(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記関数は、ステントまたはバイパス移植数を増加させること、より小さな血管とは対照的により大きな血管におけるFFR値を減少させること、挿入されたステントの近接性を増加させること、治療コスト、分岐の存在または数のうちの1つ以上を不利にするように構成された目的関数である、請求項1に記載のシステム。
前記患者の心臓または血管系の少なくとも一部を表す前記3次元モデルが、大動脈の少なくとも一部および前記大動脈の一部から出ている複数の冠状動脈の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のシステム。
前記少なくとも1つのコンピュータシステムが、充血レベル、運動レベルまたは薬物のうちの少なくとも1つに関連付けられたパラメータを用いて前記血流特性を判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的な実施形態が詳細に参照され、その例は添付図面に示されている。可能な限り、同一または同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照符号が使用される。この詳細な説明は、以下の概要にしたがって編成されている。
I.概要
II.患者固有の解剖学的データの取得及び前処理
III.得られた解剖学的データに基づく3次元モデルの作成
IV.解析のためのモデル準備及び境界条件の決定
A.解析のためのモデル準備
B.境界条件の決定
i.低次モデルの決定
ii.例示的な集中定数モデル
C.3次元メッシュの作成
V.コンピュータ解析の実行及び結果出力
A.コンピュータ解析の実行
B.血圧、流れ及びcFFRの表示結果
C.検証結果
D.冠状血流情報を提供するシステム及び方法の他の実施形態
VI.患者固有の治療計画の提供
A.異なる治療の選択肢の比較に対する低次モデルの使用
B.治療の選択肢を最適化するための患者固有の幾何学的形状モデルの変更
I.概要
【0024】
例示的な実施形態において、方法及びシステムは、患者から非侵襲的に取得された情報を使用して特定の患者における血流に関する様々な情報を判定する。判定された情報は、患者の冠状血管系における血流に関連することができる。あるいは、さらに詳細に後述するように、判定された情報は、例えば、頸動脈、末梢、腹部、腎臓及び脳血管系などの患者の血管系の他の領域の血流に関連することができる。冠状動脈血管系は、大動脈から細動脈、毛細血管、細静脈、静脈などに及ぶ血管の複雑なネットワークを含む。冠状血管系は、心臓へと及び心臓内で血液を循環し、複数の主冠状動脈4(
図5)(例えば、左前下行(LAD)動脈、左回旋(LCX)動脈、右冠状動脈(RCA)動脈など)に対して血液を供給する大動脈2(
図5)を含み、これは、大動脈2及び主冠状動脈4から下流側の動脈または他の種類の血管の枝にさらに分割することができる。それゆえに、例示的な方法及びシステムは、大動脈、主冠状動脈及び/または他の冠状動脈または主冠状動脈の下流側の血管内の血流に関する様々な情報を判定することができる。大動脈及び冠状動脈(並びにそれから伸びる枝)が以下に説明されるが、開示された方法及びシステムはまた、他の種類の血管にも適用することができる。
【0025】
例示的な実施形態において、開示された方法及びシステムによって判定される情報は、これらに限定されるものではないが、大動脈、主冠状動脈及び/または他の冠状動脈または主冠状動脈から下流側の血管における様々な位置における血流速度、圧力(またはその比)、流量及びFFRなどの様々な血流特性またはパラメータを含むことができる。この情報は、病変が機能的に重大であるかどうか及び/または病変を処置するかどうかを判定するために使用可能である。この情報は、患者から非侵襲的に取得される情報を使用して判定されることができる。その結果、病変を処置するかどうかの決定は、侵襲的処置に関連するコスト及びリスクなしに行うことができる。
【0026】
図1は、例示的な実施形態にかかる特定の患者における冠状動脈血流に関する様々な情報を提供するためのシステムの態様を示している。より詳細に後述するように、患者の解剖学的構造の3次元モデル10は、患者から非侵襲的に取得されたデータを使用して作成することができる。他の患者固有の情報もまた、非侵襲的に取得されることができる。例示的な実施形態において、3次元モデル10によって表される患者の解剖学的構造の一部は、大動脈の少なくとも一部及び大動脈に接続された主冠状動脈の近位部分(及びそこから伸びるまたは出ている枝)を含むことができる。
【0027】
より詳細に後述するように、冠状動脈の血流に関する様々な生理学的法則または関係20は、例えば実験データから推定可能である。より詳細に後述するように、3次元解剖学的モデル10及び推定された生理学的法則20を使用すると、冠状動脈の血流に関する複数の式30が判定可能である。例えば、式30は、例えば、有限差分、有限体積、スペクトル、格子ボルツマン、粒子ベース、レベル集合、有限要素法などの任意の数値的方法を使用して判定して解くことができる。式30は、モデル10によって表される解剖学的構造内の様々な位置における患者の解剖学的構造における冠状動脈の血流に関する情報(例えば、圧力、速度、FFRなど)を判定するために解くことができる。
【0028】
式30は、コンピュータ40を使用して解くことができる。解かれた式に基づいて、コンピュータ40は、モデル10によって表される患者の解剖学的構造内の血流に関する情報を示す1つ以上の画像またはシミュレーションを出力することができる。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、画像(複数可)は、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流または速度モデル52、計算されたFFR(cFFR)モデル54などを含むことができる。シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及びcFFRモデル54は、モデル10によって表される患者の解剖学的構造における3次元に沿った様々な位置における各圧力、速度及びcFFRに関する情報を提供する。cFFRは、例えば従来はアデノシンの静脈内投与によって誘発される増加した冠状動脈の血流の状態下で、大動脈内の血圧によって分割されたモデル10内の特定の位置、例えばモデル10の流入境界における血圧の比として計算されることができる。
【0029】
例示的な実施形態において、コンピュータ40は、プロセッサによって実行された場合に、コンピュータシステムなどが患者における血流に関する様々な情報を提供するために本願明細書に記載されたいずれかの動作を実行することができる命令を記憶する1つ以上の持続性コンピュータ読み取り可能な記憶装置を含むことができる。コンピュータ40は、デスクトップ若しくはポータブルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、パーソナルディジタルアシスタントまたは他のコンピュータシステムを含むことができる。コンピュータ40は、プロセッサと、読み出し専用メモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、周辺機器(例えば、入力装置、出力装置、記憶装置など)を接続するための入力/出力(I/O)アダプタと、キーボード、マウス、タッチスクリーン、音声入力及び/または他の装置などの入力装置を接続するためのユーザインターフェースアダプタと、ネットワークにコンピュータ40を接続するための通信アダプタと、ディスプレイにコンピュータ40を接続するためのディスプレイアダプタなどを含むことができる。例えば、ディスプレイは、3次元モデル10、及び/または、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及び/またはcFFRモデル54などの式30を解くことによって生成された任意の画像を表示するために使用可能である。
【0030】
図2は、他の例示的な実施形態にかかる特定の患者における血流に関する様々な情報を提供するための方法の態様を示している。本方法は、患者の解剖学的構造に関する情報などの患者固有の解剖学的データ(例えば、大動脈の少なくとも一部及び大動脈に接続された主冠状動脈の近位部分(及びそこから伸びる枝))を得ることと、そのデータに前処理を行うこととを含むことができる(ステップ100)。患者固有の解剖学的データは、後述するように、例えばCCTAによって非侵襲的に取得されることができる。
【0031】
患者の解剖学的構造の3次元モデルは、取得された解剖学的データに基づいて作成されることができる(ステップ200)。例えば、3次元モデルは、
図1に関連して上述した患者の解剖学的構造の3次元モデル10とすることができる。
【0032】
3次元モデルが解析のために準備されることができ、境界条件が判定されることができる(ステップ300)。例えば、
図1に関連して上述した患者の解剖学的構造の3次元モデル10は、体積メッシュ、例えば有限要素や有限体積メッシュにトリミングされて離散化されることができる。体積メッシュは、
図1に関連して上述した式30を生成するために使用可能である。
【0033】
境界条件はまた、
図1に関連して上述した式30に割り当てられて組み込まれることができる。境界条件は、その境界、例えば、流入境界322(
図8)、流出境界324(
図8)、血管壁境界326(
図8)などにおける3次元モデル10に関する情報を提供する。流入境界322は、大動脈基部に近い大動脈の端部(例えば、
図16に示される端部A)など、流れが3次元モデルの解剖学的構造に向いた境界を含むことができる。各流入境界322は、例えば、境界に心臓モデル及び/または集中定数モデルなどを結合することにより、速度、流量、圧力または他の特性についての所定の値または領域を割り当てられることができる。流出境界324は、大動脈弓に近い大動脈の端部(例えば、
図16に示される端部B)及び主冠状動脈及びそこから伸びる枝の下流端部(例えば、
図16に示される端部a〜m)など、流れが3次元モデルの解剖学的構造から外側に向いた境界を含むことができる。各流出境界は、以下に詳細に説明するように、例えば、集中定数モデルまたは分布(例えば、1次元波動伝搬)モデルを結合することによって割り当てられることができる。流入及び/または流出境界条件についての所定値は、これらに限定されるものではないが、心拍出量(心臓からの血流量)、血圧、心筋質量などの患者の生理学的特性を非侵襲的に測定することによって判定されることができる。血管壁境界は、大動脈、主冠状動脈及び/または3次元モデル10の他の冠状動脈若しくは血管の物理的な境界を含むことができる。
【0034】
コンピュータ解析は、患者についての血流情報を判定するために準備された3次元モデル及び判定された境界条件を使用して行うことができる(ステップ400)。例えば、コンピュータ解析は、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及び/またはcFFRモデル54などの
図1に関連して上述した画像を生成するために式30を用いて且つ
図1に関連して上述したコンピュータ40を使用して行うことができる。
【0035】
本方法はまた、結果を使用して患者固有の処置法の選択肢を提供することを含むことができる(ステップ500)。例えば、ステップ200において作成された3次元モデル10及び/またはステップ300において割り当てられた境界条件は、例えば、3次元モデル10において表される冠状動脈のいずれかに冠状ステントを配置することまたは他の処置法の選択肢など、1つ以上の処置法をモデリングするように調整されることができる。そして、コンピュータ解析は、血圧モデル50、血流モデル52及び/またはcFFRモデル54の更新されたバージョンなどの新たな画像を生成するために、ステップ400において上述したように行うことができる。これらの新たな画像は、処置法の選択肢(複数可)が採用された場合に血流速度及び圧力の変化を判定するために使用可能である。
【0036】
本願明細書に開示されるシステム及び方法は、冠状動脈の血流を定量化し且つ冠状動脈疾患の機能的重大性を評価するために非侵襲的手段を提供するために医師によってアクセスされるソフトウェアツールに組み込まれることができる。さらに、医師は、冠状動脈の血流についての医療、介入及び/または外科的処置の効果を予測するためにソフトウェアツールを使用することができる。ソフトウェアツールは、首の動脈(例えば、頸動脈)、頭部の動脈(例えば、脳動脈)、胸部の動脈、腹部の動脈(例えば、腹部大動脈及びその枝)、腕の動脈または脚の動脈(例えば、大腿及び膝窩動脈)を含む心臓血管系の他の部分の疾患を予防、診断、管理及び/または処置することができる。ソフトウェアツールは、医師が患者についての最適なパーソナライズされた治療法を開発するのを可能とするように対話型とすることができる。
【0037】
例えば、ソフトウェアツールは、医師または他のユーザによって使用されるコンピュータシステム、例えば
図1に示されるコンピュータ40に少なくとも部分的に組み込まれることができる。コンピュータシステムは、患者から非侵襲的に取得されたデータ(例えば、3次元モデル10を作成するために使用されるデータ、境界条件を適用するかまたはコンピュータ解析を行うために使用されるデータなど)を受信することができる。例えば、データは、医師によって入力されてもよく、または、放射線または他の医学研究所などのそのようなデータにアクセスして提供することが可能な他のソースから受信されてもよい。データは、ネットワーク若しくはデータを通信するための他のシステムを介してまたは直接コンピュータシステムに送信されてもよい。ソフトウェアツールは、3次元モデル10または他のモデル/メッシュ及び/または任意のシミュレーション、または、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及び/またはcFFRモデル54などの
図1に関連して上述した式30を解くことによって判定される他の結果を生成して表示するためにデータを使用可能である。それゆえに、ソフトウェアツールは、ステップ100〜500を実行することができる。ステップ500において、医師は、可能な処置法の選択肢を選択するためにコンピュータシステムにさらに入力を提供することができ、コンピュータシステムは、選択された可能な処置法の選択肢に基づいて新たなシミュレーションを医師に表示することができる。さらに、
図2に示されるステップ100〜500のそれぞれは、独立したソフトウェアパッケージまたはモジュールを使用して行うことができる。
【0038】
あるいは、ソフトウェアツールは、例えば、医師とは別のエンティティによって提供されるサービスなど、ウェブベースのサービスまたは他のサービスの一部として提供されてもよい。サービスプロバイダは、例えば、ウェブベースのサービスを動作させることができ、ネットワークを介してまたはコンピュータシステム間でデータを通信する他の方法を介して医師または他のユーザにとってアクセス可能なウェブポータルまたは(例えば、サービスプロバイダによって動作されるサーバまたは他のコンピュータシステム上で実行される)他のウェブベースのアプリケーションを提供することができる。例えば、患者から非侵襲的に取得されたデータは、サービスプロバイダに提供されることができ、サービスプロバイダは、3次元モデル10または他のモデル/メッシュ及び/またはシミュレーション、または、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及び/またはcFFRモデル54などの
図1に関連して上述した式30を解くことによって判定される他の結果を生成するためにデータを使用することができる。そして、ウェブベースのサービスは、3次元モデル10及び/またはシミュレーションが医師のコンピュータシステム上で医師に対して表示されることができるように、3次元モデル10または他のモデル/メッシュ及び/またはシミュレーションに関する情報を送信することができる。それゆえに、ウェブベースのサービスは、ステップ100〜500及び患者固有の情報を提供するために以下に記載される任意の他のステップを実行することができる。ステップ500において、医師は、例えば可能な処置法の選択肢を選択するかまたはコンピュータ解析に対する他の調整を行うためにさらに入力を提供することができ、入力は、(例えば、ウェブポータルを介して)サービスプロバイダによって動作されるコンピュータシステムに送信されることができる。ウェブベースのサービスは、選択された可能な処置法の選択肢に基づいて新たなシミュレーションまたは他の結果を生成することができ、新たなシミュレーションが医師に表示されることができるように再度医師に新たなシミュレーションに関する情報を通信することができる。
