特許第6409080号(P6409080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409080部分結合リボン構造体の高速処理のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409080
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】部分結合リボン構造体の高速処理のための方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   G02B6/44 391
   G02B6/44 371
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-17196(P2017-17196)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-138594(P2017-138594A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】62/290,079
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/416,370
(32)【優先日】2017年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド ピー. デバン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ゴダード
(72)【発明者】
【氏名】ヘン リ
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−241042(JP,A)
【文献】 特開2006−241324(JP,A)
【文献】 特表2015−517679(JP,A)
【文献】 特開2011−221199(JP,A)
【文献】 米国特許第05682454(US,A)
【文献】 特開2014−228687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/44
B41J 2/01− 2/205
B41M 5/00
B41M 5/50−5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分結合光ファイバリボンを作製する方法であって、
光ファイバの線形アレイを提供する工程と、
インクジェット印刷機で少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して結合マトリクス材料を付加する工程と
を備え、
前記結合マトリクス材料が、摂氏25度(℃)で測定される2.0〜10.0センチポイズ(cP)の粘度を有し、
前記結合マトリクス材料が、600〜1200ミリモー(mmho)の導電率を有し、
前記結合マトリクス材料が、0.01〜0.20ニュートン(N)の付着力を有し、
前記結合マトリクス材料が、前記光ファイバの線形アレイが部分結合光ファイバリボンを形成するような形態で、少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加される、方法。
【請求項2】
前記部分結合光ファイバリボンが、1分当たり約500メートルまでの処理速度で作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部分結合光ファイバリボンが、共に部分結合された24本までの光ファイバの線形アレイを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記結合マトリクス材料が、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性プラスチック樹脂からなるグループから選択される材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加される前記結合マトリクス材料が、結果として得られる前記部分結合光ファイバリボンを実質的に平らに敷設できるように十分に高密度である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加される前記結合マトリクス材料が、結果として得られる前記部分結合光ファイバリボンが略円形状に丸められることができるように十分に低密度である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して前記結合マトリクス材料を付加する工程が、前記2本以上の隣接する光ファイバの長手方向に沿って、前記光ファイバの線形アレイ内の2本以上の隣接する光ファイバにわたって前記結合マトリクス材料のフィラメント又はドットを付加する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
部分結合光ファイバリボンであって、
線形アレイにおいて相互に隣接して配列された複数の光ファイバ、及び
インクジェット印刷機によって少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加された結合マトリクス材料
を備え、
前記結合マトリクス材料が、摂氏25度(℃)で測定される2.0〜10.0センチポイズ(cP)の粘度を有し、
前記結合マトリクス材料が、600〜1200ミリモー(mmho)の導電率を有し、
前記結合マトリクス材料が、0.01〜0.20ニュートン(N)の付着力を有し、
前記結合マトリクス材料が、前記光ファイバの線形アレイが部分結合光ファイバリボンを形成するような形態で、少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加された、部分結合光ファイバリボン。
