特許第6409087号(P6409087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409087
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】多重管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 39/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   F16L39/00
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-73936(P2017-73936)
(22)【出願日】2017年4月3日
(62)【分割の表示】特願2013-10449(P2013-10449)の分割
【原出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2017-138003(P2017-138003A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2017年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591264382
【氏名又は名称】東栄管機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】高橋 進
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−108063(JP,U)
【文献】 実開昭59−131690(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の内管及び前記内管を管内に収容する外管を有する多重管を連結するための多重管継手であって、
前記内管とそれぞれ接着により接続される一又は複数の内管継手部と、
前記外管と接続される外管継手部と、
前記内管継手部を前記外管継手部の管内に収容された状態で支持する継手支持部と
を具備し、
前記内管継手部、前記外管継手部、及び前記継手支持部は、
樹脂により一体成形されており、
前記内管継手部のストッパー部と前記外管継手部のストッパー部とは同一面上に設けられており、
前記内管継手部の開口端が前記外管継手部の開口端よりも外方へ突出していることを特徴とする多重管継手。
【請求項2】
前記多重管継手は、
L字型、又は、T字型に形成されており、
前記継手支持部は、
前記内管継手部の中心軸により形成される面を水平にした時に、
前記内管継手部の上部外面と前記外管継手部の上部内面との間、
前記内管継手部の下部外面と前記外管継手部の下部内面との間、及び、
L字型の前記内管継手部の湾曲している外側部外面とL字型の前記外管継手部の湾曲している外側部内面との間、又は、T字型の前記内管継手部のT字の縦線の部位の開口端とは反対側の外側部外面とT字型の前記外管継手部のT字の縦線の部位の開口端とは反対側の外側部内面との間、
の少なくとも三つの部位に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の多重管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重管継手に関するものであり、特に内管及び外管を有する二重管などの多重管同士を連結するために使用される多重管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場等から排出された汚水を汚水処理施設まで移送する際に、当該汚水(流体)を配管を介して搬送するための配管設備が設置されている。ここで、配管の途中や配管同士を連結する連結箇所などで汚水が漏れ、工場内に流出する事故を未然に防止するため、例えば、一対の内管及び外管を同心円状に配置した二重管構造の配管が使用されることがある。これにより、内管を通して汚水を搬送するとともに、外管が流出を防止する保護管として機能するために、内管の一部が仮に破損した場合であっても、内管及び外管の間に設けられた空間で当該汚水の工場内への流出を防ぐことができる。特に、近年において、改正水質汚濁防止法の施行により、二重管構造の配管等を使用した法規制に沿った配管設備の設置が義務付けられることがあり、当該配管設備を設置するケースが増加している。また、化学薬品や高圧ガスなどの危険性の高い物質を流体として工場内の所望の箇所に搬送する場合にも同様に、上記のような二重管を用いた配管設備を設置することがある。さらに、近年では、遮音性や断熱性のために、係る二重管を用いた配管構造を採用することも多くなっており、その需要が増大している。また、種類の異なる複数の流体を搬送する場合には、外管内に複数の内管を備えた多重管を用いた配管設備が設置されることもある。
