特許第6409121号(P6409121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409121
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】作業支援システム及び端末装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20181004BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20181004BHJP
【FI】
   B65G1/137 F
   G01S5/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-504322(P2017-504322)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2015056661
(87)【国際公開番号】WO2016142997
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】築地新 建太
(72)【発明者】
【氏名】小坂 忠義
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−122075(JP,A)
【文献】 特開2012−041099(JP,A)
【文献】 特開2007−204176(JP,A)
【文献】 特開2009−203048(JP,A)
【文献】 特開平08−258924(JP,A)
【文献】 特開2006−308361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G01S 5/02
G01S 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が装着する端末装置と、作業情報を管理するサーバ装置と、を有する作業支援システムであって、
前記端末装置は、
前記端末装置の位置を特定するための情報が入力される入力部と、
前記サーバ装置から作業指示情報を受信する通信部と、
前記作業指示情報を格納する記憶部と、
前記作業指示情報の少なくとも一部を出力する出力部と、
前記入力部、前記通信部、前記出力部及び前記記憶部に接続されるプロセッサと、を有し、
前記作業指示情報は、行われる作業の順序及び各作業が行われる作業場所の情報を含み、
前記プロセッサは、
前記端末装置の位置を特定するための情報に基づいて、作業が行われた作業場所を特定し、
前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報とに基づいて、次の作業が行われる作業場所と、前記次の作業が行われる作業場所の方位と、を特定し、
前記出力部は、
前記次の作業が行われる作業場所を示す情報、及び、前記特定された方位を示す図形を出力し、
前記特定された方位を示す図形の出力を開始してから所定の時間経過後に、前記特定された方位を示す図形の出力を終了し、前記次の作業が行われる作業場所を示す情報の出力を継続することを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業支援システムであって、
前記記憶部は、少なくとも前記作業が行われた作業場所と前記次の作業が行われる作業場所との位置関係を示すレイアウト情報を保持し、
前記プロセッサは、前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報と、前記レイアウト情報と、に基づいて、前記次の作業が行われる作業場所の方位を特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記プロセッサは、前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報と、前記レイアウト情報と、に基づいて、前記作業が行われた作業場所と前記次の作業が行われる作業場所との距離を特定し、
前記出力部は、前記特定された距離を示す情報を出力することを特徴とする作業支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業支援システムであって、
前記入力部は、無線信号の受信部を含み、
前記入力部は、前記作業が行われた作業場所において、前記無線信号を受信し、
前記プロセッサは、前記入力部が受信した無線信号に基づいて、前記作業が行われた作業場所を特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の作業支援システムであって、
それぞれが前記無線信号を送信する複数の発信装置をさらに有し、
前記複数の発信装置の各々は、それぞれが複数の前記作業場所を含むエリアに対応付けられ、
前記無線信号は、発信元である前記発信装置を識別可能な情報を含み、
前記記憶部は、前記各作業場所において受信される前記無線信号の強度を示す強度情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記入力部が受信した前記無線信号に基づいて、最も強度が大きい無線信号を送信した前記発信装置に対応する前記エリアを特定し、
前記最も強度が大きい無線信号の強度と前記強度情報とを照合することによって、前記特定されたエリア内の前記作業が行われた作業場所を特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項6】
請求項3に記載の作業支援システムであって、
それぞれが前記各作業場所に設けられ、無線信号を送信する複数の発信装置をさらに有し、
前記各発信装置から送信される前記無線信号は、それぞれ固有の識別情報を含み、
前記入力部は、前記無線信号の受信部を含み、
前記記憶部は、前記各発信装置から送信される前記無線信号に含まれる前記識別情報と前記各発信装置が設けられた前記各作業場所とを対応付ける信号管理情報を保持し、
前記プロセッサは、前記入力部が受信した前記無線信号の強度が所定の閾値を超えた場合、前記無線信号の識別情報及び前記信号管理情報に基づいて前記無線信号を送信した前記発信装置が設けられた前記作業場所を、前記作業が行われた作業場所として特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項7】
請求項3に記載の作業支援システムであって、
前記端末装置は、前記端末装置の方位を検出する方位検出部をさらに有し、
前記プロセッサは、前記方位検出部が検出した方位に対する、前記次の作業が行われる作業場所の相対的な方位を特定し、
前記出力部は、前記特定された相対的な方位を出力することを特徴とする作業支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載の作業支援システムであって、
一つ以上のマーカをさらに有し、
前記方位検出部はジャイロセンサを含み、
前記プロセッサは、前記端末装置の前記マーカに対する向きが所定の条件を満たすときの前記方位検出部の出力を基準として、前記次の作業が行われる作業場所の相対的な方位を特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項9】
請求項2に記載の作業支援システムであって、
前記各作業場所には前記各作業場所の識別情報が表示され、
前記入力部は前記識別情報の読み取り装置を含み、
前記プロセッサは、前記入力部が読み取った識別情報に基づいて前記作業が行われた作業場所を特定することを特徴とする作業支援システム。
【請求項10】
位置を特定するための情報が入力される入力部と、
行われる作業の順序及び各作業が行われる作業場所の情報を含む作業指示情報を格納する記憶部と、
前記作業指示情報の少なくとも一部を出力する出力部と、
前記入力部、前記出力部及び前記記憶部に接続されるプロセッサと、を有する、作業者が装着する端末装置であって、
前記プロセッサは、
前記入力部に前記端末装置の位置を特定するための情報が入力されると、前記入力された情報に基づいて、作業が行われた作業場所を特定し、
前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報とに基づいて、次の作業が行われる作業場所と、前記次の作業が行われる作業場所の方位と、を特定し、
前記出力部は、
前記次の作業が行われる作業場所を示す情報、及び、前記特定された方位を示す図形を出力し、
前記特定された方位を示す図形の出力を開始してから所定の時間経過後に、前記特定された方位を示す図形の出力を終了し、前記次の作業が行われる作業場所を示す情報の出力を継続することを特徴とする端末装置。
【請求項11】
請求項10に記載の端末装置であって、
前記記憶部は、少なくとも前記作業が行われた作業場所と前記次の作業が行われる作業場所との位置関係を示すレイアウト情報を保持し、
前記プロセッサは、前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報と、前記レイアウト情報と、に基づいて、前記次の作業が行われる作業場所の方位を特定することを特徴とする端末装置。
【請求項12】
請求項11に記載の端末装置であって、