【請求項9】
1分当たり約500メートルまでの処理速度で作製された、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【請求項10】
共に部分結合された24本までの光ファイバの線形アレイを備える、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【請求項11】
前記結合マトリクス材料が、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性プラスチック樹脂からなるグループから選択される材料である、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【請求項12】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加された前記結合マトリクス材料が、結果として得られる前記部分結合光ファイバリボンを実質的に平らに敷設できるように十分に高密度である、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【請求項13】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加された前記結合マトリクス材料が、結果として得られる前記部分結合光ファイバリボンが略円形状に丸められることができるように十分に低密度である、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【請求項14】
少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して前記結合マトリクス材料を付加することが、前記2本以上の隣接する光ファイバの長手方向に沿って、前記光ファイバの線形アレイ内の2本以上の隣接する光ファイバにわたって前記結合マトリクス材料のフィラメント又はドットを付加することをさらに備える、請求項8に記載の部分結合光ファイバリボン。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に関する記述
この特許出願は、35U.S.C.第119条(e)の下で、2016年2月2日出願の米国仮特許出願第62/290079号の発明の名称「High Speed Processing Of Partially−Bonded Ribbon」の優先権を主張し、その内容全体が参照によりここに取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光ファイバに関する。より具体的には、発明は、部分結合光ファイバリボン構造体及び部分結合光ファイバリボン構造体を作製する高速処理方法に関する。
【0003】
関連技術の記載
本技術によって、2本又は3本の個別のファイバを接続するのに要する時間とほぼ同じ時間長で12本のリボン状ファイバを接続することができるため、質量融着接続は、比較的多心光のケーブル構造体にとって魅力的な光ファイバリボンを利用する。光ファイバリボンは、光ファイバの(一般的に)フラットリボンとして共に結合した光ファイバである。現在市場では、少なくとも1000〜5000本の光ファイバを有するケーブルの需要がある。
【0004】
従来のフラット光ファイバリボンのケーブル配線は、ケーブル配線されるフラット光ファイバリボンの数が増加するに従ってより問題となる。従来では、フラット光ファイバリボンが、多くの場合スタックといわれる長方形アレイでグループ化され、ケーブル構造体内部で位置決めされる。しかしながら、光ファイバケーブルは、通常容易に設置されるように円形となる必要がある。そのため、四角いペグ、すなわち長方形リボンスタックが、丸穴において、すなわち円形ケーブル構造体に整合しなくてはならない。そのような従来の構造では、ケーブル構造体に隙間が生じてしまう。
【0005】
ある既存の光ファイバケーブルの製造業者は、光ファイバリボンを形成する光ファイバがその全長にわたっては結合されていない間欠接着型リボンともいわれる部分結合光ファイバリボンを開発した。この光ファイバは、間欠的に結合されるため、光ファイバリボンは略円筒状に折り畳まれ、又は丸められることができ、円形ケーブルのより高い充填性が得られ、従来の完全結合されたリボン構造体を有する光ファイバケーブルと比べて、より多くの光ファイバが所与のケーブル径内に含まれることになる。
【0006】
しかしながら、部分結合光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法は、従来のフラット光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法より複雑であることが多い。例えば、部分結合光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法では、フラット光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法と比べて、部分結合光ファイバリボン構造体の製造に使用される結合マトリクス材料の場所及び量が部分結合光ファイバリボン構造体の完全性に大きく影響を及ぼすことから、光ファイバリボン上の適切な場所での、また光ファイバリボンへの付加に必要な結合マトリクス材料の適量での、結合剤(すなわち、結合マトリクス材料)の付加又は配置を決定することが比較的困難となる。
【0007】