【0003】
配管設備を工場内に設置する場合、直線状の二重管同士を連結し、流体の搬送方向を変化させるために使用されるL字型の管継手(所謂「エルボ」)や、流体を二方向に分岐するために使用されるT字型の管継手(所謂「チーズ」)或いはY字型の管継手などの種々の形状の管継手が使用されている。そのため、二重管構造の配管を使用する場合には、これらの管継手も二重構造にする必要がある。従来は、二重管構造の管継手(二重管継手)は、管径の異なる二種類の既存の管継手を組合わせて構成されることが多かった。例えば、二重管の内管と接続する内管接続用の管継手(内管継手部)を二重管の外管と接続する外管接続用の管継手(外管継手部)の中に挿入し、内管継手部及び外管継手部の間を適宜固定することにより、二重管と連結可能な二重管継手を構成していた。
【0004】
ここで、二重管継手に接続される内管及び外管は、配管設備の構成比率の大部分を占めるため、配管設備全体のサイズ及び重量などに大きな影響を与えている。上記二重管継手の場合、内管継手部を外管継手部内に挿入して構成されるため、外管継手部の管径を大きくする必要があり、二重管継手に接続される外管も必要以上に大口径となった。その結果、配管設備全体のサイズが大きくなり、重量が重くなることがあった。特に、チーズのような複雑な形状の二重管継手を構成する場合、係る傾向が強かった。すなわち、工場内に設置される配管設備のうち、二重管継手と接続する外管が必要以上に大口径となるため、配管設備全体が大型化する傾向があり、設置場所が制限されるなど問題を生じることがあった。この問題は、外管内に多数の内管を収容して構成される多重管を連結する場合に、より顕著であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、一体成形することにより外管継手部の径を小さくするとともに、当該外管継手部に接続する外管の径を小さく抑え、多重管継手及びこれを用いた配管設備全体をそれぞれコンパクトに、且つ、軽量化することが可能な多重管継手の提供、及び、配管設備を施工する際の作業効率の向上を図ることが可能な多重管継手の提供を第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の多重管継手は、「一又は複数の内管及び前記内管を管内に収容する外管を有する多重管を連結するための多重管継手であって、前記内管とそれぞれ接着により接続される一又は複数の内管継手部と、前記外管と接続される外管継手部と、前記内管継手部を前記外管継手部の管内に収容された状態で支持する継手支持部とを具備し、前記内管継手部、前記外管継手部、及び前記継手支持部は、樹脂により一体成形されており、前記内管継手部のストッパー部と前記外管継手部のストッパー部とは同一面上に設けられており、前記内管継手部の開口端が前記外管継手部の開口端よりも外方へ突出している」ものである。また、本発明の多重管継手は、上記の構成に加えて、「前記多重管継手は、L字型、又は、T字型に形成されており、前記継手支持部は、前記内管継手部の中心軸により形成される面を水平にした時に、前記内管継手部の上部外面と前記外管継手部の上部内面との間、前記内管継手部の下部外面と前記外管継手部の下部内面との間、及び、L字型の前記内管継手部の湾曲している外側部外面とL字型の前記外管継手部の湾曲している外側部内面との間、又は、T字型の前記内管継手部のT字の縦線の部位の開口端とは反対側の外側部外面とT字型の前記外管継手部のT字の縦線の部位の開口端とは反対側の外側部内面との間、の少なくとも三つの部位に設けられている」ものである。
【0007】
多重管継手は、上述の二重管、或いは、外管に対して二つ以上の内管を有する管などの「多重管」を連結するためのものである。ここで、多重管の中には、例えば、一対の内管及び外管が同心円状に配置されたもの、外管に対して内管が偏心した位置に配置されたもの(二重管)、或いは外管の中に複数の内管を並設して配置したものなどが挙げられる。なお、多重管における「外管」が流体の外部への流出を防止する保護管として機能するものである。また、外管は、遮音用または断熱用の機能を有することもある。そして、多重管継手は、連結対象となる多重管の内管及び外管の径、各配置等に合わせてそれぞれ内管継手部及び外管継手部の径、数、及び配置などが決定される。
