(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409122
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】流体容器中のプランジャの位置を判定する検知システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
A61M5/168 514C
【請求項の数】52
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-506682(P2017-506682)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-523848(P2017-523848A)
(43)【公表日】2017年8月24日
(86)【国際出願番号】US2015047172
(87)【国際公開番号】WO2016036574
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年2月6日
(31)【優先権主張番号】62/044,486
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フォルラニ,クリスチャン ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】マッサリ,ロッサノ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】モジャラド,メーラン
【審査官】
鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−505433(JP,A)
【文献】
特表2005−506852(JP,A)
【文献】
特表2010−505475(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/160333(WO,A2)
【文献】
特表平8−501879(JP,A)
【文献】
米国特許第5134280(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器の中のプランジャの位置を判定する検知システムであって、前記流体容器は、光透過材料からなるシリンダを有し、前記シリンダは、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在し、前記プランジャは、前記シリンダの壁の内面と流体密封係合してシリンダ内のプランジャの前方において流体を密封する少なくとも1つの周面領域を有し、前記プランジャは、前記シリンダの内部を前方出口端部に向かって前記軸方向に前進し、前記流体を前記流体容器から前方出口端部を通して分注が可能であり、前記検知システムは、
光をシリンダ壁内に発光するよう構成され、前記シリンダ壁が導波管として機能して光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できるような位置にある光検出器と、
前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記流体容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを備え、
前記光検出器は、軸方向に延在し、前記シリンダの軸方向の位置決めを可能とする、前記検知システム。
【請求項2】
前記光源は、光を前記シリンダ壁の軸方向端面に向けるように構成されている、請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記シリンダ壁の前記軸方向端面が前記後方端部にある、請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記光源は、径方向の前記シリンダ壁の厚みの中心に位置する、請求項3に記載の検知システム。
【請求項5】
前記光源が前記軸方向端面に隣接して位置する、請求項3に記載の検知システム。
【請求項6】
前記光源は単一の照明要素である、請求項3に記載の検知システム。
【請求項7】
前記単一の照明要素は、発光ダイオードである、請求項6に記載の検知システム。
【請求項8】
光ろ過要素が前記光検出器と前記シリンダ壁との間に位置する、請求項1に記載の検知システム。
【請求項9】
前記光源は、光を前記シリンダ壁と一体に形成されそこから径方向に突出する突起の中に向けるように構成されている、請求項1に記載の検知システム。
【請求項10】
前記突起は、前記シリンダ壁の周囲に亘って連続的に延在する、請求項9に記載の検知システム。
【請求項11】
前記光源は、前記シリンダ壁から径方向外側に突出する前記突起に光を向けるように構成された、請求項9に記載の検知システム。
【請求項12】
前記光源は、前記シリンダ壁の指で把持可能なフランジを備える前記突起に光を向けるように構成された、請求項11に記載の検知システム。
【請求項13】
前記フランジは、前記シリンダ壁の周囲に亘って連続的に延在する、請求項12に記載の検知システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの周面領域は、軸方向に間隔を空けた第1および第2の周面領域を備え、前記コントローラは、前記第1の周面領域の第1の軸方向の位置と前記第2の周面領域の第2の軸方向の位置とを判別し、前記コントローラは、前記第1と第2の軸方向の位置に基づいてプランジャの圧縮量を判定するよう構成されている、請求項1に記載の検知システム。
【請求項15】
前記光検出器は、前記シリンダ壁の周囲に延在するように構成されている、請求項1に記載の検知システム。
【請求項16】
前記光検出器は、螺旋形の形状を有する、請求項15に記載の検知システム。
【請求項17】
前記光検出器は、前記容器シリンダの径方向に位置する光伝達部と、前記容器シリンダの軸方向に位置する検知部とを備える、請求項1に記載の検知システム。
【請求項18】
薬液送達装置であって、
容器リテーナを含む筐体と、
前記容器リテーナ内に保持され、光透過材料で形成され、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在するシリンダと前記シリンダ壁の内面と流体密封係合する少なくとも1つの周面領域を有してその前方にある薬液を密封する前記シリンダ内のプランジャを含む薬液容器と、
前記シリンダ内で前記プランジャが前進し、薬液を前記薬液容器から前記前方出口端部を通って分注するように操作可能な前記筐体内の前進機構と、
前記筐体内に取り付けられ、光を前記シリンダ壁内に発光してシリンダ壁が導波管として機能して前記光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記容器リテーナの内部に取り付けられ、光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できる光検出器と、
前記筐体内に取り付けられ、前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記薬液容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラと
を備え、
前記光検出器は、軸方向に延在し、前記シリンダの軸方向の位置決めを可能とする、前記薬液送達装置。
【請求項19】
前記光源は、光を前記後方端部に位置する、前記シリンダ壁の軸方向端面に向けるように構成されている、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項20】
前記光源は単一の発光ダイオードである、請求項19に記載の薬液送達装置。
【請求項21】
さらに、前記光検出器と前記シリンダ壁の間に位置し、軸方向に延在する光ろ過要素を備えた、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項22】
