【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 試験日:平成28年8月13日 試験場所:日産スタジアム(神奈川県横浜市港北区小机町3300) 試験を行った公演名:桃神祭2016〜鬼ヶ島〜
【文献】
奥村 明俊 他,ノンストップ顔認証システムによる大規模イベントのチケット本人確認の性能改善,情報処理学会 研究報告 コンシューマ・デバイス&システム(CDS) 2017−CDS−019 [online],日本,情報処理学会,2017年 5月18日,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、イベント会場等において来場者の認証を行う場合、以下のような方法が考えられる。すなわち、来場者に対して事前にチケットが送付され、来場者は当該チケットを携帯して来場する。そして、来場者はチケットに印字されているQRコード(登録商標)等の識別情報を会場の入口などに設置された受付装置(認証装置)のリーダに読み込ませる。そして、読み込まれた識別情報に予め関連付けられて認証サーバに登録されている来場者の顔画像と、イベント会場等において撮影された来場者の顔画像とを比較して照合する、という具合である。
【0005】
しかしながら、従来の顔認証システムでは、多くの場合、受付装置のQRコード等のリーダと来場者の顔を撮影するカメラ装置とが離れて設置されていた。そのため、例えば、入場資格を有する正当権原者が、自身の顔をカメラに撮影させるようにカメラに近づきつつ、その後、不正に入場しようとする者が正当権原を有する者に成り代わってQRコードリーダ等にQRコード等を読み込ませる、というようにして不正入場することが可能であった。これにより、本来は入場資格のない者が不正に入場してしまうという問題があった。
【0006】
上記のような課題に鑑み、本発明は、入場資格を有する者しか入場できない特定エリアへの入場者の顔認証処理を、より正確に行うことが可能な顔認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、認証対象者が特定エリアへの入場を許可すべき正当権原者であるかを判断するために顔認証を行うための認証装置であって、前記認証対象者を識別するための識別情報を取得する識別情報取得部と、前記認証対象者が提供する前記識別情報を前記識別情報取得部が取得するタイミングと略同一のタイミングで前記認証対象者を撮影する第1撮影部と、前記識別情報取得部において取得された前記識別情報と、前記第1撮影部において撮影された前記認証対象者の顔部分を含む画像である第1認証用画像と、を含む認証用の情報を出力する出力部と、を備え、前記識別情報取得部および前記第1撮影部は隣接して配置される、認証装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の認証装置と、認証サーバと、を含む顔認証システムであって、前記認証サーバは、前記識別情報と、前記正当権原者の顔画像データと、を関連付けて記憶する入場者情報記憶部と、前記認証装置から出力される前記識別情報に関連付けられた前記正当権原者の顔画像データを前記入場者情報記憶部から取得し、取得された前記正当権原者の顔画像データと、前記認証装置から出力される少なくとも前記第1認証用画像とを、照合する照合部と、を備える、顔認証システムである。
【0009】
本発明の一態様に係る認証装置およびこれを用いる顔認証システムによれば、入場資格を有する者しか入場できない特定エリアへの入場者の顔認証処理において、不正に入場しようとする行為を防止することができる。また、入場者自身がセルフ認証し立ち止まることを必要とせずにノンストップで顔認証することにより、よりスピーディーな顔認証処理を実現できる。
【0010】
また、本発明の他の態様は、互いに隣接して配置される識別情報取得部および第1撮影部と、出力部と、を備え、認証対象者が特定エリアへの入場を許可すべき正当権原者であるかを判断するために顔認証を行うための認証装置が実行する顔認証方法であって、前記識別情報取得部が、前記認証対象者を識別するための識別情報を取得するステップと、前記第1撮影部が、前記認証対象者が提供する前記識別情報を前記取得するタイミングと略同一のタイミングで前記認証対象者を撮影するステップと、前記出力部が、前記取得された識別情報と、前記撮影された前記認証対象者の顔部分を含む画像である第1認証用画像と、を含む認証用の情報を出力するステップと、を含む、顔認証方法である。
【0011】
