(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図12は、特許文献1で開示された従来のコンクリートブロックの布設方法の概略工程図である。
【0003】
図12の(1)を参照して、まず基礎砕石61の上に法面基礎ブロック62を設置した後に、法面63に下地64を造成して基礎工事を行う。次に、現場付近に搬入された長方形平板形状を有する複数のコンクリートブロックのうち1つのコンクリートブロック71aを図示しないクレーン等によってワイヤ65を介して吊り上げ、下地64の表面に沿った所定位置に仮配置する。
【0004】
図12の(2)を参照して、ここで仮配置されたコンクリートブロック71aの下面の四隅と下地64との間に、4つの手動式の油圧ジャッキ66a、66bを配置する。コンクリートブロック71aが油圧ジャッキ66a、66bによって支持された後、ワイヤ65をコンクリートブロック71aから取外す。そして、4つの油圧ジャッキ66a、66bを用いて、コンクリートブロック71aの高さ及び傾き等の微調整を行う。
【0005】
次に、各油圧ジャッキ66a、66bの近辺でコンクリートブロック71aと下地64との間に、4つの高さ調整の可能なスペーサ67a、67bを配置し、これらを高くすることによってコンクリートブロック71aの重量の一部をスペーサ67a、67bによって仮受けする。その後に、各油圧ジャッキ66a、66bを緩め、コンクリートブロック71aと下地64との間から油圧ジャッキ66a、66bを取除く。よって、コンクリートブロック71aは、スペーサ67a、67bによって支持された状態となる。
【0006】
図12の(3)を参照して、前述のように配置されたコンクリートブロック71aに対して法面上方向に隣接するコンクリートブロック71bについても、先に示した工程を同様に実施することで配置する。
図12の(4)を参照して、コンクリートブロック71a及びコンクリートブロック71bと、下地64との間のそれぞれの空間73a及び73bに生コンクリート68を流し込んで養生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来のコンクリートブロックの布設方法
は、2以上のコンクリートブロックが法長方向に連設される構造体(以下「コンクリートブロック構造体」という)としては、コンクリートブロック同士が接する側面は平面であった。そのため、コンクリートブロックを連続して布設する際には、その上面を平坦にするために個々のコンクリートの高さや傾きを油圧ジャッキ等を用いて調整する必要があり、設置に時間がかかってしまっていた。又、4つの油圧ジャッキ66又は4つのスペーサ67でコンクリートブロック71を支持する際、これらはコンクリートブロック71とは固定設置されていないので、外れる虞があった。そのため、作業者が腕や足をコンクリートブロック71と下地64との間に挟み込んでしまう虞があった。
【0009】
そこで、特許文献2に示されているように、次に示す他の
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法が提案されている。
【0010】
ここでは、まず
コンクリートブロック構造体におけるコンクリートブロックの形状の説明をしてから、このコンクリートブロックを用いたコンクリートブロックの布設方法について示す。
【0011】
図13は従来の他の
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法で使用するコンクリートブロックの底面図であり、
図14は
図13で示したXIV−XIVラインから見た拡大図である。
【0012】
これらの図を参照して、コンクリートブロック81は、長方形平板形状を有し、その底面には8個のU型鉄筋構造体82a〜82hが規則正しく2列で突設配置されている。
図14を参照して、コンクリートブロック81の側面には、後述するフック部材86が螺合するインサート84は、U型鉄筋構造体82f、82hの突設された方向と垂直に形成されている。
【0013】
次に、コンクリートブロックの布設方法について説明する。
【0014】
図15は、
図13で示した
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法の概略工程図であって、
図12に対応した図である。
【0015】
尚、このコンクリートブロックの布設方法にあっては、
図12で示した先の従来のコンクリートブロックの布設方法における設置環境と同一であるので、その相違点を中心に説明する。
【0016】