例えば、光ファイバリボンにおける結合マトリクス材料の不適切な配置によって隣接する光ファイバ間に不十分な結合がもたらされることがあり、その結果、不適当に緩んだ部分結合光ファイバリボン構造体が生じてしまう。また、光ファイバリボンに対して結合マトリクス材料の量が不十分であると、結果的に得られる部分結合光ファイバリボン構造体が非常に多くの緩んだ光ファイバを有してしまうことがある。一方、光ファイバリボンに対して結合マトリクス材料を過剰に付加すると、結果的に得られる部分結合光ファイバリボン構造体が過剰に剛性となることがあるため、構造体をケーブル構造体内にコンパクトにパッケージングするために適切に丸める又は折り畳むことが比較的困難又は不可能となることさえある。部分結合光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法に関連するこれらの困難のために、処理速度及びリボン構造ファイバ心線数は、従来のフラット光ファイバリボン構造体を製造する方法と比べて通常は相対的に低下する。例えば、部分結合光ファイバリボン構造体を製造する従来の多くの方法は通常、8本以下のファイバの部分結合光ファイバリボン構造体しか製造することができない。
【発明の概要】
【0008】
発明は、部分結合光ファイバリボンを作製する方法において具現化される。方法は、光ファイバの線形アレイを提供する工程、及びインクジェット印刷機で少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して結合マトリクス材料を付加する工程を含む。付加される結合マトリクス材料は、摂氏25度(℃)で測定される約2.0〜約10.0センチポイズ(cP)の粘度を有する。付加される結合マトリクス材料はまた、約600〜約1200ミリモー(mmho)の導電率を有する。付加される結合マトリクス材料はまた、約0.01〜約0.20ニュートン(N)の付着力を有する。また、結合マトリクス材料は、光ファイバの線形アレイが部分結合光ファイバリボンを形成する態様で、少なくとも2本の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して付加される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、従来の部分結合光ファイバリボンの斜視図である。
図1B図1Bは、他の従来の部分結合光ファイバリボンの斜視図である。
図1C図1Cは、さらに他の従来の部分結合光ファイバリボンの斜視図である。
図2図2は、発明の実施形態による部分結合光ファイバリボン構造体の部分的断面図である。
図3図3は、発明の実施形態による図2の部分結合光ファイバリボン構造体の斜視図である。
図4図4は、発明の実施形態による部分結合光ファイバリボン構造体を作製する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において同様の符号は同様の構成要素を表し、図面の説明を通じて発明の理解を促進させる。また、特定の構成、構造及び配置を以下に記載するが、それらは便宜上のものであるにすぎないということを理解すべきである。関連技術の当業者は、他の工程、構造及び配置が発明の概念及び範囲から逸脱することなく有用であることが分かるはずである。
【0011】
図1Aは、従来の部分結合光ファイバリボン10の斜視図である。図示するように、リボン10は複数の光ファイバ12を含み、各光ファイバ12は、コア部分13、コア部分13を取り囲むクラッド部分14、及びクラッド部分14を取り囲む被覆部分16を有する。コア部分13及びクラッド部分14は、ガラス製である。被覆部分16は、プラスチック製又は紫外線(UV)硬化性アクリレート材料製であり、コア部分13及びクラッド部分14を破損から保護する。この光ファイバリボン10では、光ファイバ12の周囲は、マトリクス材料が比較的軟性ではあるが強固である場合、リボンマトリクス部分18で間欠的に被覆される。
【0012】
図1Bは、他の従来の部分結合光ファイバリボン20の斜視図である。図1Bの光ファイバリボン20は複数の光ファイバ22を含み、各光ファイバ22は、コア部分23、コア部分23を取り囲むクラッド部分24、及びクラッド部分24を取り囲む被覆部分26を有する。この光ファイバリボン20では、光ファイバ22の周囲の一部は、マトリクス材料が比較的軟性ではあるが強固である場合、光ファイバ22の全長に沿ってリボンマトリクス部分28で被覆される。
【0013】
図1Cは、さらに他の従来の部分結合光ファイバリボン30の斜視図である。図1Cの光ファイバリボン30は複数の光ファイバ32を含み、各光ファイバ32は、コア部分33、コア部分33を取り囲むクラッド部分34、及びクラッド部分34を取り囲む被覆部分36を有する。この光ファイバリボン30では、光ファイバ32の周囲の一部が、リボンマトリクス部分38で間欠的に被覆される。図示するように、リボンマトリクス部分38は、光ファイバ32の周囲に沿って均一に配置される。光ファイバリボン30は、硬化させ、標準的リボンをブレードで非常に精密にスライスし、又はピンを挿入して液状プレポリマーマトリクス材料のフローを間欠的に遮断する前に、パターンにマトリクス材料のドットを付加することによって作製され得る。
【0014】
上記のように、従来の部分結合光ファイバリボンは、間欠接着型リボンともいわれ、光ファイバの比較的正確な場所において比較的正確な量の結合マトリクス材料で共に結合される。光ファイバリボン内の1以上の光ファイバにおける結合マトリクス材料の不適切な配置によって、隣接する光ファイバ間に不十分な結合がもたらされることが多く、その結果、不適当に緩んだ部分結合光ファイバリボン構造体が生じてしまう。光ファイバリボン内の1以上の光ファイバに対して結合マトリクス材料の付加量が不十分であると、結果的に得られる部分結合光ファイバリボン構造体は非常に多くの緩んだ光ファイバを有してしまうことがある。一方、光ファイバリボン内の1以上の光ファイバへの結合マトリクス材料を過剰に付加すると、結果的に得られる部分結合光ファイバリボン構造体は過剰に剛性となることがあり、リボン構造体をケーブル構造体内にコンパクトにパッケージングするのに適切に丸める又は折り畳むことが比較的困難又は不可能となることすらある。