【0039】
本願明細書に記載されたステップのうちの1つ以上は、1人以上の人間のオペレータ(例えば、心臓専門医若しくは他の医師、患者、第三者によって提供されるウェブベースのサービス若しくは他のサービスを提供するサービスプロバイダの従業員、他のユーザなど)、または、デスクトップ若しくはポータブルコンピュータ、ワークステーション、サーバ、パーソナルディジタルアシスタントなどのそのような人間のオペレータ(複数可)によって使用される1つ以上のコンピュータシステムによって実行されることができる。コンピュータシステム(複数可)は、ネットワークまたはデータを通信する他の方法を介して接続されることができる。
【0040】
図3は、特定の患者の血流に関する様々な情報を提供するための例示的な方法のさらなる態様を示している。
図3に示される態様は、コンピュータシステムに少なくとも部分的に及び/またはウェブベースのサービスの一部として組み込むことができるソフトウェアツールに組み込むことができる。
【0041】
II.患者固有の解剖学的データの取得及び前処理
【0042】
図2に示されるステップ100に関連して上述したように、例示的な方法は、患者の心臓に関する情報などの患者固有の解剖学的データを取得することと、データを前処理することとを含むことができる。例示的な実施形態において、ステップ100は、以下のステップを含むことができる。
【0043】
最初に、患者が選択されることができる。例えば、患者は、例えば、患者が胸痛、心臓発作などの冠状動脈疾患に関連する経験した症状である場合など、患者の冠状血流量に関する情報が所望されると医師が判定した場合には、医師によって選択されることができる。
【0044】
患者固有の解剖学的データは、例えば、患者の大動脈の少なくとも一部、大動脈に接続された主冠状動脈(及びそこから伸びる枝)の近位部及び心筋など、患者の心臓の幾何学的形状に関するデータなどを得ることができる。患者固有の解剖学的データは、例えば非侵襲的撮像方法を使用して非侵襲的に取得されることができる。例えば、CCTAは、例えば、心筋、大動脈、冠状動脈及びそれに接続された他の血管などの構造物の画像をユーザが表示及び作成するためにコンピュータ断層撮影(CT)スキャナを操作することができる撮像方法である。CCTAデータは、例えば、心周期にわたる血管形状の変化を示すように時間変化することができる。CCTAは、患者の心臓の画像を生成するために使用可能である。例えば、64スライスのCCTAデータは、例えば患者の心臓の64スライスに関し且つ3次元画像に組み立てられるデータを得ることができる。
図4は、64スライスのCCTAデータによって生成される3次元画像120の一例を示している。
【0045】
あるいは、磁気共鳴イメージング(MRI)若しくは超音波(US)などの他の非侵襲的撮像方法またはディジタルサブトラクション血管造影(DSA)などの侵襲的撮像方法が患者の解剖学的構造の画像を生成するために使用されてもよい。撮像方法は、解剖学的構造の同定を可能とするために造影剤を患者に静脈注入することを含むことができる。(例えば、CCTA、MRIなどによって提供された)得られた画像データは、放射線研究室や心臓専門医などのサードパーティベンダー、患者の医師などによって提供されてもよい。
【0046】
他の患者固有の解剖学的データはまた、患者から非侵襲的に判定されることができる。例えば、患者の血圧、基本心拍数、身長、体重、ヘマトクリット、ストローク量などの生理学的データを測定することができる。血圧は、最大値(収縮期)及び最小値(拡張期)の圧力などの(例えば、圧力カフを使用した)患者の上腕動脈の血圧とすることができる。
【0047】
上述したように得られた患者固有の解剖学的データは、セキュア通信回線を介して(例えば、ネットワークを介して)転送されることができる。例えば、データは、例えばステップ400において上述したコンピュータ解析などのコンピュータ解析を行うためにサーバまたは他のコンピュータシステムに転送されることができる。例示的な実施形態において、データは、ウェブベースサービスを提供するサービスプロバイダによって動作されるサーバまたは他のコンピュータシステムに転送されることができる。あるいは、データは、患者の医師または他のユーザによって操作されるコンピュータシステムに転送されることができる。
【0048】
図3を再度参照すると、転送されたデータは、データが許容可能かどうかを判定するために検査されることができる(ステップ102)。判定は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行することができる。例えば、転送されたデータ(例えば、CCTAデータ及び他のデータ)は、例えばCCTAデータが完全であり(例えば、大動脈及び主冠状動脈の十分な部分を含む)且つ正しい患者に対応しているかどうかを判定するために、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって検証されることができる。
【0049】
転送されたデータ(例えば、CCTAデータ及び他のデータ)はまた、前処理及び評価されることができる。前処理及び/または評価は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができ、例えば、CCTAデータの位置ずれ、不一致またはぼけの検査、CCTAデータに示されるステントの検査、血管の内腔の可視性を阻害することがある他のアーティファクトの検査、構造(例えば、大動脈、主冠状動脈及び他の血管)と患者の他の部分との間の十分なコントラストの検査などを含むことができる。
【0050】
転送されたデータは、上述した検証、前処理及び/または評価に基づいてデータが許容可能であるかどうかを判定するために評価されることができる。上述した検証、前処理及び/または評価中に、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、データの特定のエラーまたは問題を修正することができる。しかしながら、あまりに多くのエラーまたは問題がある場合、データは、許容できないと判定されることができ、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、転送されたデータの拒絶を必要とするエラーや問題を説明する拒絶レポートを生成することができる。必要に応じて、新たなCCTAスキャンが実行されてもよく及び/または上述した生理学的データが再度患者から測定されてもよい。転送されたデータが許容可能であると判定された場合、本方法は、後述するステップ202に進むことができる。
【0051】
したがって、
図3に示されて上述したステップ102は、
図2のステップ100のサブステップと考えることができる。
III.得られた解剖学的データに基づく3次元モデルの作成
【0052】
図2におけるステップ200と関連して上述したように、例示的な方法は、取得した解剖学的データに基づいて3次元モデルを作成することを含むことができる。例示的な実施形態において、ステップ200は、以下のステップを含むことができる。
【0053】
CCTAデータを使用して、冠状血管の3次元モデルを生成することができる。
図5は、CCTAデータを使用して生成された3次元モデル220の表面の一例を示している。例えば、モデル220は、例えば、大動脈の少なくとも一部、大動脈の一部に接続された1つ以上の主冠状動脈の少なくとも近位部分、主冠状動脈に接続された1つ以上の枝の少なくとも近位部分などを含むことができる。大動脈、主冠状動脈及び/または枝のモデリングされた部分は、どの部分もモデル220の残りから切断されないように、相互接続されてツリー状にされることができる。モデル220を形成するプロセスは、セグメンテーションと称される。
【0054】
図3を再度参照すると、コンピュータシステムは、大動脈の少なくとも一部(ステップ202)及び心筋(または他の心臓組織またはモデリング対象の動脈に接続された他の組織)(ステップ204)を自動的にセグメンテーションすることができる。コンピュータシステムはまた、大動脈に接続された主冠状動脈の少なくとも一部をセグメンテーションすることができる。例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、主冠状動脈をセグメンテーションするために1つ以上の冠状動脈基部または始点をユーザが選択するのを可能とすることができる(ステップ206)。
【0055】
セグメンテーションは、様々な方法を用いて行うことができる。セグメンテーションは、ユーザ入力に基づいてまたはユーザ入力なしでコンピュータシステムによって自動的に行うことができる。例えば、例示的な実施形態において、ユーザは、第1の初期モデルを生成するためにコンピュータシステムに入力を提供することができる。例えば、コンピュータシステムは、CCTAデータから生成された3次元画像120(
図4)またはそのスライスをユーザに表示することができる。3次元画像120は、明るさの強度を変化させる部分を含むことができる。例えば、明るい領域は、大動脈、主冠状動脈及び/または枝の管腔を示すことができる。暗い領域は、患者の心臓の心筋及び他の組織を示すことができる。
【0056】
図6は、ユーザに表示することができる3次元画像120のスライス222の一部を示しており、スライス222は、相対的な明るさの領域224を含むことができる。コンピュータシステムは、1つ以上のシード226を追加することによってユーザが相対的な明るさの領域224を選択するのを可能とし、シード226は、主冠状動脈をセグメンテーションするための冠状動脈基部または始点として機能することができる。ユーザの命令において、コンピュータシステムは、第1の初期モデルを形成するための始点としてシード226を使用することができる。ユーザは、大動脈及び/または個々の主冠状動脈のうちの1つ以上にシード226を追加することができる。必要に応じて、ユーザはまた、主冠状動脈に接続された枝の1つ以上にシード226を追加することができる。あるいは、コンピュータシステムは、例えば、抽出された中心線情報を使用して自動的にシードを配置することができる。コンピュータシステムは、シード226が配置された画像120の強度値を判定することができ、同一の強度値を有する画像120の部分に沿って(または選択された強度値を中心とする強度値の範囲内または閾値内で)シード226を拡張することによって第1の初期モデルを形成することができる。それゆえに、このセグメンテーションの方法は、「閾値ベースのセグメンテーション」と称されることができる。
【0057】
図7は、
図6のシード226を拡張することによって形成された第1の初期モデルの一部230を示している。したがって、ユーザは、第1の初期モデルを形成し始めるためにコンピュータシステムについての始点としてシード226を入力する。このプロセスは、関心のある全体部分、例えば大動脈及び/または主冠状動脈の一部がセグメンテーションされるまで繰り返されることができる。あるいは、第1の初期モデルは、ユーザ入力なしでコンピュータシステムによって生成されてもよい。
【0058】
あるいは、セグメンテーションは、「エッジベースのセグメンテーション」と称される方法を使用して行うことができる。例示的な実施形態においては、以下に説明するように、モデル220を形成するために閾値ベース及びエッジベースのセグメンテーション方法の双方が実行されてもよい。
【0059】
第2の初期モデルは、エッジベースのセグメンテーション方法を使用して形成されることができる。この方法では、大動脈及び/または主冠状動脈の管腔エッジが配置されることができる。例えば、例示的な実施形態において、ユーザは、例えば第2の初期モデルを生成するために上述したようにシード226などの入力をコンピュータシステムに提供することができる。コンピュータシステムは、エッジに到達するまで画像120の部分に沿ってシード226を拡張することができる。管腔エッジは、例えば、ユーザによって視覚的に及び/またはコンピュータシステムによって(例えば、設定閾値超の強度値の変化が存在する位置に)配置されることができる。エッジベースのセグメンテーション方法は、コンピュータシステム及び/またはユーザによって実行されることができる。
【0060】
心筋または他の組織はまた、ステップ204においてCCTAデータに基づいてセグメンテーションされることができる。例えば、CCTAデータは、心筋、例えば、左及び/または右心室の内及び外表面の位置を判定するために解析されることができる。表面の位置は、CCTAデータにおける心臓の他の構造と比較した心筋のコントラスト(例えば、相対的な暗さ及び明るさ)に基づいて判定されることができる。それゆえに、心筋の幾何学的形状が判定されることができる。
【0061】
大動脈、心筋及び/または主冠状動脈のセグメンテーションは、必要に応じて検査及び/または修正されることができる(ステップ208)。検査及び/または修正は、コンピュータシステム及び/またはユーザによって実行されることができる。例えば、例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、セグメンテーションを自動的に検査することができ、例えば、モデル220における大動脈、心筋及び/または主冠状動脈の任意の部分が欠落しているかまたは不正確である場合など、任意のエラーがある場合には、ユーザは、セグメンテーションを手動で修正することができる。
【0062】
例えば、上述した第1及び第2の初期モデルは、大動脈及び/または主冠状動脈のセグメンテーションが正確であることを保証するために比較されることができる。第1及び第2の初期モデル間の相違のいずれかの領域は、セグメンテーションを修正してモデル220を形成するために比較されることができる。例えば、モデル220は、第1及び第2の初期モデルの平均とすることができる。あるいは、上述のセグメンテーション方法のいずれか一方のみを行ってもよく、その方法によって形成された初期モデルは、モデル220として使用されることができる。
【0063】
心筋の質量が計算されることができる(ステップ240)。計算は、コンピュータシステムによって行うことができる。例えば、心筋の容量は、上述したように判定された心筋の表面の位置に基づいて計算されることができ、計算された心筋の容量は、心筋の質量を計算するために心筋の密度によって乗算されることができる。心筋の密度は、予め設定されてもよい。
【0064】
モデル220(
図5)の様々な血管(例えば、大動脈、主冠状動脈など)の中心線が判定されることができる(ステップ242)。例示的な実施形態において、判定は、コンピュータシステムによって自動的に実行されることができる。
【0065】
ステップ242において判定された中心線は、必要に応じて検査及び/または修正されることができる(ステップ244)。検査及び/または修正は、コンピュータシステム及び/またはユーザによって実行されることができる。例えば、例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、中心線を自動的に検査することができ、ユーザは、例えば任意の中心線が欠落しているかまたは不正確である場合など、任意のエラーがある場合には、中心線を手動で修正することができる。
【0066】