図15の(1)を参照して、コンクリートブロック81aの図示しないインサート84に螺合したフック部材86と、ブロック保持具87の係合孔90とはワイヤ89でつながっている。ブロック保持具87の棒状部88は、コンクリートブロック81aのU型鉄筋構造体82a、82bに挿通している。コンクリートブロック81aをブロック保持具87によって、このように保持し、図示しないクレーン等によってワイヤ85を介して吊り上げて仮配置する。
【0017】
コンクリートブロック81aの底面には、U型鉄筋構造体82a、82bが突設配置されているので、油圧ジャッキ66a、66b又はスペーサ67a、67bでコンクリートブロック81aを支持する際に、これらが外れてしまっても、U型鉄筋構造体82a、82bがコンクリートブロック81aを支持することになる。そのため、コンクリートブロック81aの下面と下地64の上面との間に空間が形成されるので、コンクリートブロック81aの布設時における安全性が向上する。
【0018】
しかしながら、上述のコンクリートブロックの布設方法
によって用いられるコンクリートブロック構造体は、コンクリートブロックのコストがかかると共に、先の従来のコンクリートブロックの布設方法
によって用いられるコンクリートブロック構造体と同様に、
コンクリートブロック同士が接する側面は平面であるため、コンクリートブロックを連続して布設する際には、その上面を平坦にするために個々のコンクリートの高さや傾きを油圧ジャッキ等を用いて調整する必要があり、設置に時間がかかってしまっていた。
【0019】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、
堤防法面にコンクリートブロックを複数布設する際に連結が容易となり、効率的な設置が可能なコンクリートブロック構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、堤防法面に法長方向に2以上連続して布設されるコンクリートブロック構造体であって、上面、下面及び4つの側面よりなるほぼ長方形平板形状の第1法面コンクリートブロックと、上面、下面及び4つの側面よりなるほぼ長方形平板形状の第2法面コンクリートブロックとを備え、第1法面コンクリートブロックは、各側面の内、堤防法面への設置時において法面上方に位置する上方側面の下方には、法面上方に突出する下方突出部を有し、第2法面コンクリートブロックは、各側面の内、堤防法面への設置時において法面下方に位置する下方側面の上方には、法面下方に突出する上方突出部を有し、下方突出部の上面と上方突出部の下面とは、互いに当接可能な形状に形成されると共に、当接状態において第1法面コンクリートブロックの上面と第2法面コンクリートブロックの上面とが整列
し、第1法面コンクリートブロックと第2法面コンクリートブロックの平面視における連結幅は同一に設定され、第1法面コンクリートブロックの下方突出部は、平面視台形形状であると共に、中央位置と端部付近位置とに間隔をあけて3箇所形成され、中央位置にある下方突出部の幅は、端部付近位置にある下方突出部の各々の幅の約3倍の大きさを有し、第2法面コンクリートブロックの上方突出部は、平面視矩形形状であると共に、全幅に連続的に形成され、第1法面コンクリートブロックの下方側面側の下面には、幅方向中央に1個の高さ調整具が螺合されると共に、第1法面コンクリートブロックの上方側面側の下面の上方両端付近には、2個の高さ調整具が螺合され、第2法面コンクリートブロックの上方側面側の下面の上方両端付近には、2個の高さ調整具が螺合されるものである。
【0021】
このように構成すると、第1法面コンクリートブロックに第2法面コンクリートブロックを連結する際の高さや傾きが定め易くなる。
又、下方突出部のコンクリート容量を少なくでき、法面上方側の法面コンクリートブロックを連結幅方向に分割することも可能となる。更に、
第2法面コンクリートブロックの設置高さを、第1法面コンクリートブロックとの当接位置を基準に設定できる。更に、第1法面コンクリートブロックは、3個の高さ調整具で支持される。更に、第2法面コンクリートブロックは、上方突出部と2個の高さ調整具で設置される。
【0022】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明の構成において、第1法面コンクリートブロックの上方側面の高さと、第2法面コンクリートブロックの下方側面の高さとは同一であり、第1法面コンクリートブロックの上面から下方突出部までの高さと、第2法面コンクリートブロックの上方突出部の高さとは同一に設定され、下方突出部の突出幅は、上方突出部の突出幅よりも小さく設定され、下方突出部の高さは、第2法面コンクリートブロックの下面から上方突出部までの高さよりも小さく設定されるものである。