【0008】
ここで、内管継手部は、両端に開口端を有し、当該開口端に内管がそれぞれ接続されることにより、一対の内管を連結することができるものである。なお、接続される内管は、内管継手部に形成されたストッパー部(内管との接触端面に相当)によってそれ以上の挿込みが規制される。このとき、内管継手部の内径及び内管の外径を当接させた状態で挿込まれるもの、或いは、内管継手部の外径及び内管の内径を当接させた状態で挿込まれるものの、いずれであっても構わない。さらに、ストッパー部は、内管継手部の内径に対して管内空間を縮径した状態で形成されるもの、或いは内管継手部の外径に対して一部を拡径した状態で形成されるもののいずれであってもよく、それぞれ受口または挿口として機能するものである。これにより、一方の内管を通じて搬送された汚水等の流体を内管継手部の管内空間を通して、連結された他方の内管まで搬送することができる。このとき、内管継手部の形状に応じて、流体の搬送方向を直交方向に変化させたり、或いは、流体を二方向に分岐させたりすることが可能となる。一方、外管継手部は、内管継手部より大きな径を有し、管内に内管継手部を収容するとともに、内管継手部と略相似形状を呈している。これにより、外管継手部が多重管の外管と同様に保護管として機能する。また、内管継手部と同様に、外管継手部に接続される外管は、外管継手部の内部または外部に形成されたストッパー部(外管との接触端面に相当)によってそれ以上の挿込みが規制される。このとき、外管継手部の内径及び外管の外径を当接させた状態で挿込まれるもの、或いは、外管継手部の外径及び外管の内径を当接させた状態で挿込まれるものの、いずれであっても構わない。さらに、ストッパー部は、外管継手部の内径に対して管内空間を縮径した状態で形成されるもの、或いは外管継手部の外径に対して一部を拡径した状態で形成されるものいずれであってもよく、それぞれ受口または挿口として機能するものである。
【0009】
継手支持部とは、内管継手部の外壁及び外管継手部の内壁の間、或いは、内管継手部が複数の場合、一方の内管継手部の外壁と他方の内管継手部の内壁または外壁の間を接続することにより、外管継手部の管内に一または複数の内管継手部を収容した状態で支持するものであり、リブ状の部材などによって構成される。内管継手部、外管継手部、及び継手支持部は、例えば、射出成形などによって樹脂を用いて一体成形されている。なお、多重管継手の原料となる樹脂は、搬送する汚水等の種類、或いは化学薬品等の流体の性状に応じて、耐薬品性、強度等のその他の条件によって適宜決定され、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂を使用することができる。さらに、継手支持部は、内管継手部のストッパー部から奥(内管継手部の開口端から管内空間に向かう方向に相当)に設けられる。
【0010】
したがって、本発明の多重管継手によれば、多重管の内管及び外管とそれぞれ接続する内管継手部及び外管継手部と、内管継手部及び外管継手部を接続し支持する継手支持部とが樹脂により一体成形されている。これにより、二種類の管継手を組合わせて多重管継手を構成させた従来に比べ、多重管継手の製造を容易にすることができる。加えて、内管継手部を外管継手部の管内に挿入する必要がないため、外管継手部の内径を必要最小限に抑えることができる。その結果、多重管継手をコンパクトに、且つ軽量化することができる。さらに、係る多重管継手に接続される外管の径を小さくすることができるため、配管設備全体も同様に、コンパクトに、且つ軽量化することができる。
【0011】
ところで、内管継手部及び外管継手部を接続する継手支持部が、内管継手部のストッパー部の奥の位置に設けられても良い。これにより、多重管継手を樹脂を用いて一体成形する際に発生する所謂「ヒケ」の影響を小さくすることができ、内管継手部の開口端付近の変形を防ぐことができる。その結果、内管及び内管継手部の接続を口元において確実なものとすることができる。詳細に説明すると、「ヒケ」とは、射出成形などにおいて、高温の溶融した樹脂を金型内に射出して製品(ここでは、多重管継手)を製造する際に、金型内で冷却された製品が収縮し、設計上の形状と異なることによる不良のことである。係るヒケは製品の形状や肉厚などによって変化にバラツキがある。