(血管の狭窄を引き起こす)カルシウムまたはプラークが検出されることができる(ステップ246)。例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、プラークを自動的に検出することができる。例えば、プラークは、3次元画像120において検出されることができ、モデル220から除去されることができる。プラークは、大動脈、主冠状動脈及び/または枝の管腔よりもさらに明るい領域として現れることから、プラークは、3次元画像120において特定されることができる。それゆえに、プラークは、設定値未満の強度値を有するとしてコンピュータシステムによって検出されることができるかまたはユーザによって視覚的に検出されることができる。プラークを検出した後、コンピュータシステムは、プラークが血管における管腔や開空間の一部と考えられないように、モデル220からプラークを除去することができる。あるいは、コンピュータシステムは、大動脈、主冠状動脈及び/または枝とは異なる色、陰影または他の視覚的指標を使用してモデル220上のプラークを示すことができる。
【0067】
コンピュータシステムはまた、検出したプラークを自動的にセグメンテーションすることができる(ステップ248)。例えば、プラークは、CCTAデータに基づいてセグメンテーションされることができる。CCTAデータは、CCTAデータにおける心臓の他の構造と比較したプラークのコントラスト(例えば、相対的な暗さ及び明るさ)に基づいてプラーク(またはその表面)を配置するために解析されることができる。それゆえに、プラークの幾何学的形状もまた判定されることができる。
【0068】
プラークのセグメンテーションは、必要に応じて検査及び/または修正されることができる(ステップ250)。検査及び/または修正は、コンピュータシステム及び/またはユーザによって実行されることができる。例えば、例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、セグメンテーションを自動的に検査することができ、ユーザは、例えば任意のプラークが欠落しているかまたは不正確である場合など、任意のエラーがある場合には、セグメンテーションを手動で修正することができる。
【0069】
コンピュータシステムは、主冠状動脈に接続された枝を自動的にセグメンテーションすることができる(ステップ252)。例えば、枝は、例えばステップ206と関連して
図6及び
図7に示され且つ上述したように、主冠状動脈をセグメンテーションするのと同様の方法を使用してセグメンテーションされることができる。コンピュータシステムはまた、ステップ248及び250と関連して上述したのと同様の方法を使用してセグメンテーションされた枝においてプラークを自動的にセグメンテーションすることができる。あるいは、枝(及びそれに含まれる任意のプラーク)は、(例えば、ステップ206において)主冠状動脈と同時にセグメンテーションされることができる。
【0070】
枝のセグメンテーションは、必要に応じて検査及び/または修正されることができる(ステップ254)。検査及び/または修正は、コンピュータシステム及び/またはユーザによって実行されることができる。例えば、例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、セグメンテーションを自動的に検査することができ、ユーザは、例えばモデル220における枝の任意の部分が欠落しているかまたは不正確である場合など、任意のエラーがある場合には、セグメンテーションを手動で修正することができる。
【0071】
モデル220は、任意の位置ずれ、ステントまたは他のアーティファクトが配置される場合(例えば、ステップ102におけるCCTAデータの検査中)には修正されることができる(ステップ256)。修正は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。例えば、位置ずれや他のアーティファクト(例えば、管腔の可視性に影響を与える不一致、ぼけ、アーティファクトなど)が配置される場合、モデル220は、血管の断面積の人工的なまたは偽の変化(例えば、人工狭窄化)を回避するために検査及び/または修正されることができる。ステントが配置されている場合、モデル220は、例えば、ステントのサイズに基づいて、ステントの位置を示すために及び/またはステントが配置された血管の断面積を修正するために検査及び/または修正されることができる。
【0072】
モデル220のセグメンテーションはまた、独立して検査されることができる(ステップ258)。検査は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。例えば、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、修正可能なエラー及び/またはモデル220が少なくとも部分的に再実行または再セグメンテーションされるのを必要とすることができるエラーなど、モデル220によって所定のエラーを特定することができる。そのようなエラーが特定される場合、セグメンテーションは、許容できないと判定されることができ、エラー(複数可)に応じて特定のステップ、例えばステップ202〜208、240〜256のうちの1つ以上のステップが繰り返されることができる。
【0073】
モデル220のセグメンテーションが許容可能であると独立して検証された場合、必要に応じて、モデル220は、出力されて平滑化されることができる(ステップ260)。平滑化は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。例えば、隆起部、点または他の不連続部分が平滑化されることができる。モデル220は、コンピュータ解析のための準備などがされるように別個のソフトウェアモジュールに出力されることができる。
【0074】
したがって、
図3に示され且つ上述したステップ202〜208及び240〜260は、
図2のステップ200のサブステップとして考えられることができる。
IV.解析のためのモデル準備及び境界条件の決定
【0075】
図2に示されるステップ300に関連して上述したように、例示的な方法は、解析のためにモデルを準備して境界条件を決定することを含むことができる。例示的な実施形態において、ステップ300は、以下のステップを含むことができる。
A.解析のためのモデル準備
【0076】
再度
図3を参照すると、モデル220(
図5)の様々な血管(例えば、大動脈、主冠状動脈及び/または枝)の断面積がまた判定されることができる(ステップ304)。例示的な実施形態において、判定は、コンピュータシステムによって実行されることができる。
【0077】
モデル220(
図5)は、トリミングされることができ(ステップ306)、ソリッドモデルが生成されることができる。
図8は、
図5に示されるモデル220と同様のモデルに基づいて準備されたトリミングされたソリッドモデル320の一例を示している。ソリッドモデル320は、3次元の患者固有の幾何学的形状モデルである。例示的な実施形態において、トリミングは、ユーザの入力の有無にかかわらずコンピュータシステムによって実行されることができる。流入境界322及び流出境界324のそれぞれは、各境界を形成する表面がステップ242において判定された中心線に対して垂直になるようにトリミングされることができる。流入境界322は、
図8に示されるような大動脈の上流側端部など、流れがモデル320の解剖学的構造に向けられる境界を含むことができる。流出境界324は、大動脈の下流側端部及び主冠状動脈及び/または枝の下流側端部など、流れがモデル320の解剖学的構造から外部に向けられる境界を含むことができる。
B.境界条件の決定
【0078】
境界条件は、モデル、例えば
図8の3次元ソリッドモデル320の境界において発生しているものを説明するために提供されることができる。例えば、境界条件は、例えばモデリングされた解剖学的構造の境界において患者のモデリングされた解剖学的構造に関連した少なくとも1つの血流特性に関連することができ、血流特性(複数可)は、血流速度、圧力、流量、FFRなどを含むことができる。境界条件を適切に決定することにより、コンピュータ解析は、モデル内の様々な位置における情報を判定するように実行されることができる。ここで境界条件及びそのような境界条件を決定するための方法の例を説明する。
【0079】
例示的な実施形態において、決定された境界条件は、ソリッドモデル320によって表される血管の部分から上流側及び下流側の構造を1次元または2次元の低次モデルに単純化されることができる。境界条件を決定するための例示的な式のセット及び他の詳細は、例えば、双方とも「心臓血管系の患者固有の血行動態(Patient−Specific Hemodynamics of the Cardiovascular System)」と題され且つその全体を参照することによって本願明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0241404号明細書及び米国仮特許出願第61/210401号に開示されている。
【0080】
心臓を流れる血流は、患者の生理学的状態に応じて異なることがあるため、境界条件は、患者の生理学的状態に応じて変化することがある。例えば、FFRは、通常、例えばストレスなどに起因して患者が心臓内の血流増加を経験しているときに一般に起こる充血の生理学的条件の下で測定される。FFRは、最大ストレスの状態下での大動脈圧に対する冠状動脈圧の比である。充血はまた、例えばアデノシンなどによって薬理学的に誘導されることができる。
図9〜
図11は、患者の生理学的状態に応じて(安静時、最大充血下または最大運動下)、モデル320における大動脈圧に対する冠状動脈圧の比の変化を示す計算されたFFR(cFFR)モデルの例を示している。
図9は、患者が静止しているときのモデル320全体の大動脈圧に対する冠状動脈圧の比の極小変化を示している。
図10は、患者が最大の充血を受けているときのモデル320全体の大動脈圧に対する冠状動脈圧の比の大きな変化を示している。
図11は。患者が最大運動を受けているときのモデル320全体の大動脈圧に対する冠状動脈圧の比のさらに大きな変化を示している。
【0081】
再度
図3を参照すると、充血状態の境界条件が決定されることができる(ステップ310)。例示的な実施形態において、アデノシンの効果は、1〜5倍の係数による冠状動脈抵抗の低下、約0〜20%の大動脈血圧の低下及び約0〜20%の心拍数の増加を使用してモデリングされることができる。例えば、アデノシンの効果は、4倍の係数による冠状動脈抵抗の低下、約10%の大動脈血圧の低下及び約10%の心拍数の増加を使用してモデリングされることができる。充血状態の境界条件は、例示的な実施形態において決定されるものの、安静、充血の程度の変化、運動、労作、ストレスまたは他の状態の程度の変化など、他の生理学的状態のためにその境界条件が決定されてもよいことが理解される。
【0082】
境界条件は、例えば、
図8に示されるように、流入境界322、流出境界324、血管壁境界326など、その境界における3次元ソリッドモデル320についての情報を提供する。血管壁境界326は、モデル320の大動脈、主冠状動脈及び/または他の冠状動脈または血管の物理的な境界を含むことができる。
【0083】
各流入または流出境界322、324には、速度、流量、圧力または他の血流特性についての所定値または値のフィールドが割り当てられることができる。あるいは、各流入または流出境界322、324には、境界、集中定数または分布(例えば、1次元波動伝播)モデル、他の種類の1次元または2次元モデルまたは他の種類のモデルに心臓モデルを結合することによって割り当てられることができる。特定の境界条件は、例えば、得られた患者固有の情報、または、ステップ240において計算された心拍出量、血圧、心筋の質量などの他の測定パラメータから判定された流入または流出境界322、324の幾何学的形状に基づいて判定されることができる。
i.低次モデルの決定
【0084】
ソリッドモデル320に接続された上流側及び下流側構造は、上流側及び下流側構造を表す低次モデルとして表されることができる。例えば、
図12〜
図15は、実施形態にかかる流出境界324の一方における3次元の患者固有の解剖学的データからの集中定数モデルの準備の方法を示している。本方法は、
図2及び
図3に示される方法とは別個に且つその前に行うことができる。
【0085】
図12は、主冠状動脈またはそこから伸びる枝のうちの1つのソリッドモデルの320の一部330を示しており、
図13は、
図12に示される部分330のステップ242において判定された中心線の一部を示している。
【0086】
部分330は、セグメント332に分割されることができる。
図14は、部分330から形成されることができるセグメント332の例を示している。セグメント332の長さの選択は、ユーザ及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。セグメント332は、例えば、セグメント332の幾何学的形状に応じて長さが変化することができる。部分330をセグメンテーションするために様々な技術が使用されることができる。例えば、病気の部分、例えば比較的狭い断面を有する部分、病変及び/または狭窄(血管の異常な狭窄)が1つ以上の別個のセグメント332において提供されることができる。病気の部分及び狭窄は、例えば、中心線の長さに沿って断面積を測定して局所的な最小断面積を計算することによって特定されることができる。
【0087】
セグメント332は、1つ以上の(線形または非線形)抵抗器334及び/または他の回路素子(例えば、コンデンサ、インダクタなど)を含む回路図によって近似されることができる。
図15は、一連の線形及び非線形抵抗器334によって置き換えられたセグメント332の例を示している。抵抗器334の個々の抵抗は、例えば、対応するセグメント332にわたって推定された流量及び/または圧力に基づいて判定されることができる。
【0088】
抵抗は、例えば、対応するセグメント332を通る推定された流量に応じて、定数、線形または非線形とすることができる。狭窄などのより複雑な幾何学的形状については、抵抗は、流量に応じて変化することができる。様々な幾何学的形状についての抵抗は、コンピュータ解析(例えば、有限差分、有限体積、スペクトル、格子ボルツマン、粒子ベース、レベル集合、アイソジオメトリック若しくは有限要素法または他の計算流体力学(CFD)解析技術)に基づいて判定されることができ、異なる流れ及び圧力条件下で行われるコンピュータ解析からの複数の解は、患者固有、血管固有及び/または病変固有の抵抗を導出するために使用されることができる。結果は、モデリングされることができる任意のセグメントの様々な種類の特徴及び幾何学的形状についての抵抗を判定するために使用されることができる。その結果、上述したように患者固有、血管固有及び/または病変固有の抵抗を導出することは、コンピュータシステムが、非対称狭窄、複数の病変、分岐及び枝における病変、及び、蛇行性血管など、より複雑な幾何学的形状を認識して評価するのを可能とする。
【0089】
コンデンサもまた含まれてもよく、対応するセグメントの血管壁の弾性に基づいて静電容量が判定されてもよい。インダクタが含まれてもよく、例えば、対応する部分を流れる血液量の加速または減速に関する慣性効果に基づいてインダクタンスが判定されてもよい。
【0090】
抵抗、静電容量、インダクタンス及び集中定数モデルにおいて使用される他の電気部品に関連する他の変数についての個々の値は、多くの患者からのデータに基づいて導出されることができ、同様の血管の幾何学的形状は、同様の値を有することができる。それゆえに、経験的モデルは、患者固有のデータの大集団から開発されることができ、将来の解析において同様の患者に適用することができる固有の幾何学的特徴に対応する値のライブラリを作成することができる。幾何学的形状は、以前のシミュレーションから患者のセグメント332についての値を自動的に選択するために、2つの異なる血管セグメント間で一致させることができる。
ii.例示的な集中定数モデル
【0091】
あるいは、
図12〜
図15に関連して上述したステップを実行する代わりに、集中定数モデルが予め設定されてもよい。例えば、
図16は、ソリッドモデル320の流入及び流出境界322、324における上流側及び下流側構造を表す集中定数モデル340、350、360の例を示している。端部Aは、流入境界322に配置され、端部a〜m及びBは、流出境界に配置される。
【0092】