【0023】
このように構成すると、
下方突出部の上面の傾斜は、上方突出部の下面の傾斜よりも大きくなる。
【0028】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項
2記載の発明の構成において、第2法面コンクリートブロックの上方側面側の形状が、第1法面コンクリートブロックの上方側面の形状と同一であるものである。
【0029】
このように構成すると、
第2法面コンクリートブロックの上方側面に、第2法面コンクリートブロックの下方側面と同一形状の下方側面を少なくとも有する法面コンクリートブロックを更に連結できる。
【0030】
【0031】
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1法面コンクリートブロックに第2法面コンクリートブロックを連結する際の高さや傾きが定め易くなるため、第1法面コンクリートブロックと第2法面コンクリートブロックとの当接状態の調整が容易となる。
又、下方突出部のコンクリート容量を少なくでき、法面上方側の法面コンクリートブロックを連結幅方向に分割することも可能となるため、軽量化により扱い勝手が向上する。更に、第2法面コンクリートブロックの設置高さを、第1法面コンクリートブロックとの当接位置を基準に設定できるため、第2法面コンクリートブロックの設置調整が容易となる。更に、第1法面コンクリートブロックは、3個の高さ調整具で支持されるので、設置状態が安定すると共に、端部付近位置にある下方突出部の各々が設置時に補強される。更に、第2法面コンクリートブロックは、上方突出部と2個の高さ調整具で設置されるので、効率的な設置が可能になる。
【0033】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明の効果に加えて、下方突出部の上面の傾斜は、上方突出部の下面の傾斜よりも大きくなるため、第1法面コンクリートブロックと第2法面コンクリートブロックとの当接状態の調整代が拡がり、連結が更に容易となる。
【0036】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項
2記載の発明の効果に加えて、第2法面コンクリートブロックの上方側面に、第2法面コンクリートブロックの下方側面と同一形状の下方側面を少なくとも有する法面コンクリートブロックを更に連結できるため、法面コンクリートブロックを効率よく上方に連続的に連結することが可能となる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】この発明の第1の実施の形態によるコンクリートブロック
構造体で使用する第1法面コンクリートブロックの平面図である。
【
図2】
図1で示した第1法面コンクリートブロックの底面図である。
【
図3】
図1で示した第1法面コンクリートブロックの右側面図である。
【
図4】
図3で示した“X”部分の拡大断面図であって、高さ調整具の概略構成図である。
【
図5】
図3で示した“Y”部分の拡大断面図であって、水平調整具の概略構成図である。
【
図6】この発明の第1の実施の形態によるコンクリートブロック
構造体で使用する第2法面コンクリートブロックの底面図であって、
図2に対応した図である。
【
図7】
図6で示した第2法面コンクリートブロックの右側面図であって、
図3に対応した図である。
【
図8】この発明の第1の実施の形態による
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法の概略工程図の一部である。
【
図9】
図8で示した概略工程図に続くコンクリートブロックの布設方法の概略工程図の他の一部である。
【
図10】
図9で示した“Z”部分の概略拡大模式図であって、第1法面コンクリートブロックと第2法面コンクリートブロックの当接する部分を示す概略模式図である。
【
図11】
図9で示したXI−XIラインから見た概略図である。
【
図12】特許文献1で開示された従来の
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法の概略工程図である。
【
図13】特許文献2で開示された従来の他の
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法で使用するコンクリートブロックの底面図である。
【
図14】
図13で示したXIV−XIVラインから見た拡大図である。
【
図15】
図13で示した