内管継手部のストッパー部は、多重管の内管と接続し、それ以上の挿込みを規制するために、内管の管形状に合わせて、例えば、断面真円形状の内管継手部の形状に合わせて形成されていることが多く、ストッパー部に継手支持部が設けられると、周囲との収縮率の違いによってストッパー部近傍及び開口端に繋がる内管継手部の断面真円形状が変形することがある。そこで、継手支持部をストッパー部よりも奥の位置に設けることにより、係る変形を防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の多重管継手によれば、内管継手部及び外管継手部のそれぞれのストッパー部が同一面上に設けられている。これにより、多重管継手と連結する直管のそれぞれの長さを一致させることができる。その結果、配管設備を設置する作業現場において、外管及び内管を同じ長さで切断することができ、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、多重管継手を一体成形することにより外管継手部の径を小さくするとともに、当該外管継手部に接続する外管の径を小さく抑え、多重管継手及びこれを用いた配管設備全体をそれぞれコンパクトに、且つ、軽量化することができる。さらに、配管設備を施工する際の作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態の二重管継手の(a)斜視図、及び(b)外管継手部の図示を省略した内管継手部及び継手支持部の斜視図である。
図2】第一実施形態の二重管継手の(a)水平方向に切断した断面図、及び(b)正面図である。
図3】本発明の一実施形態である第二実施形態の二重管継手の(a)斜視図、及び(b)外管継手部の図示を省略した内管継手部及び継手支持部の斜視図である。
図4】第二実施形態の実施形態の二重管継手の(a)水平方向に切断した断面図、及び(b)正面図である。
図5】別例の二重管継手の(a)斜視図、及び(b)外管継手部の図示を省略した内管継手部及び継手支持部の斜視図である。
図6図5の二重管継手の(a)水平方向に切断した断面図、及び(b)正面図である。
図7】本発明の別例の二重管継手の(a)斜視図、及び(b)外管継手部の図示を省略した内管継手部及び継手支持部の斜視図である。
図8図7の二重管継手の(a)水平方向に切断した断面図、及び(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、第一実施形態の二重管継手1(本発明の多重管継手に相当するものではない)について、図1及び図2に基づいて説明する。ここで、第一実施形態の二重管継手1は、全体が略L字型の形状を呈する所謂「エルボ」であり、管径の異なる二種類の直管から構成される二重管(配管)を連結し、内管を流れる流体の搬送方向を直交方向に変化させ、配管設備を構築するために使用される配管部品の一部である。ここで、二重管は、径の大きい直管(外管)の管内に、径の小さな直管(内管)を挿入することによって構成され、配管設備を設置する現場で構築される。なお、図2(a)及び図4(a)は二重管継手1,20を水平方向に切断した平面視の断面図を示すものである。ここで、便宜上、図2(b)及び図4(b)において、紙面上下方向を二重管継手1,20の上下とし、紙面手前方向から紙面奥行方向に向かう方向を図2(a)及び図4(a)の二重管継手1,20の水平方向と規定している。さらに、図2(b)及び図4(b)の紙面左方向を二重管継手1,20の外側方向、紙面右方向を二重管継手1,20の内側方向としてそれぞれ規定して説明を行うが、二重管継手1の使用時の方向とは無関係である(図6及び図8についても同様)。
【0016】
第一実施形態の二重管継手1は、二重管の内管と接続される略L字型の内管継手部2と、二重管の外管と接続される略L字型の外管継手部3と、内管継手部2を外管継手部3の管内空間8に収容された状態で支持する継手支持部4とを具備している。ここで、内管継手部2、外管継手部3、及び継手支持部4は、ポリ塩化ビニル樹脂を金型に射出成形することにより、一体成形されている。
【0017】
さらに具体的に説明すると、内管継手部2は、一対の円筒部材を直交方向に組合わせた外観を呈するものであり(図1(b)参照)、内管継手部2の両端のそれぞれの開口端2a,2bが互いに直交する面上に位置し、一方の開口端2aから他方の開口端2bへ円弧状に湾曲した管内空間5が内部に形成されている(図2(a)参照)。ここで、内管継手部2の開口端2a,2bはそれぞれ断面真円形状であり(図2(b)参照)、接続される二重管の内管の外径と略一致する内径を有している。さらに、管内空間5の奥側は、開口端2a,2bの径よりも僅かに縮径して形成されている。これにより、内管継手部2と接続される内管(図示しない)の端面は、当該縮径した箇所(ストッパー部2f)と当接し、それ以上の挿込みが規制される。これにより、内管継手部2の開口端2a,2bのそれぞれに二重管の内管を挿込量を一定にした状態で嵌合させ、接続することができる。