また、本発明の他の態様は、上記の顔認証方法を前記認証装置に実行させるためのプログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
【0014】
(顔認証システムの構成)
図1は、本実施形態に係る顔認証システムの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る顔認証システム1は、入場についての正当な権原を有する入場者しか入場できないイベント会場等において顔認証を行うためのシステムである。正当な権原を有する者(正当権原者)とは、具体的には、例えば正規にチケットを入手した者や、正規にチケットを入手した者から正規にチケットを譲り受けた者などが該当しうる。なお、チケットは、紙ベースで発行されるものであってもよいし、入場申し込みのウェブサイトからネットワークを通じて申込者の携帯端末に配信される等するデジタルチケットであってもよい。本実施形態においては、一例としてデジタルチケットの場合について説明する。
【0015】
図1に例示の顔認証システム1は、認証装置10と、入場者が携行する携帯端末20と、入場者の認証処理を実行する認証サーバ30とを含む。
【0016】
なお、本実施形態に係る顔認証システム1においては入場者の顔認証を行うが、その前に、入場者は事前にデジタルチケットを購入する等して正当にチケットを入手するための手続きを行っていることが前提である。例えばデジタルチケットの購入手続きは主にオンラインで行われることが想定されるが、入場者は予め購入サイトにおいて、自身の顔画像と、氏名・住所・電話番号等の個人データとを入力して購入手続きを行う。購入手続きが正常に終了すると、入場者はチケット発行者から発行されるデジタルチケットをダウンロード等の方法で入手し、携帯端末20に保存しておく。そして、この携帯端末20を携帯してイベント会場等に行き、デジタルチケットを表示して認証装置10に読み込ませることで入場手続きを行う。
【0017】
以下、各装置の構成について説明する。
【0018】
(携帯端末の構成)
携帯端末20は、入場者が所持する携帯端末であって、端末記憶部202と、表示部204とを有する。
【0019】
端末記憶部202は、事前に購入する等して入手されたデジタルチケットを記憶する。ここで、本実施形態の顔認証システムで用いられるデジタルチケットは、入場者の顔画像と、入場者(もしくはチケット)を一意に識別する識別情報を含んで構成される。識別情報はどのような形態のものでもよい。例えば、文字列、バーコードのような一次元コード、QRコード等のような二次元コード等であってよい。本実施形態においては、一例としてQRコードの場合について説明する。
【0020】
表示部204は、端末記憶部202に記憶されているデジタルチケットを表示する。入場者は、表示部204にデジタルチケットを表示させて、後述する認証装置10の識別情報取得部102にQRコード(識別情報)を読み込ませる。
【0021】
(認証装置の構成)
認証装置10は、入場についての正当な権原を有する者のみが入場可能なイベント会場や空港等の特定エリアの入場口付近に設置されることが想定される装置であって、認証対象者(イベント会場の来場者等)が特定エリアへの入場を許可すべき正当権原者であるかを判断するために顔認証を行うための装置である。認証装置10は、識別情報取得部102と、第1撮影部104と、第2撮影部106と、出力部108と、発券部110と、を有する。
【0022】
識別情報取得部102は、認証対象者を識別するための識別情報を取得する。識別情報取得部102は、具体的には例えばQRコードリーダ等であり、例えば入場者が携帯端末20の表示部204にQRコード(識別情報)を含むデジタルチケットを表示させてQRコードリーダ(識別情報取得部102)にかざすことで取得される。
【0023】
第1撮影部104は、認証対象者が提供する識別情報を識別情報取得部102が取得するタイミングと略同一のタイミングで当該認証対象者を撮影する。具体的には例えば、第1撮影部104は、認証対象者がQRコードリーダ(識別情報取得部102)にQRコード(識別情報)を含むデジタルチケットをかざすタイミングと略同一のタイミングで認証対象者の顔を撮影する。「略同一のタイミング」とは、厳密に同時でなくとも、ほぼ同時であれば足りるという意味である。このようなタイミングで認証対象者の顔を撮影することにより、識別情報取得部102が識別情報を取得する時点と、認証対象者の顔を撮影する時点との間で入場者がすり替わり、入場資格の無い者が不正に入場するような事態を回避することができる。
【0024】