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法の概略工程図であって、
図12に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1はこの発明の第1の実施の形態によるコンクリートブロック
構造体で使用する第1法面コンクリートブロックの平面図であり、
図2は
図1で示した第1法面コンクリートブロックの底面図であり、
図3は
図1で示した第1法面コンクリートブロックの右側面図である。尚、第1法面コンクリートブロックを用いたコンクリートブロックの布設方法については後述する。
【0040】
これらの図を参照して、第1法面コンクリートブロック11は、上面、下面及び4つの側面よりなるほぼ長方形平板形状を有し、その下面の下方中央と、下面の上方両端付近とには3個の高さ調整具21a〜21cが第1法面コンクリートブロック11に螺合して設置されている。高さ調整具21a〜21cの詳細については後述する。
【0041】
第1法面コンクリートブロック11の上面には、その四隅付近に後述するフック部材が螺合するインサート24a〜24dが埋設されている。第1法面コンクリートブロック11の下方側面には、左右対称位置に水平調整具22a及び22bが第1法面コンクリートブロック11に螺合して設置されている。水平調整具22a及び22bの詳細については後述する。第1法面コンクリートブロック11の下方側面と対向位置にある上方側面の下方には、上方に突出した平面視台形形状の下方突出部26a〜26cが間隔をあけて3箇所形成されており、上方側面の中央位置にある下方突出部26bの幅は、上方側面の端部付近位置にある下方突出部26a及び26cの幅の約3倍の大きさである。このような幅サイズにした効果については後述する。
【0042】
ここで、高さ調整具21の詳細について説明する。
【0043】
図4は、
図3で示した“X”部分の拡大断面図であって、高さ調整具の概略構成図である。
【0044】
図を参照して、高さ調整具21は、ターンバックル式ナット33を中心として構成されており、ターンバックル式ナット33の上方からは全ネジボルト32がねじ込まれており、ターンバックル式ナット33の下方からは全ネジボルト32とは反対方向のねじ山が切られた平頭ボルト34がねじ込まれている。又、全ネジボルト32は、第1法面コンクリートブロックの下面に埋設されたインサート31に、ターンバックル式ナット33とは反対位置で、ねじ込まれている。このように高さ調整具21が構成されているので、ターンバックル式ナット33をスパナ等によりいずれかの一方方向に回転させることで、平頭ボルト34の下方端と第1法面コンクリートブロック11の下面との距離Hが増減し、第1法面コンクリートブロック11は
図4で示した上下矢印方向に高さ調整されることになる。
【0045】
次に、水平調整具22の詳細について説明する。
【0046】
図5は、
図3で示した“Y”部分の拡大断面図であって、水平調整具の概略構成図である。
【0047】
尚、水平調整具22は、
図4で示した高さ調整具21における全ネジボルト32をネジボルト37に置き換えたものである。ネジボルト37は、丸棒形状を有し、両端部にねじ山が切られたものである。水平調整具22は、高さ調整具21の構成においてネジボルト37以外は同一であるため、ここではターンバックル式ナット38の説明は繰り返さない。
【0048】
図を参照して、ターンバックル式ナット38を回転させることで、平頭ボルト39の左方端と第1法面コンクリートブロック11の下方側面との距離Lが増減し、図示した左右矢印方向に水平距離が調整されることになる。
【0049】
図6はこの発明の第1の実施の形態によるコンクリートブロック
構造体で使用する第2法面コンクリートブロックの底面図であって、
図2に対応した図であり、
図7は
図6で示した第2法面コンクリートブロックの右側面図であって、
図3に対応した図である。
【0050】
尚、第2法面コンクリートブロック12は、
図1で示した第1法面コンクリートブロックの構成と同一部分が多いので、相違点を中心に説明する。
【0051】
これらの図を参照して、第2法面コンクリートブロック12の下面の上方両端付近に、2個の高さ調整具29a及び29bが第2法面コンクリートブロック12に螺合して設置されている。第2法面コンクリートブロック12の下面の下方中央には、高さ調整具が設置されていない。第2法面コンクリートブロック12の下方側面の上方には、下方に突出した平面視矩形形状の上方突出部28が全幅に連続的に形成されている。
【0052】