前記プロセッサは、前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報と、前記レイアウト情報と、に基づいて、前記作業が行われた作業場所と前記次の作業が行われる作業場所との距離を特定し、
前記出力部は、前記特定された距離を示す情報を出力することを特徴とする端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫内で作業者が行う作業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流分野において、顧客の注文で指定された商品を仕分け、次の配送先に送る作業がある。その作業を迅速且つ正確に行うために、様々な機器及び設備が用いられている。従来は作業者が作業指示端末を手に持ちながら作業をしており、片手が塞がっていたため作業効率が落ちていた。そこで、近年はウェアラブルデバイスと呼ばれる、身に着けて扱うコンピュータ機器を用いることで、作業指示端末の機能を代替させ、両手を空けることで作業時間を削減することが期待されている。例えば、特許文献1では、頭部装着型のヘッドマウントディスプレイにカメラを搭載し、画像認識によって商品又は棚のバーコードラベルを識別して、作業対象及び作業の順番をディスプレイに表示することで「倉庫などから物品をピッキングする作業を支援する装置において、ピッキング作業を正確にかつ迅速に行わせること」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1:特開2014−122075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された技術によれば、作業者が作業を行う場所に到着したときに、その場所で行うべき作業に関する情報が表示されるが、ある場所で作業が終了したときに次の作業を行う場所を指示することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の代表的なものの一例を示すと、次の通りである。すなわち、作業者が装着する端末装置と、作業情報を管理するサーバ装置と、を有する作業支援システムであって、前記端末装置は、前記端末装置の位置を特定するための情報が入力される入力部と、前記サーバ装置から作業指示情報を受信する通信部と、前記作業指示情報を格納する記憶部と、前記作業指示情報の少なくとも一部を出力する出力部と、前記入力部、前記通信部、前記出力部及び前記記憶部に接続されるプロセッサと、を有し、前記作業指示情報は、行われる作業の順序及び各作業が行われる作業場所の情報を含み、前記プロセッサは、前記端末装置の位置を特定するための情報に基づいて、作業が行われた作業場所を特定し、前記作業が行われた作業場所と、前記記憶部に格納された前記作業指示情報とに基づいて、次の作業が行われる作業場所と、前記次の作業が行われる作業場所の方位と、を特定し、前記出力部は、前記次の作業が行われる作業場所を示す情報、及び、前記特定された方位を示す図形を出力し、前記特定された方位を示す図形の出力を開始してから所定の時間経過後に、前記特定された方位を示す図形の出力を終了し、前記次の作業が行われる作業場所を示す情報の出力を継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、次の作業を行う場所を指示する情報を出力することで、作業時間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
図2】本発明の実施例1に係る作業支援端末の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバが保持する配送先管理データベースの一例を示す説明図である。
図5】本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバが保持する仕分け対象入庫管理データベースの一例を示す説明図である。
図6】本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバが保持する作業指示情報管理データベースの一例を示す説明図である。
図7】本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバが保持する作業結果管理データベースの一例を示す説明図である。
図8】本発明の実施例1に係る作業支援端末が実行する作業情報取得処理及び作業方向表示処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第1の例の説明図である。
図10】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第2の例の説明図である。
図11】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第3の例の説明図である。
図12】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第4の例の説明図である。
図13】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第5の例の説明図である。
図14】本発明の実施例1に係る作業支援端末が出力する作業指示の第6の例の説明図である。
図15】本発明の実施例2に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
図16】本発明の実施例2に係る作業支援端末の構成の一例を示すブロック図である。
図17】本発明の実施例2に係る作業支援端末が実行する作業情報取得処理及び作業方向表示処理の一例を示すフローチャートである。
図18】本発明の実施例2に係る作業支援端末が出力する方位初期化の指示画面の一例を示す説明図である。
図19】本発明の実施例2に係る作業支援端末が出力する作業指示の一例の説明図である。
図20】本発明の実施例2に係る作業支援端末が保持する作業範囲強度管理データベースの一例を示す説明図である。
図21】本発明の実施例3に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
図22】本発明の実施例4に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例について図面を用いて説明する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、本発明は、図示した例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0009】
本発明に係る実施例1を、図1図14を用いて説明する。
【0010】
実施例1では本発明を物流分野における種蒔き仕分け作業に適用した場合の例を示す。物流分野では、配送開始から到着までの荷物の配送時間を短くすることが常に求められている。配送中の荷物は複数の中継地点を経由しながら、目的地に近い次の中継地点まで配送される。中継地点では、指定された様々な商品(物品)を各仕分け先(例えば各商品の配送先である店舗)に仕分ける作業がある。この作業を迅速に行うことで、全体の配送時間を短くすることができる。仕分け作業において、例えば一次元方向に数十の仕分け先用の棚を準備し、この方向に作業者が仕分け対象の商品を運搬して進みながら各仕分け先向けの商品をそれぞれの棚に格納する方式がある。しかし、従来はどの仕分け先に何をいくつ置くか、ということを作業者が端末の表示を見ながら判断していたため、判断時間がかかっていた。
【0011】
本実施例では、一次元方向に商品を仕分ける作業形態において、両手を空けて作業を可能にし、かつ判断時間を減らすことで作業時間を削減する技術について説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
【0013】
本実施例に係るシステムは、作業者10、作業支援端末11、ネットワーク12、作業情報管理サーバ13、及び複数の仕分け先用の棚14から構成される。
【0014】
作業支援端末11は、作業者10が身体の一部に着脱可能な計算機全般を含む、いわゆるウェアラブルデバイスと呼ばれる端末である。望ましくは、作業支援端末11は、作業者10が装着することで、作業者10の視野と同等の画像情報及び作業者10が知覚できる音声情報の少なくとも一方を提供することができる。なお、図1では省略されているが、本実施例のシステムには複数の作業者10及び複数の作業支援端末11が含まれる。
【0015】
ネットワーク12は、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、USB(Universal Serial Bus)、リモートUSB、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、ICタグ機能、TransferJET(登録商標)、LTE、HSPA(High Speed Packet Access)、又はEV−DO(Evolution Data Only)などである。作業支援端末11と作業情報管理サーバ13は、ネットワーク12を介して相互に接続できる。
【0016】
作業情報管理サーバ13は、例えばサーバ計算機であり、仕分け対象となる商品の数と仕分け先を分類し、複数の作業者10の作業指示情報を生成し、ネットワーク12を介して作業支援端末11と情報を共有できる装置である。