前記光源は、光を前記シリンダ壁と一体に形成されそこから径方向に突出する突起の中に向けるよう構成されている、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項23】
さらに、前記コントローラとの電子通信において前記少なくとも1つの周面領域の前記軸方向の位置に基づいて判定された情報を表示するためのディスプレイを含む、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項24】
さらに、前記筐体の外部にアクセス可能であるとともに前記前進機構の操作を制御するために手動で操作可能なアクチュエータを備えた、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項25】
さらに、第1の偏光フィルタと第2の偏光フィルタを備え、前記第1と第2の偏光フィルタは、互いに横切る方向に向いており、前記第1の偏光フィルタは、前記光検出器と前記容器の間に配設されており、前記第2の偏光フィルタは前記容器上の前記容器リテーナ上に配置されて周囲光から遮断されている、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項26】
前記光源は、光ファイバー、光管、またはそれらの間に配設された導波管を通って前記シリンダ壁内に光を発光する、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項27】
前記光検出器は、前記容器リテーナ内に取り付けられて前記光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通して進み、前記前方出口端部で前記シリンダの首部から反射する反射光を検出し、前記首部に関連付けられた前記検出した反射光は前記少なくとも1つの周面領域の前記判定した軸方向位置とともに前記コントローラが使用して前記薬液容器内に残った薬液量を計算する、請求項18に記載の薬液送達装置。
【請求項28】
流体容器の中のプランジャの位置を判定する検知システムであって、前記流体容器は、光透過材料からなるシリンダを有し、前記シリンダは、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在し、前記プランジャは、前記シリンダの壁の内面と流体密封係合してシリンダ内のプランジャの前方において流体を密封する少なくとも1つの周面領域を有し、前記プランジャは、前記シリンダの内部を前方出口端部に向かって前記軸方向に前進し、前記流体を前記流体容器から前方出口端部を通して分注が可能であり、前記検知システムは、
光をシリンダ壁内に発光するよう構成され、前記シリンダ壁が導波管として機能して光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できるような位置にある光検出器と、
前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記流体容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを備え、
前記光源は、光を前記シリンダ壁と一体に形成されそこから径方向に突出する突起の中に向けるように構成されている、前記検知システム。
【請求項29】
前記光源は、光を前記シリンダ壁の軸方向端面に向けるように構成されている、請求項28に記載の検知システム。
【請求項30】
前記シリンダ壁の前記軸方向端面が前記後方端部にある、請求項29に記載の検知システム。
【請求項31】
前記光源は、径方向の前記シリンダ壁の厚みの中心に位置する、請求項30に記載の検知システム。
【請求項32】
前記光源が前記軸方向端面に隣接して位置する、請求項30に記載の検知システム。
【請求項33】
前記光源は単一の照明要素である、請求項30に記載の検知システム。
【請求項34】
前記単一の照明要素は、発光ダイオードである、請求項33に記載の検知システム。
【請求項35】
光ろ過要素が前記光検出器と前記シリンダ壁との間に位置する、請求項28に記載の検知システム。
【請求項36】
前記突起は、前記シリンダ壁の周囲に亘って連続的に延在する、請求項28に記載の検知システム。
【請求項37】
前記光源は、前記シリンダ壁から径方向外側に突出する前記突起に光を向けるように構成された、請求項28に記載の検知システム。
【請求項38】
前記光源は、前記シリンダ壁の指で把持可能なフランジを備える前記突起に光を向けるように構成された、請求項37に記載の検知システム。
【請求項39】
前記フランジは、前記シリンダ壁の周囲に亘って連続的に延在する、請求項38に記載の検知システム。
【請求項40】
流体容器の中のプランジャの位置を判定する検知システムであって、前記流体容器は、光透過材料からなるシリンダを有し、前記シリンダは、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在し、前記プランジャは、前記シリンダの壁の内面と流体密封係合してシリンダ内のプランジャの前方において流体を密封する少なくとも1つの周面領域を有し、前記プランジャは、前記シリンダの内部を前方出口端部に向かって前記軸方向に前進し、前記流体を前記流体容器から前方出口端部を通して分注が可能であり、前記検知システムは、
光をシリンダ壁内に発光するよう構成され、前記シリンダ壁が導波管として機能して光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できるような位置にある光検出器と、
前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記流体容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを備え、
前記少なくとも1つの周面領域は、軸方向に間隔を空けた第1および第2の周面領域を備え、前記コントローラは、前記第1の周面領域の第1の軸方向の位置と前記第2の周面領域の第2の軸方向の位置とを判別し、前記コントローラは、前記第1と第2の軸方向の位置に基づいてプランジャの圧縮量を判定するよう構成されている、前記検知システム。
【請求項41】
前記光検出器は、前記シリンダ壁の周囲に延在するように構成されている、請求項28に記載の検知システム。
【請求項42】
前記光検出器は、螺旋形の形状を有する、請求項41に記載の検知システム。
【請求項43】
前記光検出器は、前記容器シリンダの径方向に位置する光伝達部と、前記容器シリンダの軸方向に位置する検知部とを備える、請求項28に記載の検知システム。
【請求項44】
薬液送達装置であって、
容器リテーナを含む筐体と、
前記容器リテーナ内に保持され、光透過材料で形成され、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在するシリンダと前記シリンダ壁の内面と流体密封係合する少なくとも1つの周面領域を有してその前方にある薬液を密封する前記シリンダ内のプランジャを含む薬液容器と、
前記シリンダ内で前記プランジャが前進し、薬液を前記薬液容器から前記前方出口端部を通って分注するように操作可能な前記筐体内の前進機構と、
前記筐体内に取り付けられ、光を前記シリンダ壁内に発光してシリンダ壁が導波管として機能して前記光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記容器リテーナの内部に取り付けられ、光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できる光検出器と、
前記筐体内に取り付けられ、前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記薬液容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを含み、
前記光源は、光を前記シリンダ壁と一体に形成されそこから径方向に突出する突起の中に向けるよう構成される、前記薬液送達装置。