次に、前述した第1法面コンクリートブロック11及び第2法面コンクリートブロック12を用いた堤防法面におけるコンクリートブロックの布設方法について説明する。
【0053】
図8はこの発明の第1の実施の形態による
コンクリートブロック構造体を用いたコンクリートブロックの布設方法の概略工程図の一部であり、
図9は
図8で示した概略工程図に続くコンクリートブロックの布設方法の概略工程図の他の一部である。
【0054】
図8の(1)を参照して、まず基礎砕石61の上に形成した法面基礎ブロック62から法面63にかけて、均しコンクリート69を打設する。
【0055】
図8の(2)を参照して、第1法面コンクリートブロック11の図示しないインサート24a及び24bにそれぞれ螺合させたフック部材25a及び25bに、ワイヤ65を通して、ワイヤ65につながった図示しないクレーンにより、第1法面コンクリートブロック11を吊り上げる。そして、第1法面コンクリートブロック11の高さ調整具21a、21b及び21c(図示せず)が均しコンクリート69の上に当接し、又、第1法面コンクリートブロック11の水平調整具22a及び22b(図示せず)が法面基礎ブロック62に当接するように、第1法面コンクリートブロック11を載置する。高さ調整具21a、21b及び21c(図示せず)は、第1法面コンクリートブロック11の下面に螺合して設置されているため、作業者が腕や足を第1法面コンクリートブロック11と均しコンクリート69との間に挟み込んでしまうことはなくなり、安全に作業ができるようになる。又、載置時の第1法面コンクリートブロック11の下方側面と法面基礎ブロック62との間に水平調整具22a及び22b(図示せず)が位置することになるため、第1法面コンクリートブロック11に対して法面基礎ブロック62との法面方向の一定距離を確保することができる。
【0056】
ここで、載置された第1法面コンクリートブロック11の水平調整具22a及び22b(図示せず)をスパナ等で調整し、法面基礎ブロック62と第1法面コンクリートブロック11との間に所定の水平空間19を保持する。これにより、第1法面コンクリートブロック11の法面方向の位置を調整できるため、第1法面コンクリートブロック11の設置が容易となる。尚、水平調整具22a及び22b(図示せず)は、予め長めに設定しておき、載置後に短くする方が調整しやすい。
【0057】
又、載置された第1法面コンクリートブロック11の高さ調整具21a、21b及び21c(図示せず)をスパナ等で調整し、第1法面コンクリートブロック11の下面と均しコンクリート69の上面との間に第1の所定の空間16を保持する。よって、載置時の第1法面コンクリートブロック11の下面に高さ調整具21a、21b及び21c(図示せず)が螺合するために、効率的な高さ設定が可能となる。尚、高さ調整具21a、21b及び21c(図示せず)は、予め長めに設定しておき、載置後に短くする方が調整しやすい。
【0058】
図8の(3)を参照して、第1法面コンクリートブロック11の下方側面と法面基礎ブロック62との間の上方から生コンクリート68を所定の水平空間19に流し込み、硬化させる。これによって、第1法面コンクリートブロック11の法面方向の位置が固定される。
【0059】
図9の(1)を参照して、第1法面コンクリートブロック11の下面の上方端と均しコンクリート69との間の法面上方から生コンクリート68を第1の所定の空間16に流し込み、硬化させる。これによって、第1法面コンクリートブロック11の均しコンクリート69に対する位置が固定される。
【0060】
図9の(2)を参照して、第1法面コンクリートブロック11の上方側面に形成された下方突出部26aの上に、第2法面コンクリートブロック12の下方側面に形成された上方突出部28が設置されるようにして、又、高さ調整具29a及び29b(図示せず)が均しコンクリート69の上面に当接するように、ワイヤ65で吊り上げた第2法面コンクリートブロック12を載置する。
【0061】
ここで、載置された第2法面コンクリートブロック12の高さ調整具29a及び29b(図示せず)を調整し、第2法面コンクリートブロック12の下面と均しコンクリート69の上面との間に第2の所定の空間17を保持する。よって、第2法面コンクリートブロック12は、第1法面コンクリートブロック11を介して2個の高さ調整具29a及び29b(図示せず)で支持されるため、第2法面コンクリートブロック12は効率的な設置構成となる。
【0062】
図9の(3)を参照して、第2法面コンクリートブロック12の下面の上方端と均しコンクリート69との間の法面上方から生コンクリート68を第2の所定の空間17に流し込み、硬化させる。これによって、第2法面コンクリートブロック12の均しコンクリート69に対する位置が固定される。