第2撮影部106は、認証対象者が提供する識別情報を識別情報取得部102が取得するタイミングと略同一または異なるタイミングで当該認証対象者を撮影する。具体的には例えば、第2撮影部106は、認証対象者がQRコードリーダ(識別情報取得部102)にQRコード(識別情報)を含むデジタルチケットをかざすよりも前もしくは後に、または略同一に認証対象者の顔を撮影する。例えば、第2撮影部106は、認証対象者がQRコードリーダにQRコードを読み込ませる前に、認証装置10に近づいて歩いてくるタイミング(顔をほぼまっすぐにしている状態)において認証対象者の顔を撮影する。または、例えば認証対象者がQRコードリーダにQRコードを読み込ませた後に入場口に向かって歩いていくタイミング(顔をほぼまっすぐにしている状態)で認証対象者の顔を撮影する。
【0025】
出力部108は、識別情報取得部102において取得された識別情報と、第1撮影部104において撮影された認証対象者の顔部分を含む画像である第1認証用画像とを含む認証用の情報を出力する。また、出力部108はさらに、第2撮影部106において撮影された認証対象者の顔部分を含む画像である第2認証用画像を出力してもよい。出力部108は、例えば第1撮影部104および第2撮影部106において撮影された撮影画像をそのまま出力してもよいし、認証対象者の顔部分を含む撮影画像の一部を、または顔部分のみを切り出して出力してもよい。さらに出力部108は、撮影画像に何らかの加工を加える等した画像を出力するようになっていてもよい。
【0026】
発券部110は、後述する認証サーバ30の結果出力部306から、照合部304における照合結果として照合が成功した旨のデータが出力された場合には、デジタルチケットと関連する別のチケットを発券する機能を有する。例えば、イベント会場の座席券等を発券する等となっていてよい。発券部110は、座席券等をプリントアウトするようになっていてもよいし、発券する旨の命令を座席番号等の必要な情報とともに外部の発券装置に出力する等となっていてもよい。また、紙ベースで発券するだけでなく、例えば利用者の携帯端末10に座席番号を送信する等となっていてもよい。また、座席券等をプリントアウトする場合には、少なくともプリント装置は会場の入口付近に設置する必要があるが、発券部110自体を認証装置10とは別の装置としてもよい。
【0027】
(認証サーバ)
認証サーバ30は、例えばネットワークを介して認証装置10とは異なる遠隔地に設置されるサーバである。あるいは、認証装置10の付近に認証装置10とは別体、または一体に設置されてもよい。認証サーバ30は、入場者情報記憶部302と、照合部304と、結果出力部306とを有する。
【0028】
入場者情報記憶部302は、識別情報と、入場を許可すべき正当権原者の顔画像データとを関連付けて記憶する。
図2は、入場者情報記憶部302に記憶されるデータの一例を示す。
図2においては、識別情報、入場者(申込者)の氏名、住所、電話番号、顔画像データのファイル名が、データベース形式で関連付けられている。また、
図2の「顔画像データ」欄で示されるファイル名の顔画像データも、入場者情報記憶部302に記憶される。入場者が入場申し込み時に、例えばオンラインでこれらの情報(自身の顔画像を含む)を入力すると、これらの情報が、例えば
図2に示すような形式で入場者情報記憶部302に保存される。
【0029】
ここで、正当権原者とは、正規に入場の申し込み(有償・無償)を行い、入場を許可された者である。しかしながら、例えば、イベント等のチケット入手者と、実際にイベント等に行く者が異なる場合もある。しかしながら、正当な手段によりチケット入手の代行が行われたり、正当な手段によりチケットの譲渡が行われた場合には、チケットを入手した者は「正当権原者」である。このような場合には、チケットの入手の後に、入場者の変更手続き等によって、新たな入場者の顔画像データおよび入場者の住所等の情報をチケット発行者に通知することができるようになっていてもよい。チケット発行者は、入場者の変更手続き等が行われた場合には、入場者情報記憶部302の内容を書き換える。
【0030】
照合部304は、認証装置10から出力される識別情報に関連付けられた正当権原者の顔画像データを入場者情報記憶部302から取得し、取得された正当権原者の顔画像データと、認証装置10から出力される少なくとも第1認証用画像とを照合する。さらに照合部は、取得された正当権原者の顔画像データと、認証装置10から出力される第2認証用画像も照合するようになっていてもよい。
【0031】