【0018】
一方、外管継手部3は、一対の円筒状の拡径部7と、拡径部7の間を接続する拡径部7より小径の外管継手部本体6とを備えるものであり、それぞれの拡径部7の開口端、すなわち、外管継手部3の開口端3a,3bが互いに直交する面上に位置し、一方の開口端3aから他方の開口端3bへ円弧状に湾曲した管内空間8が内部に形成されている(図2(a)参照)。ここで、外管継手部3の開口端3a,3bはそれぞれ断面真円形状であり(図2(b)参照)、接続される二重管の外管の外径と略一致する内径を有している。さらに、管内空間8の奥側は、上述の内管継手部2と同様に、開口端3a,3bの径よりも僅かに縮径して形成されている。これにより、外管継手部3と接続される外管(図示しない)の端面は、当該縮径した箇所(ストッパー部3g)と当接し、それ以上の挿込みが規制される。これにより、外管継手部3の開口端3a,3bのそれぞれに二重管の外管を挿込量を一定にした状態で嵌合させ、接続することができる。
【0019】
さらに、図2(a)に示すように、内管継手部2のストッパー部2fは、外管継手部3のストッパー部3gとそれぞれ異なる面上に位置し、継手支持部4は、内管継手部2のストッパー部2fより奥の位置に設けられている。また、第一実施形態の二重管継手1において、内管継手部2及び外管継手部3のそれぞれのサイズは、管継手としてJISで規格化されたものと同一のサイズにそれぞれ設定されている。
【0020】
上記構成を採用することにより、二重管の内管及び外管をそれぞれ内管継手部2及び外管継手部3に嵌合させ、接続することができる。その結果、二重管及び二重管継手1が連結され、二重管の内管を流れる流体(例えば、汚水等)の搬送方向をL字型の二重管継手1によって直交方向に変化させることができる。なお、内管及び内管継手部2の接続箇所、或いは、外管及び外管継手部3の接続箇所は、流体の漏出を防止するために、水密性または気密性の高い接着剤などを使用して強固に接着させる。
【0021】
一方、継手支持部4は、上記構成の内管継手部2を外管継手部3の管内空間8に収容させた状態で支持するためのものであり、内管継手部2及び外管継手部3の曲折形状に合わせて曲折した平板状の部材で内管継手部2の上部外面2cと外管継手部3の上部内面3cとの間を接続し内管継手部2を外管継手部3に支持させる上部支持部9と、上部支持部9と同形状に形成され内管継手部2の下部外面2dと外管継手部3の下部内面3dとの間を接続する下部支持部10と、内管継手部2の外側部外面2eと外管継手部3の外側部内面3eの間を接続する略扇型の平板状の外側部支持部11と、外管継手部3の管内空間8を湾曲形状の中央で斜め方向(開口端3a,3bに対してそれぞれ45°の方向、図2(a)参照)に閉塞し、内管継手部2を挿通させた略円板状の円板支持部12とを具備している。ここで、上部支持部9、下部支持部10、及び外側部支持部11は、正面視90°の間隔で内管継手部2のそれぞれの外面2c,2d,2eから突設されている(図2(b)参照)。
【0022】
上記構成を採用した第一実施形態の二重管継手1は、ポリ塩化ビニル樹脂を金型に射出成形することで一体成形されるため、径の異なる二種類の管継手を組み合わせて構成させた二重管継手と比べ、製造が容易である。さらに、内管継手部を外管継手部の管内空間に挿入する必要がないため、組み合わせの作業の便宜のために内管継手部2に対して外管継手部3の管径をかなり大きくする必要があった従来に比べ、二重管継手1の全体のサイズをコンパクトにするとともに、外管継手部に接続する外管の径を小さく抑え、且つ、軽量化を図ることができる。その結果、工場に配管設備を設置する場合、設置のために要するスペースを多く占有することがなく、従来は設置が困難であった場所でも設置が可能となる。また、配管設備全体の軽量化が可能となり、設置作業自体を容易にすることができる。また、外管継手に内管継手を挿入する作業を要しないため、従来は困難であった小サイズの多重管継手を製造することができる。
【0023】