【0063】
更に、第2法面コンクリートブロック12に対して、法面上方向に更に隣接する図示しないコンクリートブロックについても、
図9の(2)から(3)で示した第2法面コンクリートブロック12の工程を同様に繰り返すことで、法面の工事領域の全部にコンクリートブロックの布設が完了する。従って、法面の長さに応じて配置される法面コンクリートブロックのいずれも載置された一部を基準に位置調整が行われるため、法面の長さに関わらず、効率的な法面コンクリートブロックの布設が容易となる。
【0064】
次に、第1法面コンクリートブロック11と第2法面コンクリートブロック12との当接部分について説明する。
【0065】
図10は、
図9で示した“Z”部分の概略拡大模式図であって、第1法面コンクリートブロックと第2法面コンクリートブロックの当接する部分を示す概略模式図である。
【0066】
図を参照して、第1法面コンクリートブロック11の側面高さと、第2法面コンクリートブロック12の側面高さとは、同じ高さH
aである。又、第1法面コンクリートブロック11の上面から下方突出部26までの高さと、第2法面コンクリートブロック12の上方突出部28の高さとは、同じ高さH
1である。下方突出部26の横幅L
1は、上方突出部28の横幅L
2よりも小さい。下方突出部26の高さH
2は、第2法面コンクリートブロック12の下面から上方突出部28までの高さH
3よりも小さい。よって、下方突出部26の傾斜θ
1は、上方突出部28の傾斜θ
2よりも大きくなっている。これにより第1法面コンクリートブロック11と第2法面コンクリートブロック12との当接状態の調整をしやすくしている。
【0067】
図11は、
図9で示したXI−XIラインから見た概略図である。
【0068】
図11の(1)を参照して、破線で示した第2法面コンクリートブロック12の上方突出部28は、破線で示した第1法面コンクリートブロック11の下方突出部26a〜26cの上に当接して設置されている。
【0069】
図11の(2)を参照して、
図11の(1)における第2法面コンクリートブロック12を、2つの第2法面コンクリートブロック12a及び12bに置き換えたものである。尚、第1法面コンクリートブロック11は、
図11の(1)と同一である。2つの第2法面コンクリートブロック12a及び12bを合せた横幅が、
図11の(1)の第2法面コンクリートブロック12の横幅と同じになっている。このとき、破線で示した第2法面コンクリートブロック12aの上方突出部28aは、破線で示した第1法面コンクリートブロック11の下方突出部26a及び26bの上に当接して安定して設置されている。又、破線で示した第2法面コンクリートブロック12bの上方突出部28bは、破線で示した第1法面コンクリートブロック11の下方突出部26b及び26cの上に当接して安定して設置されている。従って、間隔を開けて3箇所の下方突出部26a〜26cを形成することで、下方突出部26のコンクリート容量を少なくでき、法面上方側の法面コンクリートブロックを分割することが可能である。よって、効率的な法面コンクリートブロックの布設が可能となる。
【0070】
尚、上記の実施の形態では、第1法面コンクリートブロックには水平調整具が螺合して設置されているが、水平調整具はなくてもよい。
【0071】
又、上記の実施の形態では、第1法面コンクリートブロックの上方側面の下方には、下方突出部が形成されているが、下方突出部はなくてもよい。又は、複数形成されていてもよい。
【0072】
更に、上記の実施の形態では、第1法面コンクリートブロックの下面には、3個の高さ調整具が螺合して設置されているが、少なくとも3個あれば、複数あっても構わない。
【0073】
更に、上記の実施の形態では、第2法面コンクリートブロックが設置されているが、第2法面コンクリートブロックはなくてもよい。
【0074】
更に、上記の実施の形態では、水平調整具を調整して、第1の所定の空間を保持しているが、第1の所定の空間が保持されていれば水平調整具を調整しなくてもよい。
【0075】
更に、上記の実施の形態では、第2法面コンクリートブロックの下方側面の上方に上方突出部が形成されているが、第2法面コンクリートブロックの下方側面の一部が第1法面コンクリートブロックの上方側面の一部に当接するようであれば、上方突出部は形成されていなくてもよい。
【0076】
更に、上記の実施の形態では、高さ調整具及び水平調整具は、ターンバックル式ナットを用いたものであったが、第1法面コンクリートブロックに螺合して設置されたもので高さ調整や水平調整ができるものであれば、例えば単なるボルトを用いてもよい。