具体的には、照合部304は例えば、認証装置10から出力された識別情報をキーとして入場者情報記憶部302を検索し、当該識別情報と関連付けられている入場者の顔画像データを抽出する。そして、抽出された顔画像データと、認証装置10から出力された第1認証用画像(および第2認証用画像)とを照合する。なお、これらの画像データの照合は、従来技術を用いて実行可能である。また、両者の一致または不一致の決定は、例えば、ある閾値を設けて、両者の一致率が当該閾値以上である場合に“一致”という照合結果とする、等となっていてもよい。第1認証用画像と第2認証用画像とは、上述したように、第1撮影部104と第2撮影部106とが撮影した撮影画像に基づくものであるが、それぞれ異なる配置位置で撮影されたものであるので、例えば第1認証用画像の品質が低いために第1認証用画像を用いた顔認証が困難である場合であっても、第2認証用画像で顔認証を実行しうる。また、第1認証用画像および第2認証用画像の両方を入場者情報記憶部302の顔画像データと照合することで、より高精度に顔認証を行うようになっていてもよい。
【0032】
結果出力部306は、照合部304における照合結果を出力する。照合部304における照合結果が不成功(顔が一致しない)であるとの結果であった場合には、例えば認証装置10にその旨を示す結果データを送信する。認証装置10は不成功の結果データを受信すると、例えばディスプレイ(図示しない)に顔画像が一致しない旨のメッセージを表示するようになっていてもよい。また、認証サーバ30がイベント会場等の入口に設置されている場合には、認証サーバ30が備えるディスプレイ(図示しない)に照合結果が表示されるようになっていてもよい。また、例えば、会場入口の係員用のコンピュータ(スマートフォン等の携帯端末を含む)に照合結果が表示されるようになっていてもよい。そして、係員は照合結果が不成功であった場合には、認証サーバ30に保存されている正当権原者の顔画像を係員用のコンピュータに表示し、実際に来場した認証対象者の顔とを目視で比較することが可能になっていてもよい。この時、例えば係員用のコンピュータに、照合結果とともに認証サーバ30に保存されている正当権原者の顔画像データが送信されるようになっていてもよいし、あらかじめ、係員用コンピュータに認証サーバ30に記憶されている正当権原者の顔画像データのコピーが保存されていてもよい。
【0033】
なお、前述したように、認証装置10と認証サーバ30とは一体的に(例えば一つの装置として)構成されていてもよい。この場合、上述した認証装置10の発券部110(と同様の機能)が、認証サーバ30に備えられていてもよい。
【0034】
(ハードウェア構成)
上記説明した各装置は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現可能である。
図3は、各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示されるコンピュータ装置4は、一例として、プロセッサ41と、RAM42と、ROM43と、内蔵のハードディスク装置44と、外付けハードディスク装置、CD、DVD、USBメモリ、メモリスティック、SDカード等のリムーバブルメモリ45と、他のコンピュータ装置と通信する通信インタフェース46と、ユーザがデータのやり取りを行うための入出力ユーザインタフェース47(ディスプレイ、タッチパネル、キーボード、マウス、スピーカ、ランプ等)とを備える。また、認証装置10は、これらの構成に加えて2つのカメラ(第1撮影部104および第2撮影部106)およびQRコードリーダ(識別情報取得部102)を有する。本実施形態に係る各装置の各構成の機能は、例えば、プロセッサ41が、ハードディスク装置44やROM43、リムーバブルメモリ45等にあらかじめ格納されたプログラムをRAM42等のメモリに読み出して実行することで実現可能である。なお、
図4に示されるハードウェア構成はあくまで一例であって、これに限定されるものではない。
【0035】
(処理シーケンス)
図4は、本実施形態に係る顔認証システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【0036】
まず、例えば、認証装置10(または別の装置)が、認証対象者が認証装置10の第2撮影部106の撮影方向において予め定められた範囲以内に近づいてきたことを検出すると、第2撮影部106は認証対象者を撮影する(ステップS100)。
【0037】