【請求項45】
前記光源は、光を前記後方端部に位置する、前記シリンダ壁の軸方向端面に向けるように構成されている、請求項44に記載の薬液送達装置。
【請求項46】
前記光源は単一の発光ダイオードである、請求項45に記載の薬液送達装置。
【請求項47】
さらに、前記光検出器と前記シリンダ壁の間に位置し、軸方向に延在する光ろ過要素を備えた請求項44に記載の薬液送達装置。
【請求項48】
さらに、前記コントローラとの電子通信において前記少なくとも1つの周面領域の前記軸方向の位置に基づいて判定された情報を表示するためのディスプレイを含む請求項44に記載の薬液送達装置。
【請求項49】
さらに、前記筐体の外部にアクセス可能であるとともに前記前進機構の操作を制御するために手動で操作可能なアクチュエータを備えた請求項44に記載の薬液送達装置。
【請求項50】
薬液送達装置であって、
容器リテーナを含む筐体と、
前記容器リテーナ内に保持され、光透過材料で形成され、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在するシリンダと前記シリンダ壁の内面と流体密封係合する少なくとも1つの周面領域を有してその前方にある薬液を密封する前記シリンダ内のプランジャを含む薬液容器と、
前記シリンダ内で前記プランジャが前進し、薬液を前記薬液容器から前記前方出口端部を通って分注するように操作可能な前記筐体内の前進機構と、
前記筐体内に取り付けられ、光を前記シリンダ壁内に発光してシリンダ壁が導波管として機能して前記光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記容器リテーナの内部に取り付けられ、光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できる光検出器と、
前記筐体内に取り付けられ、前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記薬液容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを含み、
さらに、第1の偏光フィルタと第2の偏光フィルタを備え、前記第1と第2の偏光フィルタは、互いに横切る方向に向いており、前記第1の偏光フィルタは、前記光検出器と前記容器の間に配設されており、前記第2の偏光フィルタは前記容器上の前記容器リテーナ上に配置されて周囲光から遮断されている、前記薬液送達装置。
【請求項51】
前記光源は、光ファイバー、光管、またはそれらの間に配設された導波管を通って前記シリンダ壁内に光を発光する、請求項44に記載の薬液送達装置。
【請求項52】
薬液送達装置であって、
容器リテーナを含む筐体と、
前記容器リテーナ内に保持され、光透過材料で形成され、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在するシリンダと前記シリンダ壁の内面と流体密封係合する少なくとも1つの周面領域を有してその前方にある薬液を密封する前記シリンダ内のプランジャを含む薬液容器と、
前記シリンダ内で前記プランジャが前進し、薬液を前記薬液容器から前記前方出口端部を通って分注するように操作可能な前記筐体内の前進機構と、
前記筐体内に取り付けられ、光を前記シリンダ壁内に発光してシリンダ壁が導波管として機能して前記光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、
前記容器リテーナの内部に取り付けられ、光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できる光検出器と、
前記筐体内に取り付けられ、前記光検出器と通信し、前記検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記薬液容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラとを含み、
前記光検出器は、前記容器リテーナ内に取り付けられて前記光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通して進み、前記前方出口端部で前記シリンダの首部から反射する反射光を検出し、前記首部に関連付けられた前記検出した反射光は前記少なくとも1つの周面領域の前記判定した軸方向位置とともに前記コントローラが使用して前記薬液容器内に残った薬液量を計算する、前記薬液送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体送達装置に関し、特に、流体容器内のプランジャの位置を判定するための検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者へ流体の薬液を送達するために使われる様々な周知のタイプの装置は、移動可能なプランジャを有する薬液を充填した、カートリッジとシリンジを備える容器を利用する。これらのタイプの装置は、インスリンポンプのような注入ポンプや注射ペンのような薬液注射を限定することなく含む。薬液カートリッジは、プランジャの前方のカートリッジのシリンダ内に薬液を密封する移動可能なプランジャを含む。カートリッジプランジャは、カートリッジを設置可能な送達装置の駆動機構によって前進せしめられると、薬液をカートリッジからそのカートリッジの出口をから押し出してユーザに送達する。
【0003】
容器内部におけるプランジャの軸方向の位置を知ることによって、ユーザは、様々なタイプの情報を潜在的に得ることができる。例えば、プランジャの絶対位置から、容器の中に残留する薬液の量を判断することができる。さらに、プランジャの軸方向の位置の変更により、容器から送出した投与量を判断することができる。
【0004】
これまで、何らかの方法で容器内のプランジャの位置を判断する様々なシステムが開発されてきた。このようなタイプのシステムのうちの1つに、光特性を利用したものがある。米国特許第6113578号では、シリンジ内において、光で投与量を測定できる数多くの設計を開示している。これらの設計は、潜在的に有用ではあるが、短所がないわけではない。例えば、これらの設計は、多数の操作性を有する構成要素を必要とするため、比較的複雑である。この複雑性は、製造に伴ってコストが上昇する結果となる。さらに、この複雑性により、潜在的な故障モードの数を増加させるとともに、小型で、コンパクトで、可搬性の高い構成が望まれる装置に組み込んだ場合、思いの外、多くの空間を必要とする。
【0005】
よって、そのような検知システムを採用する装置従来の技術におけるこれら、そしてその他の短所の1つ以上を克服するプランジャ検出システムまたはそのような検知システムを採用した装置を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
その一形態では、本発明は、流体容器の中のプランジャの位置を判定する検知システムを提供する。前記流体容器は、光透過材料からなるシリンダを有し、前記シリンダは、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在し、前記プランジャは、前記シリンダの壁の内面と流体密封係合して前記シリンダ内の前記プランジャの前方において流体を密封する少なくとも1つの周面領域を有し、前記プランジャは、前記シリンダの内部を前方出口端部に向かって前記軸方向に前進し、流体を前記流体容器から前方出口端部を通して分注が可能である。前記検知システムは、光源と、光検出器と、コントローラを有する。前記光源は、光をシリンダ壁内に発光するよう構成され、前記シリンダ壁が導波管として機能して光を導いて内部で軸方向に進ませる。前記光検出器は、光源が発光し、前記導波管として機能する前記シリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できるような位置にある。前記コントローラは、前記光検出器と通信し、検出された反射光の光検出器からのデータに基づいて、前記流体容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定する。