【0015】
従来のフラット光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法と比べて、部分結合光ファイバリボン構造体を製造する従来の方法では、光ファイバリボンの比較的正確な場所において正確な量の結合マトリクス材料を確実に付加することができないため、不適当に低い処理速度及びリボン構造体のファイバ心線数となっていた。
【0016】
発明の実施形態によると、インクジェット印刷機などの、光ファイバリボンの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加する適切な装置と、特定の特性を有する結合マトリクス材料との併用によって、標準的には比較的高速である処理速度で1つのリボン構造体につき24本までの光ファイバリボンを有する部分結合光ファイバリボン構造体を製造する方法を提供する。
【0017】
発明の実施形態によると、光ファイバの線形アレイの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加するインクジェット印刷機又は他の適切な手段の使用によって、部分結合光ファイバリボン構造体を製造するのに1分当たり約500メートルまでの処理速度が可能となる。ただし、そのような処理速度を実現するには、結合マトリクス材料が特定の特性を有する必要がある。
【0018】
発明の実施形態によると、光ファイバの線形アレイの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加するインクジェット印刷機又は他の適切な手段を使用する適切なフロー速度のためには、結合マトリクス材料が、摂氏25度(℃)で測定される約2.0〜10.0センチポイズ(cP)の粘度を有する必要がある。また、発明の実施形態によると、結合マトリクス材料が、適切で正確な場所において部分結合光ファイバリボン構造体を製造するのに1分当たり約500メートルまでの処理速度が可能となるように、光ファイバの線形アレイに対して印刷又は付加されるには、結合マトリクス材料が、約600〜1200ミリモー(mmho)の導電率及び約0.01〜約0.20ニュートン(N)の付着力を有する必要がある。結合マトリクス材料の付着力は、一般的に光ファイバリボン構造体から光ファイバを分離するのに必要とされる力であり、部分結合光ファイバリボン構造体から光ファイバを分離することによって測定され得る。
【0019】
発明の実施形態によると、約2.0〜10.0cp(cP)の粘度、約600〜1200mmhoの導電率及び約0.01〜0.20Nの付着力を有する結合マトリクス材料の使用と、光ファイバリボン構造体内の1以上の光ファイバの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加するインクジェット印刷機又は他の適切な手段の使用との併用によって、1つの構造体につき24本までの光ファイバリボンを有する部分結合光ファイバリボン構造体を1分当たり約500メートルまでの処理速度で製造することが可能となる。
【0020】
結合マトリクス材料は、光ファイバの線形アレイを光ファイバリボン中に共に結合する任意の適切な材料であればよく、上記の特性を含む。例えば、結合マトリクス材料は、任意の適切な紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性プラスチック樹脂又は他の適切な結合マトリクス材料であればよい。
【0021】
図2は、発明の実施形態による部分結合光ファイバリボン構造体40の部分的断面図である。光ファイバリボン構造体40は光ファイバ42の線形アレイを含み、各光ファイバ42は、コア部分43、コア部分43を取り囲むクラッド部分44、及びクラッド部分44を取り囲む被覆部分46を有する。コア部分43及びクラッド部分44は、ガラス製である。被覆部分46は、プラスチック製又は紫外線(UV)硬化性アクリレート材料製であり、コア部分43及びクラッド部分44を破損から保護する。光ファイバ42の線形アレイは、任意の適切な数の光ファイバ、例えば、(図示するように)12本のファイバ又は24本までのファイバを含むことができる。部分結合光ファイバリボン構造体40は、従来の12本のファイバのフラット光ファイバリボンの標準的な寸法0.33×3.2ミリメートル(mm)と比べて、通常、12本のファイバリボンに0.25×3.0mmの直径を有する。
【0022】
光ファイバリボン構造体40では、隣接する光ファイバ42の周囲の部分が、結合マトリクス材料48で被覆される。結合マトリクス材料48は、任意の適切なパターンで隣接する光ファイバ42の周囲の部分に対して付加され得る。ただし、発明の実施形態によると、隣接する光ファイバ42の周囲の部分に対して付加される結合マトリクス材料は、結果として得られる部分結合光ファイバリボン構造体40を実質的に平らに敷設可能となるように十分に高密度となる必要がある。また、発明の実施形態によると、隣接する光ファイバ42の周囲の部分に対して付加される結合マトリクス材料は、結果として得られる部分結合光ファイバリボン構造体40が略円形状に丸められることができるように十分に低密度となる必要がある。
【0023】
図3は、発明の実施形態による、図2の部分結合光ファイバリボン構造体40の斜視図である。図示するように、結合マトリクス材料48は、隣接する光ファイバ42の長さに沿って比較的正確な場所において光ファイバ42の線形アレイ内の任意の2本(又はそれ以上)の隣接する光ファイバ42の一部分にわたり付加され得る。結合マトリクス材料48は、光ファイバ42の線形アレイ内の任意の2本(又はそれ以上)の隣接する光ファイバ42にわたって又はその間の任意の適切なパターン又は一連のパターンにおいて、隣接する光ファイバ42の長さに沿って付加され得る。
【0024】