その後、認証対象者の操作に応じて、携帯端末20の表示部204は、QRコード(識別情報)を含むデジタルチケットを表示する(ステップS102)。そして、利用者はデジタルチケットが表示されている携帯端末20の表示部204を認証装置10のQRコードリーダ(識別情報取得部102)にかざすと(ステップS104)、QRコードリーダは、QRコード(識別情報)を読み取る。これと略同時に第1撮影部104は認証対象者を撮影する(ステップS106)。QRコードの読み取りが正常に行われなかった場合には(ステップS108:No)、読み込みがNGである旨を出力する(ステップS110)。当該出力は、例えば、認証装置10のディスプレイにメッセージを表示する、音声によって出力する、ランプの点灯/点滅等によって示す、等、様々な方法で行われてよい。そして、ステップS104、S106を経て、QRコードの読み取りが再度行われる。
【0038】
QRコードの読み取りが正常に行われた場合には(ステップS108:Yes)、第1認証用画像、第2認証用画像、およびQRコードから取得される識別情報が認証サーバ30に出力される(ステップS112)。
【0039】
認証サーバ30が認証装置10から第1認証用画像、およびQRコードを取得すると、取得した識別情報をキーとして入場者情報記憶部302に記憶されているデータベース等を参照して、当該認証対象者の顔画像データを検索する。抽出された顔画像データと、認証装置10から取得された第1認証用画像(および第2認証用画像)とを照合する(ステップS114)。この時、まず第1認証用画像を照合して認証が不成功であった場合に第2の認証用画像を照合してもよい。
【0040】
認証サーバ30は、照合の結果を認証装置10へ送信する(ステップS116)。認証装置10において、照合が不成功との結果であった場合には(ステップS118:No)、例えば警報音が鳴る、光が点滅する、等して、付近の係員に通知するようになっていてもよい(ステップS120)。また、照合結果は、当該係員が携帯する携帯端末等に送信されるようになっていてもよい。照合が成功との結果であった場合には(ステップS118:Yes)、正常終了処理(例えば、発券部110において座席券の発券処理を行う、認証装置10付近の係員が照合成功を確認できるようにランプが点灯する等。もしくは何も実行しなくてもよい。)を実行して終了する(ステップS122)(認証対象者はイベント会場等に入場することができる)。
【0041】
なお、
図4のシーケンス図においてはステップS100において第2撮影部106が認証対象者を撮影するようになっているが、第2撮影部106による撮影は、ステップS108においてQRコードの読み取りが正常に行われた後に(ステップS108:Yes)、実行されるようになっていてもよい。
【0042】
(認証装置の構造)
上述したように、本実施形態に係る認証装置10は、少なくとも識別情報取得部102と第1撮影部104とを近接して配置し、識別情報取得部102が識別情報をデジタルチケット等から取得するタイミングと認証対象者の顔を撮影するタイミングとが略同時となるようにすることで、これらの処理の間に、入場の権原を有する者に成り代わって別の者が不正入場しようとすることを回避することができる。
【0043】
さらに、本願発明の発明者は、第1撮影部104および第2撮影部106が、より高品質な顔画像を取得するための配置について、以下の通り検討した。
【0044】
図5は、本実施形態に係る認証装置の外観図の一例を示す図である。本実施形態の認証装置10は、QRコードリーダ602(602a、602b:識別情報取得部102に該当)と、第1カメラ604(604a、604b:第1撮影部104に該当)と、第2カメラ606(606a、606b:第2撮影部106に該当)とを備える。
【0045】
本実施形態の認証装置10は、例えばイベント会場等の特定エリアの入口等に設置されることが想定される。来場者は、特定エリアに入場しようとする際、まずは特定エリアへの入口に設置された認証装置10に向かって歩いて行く。この時、例えば、認証装置10(または別の装置)が、認証対象者が認証装置10の第2カメラ606の撮影方向において予め定められた範囲以内に近づいてきたことを検出すると、第2カメラ606は認証対象者を撮影する。
【0046】