【0007】
その別の形態では、本発明は、容器リテーナを含む筐体と、前記容器リテーナ内に保持され、光透過材料で形成され、前方出口端部と後方端部の間を軸方向に延在するシリンダとシリンダの壁の内面と流体密封係合する少なくとも1つの周面領域を有してその前方にある薬液を密封する前記シリンダ内のプランジャを含む薬液容器と、前記シリンダ内で前記プランジャが前進し、薬液を前記薬液容器から前方出口端部を通って分注するように操作可能な前記筐体内の前進機構と、前記筐体内に取り付けられ、光をシリンダ壁内に発光して前記シリンダ壁が導波管として機能して光を導いて内部で軸方向に進ませる光源と、前記容器リテーナの内部に取り付けられ、光源が発光し、前記導波管として機能するシリンダ壁を通って進み、前記少なくとも1つの周面領域で反射した反射光を検出できるような位置にある光検出器と、前記筐体内に取り付けられ、前記光検出器と通信し、検出された反射光の前記光検出器からのデータに基づいて、前記薬液容器内で前記少なくとも1つの周面領域の軸方向の位置を判定するコントローラと、を含む薬液送達装置を提供する。
【0008】
本発明の1つの利点は、比較的製造コストが安い簡素な、容器内のプランジャを検知するためのシステムが提供できる点である。
【0009】
本発明の別の利点は、容器内でのプランジャの位置と動きを判断することができる、容器内のプランジャを検知するシステムが提供できる点である。
【0010】
本発明のさらに別の利点は、プランジャの圧縮量を判定できる、容器内のプランジャを検知するシステムが提供できる点である。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、限られた空間しか必要とせず、組み込まれる送達装置が小型で取り扱い易い状態のままで、容器内のプランジャを検知するシステムが提供できる点である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記の、そして他の利点と目的、及びそれらを達成するための方法は、下記の本発明の実施形態の説明をそれに伴う図面とともに参照することにより、さらに明確となり、発明自体の理解をより深めることができる。
【0013】
【
図1】本発明の検知システムの略図であり、このシステムが有利に利用できる容器とともに示す図である。
【
図2】
図1の検知システムの選択構成要素が、薬液カートリッジの回りに操作可能な構成に配置された状態を示す、一部断面側面線図である。
【
図3】
図2に示す構成要素とカートリッジの光路を示す線図である。
【
図4】ろ過要素を採用した本発明の別の検知システムを示す
図2に類似した線図である。
【
図5】本発明の検知システムを備えた注射ペンの斜視図であり、ペンに薬液カートリッジを搭載した状態を示す。
【
図7】構成が異なるカートリッジ用に適応した本発明の別の検知システムの選択構成要素の、
図2に概念的に類似した線図である。
【
図8】構成が異なる別のカートリッジ用に適応した本発明のさらに別の検知システムの選択構成要素の、
図2に概念的に類似した線図である。
【
図9】本発明のさらに別の検知システムの選択構成要素の、
図2に概念的に類似した線図である。
【
図10】本発明のさらに別の検知システムの選択構成要素の、
図2に概念的に類似した線図である。
【
図11】光を向ける箇所に突起などの表面変化のないシリンダに対して所定の角度で光を向けることによりシリンダ壁に光を発光する光源を示す図である。
【0014】
対応する参照符号は複数の図面に渡って対応する部分を示す。図面は本発明の実施形態を示すが、本発明をより明白に表し、説明するため、これら図面は必ずしも縮尺どおりではなく、一部の図面では機能によっては強調表示や、省略してある。
[詳細な説明]
【0015】
図1では、全体を25で示す容器とともに使用する、全体を20で示す本発明の検知システムの第1の実施形態を示す略図である。検知システム20は、光源30と、光検出器35と、コントローラ40とを有する。点線42で示すように、光源30は、容器の壁内に光を提供することによって容器25と操作可能に相互作用するように位置づけられる。点線44で示すよう、光検出器35は、容器から反射した光を検出することによって容器25と操作可能に相互作用するように位置づけられる。コントローラ40は、検知システム20の操作を制御し、システム20を設置できる装置の制御システム全体の一部である。コントローラ40は、光検出器35から受信したデータを利用して、容器内の流体を計算する際に使用する容器内のプランジャの位置など、容器に関する情報を判定する、もしくは、プランジャの位置を変更して容器からの出力またはプランジャの圧縮量を判定する。
図1でコントローラ40として示すブロックは、操作に外力を必要とする検知システム20の要素のための電源とも考えることができる。
【0016】
図示では、コントローラ40は、46で光源30に操作可能に接続され、48で光検出器35に接続される。接続46及び48により、コントローラ40は光源30と光検出器35をプランジャの位置判別に必要な場合のみ作動させるので、下記に説明する周辺光を除き、外部よりエネルギーが供給される場合には、エネルギーを節約できる。必要な電力は、固定または再充電可能なバッテリや外部電源、超コンデンサ、または太陽光、誘起、強制/自由対流ガス流、無線周波数、振動、運動または熱電気のような環境発電システムなどの1つ以上の適した方法で提供できる。接続48は、光検出器35の出力が処理のためにコントローラ40に到達する際のデータ線も表す。
【0017】
図2を参照する。光源30と光検出器35は、概略で示してあり、一態様の流体容器25に沿って操作位置にあり、検知システム20が有益に使用されている様子を示している。検知システム20は、光特性に基づいており、容器25の壁を導波管として利用するよう構成され、容器プランジャの1箇所以上の部位の位置を判別することができる。例えば、薬液注射ペンで利用できる標準的な薬剤充填カートリッジとしての容器25を
図2に示す。検知システム20は、他の異なる構成の容器内、例えばプランジャから延在し、シリンジのシリンダを越えて後方に突出する駆動可能なロッドを有する従来のシリンジ内でプランジャを検出するように構成することができる。
図2に示す容器と、それについての説明は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0018】
光源30は、容器壁内を軸方向に誘導される可視光を供給して、カートリッジシリンダに密着するカートリッジプランジャの各部位を照明する。別の実施形態では、可視光ではなく、光の波長は、検知システムの残りの部分とカートリッジの材料として適したものを選択すれば赤外線から紫外線の波長範囲のいずれでもよい。
【0019】
適した光源30は、シリンダ壁と整列して設け、その光を容器壁の容器シリンダの周囲の小さい領域のみに向けて発光する単一の照明としてもよい。あるいは、適した光源30は、単一の照明の代わりに複数の照明でもよい。導波管として作用するカートリッジ壁を通って進む光源30からの光の強さは十分であるため、シーリングプランジャの部位から反射する一部の光を光検出器35によって測定することができる。光源30によって発せられる光の強さは、光検出器35とプランジャ52の間のいずれかのシリンダの部位、またはカートリッジシリンダ50に沿ったいずれかの点に直接入射する、それ以外に存在する光よりも強い。
【0020】
光源30としては狭い光線を提供する発光ダイオード(LED)が好ましい。レーザもしくは他の光源、例えば蛍光灯や白熱灯も利用可能である。光線は、光検出器35で認識または検出可能であれば、白色光でも赤、青、緑などの色光でもよい。適したLEDの1つとして、Avago TechnologiesのHLMP-Q106が利用可能である。専用のレンズまたはレンズ群を設けて光源からの光線のシリンダの厚みの中に向けて集中させる。
【0021】