【0017】
仕分け先用の棚14は、仕分け先の商品を配布する先となる棚である。各棚14にはそれぞれの配置場所を示す”A−1”,”A−2”,”B−1”,”B−2”のようなコードが貼り付けられており、作業支援端末11は、配置コードの読み取り結果、および作業情報管理サーバ13の照合結果を取得することで、仕分け先用の棚14の配置場所を知ることができる。なお、以下の説明において、例えば配置場所が”A−1”である棚14を単に棚A−1とも記載する。他の配置場所の棚14についても同様である。
【0018】
実施例1では、各棚14は、図1の平面図に示すように、棚A−1〜A−10が順に一列に整列して配置され、同様に棚B−1〜B−10が別の一列に整列して配置され、棚A−1〜A−10の配列方向と棚B−1〜B−10の配列方向は同じであり、作業者10が棚A−1に向いて作業をしているときにその背後に棚B−1があるように、それぞれの列が配置される。
【0019】
なお、本実施例において、各棚14は、区分けされた一つのエリアである限り、どのような形態のものであってもよい。すなわち、各棚14は、実際には複数の物理的な棚を含んでもよいし、一つの物理的な棚のみを含んでもよいし、一つの物理的な棚をさらに細分化した区画の一つであってもよいし、いわゆるカゴ台車のような移動可能な棚であってもよいし、箱状の区画であってもよい。いずれの場合も、上記のように、各棚14はコード等によって識別され、作業情報管理サーバ13は、仕分け作業中の各棚14の位置(少なくとも、任意の二つの棚14の位置関係)を特定することができる。
【0020】
図2は、本発明の実施例1に係る作業支援端末11の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
作業支援端末11は、CPU111、通信部112、位置取得部113、作業情報出力部114、入力部115、電源供給部116、メモリ117、ストレージ118、及びバス119を備える。なお、作業支援端末11は、送受信処理部120及び出力処理部121をストレージ118に格納しており、制御処理部122がストレージ118から上記処理部に対応するプログラムモジュールをメモリ117に展開し、制御処理部122が上記プログラムモジュールを実行することで本実施例の処理を実現できる。なお、これらのプログラムモジュールは、作業支援端末11が出荷されるまでに予めストレージに格納されていても良いし、CD(Compact Disk)・DVD(Digital Versatile Disk)・BlueRayDisc(登録商標)などの光学メディアや半導体メモリ等の媒体に格納されて図示しない媒体接続部を介して装置にインストールされても良い。また、作業支援端末11が通信部112を介してネットワーク12経由で作業情報管理サーバ13からこれらのプログラムをダウンロードしてインストールすることも可能である。
【0022】
CPU111は、CPU(Central Processiong Unit)、MPU(Micro Processiong Unit)、及びDSP(Digital
Signal Processor)等の総称であり、所定のプログラムを実行する。
【0023】
通信部112は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、ICタグ機能、TransferJET(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、HSPA(High Speed Packet Access)、EV−DO(Evolution Data Only)、及びWiMAX等の無線通信機能、または、Ethernet(登録商標)等の有線通信機能を備え、各種の情報を送受信する。無線通信機能は、アンテナ、及び変復調回路等を含む。有線通信機能は、コネクタ、及び変復調回路等を含む。情報の送受信には、ネットワークを介して行うネットワーク通信と、ネットワークを介さずに各機器間で直接通信を行う直接通信(例えばBluetooth(登録商標)、ワイヤレスUSB、Felica(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Z−WAVE(登録商標)、可視光通信、赤外線通信、又はNFC(Near Field Communication)(登録商標))とを適宜切り替えて使用できる。通信部101は、複数の通信方式に対応するよう構成されても良い。
【0024】
位置取得部113は、作業支援端末11の位置を特定するための情報を取得する装置である。例えば位置取得部113はバーコードリーダ又はカメラ等であり、仕分け作業場所である各棚14の所定の位置に表示された、各棚の識別情報を含む特定の図形又は文字配列を光学的に読み取ることができる。読み取り対象である特定の図形又は文字配列には、例えば、各棚の識別情報を含む一次元バーコード、QRコード、二次元バーコード、又は、上記の「A−1」のような文字などがある。また、位置取得部113は作業支援端末11と一体であってもよいし、別の端末として手袋、又はリストバンドなどに装着して使用されてもよい。位置取得部113は、作業支援端末11と別の端末である場合、読み取り結果を無線通信によって作業支援端末11に伝送する。通信は、例えばBluetooth(登録商標)、無線LAN、リモートUSB(Universal Serial Bus)、赤外線通信、TransferJET(登録商標)、LTE、HSPA(High Speed Packet Access)、EV−DO(Evolution Data Only)などを介して行われる。また、位置取得部113はカメラであり、特定の図形または文字配列を画像として認識することで、対象を識別してもよい。
【0025】
なお、入力部115がカメラ又はバーコードリーダ等を含む場合には、それらが読み取った情報に基づいて作業支援端末11の位置を特定することができるため、位置取得部113は不要である。言い換えると、位置取得部113が入力部115に含まれてもよい。
【0026】
作業情報出力部114は、例えば後述する作業情報等を作業者10に対して出力する機能を有し、具体的には例えば作業情報をヘッドマウントディスプレイとして光学的に反射板に反射させて作業者10の視野に投影するか、作業者10の網膜に直接投影してもよい。
【0027】
入力部115は、キーボード、マウス、カーソルキー、及びテンキー等の一または複数を備え、ユーザの操作を受け付け、当該操作に基づいた入力信号をCPU111に入力する。なお、入力部115は、マイク又はカメラを備え、音声認識、画像認識、またはジェスチャ認識等によって入力信号を生成し、生成した入力信号をCPU111に入力しても良い。なお、タッチパネルのように、作業情報出力部114と入力部115とが一体となった構成であっても良い。また、入力部115は同様の機能を持つ処理部として、作業支援端末11と離れた場所に設置され、ネットワーク12又は機器間の直接通信を介して当該操作に基づいた入力信号をCPU111に入力しても良い。
【0028】
電源供給部116は、バッテリ、ACアダプタ、及び充電回路等から構成され、作業支援端末11の各部への電源供給及びバッテリへの充電を行う。また、電源供給部116は、作業支援端末11のバッテリの残量確認を行う。
【0029】
メモリ117は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などから構成され、制御処理部122の指示によって制御される。メモリ117に、ストレージ118に格納しているアプリケーションプログラムの機能部が展開される。
【0030】
ストレージ118は、作業支援端末11に内蔵される記録媒体、取り外し可能な外部記録媒体又は光ディスクなどから構成され、各種の情報を記憶する。例えば、ストレージ118は、制御処理部122の指示によって制御され、アプリケーションプログラムを保存することができる。また、ストレージ118は、アプリケーションプログラムで作成した各種情報、例えば、各作業者10への作業指示を管理する個別作業指示情報123等を保存する。
【0031】
バス119は、作業支援端末11の各部が相互に信号を伝送するための伝送路である。
【0032】
図3は、本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバ13の構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
作業情報管理サーバ13は、CPU131、通信部132、表示部133、入力部134、電源供給部135、メモリ136、ストレージ137、及びバス138を備える。これらの各部のうち、図2に示したものと同名の部分に関する説明は、それぞれ図2の各部について既に行った説明と共通するため、ここでは省略する。
【0034】
表示部133は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ、電子ペーパー等のパネル及びドライバ回路等から構成され、制御処理部141の制御下にて任意の情報(例えば、文字、静止画、及び動画等)を表示する。なお、表示部133は、それぞれ異なる情報を表示可能な複数のパネルを有してもよい。
【0035】