加えて、継手支持部4の各構成が内管継手部2のストッパー部2fよりも管内空間5における奥側に位置して設けられている。これにより、ポリ塩化ビニル樹脂を金型に射出成形し、二重管継手1を一体成形して製造する際に生じる開口端2a,2bの近傍の収縮による変形(ヒケ)に偏りを生じさせることがない。すなわち、例えば、断面真円形状のストッパー部の近傍の内管継手部の開口端に継手支持部が近接している場合は、当該継手支持部における収縮がストッパー部の近傍の形状に影響し、真円形状が変形するおそれがある。これに対し、継手支持部4をストッパー部2fより奥に位置している本実施形態では、開口端2a,2b及びストッパー部2f近傍付近の収縮が偏ることがなく、安定した形状を保つことができる。その結果、内管及び内管継手部2を口元において隙間なく確実に嵌合させることができ、接続箇所における流体の漏れを防ぐことができる。
【0024】
さらに、第一実施形態の二重管継手1は、外管継手部3のストッパー部3gに対して、内管継手部2のストッパー部2fが異なる面上で、且つ、外管継手部3の管内空間8の奥に位置するように設計されている。係る構成は、内管継手部2及び外管継手部3をJISによって規格化された管継手と同サイズ及び同形状とした場合に製造しやすい構成である。その結果、本実施形態の二重管継手を設計する際に、既存の管継手に対応するCADデータを利用して設計することができ、設計の作業負担を低減することができる。
【0025】
次に、本発明の一実施形態である第二実施形態の二重管継手20(本発明の多重管継手に相当)について、図3及び図4に基づいて説明する。ここで、第二実施形態の二重管継手20は、第一実施形態の二重管継手1と同様にL字型の形状を有する「エルボ」であり、基本的な構成は類似している。そこで、説明を簡略化するため、同一構成については同一符号を付して詳細な説明は省略し、以下、第一実施形態の二重管継手1との相違点について、特に言及して説明を行う。
【0026】
第二実施形態の二重管継手20は、二重管の内管と接続される略L字型の内管継手部21と、二重管の外管と接続される略L字型の外管継手部3と、内管継手部21を外管継手部3の管内空間8に収容された状態で支持する継手支持部23とを具備している。ここで、内管継手部21のストッパー部21dはそれぞれ外管継手部3のストッパー部3gと同一面上に設けられている(図4(a)参照)。また、継手支持部23は、図3(b)及び図4(a)に示すように、第一実施形態における上部支持部9、下部支持部10、外側部支持部11、及び円板支持部12の構成に加え、外管継手部3の湾曲した外側中央の内面3fと内管継手部21の内側中央の外面21cとの間を接続する略矩形状の内側部支持部24とを備えている。
【0027】
すなわち、第二実施形態の二重管継手20は、第一実施形態の二重管継手1と異なり、内管継手部21のストッパー部21dが外管継手部3のストッパー部3gと同一面上に位置することを特徴としている。上記構成を採用することで、配管設備を設置する現場における設置作業の容易化が可能となる。すなわち、第二実施形態の二重管継手20を用いた場合、係る二重管継手20と連結される二重管の内管及び外管のそれぞれの長さを同じに揃えることができる。そのため、二重管の内管及び外管を規定長さに切断する際に、一種類の切断長さに限定されるため、現場において切断長さを誤るおそれが低くなり、作業性を向上させることができる。なお、第二実施形態の二重管継手20は、外管継手部3のそれぞれの開口端3a,3bから内管継手部21の開口端21a,21bが突出して形成されている。
【0028】
加えて、第二実施形態の二重管継手20は、略矩形状の内側部支持部24を有している。これにより、第一実施形態の二重管継手1と比べ、内管継手部21及び外管継手部3の接続をより安定したものとすることができる。
【0029】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0030】
例えば、第一実施形態及び第二実施形態の二重管継手1,20において、流体の搬送方向を直交方向に変化させるL字型の「エルボ」を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、その他の形状の多重管継手を構成するものであっても構わない。
【0031】
