34と、を含む2部片で構築される。外側のエーロフォイル34は、構造的な主要ストラット32のためのシースを形成することもある。内側のストラットは、典型的にはディフューザを貫流する燃焼ガスの高い温度を定格としていない材料で構築される。エーロフォイル34は、そういった温度に耐えてストラット32を防護する熱障壁を提供するために設計される。便宜上、主要ストラット/エーロフォイル組立体は、主要ストラット32と簡潔に呼ぶことにする。
【0018】
図3に示すように、小型ストラット36のいくつかは、ハブ26からディフューザケーシングの外壁28まで延びることがある。この例では、各小型ストラット36は、主要ストラット34のうちの対応する1つに隣接して位置決めされる。小型ストラットと主要ストラット36の配置は、ハブの周囲に関して対称に位置決めされる。小型ストラット36の角度、長さ、寸法、形状、及び構成は、変わることがあるが、典型的には、小型ストラットは、主要ストラット中心線に対してある角度(約5度〜約15度)で配置される。別言すると、主要ストラット34と小型即ち補助ストラット36の前縁と後縁間に延びる翼弦線は、平行ではない。
【0019】
小型ストラット36の使用は、正確なスワールを相殺すること、及び、部分負荷の動作条件中にディフューザの主要ストラット34とハブ26について流れ剥離を低下させること、を意図している。それにもかかわらず、主要ストラット34と共同した小型ストラット36の使用は、スワールやディフューザハブでの流れ剥離の問題を完全に是正することがないものとされてきた。
【0020】
図4〜6を参照すると、排気ダクト又はディフューザ38は、ディフューザの中心軸40で表されるように、ロータ軸と実質上同心に整列するために配置される。排気ダクト又はディフューザ38のハブ42は、中心軸40と同軸でもあり、ハブと外側ケーシング46の間に延びる複数の周方向に隔置した主要ストラット44を支持する。主要ストラットは、中心軸から半径方向に延びる。主要ストラット44は、空気力学的に形作られた対称なベーンとして、又は、任意選択のトレーリングセクション46を具備又は不具備のエーロフォイルとして、形成することがある。例示的な実施形態では、主要ストラット44は、前縁48と後縁50を有し、したがって、前縁から後縁まで延びる翼弦線は、ディフューザ中心軸40に平行である。主要ストラット44の数は、例えば、6〜8以上と変わることがある。代替的には、後縁51は、半径方向線に対して斜めにすることができ、したがって、ハブ42に近い縁は、外側ケーシング46に近い縁の上流である。
【0021】
例示であって限定でない実施形態では、小型ストラット(「オキシフォイル」とも呼ぶ)52は、主要ストラット44間の周方向に位置付けされる。オキシフォイルは、断面において中心軸に関して対称に形作られることがあり、あるいは、オキシフォイルの前縁と後縁の間に翼弦線が延びるエーロフォイルに形作られることがある。
【0022】
各オキシフォイルは、主要ストラット44と直近で連携する。
図6に最良に示すように、オキシフォイル52は、2つの隣接する主要ストラット44の一方の吸込み側の近くに位置付けされる(
図6で見て、オキシフォイル52それぞれの右側のストラット44を参照のこと)。本明細書に記載したようなディフューザのために、主要ストラットの吸込み側と圧力側は、条件に伴って変わることがあり、例えば、同じ側は、その設計点で又は寒い日に圧力側として働くが、最終段バケットからのスワール角度のせいで部分負荷の条件下で吸込み側として働くことがある。
【0023】
一例(
図4参照)では、オキシフォイルの中心線軸又は翼弦線54は、最も近い主要ストラットの中心線軸又は翼弦線56から約4インチと約10インチの範囲で隔置53される。主要ストラットとオキシフォイルの間隔53は、ディフューザの寸法、主要ストラットの数、及び、製造の配慮、例えば、溶接用の空間要件、に応じて変わることがある。より具体的には、オキシフォイルは、ハブからケーシングまでの隙間を実質上均一に、しかし、主要ストラットとオキシフォイルを溶接可能にするために十分な空間も有して、維持するように位置決めされることがある。オキシフォイルが主要ストラットに近すぎる場合、配置は、(製造の問題のせいで)現実的とはならないが、オキシフォイルが主要ストラットからあまりに遠くに位置付けされる場合、主要ストラットの剥離の低下/除去に対する肯定的な影響力が喪失することになろう。