光検出器35は、検出器の長さに沿った異なる点でカートリッジ25から反射する光を登録することを意図した検知要素である。特に、光検出器35は、これらの光線が光源30によって生成された後にカートリッジ壁によって提供された導波管内を進んだ後にカートリッジの外で反射した光線を検知できる位置に設置する。このような反射は、カートリッジ壁の内面と流体密封係合にあるプランジャの位置または部分に対応した位置が最も高くなることがわかっている。図によると、光検出器35は、カートリッジ25の軸に対して、径方向の直ぐ外側ではないが径方向に光源30と整列した位置にある。光検出器としては、光源から角度的に間隔を空けてあれば有効であるので、このような整列は特に必要ではない。光検出器35は、検知された反射光を電気信号に変換し、線48を介してコントローラ40に伝達する。
【0022】
一実施形態では、光検出器35は、少なくともカートリッジプランジャ密閉部の位置を検出したいカートリッジの長さの部位に沿って軸方向に延在する寸法の無料の金属酸化物半導体素子(CMOS)の線形アレイでもよい。光検出器35は、シリンダ本体部60の軸方向の長さ全体に延在してもよい。他のタイプの光検出器を、線形電荷結合素子アレイ(CCD)、フォトダイオードアレイ、フォトレジスタアレイ、位置敏感型ダイオード、そしてさらに二次元画像センサのように、反射光を検出するために代替として使用してもよい。
【0023】
別の実施形態では、真直の検出器の代替として、CMOS検出器を、
図8に示す螺旋パターンのようにカートリッジ本体部の回りに非線形に配置してもよい。このような螺旋パターンによれば、空間的規制に対応できる。さらに、螺旋パターンにより、そのアレイ内により多くの検知素子を含むことができるので、カートリッジの軸方向の長さに沿った検出分解能力を高めることができる。
【0024】
図示では、カートリッジ25は、シリンダ50と、シリンダの軸方向長さの一部に沿って移動可能なシーリングプランジャ52を含む標準3ミリリットルの薬液カートリッジである。一体の円筒形に形成されたシリンダ50は、前方端部55と後方端部57の間の軸方向に延在する。前方及び後方とは、投与分注中に、プランジャ52がカートリッジシリンダ内を前に移動すると考えたときの方向を表す命名規則に従うものである。管状のシリンダ50は、内側中空72となっている。シリンダ50は、本体部60と、首部の前端に隔壁支持カラー64を有する段付き首部62を有する。
【0025】
シリンダ本体部60は、軸方向に延在し、プランジャ52の密閉面が係合し、流体密封の状態で摺動する内面70を有する管状円筒形壁61によって形成される。プランジャ52の前方の内側中空72の部分は、分注用の薬液74で充填されている。プランジャ52がシリンダ内を軸方向前方に進むと、あるいは、
図2の左に進むと、シリンダ50の前端部55の中空72の開放前端部によって形成されたシリンダ50の出口を通って薬液が容器25から分注される。
【0026】
図示のカートリッジ25は、針とともに使用するよう意図したものであるが、シリンダの出口は、隔壁80によって覆われ、圧着シール82が固定されている。略図で示す両頭針84が隔壁80を貫通して、プランジャ52を前方に駆動するとシリンダ出口から隔壁80を通して薬液74が通れる通路を提供する。針84は、例えば、カートリッジ25を使用時に取り付けられる注射ペンなどのように着脱式で注射針組立体に付属であることが多い。
【0027】
シリンダ50は、シリンダ壁の内部で光源30から提供される光を伝達する材料で形成する。透明または半透明の光透過ガラスまたはポリマーがシリンダの材料としては適している。図示では、シリンダ50は、その周囲に亘って一様な構成である。これにより、検知システム20は、軸方向に対してカートリッジ25のどの角度方位にも操作可能となり、その結果、検知システム20を設置したカートリッジの複雑性が比較的低減されている。検知システム20は、このように、光源30と光検出器35と整列するカートリッジの部位が下記にさらに詳しく説明するように光を透過するように構成されていれば、このように均一な構成でないカートリッジを使用してもよい。
【0028】
図2の断面では示していないが、プランジャ52は、シリンダ内面70と流体密封係合して薬液74をシリンダ後方端部57から遮断するように、少なくとも1つの円周面領域を有するように設計されている。プランジャ52は、図示の実施形態では、Bromobutylゴムのような、一部品の弾性またはエラストマー製の材料から形成されている。プランジャ52は、それぞれがプランジャ本体90の長さが延在する軸方向を横切る前方端部92と後方端部94を有する本体90を備える。前方端部92と後方端部94のそれぞれの面は、平坦であるが、一連の突起点96が設けてあり、製造工程で複数のプランジャが互いに固着しないように防ぐ役割を果たしている。前方端部92の端面は、カートリッジ25の薬液内容物74と直接接触する。
【0029】
本体90の端部92と94の間には、3つの径方向に突出する密封リブ98以外は、概ね円筒形の外周を有する。それぞれの密封リブ98は、本体90の全周に亘って延在しており、軸方向に横切る。それぞれのリブ98は、その径方向外方に径方向密封面を有する。3つのリブ径方向密封面のうち、前方のリブ密封面を100a、後方のリブ密封面は100c、そして、中央のリブ密封面は100bで表す。従来のように、リブ98は、密封面100a〜cをシリンダ面70に対して摺動可能な流体密封係合しながら押し付けるような寸法形状を有する。本体90の軸方向におけるリブ98の間の部分は、シリンダ面70とは接触しない。
【0030】
図示では、密封リブ98は、軸方向に間隔を空けて本体の長さ方向に3つ設けてあるが、これにより、プランジャに、シリンダ面70と流体密封係合にある3つの軸方向に間隔を空けた周面領域100a〜cを提供する3つの異なる密封リングを設けることになる。リブ98の数と、その結果得られた面100a〜cのような面を、プランジャの全体的な設計を考慮して当業者が選択することにより、適した密封特性を得ることができる。さらに、密封リングの載置がプランジャの前面に近ければ近いほど、薬液に接触しているプランジャの前面の実際の位置の検出がよりよくできる。結果として、異なる数、例えば2つ、あるいは1つ、または3つより大きい数のリブと密封面を設けることができ、検知システム20はこのようなプランジャ設計がそれぞれ有する有益な適用方法を取得することができる。
【0031】
光源30は一般的に軸方向において、その生成された光が縁部65を通って軸方向に向けられるようにカートリッジ後方端部57のシリンダ壁61の後方縁部65の可及的に近傍に位置している。光源30から生成された光は、シリンダ壁縁部65の径方向の厚みの中心に集中する。別の実施形態では、光源は、後方縁部65から外して位置させてもよいが、その光をそこに提供できるように構成する。例えば、光源を容器から軸方向に離れた電源または制御源の近くに位置させた場合、そして、後縁から実質的に離れた場合、その光源は、その光を光ファイバー、光管、または導波管に向け、そこから順に直接シリンダ壁の後方縁部65まで伝達する。このようにして介在する光ファイバー、光管または導波管ならびに光源は、代替的にカートリッジのリテーナの中に設けてもよい。
【0032】
光検出器35は、好ましくはシリンダ壁61の径方向外周側に可及的に近傍に位置させる。また、
図4に示す別の実施形態において、類似の部品にはダッシュをつけて表しているが、光検出器35’は、シリンダ壁61’にできるだけ近くに位置しており、光ろ過要素36が光検出器35’とシリンダ壁61’の間に介在する。
【0033】
光ろ過要素36は、マイクロルーバフォイルで光を通さず、プランジャ52’から反射した幅広の光線は、光の非垂直通路を除去することにより単方向の真直なビーム路、特にカートリッジ25’に対して径方向に導かれる。ろ過により、光検出器35’のコントラストが高まる。別の解決法としては、あらゆるタイプのレンズまたはレンズアレイがある。プランジャから反射した広がる光をさらに整形し集中した光線に変換して光検出器に向ける。例えば、コリメータレンズを使用できる。