具体的に説明すると、本発明を構成するものではないが、図5及び図6に示すように、二重管の内管と接続されるT字型の内管継手部31と、二重管の外管と接続されるT字型の外管継手部32と、内管継手部31を外管継手部32の管内空間33に収容された状態で支持する継手支持部34とを具備するT字型の二重管継手30(チーズ)を構成するものであってもよい。ここで、二重管継手30は、第一実施形態及び第二実施形態の二重管継手1,20と同様に、ポリ塩化ビニル樹脂を所定の金型に射出成形することにより、一体成形されたものである。また、内管継手部31の開口端31a,31b,31cは、それぞれ外管継手部32の開口端32a,32b,32cと異なる面上に位置し、且つ、外管継手部32の管内空間33の奥に設けられている。そして、継手支持部34は、内管継手部31のストッパー部31dより奥の位置に設けられ、外管継手部32のストッパー部32dと異なる面上に位置している。また、継手支持部34は、前述した第一実施形態における継手支持部4の各構成を適宜組み合わせたものから構成されており、同一符号を付して説明を省略する。これにより、二重管を連結し、且つ、内管を流れる流体を二方向に分岐可能な構造とすることができる。特に、T字型のような複雑な形状の場合、従来では管径の異なる二種類の管継手を組み合わせて構成する際に、内管継手部に対して外管継手部を著しく大きくする必要があったのに対し、本実施形態の二重管継手30では係る問題を解消することができる。その結果、コンパクトに、且つ、軽量化したT字型の二重管継手30を容易に構成することができる。なお、その他の作用効果については、第一実施形態の二重管継手1と同一のため説明を省略する。
【0032】
また、本発明の別例として、図7及び図8に示すように、内管継手部41のストッパー部41dを外管継手部32のストッパー部32dと同一面上に設けたT字型の多重管継手40を構成するものであってもよい。ここで、外管継手部32のそれぞれの開口端32a,32b,32cから内管継手部41の開口端41a,41b,41cが突出して形成されている。これにより、上述の二重管継手30の効果に加え、第二実施形態の二重管継手20と同様に配管設備の設置現場での作業を簡略化することができる。
【0033】
なお、本発明を構成するものではないが、第一実施形態の二重管継手1において、外管継手部3の開口端3a,3bに対し、内管継手部2の開口端2a,2bが外管継手部3の管内空間8の奥に位置するもの、或いは、第二実施形態の二重管継手20において、外管継手部3の開口端3a,3bに対し、内管継手部21の開口端22a,22bから突出するものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、外管継手部3の開口端3a,3bと内管継手部の開口端とが同一面上に位置したものであっても構わない。係る構成によっても、継手支持部4,23がそれぞれ内管継手部2,21のストッパー部2f,21dよりも奥の位置にあれば、射出成形時による収縮の影響が小さなものとなり、射出成形時の変形が少なくなる。
【0034】
加えて、第一実施形態及び第二実施形態等において、二重管を配管するための二重管継手1,20,30,40を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、外管の管内に二つ以上の複数の内管を並設して備える多重管を連結するための多重管継手を構成するものであっても構わない。
【0035】
さらに、第一実施形態及び第二実施形態等において、主に、内管を流れる流体の漏出を防止するために機能について説明したが、これに限定されるものではなく、本願発明の多重管継手を用いて、遮音性や断熱性を有する配管構造を構築するものであっても構わない。また、外管継手部を透明のプラスチック材料等によって構成するものであってもよい。これにより、内部の液漏れの状態等を外部から視認しやすくなり、早期に発見することができるとともに、補修などの迅速な対応を行うことで被害の拡大を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0036】
1,20,30,40 二重管継手(多重管継手)
2,21,31,41 内管継手部
2a,2b,21a,21b,31a,31b,31c,41a,41b,41c 開口端
2f,21d (内管継手部の)ストッパー部
3,32,42 外管継手部
3a,3b,32a,32b 開口端
3g,32d (外管継手部の)ストッパー部
4,23,34,44 継手支持部
5 管内空間
8,33,43 管内空間
9 上部支持部(継手支持部)
10 下部支持部(継手支持部)
11 外側部支持部(継手支持部)
12 円板支持部(継手支持部)
24 内側部支持部(継手支持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8