メモリ136は、送受信処理部139、作業指示生成処理部140及び制御処理部141を格納する。また、ストレージ137は、配送先管理データベース142、仕分け対象入庫管理データベース143、作業指示情報管理データベース144、作業結果管理データベース145及びレイアウト情報146を格納する。これらに関する説明は後述する。
【0036】
なお、本明細書において、CPU111又はCPU131がメモリ117又はメモリ136に格納されたプログラムモジュールに基づいて実行する処理を、当該プログラムモジュールに対応する処理部が実行する処理として説明する場合がある。例えば、制御処理部122が実行する処理は、実際には、メモリ117に格納された制御処理部122に対応するプログラムモジュールに従って、CPU111が実行する。他の処理部についても同様である。
【0037】
ここで、作業情報管理サーバ13が実行する作業指示情報生成処理及びそのために参照する情報について説明する。
【0038】
作業指示生成処理部140は、配送先管理データベース142、仕分け対象入庫管理データベース143を参照し、配送先と配送対象の商品個数に基づいて、各作業者10向けの作業対象を分配する。
【0039】
図4は、本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバ13が保持する配送先管理データベース142の一例を示す説明図である。
【0040】
配送先管理データベース142の各レコードが、一つの配送先に配送される一つの品目の商品に対応する。言い換えると、各レコードは、一つの品目の商品を、一つの配送先に仕分ける、一つの仕分け作業に対応する。各レコードは、シーケンス番号1421、配送先店舗名1422、配送先店舗コード1423、仕分け場所1424、配送対象商品名1425、箱単位仕分け個数1426、及び単品仕分け個数1427を含む。
【0041】
シーケンス番号1421は、各レコードを識別する番号である。配送先店舗名1422及び配送先店舗コード1423は、各レコードに対応する商品の配送先を識別する情報である。
【0042】
仕分け場所1424は、各レコードに対応する配送先に対応する棚14を識別する情報である。例えば図1に示すように棚14が配置されている場合、仕分け場所1424の値は、棚A−1〜A−10又は棚B−1〜B−10のいずれかとなる。仕分け場所1424の値は、単に各棚14を識別する情報であってもよいし、各棚14の配置場所を示す情報(例えば座標値)を含んでもよい。図1の例において、A−1〜A−10、B−1〜B−10といった値のうち、A、Bはそれぞれ各棚14が属する列を示し、1〜10はそれぞれ各棚14の各列の一端からの距離の大きさを示している。このため、A−1等の値は各棚14を識別するだけでなく、その配置場所を示す情報も含んでいると言える。
【0043】
配送対象商品名1425は、各レコードに対応する配送対象の商品の品目の名称である。箱単位仕分け個数1426及び単品仕分け個数1427は、各レコードに対応する配送対象の商品の数を示す。図5に示すように一つの箱に同一品目の商品が複数梱包されている場合、箱単位仕分け個数1426は箱の数を示し、単品仕分け個数1427は箱から取り出された商品の数を示す。一般に、各品目の商品は所定の個数ずつ箱に梱包されて運搬され、可能であればそのまま仕分けられるが、各配送先に配送される商品の数が一つの箱に梱包された個数の整数倍でない場合には、端数分の商品は箱から取り出されて仕分けられる。このような場合に仕分けられる箱の数及び箱から取り出された商品の数がそれぞれ箱単位仕分け個数1426及び単品仕分け個数1427として管理される。
【0044】
なお、配送先店舗、仕分け対象商品及び仕分け個数は毎日のオーダー状況によって異なる。また1日の間でも突発的に変更されることもある。
【0045】
図5は、本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバ13が保持する仕分け対象入庫管理データベース143の一例を示す説明図である。
【0046】
仕分け対象入庫管理データベース143の各レコードが、倉庫に入庫している仕分け対象の一つの品目の商品に対応する。各レコードは、シーケンス番号1431、仕分け対象商品名1432、仕分け対象商品コード1433、箱単位個数1434、箱当たりの単品個数1435、及び入荷日1436を含む。
【0047】
シーケンス番号1431は、各レコードを識別する番号である。仕分け対象商品名1432及び仕分け対象商品コード1433は、入庫している各仕分け対象商品の品目を識別する情報である。箱単位個数1434及び箱当たりの単品個数1435は、それぞれ、入庫した各品目の商品が入っている箱の数及びそれぞれの箱に入っている商品の数を示す。これらによって、入庫した各品目の商品の数が特定される。
【0048】
次に、作業指示生成処理部140は、作業対象を分配した結果に基づいて、作業者ごとの作業指示情報を作成し、作業指示情報管理データベース144に記録する。
【0049】
図6は、本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバ13が保持する作業指示情報管理データベース144の一例を示す説明図である。
【0050】
作業指示情報管理データベース144の各レコードは、一人の作業者10への、一つの品目の商品の一つの配送先への仕分け作業の指示に対応する。作業指示情報管理データベース144は、例えば、配送先管理データベース142の各レコードに対応する仕分け作業を各作業者10に割り当てることによって生成される。具体的には、各レコードは、シーケンス番号1441、作業予定日1442、対象作業者ID1443、仕分け場所1444、仕分け対象商品名1445、対象商品コード1446、箱単位仕分け個数1447、及び単品仕分け個数1448を含む。
【0051】
これらのうち、シーケンス番号1441は各レコードを識別する番号であり、仕分け場所1444、仕分け対象商品名1445、箱単位仕分け個数1447、及び単品仕分け個数1448は、それぞれ配送先管理データベース142の仕分け場所1424、配送対象商品名1425、箱単位仕分け個数1426、及び単品仕分け個数1427に対応し、対象商品コード1446は仕分け対象入庫管理データベース143の仕分け対象商品コード1433に対応し、作業予定日1442及び対象作業者ID1443はそれぞれ各レコードに対応する仕分け作業が行われる予定の日及びその仕分け作業が割り当てられた作業者10の識別情報である。
【0052】
一つの品目に関する全作業者の箱単位仕分け個数1447の合計値及び単品仕分け個数1448の合計値から特定される商品の個数は、仕分け対象入庫管理データベース143の箱単位個数1434及び単品個数1435から特定される当該品目の商品の個数と一致する。また、仕分け場所1444は、図1の棚14に対応付けられる。
【0053】
レイアウト情報146は、各棚14の配置位置を示す情報である。レイアウト情報146の代表的な例は、各棚14の座標値であるが、任意の二つの棚14の位置関係を特定できる情報を含む限り、どのような種類の情報であってもよい。例えば、上記のように作業指示情報管理データベース144の仕分け場所1444が各棚14の配置場所を示す情報を含む場合には、これをレイアウト情報146として使用することができる。仕分け場所1444が各棚14の単なる識別情報である場合には、レイアウト情報146が例えば各棚14の識別情報と各棚の座標値とを対応付ける情報を含む。
【0054】
図8は、本発明の実施例1に係る作業支援端末11が実行する作業情報取得処理及び作業方向表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
制御処理部122は、通信部112を介して作業情報管理サーバ13から作業情報を取得し、個別作業指示情報123として保存する(S201)。個別作業指示情報123は、作業指示情報管理データベース144(図6)に格納されている情報の一部と同等である。
【0056】
具体的には、例えば、作業情報管理サーバ13は、作業指示情報管理データベース144に格納されている作業指示情報のうち、対象作業者ID1443が「001」であるレコードの情報を、識別番号(ID)「001」によって識別される作業者10が使用する作業支援端末11に送信する。作業支援端末11は、受信した情報を個別作業指示情報123としてストレージ118に格納する(S201)。すなわち、個別作業指示情報123は各作業者10が行うべき仕分け作業の内容(仕分け作業場所及び対象商品の個数等)及び順序を特定するリストであり、例えばシーケンス番号1441が各作業の実行順序を示してもよい。
【0057】
作業情報管理サーバ13は、作業指示情報管理データベース144に格納されている作業指示情報に含まれる各作業者10の担当分のレコードの情報を全て各作業者10の作業支援端末11に送信してもよいが、それらのうち実行順序が早い一部のレコードの情報のみを送信してもよい。実際の作業の負荷の重さ及び各作業者10の能力によって各作業者10の作業の進捗がばらつく可能性があるため、作業情報管理サーバ13は、実際の進捗に応じてまだ送信していない作業指示を担当する作業者10を変更し、適切なタイミングで送信してもよい。これによって、倉庫全体で仕分け作業の分担を最適化することができる。