【0034】
検知システム20の構造は、
図3に示す光路をさらに参照して一方向の説明で考慮するとさらに理解しやすい。プランジャ52の1つ以上の密閉部100a〜cの、カートリッジシリンダ部60内での軸方向の位置を詳細に知る必要がある場合には、検知システム20を起動する。光源30は軸方向の105において細い光線をシリンダ壁61内に発光し、軸方向に延在するシリンダ壁61が導波管の機能を果たすため、その光は全体的に壁61の内部を108で軸方向に進む。シリンダ壁61内を軸方向に移動する光は、110a、110b、及び110cで示すように、プランジャ52の密閉部100a〜cを照明するように反射する。これらの光線110a〜c並びに径方向外方へ反射する、シリンダ壁61内を軸方向に進む光源30からの他の光は、検出器の長さまたは通路に沿って光検出器35によって検知される。反射光110a〜cは、光源30からシリンダの長さ方向に沿って外方のいずれかから反射する光源30からのどの光より強度が強く、その強度は光源30からの距離に応じて110cから110bそして、110aへと低減する傾向にある。光検出器35は、その長さに沿った様々な点にて検出された光強度レベルに対応して電気信号を生成し、その電気信号が接続48からコントローラ40に向けて送られる。
【0035】
そして、コントローラ40は、光検出器35から受信した反射光データを、その後使用するため、及び/または伝送するためにコントローラ40の内部に保存できるプランジャの位置または状況に関連する情報に処理することができる。伝送された情報は例えば、ユーザから見えるカートリッジの使用に関連付けられたディスプレイへ、あるいは使用情報を追跡するコンピュータネットワークへ送ることができる。コントローラ40に関連付けられたこのような伝送手段は、
図1には示されていないが、従来のものでよく、有線または無線などが可能である。
【0036】
コントローラ40は、検出器の長さに沿って検知した光データにおけるピークを考慮して密閉部100a〜cの位置を判定するようにプログラム化されている。例えば、コントローラ40は、まず、プランジャの位置が知りたいような1つのケースにつき、多数回、例えば10回検知システムを操作し、検出器の長さに沿って、各ピクセルまたは検知点ごとに10個の検知光データ値を得ることができる。各ピクセルでは、その後10個の値を平均し、平均したピクセル値を、対応する検出器の長さに沿って座標で示す。結果のグラフは、3つの顕著な上向きの振動を含み、それぞれが密閉部100a〜cのそれぞれに対応する。
【0037】
そしてコントローラは、これらの振動を分析する。ある基本的なシステムでは、コントローラは各振動内の高さと最大振幅を有するピクセルを探し、コントローラは、そのピクセルの検出器の長さに沿った軸方向の位置を、適用可能なプランジャの密閉部に相当すると解釈する。
【0038】
この基本的なシステムを改良してコントローラで使用してもよい。ある改良では、多項式関数を使ってそれぞれの振動のピーク領域を近似する、多項式曲線適合法または最小二乗適合法を実施する。基本システムの検出された最大ピクセル位置の周囲に領域を定義する。この領域では、多項式適合法を計算して多項式係数を得る。ピクセルをオーバーサンプリングして多項式を評価し、正確な最大位置を計算して適用可能なプランジャの密閉部のそれであると解釈する。多項式適合法の適した値は5次多項式であり、オーバーサンプリング100で、最大位置の各側上の40ピクセルの適合領域を有する。
【0039】
別の改良としては、各振動に使用する領域中心の計算である。基本システムの検出した最大ピクセル位置のそれぞれの周囲に、あるいは、恐らく先に多項式曲線適合改良法によって改良された最大ピクセル位置の周囲において、ある領域が定義される。適した領域は、そのような最大位置の各側で40ピクセルである。この領域では、最大位置を数式
【数1】
で計算する。計算された最大位置値は、適用可能なプランジャ密閉部のそれであると思われる。
【0040】
別の改良では、全プランジャの位置を、センサの出力と、コントローラに保存された予め定義した波形との間の相互相関関数の最大値の位置として計算する。
【0041】
さらに、コントローラは、コントローラが提供する読み取りが不正確となりがちな、シリンダの首部での反射に伴って検出器が検知したデータをブラインド化するようにプログラム化してもよい。
【0042】
コントローラ40が判定できる情報は、注射の際にその注射中に起きたシリンダ部60内の密封領域100aの軸方向の位置の変化に基づいて計算された、カートリッジ25から押し出された薬液74の量である。他のカートリッジや履歴の詳細がコントローラ40にわかっていればプランジャの位置を使ってカートリッジ25から送られた薬液の総量またはカートリッジ25内に残った薬液の総量を判断することができる。
【0043】
さらに、コントローラは、検出器が検知した、通常は上記したようにブラインド化される反射ではあるが、シリンダ首部の反射を利用してカートリッジに残る薬液を判定してもよい。例えば、コントローラは、検出器が参照点として検知したシリンダの首部の反射を使って、コントローラが、このプランジャの位置を参照点と比較することによって、カートリッジに残っている薬液の量を判定できるようにしてもよい。コントローラが、シリンダ首部の反射をこのように利用すれば、カートリッジシリンダの首部の、カートリッジシリンダ内でプランジャが底に達したときの位置に関連付けられた点に対して製造変更を行うことにより、その参照点をより正確に判定できるようになる。上記製造変更は、その点において反射を高めるもので、例えば、シリンダ壁に溝や凹部を設けたり、突起を設けたりなどである。
【0044】
コントローラ40によって判定できる情報として、さらに、あるいはその代替としてプランジャ52の圧縮量でもよい。コントローラ40は、密封領域100aと100cの間で検知された距離がその密閉領域の間の距離に対して保存された値より小さい場合には、その保存された値が通常の距離であるか、あるいは、注射直前の位置であるかを判断するようにプログラムされていてもよい。プランジャの圧縮情報を使えば、残りの分注投与量を判断したり、あるいは、カートリッジ25を使って注射を行った後に、どのタイミングで、カートリッジのユーザが投与量は残っておらず、注射が完了したことを知らされ、プランジャ52が注射前の状態にされたかを判定することができる。
【0045】
図5及び6を参照すると、全体を130で示すペン型薬液注射装置の一形態に操作可能に搭載されたシステム20に類似した検知システムを示す。このタイプの注射装置はよく知られており、装置130の説明は、検知システムが、プランジャの検出が望まれる様々な構成の操作装置の使用に適用できることを説明するために過ぎない。
【0046】
薬液注射装置130は、それらの装置のうち、装置の内部構成要素を支持する筐体を含む、最も典型的な装置である。図によると、筐体は、141を付して概略で示す機械的駆動機構を保持する後側筐体部135を有している。注射の一投与量を設定するために回転させると、投与量設定カラー137が、筐体部135の
図5に示す位置からねじにより外れ、カラー137に設けられたボタン140に対して押し込む力をユーザがかけると、ボタンとカラーが
図5に示すような軸方向位置に戻され、これによって駆動機構141がその出力部材を筐体部135から延在させてプランジャ144をカートリッジ146内で前方に移動させる。
【0047】
検知システムは、LED162を備えたスリーブ160を有し後側筐体部135の前端内に確実に取り付けられる。スリーブ160の中心開口には、駆動機構出力部材が挿通される。LED162は、筐体内で電源や検知システムコントローラと電気的に接続される検知システムの光源として機能する。ここで電源と検知システムコントローラはともに概略的に165で表す。
【0048】
装置の筐体は、さらに、基部152と上部154から形成された2分割カートリッジリテーナまたは前側筐体部150を含む。リテーナ150は、内部にカートリッジ146を組み込むと後側筐体部135に固定され、カートリッジ146を駆動機構とLED162に対して操作位置に保持する。