例えば、結合マトリクス材料48は、光ファイバ42の線形アレイ内の任意の2本以上の隣接する光ファイバ42にわたって1以上のドット又はフィラメントとして付加される。また、発明の実施形態によると、結合マトリクス材料48のドット又はフィラメントは、光ファイバ42の線形アレイの正確かつ適切な場所に対して結合マトリクス材料のドット又はフィラメントを付加するインクジェット印刷機又は他の適切な手段の結果として、光ファイバ42の線形アレイの比較的正確な場所において比較的適量で付加される。また、図示するように、結合マトリクス材料48のドット又はフィラメントは、光ファイバ42の線形アレイの1以上の部分の長さに沿って周期的又は連続的に付加され得る。
【0025】
発明の実施形態によると、結合マトリクス材料は、ファイバアレイ表面領域について25ミリメートル当たり1ドットの結合マトリクス材料の最低密度で光ファイバの線形アレイに対して付加される。好ましくは、結合マトリクス材料は、結合マトリクス材料が正規分布に近いドットであり、ファイバアレイ表面領域に対して15ミリメートル当たり少なくとも1ドットである結合マトリクス材料の平均値を与える形態で、光ファイバの線形アレイに対して付加される。ただし、結合マトリクス材料の接着ドット間の距離は、100ミリメートル未満とすべきである。
【0026】
図4は、発明の実施形態による、部分結合光ファイバリボン構造体を作製する高速処理方法70のフロー図である。上記のように発明の実施形態によると、約2.0〜10.0cp(cP)の粘度、約600〜1200mmhoの導電率及び約0.01〜0.20Nの付着力を有する結合マトリクス材料の使用と、光ファイバリボン内の1本以上の光ファイバの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加するインクジェット印刷機又は他の適切な手段の使用との併用によって、1つの構造体につき24本までの光ファイバリボンを有する部分結合光ファイバリボン構造体を1分当たり約500メートルまでの処理速度で製造することが可能となる。
【0027】
方法70は、光ファイバの線形アレイを提供する工程72を含む。光ファイバの線形アレイは、任意の適切な数の光ファイバ、例えば、12本のファイバ又は24本までのファイバを含むことができる。
【0028】
方法70はまた、光ファイバの線形アレイの2本以上の隣接する光ファイバの少なくとも一部分に対して結合マトリクス材料を付加する工程74を含む。上記のように、結合マトリクス材料は、光ファイバの線形アレイが部分結合光ファイバリボンを形成するような形態で、2本以上の隣接する光ファイバの一部にわたって任意の適切なパターン又は一連のパターンで付加される。
【0029】
発明の実施形態によると、結合マトリクス材料は、結合マトリクス材料が結果として得られる部分結合光ファイバリボンを実質的に平らに敷設可能となるように十分に高密度となるような形態で、光ファイバの線形アレイの2本以上の隣接する光ファイバの1以上の部分にわたって付加される。また、結合マトリクス材料は、結果として得られる部分結合光ファイバリボンが略円形状に丸められることができるように結合マトリクス材料が十分に低密度となるような形態で、光ファイバの線形アレイの2本以上の隣接する光ファイバの1以上の部分にわたって付加される。
【0030】
方法70はまた、インクジェットプリンタ若しくは印刷機又は他の適切な手段を用いて、光ファイバの線形アレイの2本以上の隣接する光ファイバの1以上の部分にわたって結合マトリクス材料を付加する工程76を含む。例えば、結合マトリクス材料は、PrintSafe又はVideoJet印刷機を用いて、光ファイバの線形アレイの2本以上の隣接する光ファイバの1以上の部分にわたって付加され得る。上記のように、インクジェットプリンタ又は印刷機を用いて光ファイバの線形アレイの比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加することによって、部分結合光ファイバリボン構造体を製造するために1分当たり約500メートルまでの処理速度が可能となる。
【0031】
方法70はまた、インクジェットプリンタ又は印刷機が、光ファイバの線形アレイ上の比較的正確な場所に対して結合マトリクス材料を付加して、部分結合光ファイバリボン構造体を製造するために1分当たり約500メートルまでの処理速度が可能となるように、インクジェットプリンタに対して適切な特性を有する結合マトリクス材料を提供する工程78を含む。上記のように発明の実施形態によると、結合マトリクス材料は、インクジェット印刷機を用いて適切なフロー速度のために、摂氏25度(℃)で測定される約2.0〜10.0センチポイズ(cP)の粘度、約600〜1200ミリモー(mmho)の導電率及び約0.01〜約0.20ニュートン(N)の付着力を有する必要がある。
【0032】
方法70はまた、紫外線(UV)硬化オーブン又は他の適切な装置において付加された結合マトリクス材料を硬化する工程82を含む。結合マトリクス材料が光ファイバの線形アレイに対して付加されると、光ファイバの線形アレイはUV硬化オーブン又は他の適切な装置に通されて結合マトリクス材料を硬化する。
【0033】
方法70はまた、巻取りスプール又は他の適切な装置において部分結合光ファイバリボン構造体を巻き取る工程84を含む。光ファイバの線形アレイに対して付加された結合マトリクス材料が硬化されると、結果として得られる部分結合光ファイバリボン構造体は、巻取りスプール又は他の適切な装置に巻き取られる。
【0034】
添付の特許請求項に規定される発明の概念及び範囲並びにそれら均等の全範囲から逸脱することなく、ここに記載する発明の実施形態に対して多数の変形及び置換がなされ得ることが当業者には明らかである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4