【0058】
上記のように仕分け場所1444がレイアウト情報146に相当する場合には、これによってレイアウト情報146も作業支援端末11に複製される。仕分け場所1444が単なる識別情報である場合には、作業情報管理サーバ13がレイアウト情報146の複製を作業支援端末11に送信し、作業支援端末11が受信した複製をストレージ118に格納してもよい。
【0059】
なお、レイアウト情報は、図8に示す処理において、次の仕分け場所が特定されたときに、現在の作業者10の位置(例えば現在の仕分け場所)から当該次の仕分け場所までの方位及び距離を特定するために使用される。したがって、作業支援端末11は、上記のようなレイアウト情報を保持する代わりに、現在の作業者10の位置と当該次の仕分け場所とを識別する情報を作業情報管理サーバ13に送信し、作業情報管理サーバ13がレイアウト情報146を参照して現在の作業者10の位置と当該次の仕分け場所との位置関係を示す情報を作業支援端末11に送信し、作業支援端末11が受信した情報をレイアウト情報として保持し、それに基づいて方位及び距離を特定してもよい。
【0060】
次に、出力処理部121は指示結果を作業情報出力部114に出力する(S202)。
【0061】
図9図14は、それぞれ、本発明の実施例1に係る作業支援端末11が出力する作業指示の第1〜第6の例の説明図である。以下、必要に応じてこれらの図を参照して表示画面を説明する。
【0062】
図9は、S202で出力された指示結果の表示の一例である。図9のように、作業支援端末11の作業情報出力部114によって表示される画面は、その中心に次の仕分け場所151の表示を含み、さらにその下に箱単位の仕分け個数152及び単品の仕分け個数153の表示を含む。これらは、個別作業指示情報123に含まれる情報の一部である。なお、図9の画面は作業開始時(すなわち最初の仕分け先の棚14への仕分け作業を開始するとき)のみ表示され、それ以後の画面には図10図11図12のように方向を示す図形が付加される。
【0063】
作業支援端末11を使用する作業者10は、図9の表示を確認し、仕分け先である棚A−1に指定商品(すなわち当該作業者10が運搬している商品)を配置し、位置取得部113が仕分け先を読み取る(S203)。具体的には、例えば作業者10が位置取得部113に相当するバーコードリーダ又はカメラを操作して、棚A−1に表示されたバーコードを読み取ってもよいし、カメラを操作して棚A−1に表示された「A−1」という文字を読み取ってもよい。S203の作業を行った瞬間に、作業支援端末11は現在の仕分け作業場所が棚A−1であることを判別できる。
【0064】
次に、制御処理部122は、位置取得部113の読み取り結果と個別作業指示情報123の仕分け場所1444を比較する(S204)。比較結果が一致する場合(S204のYes)、送受信処理部120は、通信部112を介して読み取り日時、箱単位仕分け個数1447、及び単品仕分け個数1448を作業情報管理サーバ13に送信する(S205)。
【0065】
図7は、本発明の実施例1に係る作業情報管理サーバ13が保持する作業結果管理データベース145の一例を示す説明図である。
【0066】
作業結果管理データベース145の各レコードは、シーケンス番号1451、作業日時1452、対象作業者ID1453、仕分け場所1454、仕分け対象商品1455、箱単位仕分け個数1456、単品仕分け個数1457を記録する。正しく作業が行われた場合、作業日時1452の日付部分、対象作業者ID1453、仕分け場所1454、仕分け対象商品1455、箱単位仕分け個数1456及び単品仕分け個数1457は、それぞれ、作業指示情報管理データベース144の作業予定日1442、対象作業者ID1443、仕分け場所1444、仕分け対象商品名1445、箱単位仕分け個数1447及び単品仕分け個数1448と同一になり、実際に作業が行われた時刻が作業日時1452に追加される。
【0067】
次に、制御処理部122は、個別作業指示情報123を参照して全部の作業が完了したかを確認する(S206)。全ての作業が完了した場合(S206のYes)、制御処理部122は処理を終了する。未完了の場合(S206のNo)、出力処理部121はS207において、S203で判別した現在の仕分け場所と次の仕分け場所との関係を判定し(S207)、その判定の結果に従って次の仕分け場所及びその方向を指示する情報を作業情報出力部114に出力する(S208)。
【0068】
具体的には、出力処理部121は、S207において、個別作業指示情報123を参照して、直前に終了した仕分け作業の次に実行されるべき仕分け作業を特定し、レイアウト情報を参照して、現在の仕分け場所(すなわち直前に終了した仕分け作業が行われた場所)と次の仕分け場所(すなわち次に実行されるべき仕分け作業が行われる場所)との位置関係を特定する。さらに具体的には、出力処理部121は、現在の仕分け場所において作業者10が向いている方向を基準とする次の仕分け場所の方向、及び、作業者10が現在の仕分け場所から次の仕分け場所に到達するために必要とされる移動距離を特定する。そして、出力処理部121は、特定した方向及び距離を示す情報を、S208において作業情報出力部114に出力する。
【0069】
例えば、各棚14が図1に示すように配置されており、棚A−1における仕分け作業が終了し、次の仕分け場所が棚A−3である場合、S203において位置取得部113が仕分け先を読み取った時点で作業者10が現在の仕分け場所である棚A−1の方向を向いていると考えられることから、レイアウト情報に基づいて、次の仕分け場所である棚A−3が現在の作業者10の右方向にあり、そこまでの移動距離は棚14三つ分の距離であることが特定される(図1の平面図参照)。この場合にS208において出力される画面の例を図10に示す。
【0070】
図10の例では、次の仕分け場所の方向が、矢印状の図形161の向きによって表示され、そこまでの距離が図形161の個数によって表示される。この例では次の仕分け場所である棚A−3が現在の作業者10の右方向にあることから、右向きの図形161が表示される。また、棚A−3までの距離が棚14三つ分の距離以下であるため、図形161が一つだけ表示される。さらに、図9の例と同様に、画面上には次の仕分け場所162(図10では棚A−3)、当該次の仕分け場所における箱単位の仕分け個数163及び単品の仕分け個数164が表示される。このような表示によって、作業者10に次の方向を知覚させることができる。
【0071】
図10のような画面が出力されるとき、作業者10は仕分け先の棚A−1に正対し、作業者10の視線の方向は棚A−1〜A−10が並ぶ方向と概ね垂直方向であり、作業支援端末11がヘッドマウントディスプレイを有する場合には、その時の視線の方向がヘッドマウントディスプレイを見る視線の方向と概ね同一である。このため、当該垂直方向を基準として右方向の矢印の図形161を表示することによって、作業者10にこれから移動すべき方向を指示することができる。
【0072】
しかし、その後、作業者10が棚A−10の方向に移動を始めると、視線方向が棚A−1〜A−10が並ぶ方向と平行に近い方向に変わるため、作業支援端末11が図10のような画面を出力し続けることは作業者10を混乱させることになる。このため、作業支援端末11は、図10の方向を示す図形161の表示を開始してから所定の時間経過後に非表示にする(すなわち図形161の表示を終了し、以後、次の仕分け場所162、箱単位の仕分け個数163及び単品の仕分け個数164のみが表示される)。ここで、所定の時間とは、作業者10が図形161を視認して方向を認識するために十分な長さがあり、かつ、移動を開始した作業者10を混乱させない程度に短いことが望ましい。その一例を挙げるとすれば2秒程度である。
【0073】
図11は、S207において、次の仕分け場所が現在の仕分け場所(棚A−1)に対して通路の向かい側の棚B−1であると判定された場合のS208の表示の一例である。この例では、次の仕分け場所である棚B−1が作業者10の視線方向の反対側(すなわち背後)にあることを示す下向きの矢印の図形171が表示される。
【0074】
図12は、S207において、次の仕分け場所が現在の仕分け場所(棚A−1)に対して通路の向かい側斜め位置の棚B−3あると判定された場合のS208の表示の一例である。この例では、次の仕分け場所である棚B−3が作業者10の視線方向の右斜め後ろにあることを示す右下向きの矢印の図形181が表示される。
【0075】
図10図11図12の表示のように、現在の仕分け場所に対して次の仕分け場所の方位が表示されていれば、作業者10は次の方位を意識して、その方向への移動の開始を早めることが可能で、その分作業を高速化できる。
【0076】
図13は、S207において、次の仕分け場所が、現在の仕分け場所(棚A−1)と同じ列に属しているが、距離が遠い棚A−10であると判定された場合のS208の表示の一例である。この例では、二つの右向きの矢印の図形191及び192が表示される。これらの矢印が右向きであることは、図10の例と同様に、次の仕分け場所が作業者10の右方向にあることを示している。そして二つの図形191及び192が表示されていることは、現在の仕分け場所から次の仕分け場所までの距離が遠いことを示している。例えば、現在の仕分け場所から次の仕分け場所までの距離が棚14三つ分の距離以下である場合には距離が近い、棚14三つ分の距離を超える場合には距離が遠いと判定してもよい。図10と同様に、図形191及び192は表示して2秒経過後に非表示となる。図13の表示のように、現在の仕分け場所と次の仕分け場所の距離が離れていると判断できれば、作業者10は移動の開始を早めることが可能であることに加えて、次の仕分け場所を探すときに現在の仕分け場所の近くの棚14を探す対象から除外することで、次の仕分け場所を探す時間を短縮する事が可能であり、その分作業を高速化できる。