集中定数心臓モデル340は、ソリッドモデル320の流入境界322の端部Aにおける境界条件を決定するために使用されることができる。集中定数心臓モデル340は、充血条件下での心臓からの血流を表すために使用されることができる。集中定数心臓モデル340は、例えば、大動脈圧、(例えば、ステップ100において判定されるような)患者の収縮期及び拡張期血圧、患者の心拍出量(例えば、ステップ100において判定された患者のストローク心拍出量及び心拍数に基づいて計算される心臓からの血流量)及び/または実験的に決定された定数などの患者に関する公知の情報に基づいて決定されることができる様々なパラメータ(例えば、P
LA、R
AV、L
AV、R
V−Art、L
V−Art及びE(t))を含む。
【0093】
集中定数冠状動脈モデル350は、主冠状動脈及び/またはそこから伸びる枝の下流側端部に位置するソリッドモデル320の流出境界324の端部a〜mにおける境界条件を決定するために使用されることができる。集中定数冠状動脈モデル350は、充血条件下で端部a〜mを通ってモデリングされた血管から出る血流を表すために使用されることができる。集中定数冠状動脈モデル350は、例えば、(例えば、ステップ240において判定されるような)計算された心筋の質量及び(例えば、ステップ304において判定されたような端部a〜mにおける血管の断面積に基づいて判定されるような)端部a〜mにおける終端インピーダンスなどの患者に関する公知の情報に基づいて決定されることができる様々なパラメータ(例えば、R
a、C
a、R
a−micro、C
im及びR
V)を含む。
【0094】
例えば、計算された心筋の質量は、複数の流出境界324を通る基本(静止)平均冠状動脈流を推定するために使用されることができる。この関係は、Q∝Q
OM
αとして(例えば、ステップ240において判定されるような)心筋の質量Mを有する平均冠状動脈流Qと相関がある(例えば、
図1の生理学的法則20の)実験的に導出される生理学的法則に基づくことができる。ここで、αは、予め設定されたスケーリング指数であり、Q
Oは、予め設定された定数である。基本(静止)条件下での流出境界324における全冠状流Q及び(例えば、ステップ100において判定されるような)患者の血圧は、予め設定された実験的に導出された式に基づいて流出境界324における全抵抗Rを判定するために使用されることができる。
【0095】
全抵抗Rは、(例えば、ステップ304において判定されるように)端部a〜mの各断面積に基づいて端部a〜m間で分布されることができる。この関係は、R
i∝R
i,od
iβとして端部a〜mにおける各抵抗と相関がある(例えば、
図1の生理学的法則20の)実験的に導出された生理学的法則に基づくことができる。ここで、R
iは、i番目の出口における流れに対する抵抗であり、R
i,oは、予め設定された定数であり、d
iは、その出口の直径であり、βは、予め設定されたべき乗則の指数であり、例えば、−3から−2であり、冠状動脈流については−2.7、脳流については−2.9などである。(例えば、ステップ304において判定されるような血管の端部a〜mの個々の断面積に基づいて判定される)個々の端部a〜mを通る冠状動脈流及び個々の端部a〜mにおける平均圧力は、対応する端部a〜mにおける集中定数冠状動脈モデル350の抵抗の合計(例えば、R
a+R
a−micro+R
V)を判定するために使用されることができる。他のパラメータ(例えば、R
a/R
a−micro、C
a、C
im)は、実験的に決定される定数とすることができる。
【0096】
ウィンドケッセルモデル360は、大動脈弓に向かって大動脈の下流側端部に位置するソリッドモデル320の流出境界324の端部Bにおける境界条件を判定するために使用されることができる。ウィンドケッセルモデル360は、充血条件下で端部Bを通ってモデリングされた大動脈から出る血流を表すために使用されることができる。ウィンドケッセルモデル360は、例えば、集中定数心臓モデル340に関連して上述した患者の心拍出量、集中定数冠動脈モデル350に関連して上述した基本平均冠状血流、(例えば、ステップ304において判定されるような端部Bにおける大動脈の断面積に基づいて判定される)大動脈圧及び/または実験的に決定された定数などの患者に関する公知の情報に基づいて決定されることができる様々なパラメータ(例えば、R
p、R
d及びC)を含む。
【0097】
境界条件、例えば集中定数モデル340、350、360(またはそれに含まれる定数のいずれか)または他の低次モデルは、他の要因に基づいて調整されることができる。例えば、抵抗値は、生理的ストレス下で血管を拡張するために比較的低下した能力に起因して患者が血管サイズに対して低い流量比を有する場合には調整されることができる(例えば増加)。抵抗値はまた、患者が糖尿病を有する場合、薬剤投与中の場合、過去に心臓事象を受けている場合などにも調整されることができる。
【0098】
代替の集中定数または分布1次元ネットワークモデルは、ソリッドモデル320の下流の冠状血管を表すために使用されることができる。そのようなモデルについてのパラメータを割り当てるために、MRI、CT、PETまたはSPECTを使用した心筋灌流撮像が使用されることができる。また、代替の撮像源としては、そのようなモデルについてのパラメータを割り当てるために、例えば、磁気共鳴血管造影(MRA)、レトロスペクティブ・シネゲーティングまたは将来のシネゲーティングコンピュータ断層撮影血管造影(CTA)などが使用されることができる。レトロスペクティブ・シネゲーティングは、集中定数心臓モデルにパラメータを割り当てるために心周期にわたって心室容積の変化を取得するために画像処理方法と組み合わせることができる。
【0099】
集中定数モデル340、350、360または他の低次1次元または2次元モデルを使用して患者の解剖学的構造の一部を簡略化することは、特に、コンピュータ解析が未治療の状態に加えて(例えば、
図2及び
図3のステップ400)可能な治療の選択肢を評価するとき(例えば、
図2のステップ500)などの複数回行うことができる場合、コンピュータ解析(例えば、以下に記載される
図3のステップ402)が最終結果について高精度を維持しつつより迅速に行うのを可能とする。
【0100】
例示的な実施形態において、境界条件の判定は、ステップ100において得られた患者固有の生理学的データなどのユーザの入力に基づいてコンピュータシステムによって実行されることができる。
C.3次元メッシュの作成
【0101】
再度
図3を参照すると、3次元メッシュは、ステップ306において生成されたソリッドモデル320に基づいて生成されることができる(ステップ312)。
図17〜
図19は、ステップ306において生成されたソリッドモデル320に基づいて準備された3次元メッシュ380の一例を示している。メッシュ380は、ソリッドモデル320の表面及びソリッドモデル320の内部全体に沿った複数のノード382(メッシュ点またはグリッド点)を含む。メッシュ380は、
図18及び
図19に示されるように、(ノード382を形成する点を有する)四面体要素によって作成されることができる。あるいは、他の形状を有する要素は、例えば、六面体または他の多面体、曲線状要素などを用いてもよい。例示的な実施形態において、ノード382の数は、例えば、例えば500万から5000万などの数百万個とすることができる。ノード382の数は、メッシュ380が細かくなるのにともない増加する。より多数のノード382により、情報は、モデル320内の複数点において提供されることができるが、コンピュータ解析は、かなり多くのノード382が解かれるべき式(例えば、
図1に示される式30)の数を増加させることから実行するのにより時間がかかることがある。例示的な実施形態において、メッシュ380の生成は、ユーザの入力(例えば、ノード382の数、要素の形状を指定するなど)の有無にかかわらず、コンピュータシステムによって実行されることができる。
【0102】
再度
図3を参照すると、メッシュ380及び判定された境界条件は、検証されることができる(ステップ314)。検証は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。例えば、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、例えば、メッシュ380が歪んでいるかまたは十分な空間分解能を有しない場合、境界条件がコンピュータ解析を実行するのに十分でない場合、ステップ310において判定された抵抗が不正確であると思われる場合などには、メッシュ380及び/または境界条件が再実行されるのを必要とするメッシュ380及び/または境界条件による所定のエラーを特定することができる。そうである場合、メッシュ380及び/または境界条件は、許容できないと判定されることができ、ステップ304〜314のうちの1つ以上が繰り返されることができる。メッシュ380及び/または境界条件が許容可能であると判定された場合、本方法は、以下に記載されるステップ402に進むことができる。
【0103】
さらに、ユーザは、取得した患者固有の情報、または、心拍出量、血圧、身長、体重、ステップ240において計算された心筋の質量などの他の測定パラメータが正しく入力され及び/または正しく計算されていることを検査することができる。
【0104】
したがって、
図3に示され且つ上述したステップ304〜314は、
図2のステップ300のサブステップと考えられることができる。
V.コンピュータ解析の実行及び結果出力
【0105】
図2に示されるステップ400に関連して上述したように、例示的な方法は、コンピュータ解析を実行することと、結果を出力することとを含むことができる。例示的な実施形態において、ステップ400は、以下のステップを含むことができる。
A.コンピュータ解析の実行
【0106】
図3を参照すると、コンピュータ解析は、コンピュータシステムによって実行されることができる(ステップ402)。例示的な実施形態において、ステップ402は、例えばメッシュ380におけるノード382の数などに応じて数分から数時間続くことができる(
図17〜
図19)。
【0107】
解析は、メッシュ380が生成されたモデル320内の血流を記載する一連の式を生成することを含む。上述したように、例示的な実施形態において、所望の情報は、充血条件下でモデル320を流れる血流のシミュレーションに関する。
【0108】
解析はまた、コンピュータシステムを使用して血流の3次元式を解くために数値的方法を使用することを含む。例えば、数値的方法は、有限差分、有限体積、スペクトル、格子ボルツマン、粒子ベース、レベルセット、アイソジオメトリック若しくは有限要素法または他の計算流体力学(CFD)数値技術などの公知の方法であってもよい。
【0109】
これらの数値的方法を用いて、血液は、ニュートン、非ニュートンまたは多相流体としてモデリングされることができる。ステップ100において測定された患者のヘマトクリットまたは他の要因は、解析に組み込むために血液の粘度を判定するために使用されることができる。血管壁は、剛性または適合していると仮定することができる。後者の場合、壁の力学の式、例えば、弾性力学方程式は、血流の式とともに解かれることができる。ステップ100において得られた時間的に変化する3次元撮像データは、心周期にわたる血管の形状の変化をモデリングするために入力として使用されることができる。コンピュータ解析を実行するための式及びステップの例示的なセットは、例えば、「医療介入計画及び生理学的条件のシミュレーションについて予測モデリングするための方法(Method for Predictive Modeling for Planning Medical Interventions and Simulating Physiological Conditions)」と題された米国特許第6,236,878号明細書、並びに、「心臓血管系の患者固有の血行動態(Patient−Specific Hemodynamics of the Cardiovascular System)」と双方とも題された米国特許出願公開第2010/0241404号明細書及び米国仮特許出願第61/210,401号にさらに詳細に開示されており、それらは全て、その全体を参照することによって本願明細書に組み込まれる。
【0110】
準備されたモデル及び境界条件を使用するコンピュータ解析は、3次元ソリッドモデル320を表すメッシュ380のノード382のそれぞれにおける血流及び圧力を判定することができる。例えば、コンピュータ解析の結果は、これらに限定されるものではないが、以下に説明するように、血流速度、圧力、流量またはcFFRなどの計算されたパラメータなどの様々な血流特性またはパラメータなど、ノード382のそれぞれにおける様々なパラメータについての値を含むことができる。パラメータはまた、3次元ソリッドモデル320にわたって補間されることができる。結果として、コンピュータ解析の結果は、通常は侵襲的に判定されることができる情報をユーザに提供することができる。
【0111】
再度
図3を参照すると、コンピュータ解析の結果が検証されることができる(ステップ404)。検証は、ユーザによって及び/またはコンピュータシステムによって実行されることができる。例えば、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、例えば、不十分な数のノード382に起因して不十分な情報がある場合、過剰な数のノード382に起因して解析に時間がかかりすぎている場合など、メッシュ380及び/または境界条件が再実行または改変されるのを必要とする結果によって所定のエラーを特定することができる。
【0112】
コンピュータ解析の結果がステップ404において許容できないと判定された場合、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、例えば、ステップ306において生成されたソリッドモデル320及び/またはステップ312において生成されたメッシュ380を改変または改良するかどうか及びその方法、ステップ310において判定された境界条件を改変するかどうか及びその方法、または、コンピュータ解析のために入力のいずれかに対して他の改変を行うかどうかを判定することができる。そして、上述した1つ以上のステップ、例えば、ステップ306〜314、402及び404は、判定された改変または改良に基づいて繰り返されることができる。
B.血圧、流れ及びcFFRの表示結果
【0113】
再度
図3を参照すると、コンピュータ解析の結果がステップ404において許容可能であると判定された場合、コンピュータシステムは、コンピュータ解析の所定の結果を出力することができる。例えば、コンピュータシステムは、シミュレートされた血圧モデル50、シミュレートされた血流モデル52及び/またはcFFRモデル54などの
図1に関連して上述した画像などのコンピュータ解析の結果に基づいて生成された画像を表示することができる。上述したように、これらの画像は、例えば、ステップ310において判定された境界条件が充血条件に対して判定されたため、シミュレートされた充血条件下でのシミュレートされた血圧、血流及びcFFRを示している。
【0114】
シミュレートされた血圧モデル50(
図1)は、シミュレートされた充血条件下での
図17〜
図19のメッシュ380によって表される患者の解剖学的構造全体の局所血圧(例えば、水銀でのミリメートル単位すなわちmmHg)を示している。コンピュータ解析は、メッシュ380の各ノード382における局所血圧を判定することができ、各ノード382についての個々の値を指定する必要なくシミュレートされた血圧モデル50がモデル50の全体の圧力の変化を視覚的に示すように、シミュレートされた血圧モデル50は、各圧力に対して対応する色、陰影または他の視覚的指標を割り当てることができる。例えば、
図1に示されるシミュレートされた血圧モデル50は、この特定の患者について、シミュレートされた充血条件下において、(暗い陰影によって示されるように)圧力が大動脈内で一般に均一且つより高いことがあり、血液が主冠状動脈へと及び枝へと下流に流れるのにともない、(枝の下流側端部に向かって陰影的に徐々に且つ連続的に明るくすることによって示されるように)圧力が徐々に且つ連続的に低下することを示している。シミュレートされた血圧モデル50は、
図1に示されるように、血圧についての具体的な数値を示す目盛りを付随させることができる。
【0115】