【0049】
上部154は透明なカバーとして示しており、前側筒状部品165と、そこから後方に向けて延在し、カートリッジ146上に嵌合する形状に湾曲したフランジ167とを有する。部品165は、その中に挿入する圧着シール147を有するカートリッジ146の前端に合わせた寸法と形状を有しており、カートリッジ隔壁149に開口部166を通ってアクセス可能である。筐体部品165は外側に169で示すようにねじ山が形成されて図示しない注射針のハブがその上にねじ込まれるようになっており、部品165に取り付けられると、カートリッジ隔壁149を通って延在する注射針がカートリッジの内部の装置130のユーザに対する薬液送達用の空間と従来通りに連通する。
【0050】
基部152は、カートリッジ146が嵌合する中空172を備える。中空172の基部は、軸方向に延在し、検知システムの光検出器として機能するCMOSアレイ175で形成される。前側筐体部150が後側筐体部135に取り付けられると、図示しない装置のコネクタにより、CMOSアレイ175が電源と165で示す検知システムコントローラと電気及びデータ通信する。
【0051】
上部154と基部152は互いに
図5に示すような配置関係に連結するように構成でき、別々の部品を互いにスナップフィットして、あるいは、ピン付き結合部品とともに旋回するようにしてユニットとして後側筐体部135へ接続される前にカートリッジ146を保持する。あるいは、上部154または基部152のいずれかは、後側筐体135の延長部として構成し、カートリッジを載置した後、他の部分をそこに、あるいは、後側筐体135に接続してもよい。例えば、CMOSアレイ175を備えた基部152は、そこから前方に延在または突出するように固定して後側筐体部135に取り付けて、カートリッジ146を載置することによって、カートリッジの基部152へ設置し、そして、例えばカートリッジ146の上の後側筐体部135に上部154を固定する。このような設計により、コントローラ165とCMOSアレイ175との間の接続が行いやすくなる。
【0052】
ユーザがカートリッジを可視化するのぞき窓として機能する透明カバーの存在により、周囲光がCMOSアレイ175の測定に影響を与えてしまう。これを回避するために2つの90度回転するポラロイド(登録商標)フィルタを使用して、1つは除き窓に取り付け、もう一つは、CMOSアレイの上に、例えば、CMOSアレイの上部に設けることが可能なマイクロルーバフォイルとともに重ねて取り付ける。このようにして、カートリッジはユーザに可視化され、アレイがリブの反射を検出できるが、外側の光はアレイに届かない。
【0053】
装置130は、筐体部135の側面に設けて示し、電気的にコントローラ165に接続された液晶表示器のような電子ディスプレイ180も含む。ディスプレイは、例えば、筐体基部152のような別のいかなる場所に代替として設けてもよい。LED162とCMOSアレイ175を使用するコントローラ165によって判別されるプランジャの位置情報を装置のユーザが可視化するようにディスプレイ180上に示すことができる。例えば、ディスプレイ180は装置130の最後の注射の使用でいくつのユニットが送達されたかを表す数値、あるいは、カートリッジ146のプランジャが圧縮されたかどうかに基づいて判定する、注射が完了していない、または完了したことを表すグラフィックスまたはアルファベットの通知を表示することができる。
【0054】
図7を参照する。従来の異なる構成の容器と連動するように構成された本発明の別の実施形態を示す。検知システムは、
図2の光検出器と同じ光検出器235と、異なる構成のカートリッジ225に対する位置関係を除き、光源30に類似した光源230とを含む。カートリッジ225は、シリンダ壁261を有するシリンダ250と、すべてが
図2の実施形態のその対応する部品と類似したシーリングプランジャ252を含む。シリンダ250は、シリンダ壁261と一体に形成された径方向の突起269を含む点において異なる。突起269は、シリンダ壁261の後方縁部265の近傍でシリンダ壁261からシリンダ250の径方向内側に突出した、円周に亘る丸みを帯びたリブの形態である。光源230は、シリンダ250内に位置しており、軸方向に延在する主要なカートリッジ壁261に対して、径方向に突起269に光を直接入射して照らすように構成されている。
【0055】
光源230は、例えば突起269近くに載置することによって、また発光する光線を細くすることによって、検出器235が検出する光により、照明されていることをコントローラが認識できるであろう突起269に近接した部分を除いて、シリンダ250の内面のいかなる箇所にもシリンダの内部から直接光線が当たることがないように構成するのが好ましい。専用のレンズまたはレンズ群を設けて光源230からの光線を突起269へ向けて集中させる。
【0056】
光が光源230によって突起269に向けられると、シリンダ壁261は、
図2に関して説明した検知システムなどのような検知システムによって検出されるように導波管として機能して、その光をシリンダ壁261内で軸方向に送り、プランジャ225の密閉部を照明することが判明している。
【0057】
図8を参照する。異なる構成の容器と連動するように構成された本発明の別の実施形態を示す。カートリッジ325は、シリンダ壁361を有するシリンダ350と、すべてが
図2の実施形態のその対応する部品と類似したシーリングプランジャ352を含む。その後方端部では、シリンダ壁351が、垂直に向いたフランジ369の形態で径方向外側に延在する突起と一体に形成されている。フランジ369は、シリンダ350の外周を超えて延在するが、シリンダの円周全体に連続して設ける必要はない。フランジ369は、充填工程でカートリッジを保持するために使用できる。フランジは、シリンジプランジャを手動で押し込む間に指で把持するシリンジ部となるように指で把持できるほどの大きいフランジに置き換えてもよい。
【0058】
光源330は、光をフランジ369の径方向外側の端部内から内側に向け、光がフランジの長さに亘ってその内部を進む。光源は、カートリッジを囲む環状の光源でもよい。検出器335は、螺旋状に構成された検出器であり、プランジャ352が移動可能にシリンダの長さに沿って延在する。図では3回巻いて延在しているが、使用する螺旋パターンの旋回回数は、それより多くても少なくてもよく、希望であれば、部分的に旋回しているのみでもよい。光源330は、好ましくは、光線をシリンダ350の外面のいかなる箇所にも直接当てることがないように構成するのが好ましい。光源330からの光の一部が直接シリンダ350の外面上にあたることが許容されるとしたら、検出器335が主要なカートリッジシリンダ350に対して径方向にフランジ369を通って、導波管として機能するシリンダ壁361を軸方向に通る光源330からの光によるプランジャ密閉部の照明の正確な判別を損なうことがないような入射光のみである。よって、導波管として機能するシリンダ壁361内を軸方向に進む光源330からの光を除き、光源330の構成によって、光が、プランジャ352が移動し、その位置の判別中にシリンダ350の一部に到達する最小限の光または入射光以上となることはない。
【0059】
図示では、光検出器35、35’、175、235及び335は、カートリッジシリンダの径方向にのみ位置しているが、本発明の光検出器は、一部がカートリッジシリンダの径方向に位置し、他の部分はカートリッジシリンダの軸方向に位置することによってシーリングプランジャから反射する光を検出するように配置してもよい。例えば、
図9に示すように、本発明の光検出器は、光伝達部402と検知部410を有し、光伝達部402はカートリッジシリンダ425の径方向外側に配設して検知部410をカートリッジシリンダ425の軸方向後方に配設してもよい。検知部410は断面で示しており、CMOS要素のアレイなどとして、カートリッジ400の後方端部近傍に配置されている。検知部410は検知システムの光源440から径方向に遮断されており、その光源440は、検知部410の径方向内方で同心となるようにカートリッジシリンダ425の環状端部と配列した発光ダイオードの環状アレイである。