【0077】
なお、図10図13では右向きの矢印の図形161等が画面の右側に表示される例を説明したが、例えば図1において現在の仕分け場所が棚B−1であり、次の仕分け場所が棚B−10である場合のように、次の仕分け場所が作業者10の左方向にある場合には、画面の左側に、左向きの矢印の図形が表示される。
【0078】
S204において比較結果が一致しないと判定された場合(S204のNo)、制御処理部122は正しい作業場所及びその方向を作業情報出力部114に出力し(S209)、S203の前に戻る。
【0079】
図14は、S209において表示される画面の一例を示す。具体的には、正しい仕分け場所が棚A−10であるが、棚A−1〜A−9のいずれかで仕分作業を行ってしまった場合の例を示す。この例において、右向きの矢印の図形191は、S203で作業結果読み取り時の作業者10の方向(仕分け先の棚A−1〜A−10が並ぶ方向と垂直方向)に対する、正しい次の仕分け場所の方向を示す。図10と同様に、図14の画面は表示して2秒経過後に非表示となり、S208の画面が表示される。
【0080】
以上のように、本実施例によれば、仕分け場所と方位を単純化した文字と図形で示し、作業者10の目の前でヘッドマウントディスプレイ上に表示することで、作業者10が次の作業場所の位置を判断する時間を削減することができる。
【0081】
なお、本実施例では作業者10が1人の場合で説明したが、作業指示情報管理データベース144には複数の作業者10を登録することが可能であり、複数の作業者10が作業を行ってもよい。
【0082】
また、本実施例では、仕分け作業で行う場合で説明したが、指示された場所で商品を回収するピッキング作業に適用してもよい。
【0083】
また、本実施例では、次の仕分け場所の方向及びそこまでの距離を、それぞれ矢印の図形の向き及びその数によって表示する例を示したが、これらは他の態様で表示されてもよい。例えば、作業支援端末11は、次の仕分け場所の方向を矢印以外の図形によって表示してもよい。また、作業支援端末11は、次の仕分け場所までの距離が遠いか否かの判定基準として、棚14三つ分の距離とは異なる距離を使用してもよいし、例えば次の仕分け場所までの距離が棚14六つ分の距離を超える場合には矢印の図形を三つ表示するなどの方法でより詳細に距離を表示してもよいし、矢印の図形の数によって距離を示す代わりに矢印の図形の形状又は長さ等によって距離を示してもよいし、距離を示す数値を表示してもよい。
【0084】
また、図8の処理の一部を作業情報管理サーバ13が行ってもよい。例えば、作業支援端末11がS203において読み取った作業結果を作業情報管理サーバ13に送信し、作業情報管理サーバ13がストレージ137に格納された情報を参照してS204〜S207を実行し、S208又はS209において出力される情報を作業支援端末11に送信し、作業支援端末11が受信した情報に基づいてS208又はS209を実行してもよい。
【0085】
また、本実施例では作業情報出力部114がヘッドマウントディスプレイとして動作し、作業者10の目の前に情報を表示する方式を説明したが、作業情報出力部114がイヤフォン又はスピーカであり、作業指示情報(例えば次の仕分け場所の、そこまでの距離、次の仕分け場所において仕分けるべき商品の個数等を示す情報)が音声で出力されてもよい。この場合、ヘッドマウントディスプレイが不要になるため、より安価な構成でシステムを実現できる。
【実施例2】
【0086】
本発明に係る実施例2を、図15図20を用いて説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例2のシステムの各部は、図1図14に示された実施例1の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0087】
実施例1では、仕分け先用の棚14が二列に互いに向かい合うように並んでおり、それらの列の間を作業者が一次元方向に移動して仕分け作業を行う例を説明した。しかし、仕分け用の棚14が二次元に並んでおり、作業者が二次元方向に移動して仕分け作業を行う場合、実施例1の方法では仕分け場所の方向を示しても同一方向に多数の仕分け先用の棚14があることになり、判断時間の削減につながりづらい。そこで、本実施例では、仕分け先用の棚14が二次元方向に並んでいる場合に、仕分け作業の判断時間を削減する方法を説明する。
【0088】
図15は、本発明の実施例2に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
【0089】
本実施例に係るシステムは、作業者10、作業支援端末21、ネットワーク12、作業情報管理サーバ13、仕分け先用の棚14、作業範囲情報発信装置25(25(a)〜25(d))、及び方位調整用マーカ26から構成される。
【0090】
作業範囲情報発信装置25は、自身が固有の信号を出し続ける装置である。作業支援端末21は、複数の作業範囲情報発信装置25があっても、最も信号強度の強い作業範囲情報発信装置25を識別することができる。信号の例は、iBeacon(登録商標)、Zigbee(登録商標)、ZWAVEなどである。
【0091】
方位調整用マーカ26は、作業支援端末21の方位設定の基準となる方向に貼り付けられた符号である。作業支援端末21を装着した作業者10が方位調整用マーカ26の方位を向くことで、作業支援端末21の方位検出部212が方位の初期位置を調整できる。
【0092】
図16は、本発明の実施例2に係る作業支援端末21の構成の一例を示すブロック図である。
【0093】
作業支援端末21は、CPU111、通信部112、位置取得部113、作業情報出力部114、入力部115、電源供給部116、作業範囲取得部211、方位検出部212、メモリ117、ストレージ118、及びバス119を備える。実施例1と同一の符号を付するものについては説明を省略する。
【0094】
作業範囲取得部211は、作業範囲情報発信装置25の発信する信号を受信できる受信部である。作業範囲情報発信装置25の発信する信号は、作業者10の位置を取得するための情報を含む。具体的には、後述するように、作業範囲情報発信装置25の発信する信号に含まれる識別情報に基づいて作業者10がいるエリアが特定され、その信号の強度に基づいてエリア内の作業者10の位置が特定される。なお、入力部115が上記のような受信部を含む場合には、作業支援端末21が作業範囲取得部211を備えなくてもよい。言い換えると、作業範囲取得部211が入力部115に含まれてもよい。
【0095】
方位検出部212は、例えばジャイロセンサなどを含み、作業支援端末21の向きを検出する。
【0096】
メモリ117は、実施例1のメモリ117と同様のプログラムモジュールに加えて、作業範囲判定処理部213に対応するプログラムモジュールが格納される。また、ストレージ118には、個別作業指示情報123に加えて、作業範囲強度管理データベース214が格納される。これらの詳細については後述する。
【0097】
図17は、本発明の実施例2に係る作業支援端末21が実行する作業情報取得処理及び作業方向表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
制御処理部122は、方位検出部212を介して現在の方位を検出し、作業支援端末21を装着した作業者10が方位調整用マーカ26の方向を向いたときに検出した方位を、初期方位とする(S301)。
【0099】
図18は、本発明の実施例2に係る作業支援端末21が出力する方位初期化の指示画面の一例を示す説明図である。
【0100】
図18に示すように、作業情報出力部114は、作業者に方位調整用マーカ26の正面を向くことを指示するメッセージ画面を出力する。図18の画面を表示後、作業支援端末21を装着した作業者10が操作を行うことで初期方位の調整を完了する。具体的には、例えば、作業者10は、棚A−1〜A−10の列の前にいる場合には、その列の端にある方位調整用マーカ26の正面に、その方位調整用マーカ26の方を向いて立ち、所定の操作を行う。ここで、操作方法は、入力部115に備えたマイクで「完了」などの音声を認識することでもよいし、入力部115に備えたカメラで作業者10の手振り、指の動きなどを認識することでもよい。また、位置取得部113のバーコードリーダを利用して、「完了」を意味するバーコードを読み取ることで認識してもよい。この操作を受けて、方位検出部212が方位を検出する。その方位が初期方位となる。方位検出部212は初期方位に対する相対的な方位を検出できるため、作業者10が予め定められた方位を向いているときに(言い換えると、作業支援端末21の方位調整用マーカ26に対する向きが所定の条件を満たすときに)初期方位を検出することによって、以後、作業支援端末21は、方位検出部212を用いて作業者10が向いている方向を特定することができる。