その後、認証対象者は事前に送信されたデジタルチケットのQRコード(識別情報)が付されているチケットをQRコードリーダ602にかざして読み込ませるが、これと略同時に、第1カメラ604は来場者の顔部分を撮影する。その後、来場者は特定エリアへの入口に向かって歩いて行くが、その際に第1カメラ604から第2カメラ606の方に向かって載置台610に沿って認証装置10の側方を通過して行く形となるように認証装置10は設置される。なお、第2カメラ606は、例えば、認証対象者がQRコードをQRコードリーダ602にかざすのと略同一のタイミングで認証対象者の顔部分を撮影するようになっていてもよいし、認証対象者がQRコードをQRコードリーダ602に読み込ませた後に認証装置10の側方を通過していくタイミングで、認証対象者の顔部分を撮影するようになっていてもよい。
【0047】
また、
図5に例示される認証装置10は、QRコードリーダ602、第1カメラ604、および第2カメラ606を、それぞれ2つずつ備えている。これは、来場者が右利きであるか左利きであるかによってチケットをQRコードリーダ602にかざす際の顔の位置が変わるため、QRコードリーダ602aは右利きの来場者が利用し、QRコードリーダ602bは左利きの来場者が利用することを想定している。ただし、これに限定されるものではなく、QRコードリーダ602aを左利きの来場者が利用し、QRコードリーダ602bを右利きの来場者が利用してもよいし、QRコードリーダ602、第1カメラ604、および第2カメラ606が、それぞれ1つずつ備えられていてもよい。
【0048】
このように、本実施形態の認証装置10は、来場者がQRコードをQRコードリーダ602に読み込ませるのと略同一のタイミングにて第1カメラ604が来場者の顔部分を撮影することで、識別情報をQRコードリーダ602に読み込ませた来場者本人の顔を確実に撮影することができる。
【0049】
ここで、本願発明の発明者は、上述のようなタイミングにて来場者の顔をより高い品質で撮影するために、試行を繰り返し、QRコードリーダ602、第1カメラ604、および第2カメラ606の配置を決定した。以下、詳述する。
【0050】
まず、
図6は、認証装置10の各部と来場者(認証対象者)との位置関係を示す図である。来場者50は、QRコードが付されたデジタルチケットを携帯端末20に表示させて認証装置10のQRコードリーダ602にかざす。この時、来場者の目線はデジタルチケット(QRコードリーダ602)のほうに向いているのが通常であり、来場者の顔54は下方を向いていることが想定される。第1カメラ604は、下方を向いている来場者の顔54を下から見上げて撮影するような角度で設置されている。このような状況を想定すると、以下のような関係式が成り立つ:
第1カメラ604が設置される高さ≒QRコードリーダ602が設置される高さ+来場者の手の長さ+来場者の肩から目までの長さ
【0051】
以上のような条件で、本願発明の発明者が試行を繰り返した。表1は、各試行に関するデータを示す表である。
【0053】
ここで、表1において、QRコードリーダ602、第1カメラ604、第2カメラ606の各値は、地面からの高さを意味している。表1の結果に基づき、適切なQRコードリーダ602、第1カメラ604、および第2カメラ606の位置関係を、以下のように見出した。
【0055】
なお、上記の表において第1カメラ604および第2カメラ606の「方位角」は、認証装置10の前方から後方の方向を基準として、通路に向かってどれだけの角度を有するかを示す。また、第1カメラ604および第2カメラ606の仰角および方位角は、来場者の顔部分を撮影可能な方向によって決まるため、常識的な角度で決定されうる。また、QRコードリーダ602は、載置台前面からほぼ0〜100mmのところに設置される。
図7(a)および
図7(b)は、それぞれ、
図5に示された認証装置10の平面図および側面図の一例であり、上記の表に示された各寸法を図示している。
【0056】
なお、本実施形態に係る顔認証システムは、上述したように、主には、QRコードリーダ602にQRコードを読み込ませるのと略同時に第1カメラ604が認証対象者を撮影することで不正入場を防止するものである。よって、第1カメラ604および第2カメラ606の性能や機種等の条件によっては左右されない。
【0057】
本実施形態に係る認証装置およびこれを用いる顔認証システムによれば、入場資格を有する者しか入場できない特定エリアへの入場者の顔認証処理において、不正に入場しようとする行為を防止することができる。また、入場者自身がセルフ認証し立ち止まらずに顔認証することにより、よりスピーディーな顔認証処理を実現できる。
【0058】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0059】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。