【0024】
図示例では、主要ストラットの前縁48は、オキシフォイル52の前縁58から軸40に沿ってずれている距離55である。距離55は、主要ストラットの翼弦とオキシフォイルの翼弦の半径方向距離53の10〜20パーセントだけ、前方、即ち、前縁58の流れ方向上流になることがある。他の実施形態では、距離55は、前縁が、例えば、距離53の約10パーセント〜50パーセントの範囲内で、オキシフォイルの前縁の前方又は後方であるようにされると理解することになろう。
【0025】
オキシフォイル52は、対称に且つ空気力学的に形作られ、したがって、前縁58と後縁60の間に延びるその中心軸又は翼弦線54は、主要ストラット翼弦線又は軸56とディフューザ中心軸40の双方に平行である。オキシフォイルは、主要ストラットを越えて流れる排気ガスのスワール低下又は流れ剥離低下などの所望の流れ性能を達成することを条件に、非対称に形作られる。
【0026】
主要ストラットとオキシフォイルがディフューザ軸に実質上垂直に配向されて示されたが、ハブから外側ケーシングに向かって下流方向に傾斜する主要ストラットとオキシフォイルを有することが、本発明の範囲の範囲内にあるということも理解されよう。傾斜の程度は、約14度から約20度に変わることがある。一例では、傾斜の程度は、約17度にすることがある。この開示の提供する流れ剥離の解決策に影響が僅かか又は影響がないこの構成によって得られるべき剛性と空間の利益が存在する。
【0027】
要約すれば、主要ストラットの翼弦線と、互いに且つディフューザ中心軸に平行なオキシフォイルと、を持つことにより、全速力且つ全負荷(FSFL)での不利益を回避しつつ所望の部分負荷性能の改善が得られることが見出せた。
【0028】
図7は、ディフューザの軸に沿って排気が流れるときのディフューザ回復のプロット図である。ディフューザ回復は、排気流れの静圧における増加を表すことがある。ディフューザ回復の下側のトレース62は、主要ストラット具備且つオキシフォイル即ち小型ストラット不具備のディフューザを表す。上側のトレース64は、主要ストラットとオキシフォイルを有するディフューザを表す。トレース62、64は、ディフューザの最初のセクションにおいて、また、点66で排気ガスが主要ストラットに達するまで、急激に増加する。ディフューザ回復において大幅な低下がトレース62に見られ、それは排気ガスが主要ストラットの前縁(点66)から後縁(点68)に流れるからである。その一方、ディフューザ回復における低下は、実質上少なく、例えば、オキシフォイルと主要ストラットを有するディフューザのトレース64については、約40パーセント少ない。ディフューザ回復における差異70は持続し、それは排気ガスがディフューザを貫流するからである。
【0029】
本発明については、現在最も実用的且つ好適な実施形態であると考えられるものに関連して記載したが、本発明は、開示実施形態に限定されるべきではなく、それとは逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲の範囲内に包含される様々な修正や等価な構造を網羅することを意図していると理解すべきである。
【符号の説明】
【0030】
10 ガスタービンエンジン
12 周囲空気
14 排気又は燃焼ガスを放出
16 環状のディフューザ
18 従来の排気組立体又はスタック
20 出力シャフト
22 中心線軸
24 環状のディフューザ枠
26 中心本体又はハブ
28 外壁
30 環状の排気ガス流チャネル
32 内側の構造的なストラット
34 外側のエーロフォイル
36 小型ストラット
38 排気ダスト又はディフューザ
40 中心軸
42 ハブ
44 主要ストラット
46 外側ケーシング
48 主要ストラットの前縁
50 主要ストラットの後縁
51 主要ストラットの後縁(傾斜した縁)
52 小型ストラット即ち「オキシフォイル」
53 オキシフォイルと最近接の主要ストラットの距離
54 オキシフォイルの中心線軸又は翼弦線
55 前方距離
56 主要ストラット中心線軸又は翼弦線
58 前縁
60 後縁
62 主要ストラットのみ具備のディフューザのディフューザ回復のトレース
64 主要ストラットとオキシフォイル具備のディフューザのディフューザ回復のトレース
66 主要ストラットの前縁
68 主要ストラットの後縁