【0101】
制御処理部122は、通信部112を介して作業情報管理サーバ13から作業情報を取得し、個別作業指示情報123に保存する(S302)。個別作業指示情報123は実施例1に記載したものと同等であるため説明を省略する。次に、作業範囲取得部211は作業範囲情報発信装置25の発信する信号を受信し、現在のエリアを取得する(S303)。ここで、エリアとは、図15の例では、左からA,B,C,Dと4つに分かれた領域、すなわち、それぞれ、棚A−1〜A−10の列の前、棚B−1〜B−10の列の前、棚C−1〜C−10の列の前、棚D−1〜D−10の列の前の領域を指す。それぞれのエリアには作業範囲情報発信装置25(すなわちそれぞれ作業範囲情報発信装置25(a)〜25(d))が配置されている。以下、作業者の現在位置が棚A−1で、次の仕分け場所が棚D−10であるときの処理を説明する。
【0102】
作業範囲判定処理部213は、作業範囲取得部211を介して受信した作業範囲情報発信装置25の信号に基づいて特定される作業者10の現在の位置(この時点では現在の仕分け場所)が属するエリアと、次の仕分け場所が属するエリアとを比較し、それらが同一であるか否かを判定する(S304)。現在のエリアがAで次の仕分け場所のエリアがDの場合(S304のNo)、出力処理部121は次の仕分け場所とその方位を作業情報出力部114に出力する(S306)。このときに出力される画面について図19を参照して説明する。
【0103】
図19は、本発明の実施例2に係る作業支援端末21が出力する作業指示の一例の説明図である。
【0104】
矢印の図形301は次の仕分け場所の方位を示しており、作業者の向きによって動的に変化する。一方、一つ以上(図19の例では三つ)の三角形からなる図形302は、現在の仕分け場所から次の仕分け場所までの距離を示す尺度であり、エリアが異なっている場合は、遠いと見なして三つの図形を示す。
【0105】
なお、図19の表示方法は一例であり、作業支援端末21は、例えば矢印以外の図形で次の仕分け場所の方位を示してもよいし、図形302を使用しないで、例えば矢印の図形301の形状又は数等によって距離を示してもよい。
【0106】
制御処理部122は、S307において、位置取得部113が仕分け場所を読み取ったかを確認する。この判定は、図8のS203と同様に行われる。読み取りがない場合(S307のNo)、制御処理部122は再びS303の処理を実施する。
【0107】
続いて、作業者10が上記の作業指示に従ってエリアAからDに移動した場合について説明する。
【0108】
作業範囲判定処理部213は、作業範囲取得部211を介して受信した作業範囲情報発信装置25の信号に基づいて特定される作業者10の現在の位置が属するエリアと、次の仕分け場所のエリアとを比較し、両者が同一であるか否かを判定する(S304)。現在のエリアと次の仕分け場所のエリアがいずれもDであると判定された場合(S304のYes)、作業範囲判定処理部213は、作業者10の現在の位置から次の仕分け場所までの距離が所定の値以下であるか否かを判定する(S305)。作業者10の現在の位置から次の仕分け場所までの距離が所定の値を超えると判定された場合(S305のNo)、出力処理部121は次の仕分け場所及びその方位を作業情報出力部114に出力する(S306)。
【0109】
ここで、同一エリアにおける作業者10の現在の位置から次の仕分け場所までの距離は、作業支援端末21が作業範囲情報発信装置25から受信する信号強度に基づいて判定される。作業範囲情報発信装置25は放射状に電波を放射するため、距離により強度が減衰する。これを利用して、作業範囲判定処理部213は、現在の位置において作業支援端末21が作業範囲情報発信装置25から受信した信号の強度と、次の仕分け場所に作業者10がいる場合に作業支援端末21が作業範囲情報発信装置25から受信するはずの信号の強度との差が所定の値(例えば20dB)以下である場合に、作業者10の現在の位置から次の仕分け場所までの距離が上記の所定の値以下であると判定する。
【0110】
図20は、本発明の実施例2に係る作業支援端末21が保持する作業範囲強度管理データベース214の一例を示す説明図である。
【0111】
作業範囲強度管理データベース214には、各エリアにおいて、各仕分け場所(すなわち各棚14)において受信される作業範囲情報発信装置25からの信号の強度が記録されている。例えばエリアAにおいて、作業範囲情報発信装置25(a)に最も近い棚A−1における電波強度が最も大きく、最も遠い棚A−10における電波強度が最も小さい。エリアB〜Dにおいても同様である。これらの強度は、例えば予め各エリアで実測された値である。
【0112】
各作業範囲情報発信装置25(a)〜25(d)からは、相互に干渉しないように例えば異なる周波数の信号が送信される。このため、作業支援端末21は、作業範囲情報発信装置25(a)〜25(d)のそれぞれから受信した信号の強度を計測することができる。作業支援端末21は、例えば作業範囲情報発信装置25(d)から受信した信号が最も強い場合、作業者10がエリアDにいると判定し、作業範囲強度管理データベース214を参照して、その強度と最も近い強度に対応するエリアD内の棚14(すなわち棚D−1〜D−10のいずれか)を作業者10の現在の位置として特定する。
【0113】
S305において、作業支援端末21が作業範囲情報発信装置25(d)から受信した信号の強度が最も大きく、かつ、その強度と、作業範囲強度管理データベース214から取得された次の仕分け場所(例えば棚D−19)に対応する電波強度との差が20dB以下でない場合、作業者10は、次の仕分け場所と同一のエリアにいて、かつ、現在の位置から次の仕分け場所までの距離が所定の値を超えると判定される。この場合、図形301は現在の作業者10の(すなわち作業者10が装着している作業支援端末21の)向きに対する次の仕分け場所の相対的な方位を示すように表示される。
【0114】
本実施例では、作業支援端末21が方位検出部212を備え、予め初期方位を取得しているため、出力処理部121は、作業者10がどの方向を向いたとしても、その向きに対する次の仕分け場所の相対的な方位を取得することができる。出力処理部121がこのようにして取得した相対的な方位を作業情報出力部114に送信し、作業情報出力部114がその方位を示す図形301を出力することによって、図形301は作業者10の向きに応じて動的に変化することになる。したがって、本実施例では、実施例1と異なり、方位の表示を所定の時間(例えば2秒)経過後に終了する必要はなく、作業者10が次の仕分け場所に到着するまで継続することができる。
【0115】
一方、図形302は、現在の作業者10の位置から次の仕分け場所までの距離を示す。例えば、作業情報出力部114は、作業者10が次の仕分け場所と同一のエリアにいるものの、両者の距離が所定の値を超える場合には、二つの三角形の図形302を表示してもよい。
【0116】
制御処理部122は、S307において、位置取得部113が仕分け作業場所を読み取ったかを確認する。読み取りがない場合(S307のNo)、制御処理部122は再びS303の処理を実施する。
【0117】
続いて、作業者が移動し、エリアD内で作業範囲情報発信装置25(d)から受信した信号の強度と作業範囲強度管理データベース214から取得された次の仕分け場所の強度との差が20dB以下になった場合(S305のYes)、出力処理部121は次の仕分け場所と方位を作業情報出力部114に出力する(S306)。
【0118】
具体的には、この時点で、図形301は現在の作業者10の向きに対する次の仕分け場所の相対的な方位を示し、作業者10の向きに応じて動的に変化する。一方図形302は、現在位置から次の仕分け場所までの距離を示す。例えば、エリアが同一で、作業範囲情報発信装置25の強度差が20dB以下の場合、作業者10がエリア内におり、かつ仕分け場所まで近いと見なして、作業情報出力部114は1つの図形302を表示してもよい。
【0119】
制御処理部122は、S307において、位置取得部113が仕分け作業場所を読み取ったかを確認する。読み取りがある場合(S307のYes)、制御処理部122は、位置取得部113の読み取り結果と個別作業指示情報123の仕分け場所1444を比較する(S308)。比較結果が一致する場合(S308のYes)、送受信処理部120は、通信部112を介して読み取り日時、箱単位仕分け個数1447、及び単品仕分け個数1448を作業情報管理サーバ13に送信し(S309)、処理を終了する。
【0120】
比較結果が一致しない場合(S308のNo)、制御処理部122は、正しい作業場所と方向を作業情報出力部114に出力して(S310)、S307の前の処理に戻る。
【0121】
上記の例では、現在の仕分け場所と次の仕分け場所とが別のエリアに属する場合、それらが同一のエリアに属するが距離が所定の値以上である場合、及び、同一のエリアに属してかつ距離が所定の値以下である場合、のそれぞれに異なる数の図形302が表示される。しかし、このような表示は一例であり、作業支援端末21は、他の基準に従って表示を決定してもよい。例えば、作業支援端末21は、単に作業者の移動距離に概ね比例する数の図形302を表示してもよい。いずれの場合も、作業者が実際に移動したときに感じる距離感と、図形302から直観的に把握される距離感とが乖離しないように表示の基準を定めることが望ましい。