例示的な実施形態において、シミュレートされた血圧モデル50は、カラーで提供されることができ、カラースペクトルは、モデル50の全体の圧力の変化を示すために使用されることができる。カラースペクトルは、最高圧力から最低圧力まで順次、赤、橙、黄、緑、青、藍及び紫を含むことができる。例えば、上限値(赤)は、約110mmHg以上(または80mmHg、90mmHg、100mmHgなど)を示すことができ、下限値(紫)は、約50mmHg以下(または20mmHg、30mmHg、40mmHgなど)を示すことができ、緑は、約80mmHg(または上限と下限とのほぼ中間の他の値)を示すことができる。それゆえに、一部の患者についてのシミュレートされた血圧モデル50は、スペクトルの上端に向かって赤または他色として大動脈の大半または全てを示すことができ、色は、冠状動脈及びそこから伸びる枝の先端に向かって(例えば、スペクトルの下端に向かって(紫に至るまで))スペクトルにわたって徐々に変化することができる。特定の患者についての冠状動脈の先端は、各先端について判定された局所血圧に応じて、例えば赤から紫までの範囲で異なる色を有することができる。
【0116】
シミュレートされた血流モデル52(
図1)は、シミュレートされた充血条件下での
図17〜
図19のメッシュ380によって表される患者の解剖学的構造全体の(例えば、秒あたりセンチメートルすなわちcm/sで)局所血流速度を示している。コンピュータ解析は、メッシュ380の各ノード382における局所血流速度を判定することができ、シミュレートされた血流モデル52が各ノード382についての個々の値を指定する必要なくモデル52の全体の速度の変化を視覚的に示すように、シミュレートされた血流モデル52は、各速度に対して対応する色、陰影または他の視覚的指標を割り当てることができる。例えば、
図1に示されるシミュレートされた血流モデル52は、この特定の患者について、シミュレートされた充血条件下において、(
図1における領域53の暗い陰影によって示されるように)速度が主冠状動脈及び枝の所定領域において一般に高くなることを示している。シミュレートされた血流モデル52は、
図1に示されるように、血流速度についての具体的な数値を示す目盛りを付随させることができる。
【0117】
例示的な実施形態において、シミュレートされた血流モデル52は、カラーで提供されることができ、カラースペクトルは、モデル52の全体の速度の変化を示すために使用されることができる。カラースペクトルは、最高速度から最低速度まで順次、赤、橙、黄、緑、青、藍及び紫を含むことができる。例えば、上限値(赤)は、約100(または150)cm/s以上を示すことができ、下限値(紫)は、約0cm/sを示すことができ、緑は、約50cm/s(または上限と下限とのほぼ中間の他の値)を示すことができる。それゆえに、一部の患者についてのシミュレートされた血流モデル52は、スペクトルの下端に向かって混合色(例えば、緑から紫)として大動脈の大半または全てを示すことができ、色は、判定された血流速度が増加する所定位置において(例えば、スペクトルの上端に向かって(赤に至るまで))スペクトルにわたって徐々に変化することができる。
【0118】
cFFRモデル54(
図1)は、シミュレートされた充血条件下での
図17〜
図19のメッシュ380によって表される患者の解剖学的構造全体の局所cFFRを示している。上述したように、cFFRは、例えば、コンピュータ解析によって判定された流入境界322(
図8)において大動脈内の血圧によって除算された特定のノード382における局所血圧の比(例えば、シミュレートされた血圧モデル50に示されている)として計算されることができる。コンピュータ解析は、メッシュ380の各ノード382におけるcFFRを判定することができ、cFFRモデル54は、cFFRモデル54が各ノード382について個々の値を指定する必要なくモデル54の全体のcFFRの変化を視覚的に示すことができるように、各cFFR値に対して対応する色、陰影または他の視覚的指標を割り当てることができる。例えば、
図1に示されるcFFRモデル54は、この特定の患者について、シミュレートされた充血条件下において、cFFRが大動脈において一般に均一且つ約1.0とすることができ、血流が主冠状動脈へと及び枝へと下流に流れるのにともない、cFFRが徐々に且つ連続的に低下することを示している。cFFRモデル54はまた、
図1に示されるように、cFFRモデル54の全体の所定点におけるcFFR値を示すことができる。cFFRモデル54は、
図1に示されるように、cFFRについての具体的な数値を示す目盛りを付随させることができる。
【0119】
例示的な実施形態において、cFFRモデル54は、カラーで提供されることができ、カラースペクトルは、モデル54の全体の圧力の変化を示すために使用されることができる。カラースペクトルは、(機能的に重大な病変を示す)最低cFFRから最高cFFRまで順次、赤、橙、黄、緑、青、藍及び紫を含むことができる。例えば、上限値(紫)は、1.0のcFFRを示すことができ、下限値(赤)は、約0.7(または0.75若しくは0.8)以下を示すことができ、緑は、約0.85(または上限と下限とのほぼ中間の他の値)を示すことができる。例えば、下限値は、cFFR測定値が機能的に重大な病変または介入を必要とするかもしれない他の特徴を示すかどうかを判定するために使用される下限値(例えば、0.7、0.75または0.8)に基づいて判定されることができる。それゆえに、一部の患者についてのcFFRモデル54は、スペクトルの上端に向かって紫または他色として大動脈の大半または全てを示すことができ、色は、冠状動脈及びそこから伸びる枝の先端に向かって(例えば、スペクトルの上端に向かって(赤から紫に至るまで))スペクトルにわたって徐々に変化することができる。特定の患者についての冠状動脈の先端は、各先端について判定されたcFFRの局所値に応じて、例えば赤から紫までの範囲で異なる色を有することができる。
【0120】
cFFRが機能的に重大な病変または介入を必要とし得る他の特徴の存在を判定するために使用される下限値を下回ったことを判定した後、動脈または枝は、機能的に重大な病変(複数可)を配置するために評価されることができる。コンピュータシステムまたはユーザは、(例えば、cFFRモデル54を使用して)動脈または枝の幾何学的形状に基づいて機能的に重大な病変(複数可)を配置することができる。例えば、機能的に重大な病変(複数可)は、局所的な最小cFFR値を有するcFFRモデル54の位置からの近傍(例えば、上流側)に位置する狭小または狭窄をみつけることによって配置されることができる。コンピュータシステムは、機能的に重大な病変(複数可)を含むcFFRモデル54(または他のモデル)の一部(複数可)をユーザに指示または表示することができる。
【0121】
他の画像もまた、コンピュータ解析の結果に基づいて生成されてもよい。例えば、コンピュータシステムは、例えば
図20〜
図22に示されるように、特定の主冠状動脈に関する追加情報を提供することができる。冠状動脈は、例えば、特定の冠状動脈が最低cFFRを含む場合、コンピュータシステムによって選択されることができる。あるいは、ユーザは、特定の冠状動脈を選択することができる。
【0122】
図20は、個々の参照ラベル(例えば、LM、LAD1、LAD2、LAD3など)によって特定されたモデル上の所定点でのコンピュータ解析の結果を含む患者の解剖学的構造のモデルを示している。
図21に示される例示的な実施形態において、点は、シミュレートされた充血条件下で、この特定の患者についての最低cFFRを有する主冠状動脈であるLAD動脈に設けられている。
【0123】
図21及び
図22は、これらの点の一部または全て(例えば、LM、LAD1、LAD2、LAD3など)及び/またはモデル上の所定の他の位置(例えば、大動脈内など)における経時的な所定の変数のグラフを示している。
図21は、大動脈内及び
図20に示されている点LAD1、LAD2及びLAD3における経時的な圧力(例えば、水銀でのミリメートル単位すなわちmmHg)のグラフである。グラフの一番上のプロットは、大動脈内の圧力を示し、上から2番目のプロットは、点LAD1の圧力を示し、上から3番目のプロットは、点LAD2の圧力を示し、一番下のプロットは、点LAD3の圧力を示している。
図22は、
図20に示されている点LM、LAD1、LAD2及びLAD3における経時的な流れ(例えば、秒あたり立方センチメートルすなわちcc/sで)のグラフである。さらに、他のグラフは、これらの点及び/または他の点のいくつかまたは全てにおける経時的な剪断応力のグラフなどを提供することができる。グラフの一番上のプロットは、点LMにおける流れを示し、上から2番目のプロットは、点LAD1における流れを示し、上から3番目のプロットは、点LAD2における流れを示し、一番下のプロットは、点LAD3における流れを示している。グラフはまた、特定の主冠状動脈及び/またはそこから伸びる枝の長さに沿って、例えば、血圧、流量、速度またはcFFRなどのこれらの変数の変化を示すように提供されることができる。
【0124】
必要に応じて、上述した様々なグラフ及び他の結果がレポートにまとめられることができる(ステップ406)。例えば、上述した画像及び他の情報は、設定されたテンプレートを有する文書に挿入されることができる。テンプレートは、複数の患者について予め設定されて一般的なものとすることができ、医師及び/または患者に対してコンピュータ解析の結果を報告するために使用されることができる。文書またはレポートは、コンピュータ解析が完了した後にコンピュータシステムによって自動的に完成されることができる。
【0125】
例えば、最終レポートは、
図23に示される情報を含むことができる。
図23は、
図1のcFFRモデル54を含み、また、主冠状動脈及びそこから伸びる枝のそれぞれにおける最低cFFR値などの要約情報を含む。例えば、
図23は、LAD動脈内の最低cFFR値が0.66であり、LCX動脈内の最低cFFR値が0.72であり、RCA動脈内の最低cFFR値が0.80であることを示している。他の要約情報は、患者名、患者の年齢、患者の血圧(BP)(例えば、ステップ100において得られた)、患者の心拍数(HR)(例えば、ステップ100において得られた)などを含むことができる。最終レポートはまた、医師または他のユーザがさらなる情報を判定するためにアクセスすることができる、上述したように生成された画像のバージョン及び他の情報を含むことができる。コンピュータシステムによって生成された画像は、例えば、その点における血圧、速度、流量、cFFRなど、上述した任意の変数の値を判定するために任意の点に医師または他のユーザがカーソルを配置するのを可能とするためにフォーマット化されることができる。
【0126】
最終レポートは、医師及び/または患者に送信されることができる。最終レポートは、例えば電子メールなどによって無線または有線ネットワークなどの任意の公知の通信方法を使用して送信されることができる。あるいは、医師及び/または患者は、最終レポートがダウンロードまたはピックアップに利用可能である旨の通知を受けることができる。そして、医師及び/または患者は、セキュアな通信回線を介して最終レポートをダウンロードするためにウェブベースのサービスにログインすることができる。
C.検証結果
【0127】
再度
図3を参照すると、コンピュータ解析の結果は、独立して検証されることができる(ステップ408)。例えば、ユーザ及び/またはコンピュータシステムは、例えば、上述したステップのいずれかを再実行する必要があるステップ406において生成された画像及び他の情報など、コンピュータ解析の結果による所定のエラーを特定することができる。そのようなエラーが特定された場合、コンピュータ解析の結果は、許容できないと判定されることができ、所定のステップ、例えば、ステップ100、200、300、400、サブステップ102、202〜208、240〜260、304〜314及び402〜408などが繰り返されることができる。
【0128】
したがって、
図3に示され且つ上述したステップ402〜408は、
図2のステップ400のサブステップと考えられることができる。
【0129】
コンピュータ解析の結果を検証するための他の方法は、他の方法を使用して、例えば、血圧、速度、流量、cFFRなどの患者からの結果に含まれる変数のいずれかを測定することを含むことができる。例示的な実施形態において、変数は、(例えば、侵襲的に)測定されることができ、そして、コンピュータ解析によって判定された結果と比較されることができる。例えば、FFRは、例えば、ソリッドモデル320及びメッシュ380によって表される患者の解剖学的構造内の1つ以上の点において、上述したように患者に挿入された圧力ワイヤを使用して判定されることができる。所定位置において測定されたFFRは、同じ位置においてcFFRと比較されることができ、比較は、複数の位置において行うことができる。必要に応じて、コンピュータ解析及び/または境界条件は、比較に基づいて調整されることができる。
VI.患者固有の治療計画の提供
【0130】
図2に示されるステップ500に関連して上述したように、例示的な方法は、患者固有の治療計画を提供することを含むことができる。例示的な実施形態において、ステップ500は、以下のステップを含むことができる。
図3は、以下のステップを示していないものの、これらのステップは、例えばステップ406または408の後などの
図3に示されるステップと関連して行われてもよいことが理解される。さらに、上述したように、以下に記載されるステップ500のサブステップのいずれかは、コンピュータ40などのコンピューティングシステムによって及び/または1つ以上のコンピューティングシステム、サーバシステム及び/またはウェブサーバによって実行されることができる。
【0131】
上述したように、
図1及び
図23に示されるcFFRモデル54は、未治療の状態における且つシミュレートされた充血条件下での
図17〜
図19のメッシュ380によって表される患者の解剖学的構造全体のcFFR値を示している。この情報を使用して、医師は、運動の増加、食生活の変化、薬の処方、心臓のモデリングされた解剖学的構造の任意の一部または他の一部(例えば、冠状動脈バイパス移植、1つ以上の冠状動脈ステントの挿入など)に対する手術などの患者に対する治療を定めることができる。
【0132】
処方する治療(複数可)を決定するために、コンピュータシステムは、コンピュータ解析から判定された情報がそのような治療(複数可)に基づいてどのように変化するかを予測するために使用されることができる。例えば、ステント(複数可)の挿入または他の手術などの所定の治療は、モデリングされた解剖学的構造の幾何学的形状の変化をもたらすことがある。したがって、例示的な実施形態において、ステップ306において生成されたソリッドモデル320は、ステントが挿入される1つ以上の管腔の拡大を示すように改変されることができる。
【0133】
例えば、
図1及び
図23に示されるcFFRモデル54は、LAD動脈内の最低cFFR値が0.66であり、LCX動脈内の最低cFFR値が0.72であり、RCA動脈内の最低cFFR値が0.80であることを示している。cFFR値が、例えば、0.75未満である場合、治療が提案されることができる。したがって、コンピュータシステムは、これらの冠状動脈にステントを挿入するのをシミュレートするために、LAD動脈及びLCX動脈の拡大を示すためにソリッドモデル320の改変をユーザに提案することができる。ユーザは、シミュレートされたステントの位置及びサイズに対応する拡大の位置及び量(例えば、長さ及び直径)を選択するように求められることができる。あるいは、拡大の位置及び量は、0.75未満であるcFFR値を有するノード(複数可)の位置、血管の著しい狭窄の位置、従来のステントのサイズなどの様々な要因に基づいて、コンピュータシステムによって自動的に決定されてもよい。
【0134】
図25は、位置512におけるLAD動脈の一部及び位置514におけるLCX動脈の一部を拡大することによって作成されたソリッドモデルに基づいて判定された変更されたcFFRモデル510の一例を示している。例示的な実施形態において、上述したステップ、例えばステップ310〜314及び402〜408のいずれかは、変更されたソリッドモデルを使用して繰り返されることができる。ステップ406において、最終レポートは、
図23に示される情報などの未治療の患者(ステントなしなど)に関する情報や、
図25及び
図26に示される情報などの患者についてシミュレートされた治療に関する情報を含むことができる。