【0060】
光伝達部402は、検知部410からカートリッジシリンダ425の周囲前方に延在する光透過材料で形成されたスリーブとして設けられている。光伝達部402は、光をスリーブ402の材料内で軸方向に送って検知部410に戻し、反射光を光伝達部402へ径方向に入射するように導く導波管として機能する。この反射光は、光源440がまず発光し、カートリッジシリンダ425を通って伝わった後にプランジャ430の密封面から反射する光である。図示では、管状フィルタ要素420は、光伝達部402とカートリッジシリンダ425の間にあり、その管状フィルタ要素420は、厳格に径方向の光のみを選択もしくは通過させる。光伝達部402は、注射ペンのカートリッジリテーナの内部に位置する、あるいは、その主要部分を形成する。
【0061】
光伝達スリーブ402は、そこに向けられた光をカートリッジから径方向に反射して、スリーブ壁を通って軸方向に進ませて検知部410に到達させる特性を有している。この特性は、一連の凹部が螺旋パターンでスリーブ402の外部に設けられている点である。404で示すこの凹部は、一連の螺旋パターンを有するその他の凹部の設計の一例に過ぎない。凹部の形状と角度は、スリーブ材料の特性に基づいて決定するが、図示では、45度の角度の面406を有している。カートリッジから直接凹部404の径方向内部に反射した光は、スリーブ402を通り、面406に当たり、この面406はその光を部分的に直接軸方向後方に反射してスリーブ402の壁内を通りセンサ410へと進ませる傾向にある。
【0062】
凹部の螺旋パターンは、スリーブ402の軸方向の長さに延在し、カートリッジプランジャ430が使用中に位置するであろうカートリッジ400の一部の周囲に嵌合する。螺旋パターンは、360度以上に亘ることはないが、検知部410内部のセンサ要素の十分に密であれば、そして、螺旋パターンの最初と最後の凹部により光を検知部410に到達させる場合に起こる光干渉が許容範囲であれば、360度に近ければ近いほど、環状アレイの解像度を高くすることができる。
【0063】
検知要素410のスリーブ402に対する角度方向は、好ましくは検知要素は開始部にあると考えられる環状検知部410が軸方向に検知部410に最も近い凹部と角度的に整列するように、そして環状検知部410内での所定の角度方向に連続する検知要素が、軸方向に沿って検知部410から離れる方向に連続する凹部に対応するように製造中に固定される。これにより、コントローラは、スリーブの長さ、ひいてはカートリッジの長さに沿って所定のピクセルを所定の位置と関連付けることができ、プランジャ430の密閉部の位置が判定できる。
【0064】
スリーブ402は、円筒形スリーブでもよく、
図9の断面図では、凹部404の軸方向前方に延在するように示している。一連の凹部の前方に延在するスリーブ402の部分は検知部410に光を戻す機能がないため、このような前方部分は省略してもよい。このような変更した設計では、スリーブ402は、検知部410から前方に延在する、部分的に円筒形のスリーブとなるが、螺旋形状の前方縁部を有するのは言うまでもない。さらに、円形の内外周の代わりに、スリーブ402は、多角形の異なる面が検知部410の検知要素のそれぞれと角度的に整列するような多角形状を有していてもよい。
【0065】
図10を参照すると、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態では、圧着シールへの変更と光源の別の位置への位置決めとは別に、すべての部分が
図2の実施形態に対して図示し説明したものと同じであり、よって、ここでは
図2の部分に対してダブルダッシュをつけて示している。光源30”は、開口部あるいは変更した圧着シール420の周囲に設けた透明部419を通してカラー64”内に光を向けて発するよう位置している。カラー64”は、シリンダ壁61”と一体的に形成された径方向の突起として機能する。使用中は、光源30”からの光は、圧着シール420の開口部419を通して径方向に通過してカラー64”に入り、その光が導波管として機能する首部62”と壁61”を進んでプランジャ52”のカートリッジ壁密閉部を照明し、これによって検出部35”が照明を検知して、それ以外は上記と同様に使用される。適した操作のためには、光源30のからの光を、開口部419を通すために、単一の光源30を使ってカートリッジを図示の検知システムに対して方向付けるシステムがこのようなウィンドウと光源を整列させる。
【0066】
これまで、本発明を好ましい設計を有すると図示、説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨と範囲にもとることなく変更が可能である。例えば、図示のシステムでは、システムは、円筒型管状の容器シリンダと連動するが、正方形、長方形、または楕円のような異なる形状の管状形状を有する容器シリンダとともに及び/または異なる形状のプランジャと使用してもよい。さらに、システムは、カートリッジシリンダ壁を通って軸方向に進ませるように光を反射する特性を有する、異なる構成のカートリッジとともに使用する、あるいは使用するように構成できる。上記の説明では、光をシリンダ壁内に適切に導入させて、壁を導波管として機能させるのに突起が適していると説明したが、切り欠きや溝のような特性もその代わりに使用することができる。突起やフランジの機能と同様に、切り欠きや溝は、光が容器シリンダ壁にアクセスする手段となり、導波管として機能し、光をその目的となるプランジャの反射接触面まで軸方向に進める。さらに、別の実施形態では、このような突起や切り欠きなどをカートリッジの首部に設けて、その突起に直接光を当てるように設けられた光源によってなど、光を導入し、導波管としてシリンダ壁を使ってカートリッジプランジャ密閉部を照明してもよい。さらに、ここに示していない別の実施形態では、光源をカートリッジの首部の近傍に位置させてその光線を軸方向後方にシリンダ厚に向け、その光線は、突起または切り欠きなどの有無にかかわらず、シリンダ壁へ遷移するカートリッジの首部の中間部を通って、光検出器の径方向内側にシリンダ厚を通って入るので、シリンダ壁が導波管として機能する。さらに別の実施形態では、
図11に示すように、上記のようなシリンダの円筒形壁61のいずれかの端部におけるシリンダ壁厚内に向ける、あるいは、上記のような突起または切り欠きなどに入る光線の代わりに、光源はその光をシリンダに対して定義した角度で向けることによって、あるいはその光をシリンダの首部に対してある角度で向けることによって、光をシリンダ壁内に発光するように構成できる。光は、検知素子の面において、あるいは、検知素子の軸に沿ってまたそこを通ってシリンダ内に延在する面を通って向ける必要がある。この角度は、スネルの法則を使って最適な角度を計算して決定することができ、これによって、ほとんどの光がシリンダ壁厚内に屈折し、その導波管効果を、その後のCMOS検知素子によるプランジャからの反射光の検出に使用する。スネルの法則は、n
1sinθ
1=n
2sinθ
2と定義される。ここで、n
1が空気の屈折率であり、n
2がシリンダ材料の屈折率であり、θ
1がシリンダに入る光の角度であり、θ
2がシリンダ壁厚内で屈折する光の角度である。導波管臨界角は、空気に関してシリンダ材料を含む異なる材料ごとに知られており、θ
cと表される。
図11を参照すると、角度θ
cと、空気とシリンダ材料の屈折率について他の周知の値がわかれば、例えば、シリンダ壁に対するシリンダの首部のように、光をあてる角度θ
1を判定することができる。ほとんどの最適な実施形態では、すべての角度が度単位である場合、θ
2は常に90−θ
c以下でなければならない。本出願は、その一般的な原理を用いた本発明のいかなる変更、使用、または適応も含まれるものとする。さらに、本出願は、本発明が関わる従来の技術において周知のまたは慣習的な実施における本開示からの逸脱も含むことものである。