【0122】
上記の図17の処理の一部は、作業情報管理サーバ13が実行してもよい。例えば、作業情報管理サーバ13のストレージ137に作業範囲強度管理データベースと同様の情報が格納される。作業支援端末21がS303で取得したエリア及び受信した信号の強度を作業情報管理サーバ13に送信し、作業情報管理サーバ13が受信した情報及びストレージ137に格納された情報に基づいてS304〜S305を実行し、S306において表示すべき情報を特定して作業支援端末21に送信する。作業支援端末21は受信した情報に基づいてS306を実行し、S307の読み取りの結果を作業情報管理サーバ13に送信する。作業情報管理サーバ13はS308及びS309を実行し、必要があればS310で表示すべき情報を作業支援端末21に送信し、作業支援端末21は受信した情報に基づいてS310を実行する。
【0123】
また、上記の例では受信した無線信号の強度及びその信号に含まれる識別情報に基づいて作業者10の位置が特定されるが、受信した無線信号に基づいて位置を特定する上記以外の方法を使用してもよい。例えば、GPS(Global Positioning System)信号を受信できる環境では、GPS信号に基づいて作業者10の位置を特定してもよい。
【0124】
以上のように、本実施例によれば、方位の検出と作業範囲情報発信装置25による簡易的な位置の検出によって、作業者10が二次元方向に移動する必要がある仕分け作業においても、作業者10が次の仕分け場所の位置を判断する時間を削減することができる。
【実施例3】
【0125】
本発明に係る実施例3を、図21を用いて説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例3のシステムの各部は、図1図20に示された実施例1又は2の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0126】
実施例1では位置取得部113がバーコードリーダであり、S203において、位置取得部113が図形または文字を読み取ることで、仕分け用の棚14の位置を識別していた。
【0127】
一方、実施例3では、各仕分け先に作業範囲情報発信装置25が設置され、作業範囲取得部211が、作業範囲情報発信装置25の発信する電波強度を読み取ることで、S203の処理を行う場合を説明する。
【0128】
図21は、本発明の実施例3に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
【0129】
本実施例に係るシステムは、作業者10、作業支援端末21、ネットワーク12、作業情報管理サーバ23、仕分け先用の棚14、及び作業範囲情報発信装置25から構成される。図21に示すように、仕分け用の棚14のそれぞれに一つの作業範囲情報発信装置25が設置されている。
【0130】
本実施形態の作業支援端末21は、ストレージ118がさらに仕分け場所信号管理データベース(図示省略)を格納している点を除いて、実施例2の作業支援端末21と同様である(図16参照)。ただし、本実施例の作業支援端末21は方位検出部212を備えなくてもよい。
【0131】
作業支援端末21における、作業情報取得および作業方向表示処理の一例を、図8を用いて説明する。S201、S202については、図8と同一の処理であるため説明を省略する。
【0132】
S203において、作業者10は指定された仕分け用の棚14に対象商品を仕分けると、仕分けたことを作業支援端末21に通知する。例えば、作業者が仕分けたことを示す音声、手振り又は指の動き等を、入力部134に含まれるマイクロフォン又はカメラ等に入力してもよい。制御処理部122が入力部134を介して作業者10からの通知を受け付けると、作業範囲判定処理部213は、作業範囲取得部211が作業範囲情報発信装置25から受信した信号の強度を確認し、その信号強度が所定の値(例えば80db)以上であれば、S204に進む。
【0133】
ここで、作業範囲情報発信装置25から受信した信号の強度が所定の値以上であることは、その作業範囲情報発信装置25が設置された棚14に作業者10が所定の距離まで接近したことを意味する。本実施例では、作業者10が棚14に所定の距離まで接近した場合に、その棚14における仕分け作業が行われた(すなわちS203において作業結果の読み取りがあった)と判定される。この信号のIDによって特定される棚14が、仕分け作業が行われた棚(すなわち現在の仕分け場所)となる。
【0134】
S204において、作業範囲判定処理部213は、仕分け場所信号管理データベースを参照し、確認した信号(上記の例では強度が80dB以上となった信号)のIDが一致する仕分け場所を特定し、特定した仕分け場所と個別作業指示情報123の仕分け場所1444とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。
【0135】
各仕分け用の棚14に設置された作業範囲情報発信装置25は固有のIDを持つ。仕分け場所信号管理データベースは、各作業範囲情報発信装置25の固有のIDを管理する。
【0136】
比較した結果、両者が同一である場合(S204のYes)、処理はS205に進む。比較した結果、両者が不一致である場合(S204のNo)、処理はS209に進む。S205以降は図8の処理と同等であるため、説明を省略する。
【0137】
以上のように、本実施例によれば、仕分け場所の判定を作業範囲情報発信装置25からの受信信号に基づいて行うことで、仕分け場所の判定処理を簡易に実施できる。
【実施例4】
【0138】
本発明に係る実施例4を、図22を用いて説明する。以下に説明する相違点を除き、実施例4のシステムの各部は、図1図21に示された実施例1〜3の同一の符号を付された各部と同一の機能を有するため、それらの説明は省略する。
【0139】
実施例2では位置取得部113がバーコードリーダであり、S307において、位置取得部113が図形または文字を読み取ることで、仕分け用の棚14の位置を識別していた。
【0140】
本実施例では、各仕分け先に作業範囲情報発信装置25が設置され、作業範囲取得部211が、作業範囲情報発信装置25の発信する電波強度を読み取ることで、S307の処理を行う場合を説明する。
【0141】
図22は、本発明の実施例4に係るシステムの構成の一例を示す説明図である。
【0142】
本実施例に係るシステムは、作業者10、作業支援端末21、ネットワーク12、作業情報管理サーバ23、仕分け先用の棚14、及び作業範囲情報発信装置25から構成される。図22のように、仕分け用の棚14のそれぞれに一つの作業範囲情報発信装置25が設置されている。
【0143】
本実施形態の作業支援端末21は、ストレージ118がさらに仕分け場所信号管理データベース(図示省略)を格納している点を除いて、実施例2の作業支援端末21と同様である(図16参照)。
【0144】
作業支援端末21における、作業情報取得および作業方向表示処理の一例を、図17を用いて説明する。
【0145】
S301からS306については、図17と同一の処理であるため説明を省略する。
【0146】
S307において、作業者10は指定の仕分け用の棚14に対象商品を仕分けると、仕分けたことを作業支援端末21に通知する。この通知方法は、例えば実施例3のS203と同様である。制御処理部122が入力部134を介して作業者10からの通知を受け付けると、作業範囲判定処理部213が作業範囲情報発信装置25からの信号強度を確認し、その信号強度が所定の値(例えば80db)以上であれば、S308に進む。この信号強度の判定は、実施例3のS203からS204に進むときに実行される判定と同様の意味を持つ。
【0147】
S308において、作業範囲判定処理部213は、仕分け場所信号管理データベースを参照し、確認した信号のIDが一致する仕分け場所を特定し、特定した仕分け場所と個別作業指示情報123の仕分け場所1444とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。
【0148】
各仕分け用の棚14に設置された作業範囲情報発信装置25は固有のIDを持つ。仕分け場所信号管理データベースは、各作業範囲情報発信装置25の固有のIDを管理する。
【0149】
比較した結果、両者が同一である場合(S308のYes)、処理はS309に進む。比較した結果、両者が不一致である場合(S308のNo)、処理はS310に進む。S309以降は図17の処理と同等であるため、説明を省略する。
【0150】
以上のように、本実施例によれば、仕分け場所の判定を作業範囲情報発信装置25からの受信信号に基づいて行うことで、仕分け場所の判定処理を簡易に実施できる。
【0151】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0152】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0153】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
図1
図2
図3
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