【0135】
図25は、変更されたcFFRモデル510を含み、また、提案された治療に関連する変更されたソリッドモデルについての主冠状動脈及びそこから伸びる枝における最低cFFR値などの要約情報も含む。例えば、
図25は、LAD動脈(及びその下流枝)内の最低cFFR値が0.78であり、LCX動脈(及びその下流枝)内の最低cFFR値が0.78であり、RCA動脈(及びその下流枝)内の最低cFFR値が0.79であることを示している。したがって、未治療の患者(ステントなし)のcFFRモデル54と提案された治療(挿入されたステント付き)についてのcFFRモデル510との比較は、提案された治療が、LAD動脈内の最低cFFRを0.66から0.78へと増加させることができ、LCX動脈内の最低cFFRを0.72から0.76へと増加させるとともに、RCA動脈内の最低cFFRを0.80から0.79へと極小に減少させるであろうことを示している。
【0136】
図26は、上述したように位置512におけるLAD動脈及び位置514におけるLCX動脈の一部を拡大した後に判定された変更後のシミュレートされた血流モデル520の一例を示している。
図26はまた、提案された治療に関連する変更されたソリッドモデルについての主冠状動脈及びそこから伸びる枝の様々な位置における血流値などの要約情報を含むことができる。例えば、
図26は、未治療の患者(ステントなし)及び治療された患者(挿入されたステント付き)についてのLAD動脈内の4つの位置LAD1、LAD2、LAD3及びLAD4並びにLCX動脈内の2つの位置LCX1及びLCX2についての血流値を示している。
図26はまた、未治療及び治療された状態間の血流値の変化率を示している。したがって、未治療の患者のシミュレートされた血流モデル52と提案された治療についてのシミュレートされた血流モデル520との比較は、提案された治療が、位置に応じて9%から19%だけ位置LAD1〜LAD4、LCX1及びLCX2の全てにおいてLAD動脈及びLCX動脈を通る流れを増加させることができることを示している。
【0137】
他の情報はまた、冠状動脈血圧などを未治療及び治療された状態間で比較することができる。この情報に基づいて、医師は、提案された治療の選択肢を続けるかどうかを患者と話し合うことができる。
【0138】
他の治療の選択肢はまた、異なる方法でソリッドモデル320を変更することを含むことができる。例えば、冠状動脈バイパス移植はまた、ソリッドモデル320において新たな管腔または通路を作成することを含むことができ、病変を除去することはまた、管腔または通路を広くすることを含むことができる。他の治療の選択肢は、ソリッドモデル320の変更をともなわないことがある。例えば、運動または労作の増加、食生活の変化または他のライフスタイルの変化、薬の処方などは、例えば血管収縮、拡張、心拍数の減少などに起因してステップ310において判定された境界条件を変化させることを含むことができる。例えば、患者の心拍数、心拍出量、ストローク心拍出量、血圧、冠微小循環機能、集中定数モデルの構成などは、薬の処方、採用された運動(または他の労作)の種類及び頻度、採用されたライフスタイルの変化の種類(例えば、禁煙、食生活の変化など)に依存することができ、それにより、様々な方法でステップ310において判定された境界条件に影響を与える。
【0139】
例示的な実施形態において、変更された境界条件は、多くの患者からのデータを使用して実験的に判定されることができ、同様の治療の選択肢は、同様の方法で境界条件の変更を必要とすることができる。経験的モデルは、患者固有のデータの大集団から開発されることができ、将来の解析において同様の患者に適用することができる特定の治療の選択肢に対応する境界条件及び境界条件を計算するための機能のライブラリを作成することができる。
【0140】
境界条件を変更した後、上述したステップ、例えばステップ312、314及び402〜408は、変更された境界条件を使用して繰り返されることができ、ステップ406において、最終レポートは、
図23に示される情報などの未治療の患者に関する情報と、
図25及び
図26に示される情報などの患者についてのシミュレートされた治療に関する情報とを含むことができる。
【0141】
あるいは、医師、患者または他のユーザは、3次元モデル(例えば、
図8のソリッドモデル320)との相互作用を可能とするユーザインターフェースを設けることができる。モデル320は、1つ以上の治療の選択肢を反映するためにユーザによって編集されることができるユーザ選択可能なセグメントに分割されることができる。例えば、ユーザは、狭窄(または閉塞、例えば、急性閉塞)を有するセグメントを選択することができ、狭窄を除去するためにセグメントを調整することができ、ユーザは、バイパスなどとして機能するようにモデル320にセグメントを追加することができる。ユーザはまた、例えば、心拍出量の変化、心拍数、ストローク心拍出量、血圧、運動または労作レベル、充血レベル、薬など、上記判定された境界条件を変更することができる他の治療の選択肢及び/または生理学的パラメータを指定するよう求められることができる。代替の実施形態において、コンピュータシステムは、治療の選択肢を判定または示唆することができる。
【0142】
ユーザインターフェースは、ユーザが狭窄(または閉塞、例えば、急性閉塞)をシミュレートするのを可能とするために、3次元モデル320との相互作用を可能とすることができる。例えば、ユーザは、狭窄を含むためにセグメントを選択することができ、コンピュータシステムは、コンピュータ解析から判定された情報が狭窄の追加に基づいてどのように変化するかを予測するために使用されることができる。それゆえに、本願明細書に記載された方法は、動脈を閉塞するという効果を予測するために使用されることができる。
【0143】
ユーザインターフェースはまた、3次元モデル320との相互作用が、例えば、癌性腫瘍を除去するときなど、所定の外科的処置において生じることがある動脈損傷または動脈の除去をシミュレートするのを可能とする。モデルはまた、患者のために適切な血流を供給するための側副経路の可能性を予測するために所定の動脈を流れる血流を防止するという効果をシミュレートするために変更されることができる。
A.異なる治療の選択肢の比較に対する低次モデルの使用
【0144】
例示的な実施形態において、コンピュータシステムは、ユーザが3次元ソリッドモデル320またはメッシュ380を低次モデルと置き換えることによってより迅速に様々な治療の選択肢をシミュレートするのを可能とすることができる。
図27は、例示的な実施形態にかかる低次モデルを使用して様々な治療の選択肢をシミュレートする方法700に関する概略図を示している。本方法700は、上述したコンピュータシステムにおいて実施されることができる。
【0145】
血流または他のパラメータを表す1つ以上の患者固有のシミュレートされた血流モデルは、上述したコンピュータ解析から出力されることができる(ステップ701)。例えば、シミュレートされた血流モデルは、上述し且つ
図2及び
図3に示された方法を使用して提供される、
図1のシミュレートされた血圧モデル50、
図1のシミュレートされた血流モデル52、
図1のcFFRモデル54などを含むことができる。上述するように、シミュレートされた血流モデルは、患者の解剖学的構造の3次元幾何学的形状モデルを含むことができる。
【0146】
機能的情報は、低次モデルについての条件を指定するためにシミュレートされた血流モデルから抽出されることができる(ステップ702)。例えば、機能的情報は、上述したコンピュータ解析を使用して判定された血圧、流量または速度情報を含むことができる。
【0147】
低次(例えば、0次元または1次元)モデルは、ステップ701において生成される患者固有のシミュレートされた血流モデルを生成するために使用される3次元ソリッドモデル320を置き換えるために提供されることができ、低次モデルは、患者における冠状動脈血流に関する情報を判定するために使用されることができる(ステップ703)。例えば、低次モデルは、
図3のステップ310に関連して上述したように生成された集中定数モデルとすることができる。それゆえに、集中定数モデルは、
図17〜
図19のメッシュ380に関連する式のより複雑なシステムを解く必要なく、患者における冠状動脈血流に関する情報を判定するために使用されることができる患者の解剖学的構造の簡略化したモデルである。
【0148】
そして、ステップ703における低次モデルの解から判定される情報は、患者の解剖学的構造の3次元ソリッドモデル(例えば、ソリッドモデル320)にマッピングまたは外挿されることができ(ステップ704)、ユーザは、ユーザによって選択されることができる様々な治療の選択肢をシミュレートするために必要に応じて低次モデルに変更することができ及び/または患者についての生理学的パラメータに変更することができる(ステップ705)。選択可能な生理学的パラメータは、心拍出量、運動または労作レベル、充血のレベル、薬の種類などを含むことができる。選択可能な治療法の選択肢は、狭窄を除去すること、バイパスを追加することなどを含むことができる。
【0149】
そして、低次モデルは、ユーザによって選択された治療の選択肢及び/または生理学的パラメータに基づいて変更されることができ、変更された低次モデルは、選択された治療の選択肢及び/または生理学的パラメータに関連する患者における冠状動脈血流量に関する情報を判定するために使用されることができる(ステップ703)。そして、ステップ703における低次モデルの解から判定された情報は、患者の解剖学的構造における冠状動脈血流に対する選択された治療の選択肢及び/または生理学的パラメータの効果を予測するために患者の解剖学的構造の3次元ソリッドモデル320にマッピングまたは外挿されることができる(ステップ704)。
【0150】
ステップ703〜705は、互いに及び未治療の患者における冠状動脈血流に関する情報に対する様々な治療の選択肢の予測された効果を比較するために様々な異なる治療の選択肢及び/または生理学的パラメータについて繰り返されることができる。その結果、様々な治療の選択肢及び/または生理学的パラメータについての予測された結果は、3次元メッシュ380を使用したより複雑な解析を再実行する必要なく、互いに及び未治療の患者についての情報に対して評価されることができる。代わりに、低次モデルが使用されることができ、ユーザがより容易に且つ迅速に異なる治療の選択肢及び/または生理学的パラメータを解析して比較するのを可能とすることができる。
【0151】
図28は、例示的な実施形態にかかる低次モデルを使用して様々な治療の選択肢をシミュレートするための例示的な方法のさらなる態様を示している。本方法700は、上述したコンピュータシステムにおいて実施されることができる。
【0152】
図3のステップ306に関連して上述したように、患者固有の幾何学的形状モデルは、患者についての撮像データに基づいて生成されることができる(ステップ711)。例えば、撮像データは、
図2のステップ100において得られたCCTAデータを含むことができ、幾何学的形状モデルは、
図3のステップ306において生成された
図8のソリッドモデル320及び/または
図3のステップ312において生成された
図17〜
図19のメッシュ380とすることができる。
【0153】
患者固有の3次元幾何学的形状モデルを使用して、コンピュータ解析は、例えば、
図3のステップ402に関連して上述したように、患者の冠状動脈血流に関する情報を判定するために行うことができる(ステップ712)。コンピュータ解析は、血流を表す1つ以上の3次元の患者固有のシミュレートされた血流モデル、または、例えば
図1のシミュレートされた血圧モデル50、
図1のシミュレートされた血流モデル52、
図1のcFFRモデル54などの他のパラメータを出力することができる。
【0154】
シミュレートされた血流モデルは、モデルの解剖学的特徴に基づいて、(例えば、
図14に関連して上述したように)セグメンテーションされることができる(ステップ713)。例えば、主冠状動脈から伸びる枝は、別個のセグメントに設けられることができ(ステップ714)、狭窄を有する部分または罹患領域は、別個のセグメントに設けられることができ(ステップ716)、枝と狭窄を有する部分または罹患領域との間の部分は、別個のセグメントに設けられることができる(ステップ715)。様々な程度の解像度は、各血管が例えば血管全体を含む複数の短い別個のセグメントまたはより長いセグメントを含むことができるように、シミュレートされた血流モデルをセグメンテーションする際に設けられることができる。また、中心線を生成して生成された中心線に基づいて区画化することまたは枝点を検出して検出された枝点に基づいて区画化することを含むシミュレートされた血流モデルをセグメンテーションするために様々な技術が提供されてもよい。罹患部及び狭窄は、例えば、中心線の長さに沿って断面積を測定して局所的に最小断面積を算出することによって特定されることができる。ステップ711〜716は、
図27のステップ701のサブステップと考えられることができる。
【0155】
セグメントは、
図15に関連して上述したように、抵抗器、コンデンサ、インダクタなどの集中定数モデルの要素によって置き換えることができる。抵抗、コンデンサ、インダクタンス及び集中定数モデルで使用される他の電気部品に関連する他の変数についての個々の値は、ステップ712において提供されたシミュレートされた血流モデルから導出されることができる。例えば、枝及び枝と狭窄を有する部分または罹患領域との間の部分について、シミュレートされた血流モデルから導出された情報は、対応するセグメントに対して線形抵抗を割り当てるために使用されることができる(ステップ717)。狭窄または罹患領域などの複雑な幾何学的形状を有する部分について、抵抗は流量によって変化することがある。それゆえに、複数のコンピュータ解析は、
図15に関連して上述したように、これらの複雑な幾何学的形状についての患者固有、血管固有及び病変固有の抵抗関数を導出するために、様々な流量及び圧力の条件についてシミュレートされた血流モデルを得るために使用されることができる。したがって、狭窄を有する部分または罹患領域について、これらの複数のコンピュータ解析から導出される情報または以前のデータから導出されるモデルは、セグメントに対応する非線形の流量依存抵抗を割り当てるために使用されることができる(ステップ718)。ステップ717及び718は、
図27のステップ702のサブステップと考えられることができる。
【0156】
ステップ717及び718において判定された抵抗を使用して、低次(例えば、0次元または1次元)モデルが生成されることができる(ステップ719)。例えば、低次モデルは、
図3のステップ310と関連して上述したように生成された集中定数モデルとすることができる。それゆえに、集中定数モデルは、
図17〜
図19のメッシュ380に関連する式のより複雑なシステムを解く必要なく、患者における冠状動脈血流に関する情報を判定するために使用されることができる患者の解剖学的構造の簡略化されたモデルである。
【0157】
ユーザインターフェースは、ユーザがステップ719において作成された低次モデルと相互作用するのを可能とするように設けられることができる(ステップ720)。例えば、ユーザは、異なる治療の選択肢をシミュレートするために低次モデルの異なるセグメントを選択して編集することができ及び/または様々な生理学的パラメータを編集することができる。例えば、罹患領域の修復のためのステントの挿入などの介入は、ステントが挿入されるセグメントの抵抗を減少させることによってモデリングされることができる。バイパスを形成することは、罹患したセグメントに並列な低抵抗を有するセグメントを追加することによってモデリングされることができる。
【0158】
変更された低次モデルは、治療下の患者における冠状動脈血流及び/またはステップ720において選択された生理学的パラメータの変化に関する情報を判定するために解くことができる(ステップ721)。そして、ステップ721において判定された各セグメントにおける流量及び圧力に対する解値は、ステップ712において判定された3次元解と比較されることができ、いかなる差異も、解が一致するまで(例えば、ステップ717及び718において判定されたような)セグメントの抵抗関数を調整して低次モデルを解く(例えば、ステップ721)ことによって最小化されることができる。その結果、低次モデルが作成されることができ、そして、(例えば、完全な3次元モデルと比較して)相対的に迅速な計算を可能とするように簡略化された式のセットによって解決されることができ、完全な3次元計算解法の結果を密接に近似することができる流量及び圧力を解くために使用されることができる。低次モデルは、様々な異なる治療の選択肢をモデリングするために比較的迅速な反復処理を可能とする。
【0159】
そして、ステップ721における低次モデルを解くことから判定された情報は、患者の解剖学的構造の3次元ソリッドモデル(例えば、ソリッドモデル320)にマッピングされるかまたは外挿されることができる(ステップ722)。ステップ719〜722は、
図27のステップ703〜705と同様とすることができ、治療の選択肢及び/または生理学的パラメータの異なる組み合わせをシミュレートするためにユーザによって必要に応じて繰り返されることができる。
【0160】
あるいは、(例えば、ステップ717及び718について上述したように)3次元モデルからセグメントに沿って抵抗を計算するよりもむしろ、中心線に沿って間隔をあけた流量及び圧力は、集中定数または1次元モデルに規定されることができる。効果的な抵抗または損失係数は、境界条件と所定の流量及び圧力の制約下で解くことができる。
【0161】
また、個々のセグメントにわたる流速及び圧力勾配は、(例えば、ステップ721について上述したように)低次モデルから導出される解を使用して心外膜冠状動脈の抵抗を計算するために使用されることができる。心外膜冠状動脈の抵抗は、心外膜冠状動脈(医用画像データから再構成された患者固有のモデルに含まれる冠状動脈及びそこから伸びる枝の一部)の等価抵抗として計算されることができる。これは、冠動脈におけるびまん性アテローム性動脈硬化症の患者が虚血(血液供給の制限)の症状を呈することがある理由を説明する際に臨床的意義を有することができる。また、シミュレートされた薬理学的誘発性充血または運動強度を変化させる条件下での単位心筋組織の体積(または質量)あたりの流量及び/または単位心仕事量あたりの流量は、低次モデルからのデータを使用して計算することができる。
B.治療の選択肢を最適化するための患者固有の幾何学的形状モデルの変更
【0162】
ユーザが内腔を広げるためにソリッドモデル320内の幾何学的形状を改変するのを可能とし且つユーザが様々な治療の選択肢に基づいて低次モデルを変更するのを可能とするための上述した技術に加えて、患者固有の幾何学的形状モデルを変更することによって治療の選択肢を自動的に評価するためにシステム及び方法の他の実施形態がここで開示される。例えば、上述したように、心臓専門医は、3次元の患者固有の幾何学的形状モデルを検査し、心臓専門医が優れた血流特性を提供することができると考えている治療の選択肢を反映するようにモデルを変更することを決定することができる。さらに、心臓専門医は、心臓専門医が改善された血液の流動特性に関する心臓専門医の考えが正しいかどうかを計算するために幾何学的形状モデルに対して行う変更に基づいて低次モデルを更新するためにコンピュータシステムを動作させることができる。
【0163】
しかしながら、患者固有の幾何学的形状モデルを変更することによって治療の選択肢を自動的に評価するために追加の実施形態がここで記載される。例えば、コンピュータシステムは、心臓病専門医が必ずしも知らない治療の選択肢が血液流動性を改善するためにも、患者固有の幾何学的形状モデルを自動的に変更し、治療の選択肢を評価することができる。さらに、コンピュータは、数百または数千もの異なる可能な治療の選択肢を反映するために数百または数千時間も患者固有の幾何学的形状モデルを自動的に変更することができる。例えば、コンピュータシステムは、例えば低次モデリングを使用してモデルを自動的に解析することにより、バイパス移植及び/またはステント介入の多数の異なる可能な位置及び種類を自動的にモデリングすることができ、それらの多数の種類の介入の実施に基づいて患者の冠状幾何学的形状をモデリングすることができ、そして、1つ以上の適切なまたは所望の介入を自動的に特定することができる。以下により詳細に説明するように、コンピュータ40(
図1)などの任意の種類のコンピュータシステムは、
図29の例示的な方法にかかる患者固有の撮像データを処理して評価するために使用されることができる。
【0164】
図29は、患者固有の幾何学的形状モデルを変更することによって治療の選択肢を自動的に評価する方法800を示している。示されるように、方法800は、画像データ及び生理学的情報から患者固有の幾何学形状モデルを生成することを含むことができる(ステップ802)。例えば、撮像データは、
図2のステップ100において得られたCCTAデータを含むことができ、形成された幾何学的形状モデルは、
図3のステップ306において生成された
図8のソリッドモデル320及び/または
図3のステップ312において生成された
図17〜
図19のメッシュ380とすることができる。
【0165】
そして、方法800は、(例えば、(
図14に関連して上述したように)モデルの解剖学的特徴に基づいてシミュレートされた血流モデルをセグメンテーションすることと、患者固有の幾何学的形状モデルに基づいて低次モデルを作成することとを含むことができる(ステップ804)。まず、中心線を生成して生成された中心線に基づいて区画化することまたは枝点を検出して検出された枝点に基づいて区画化することを含むシミュレートされた血流モデルをセグメンテーションするために様々な技術が提供されることができる。罹患部及び狭窄は、例えば、中心線の長さに沿って断面積を測定して局所的な最小断面積を算出することによって特定されることができる。セグメントは、
図15に関連して上述したように、抵抗器、コンデンサ、インダクタなどの集中定数モデルの要素によって置き換えることができる。抵抗、コンデンサ、インダクタンス及び集中定数モデルで使用される他の電気部品に関連する他の変数についての個々の値は、シミュレートされた血流モデルから導出されることができる。例えば、例えば、枝及び枝間の部分及び狭窄を有する部分または罹患領域について、シミュレートされた血流モデルから導出された情報は、対応するセグメントに対して線形抵抗を割り当てるために使用されることができる。
【0166】
そして、低次(例えば、0次元または1次元)モデルは、判定された抵抗を使用して生成されることができる。例えば、低次モデルは、
図3のステップ310に関連して上述したように生成された集中定数モデルとすることができる。それゆえに、集中定数モデルは、
図17〜
図19のメッシュ380に関連する式のより複雑なシステムを解く必要なく、患者における冠状動脈血流に関する情報を判定するために使用されることができる患者の解剖学的構造の簡略化されたモデルである。
【0167】
変更された低次モデルは、患者における冠動脈血流に関する情報を判定するために解くことができる(ステップ806)。例えば、患者固有の3次元幾何学的形状モデルを使用して、コンピュータ解析は、例えば、
図3のステップ402に関連して上述したように、患者の冠状動脈血流に関する情報を判定するために行うことができる。コンピュータ解析は、例えば、
図1のシミュレートされた血圧モデル50、
図1のシミュレートされた血流モデル52、
図1のcFFRモデル54などの血流または他のパラメータを表す1つ以上の3次元の患者固有のシミュレートされた血流モデルを出力することができる。それゆえに、複数のコンピュータ解析は、
図15に関連して上述したように、これらの複雑な幾何学的形状についての患者固有、血管固有及び病変固有の抵抗関数を導出するために、様々な流量及び圧力条件についてのシミュレートされた血流モデルを得るために使用されることができる。
【0168】
その一方で、方法800はまた、複数の治療の選択肢を反映するように生成された患者固有の幾何学的形状モデルを変更するための幾何学的形状変更技術を実施することを含むことができる(ステップ808)。任意の適切なコンピュータモデリングまたはコンピュータ支援製図技術は、患者固有の幾何学的形状モデルに関連するメッシュを変更するために使用されることができる。例えば、1つの実施形態において、幾何学的形状領域の変更技術は、治療された元の患者の動脈の幾何学的形状を合成するための空間領域構成(CSG)結合法を実行するために使用されることができる。他の実施形態において、元の患者の動脈の幾何学的形状のメッシュモデルを提案された治療された動脈の幾何学形状へと変形するために弾性変形変更技術が使用されることができる。幾何学的形状領域変更及び弾性変形変更技術の例示的な実施形態は、以下により詳細に説明される。
【0169】
方法800は、さらに、全ての可能な治療の選択肢をモデリングするために1つ以上の変更技術を使用することを含むことができる(ステップ810)。例えば、変更技術は、患者の動脈樹の全ての可能な位置におけるステントの挿入をシミュレートすることができる。変更技術は、公知の商業ステントの幾何学的形状のデータベースに基づいて、ステントの半径及び長さの全ての組み合わせ及び/または全ての市販のステントを含む全ての可能なステントの挿入をシミュレートすることができる。さらに、幾何学的形状の変更技術は、任意の適切な位置における複数のステントの挿入をシミュレートすることができる。例えば、複数の動脈枝を有する患者の動脈樹を考えると、変更技術は、ステントを配置することができる各動脈枝に沿った全ての位置を特定するために使用されることができる。さらに、可能な位置は、患者の幾何学的形状モデルがステント自体よりも大幅に短いステント位置のずれを変更するように重複されることができる。同様に、変更技術は、バイパス移植の全ての可能な位置及びバイパス移植の全ての可能な大きさと向きについて適用されることができる。コンピュータシステムはまた、PCI及び/またはCABG介入の任意の可能な組み合わせのために変更技術を適用することができる。
【0170】
1つの実施形態において、コンピューティングシステムは、患者の冠状血管系内の全ての単一の実行可能な位置についての可能な治療の選択肢のセットを生成することができる。他の実施形態において、コンピューティングシステムは、エネルギー損失の所定の閾値レベルまたはいくつかの他の流れ特性を有する患者の冠状血管系のセクションについての可能な治療の選択肢のセットを生成することができる。例えば、ステップ806において患者の冠状動脈血流特性を解く際に、コンピューティングシステムは、0.75未満のFFR値または動脈セグメント間で5%超低下したFFR値などの所定の血流特性を有するそれらのセグメントを特定することができる。そして、コンピューティングシステムは、様々なステント及び/またはバイパス移植片の全ての可能な種類、サイズ及び向きについて、上述した幾何学的形状の変更技術を使用してこれらのセグメントについての潜在的な治療の選択肢のセットを生成することができる。
【0171】
全ての可能な治療の選択肢のセットが指定されると、方法800は、各治療の選択肢に対応する低次モデルの推定されたパラメータを使用して全ての治療の選択肢についての低次モデルの反復解法を行うことを含むことができる(ステップ812、806)。具体的には、低次モデルは、各可能な治療の選択肢について効率的に実行されることができる。1つの実施形態において、低次モデルは、3次元計算流体力学モデルの固有の抵抗を表す抵抗器のネットワークとすることができる。固有の抵抗は、抵抗性セグメントのエンドポイントを選択し、例えばステップ806において解かれる術前の結果を使用してそれらのノード及びこれらのノードを接続するセグメントを通る流れにおける圧力を判定し、オームの法則を使用して抵抗値を計算することによって計算されることができる。低次モデルは、患者固有の幾何学的形状モデルの境界条件として定義される抵抗に結合されることができる。
【0172】
各可能な治療の選択肢についての低次モデルを解くために、可能な治療の選択肢に関連する推定されたパラメータは、低次モデルを変更するために使用されることができる。例えば、抵抗モデルの場合には、ステントについて推定された抵抗値は、ステントについての適切な位置に低次モデルに挿入されることができる。ステントについて推定された抵抗値は、ステントに適した複数の位置のいずれかに移動されることができ、低次モデルは、各可能な位置について解くことができる。
図12〜
図16に関して上述したように、各可能な治療の選択肢について生成された低次モデルは、例えば、オームの法則、キルヒホッフの電流法則及び/またはキルヒホッフの電圧法則を使用して迅速に解くことができる。
【0173】
1つの実施形態において、各治療の選択肢についての低次モデルを解くのに使用される抵抗値は、円筒内の完全に発達した流れ(すなわち、ポアズイユ流れのような)についての解析解に基づいて推定されることができる。例えば、所定のステントまたはバイパスについて、完全に発達した流れは、可能なステントまたはバイパスの公知の寸法及び幾何学的形状の長さ及び直径にわたって存在すると仮定することができる。そして、コンピュータシステムは、そのような流れに関連する抵抗値を解析的に解くことができる。そのような解析技術に代わるものとして、可能なステントまたはバイパスの選択肢に関連する抵抗値は、以前に実施されたステントまたはバイパス移植片の様々な公知の寸法及び幾何学的形状に関連する公知の抵抗値のデータベースまたはライブラリなどの履歴データから得ることができる。それゆえに、各可能な治療の選択肢の種類及び位置に関連するように計算、推定または予測された抵抗値を使用して各可能な治療の選択肢について低次モデルが作成されて解かれることができる。さらに、低次モデルは、(例えば、完全な3次元モデルと比較して)比較的迅速な計算を可能とする簡略化された式のセットを使用して作成されて解かれることができ、各治療の選択肢が与えられると、完全な3次元計算解法の結果を密接に近似することができる流量及び圧力を解くために使用されることができる。低次モデルは、様々な異なる治療の選択肢をモデリングするために比較的迅速な反復処理を可能とする。
【0174】
方法800はまた、複数の低次モデルから解かれる血流特性の1つ以上の目的関数を生成することを含むことができる(ステップ814)。適切な目的関数は、1つ以上の他の変数に対して1つ以上の変数を最適化するコスト関数または任意の他の多変数関数とすることができる。1つの実施形態において、生成された目的関数は、複数の治療の選択肢に対応する複数の低次モデルから解かれる流量特性のうちの1つ以上を最適化することができる。例えば、目的関数は、動脈流を最大化するまたはFFR損失を最小化する1つ以上の治療の選択肢を特定するために設計されることができる。1つの実施形態において、目的関数は、2012年10月19日にTimothy A. Fonteらによって提出された、脈管構造を数値的に評価するためのシステム及び方法についての米国特許出願第13/656183号に記載されたように構文スコアを最適化する1つ以上の治療の選択肢を特定するように設計されることができ、その全内容は、参照することによって本願明細書に組み込まれる。目的関数は、流量を最大化する、圧力変化を最小化するまたは血流の任意の他の所望の特性を最適化するように設計されてもよい。それゆえに、目的関数を解くことは、所望の特性を最適化する治療の選択肢(すなわち、ステントの選択/位置及び/またはバイパス移植片の選択/位置)のうちの1つ以上の特定を可能とすることができる。目的関数は、ステップ806、812において解かれる多数の低次モデルの結果について動作することから、目的関数は、数百、数千または数万もの異なる治療の選択肢の結果を迅速且つ自動的に評価することができる。
【0175】
さらに、目的関数は、可能な治療の選択肢の所定の望ましくない特性を不利にするように構成されることができる。具体的には、目的関数は、例えば、1つ以上のペナルティを有することができることから、最適な特定された治療が必ずしも絶対的な最高に最大化されたまたは最低に最小化された変数による治療ではないように設計されることができる。例えば、目的関数は、複数のステントを有する治療の選択肢に所定のペナルティを、多数の介入に大きいペナルティを適用するように設計されることができる(すなわち、ステント及びバイパス移植片の組み合わせを不利にする)。1つの実施形態において、目的関数は、ステント及び/またはバイパス移植片数の増加、大血管、小血管におけるFFR値の減少、挿入されたステントの近接さの増加(すなわち、距離の減少)、及び、分岐の存在または数のうちの1つ以上を不利にすることができる。
【0176】
1つの実施形態において、目的関数は、1つ以上の治療の選択肢の実際の及び/または推定された金銭的コストに基づいて所定の治療の選択肢を不利にすることができる。例えば、目的関数は、公知の病院費、医師料、医療機器の価格、保険払い戻しまたは異なる治療法に関連する任意の他の金銭的コストのライブラリを受信またはアクセスすることができる。コストは、様々な患者の要因、処置の地理、移植された医療器具の種類、処置に関連する病院や医師、外科的処置の複雑さなどに基づいて変化することができることが知られている。それゆえに、例えば、複雑さが増加するかまたはステント若しくはバイパスの数が増加するのにともない、予測またはモデリングされた治療の選択肢のコストもまた増加することができ、関連する治療の選択肢は、目的関数によって適宜不利にされることができる。
【0177】
換言すれば、目的関数は、それらの治療の選択肢が絶対的に最も最適化された血流特性をもたらさない場合であっても、例えば1つのステントまたは1つのバイパスを使用する単純で且つ例えば小血管よりも大血管について有意な成果をもたらす効果的な治療の選択肢を優先するように設計されることができる。そのような目的関数は、1つ以上のローカルまたはグローバルに最適化された血流特性の特定をもたらすことができる(ステップ816)。
【0178】
1つの実施形態において、目的関数が所望の流動パラメータを最適化(例えば、FFRを最小化し、流量を最大化するグローバル最適化など)する治療の選択肢を特定する場合、方法800は、特定された治療の選択肢を表示することなどによってその治療の選択肢を出力する(ステップ818)ことを含むことができる。例えば、方法800は、選択された治療の選択肢(例えば、ステントまたはバイパス移植)によって変更されるような患者固有の幾何学的形状モデルを表示することを含むことができる。追加的にまたは代替的に、方法800は、選択された治療の選択肢の文書またはテキスト説明を表示することを含むことができる。例えば、方法800は、目的関数を最適化するステント及び/またはバイパス移植片の種類、位置及び/または向きを表示することを含むことができる。
【0179】
1つの実施形態において、目的関数が比較的適しているが必ずしも最適値ではないFFR値、圧力値または流量値などの局所的な最適化を特定する場合、方法800は、必要に応じて、局所的な最適化をもたらす反復された治療の選択肢に基づいて患者固有のモデルの表面メッシュを変更することを含むことができる(ステップ820)。それゆえに、局所的に最適な治療の選択肢は、ステップ808に関連して記載される1つ以上の幾何学的形状変更技術を使用して治療の選択肢によって患者固有の幾何学的形状モデルを変更することによって新たな低次モデルを改変または作成するために使用されることができる。そのような技術は、最適な治療の選択肢の特定につながる可能性が最も高い改変された表面メッシュ及び低次モデルの効率的且つ自動的な生成を容易とすることができる。もちろん、反復された治療の選択肢に基づいて表面メッシュを変更し(ステップ820)、対応する低次モデルを作成する(ステップ804)ことによって特定される治療の選択肢は、患者固有の幾何学的形状モデル、3次元流れモデル及び/またはFFRctモデルに関連してディスプレイに出力することができる(ステップ818)。
【0180】
ステップ808に関して上述したように、患者固有の幾何学的形状モデルを変更するために、全ての可能な治療の選択肢のセットを生成するため及び血流の改変された低次モデルを生成するために表面メッシュを改変するための双方のために、複数の異なる技術が実施されてもよい。
図30は、患者固有の幾何学的形状モデルを変更するための幾何学的形状領域の変更技術の方法850を示している。一般に、幾何学的形状領域の変更は、ステント付き領域を表す構築された幾何学的形状と患者の元の血管幾何学的形状のCSG結合法を行うことによって血管径を増大させることを含むことができる。
【0181】
1つの実施形態において、ステント付き領域の幾何学的形状を構築するために陰関数が使用されることができる。
図30に示されるように、方法850は、治療されるべき血管の離散点に沿った複数の球体を定義することを含むことができる(ステップ852)。例えば、半径rを有する点[c
x,c
y,c
z]を中心とする球体は、陰関数(x−c
x)
2+(y−c
y)
2+(z−c
z)
2=r
2によって記載されることができる。それゆえに、血管に沿った離散点のシーケンス番号を定義すると、経路に沿った全ての2つの連続点(p
n,p
n+1)は、カプセルを定義するために使用されることができる。
【0182】
そして、方法850は、少なくとも1つのカプセルを生成するために定義された球体の結合を行うことを含むことができる(ステップ854)。具体的には、
図31Aの図に反映されるように、各カプセルは、各点における指定された半径の2つの球体の結合及び2つの半径を線形補間するそれらの間の円錐として定義されることができる。
【0183】
そして、方法850は、少なくとも1つのカプセルの結合内の複数のCSG格子点を特定することを含むことができる(ステップ856)。具体的には、コンピューティングシステムは、ステップ854において生成された1つ以上のカプセルの周りに十分な空間分解能の均一なCSG格子を構築することができる。
図31Bは、カプセルを形成する結合の周りの複数のCSG格子点の1つの実施形態を示している。1つの実施形態において、各格子点について、符号付きの距離は、各カプセルについて計算されることができ、全てのカプセルにわたる最小値は、各格子点に記憶されることができる。1つの実施形態において、各符号付きの距離は、
図31Bに示されるように、正の符号が表面の外側に位置する点を示し且つ負の符号が表面の内側に位置する点を示す格子点からカプセル上の最も近い点までの距離とすることができる。それゆえに、ステップ856は、ステップ854において生成された全てのカプセルの結合を表す値の格子をもたらすことができる。
【0184】
方法850は、さらに、ステップ856において生成されたCSG格子点から提案されたステント付き領域のメッシュを構築することを含むことができる(ステップ858)。例えば、マーチングキューブまたはデュアル輪郭を含む任意の適切なCSG技術は、CSG格子からの明示的な三角形メッシュを抽出することによって提案されたステントに合うように形成する血管の部分を表すために使用されることができる。
図32は、暗黙的に生成されたカプセルの結合についてマーチングキューブ技術を実行することによって作成された、提案されたステント幾何学的形状の三角形メッシュのグラフィカル表現を示している。
【0185】
方法850は、さらに、(ステップ858において形成されたような)提案されたステント付き領域のメッシュと、元の患者の幾何学的形状のメッシュとの間のCSG結合を行うことを含むことができる(ステップ860)。
図33Aは、血管の可視狭窄として現れる狭窄部を有する元の患者の幾何学的形状の三角形メッシュのグラフィカル表現を示している。
図33Bは、
図33Aに示される元の患者の幾何学的形状のメッシュと
図32に示されるステントメッシュの幾何学的形状との間においてCSG結合から生じた三角形メッシュのグラフィカル表現を示している。換言すれば、
図33Bに示される幾何学的形状のメッシュは、
図32において生成されたステントの幾何学的形状と
図33Aにおいて生成された狭窄部の幾何学的形状との統合または合成を反映する。
【0186】
図30〜
図33Bに関して上述した幾何学的形状領域の変更技術に加えて、弾性変形変更技術は、同様にまたは代替的に、患者固有の幾何学的形状モデルを変更するために使用されることができる。
図34は、患者固有の幾何学的形状モデルを変更するための弾性変形技術を実行する例示的な方法880を示している。一般に、方法880は、ステントまたはバイパス移植片などの所望の治療の選択肢の形状を表す明示的または暗示的な形状の周りの患者固有の幾何学的形状モデルの表面メッシュを変形させることを含むことができる。
【0187】
1つの実施形態において、方法880は、変形されることになる患者の幾何学的形状の表面メッシュを取得することを含むことができる(ステップ882)。例えば、表面メッシュは、ステントが挿入され且つ有限要素ソフトウェアまたは任意の種類の弾性変形シミュレータを使用して開くことができる動脈血管の部分についてセグメンテーションされることができる。方法880は、変形されることになる組織の材料特性を設定すること(ステップ884)と、表面メッシュにそれらの材料特性を割り当てることとを含むことができる。例えば、材料特性は、実際の血管組織の現実的な弾性などを定義することができる。そして、方法880は、所望の衝突幾何学的形状に対して公知のステントの幾何学的形状を適用することを含むことができる(ステップ886)。例えば、任意の適切なステントの種類、幾何学的形状またはサイズを含む可能な治療の選択肢のセットのいずれかについて、方法880は、衝突幾何学的形状として弾性変形シミュレータにそのようなステントの1つ以上の幾何学的形状表現を挿入することを含むことができる。そして、方法880は、挿入された衝突幾何学的形状の表面に接近するために、患者の元の組織幾何学的形状の表面メッシュをプッシュするために有限要素または弾性変形シミュレータを実行することを含むことができる(ステップ888)。1つの実施形態において、表面メッシュの幾何学的形状は、表面幾何学的形状が自己交差するのを可能とするのを回避するために衝突検出及び応答を行いながら、衝突の影響を捕捉するために必要に応じて改変されることができる。
【0188】
本開示は、幾何学的形状領域の変更及び弾性変形変更の実施形態を説明するが、治療の選択肢の全ての可能なセットを自動的に特定し、それらの特定された治療の選択肢を評価するために、任意の適切な種類のコンピュータグラフィックスまたは他のソリッド幾何学的形状構築技術が患者の幾何学的形状のモデルを変更するために使用可能であることが理解される。
【0189】
上述した技術の結果として、3次元血流モデリングの精度は、計算の簡便さと1次元及び集中定数モデリング技術に固有の相対速度と組み合わされることができる。3次元計算方法は、正常セグメント上の圧力損失、狭窄、接合及び他の解剖学的特徴について数値的に導出された経験的モデルが埋め込まれる患者固有の一次元または集中定数モデルを数値的に導出するために使用されることができる。心臓血管疾患を有する患者についての改善された診断が提供されることができ、医療、介入及び外科的処置の計画は、より迅速に実行されることができる。
【0190】
また、3次元計算流体力学技術の精度は、血流の集中定数及び一次元モデルの計算の簡略さと性能能力と組み合わせられることができる。3次元幾何学的形状及び生理学的モデルは、低次の1次元または集中定数モデルに自動的に分解されることができる。3次元モデルは、正常セグメント、狭窄及び/または枝を通る血流の線形または非線形の血行動態的効果を計算して経験的モデルのパラメータを設定するために使用されることができる。1次元または集中定数モデルは、患者固有モデルにおける血流及び圧力をより効率的且つ迅速に解き、集中定数または1次元の解の結果を表示することができる。
【0191】
低次の患者固有の解剖学的構造及び生理学的モデルは、心拍数、ストローク心拍出量、血圧または冠状動脈血流の冠動脈微小循環機能を変化させる異なる薬物の効果またはライフスタイルの変化(例えば、禁煙、食生活の変化または身体活動の増加)を判定するために使用されることができる。そのような情報は、医学的治療を最適化するかまたは薬物の潜在的に危険な結果を回避するために使用されることができる。低次モデルはまた、例えば、サッカーをしているとき、宇宙飛行中、スキューバダイビングをしているとき、航空機飛行中など、代替形態及び/または様々なレベルの身体活動または潜在的な外因性力への露出の危険性の冠状動脈血流に対する影響を判定するために使用されることができる。そのような情報は、特定の患者についての安全且つ有効であり得る身体活動の種類及びレベルを特定するために使用されることができる。低次モデルはまた、最適な介入戦略を選択するために冠状動脈血流に対する経皮的冠状動脈インターベンションの潜在的利益を予測するために及び/または最適な手術戦略を選択するために冠状動脈血流に対する冠状動脈バイパス移植の潜在的利益を予測するために使用されることができる。
【0192】
低次モデルはまた、冠状動脈血流に対する動脈疾患の負担の増加という潜在的に有害な影響を説明し且つ機械的なまたは現象的な疾患進行モデルまたは経験的データを使用して進行疾患が心筋への血流を危険にさらすことをもたらすことがあるときを予測するために使用されることができる。そのような情報は、非侵襲的撮像を使用して初期に血行動態的に重大な疾患のないことが観察された患者が医学的介入または外科的治療を必要とすることが予想されない可能性のある「保証期間」、あるいは、不利な要因が継続している場合に進行が生じる可能性がある速度の判定を可能とすることができる。
【0193】
低次モデルはまた、冠状動脈疾患の負担の減少に起因する冠状動脈血流に対する潜在的に有益な効果を説明し且つ機械的なまたは現象的な疾患進行モデルまたは経験的データを使用して疾患の退行が冠状動脈を通る心筋への血流の増加をもたらすことがあるときを予測するために使用されることができる。そのような情報は、これらに限定されるものではないが、食生活の変化、身体的活動の増加、スタチンまたは他の薬剤の処方などを含む医学的管理プログラムを案内するために使用されることができる。
【0194】
低次モデルはまた、医師が心臓カテーテル検査室において患者を検査しながら治療の選択肢のライブ計算を可能とするために血管造影システムに組み込まれることができる。モデルは、血管造影ディスプレイと同じ向きに位置決めされることができ、シミュレートされた血流の解による冠状動脈の血管造影のライブビューの横並びまたは重複結果を可能とする。医師は、観察が処置中に行われるのにともない治療計画を計画して変更することができ、医療の意思決定が行われる前に比較的迅速なフィードバックを可能とする。医師は、圧力、FFRまたは血流測定を侵襲的に行うことができ、測定値は、予測シミュレーションが実行される前にモデルをさらに改変するために利用されることができる。
【0195】
低次モデルはまた、医用撮像システムまたはワークステーションに組み込まれることができる。以前の患者固有のシミュレーション結果のライブラリから導出される場合、低次モデルは、撮像スキャンを完了した後に血流情報を比較的迅速に解くために幾何学的形状セグメンテーションアルゴリズムとともに使用されることができる。
【0196】
低次モデルはまた、新たな薬物治療の有効性または患者の大集団に対する治療の選択肢のコスト/利益をモデリングするために使用されることができる。複数の患者固有の集中定数モデルのデータベース(例えば、数百、数千またはそれ以上)は、比較的短い時間量で解くためにモデルを提供することができる。比較的迅速な反復及び最適化は、薬物、治療または臨床的試験のシミュレーションまたは設計のために提供されてもよい。薬物または外科的介入に対する治療、患者の応答を表すモデルに適応することは、おそらく費用がかかり且つ潜在的に危険な大規模な臨床的試験を行う必要なく取得されるように有効性を推定するのを可能とすることができる。
【0197】
任意の実施形態に記載された任意の態様は、本願明細書に記載された任意の他の実施形態で使用されることができる。本願明細書に記載された全てのデバイス及び装置は、任意の適切な医療処置で使用されることができ、任意の適切な身体内腔及び体腔を介して進むことができ、任意の適切な身体部分を撮像するために使用されることができる。
【0198】
様々な変更例及び変形例は、本開示の範囲から逸脱することなく、開示されたシステム及び方法において行うことができる。他の実施形態は、本願明細書に開示された開示の明細書及び実施を考慮すれば当業者にとって明らかであろう。明細書及び実施例は、以下の特許請求の範囲によって示される本開示の真の範囲及び精神を有する例示としてのみ考慮されることが意図される。